JP7148684B2 - クロスコーナ仕上げ材 - Google Patents

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Description

本発明は、クロスコーナ仕上げ材に関するものであり、詳細には、建築物の内壁の出隅部又は入隅部の角部の施工に用いるクロスコーナ仕上げ材に関するものである。
従来、建築物の内壁の施工において、石膏ボードや合板等の下地材によって構成される壁下地の表面に壁紙や布クロス、ビニールクロス等の装飾用壁紙クロスを貼り付けることが一般的である。この際、内壁の出隅部や入隅部といった角部である下地材の接合部には、下地材の寸法誤差や取り付け誤差等により隙間や段差が生じることがある。内壁を美麗に仕上げるためには、隙間や段差のない平滑な表面としてから装飾用壁紙クロスを貼り付ける必要がある。壁下地の角部の表面を平滑にするために、壁下地の角部に取り付けるコーナ材等が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。壁下地の角部にコーナ材を取り付け、壁下地及びコーナ材の表面にパテ等を塗布して表面を平滑にした後、装飾用壁紙クロスを貼り付ける。
従来のクロスコーナ仕上げ材について、図3を用いて説明する。図3に示すように、従来のクロスコーナ仕上げ材101は、2枚の壁板50A、50Bを突き合わせた角部51に沿う断面L字型の長尺部材であり、装飾用壁紙クロスの添設面102側(出隅側にあってはL字型の外壁面側)に該長尺部材の長さ方向に沿って複数の凹溝104が形成されたものである。凹溝104は、クロスコーナ仕上げ材101の装飾用壁紙クロスの添設面102にパテ材を塗布する際に、クロスコーナ仕上げ材101の表面へのパテ材の食い付きをよくし、均一な塗布面を形成させる目的で多数本形成される。
特開2005-320793号公報 特開2013-163948号公報 特開2017-2572号公報
しかし、壁下地とコーナ材の表面にパテ材を塗布して表面を平滑にするには高い技能が必要であるにもかかわらず、昨今、内壁施工業の人材の定着率が低下しており、パテ材塗布の技能を身につけている職人の数が減少している。そのため、壁下地とコーナ材の表面を十分に平滑にすることが難しく、建築物の内壁を美麗に仕上げることが困難となっている。
パテ材塗布の技能が不十分であれば、壁下地とコーナ材の表面に塗布するパテ材の量が多くなり、パテ材が厚塗りとなってしまい、パテ材の消費量が増加する。パテ材が厚塗りとなっていると、パテ材が乾燥して硬化するまでに時間がかかるため、未硬化のパテ材が下方へ垂れ落ち、パテ材を塗布した表面に凹凸が生じる。これを解消するために、パテ材を塗布した表面をならす作業が必要となり、作業に時間がかかったり手間が増したりする。
従来のクロスコーナ仕上げ材101では、長尺部材の長さ方向に沿った複数の凹溝104を形成することにより、クロスコーナ仕上げ材101の表面へのパテ材の食い付きをよくしてパテ材の均一な塗布面を形成させる効果は有しているが、パテ材塗布の技能が十分
でない者では、パテ材を薄く塗布し、表面を平滑にすることは困難である。そのため、パテ材が厚塗りとなるため、パテ材の乾燥に時間がかかり、装飾用壁紙クロスを表面に貼り付ける作業にすぐに移れず、建築物の内壁の施工全体の作業時間が長くなってしまう。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面へパテ材を平滑に塗布することが簡単に行え、パテの消費量を減らすことができ、施工の作業性を向上するクロスコーナ仕上げ材を提供することにある。
前記課題を解決することができたクロスコーナ仕上げ材は、建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付される高さ方向のクロスコーナ仕上げ材であって、コーナの角部に沿う断面L字型の長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝を該長尺部材の幅方向に複数形成したことを特徴とするものである。本発明のクロスコーナ仕上げ材は、このような構成とすることにより、表面にパテ材を平滑に塗布することが簡単となる。
本発明のクロスコーナ仕上げ材において、凹溝は、直線状、波線状、ギザギザ状、破線状のいずれかであることが好ましい。凹溝の幅は、0.2mm以上0.8mm以下で形成されていることが好ましい。凹溝の深さは、0.1mm以上0.3mm以下で形成されていることが好ましい。凹溝は、長尺の長さ方向に0.2mm以上1.0mm以下のピッチで形成されていることが好ましい。
本発明のクロスコーナ仕上げ材は、長尺部材の長さ方向にも複数の凹溝を形成したものであることが好ましい。
本発明のクロスコーナ仕上げ材は、建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付される高さ方向のクロスコーナ仕上げ材であって、コーナの角部に沿う断面L字型の長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝を該長尺部材の幅方向に複数形成したことを特徴とする。このような構成であることにより、パテ材の垂れ落ちを抑制できるので、パテ材の塗布面を平滑外面にすることが簡単に行えるようになる。また、パテ材を薄く塗ることができるため、パテ材の消費量を低減することができ、パテ材の乾燥時間を短縮できることにより施工全体の作業性を向上できる。
本発明の実施の形態におけるクロスコーナ仕上げ材の斜視図を表す。 本発明の実施の形態におけるクロスコーナ仕上げ材の断面図を表す。 従来のクロスコーナ仕上げ材の斜視図を表す。
以下、本発明に係るクロスコーナ仕上げ材に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明において、クロスコーナ仕上げ材は、建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付される高さ方向のクロスコーナ仕上げ材であって、コーナの角部に沿う断面L字型の長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝を該長尺部材の幅方向に複数形成したものであることを特徴と
するものである。
本発明において、出側コーナとは、建造物の室内において壁を構成する下地材が2つ出合ってできる凸部のことであり、出隅を意味する。入側コーナとは、建造物の室内において壁を構成する下地材が2つ入り合ってできる凹部のことであり、入隅を意味する。また、高さ方向とは、建造物の室内において床から天井に向かう方向に相当する。
図1~図2に示すように、本発明の実施の形態におけるクロスコーナ仕上げ材1とは、建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付されるものであって、コーナの角部51に沿う断面L字型の長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面2側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝4aを該長尺部材の幅方向に複数形成したものである。なお、図1において、L1の方向が長尺部材の長さ方向に相当し、L2及びL3の方向が長尺部材の幅方向に相当する。また、長尺部材の長さ方向は高さ方向と等しい。
クロスコーナ仕上げ材1をコーナの角部51へ貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、パテ材、接着剤、テープ、両面テープ等を用いてクロスコーナ仕上げ材1のコーナ貼付面3をコーナの角部51へ貼付することができる。中でも、両面テープを用いることが好ましい。このような貼付方法とすることにより、角部51へのクロスコーナ仕上げ材1貼り付け作業が行いやすくなる。
クロスコーナ仕上げ材1は、第1平板部10と第2平板部20と、これらを連続させる折曲部30を有する。
第1平板部10の幅L2は、第2平板部20の幅L3と同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じ長さであることが好ましい。第1平板部10の幅L2と第2平板部20の幅L3が同じであれば、クロスコーナ仕上げ材1全体の角部51への接合強度を均一とすることができる。
幅L2、L3は特に限定されず、クロスコーナ仕上げ材1を貼り付けるコーナの角部51の状態に応じた幅L2、L3にする等、適宜選択することができる。例えば、幅L2、L3は、15mm以上であることが好ましく、17mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることがさらに好ましい。幅L2、L3の下限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1をコーナの角部51へ貼付した際の接合力を十分なものとすることができる。また、幅L2、L3は、50mm以下であることが好ましく、45mm以下であることがより好ましく、40mm以下であることがさらに好ましい。幅L2、L3の上限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1を軽量にすることができる。
クロスコーナ仕上げ材1の折曲部30の角度R1は、コーナの角部51に沿う角度であればよく、特に限定されないが、クロスコーナ仕上げ材1はコーナの角部51に沿う断面L字型の薄板であるから、例えば、出側コーナに押圧したときには素材の弾力性を利用して若干拡開させることが好ましいため、90度を若干下回る角度であることが好ましく、87度以上89度以下が推奨される。一方、入側コーナに適用するときには90度を若干上回る角度、例えば91度以上93度以下が推奨される。
クロスコーナ仕上げ材1の厚みは、全体を通して一定の厚みであってもよく、部分的に厚みの薄い部分があってもよい。例えば、出隅コーナに適用する場合は、図2において丸で囲んで示すように、クロスコーナ仕上げ材1の外面側先端部分に鋭角状のエッジを形成しておけば、壁紙やクロスを滑らかな外観で貼付することができる。或いは、クロスコー
ナ仕上げ材1の折曲部30の厚みを最も厚く、折曲部30から離れて先端部に近づくほど少しずつ厚みが薄くなっているようなテーパ形状であってもよい。クロスコーナ仕上げ材1の厚みがこのようになっていることにより、クロスコーナ仕上げ材1とコーナの角部51の境界に段差がないようにパテ材を平滑に塗りやすくなり、且つ装飾用壁紙クロスを段差なく美麗に貼り付けることができる。
クロスコーナ仕上げ材1の厚みは特に限定されないが、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることがさらに好ましい。クロスコーナ仕上げ材1の厚みの下限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1の強度を十分なものとすることができる。また、クロスコーナ仕上げ材1の厚みは、1.0mm以下であることが好ましく、0.9mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましい。クロスコーナ仕上げ材1の厚みの上限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1をコーナの角部51に貼り付けた際に、クロスコーナ仕上げ材1の装飾用壁紙クロスの添設面2と角部51との間にできる段差を小さいものとすることができ、装飾用壁紙クロスを美麗に段差なく貼ることができる。
クロスコーナ仕上げ材1の高さ方向の長さL1は、特に限定されず、クロスコーナ仕上げ材1を貼付する場所の床から天井までの高さに合わせた長さL1にする等、適宜選択すればよい。例えば、クロスコーナ仕上げ材1の高さ方向の長さL1は、1800mm以上であることが好ましく、2000mm以上であることがより好ましく、2200mm以上であることがさらに好ましい。クロスコーナ仕上げ材1の高さ方向の長さL1の下限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1を扱いやすい大きさとすることができる。なお、クロスコーナ仕上げ材1の高さ方向の長さL1を短めに作製しておき、作業現場に応じて高さ方向に継ぎ足して適用できるようにしてもよい。
クロスコーナ仕上げ材1の素材は特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、アルミニウム等の金属が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂であることが好ましい。クロスコーナ仕上げ材1の素材が熱可塑性樹脂であることにより、クロスコーナ仕上げ材1の製造が容易となる。さらに好ましくは塩化ビニル樹脂であり、クロスコーナ仕上げ材1の素材が塩化ビニル樹脂であることにより、強度に優れ、難燃性を持つクロスコーナ仕上げ材1とすることができる。
凹溝4aは、パテ材の溜まり空間となるものである。コーナの角部51及びクロスコーナ仕上げ材1に装飾用壁紙クロスを貼付するために、コーナの角部51及びクロスコーナ仕上げ材1の装飾用壁紙クロスの添設面2の表面にパテ材を塗布する。この際、装飾用壁紙クロスの添設面2に複数設けられている凹溝4aの凹部空間にパテ材が入り込み、凹溝4aにパテ材が留まる。このことによって、パテ材が下方へ流れることを防ぎ、パテ材の塗布作業性が向上すると共に、塗布面が美麗に仕上げられる。また、パテ材を薄く塗ることができるため、パテ材の消費量を減らすことも可能となり、その結果、パテ材の乾燥時間を短縮することができ、作業性がよくなる。
クロスコーナ仕上げ材1の表面に塗布するパテ材の種類は特に限定されない。例えば、ヤヨイ化学工業株式会社製の「ワイドスーパー」(品番:276-211)、ウォールボンド工業株式会社製の「ウォールパテS 120」、極東産機株式会社製の「Hiスムーズスーパー 60」(品番:12-8705)等が挙げられる。
凹溝4aは、長尺部材の幅方向に複数形成されている。すなわち、クロスコーナ仕上げ材1の幅方向に沿って、第1平板部10及び第2平板部20の装飾用壁紙クロスの添設面
2に凹溝4aが複数形成されている。
複数の凹溝4aの形状は全て同じであってもよく、異なっていてもよい。凹溝4aの形状は特に限定されず、例えば、直線状、波の形にうねった線である波線状、ジグザグに折れ曲がった線であるギザギザ状、破線状等が挙げられる。中でも、凹溝4aは直線状であることが好ましい。凹溝4aがこのような形状であることにより、パテ材をクロスコーナ仕上げ材1の表面に薄く塗布することができ、パテ材の消費量を減らすことができる。
複数の凹溝4aの幅は全て同じであってもよく、異なっていてもよい。凹溝4aの幅は特に限定されないが、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。凹溝4aの幅の下限値をこのように設定することにより、凹溝4aにパテ材が入り込みやすくなる。また、凹溝4aの幅は、0.8mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく0.6mm以下であることがさらに好ましい。凹溝4aの幅の上限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1の表面に塗るパテ材の量を低減することができる。
複数の凹溝4aの深さは全て同じであってもよく、異なっていてもよい。凹溝4aの深さは特に限定されないが、0.1mm以上であることが好ましく、0.15mm以上であることがより好ましい。凹溝4aの深さの下限値をこのように設定することにより、凹溝4aの内部にパテ材を留まらせることができる。また、凹溝4aの深さは、0.3mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがより好ましい。凹溝4aの深さの上限値をこのように設定することにより、第1平板部10及び第2平板部20の強度を十分に保つことができる。
複数の凹溝4aのピッチは全て同じであってもよく、異なっていてもよい。複数の凹溝4aの形成されるピッチは特に限定されないが、長尺部材の長さ方向に0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。凹溝4aのピッチの下限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1の表面にパテ材を平滑に塗りやすくなる。また、複数の凹溝4aの形成されるピッチは、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましく、0.6mm以下であることがさらに好ましい。凹溝4aのピッチの上限値をこのように設定することにより、パテ材が凹溝4aの内部に溜まり、クロスコーナ仕上げ材1の表面に塗布するパテ材の使用量を減らすことができる。
クロスコーナ仕上げ材1は、上記凹溝4aの他に、従来のクロスコーナ仕上げ材101と同じように、長尺部材の長さ方向にも凹溝4bを複数形成することができる。幅方向の凹溝4aはパテ材の垂れ落ちを防ぐ効果が顕著であるが、幅方向の凹溝4aに加えて、長さ方向の凹溝4bが設けられていれば、パテ材の食い付きが一層よくなるため、塗装後の表面が均一且つ滑らかとなる。
凹溝4bは、凹溝4aと同じくパテ材の溜まり空間となるものである。クロスコーナ仕上げ材1の装飾用壁紙クロスの添設面2の表面にパテ材を塗布する際、装飾用壁紙クロスの添設面2に複数設けられている凹溝4bの凹部空間にパテ材が入り込み、凹溝4bにパテ材が留まる。凹溝4bにパテ材が溜まることによって、クロスコーナ仕上げ材1の表面とパテ材が接する面積を大きくすることができ、クロスコーナ仕上げ材1の表面へのパテ材の接着性を高めることが可能となる。
クロスコーナ仕上げ材1は、従来のクロスコーナ仕上げ材101と同じように、穴5を有していてもよい。穴5は、クロスコーナ仕上げ材1の厚み方向に貫通している貫通穴で
あることが好ましいが、窪みであり貫通していない穴であってもよい。従来のクロスコーナ仕上げ材101は、穴105を有することにより、穴105の中にパテ材が入り込み、パテ材の食い付きをよくして、パテ材の均一な塗布面を形成させるという効果を有している。本発明のクロスコーナ仕上げ材1は、幅方向の凹溝4aを有することにより、十分なパテ材の食い付き性があるため、穴5を有していなくても従来のクロスコーナ仕上げ材101よりも効果が劣ることはない。しかし、幅方向の凹溝4aに加えて、穴5を形成しておけば、パテ材の食い付きをさらによくすることができるため、クロスコーナ仕上げ材1に穴5を設けていてもよい。
穴5の数は特に限定されないが、複数であることが好ましい。クロスコーナ仕上げ材1に穴5が複数設けられていることにより、凹溝4aの効果である、パテ材が下方へ流れることを防止する効果をより高めることができる。
穴5の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形、その他任意のデザイン模様とすることもできる。円形又は横長の楕円形であることが特に好ましい。穴5の形状がこのようになっていることにより、パテ材を垂れ落ちにくくする効果を高めることができる。穴5が複数である場合は、穴5の形状は全て同じであってもよく、異なっていてもよい。
穴5の大きさは特に限定されないが、穴5の長軸方向の長さが2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。穴5の大きさの上限値をこのように設定することにより、パテ材が穴5の内腔に入り込みやすくなる。また、穴5の大きさは、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましい。穴5の大きさの下限値をこのように設定することにより、穴5の内腔に入ったパテ材を十分に留めることができる。
クロスコーナ仕上げ材1が穴5を複数有する場合、隣り合う穴5の中心間距離は特に限定されないが、穴5の大きさの1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.4倍以上であることがさらに好ましい。隣り合う穴5の中心間距離の下限値をこのように設定することにより、クロスコーナ仕上げ材1の強度を十分なものとすることができる。また、隣り合う穴5の中心間距離は、穴5の大きさの5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。隣り合う穴5の中心間距離の上限値をこのように設定することにより、パテ材が下方へ流れることをより防ぐことができる。
本発明の実施の形態におけるクロスコーナ仕上げ材1の製造方法の例としては、次のような方法が挙げられる。この製造方法の例では、幅方向の凹溝4a、長さ方向の凹溝4b、穴5の全てを有するクロスコーナ仕上げ材1を製造することができる。まず、押出成形にて断面L字型の長尺部材を成形する。押出成形金型の長尺部材の表面となる部分に凹凸を付けておくことにより、長さ方向の凹溝4bを有する長尺部材を形成することができる。押出成形の直後、又は暫時の後、長尺部材を加熱し、パンチングによって穴5を形成する。最後に、表面に凹凸のあるローラに熱を加え、長尺部材の第1平板部10に押し付けて、幅方向の凹溝4aを形成する。長尺部材の第2平板部20についても同様にして、幅方向の凹溝4aを形成する。
以上のように、本発明のクロスコーナ仕上げ材は、建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付される高さ方向のクロスコーナ仕上げ材であって、コーナの角部に沿う断面L字型の長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝を該長尺部材の幅方向に複数形成したものであることを
特徴とする。このような構成であることにより、パテ材を塗布して表面を平滑にすることが簡単に行えるようになり、また、パテ材の垂れ落ちも防止することができ、塗布表面が美麗且つ平滑になり、パテ材の消費量を低減することができる。さらに、パテ材を薄く塗布できることによってパテ材の乾燥が早くなり、作業性も向上する。
1:クロスコーナ仕上げ材
2:装飾用壁紙クロスの添設面
3:コーナの貼付面
4a:幅方向の凹溝
4b:長さ方向の凹溝
5:穴
10:第1平板部
20:第2平板部
30:折曲部
L1:クロスコーナ仕上げ材の高さ方向の長さ
L2:第1平板部の幅
L3:第2平板部の幅
R1:折曲部の角度
50A:一方の壁板
50B:他方の壁板
51:コーナの角部
101:クロスコーナ仕上げ材
102:クロス添設面
104:凹溝
105:穴
110:第1平板部
120:第2平板部
130:折曲部

Claims (4)

  1. 建造物の室内の出側コーナ又は入側コーナの下地処理部材として貼付される高さ方向のクロスコーナ仕上げ材であって、
    コーナの角部に沿う長尺部材であり、少なくとも装飾用壁紙クロスの添設面側に、パテ材の溜まり空間となる凹溝を該長尺部材の幅方向に複数形成したものであり、
    前記凹溝の幅は、0.3mm以上0.8mm以下で形成されており、
    前記凹溝の深さは、0.15mm以上0.3mm以下で形成されており、
    前記クロスコーナ仕上げ材は、前記長尺部材の長さ方向にも複数の凹溝を形成したものであることを特徴とするクロスコーナ仕上げ材。
  2. 前記凹溝は、直線状、波線状、ギザギザ状、破線状のいずれかである請求項1に記載のクロスコーナ仕上げ材。
  3. 前記長尺部材の外面側の幅方向における先端部分に、コーナの貼付面側には鋭角、装飾用壁紙クロスの添設面側には鈍角のエッジが形成されている請求項1または2に記載のクロスコーナ仕上げ材。
  4. 前記凹溝は、該長尺部材の長さ方向に0.2mm以上1.0mm以下のピッチで形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のクロスコーナ仕上げ材。
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