JP4310688B2 - スルホン酸基を含有する芳香族ポリエーテル系化合物、その複合体、およびそれらの製造方法。 - Google Patents
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Description
溶液粘度:ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
TGA:島津製作所製熱重量測定計(TGA-50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
イオン伝導性測定:自作測定用プローブ(ポリテトラフルオロエチレン製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]x膜厚[cm]x抵抗極間勾配[Ω/cm]
高温高湿寸法安定性試験:TOMY製High Pressure Steam Sterilizer BS-325を用い、130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置した試料の形態変化を調べた。
ポリマー骨格構造中のジオキシビフェニレン基量の測定方法:ポリマー重合時にモノマー仕込み比が明確な場合は、そこから骨格構造中のジオキシビフェニレン基量を計算できるが、H−NMR測定によりジオキシビフェニレン含有量を求めることもできる。この際、イオン交換容量(IEC)から求めたスルホン酸基量や赤外スペクトルなどによる構造情報を参考にすることも有用である。
H−NMR測定:Varian社Gemini−200NMR分光器を使用し、DMSO−d6溶液、80℃で測定した。
メタノール透過速度:イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノールの透過速度として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬した平均厚み50μmのイオン交換膜(平均厚みが48μmから52μmの範囲に入っているものを平均厚み50μmの膜とする)をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。
イオン交換容量(IEC):窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量を量り、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でもとめた。
発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ40℃に調整した2mol/lのメタノール水溶液(1.5ml/min)および高純度酸素ガス(80ml/min)を供給しながら行った。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)15.225g(0.03099mole)、2,6−ジシアノベンゾニトリル(略号:DCBN)8.695g(0.05057mole)、4,4’−ビフェノール15.1873g(0.08156mole)、炭酸カルシウム12.963g(0.09379mole)を300ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。110mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約6時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.78を示した。このポリマーの骨格構造中のジオキシビフェニレン基量は56.0wt%である。ポリマー1gをNMP5mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。得られたフィルムのIRスペクトルを図1に示す。本フィルムの滴定でもとめたIECは、1.85meq/gであり、イオン伝導性を測定したところ、0.20S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による3%重量減少温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は391℃であった。本フィルムを130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、フィルム形態を良好に保持していた。また、厚みが50μmとなるように作製したフィルムを用いて、メタノール透過性を測定したところ、5.9mmol/m2・secの値を示した。
実施例1においてS−DCDPSとDCBNの比率をS−DCDPS:DCBN=44:56(モル比)として、同様の評価を行った。本ポリマー骨格構造のジオキシビフェニレン基量は、54.8wt%である。ポリマー対数粘度は0.77であった。作製したフィルムの滴定でもとめたIECは、2.02meq/g、イオン伝導率は0.28S/cm、3%重量減少温度は381℃であった。本フィルムを130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、フィルム形態を良好に保持していた。
実施例1において、S−DCDPS11.872g(0.02417mole)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:DCDPS)8.482g(0.02954mole)、4,4‘−ビフェノール10.000g(0.05370mole)、炭酸カルシウム8.536g(0.06176mole)、NMP100mlとして、同様の評価を行った。本ポリマー骨格構造のジオキシビフェニレン基量は、46.0wt%である。11時間重合したポリマー対数粘度は0.71であった。作製したフィルムの滴定でもとめたIECは、1.69meq/g、イオン伝導率は0.19S/cm、3%重量減少温度は372℃であった。本フィルムを130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、フィルムが融着し、形態の崩れが認められた。
比較例1において,S−DCDPSとDCDPSの代わりにS−DCDPS10.553g(0.02148mole)、DCDPS3.855g(0.01343mole)、DCBN3.233g(0.01880mole)として、同様の評価を行った。本ポリマー骨格構造のジオキシビフェニレン基量は、51.3wt%である。7時間重合したポリマー対数粘度は0.66であった。作製したフィルムの滴定でもとめたIECは、1.71meq/g、イオン伝導率は0.17S/cm、3%重量減少温度は377℃であった。本フィルムを130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、フィルムの融着がおこり、形態の崩れが認められた。
比較例2において、S−DCDPS10.025g(0.02041mole)、DCDPS1.851g(0.00644mole)、DCBN4.619g(0.02685mole)として、同様の評価を行った。本ポリマー骨格構造のジオキシビフェニレン基量は、53.7wt%である。7時間重合したポリマー対数粘度は0.62であった。作製したフィルムの滴定でもとめたIECは、1.73meq/g、イオン伝導率は0.16S/cm、3%重量減少温度は372℃であった。本フィルムを130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、フィルムの融着は認められなかった。
実施例1において、S−DCDPSを使用せず、DCBNを14.029g(0.08156mole)として、同様に重合を行った。2時間の反応で、対数粘度1.65のポリマーが得られた。本ポリマーのジオキシビフェニレン基量は64.6wt%である。ポリマー1gを濃硫酸20mlとともに65℃に加熱して7時間攪拌した。ポリマー溶液を水中に注いでポリマーを回収し、洗液が中性になるまで水洗を繰り返した後乾燥した。得られたスルホン化ポリマーの収量は1.1gであった。滴定でもとめたIECは、1.61meq/gであった。本試料を130℃飽和蒸気雰囲気条件に4時間放置したが、形態の明確な変化は認められなかった。
実施例1で得られたポリマーから作製したフィルムを用いて、発電評価を実施した。電流密度0.15A/cm2において電圧0.28Vを示し、良好な発電特性を示した。
40%Pt/Ir触媒担持カーボンとナフィオン(登録商標)(EW=1100)を、重量比で2.5:1となるように、Pt/Ir触媒担持カーボンにデュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液を加えることで調整した。次いで、撹拌することでアノード用触媒ペーストを調製した。また、Pt/Ir触媒担持カーボンの代わりに40%Pt触媒担持カーボンを用いて、同様の手法により、カソード用触媒ペーストを調整した。この触媒ペーストを、スクリーン印刷により、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に塗布乾燥して、アノードおよびカソード電極をそれぞれ作製した。両電極間に実施例1で得られたポリマーから作製したフィルムを、電極触媒層が膜試料と接するように挟み、130℃にて3分間、加圧・加熱することにより、電極とイオン交換膜を接合した。この接合体をElectrochem社製の測定セルFC25−02SPに組み込んだ後、アノード側より超純水を流しながら両電極間に電圧を徐々に印加した所、アノード側から酸素ガス、カソード側から水素ガスが発生した。
Claims (11)
- ポリマー構造中にジオキシビフェニレンユニット(−O−Ph−Ph−O−)を52wt%以上含む芳香族ポリエーテル系高分子に対して、スルホン酸基を導入した構造であることを特徴とする化合物。
- スルホン酸基含有量が、0.2〜6.0meq/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の化合物を50〜100質量%含むことを特徴とする組成物。
- 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とするイオン伝導膜。
- 請求項4に記載のイオン伝導膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
- 請求項5に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
- メタノールを燃料とすることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池。
- 請求項5に記載の複合体を含有することを特徴とする水電解装置。
- 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする接着剤。
- 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の化合物と、溶剤とを含有する溶液を、キャスト厚が10〜1000μmの範囲となるようにキャストする工程と、キャストした溶液を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載のイオン伝導膜の製造方法。
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