JP2008133696A - 基板付き断熱パネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板10の上に断熱材1を接着固定した基板付き断熱パネルAを容易に製造する方法を得る。
【解決手段】支持枠20として、左右の第1の枠材21、21間の間隔cが断熱材1の切り欠き2が沿う方向の左右の2辺間の幅aよりも狭くされた支持枠20を用いる。支持枠20を基板10の上にセットする。断熱材1の裏面に、仮固定用の第1の接着剤30aと本固定用の第2の接着剤30bを塗布する。接着剤を塗布した断熱材1をセットした支持枠20の左右の第1の枠材21、21間に圧入する。仮固定用の第1の接着剤30aが固化した段階で支持枠20を取り外し、その状態で本固定用の第2の接着剤30bの固化と養生を待つ。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば屋根材や床材として用いることのできる基板付き断熱パネルの製造方法に関する。
矩形状の発泡樹脂製断熱材の1枚または1枚以上を基板の上に接着剤により固定した基板付き断熱パネルは知られている。特許文献1にはその一例としての屋根パネルが記載されており、そこにおいて、矩形状に形成された野地板(基板)に対して、複数枚の矩形状の断熱材が両面テープや接着剤により固定されており、該断熱パネルは、断熱材が支持部材として機能する垂木の間に嵌入するようにして屋根面に取り付けられる。垂木や、床構造での根太のように、一定間隔で取り付けられている支持部材の間に断熱材を隙間のない状態で嵌入することは容易でない。そのために、特許文献2には、床用断熱材として、矩形状であり左右の辺に沿う方向に所定深さの2本の切り欠きを形成した断熱材が記載されている。この床用断熱材は、平行する根太等の間に断熱材を嵌め込むときに、該切り欠き部が閉じる方向に変形することにより嵌入が容易となるとともに、嵌入後は切り欠き部が外側に拡開しようとする力が作用して、根太との密着性を向上させている。
特開2005−105532号公報 特開平10−110483号公報
本発明は、前記特許文献2に記載される形態の断熱材を用いて、前記特許文献1に記載される形態の基板付き断熱パネルを製造する方法を開示することを課題とする。
本発明による基板付き断熱パネルを製造する方法は、矩形状であり辺に沿う方向に所定深さの切り欠きを持つ断熱材を基板の上に接着剤により固定してなる基板付き断熱パネルを製造する方法であって、左右の第1の枠材間の間隔が前記断熱材の切り欠きが沿う方向の左右の2辺間の幅よりも狭くされた支持枠を前記基板の上にセットする工程と、前記断熱材における前記基板に固定されるべき領域の一部または全部に接着剤を塗布する工程と、接着剤を塗布した前記断熱材を接着剤塗布面を前記基板側として前記基板にセットした支持枠の左右の第1の枠材間に圧入して圧接する工程と、接着剤の固化後に前記支持枠を除去する工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
基板付き断熱パネルの製造に当たっては、最初に平坦な支持基盤の上に基板を置き、該基板上における断熱材を固定すべき位置に支持枠をセットする。一方において、断熱材における前記基板に固定されるべき領域の一部または全部に接着剤を塗布する。そして、接着剤を塗布した断熱材を接着剤塗布面を基板側として、基板上にセットした支持枠の左右の第1の枠材間に圧入する。圧入時に、断熱材の辺に沿う方向に形成した所定深さの切り欠き部分は閉じる方向に変形することができるので、左右の第1の枠材間への断熱材の圧入は容易となる。
圧入後は、前記切り欠き部には外側に開こうとする力が作用し、断熱材と左右の第1の枠材との間の摩擦力が大きくなる。その摩擦力により、断熱材は支持枠内に安定した状態に保持される。圧入後に上から断熱材を基板に対して押し付けて圧接し、接着剤の固化を待つ。接着剤が固化した後に、支持枠を除去することにより、基板付き断熱パネルは完成する。
上記の製造方法において、接着剤として仮固定用の第1の接着剤と本固定用の第2の接着剤を用い、前記接着剤を塗布する工程において、双方の接着剤を前記接着剤により基板に固定されるべき断熱材の領域の一部または全部に塗布するとともに、第1の接着剤が固化した後であって第2の接着剤が固化する前に、前記支持枠を除去する工程を行うようにすることは、より好ましい態様である。
この場合、前記第1の接着剤には、好ましくは短時間で固化・接着する、例えばポリオレフィン系ローメルト接着剤、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤、またはゴム系の粘着剤等が用いられ、前記第2の接着剤には、固化・接着には長い時間を要するが固化・接着後は強い接着能を発揮しかつ好ましくは耐水性や耐熱性のある、例えばウレタン系またはシリコン系の湿気硬化型接着剤またはエポキシ系2液硬化型接着剤等が用いられる。
この態様の製造方法では、仮接着用の第1の接着剤が固化した時点で支持枠を除去しても、仮固定された断熱材にズレや剥離が生じることはなく、支持枠を除去した状態で、段積みしあるいは包装して長時間の圧締養生する工程に回すことができる。そのために、支持枠の利用サイクルを短縮化することができ、それにより、基板付き断熱パネルの生産効率は大きく向上する。
本発明による基板付き断熱パネルを製造方法において、前記支持枠として前記左右の第1の枠材に交差する方向の第2の枠材をさらに有する支持枠を用いるようにしてもよい。この形態の支持枠を用いることにより、断熱材の3方向の位置決めが容易かつ可能となり、基板上の適切な位置に断熱材を確実に固定することができる。
本発明により製造される基板付き断熱パネルは、一例として、断熱機能を備えた屋根あるいは床用のパネルとして好適に用いることができる。基板としては、合板やLVLのような積層木質材、OSB、MDF等の木質繊維板、無垢木材のような木質系材料、あるいは繊維強化樹脂板のような樹脂系材料を選択的に用いることができ、断熱材としては、硬質発泡プラスチック、好ましくはポリスチレン系発泡体のような材料を選択できる。
本発明によれば、基板付き断熱パネルを容易に製造することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態により説明する。図1は本発明による基板付き断熱パネルAで用いる断熱材1の一例を示す斜視図であり、図2はその断熱材1に接着剤30を塗布した状態を示している。図3は本発明による基板付き断熱パネルAで用いる基板10と支持枠20の一例を示し、図3aは両者をセットする前の状態を、図3bはセット後の状態を示している。図4は本発明による基板付き断熱パネルAの製造方法の一例を工程順に示している。図5は本発明による基板付き断熱パネルの他の形態を示す側面図である。
断熱材1は、この例では硬質発泡プラスチックの一体成形品であり、例えば、発泡性ポリスチレンのような発泡性樹脂粒子を型内発泡成形することにより作られる。断熱材1は、短手方向の幅a、長手方向の幅bの全体として長方形状である。左右の長辺に沿うようにして切り欠き2、2が形成されており、裏面側の両側に位置する底面3は、該切り欠き2により、内側底面部分3aと外側底面部分3bとに区分けされる。この例で、左右の内側底面部分3a、3aの間は凹陥部5とされている。
図4aに短手方向の断面図を示すように、前記内側底面部分3a、3aは上面4側と平行な面となっており、外側底面部分3b、3bは外側上方に向けて僅かに傾斜した面となっている。底面3の前記外側底面部分3b、3bを側方から内側に向けて押圧すると、前記切り欠き2、2が閉じる方向に変形して、外側底面部分3b、3bは内側底面部分3a、3a側に向けて変位することができる。そして、外側底面部分3b、3bの斜め上方に向けた傾斜面は、前記のように内側底面部分3a、3a側に向けて変位したときに、上面4とほぼ平行な面となる。
基板10は合板等で作られており、図3に示すように、この例で、上下方向の長さbは上記断熱材1の長辺方向の幅bとほぼ等しく、左右方向の幅wは断熱材1の短手方向の幅aよりも大きい。
支持枠20は、左右の第1の枠材21、21と、該左右の第1の枠材21、21に直交して両者を連結する第2の枠材25とで構成される。左右の第1の枠材21、21は、角柱22と、該角柱22を被覆する樹脂材料等の表面が滑らかな材料からなる被覆材23とで構成されており、該被覆材23の上方側は内側に傾斜した傾斜面24となっている。第2の枠材25は角材のままであって差し支えない。
左右の第1の枠材21、21は互いに平行であり、図4aに示すように、その内面間の間隔cは断熱材1の短手方向の横幅aよりも僅かに狭い。好ましくは、横幅a−間隔cの値は、断熱材1に形成した前記2つの切り欠き2、2の溝幅を合わせた値と等しいか、それよりも僅かに小さい値である。前記第2の枠材25は第1の枠材21、21の一方端側に偏位した位置に取り付けてあり、その長さは前記間隔cと等しい。
基板付き断熱パネルAを製造するに際しては、最初に、平坦な支持基盤(不図示)の上に基板10を置き、その上に前記支持枠20をセットする。その状態が図3bに示される。通常は、支持枠20は基板10の中央位置にセットされ、そのときに、前記第2の枠材25の内面が基板10の上縁11にほぼ一致するようにする。また、基板10が矩形状の場合には、その左右の側辺12、12と第1の枠材21が平行となるようにしてセットする。
一方において、図2に示すように、断熱材1の前記内側底面部分3a、3aに接着剤30を塗布する作業を行う。接着剤30は1種の接着剤であってもよいが、好ましくは、仮固定用の第1の接着剤30aと本固定用の第2の接着剤30bとを用い、図示のように、領域を分けて双方の接着剤を塗布する。内側底面部分3a、3aの全面に双方の接着剤を区域を分けて塗布してもよく、必要な接着能が得られる場合には、図示のようにその一部の領域のみに塗布するようにしてもよい。
接着剤30を塗布した断熱材1を、図4aに示すように、接着剤30を塗布した面を基板10側として、基板10の上にセットした支持枠20の上に位置させる。そして、断熱材1を支持枠20の第1の枠材21、21と間に圧入する。そのときに、断熱材1の短手方向の一辺を支持枠20の第2の枠材25に衝接した姿勢として圧入する。前記したように、第1の枠材21、21は、表面が滑らかな材料からなる被覆材23で被覆されかつその上方側は傾斜面24となっているので、断熱材1の外側底面部分3b、3bの側面は該傾斜面24に沿って容易に入り込むことができ、圧入は容易である。
圧入の過程で、断熱材1に形成した切り欠き2、2は閉じる方向に変形し、圧入後は、その側面が左右の第1の枠材21、21に圧着した状態となる。それにより、断熱材1の側面と第1の枠材21、21との間の摩擦力は大きくなり、支持枠20内に断熱材1は安定した状態で保持される。圧入後に断熱材1を上からさらに押し付けて、裏面に塗布した接着剤30(30a、30b)と基板10との密着性を確実にする。その状態が図4bに示される。
その状態で、接着剤の固化を待ち、固化した後に支持枠20を取り外す。その状態が、図4cに示される。この例では、短時間で固化する仮固定用の第1の接着剤30aと、固化には時間がかかるが強い接着能を持つ本固定用の第2の接着剤30bとを用いており、第1の接着剤30aが固化した時点で支持枠20を取り外しても、断熱材1が基板10上で不用意に位置ずれをすることはない。支持枠20を除去して図4cの状態となった基板付き断熱パネルAを、例えば段積みしあるいは包装して長時間の圧締養生する工程に回す。仮接着状態で取り外した支持枠20は、次の基板付き断熱パネルAの製造に利用することができ、生産効率は大きく向上する。
なお、図示の例では、断熱材1として長辺に沿うようにして2本の切り欠き2が形成されている例を示したが、切り欠き2は1本でもよく、3本以上であってもよい。また、支持枠20の被覆材23は省略することもできる。その際に、角材22の上方側を傾斜面とすることは好ましい。角材22としては、製材、集成材のような材料を用いることができる。また、上記の説明では、基板10の上に1つの断熱材1を接着固定した形態を示したが、接着固定する断熱材1の個数は任意であり、例えば、図5に示すように、2個の断熱材1、1を平行して基板10に接着固定するようにしてもよい。基板付き断熱パネルAの使用環境に応じて、適宜選択する。
本発明による基板付き断熱パネルで用いる断熱材の一例を示す斜視図。 断熱材に接着剤を塗布した状態の一例を示す斜視図。 本発明による基板付き断熱パネルで用いる基板と支持枠の一例を示す斜視図であり、図3aは両者をセットする前の状態を、図3bはセット後の状態を示している。 本発明による基板付き断熱パネルの製造方法の一例を工程順に示す図。 本発明による基板付き断熱パネルの他の形態を示す側面図。
符号の説明
A…基板付き断熱パネル、1…断熱材、2…切り欠き、3…底面、3a…内側底面部分、3b…外側底面部分、4…上面、5…凹陥部、10…基板、20…支持枠、21、21…左右の第1の枠材、22…角柱、23…被覆材、24…傾斜面、25…第2の枠材、30…接着剤、30a…仮固定用の第1の接着剤、30b…本固定用の第2の接着剤

Claims (4)

  1. 矩形状であり辺に沿う方向に所定深さの切り欠きを持つ断熱材を基板の上に接着剤により固定してなる基板付き断熱パネルを製造する方法であって、
    左右の第1の枠材間の間隔が前記断熱材の切り欠きが沿う方向の左右の2辺間の幅よりも狭くされた支持枠を前記基板の上にセットする工程と、
    前記断熱材における前記基板に固定されるべき領域の一部または全部に接着剤を塗布する工程と、
    接着剤を塗布した前記断熱材を接着剤塗布面を前記基板側として前記基板にセットした支持枠の左右の第1の枠材間に圧入して圧接する工程と、
    接着剤の固化後に前記支持枠を除去する工程と、
    を少なくとも有することを特徴とする基板付き断熱パネルの製造方法。
  2. 接着剤として仮固定用の第1の接着剤と本固定用の第2の接着剤を用い、前記接着剤を塗布する工程において、双方の接着剤を前記接着剤により基板に固定されるべき断熱材の領域の一部または全部に塗布するとともに、第1の接着剤が固化した後であって第2の接着剤が固化する前に、前記支持枠を除去する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の基板付き断熱パネルの製造方法。
  3. 前記第1の接着剤がポリオレフィン系ローメルト接着剤、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤、またはゴム系の粘着剤のいずれかであり、前記第2の接着剤がウレタン系またはシリコン系の湿気硬化型接着剤またはエポキシ系2液硬化型接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の基板付き断熱パネルの製造方法。
  4. 前記支持枠として前記左右の第1の枠材に交差する方向の第2の枠材をさらに有する支持枠を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の基板付き断熱パネルの製造方法。
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