JP2006104382A - スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、加工性、イオン伝導性にすぐれ、特に寸法安定性に良好な特性を示すイオン伝導膜を提供する新規高分子材料を得ること。
【解決手段】高分子電解質膜として有用なスルホン酸基を導入したポリアリーレンエーテル系化合物、すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入した3,3’−ジスルホ−4,4‘−ジクロロジフェニルスルホン構造単位とともにベンゾニトリル構造単位を導入したポリアリーレンエーテルにナフタレンジオール成分を含有させることにより寸法安定性に優れたものとすることができる。
【選択図】なし
【解決手段】高分子電解質膜として有用なスルホン酸基を導入したポリアリーレンエーテル系化合物、すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入した3,3’−ジスルホ−4,4‘−ジクロロジフェニルスルホン構造単位とともにベンゾニトリル構造単位を導入したポリアリーレンエーテルにナフタレンジオール成分を含有させることにより寸法安定性に優れたものとすることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子電解質膜として有用なスルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル系化合物に関するものである。
液体電解質のかわりに高分子固体電解質をイオン伝導体として用いる電気化学的装置の例として、水電解槽や燃料電池を上げることができる。これらに用いられる高分子膜は、カチオン交換膜としてプロトン導電率とともに化学的、熱的、電気化学的および力学的に十分安定なものでなくてはならない。このため、長期にわたり使用できるものとしては、主に米デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」を代表例とするパーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。しかしながら、ナフィオン膜を100℃を越える条件で運転しようとすると、膜の含水率が急激に落ちるほか、膜の軟化も顕著となる。また、メタノールを燃料とする燃料電池においては、膜内のメタノール透過による性能低下がおこり、十分な性能を発揮することはできない。さらに、現在主に検討されている水素を燃料として80℃付近で運転する燃料電池においても、膜のコストが高すぎることが燃料電池技術の確立の障害として指摘されている。
このような欠点を克服するため、非フッ素系芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜が種々検討されている。ポリマー骨格としては、耐熱性や化学的安定性を考慮すると、芳香族ポリアリーレンエーテルケトン類や芳香族ポリアリーレンエーテルスルホン類などの、芳香族ポリアリーレンエーテル化合物を有望な構造としてとらえることができ、ポリアリーレンエーテルスルホンをスルホン化したもの(例えば、非特許文献1参照。)、ポリエーテルエーテルケトンをスルホン化したもの(例えば、特許文献1参照。)等が報告されている。ポリマーのスルホン化反応により芳香環上に導入されたこれらのスルホン酸基は一般に熱により脱離しやすい傾向にあり、これを改善する方法として電子吸引性芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーを用いて重合することで、熱的に安定性の高いスルホン化ポリアリーレンエーテルスルホン系化合物が報告されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開平6−93114号公報
米国特許出願公開第2002/0091225号
国際公開第2003/095509号
国際公開第2004/033534号
ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、(オランダ)1993年、83巻、P.211−220
本発明の目的は、寸法安定性に優れた特定の構造を持つスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物により、際立った寸法安定性を有するイオン伝導膜として有用な高分子材料を得ることにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記に示すスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物により、上記目的が達成されることを見いだすに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(10)により達成される。
(1)一般式(1)および一般式(2)で示される構成成分を含むことを特徴とするポリアリーレンエーテル系化合物。
ただし、Ar,Ar’は置換基を有していても良い1種以上の2価の芳香族基であり、ArとAr’の合計の50%以上が一般式(3)で示される構造よりなる。Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
(2)スルホン酸基含有量が、0.3〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とする第1の発明に記載のポリアリーレンエーテル系化合物。
(3)第1の発明または第2の発明のいずれかに記載のポリアリーレンエーテル系化合物を50〜100質量%含むことを特徴とする組成物。
(4)第1の発明または第2の発明のいずれかに記載の化合物および/または第3の発明に記載の組成物を含有することを特徴とするイオン伝導膜。
(5)第4の発明に記載のイオン伝導膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
(6)第5の発明に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
(7)メタノールを燃料として使用することを特徴とする第6の発明に記載の燃料電池。
(8)第1の発明または第2の発明に記載の化合物を含有することを特徴とする接着剤。
(9)一般式(4)〜(6)で表される化合物をモノマー成分として含む芳香族求核置換反応により重合することを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載のポリアリーレンエーテル系化合物の製造方法。
ただし、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Zは塩素またはフッ素を示す。
(10)第1の発明または第2の発明に記載の化合物と、溶剤を含有する溶液を、キャスト厚が10〜1000μmの範囲となるようにキャストする工程と、キャストした溶液を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする第4の発明に記載のイオン伝導膜の製造方法。
本発明のスルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル系化合物により、高温高湿条件下でも優れた寸法安定性を示すとともに、イオン伝導性、耐熱性、加工性に優れた、燃料電池などの高分子電解質として際立った性能を示す材料を提供することができる。また、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、メタノール透過性が低いという特徴もあり、ダイレクトメタノール型燃料電池用の高分子電解質膜としても有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、芳香環上にスルホン酸基を導入した寸法安定性に優れる特定のポリアリーレンエーテル系化合物により、寸法安定性を高めるとともに、耐熱性、加工性、イオン伝導性にすぐれた、特にイオン伝導膜として有用な高分子材料を提供するものである。すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーとして、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン誘導体またはその類似化合物を用い、2,6−ジクロロベンゾニトリルまたはその類似化合物とともに芳香族求核置換反応によってスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を合成する際に、芳香族ジオール系モノマーとしてナフタレンジオール類から選ばれるモノマーをモノマーの少なくとも一つとして用いることで、高温高湿下でも寸法変化が小さい特徴を持つイオン伝導性ポリマーとするものである。
本発明は、芳香環上にスルホン酸基を導入した寸法安定性に優れる特定のポリアリーレンエーテル系化合物により、寸法安定性を高めるとともに、耐熱性、加工性、イオン伝導性にすぐれた、特にイオン伝導膜として有用な高分子材料を提供するものである。すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーとして、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン誘導体またはその類似化合物を用い、2,6−ジクロロベンゾニトリルまたはその類似化合物とともに芳香族求核置換反応によってスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を合成する際に、芳香族ジオール系モノマーとしてナフタレンジオール類から選ばれるモノマーをモノマーの少なくとも一つとして用いることで、高温高湿下でも寸法変化が小さい特徴を持つイオン伝導性ポリマーとするものである。
すなわち、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、下記一般式(1)とともに一般式(2)で示される構成成分を含むことを特徴とする。
上記一般式(2)で示される構成成分は、下記一般式(7)で示される構成成分であることが好ましい。
また、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物においては上記一般式(1)および一般式(2)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわない。このとき、上記一般式(1)または一般式(2)で示される以外の構造単位は本発明のスルホン酸を導入したポリアリーレンエーテルの50重量%以下であることが好ましい。50質量%以下とすることにより、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の特性を活かしたものとすることができる。
このほか、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物には、その分子鎖中、すなわちポリマーの主鎖、側鎖、末端基として、熱および/または光により架橋する成分を含有していてもよい。熱架橋性基としては、エチレン基、エチニル基、エチニレン基などの反応性不飽和結合含有成分等が例示されるが、これらに限定されることはなく、熱による反応でポリマー鎖間に新たな結合を形成しうるものであればよい。光架橋性基としては、光架橋性基としては、ベンゾフェノン基、α−ジケトン基、アシロイン基、アシロインエーテル基、ベンジルアルキルケタール基、アセトフェノン基、多核キノン類、チオキサントン基、アシルフォスフィン基、エチレン性不飽和基などを挙げることができる。中でもベンゾフェノン基などの光によりラジカルを発生することのできる基と、メチル基やエチル基などの炭化水素基を有する芳香族基などの、ラジカルと反応することのできる基との組み合わせが好ましい。エチレン性不飽和基を用いる場合には、ベンゾフェノン類、α−ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アセトフェノン類、多核キノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィン類などの光重合開始剤を加えておくことが好ましい。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物としては、スルホン酸基含有量が0.3〜3.5meq/gの範囲にあることが好ましい。0.3meq/gよりも少ない場合には、イオン伝導膜として使用したときに十分なイオン伝導性を示さない傾向があり、3.5meq/gよりも大きくしてもイオン伝導性は頭打ちになる傾向がある。なお、スルホン酸基含有量はポリマー組成より計算することができる。なお好ましくは1.0〜3.0meq/gである。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、下記一般式(4)〜一般式(6)で表される化合物をモノマーとして含む芳香族求核置換反応により重合することができる。式中、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Zは塩素またはフッ素を示す。一般式(4)で表される化合物の具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。一般式(9)で表される化合物としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。一般式(6)で表される化合物としては、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンおよびこれらに置換基が結合した化合物を挙げることができる。置換基の種類は特に限定されることはないが、メチル基、ハロゲン、シアノ基、スルホン酸基およびその塩化合物などを例示することができる。置換基の数は、ナフタレン環あたり0〜2個が好ましい。
上述の芳香族求核置換反応において、上記一般式(4)、(5)で表される化合物とともに各種活性化ジフルオロ芳香族化合物やジクロロ芳香族化合物をモノマーとして併用することもできる。これらの化合物例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル、デカフルオロジフェニルエーテル、デカフルオロベンゾフェノン等が挙げられるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
また、上述の一般式(1)で表される構成成分中のArおよび上述の一般式(2)で表される構成成分中のAr’として、上述の一般式(6)で表される化合物とともに使用できる芳香族ジオール成分モノマーの例としては、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルがあげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。また、これらの芳香族ジオールには、メチル基、ハロゲン、シアノ基、スルホン酸基およびその塩化合物などの置換基が結合していても良い。置換基の種類は特に限定されることはなく、芳香環あたり0〜2個であることが好ましい。これら芳香族ジオールは、単独で使用することができる他、複数の芳香族ジオールを併用することも可能である。
本発明のポリアリーレンエーテル系化合物の重合においては、ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を反応性モノマー成分として加えて重合することもできる。この際に用いるハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物も特に制限されることはないが、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−クロロ−4’−(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、4−フルオロ−4’−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
また、上述の架橋性末端構造を導入する場合には、本発明のポリアリーレンエーテル系化合物の重合の際に、架橋基含有末端構造を与える一官能性末端封鎖剤を加えることで得ることができる。一官能性末端封鎖剤の例としては、具体的には3−フルオロプロペン、3−フルオロ−1−プロピン、4−フルオロ−1−ブテン、4−フルオロ−1−ブチン、3−フルオロシクロヘキセン、4−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、2−フルオロスチレン、4−フルオロエチニルベンゼン、3−フルオロエチニルベンゼン、α−フルオロ−4−エチニルトルエン、4−フルオロスチルベン、4−(フェニルエチニル)フルオロベンゼン、3−(フェニルエチニル)フルオロベンゼン、3−クロロプロペン、3−クロロ−1−プロピン、4−クロロ−1−ブテン、4−クロロ−1−ブチン、3−クロロシクロヘキセン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロエチニルベンゼン、3−クロロエチニルベンゼン、α−クロロ−4−エチニルトルエン、4−クロロスチルベン、4−(フェニルエチニル)クロロベンゼン、3−(フェニルエチニル)クロロベンゼン、3−ヒドロキシプロペン、3−ヒドロキシ−1−プロピン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ブチン、4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシエチニルベンゼン、3−エチニルフェノール、4−エチニルベンジルアルコール、4−ヒドロキシスチルベン、4−(フェニルエチニル)フェノール、3−(フェニルエチニル)フェノール、4−クロロベンゾフェノン、4−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルフェノール、3−メチルフェノール、2−メチルフェノール、4−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−ブチルフェノール、4−ペンチルフェノール,4−ベンジルフェノール等が挙げられる。これらの架橋基含有末端封鎖剤は、単独で使用してもよいが2種以上を混合して使用してもよい。
また、架橋性基を有するモノマーとしての具体例としては、1−ブテン−3,4−ジオール、3,5−ジヒドロキシスチレン、3,5−ジヒドロキシスチルベン、1−ブチン−3,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオール、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、2−エチニルヒドロキノン、2−(フェニルエチニル)ヒドロキノン、5−エチニルレゾルシン、2−ブテン−1,4−ジオール、4,4'−ジヒドロキシスチルベン、1,4−ブチンジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセチレン、1,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)アセチレン、3,3−ジフルオロプロペン、3,3−ジフルオロプロピン、3,3,3−トリフルオロプロピン、3,4−ジフルオロ−1−ブテン、1,4−ジフルオロ−2−ブテン、3,4−ジフルオロ−1−ブチン、1,4−ジフルオロ−2−ブチン、1,6−ジフルオロ−2,4−ヘキサジイン、3,4−ジフルオロスチレン、2,6−ジフルオロスチレン、2,5−ジフルオロエチニルベンゼン、3,5−ジフルオロエチニルベンゼン、α,α−ジフルオロ−4−エチニルトルエン、α,α,α−トリフルオロ−4−エチニルトルエン、2,4−ジフルオロスチルベン、4,4'−ジフルオロスチルベン、1,2−ビス(4−フルオロフェニル)アセチレン、3,4−ジフルオロ(フェニルエチニル)ベンゼン、3,3−ジクロロプロペン、3,3−ジクロロプロピン、3,3,3−トリクロロプロピン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、1,4−ジクロロ−2−ブテン、3,4−ジクロロ−1−ブチン、1,4−ジクロロ−2−ブチン、3,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジフルオロシナミック酸、2,5−ジクロロエチニルベンゼン、3,5−ジクロロエチニルベンゼン、α,α−ジクロロ−4−エチニルトルエン、α,α,α−トリクロロ−4−エチニルトルエン、2,4−ジクロロスチルベン、4,4'−ジクロロスチルベン、1,2−ビス(4−クロロフェニル)アセチレン、3,4−ジクロロ(フェニルエチニル)ベンゼン、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4‘−ジフルオロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4−ベンジルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、等が挙げられる。これらの架橋基モノマーを本発明のポリアリーレンエーテル系化合物の重合の際に加えることで、分子鎖内部に架橋性基を導入することができる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を芳香族求核置換反応により重合する場合、上記一般式(4)〜一般式(6)で表せる化合物を含む活性化ジフルオロ芳香族化合物及び/またはジクロロ芳香族化合物と芳香族ジオール類を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合は、モノマーを反応初期に一括して投入し、ランダム性の高い連鎖分布を持つポリマーにすることが好ましい。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。必要に応じて、沈殿生成前に、濾過処理を行っても良い。
また、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、後で述べる方法により測定したポリマー対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1よりも小さいと、イオン伝導膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。還元比粘度は、0.3以上であることがさらに好ましい。一方、還元比粘度が5を超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、単体として使用することができるが、他のポリマーとの組み合わせによる樹脂組成物として使用することもできる。これらのポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせと言える、これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基等の酸性基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。これら樹脂組成物として使用する場合には、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、樹脂組成物全体の50質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の含有量が樹脂組成物全体の50重量%未満の場合には、この樹脂組成物を含むイオン伝導膜のスルホン酸基濃度が低くなり良好なイオン伝導性が得られない傾向にあり、また、スルホン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するイオンの移動度が低下する傾向にある。なお、本発明の化合物および組成物は、必要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を含んでいても良い。
上述の酸性基含有塩基性ポリマーとの組成物に使用されるものとしては、下記の式(8)で表される酸性基含有ポリベンズイミダゾールが好ましい。
上記の式(7)で示す構造を含む本発明における酸性基含有ポリベンズイミダゾール系化合物を合成する経路は特には限定されないが、通常は化合物中のイミダゾール環を形成し得る芳香族テトラミン類およびそれらの誘導体よりなる群から選ばれる一種以上の化合物と、芳香族ジカルボン酸およびその誘導体よりなる群から選ばれる一種以上の化合物との反応により合成することができる。その際、使用するジカルボン酸の中にスルホン酸基やホスホン酸基、またはそれらの塩を含有するジカルボン酸を使用することで、得られるポリベンズイミダゾール中にスルホン酸基やホスホン酸基を導入することができる。スルホン酸基やホスホン酸基を含むジカルボン酸はそれぞれ一種以上組み合わせて使用することが出来るが、スルホン酸基含有ジカルボン酸とホスホン酸基含有ジカルボン酸を同時に使用することも可能である。
ここで、本発明において、ポリベンズイミダゾール系化合物の構成要素であるベンズイミダゾール系結合ユニットや、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸結合ユニットや、スルホン酸基もホスホン酸基も有さない芳香族ジカルボン酸結合ユニットや、その他の結合ユニットは、ランダム重合および/または交互的重合により結合していることが好ましい。また、これらの重合形式は一種に限られず、二種以上の重合形式が同一の化合物中で並存していてもよい。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物は、押し出し、紡糸、圧延またはキャストなど任意の方法で繊維やフィルムなどの成形体とすることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。この溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1重量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50重量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。たとえば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒と混和することができる化合物非溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱又は減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と複合された形で繊維状、フィルム状、ペレット状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロック状などの様々な形状に成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基はカチオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物からイオン伝導膜を作製することもできる。イオン伝導膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去してイオン伝導膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール系溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥によることがイオン伝導膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜1000μmであることが好ましい。より好ましくは50〜500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いとイオン伝導膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、1000μmよりも厚いと不均一な高分子電解質膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、溶液周りを囲って液流れを防止してキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬して溶媒を除去する場合には、溶液を適切な温度で空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固状態を調整したものを使用することができる。本発明のイオン伝導膜は目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には5〜250μmであることが好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましく、5〜50μmであることが最も好ましい。イオン伝導膜の厚みが5μmより薄いとイオン伝導膜の取扱が困難となり燃料電池を作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、250μmよりも厚いとイオン伝導膜の電気抵抗値が高くなり燃料電池の発電性能が低下する傾向にある。イオン伝導膜として使用する場合、膜中のスルホン酸基は金属塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換することもできる。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことも効果的である。また、イオン伝導膜のイオン伝導率は1.0x10-3S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導率が1.0x10-3S/cm以上である場合には、そのイオン伝導膜を用いた燃料電池において良好な出力が得られる傾向にあり、1.0x10-3S/cm未満である場合には燃料電池の出力低下が起こる傾向にある。
本発明のイオン伝導膜は、メタノールを燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池にも有用であることが特徴である。平均厚さ50μmの膜を作製し、5Mメタノール水溶液を用いて25℃で測定したメタノール透過速度が7mmol/m2・sec以下の値を示すイオン伝導膜が好ましい。メタノール透過速度は4mmol/m2・sec以下であればさらに好ましく、1mmol/m2・sec以下であればより好ましい。このようなメタノール透過性を示すときに特に優れた発電特性を示すためである。メタノール透過特性は膜厚に依存する場合があるため、メタノール透過性評価は平均厚み50μmの試料を作製して評価しているが、実際に燃料電池用イオン伝導膜として使用する際には、特に膜厚を限定しているわけではない。平均厚み50μmの膜とは、実質上は平均厚み48μmから平均厚み52μmの範囲に入っているものを示すものとする。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物からイオン伝導膜において、熱および/または光により架橋する成分を含有している場合は、熱処理および/または光照射処理により架橋構造を導入することによりさらに寸法安定性に優れたものとすることができる。熱架橋させる際の加熱温度は、架橋性ポリアリーレンエーテルの構造、架橋基の種類、架橋基導入量などにより異なるが、通常150〜450℃、好ましくは200〜400℃である。加熱時間は加熱温度や架橋性ポリスルホンの構造などにより異なるが、通常0.5〜50時間、好ましくは1〜24時間である。圧力は常圧、減圧、加圧のいずれでもかまわない。ガス雰囲気は空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のいずれでもかまわない。加熱温度が高い場合には、スルホン酸基は塩の状態にして熱処理することが好ましい。また、光架橋する際に用いる光源としては、特に限定されないが、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯等を使用することができる。照射線量はポリマー構造およびその膜厚により異なるが、通常、100〜50000mJ/cm2、好ましくは300〜30000mJ/cm2である。
また、上述した本発明のイオン伝導膜またはフィルム等を電極に設置することによって、本発明のイオン伝導膜またはフィルム等と電極との接合体を得ることができる。この接合体の作製方法としては、従来から公知の方法を用いて行うことができ、例えば、電極表面に接着剤を塗布しイオン伝導膜と電極とを接着する方法またはイオン伝導膜と電極とを加熱加圧する方法等がある。この中でも本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物を主成分とした接着剤を電極表面に塗布して接着する方法が好ましい。イオン伝導膜と電極との接着性が向上し、また、イオン伝導膜のイオン伝導性を損なうことが少なくなると考えられるためである。
上述したイオン伝導膜またはフィルム等と電極との接合体を用いて、燃料電池を作製することもできる。本発明のイオン伝導膜またはフィルム等は、耐熱性、加工性、イオン伝導性および寸法安定性に優れているため、高温での運転にも耐えることができ、作製が容易で、良好な出力を有する燃料電池を提供することができる。また、メタノールを直接燃料とする燃料電池として使用することも好ましい。
以下本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
溶液粘度:ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
TGA:島津製作所製熱重量測定計(TGA-50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
イオン伝導性測定:自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]x膜厚[cm]x抵抗極間勾配[Ω/cm]
スルホン酸基含有量:窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
メタノール透過速度:25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬した膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。
吸水率:減圧乾燥処理した試料の重さを量り取り、80℃の水中に1時間浸漬した。取りだした試料表面の付着水を拭き取った後、重量を測定した。乾燥重量に対する重量増加率を吸水率として求めた。
発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ40℃に調整した2mol/lのメタノール水溶液(1.5ml/min)および高純度酸素ガス(80ml/min)を供給しながら行った。
溶液粘度:ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
TGA:島津製作所製熱重量測定計(TGA-50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
イオン伝導性測定:自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]x膜厚[cm]x抵抗極間勾配[Ω/cm]
スルホン酸基含有量:窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
メタノール透過速度:25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬した膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。
吸水率:減圧乾燥処理した試料の重さを量り取り、80℃の水中に1時間浸漬した。取りだした試料表面の付着水を拭き取った後、重量を測定した。乾燥重量に対する重量増加率を吸水率として求めた。
発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ40℃に調整した2mol/lのメタノール水溶液(1.5ml/min)および高純度酸素ガス(80ml/min)を供給しながら行った。
実施例1
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)7.0157g(0.014281mole)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)2.4565g(0.014281mole)、4,4’−ビフェノール2.6593g(0.014281mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン2.2874g(0.014281mole)、炭酸カリウム4.5398g(0.032847mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。42mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて7時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーをストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.62を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られたフィルムのIRスペクトルを図1に示す。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.29S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は319℃、3%重量減少温度は369℃であった。滴定で求めたIECは2.21を示した。本フィルムを80℃の熱水に1時間浸漬したところ、吸水率は171%を示した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)7.0157g(0.014281mole)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)2.4565g(0.014281mole)、4,4’−ビフェノール2.6593g(0.014281mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン2.2874g(0.014281mole)、炭酸カリウム4.5398g(0.032847mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。42mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて7時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーをストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.62を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られたフィルムのIRスペクトルを図1に示す。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.29S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は319℃、3%重量減少温度は369℃であった。滴定で求めたIECは2.21を示した。本フィルムを80℃の熱水に1時間浸漬したところ、吸水率は171%を示した。
実施例2
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は8時間)。
ポリマーの対数粘度は1.14を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.31S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は300℃、3%重量減少温度は362℃、滴定で求めたIECは2.24、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は136%を示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は8時間)。
ポリマーの対数粘度は1.14を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.31S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は300℃、3%重量減少温度は362℃、滴定で求めたIECは2.24、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は136%を示した。
実施例3
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は6時間)。
ポリマーの対数粘度は0.80を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は279℃、3%重量減少温度は360℃、滴定で求めたIECは2.18を示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は6時間)。
ポリマーの対数粘度は0.80を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は279℃、3%重量減少温度は360℃、滴定で求めたIECは2.18を示した。
比較例1
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モル量のビスフェノールAを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は6時間)。
ポリマーの対数粘度は0.93を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.30S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は268℃、3%重量減少温度は352℃、滴定で求めたIECは2.28、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は312%を示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モル量のビスフェノールAを使用する以外は実施例1と同様の実験を行った(重合時間は6時間)。
ポリマーの対数粘度は0.93を示した。実施例1と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.30S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は268℃、3%重量減少温度は352℃、滴定で求めたIECは2.28、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は312%を示した。
実施例4
S−DCDPS7.7662g(0.015809mole)、DCBN2.9459g(0.017126mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン5.2753g(0.032936mole)、炭酸カリウム5.2348g(0.037876mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。45mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて4時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーを沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.87を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.32S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は300℃、3%重量減少温度は366℃であった。滴定で求めたIECは2.19を示した。本フィルムを80℃の熱水に1時間浸漬したところ、吸水率は169%を示した。
S−DCDPS7.7662g(0.015809mole)、DCBN2.9459g(0.017126mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン5.2753g(0.032936mole)、炭酸カリウム5.2348g(0.037876mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。45mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて4時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーを沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.87を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.32S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は300℃、3%重量減少温度は366℃であった。滴定で求めたIECは2.19を示した。本フィルムを80℃の熱水に1時間浸漬したところ、吸水率は169%を示した。
実施例5
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は13時間)。
ポリマーの対数粘度は0.90を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.30S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は293℃、3%重量減少温度は343℃、滴定で求めたIECは2.00、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は169%を示した。得られたフィルムのIRスペクトルを図2に示す
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は13時間)。
ポリマーの対数粘度は0.90を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.30S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は293℃、3%重量減少温度は343℃、滴定で求めたIECは2.00、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は169%を示した。得られたフィルムのIRスペクトルを図2に示す
実施例6
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は9時間)。
ポリマーの対数粘度は0.80を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は275℃、3%重量減少温度は334℃、滴定で求めたIECは2.14を示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は9時間)。
ポリマーの対数粘度は0.80を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は275℃、3%重量減少温度は334℃、滴定で求めたIECは2.14を示した。
比較例2
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに同じモル数の4,4’−ビフェノールを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.61を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は312℃、3%重量減少温度は369℃、滴定で求めたIECは2.20、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は208%を示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに同じモル数の4,4’−ビフェノールを使用する以外は実施例4と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.61を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.29S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は312℃、3%重量減少温度は369℃、滴定で求めたIECは2.20、80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は208%を示した。
実施例7
S−DCDPS6.8933g(0.014032mole)、DCBN5.6319g(0.032742mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン7.4918g(0.046774mole)、炭酸カリウム7.4343g(0.05379mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。55mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて4時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーを沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.10を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.16S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は308℃、3%重量減少温度は379℃であった。滴定で求めたIECは1.55を示した。メタノール透過速度は3.8mmol/m2・secを示した。
S−DCDPS6.8933g(0.014032mole)、DCBN5.6319g(0.032742mole)、2,6−ジヒドロキシナフタレン7.4918g(0.046774mole)、炭酸カリウム7.4343g(0.05379mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。55mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて4時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーを沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.10を示した。
ポリマー9gをNMP21mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約450μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.16S/cmの値を示した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は308℃、3%重量減少温度は379℃であった。滴定で求めたIECは1.55を示した。メタノール透過速度は3.8mmol/m2・secを示した。
実施例8
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は7時間)。
ポリマーの対数粘度は0.54を示した。実施例7と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.17S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は289℃、3%重量減少温度は369℃、滴定で求めたIECは1.60を示した。メタノール透過速度は6.9mmol/m2・secを示した。得られたフィルムのIRスペクトルを図3に示す
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに2,7−ジヒドロキシナフタレンを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は7時間)。
ポリマーの対数粘度は0.54を示した。実施例7と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.17S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は289℃、3%重量減少温度は369℃、滴定で求めたIECは1.60を示した。メタノール透過速度は6.9mmol/m2・secを示した。得られたフィルムのIRスペクトルを図3に示す
実施例9
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モルの1,5−ジヒドロキシナフタレンと4,4‘−ビフェノールをあわせて0.046774moleを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.61を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.16S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は290℃、3%重量減少温度は372℃、滴定で求めたIECは1.53を示した。メタノール透過速度は4.1mmol/m2・secを示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モルの1,5−ジヒドロキシナフタレンと4,4‘−ビフェノールをあわせて0.046774moleを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.61を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.16S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は290℃、3%重量減少温度は372℃、滴定で求めたIECは1.53を示した。メタノール透過速度は4.1mmol/m2・secを示した。
実施例10
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モルの1,5−ジヒドロキシナフタレンと2,7−ジヒドロキシナフタレンをあわせて0.046774moleを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.57を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.15S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は294℃、3%重量減少温度は372℃、滴定で求めたIECは1.48を示した。メタノール透過速度は5.0mmol/m2・secを示した。
2,6−ジヒドロキシナフタレンの代わりに等モルの1,5−ジヒドロキシナフタレンと2,7−ジヒドロキシナフタレンをあわせて0.046774moleを使用する以外は実施例7と同様の実験を行った(重合時間は5時間)。
ポリマーの対数粘度は0.57を示した。実施例4と同様にフィルムを作製したところ、本フィルムのイオン伝導性は0.15S/cm、熱重量測定による減量開始温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は294℃、3%重量減少温度は372℃、滴定で求めたIECは1.48を示した。メタノール透過速度は5.0mmol/m2・secを示した。
実施例11
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2ナトリウム塩(略号:S−DFBP)5.0000g(0.01184mole)、DCBN5.2371g(0.03045mole)、2,7−ジヒドロキシナフタレン6.7730g(0.04229mole)、炭酸カリウム6.7211g(0.04863mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。46mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて17時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーをストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.59を示した。実施例1と同様にして得たフィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.14S/cmの値を示した。滴定で求めたIECは1.55を示した。メタノール透過速度は5.3mmol/m2・secを示した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2ナトリウム塩(略号:S−DFBP)5.0000g(0.01184mole)、DCBN5.2371g(0.03045mole)、2,7−ジヒドロキシナフタレン6.7730g(0.04229mole)、炭酸カリウム6.7211g(0.04863mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。46mlのN−メチル−2−ピロリドンを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて17時間反応させた。放冷の後、重合液を水中に注いでポリマーをストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、1日新鮮な水に浸漬後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.59を示した。実施例1と同様にして得たフィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.14S/cmの値を示した。滴定で求めたIECは1.55を示した。メタノール透過速度は5.3mmol/m2・secを示した。
実施例12
3,3’,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン1.500g(5.389×10-3mole)、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウム1.445g(5.389×10-3mole)、ポリリン酸(五酸化リン含量75%)20.48g、五酸化リン16.41gを重合容器に量り取り、窒素を流し、オイルバス上ゆっくり撹拌しながら100℃まで昇温 した後、100℃で1時間、150℃に昇温 して1時間、200℃に昇温 して4時間重合した。重合終了後放冷し、水を加えて重合物を取り出し、家庭用ミキサーを用いてpH試験紙中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマーは80℃で終夜減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は、1.71を示した。本酸性基含有ポリベンズイミダゾールポリマーをTTS100と称する。
実施例6で合成したポリマー4gをN−メチル−2−ピロリドン10gに溶解し、1gのTTS100を10gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液と混合した。得られた混合液は、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.21S/cmの値を示し。本フィルムの熱重量測定による3%重量減少温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は368℃であった。80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は68%を示した。
3,3’,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン1.500g(5.389×10-3mole)、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウム1.445g(5.389×10-3mole)、ポリリン酸(五酸化リン含量75%)20.48g、五酸化リン16.41gを重合容器に量り取り、窒素を流し、オイルバス上ゆっくり撹拌しながら100℃まで昇温 した後、100℃で1時間、150℃に昇温 して1時間、200℃に昇温 して4時間重合した。重合終了後放冷し、水を加えて重合物を取り出し、家庭用ミキサーを用いてpH試験紙中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマーは80℃で終夜減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は、1.71を示した。本酸性基含有ポリベンズイミダゾールポリマーをTTS100と称する。
実施例6で合成したポリマー4gをN−メチル−2−ピロリドン10gに溶解し、1gのTTS100を10gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液と混合した。得られた混合液は、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.21S/cmの値を示し。本フィルムの熱重量測定による3%重量減少温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は368℃であった。80℃の熱水に1時間浸漬した吸水率は68%を示した。
実施例13
実施例8で作製したフィルムを用いて発電評価を実施したところ、100mAの電流密度において0.36Vと、良好な発電特性が得られた。
実施例8で作製したフィルムを用いて発電評価を実施したところ、100mAの電流密度において0.36Vと、良好な発電特性が得られた。
実施例14
上述の膜―電極接合体の作製において、ナフィオン溶液の代わりに、実施例2で合成したポリマーの10%N−メチル−2−ピロリドン溶液を用いて膜―電極接合体を作製した。得られたものは、電極のはがれのない良好な接合体であった。
上述の膜―電極接合体の作製において、ナフィオン溶液の代わりに、実施例2で合成したポリマーの10%N−メチル−2−ピロリドン溶液を用いて膜―電極接合体を作製した。得られたものは、電極のはがれのない良好な接合体であった。
本発明のスルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル系化合物により、イオン伝導性だけでなく耐熱性、加工性および寸法安定性に優れた、高分子電解質材料を提供することができる。これらは、イオン伝導膜として、水素やメタノールを原料として使用する燃料電池や水電解槽に使うことができるが、各種電池用電解質、表示素子、センサー、バインダー類、添加剤などとしても利用することが期待される。
Claims (10)
- スルホン酸基含有量が、0.3〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンエーテル系化合物。
- 請求項1または2のいずれかに記載のポリアリーレンエーテル系化合物を50〜100質量%含むことを特徴とする組成物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の化合物および/または請求項3に記載の組成物を含有することを特徴とするイオン伝導膜。
- 請求項4に記載のイオン伝導膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
- 請求項5に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
- メタノールを燃料として使用することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池。
- 請求項1または2に記載の化合物を含有することを特徴とする接着剤。
- 請求項1または2のいずれかに記載の化合物と、溶剤を含有する溶液を、キャスト厚が10〜1000μmの範囲となるようにキャストする工程と、キャストした溶液を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載のイオン伝導膜の製造方法。
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Legal Events
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20100527 |