JP2008075330A - 長尺床材の床下地への貼り付け方法および長尺床材 - Google Patents
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Abstract
【課題】過度の接着剤を使用することなく、幅反りが起こらない状態で確実に長尺床材を床下地に貼り付けることのできる長尺床材の床下地への貼り付け方法を得る。
【解決手段】無垢材で構成される長尺床材1の裏面に、一方の長辺2に沿う第1長手方向溝6と他方の長辺4に沿う第2長手方向溝7を形成する。長辺2と第1長手方向溝6の間である第1裏面領域と長辺4と第2長手方向溝7の間である第2裏面領域に、溝6,7を案内として接着剤10を塗布する。それを床下地面に貼り付ける。
【選択図】図2
【解決手段】無垢材で構成される長尺床材1の裏面に、一方の長辺2に沿う第1長手方向溝6と他方の長辺4に沿う第2長手方向溝7を形成する。長辺2と第1長手方向溝6の間である第1裏面領域と長辺4と第2長手方向溝7の間である第2裏面領域に、溝6,7を案内として接着剤10を塗布する。それを床下地面に貼り付ける。
【選択図】図2
Description
本発明は、長尺床材、特に無垢材で構成される長尺床材を床下地へ貼り付ける方法、および該貼り付け方法で用いる長尺床材に関する。
ナラ材やバーチ材などである無垢材で構成される長尺床材は知られている。無垢材からなる床材は、合板を基材とする床材と比較して、含水率の変化による寸法変化が起こりやすく、無視できない幅反りを起こすことがある。幅反りが一因となって、床面(フローリング面)にいわゆる突き上げが発生する場合もある。その対策として、特許文献1や特許文献2には、無垢材で構成される長尺床材の裏面に、床材の長辺方向に深さの深い複数本の凹溝を形成すること等が提案されている。
本発明者は、無垢材で作られる長尺床材の製造とそれを用いたフローリング施工に多く携わってきているが、その過程で、従来提案されている、床材の長辺方向に沿って凹溝を形成した長尺床材を用いてフローリング施工した場合でも、施工後の床面に、前記した突き上げ現象が発生する場合があることを経験した。
理由の1つとして、個々の床材を構成する無垢材の含水率変化に伴う寸法変化率は必ずしも一様でないにもかかわらず、個々の床材裏面には同じ規格に基づいて凹溝が形成されており、フローリング施工する温湿度環境によっては、一部の床材に、施工後に幅反りが生じるのを回避できないことが挙げられる。
床下地に対する床材の接着力を強固にすることによって、床材に生じる幅反りを抑制することかできる。しかし、一部の床材に生じるかもしれない幅反りを抑え込むために、すべての床材を強固に床下地に接着固定することは、接着剤使用量の観点から好ましくない。また、施工時に、施工現場において接着剤の塗布を床下地面あるいは床材裏面に均一に行うことも困難であり、結果として床材裏面と床下地との間の接着力にバラツキが生じ、床材に生じる幅反りを押さえきれない箇所が起こり得る。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、過度の接着剤を使用することなく、すべての長尺床材を幅反りが起こらない状態で確実に床下地に貼り付けることのできる長尺床材の床下地への貼り付け方法と、該貼り付け方法で用いられる長尺床材を提供することを目的とする。
本発明は、無垢材で構成される長尺床材を接着剤を用いて床下地に貼り付ける方法であって、長尺床材として、一方の長辺に沿う第1長手方向溝と他方の長辺に沿う第2長手方向溝とを裏面に形成した床材を用い、該第1長手方向溝と第2長手方向溝に案内として裏面の一部の領域においてほぼ長手方向全長にわたって接着剤を塗布し、該接着剤を塗布した長尺床材を床下地面に貼り付けることを特徴とする。
本発明による方法では、施工現場で長尺床材の貼り付け作業を行う者は、当該長尺床材の裏面に形成された第1と第2の長手方向溝を案内として利用して接着剤を床材の裏面に塗布することができるので、無垢材である長尺床材の一部の領域に長手方向の全長にわたり、容易にかつ均一に接着剤を塗布することができる。それにより過度の接着剤の使用を回避でき、また、長尺床材を全長にわたり均一な接着力で床下地に貼り付けることができる。それにより、従来のように、接着力が不足する箇所で幅反りが生じるように事態が生じるのを回避することができる。
好ましくは、接着剤の塗布は、前記長尺床材の一方の長辺と第1長手方向溝の間である第1裏面領域と他方の長辺と第2長手方向溝の間である第2裏面領域とに対して行う。第1と第2の長手方向溝を案内として接着剤の塗布を行うことができるので、前記第1と第2の裏面領域への塗布は容易であり、かつ均一に塗布することができる。また、この態様では、長尺床材の幅方向の両側縁に沿って全長にわたり均一に接着剤が塗布されるので、長尺床材の裏面全面に接着剤を塗布する場合と比較して、より少ない接着剤量でもって、幅反りが生じるのを確実に抑え込むことができる。
より好ましくは、上記した本発明による貼り付け方法において、無垢材である長尺床材として、前記第1裏面領域と第2裏面領域の面積はほぼ等しく、それぞれが長尺床材の全裏面領域の5%〜20%を占める床材を用いる。これまでの経験から、床材を床下地に接着剤により貼り付けるときに、床材の裏面全面に接着剤を塗布する必要はなく、床材裏面の10%〜40%に相当する面積に接着剤を塗布するだけで、床材を安定的に床下地に貼り付け固定するのに十分な接着力が得られることがわかっている。従って、本発明による上記の方法において、前記した形態の長尺床材を用いることにより、より少ない接着剤の使用量でもって、幅反りが起こらない状態での長尺床材の貼り付け施工を確実に行うことができる。
本発明は、さらに上記した貼り付け方法で用いる無垢材で構成される長尺床材として、裏面に、一方の長辺に沿う第1長手方向溝と他方の長辺に沿う第2長手方向溝とが、一方の長辺から第1長手方向溝までの距離および他方の長辺から第2長手方向溝までの距離が当該長尺床材の裏面の短辺方向の距離のそれぞれ5%〜20%となる位置に形成されていることを特徴とする長尺床材をも開示する。
上記した長尺床材において、床材の長さ、幅、厚さは任意であり、特に制限はないが、実用上の使用の利便性から、長さは300〜2000mmの範囲であり、幅は60〜150mmの範囲であり、厚さは6〜12mmの範囲であることが好ましい。4周にサネ加工が施してあってもよい。一例として、横幅が80mm程度の長尺床材の場合に、一方の長辺から第1長手方向溝までの距離と他方の長辺から第2長手方向溝までの距離は等しく、ともに5〜15mm程度の範囲である。
本発明によれば、より少ない接着材量でもって、かつ容易に、幅反りの発生しない状態で長尺床材を安定的に床下地に貼り付けることができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明による長尺床材の床下地への貼り付け方法で用いる長尺床材の一例を示しており、図1aは表面から見た全体の斜視図、図1bは図1aのb−b線に沿う断面図である。また、図2は長尺床材の裏面に接着剤を塗布した状態を示している。
図示の例において、長尺床材1はナラ材やバーチ材の無垢材で作られており、全長a=約1800mm程度、幅w=約80mm程度、厚さh=約10mm程度である。一方の長辺2に沿って雌実3が全長にわたり形成されており、他方の長辺4に沿って雄実5が全長にわたり形成されている。図示されるように、2つの短辺側にも雌実および雄実が形成されている。なお、このように4周に実加工を施した床材の場合、実形成部を挟んで上部領域と下部領域は僅かにオフセットし、かつ上部領域の幅w1と下部領域の幅wが必ずしも等しくない場合があるが、この明細書で、長尺床材1の幅wというときは、その下部領域側、すなわち裏面側での横幅をいう。
上記長尺床材1の裏面には、一方の長辺2に沿う直線状の第1長手方向溝6と他方の長辺4に沿う直線状の第2長手方向溝7が、長手方向の全長にわたって形成される。図示の例において、一方の長辺2から第1長手方向溝6までの距離s1は約10mm、他方の長辺4と第2長手方向溝7までの距離s2も約10mmであり、双方の溝幅kはともに約3mmである。すなわち、前記距離s1,s2は長尺床材1の前記横幅wのほぼ12〜13%の範囲である。なお、前記距離s1,s2は長尺床材1の前記横幅wのほぼ5〜20%であればよく、この場合、前記距離s1,s2は5〜15mm程度の範囲となる。距離s1と距離s2は等しいことが望ましいが、数mmの範囲であれば異なっていてもよい。
上記の長尺床材1を用いて、フローリング施工を行う。その際に、施工現場で、長尺床材1の裏面に接着剤を塗布し、それを床下地に順次貼り付ける。床下地としては、コンクリートスラブそのもの、コンクリートスラブに捨て貼り合板を貼り付けたもの、発泡樹脂材料のような緩衝材あるいは断熱材を床下地の上に貼り付けたもの、等を挙げることができる。
長尺床材1の裏面に接着剤10を塗布するときに、裏面に形成した第1長手方向溝6と第2長手方向溝7を案内として利用し、裏面の一部の領域に、長尺床材1のほぼ長手方向全長にわたって接着剤10,10を塗布する。より具体的には、例えば、接着剤塗布ガン(図示されない)を用い、上記第1長手方向溝6および第2長手方向溝7に沿うようにして、長尺床材1の長手方向全長にわたって接着剤の塗布を行う。限定されるものではないが、好ましくは、図2に示すように、長尺床材1の一方の長辺2と第1長手方向溝6の間である第1裏面領域と他方の長辺4と第2長手方向溝7の間である第2裏面領域の全面に接着剤10,10を塗布する。図示しないが、必要な接着力が得られることを条件に、接着剤の塗布は断続的な塗布であってもよい。
前記2つの領域に接着剤10を塗布する作業は、第1と第2の長手方向溝6、7を案内として利用することができるので、現場の作業者にとって、塗布作業はきわめて容易であり、かつ迅速に行うことができる。また、接着剤10,10は長尺床材1の両側端領域に確実に塗布されるので、それを床下地に貼り付けたときの床下地に対する接着態様は安定したものとなり(すなわち、長尺床材1の幅方向の両側が全長にわたってしっかりと床下地に接着するので)、含水率の変化等によって長尺床材1に幅反りが発生しようとするのを確実に押さえることができる。結果として、フローリング面に突き上げが発生することもない。
なお、上記の長尺床材1において、前記第1裏面領域と第2裏面領域の面積はほぼ等しく、それぞれが長尺床材1の全裏面領域に占める割合は、ほぼ12〜13%の範囲である。前記したように、前記距離s1,s2を適宜選択し、第1裏面領域と第2裏面領域の面積のそれぞれが長尺床材1の全裏面領域に占める割合を5%〜20%の範囲とすることもできる。前記第1裏面領域と第2裏面領域の面積の大小は、貼り付け後の長尺床材1に幅反りが生じるかどうかを規制する。面積が少なすぎると幅反りが発生してしまい、面積が大きすぎると、接着剤に関してはオーバースペックとなる。実際の施工環境に応じて、前記5%〜20%の範囲から、最適値を設定する。
1…長尺床材、2…一方の長辺、3…雌実、4…他方の長辺、5…雄実、6…第1長手方向溝、7…第2長手方向溝、10…接着剤
Claims (4)
- 無垢材で構成される長尺床材を接着剤を用いて床下地に貼り付ける方法であって、長尺床材として、一方の長辺に沿う第1長手方向溝と他方の長辺に沿う第2長手方向溝とを裏面に形成した床材を用い、該第1長手方向溝と第2長手方向溝を案内として裏面の一部の領域においてほぼ長手方向全長にわたって接着剤を塗布し、該接着剤を塗布した長尺床材を床下地面に貼り付けることを特徴とする長尺床材の床下地への貼り付け方法。
- 前記長尺床材の一方の長辺と第1長手方向溝の間である第1裏面領域と他方の長辺と第2長手方向溝の間である第2裏面領域とに接着剤を塗布し、該接着剤を塗布した長尺床材を床下地面に貼り付けることを特徴とする請求項1に記載の長尺床材の床下地への貼り付け方法。
- 長尺床材として、前記第1裏面領域と第2裏面領域の面積はほぼ等しく、それぞれが長尺床材の全裏面領域の5%〜20%を占める床材を用いることを特徴とする請求項2に記載の長尺床材の床下地への貼り付け方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の貼り付け方法で用いる無垢材で構成される長尺床材であって、裏面に、一方の長辺に沿う第1長手方向溝と他方の長辺に沿う第2長手方向溝とが、一方の長辺から第1長手方向溝までの距離および他方の長辺から第2長手方向溝までの距離が当該長尺床材の裏面の短辺方向の距離のそれぞれ5%〜20%となる位置に形成されていることを特徴とする長尺床材。
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