JP4786064B2 - 粘着テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープ用支持体及び粘着テープに関する。具体的には、梱包用粘着テープや養生用マスキングテープ等の各種粘着テープに用いられる粘着テープ用支持体及び当該粘着テープ用支持体を用いた粘着テープに関し、さらに詳しくは手切れ性がよく、巻戻し性にも優れた粘着テープに適した支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着テープは一般的に、テープ状をしたフィルム基材の片面に粘着剤層が形成され、他面に剥離処理が施された構造をしている。これらの粘着テープは通常ロール状に巻回されて市販されており、使用時には必要な長さ分だけ巻き戻された後、所望する位置(長さ)でテープの幅方向に切断されて被着体に貼付される。従ってこのような粘着テープは、手で容易に切断可能であるのが好ましく、被着体にも十分に接着することが重要なこととなる。
【0003】
粘着テープの手切れ性に関して、支持体に紙を用いた場合には問題を生じることはないが、プラスチック製の支持体を用いた場合には手切れ性が悪く、手切れ性改善のために何らかの工夫が必要となる。この方法として、例えば特許第2694854号公報には、凹凸絞りロールなどを用いて支持体の表面に溝を設けて凹凸を形成した粘着テープが開示されている。当該粘着テープには、支持体の長手方向と直行した0.03〜0.30mmの深さの断面略逆三角形状をした溝が、支持体の長手方向に0.5〜5.0mmの間隔で連続的に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、当該支持体においては、前記溝の間隔(ピッチ)が0.5mm以上であるために、
(1)粘着テープを巻き戻す際に、巻戻し力が大きく振れ、巻戻し時の作業性が悪くなる
(2)手切れ時は溝のところで切断されるために、0.5mm未満の寸法精度で粘着テープを切断することができない
と言った問題点を有していた。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、巻戻し時の作業性を向上させると共に、細かな寸法精度で手切れ性を確保した粘着テープを提供することにある。
【0006】
そこで、本発明者らは鋭意努力した結果、支持体に設ける溝の深さ及び溝の間隔を調整することにより上記問題点を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の粘着テープは、プラスチック製テープ状物の片面に、当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.01mm以上0.03mm以下の第1の溝と当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.03mm以上0.09mm以下の第2の溝が、交互的に、0.10mm以上0.50mm未満の間隔で当該テープ状物の長手方向に備えられ、かつ、
前記テープ状物の前記第1の溝及び前記第2の溝が形成されていない面に、粘着剤層が備えられたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る粘着テープは、支持体の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着テープであって、前記支持体に上記本発明に係る粘着テープ用支持体を用いたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本願第1発明の一実施形態に係る粘着テープ1を示す説明図であって、同図(a)はその背面図、同図(b)はその側面図である。当該粘着テープ1は、本発明に係る粘着テープ用支持体10の片面に粘着剤層20が形成されている。この支持体10はプラスチック製のテープ状物11から作製されており、テープ状物11には、支持体10を手で切断可能にするための深さの異なる第1の溝12及び第2の溝13がテープ状物11の長手方向と直交する方向、すなわち支持体10の幅方向に形成され、テープ状物11の長手方向に多数、ほぼ連続して設けられている。また、図に示す支持体10においては当該第1の溝12及び第2の溝13は、それぞれ断面略逆三角形状に形成されている。
【0014】
テープ状物11の材質としては、公知の粘着テープの支持体に用いられている各種プラスチックであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、セロハンなどが挙げられ、これら1種若しくは2種以上を用いて得られたものが用いられる。さらにこれらからなるテープ状物を積層したものも好適に用いることができる。これらの中でも、生産性やコスト、溝の加工性等を考慮すれば、ポリエチレンをはじめとする各種のポリオレフィン系樹脂製のテープ状物11が望ましく用いられる。当該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリブテンなどのα−オレフィン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体等のα−オレフィン共重合体、あるいはこれらの重合体の混合物等を挙げることができる。なお、これらの樹脂に顔料や充填材、酸化防止剤、滑剤など公知の各種添加剤を用いたテープ状物11を用いることができるのは言うまでもない。また、当該テープ状物11の厚みとしても特に制限されるものではないが、支持体10の厚みとして好適には0.05〜0.18mmとなるように設定される。
【0015】
当該発明の支持体10においては、第1の溝12は深さ(T1)が0.01mm以上0.03mm以下であり、第2の溝13は深さ(T2)が0.03mm以上0.09mm以下に設定され、第1の溝12若しくは第2の溝13が0.10mm以上0.50mm未満の間隔で多数備えられる。ただし、第1の溝12の深さと第2の溝13の深さは異なるものであって、各溝12,13の深さ(T1,T2)が同じ場合は除かれる。
【0016】
これらの第1の溝12及び第2の溝13は、支持体10の長手方向に交互的に設けることができ、例えば図1に示す支持体10においては、溝の深い第2の溝13が2本、支持体10の長手方向に設けられた後に、溝の浅い第1の溝12が1本設けられ、その後溝の深い第2の溝13が2本続けて設けられ、次には溝の浅い第1の溝12が1本設けられるというように、規則的に第1の溝12と第2の溝13が支持体10の長手方向に続けて設けられている。また、2本の第2の溝13の間隔(ピッチΔL)や第2の溝13と第1の溝12との間隔(ピッチΔL)は等しくなっている。
【0017】
このとき、各溝12,13間の間隔は上記範囲内に設定されるが、溝12(13)と溝12(13)との間隔が0.10mmよりも狭い場合には実際の製造が困難であり、0.50mmを越える場合には粘着テープ1の巻戻し力が一定せず、巻戻し作業性が低下する。
【0018】
また、溝の浅い第1の溝12は、0.01mmよりも浅くなったり0.03mmよりも深くなれば巻戻し力の安定性に寄与しなくなり、一方、溝の深い第2の溝13は、0.03mmよりも浅くなれば十分に手切れ性を確保することができなくなり、0.09mmよりも深くなれば支持体10の引っ張り強度が弱くなると考えられる。
【0019】
このように本発明は、深さの異なる溝の浅い第1の溝12と溝の深い第2の溝13とを適宜組み合わせ、上記の間隔範囲内で支持体10の長手方向に連続して設けることにより、支持体10の引っ張り強度及び手切れ性を維持しながら、より細かな寸法間隔で粘着テープ1を切断できるようにしたものである。従って、当該目的を達成するためには、第1の溝12と第2の溝13がそれぞれ単位長さ当たりで適当な混在比となるように設けられ、第1の溝12及び第2の溝13がそれぞれ支持体10の長さ方向において連続して、例えば支持体10の長さ1cm中に溝の浅い第1の溝12のみしか存在しないとか、溝の深い第2の溝13のみしか存在しないというのではなく、規則的若しくは不規則的に1〜複数本の第1の溝12と1〜複数本の第2の溝13とが交互に現われるように設けられる。つまり、本発明において、交互的にとは、必ずしも第1の溝12と第2の溝13とが1本ずつ交互に現われる場合だけではなく、図示したように第2の溝13が2本設けられた後、第1の溝12が1本設けられ、その後第2の溝13が2本設けられ、さらに第1の溝12が1本などとこの繰り返しで設けられたり、あるいは、第2の溝13が3本、第1の溝12が1本、第2の溝13が3本、第1の溝12が2本などとこの繰り返しで設けられるなど、第1の溝12と第2の溝13とが交互して現われることを意味するものである。このとき、溝12,13間の間隔によっても異なるが、好ましくは、第1の溝12及び第2の溝13がそれぞれ多くとも連続して10本程度にはならないように設定するのがよい。
【0020】
本発明において重要なのは、深さの異なる第1の溝12及び第2の溝13を0.5mm未満のピッチで設けることであるが、テープ支持体10の強度及び手切れ性の両者を確保するためには、上記したように、深さの異なる第1の溝12と第2の溝13とを適当な比で混在させることも必要である。この混在比としては、第1の溝12及び第2の溝13の比は1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:3の比で、溝の深い第2の溝13が多くなるようにして、溝の浅い第1の溝12を少なくする、つまり、溝の深い第2の溝13の中に溝の浅い第1の溝12を適宜混在させるようにするのが好ましい。言い換えるならば、上記範囲内の間隔で第2の溝13を連続して形成すると共に、その中の一部の溝13を、規則的若しくは不規則的に溝の浅い第1の溝12で置き換えた構造をしたものである。
【0021】
また、各溝の間隔(ピッチΔL)は上記目的を達成できればよく、上記0.10mm〜0.50mmの間隔であれば任意に設定できるものであるが、手切れ性を考慮すれば、図示するように等間隔にするのが好ましい。
【0022】
さらに、溝12,13の断面形状は、図示した粘着テープ1においては略逆三角形状としているが、当該溝12,13の断面形状も手切れ性を向上できるものであれば特に限定されるものでもなく、これ以外には例えば矩形状や略半円状の溝12,13とすることも可能なものである。これらの第1の溝12や第2の溝13は、例えば絞りロールなどを用いて加工することができる。なお、各溝12,13の溝幅は各溝のピッチ(ΔL)に応じて、適宜定められる。
【0023】
この粘着テープ用支持体10は、従来の粘着テープ用支持体と全く同様にして使用することができるものであり、粘着剤層20を構成する粘着剤も公知のかつ任意のものが使用できる。当該粘着剤として、例えば天然ゴム系や合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系の各種粘着剤やこれらをブレンドして得られた粘着剤を使用できる。また粘着剤の形態についても特に限定されるものでもなく、溶剤系やエマルジョン系、ホットメルトタイプ、固形糊タイプなどが挙げられる。さらにこれらの粘着剤には、使用用途に応じて公知の添加剤、例えば架橋剤や顔料、タッキファイヤー、充填剤、老化防止剤等を添加しても差し支えない。これらの粘着剤の厚さも特に限定はなく、概ね10〜200μm、好ましくは30〜80μmに、公知である例えばキスコーター、グラビアコーター、リバースコーターなどによって塗布形成される。
【0024】
また本発明においては、必要に応じて支持体10の粘着剤層積層面にはコロナ処理やプラズマ処理などの物理的処理、下塗り剤等による化学的処理などの各種アンカー処理を、さらには支持体10の粘着剤層非積層面には易剥離処理を施しても差し支えないものである。なお、粘着剤層20を片面に形成する場合には、投錨性等の観点から粘着剤層20を溝12,13の非形成面に積層するのが好ましい。
【0025】
次に本願第2の発明について説明する。図2は当該発明の一実施形態である粘着テープ支持体10の粘着剤層非形成面を示す平面図である。このテープ支持体10においては、支持体10を手で切断可能にするために、当該テープ状物11の幅方向に一定長さを有する凹部31が連続的に設けられてなる手切れ用溝部30が、テープ状物11の長手方向に多数、ほぼ連続して設けられている。
【0026】
各凹部31のテープ状物幅方向長さaは、幅方向に切断可能な程度に設けられるが、好ましくは、凹部31と凹部31との間隔bよりも長く設定するのがよい。そうでなければ、テープ幅方向まっすぐに手切れできなくなる恐れが強くなる。
【0027】
この場合において、各手切れ用溝部30を構成する凹部31と凹部31との間隔bは、例えば0.01mm以上0.35mm以下に設定される。凹部31と凹部31との間隔bが0.01mm未満では凹部31と凹部31とが連続してしまう。また、0.35mmを越えると、一の手切れ用溝部30上に並ぶ隣合う凹部31が続けて切断されず、隣り合う手切れ用溝部30を構成する凹部31と連続して切断されてしまい、斜め方向にテープ支持体10が切断されやすくなる。この結果、0.50mm未満の間隔でテープ支持体10をまっすぐに切断できなくなってしまう恐れがある。
【0028】
また、各凹部31のテープ支持体10長さ方向の長さ(溝幅)wは、例えば0.01mm以上0.25mm以下であり、好ましくは0.03mm以上0.15mm以下である。溝幅wが0.01mm未満である凹部31の形成は製造上困難であり、0.25mmを越えると0.5mm未満の間隔での手切れ性が悪くなる。
【0029】
当該第2の発明においても、各手切れ用溝部30の間隔(ピッチΔL)は、0.10mm以上0.50mm未満の間隔に設定され、好ましくは0.3mm以上0.4mm以下である。この範囲であれば適宜の間隔で設けることができ、間隔は細かな方がよいが、間隔が0.50mm以上になれば0.50mm未満の寸法精度で切断することができず、また、テープの巻戻し力が安定しない。さらに、製造工程上の問題から、0.10mm未満の間隔には設定できない。すなわち、本願第2の発明では、上記の凹部31をテープ支持体10の幅方向に多数設けて手切れ用溝部30を構成し、当該手切れ用溝部30を0.10mm以上0.50mm未満の間隔でテープ支持体10の長さ方向に設けることによって、テープ強度を維持しつつ、手切れ性の寸法精度や巻戻し力のバラツキを少なくしようとするものである。
【0030】
なお、各凹部31の深さは、手切れ性が発現される深さであれば任意の深さに設定できるが、余りに深いと粘着テープの巻戻し時にテープが切れる、あるいは養生マスキングテープなどの用途に使用された場合、再剥離時にテープが切れる可能性が高くなる。これらのことを考慮すれば、テープ支持体10(テープ状物11)厚さの10%以上70%以下、好ましくは20%以上50%以下に設定される。
【0031】
また、当該発明においては、図2に示すように、一の手切れ用溝部30を構成する各凹部31と凹部31との間の長手方向中心線Mが、当該手切れ用溝部30と隣り合う手切れ用溝部30を構成する各凹部31の長手方向中心線M´上に位置するように備えられる。すなわち、図2に示す如く隣り合う手切れ用溝部30を構成する凹部31同士が互い違いに配置されるように、各手切れ用溝部30がテープ支持体10の長さ方向に設けられる。このように手切れ用溝部30を構成する各凹部31と凹部31との間の長手方向中心線Mと、当該手切れ用溝部30を構成する各凹部31の長手方向中心線M´とを一致させることにより、手切れ性及び巻戻し力の振幅のより小さなものを得ることができる。
【0032】
なお、図2に示すテープ支持体10においては、凹部31は平面視で矩形状に設けられているが、本発明においては、テープ支持体10の幅方向に長軸を有する楕円形状や正方形を含むひし形状、三角形状など、テープ支持体10の幅方向に手切れ性が発現されるものであればその形状は任意に定められるが、各凹部31の長軸方向が手切れ用溝部30とほぼ平行になるように設けるのがよい。従って、三角形状の凹部31の場合には、一つの頂角から対辺に向かう垂線がテープ支持体10の幅方向を向くように設けられる。
【0033】
また、当該発明においても、テープ支持体10の材質やその厚み、使用される粘着剤の材質や粘着剤層の厚みなどは、上記本願第1の発明と同様の材質のものを用いることができる。また、粘着剤層は、手切れ用溝部30の形成面又は非形成面いずれにおいても形成することができるが、巻戻し時の作業性を考慮すれば、手切れ用溝部30の非形成面に粘着剤層を形成するのが好ましい。
【0034】
このように、本願第2の発明においては、幅方向に一定長さを有する凹部31をテープ状物11の幅方向に連続して並べて手切れ用溝部30を構成し、当該手切れ用溝部30を0.10mm以上0.50mm未満の間隔で長手方向に設けることにより、粘着テープの強度を維持しつつ、巻戻し時の振幅幅を少なくして巻戻し時の作業性を良好なものとすることができる。また、0.50mm未満のより細かな寸法精度で手切れ性を確保することができる。
【0035】
【実施例】
次に本発明の実施例である支持体及び粘着テープに基づいて、さらに本発明について詳細に説明する。まず、最初に本願第1の発明について説明する。
【0036】
〔支持体の作製〕
密度:0.92g/cm3のポリエチレン樹脂を用い、190℃にてT型ダイスによる押出し成形によって厚さ0.12mmの溶融シートを得た。当該溶融シートを凹凸絞りロールで押圧したのち冷却固化して、図1に示すように2本の第2の溝と1本の第1の溝とが交互に所程のピッチ(ΔL)となるように、表1に示す深さ(T1,T2)を有する第1の溝と第2の溝を上記溶融シートの片面に形成し、各種粘着テープ用支持体を得た。
【0037】
〔粘着テープの作製〕
こうして得られた幅25mmの粘着テープ用支持体の溝非形成面に、アクリル系粘着剤を40μmの厚さで塗布形成して実施例1〜3及び比較例1〜2の粘着テープを得た後、長さ50mでロール状に巻回した。
【0038】
〔評価試験〕
上記で得た実施例及び比較例の粘着テープを用い、JIS Z−0237に基づいて巻戻し力及び巻戻し力の振幅幅を測定した。なお、巻戻し力の振幅幅は、チャートの最大値と最小値の差から計算した。
また、以下に記載の方法にて手切れ性及び剥離時のテープ強度について官能評価を行った。これらの結果を表1にまとめた。
【0039】
<手切れ性>
23℃の雰囲気下において、粘着テープの長手方向端部を両手の指先で摘まみ(間隔5〜10mm)、その後、粘着テープを幅方向に引裂き、そのときの粘着テープの切断のし易さを評価した。容易に粘着テープを切断することができた場合を「○」で、容易に切断できないとまでは言えない場合を「△」で、容易に粘着テープを切断できなかった場合を「×」で表わした。
【0040】
<剥離時のテープ強度>
23℃の雰囲気下において、粘着テープ(幅25mm)をアルミ板へ貼付した後2時間放置し、その後、粘着テープをアルミ板から素早く引き剥がした。その時の粘着テープの切断の有無を確認した。剥離時に粘着テープの切断がなかった場合を「○」で、剥離時に粘着テープの切断があった場合を「×」で評価した。
【0041】
【表1】
Figure 0004786064
【0042】
表1から分かるように、実施例及び比較例の粘着テープ共に手切れ性はよく、巻戻し力についても大きな違いは見られなかった。しかしながら、溝の深さを同一にした比較例の粘着テープにおいては、溝のピッチを0.5mm未満に設定した場合(比較例2)には巻戻し力の振幅幅は小さいものであったが、テープ強度が弱くすぐに切れてしまう場合があった。また、溝のピッチを広くして1mm程度に設定した場合(比較例1)にはテープ強度が比較的強く巻戻し時に切断されることはなかったが、巻戻し力の振幅幅が大きなものであった。
【0043】
この点、実施例の各粘着テープにおいては、巻戻し力の振幅幅も小さく、テープ強度も十分なものであった。このように、本発明によれば良好な手切れ性を確保しながら巻戻し力のバラツキの小さなものを得ることができた。
【0044】
次に本願第2の発明について説明する。
〔支持体及び粘着テープの作製〕
上記のポリエチレン樹脂を用い、表2に示す大きさの平面視矩形状をした凹部から構成される手切れ用溝部を、図2に示す如く設けてテープ用支持体(厚み20μm)を作製した。こうして得られた幅25mmの粘着テープ用支持体の手切れ用溝部非形成面に、アクリル系粘着剤を40μmの厚さで塗布形成して実施例4〜7及び比較例3〜4の粘着テープを得た後、長さ50mでロール状に巻回した。
【0045】
〔評価試験〕
上記で得た実施例4〜7及び比較例3〜4の粘着テープについて、巻戻し力の振幅幅、手切れ性及び剥離時のテープ強度について評価し、その結果を表2にまとめた。
【0046】
【表2】
Figure 0004786064
【0047】
表2から分かるように、本願第2の発明においても、実施例及び比較例の各粘着テープは巻戻し力がいずれの場合においても小さいが、手切れ用溝部の間隔を0.5mm以上にすることにより巻戻し力の振幅幅が大きくなった(比較例3)。また、単純な線状の溝から手切れ用溝部を構成した場合には(比較例4)、テープ強度が小さくなり剥離時に簡単に切断されてしまった。この点、各凹部の長手方向長さを大きくした場合には、やや手切れ性が悪くなる場合があったが(実施例7)、実際の使用上は問題がほとんどなく、各凹部の幅を0.25mm以下に設定した場合には巻戻し力の振幅幅も小さく、良好な手切れ性、強度を担保することができた。
【0048】
【発明の効果】
本願第1の発明に係る粘着テープ用支持体は、プラスチック製のテープ状物の片面に、当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.01mm以上0.03mm以下の第1の溝と当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.03mm以上0.09mm以下の第2の溝が、交互的に、0.10mm以上0.50mm未満の間隔で当該テープ状物の長手方向に備えられたことを特徴としている。このため、当該支持体を用いることによって、テープ強度を維持した状態で、巻戻し力のバラツキが少なく、より細かな寸法精度で手で切断することのできる粘着テープを得ることができる。
【0050】
この結果、本発明によれば、巻戻し時の作業性が向上し、しかも細かな寸法精度でもって確実に手で切断でき、より一層使い勝手のよい粘着テープを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1発明の一実施の形態に係る粘着テープを示す説明図であって、同図(a)はその背面図、同図(b)はその側面図である。
【図2】本願第2発明の一実施の形態に係るテープ支持体の粘着剤層形成面を示す平面図である。
【符号の説明】
1 粘着テープ
10 支持体
11 テープ状物
12 溝の浅い第1の溝
13 溝の深い第2の溝
20 粘着剤層
30 手切れ用溝部
31 手切れ用溝部を構成する凹部

Claims (2)

  1. プラスチック製テープ状物の片面に、当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.01mm以上0.03mm以下の第1の溝と当該テープ状物の全幅に渡って設けられた深さ0.03mm以上0.09mm以下の第2の溝が、交互的に、0.10mm以上0.50mm未満の間隔で当該テープ状物の長手方向に備えられ、かつ、
    前記テープ状物の前記第1の溝及び前記第2の溝が形成されていない面に、粘着剤層が備えられたことを特徴とする粘着テープ。
  2. 前記テープ状物は、ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
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