JP2008106205A - ゴム組成物 - Google Patents

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JP2008106205A JP2006292903A JP2006292903A JP2008106205A JP 2008106205 A JP2008106205 A JP 2008106205A JP 2006292903 A JP2006292903 A JP 2006292903A JP 2006292903 A JP2006292903 A JP 2006292903A JP 2008106205 A JP2008106205 A JP 2008106205A
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重輝 王
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、機械物理性能(耐摩耗性、引張強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化及び耐光老化性)および加工性能が改善されたコム組成物を提供する。
【解決手段】 親水性シリカを(A)アミノアルキルシラン化合物で処理し、さらに(B)(a)炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖の飽和又は不飽和の1価のカルボン酸化合物、(b)アルキルケテンダイマーから選ばれた1種以上を含む疎水化剤と反応させて得られる疎水性シリカを含有することを特徴とするゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、疎水性シリカを含有するゴム組成物に関する。
一般にタイヤ、ベルトのようなゴム製品にはシリカ(ホワイトカーボン)あるいはシリカとカーボンブラックが配合されている。使用されるシリカは、通常、親水性があるためにシランカップリング剤を使用して疎水化して配合される。例えば、自動車用タイヤでは、シリカ(ホワイトカーボン)あるいはシリカとカーボンブラックを配合することにより、タイヤの運動安定性の向上(例えばウエット路面での制動性能の向上と転がり抵抗の低減)、低燃費が得られる。また、ベルトなどゴム製品にシリカとカーボンブラックを配合することによって、カーボンブラックのみの配合に比べて、ゴムの引裂強さ、断裂永久歪、Akron摩耗性など機械物理性能を向上や耐老化性向上(耐熱老化及び耐光老化性)向上することができる。
そこで、シリカの改質とこれを配合したゴム製品の性能向上について、種々の検討と提案が行われてきた。例えば、天然ゴムを含むゴム組成物にシランカップリング剤で処理した親水性シリカとステアリン酸金属塩を添加して天然ゴムの強度と耐摩耗性を向上させる方法(例えば特許文献1〜5参照)、ゴムの部分的強度補強をゾルーゲル法による親水性シリカの均一分散方法(例えば特許文献6、7参照)、エポキシ化天然ゴムと炭素数1〜8のイソモノオレフィンとp−アルキルスチレンとの共重合体によるゴムの耐リバージョン性向上及び耐熱老化向上(例えば特許文献8参照)等がある。しかし、親水性シリカは凝集しやすいうえに粘性が高いためにゴムへの均一分散は非常に難しい。また、親水性シリカを疎水化して使用する方法でも未だに満足しうる機械物理性能を向上や耐老化性向上(耐熱老化及び耐光老化性)向上は得られていない。
特開2000−72434号公報 特開2003−183017号公報 特表2005−500420号公報 特開2005−263956号公報 特開2005−272508号公報 特許第3408373号公報 特許第3593404号公報 特開2001−233995号公報
本発明の目的は、機械物理性能(耐摩耗性、引張強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化、耐光老化性及び耐オゾン性)および加工性能が改善されたコム組成物を提供することにある。
本発明者らは、ゴム組成物の機械物理性能(耐摩耗性、引っ張り強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化及び耐光老化性)および加工性能が改善されたゴム組成物に関して鋭意検討を重ねた結果、親水性シリカを特定のアミノアルキルシラン化合物及び特定の疎水化剤により疎水化された疎水性シリカをゴムに配合することで、ゴム組成物の機械物理性能(耐摩耗性、引張強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化、耐光老化性及び耐オゾン性)および加工性能が改善されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、請求項1に係る発明は、親水性シリカを(A)一般式(1)(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜5の整数である。)で表されるアミノアルキルシラン化合物で処理し、さらに(B)(a)炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖の飽和又は不飽和の1価のカルボン酸化合物、(b)一般式(2)(式中、R、Rは共に炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基、炭素数7〜28のアルキルフェニル基である。)で表されるアルキルケテンダイマーから選ばれた1種以上を含む疎水化剤と反応させて得られる疎水性シリカを含有することを特徴とするゴム組成物である。
Figure 2008106205
Figure 2008106205
請求項2に係る発明は、請求項1記載のゴム組成物であり、ゴムが、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロプレンジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム(ネオプレンゴム)、ブチルゴム(イソプレン−イソブチレンゴム)、フッ素ゴムから選ばれる1種以上であることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のゴム組成物であり、アミノアルキルシラン化合物が3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランから選ばれた1種以上であることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のゴム組成物であり、疎水化剤がデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、デカン酸塩化物、ドデカン酸塩化物、ステアリン酸塩化物、ヤシアルキル(炭素数10〜12)ケテンダイマー、硬化牛脂アルキル(炭素数14〜18)ケテンダイマー(AKD)の1種以上であることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のゴム組成物であり、疎水性シリカをゴム100重量部に対して5〜100重量部を添加することを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のゴム組成物であり、親水性シリカと疎水性シリカを20:80〜50:50で併用することを特徴としている。
本発明のゴム組成物により、機械物理性能(耐摩耗性、引っ張り強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化、耐光老化性及び耐オゾン性)および加工性能が改善され、一般のタイヤ、ベルトなどゴム製品の品質向上に大きく寄与することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、親水性シリカを(A)アミノアルキルシラン化合物と反応させて、親水性シリカ表面に反応性のアミノ基を有するアミノアルキルシラン基を導入した後、さらに当該アミノ基と、(B)疎水化剤と反応させて得られた疎水性シリカを配合したゴム組成物である。
本発明のゴム組成物に用いるゴム(以下「ゴム」とする)は、ゴム弾性を有する伸縮性に優れた有機系高分子化合物であり、天然ゴム及びその誘導体並びに合成ゴムがある。天然ゴムの誘導体としてはエポキシ化天然ゴムがあり、合成ゴムとしてはブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロプレンジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム(ネオプレンゴム)、ブチルゴム(イソプレン−イソブチレンゴム)、フッ素ゴム、フッ化ビニリデン−パーフルオロプロペンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(ハイバロンゴム)などがあり、好適には天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロプレンジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム(ネオプレンゴム)、ブチルゴム(イソプレン−イソブチレンゴム)、フッ素ゴム、より好適には天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよびエチレン−プロプレンジエンゴムである。これらのゴムを単独あるいは2種以上の組み合わせて用いるゴム配合物である。さらに加硫処理が可能なゴム単独物あるいは配合物であり、加硫処理したゴム単独物あるいはゴム配合物も包含される。
本発明のゴム組成物(以下「ゴム組成物」とする)は、本発明で用いる疎水性シリカと前述のゴム配合物を含むゴム組成物である。ゴム組成物の用途としては、自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品があり、具体的には製品輸送車両(自動車、自転車など)タイヤ用のキャップ、ベルト、インナーライラー、カーカス及びタイヤトレッド、産業用ベルト(モータ用ベルトなど)、輸送車両窓枠用ゴム、ケーブルや電線の被覆用ゴム、産業用ゴムホース、パイプ、タンク、フランジ、トレイ、防振ゴム等がある。
本発明で用いる親水性シリカは、特に限定されるものではなく、湿式沈殿法シリカ、湿式ゲル化法シリカ、乾式シリカ(クロロシランの火炎熱分解によって製造されるフュームドシリカを含む)等のいずれのシリカを単独あるいは複数組合せて用いても良い。
本発明で用いるアミノアルキルシラン化合物は、一般式(1)で表されるアミノアルキルシラン化合物である。一般式(1)において、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基がある。R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基、イソプロポキシル基である。nは0〜5の整数である。具体的なアミノアルキルシラン化合物としては、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノエチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノエチルエチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルエチルジエトキシシランがあり、好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランである。これらの単独あるいは2種以上を組合せて用いられる。
親水性シリカとアミノアルキルシラン化合物との反応は、特に限定されるものではなく、通常のシラン化合物によるシリカの表面処理の反応に準じて行われる。アミノアルキルシラン化合物の使用量は下式に従い目安を算出することができる。
a=(b×c)/d
a:アミノアルキルシラン化合物使用量(g)
b:親水性シリカ(g)
c:シリカ比表面積(m/g)
d:アミノアルキルシラン化合物の最小被覆面積(m/g)
ここで、最小被覆面積はStuart-Brieglebの分子モデルから計算される。アミノアルキルシラン化合物の使用量は、目的とする疎水化されたシリカの用途及びその疎水性の程度によって適宜選択されるものであり、通常、親水性シリカに対して2〜20wt%、好ましくは4〜10wt%である。アミノアルキルシラン化合物の使用量がシリカの2wt%以下である場合には、親水性シリカの疎水性が低くなる場合がある。アミノアルキルシラン化合物の使用量が親水性シリカの20wt%以上になると、使用するアミノアルキルシラン化合物のコストが高くて不経済であり、さらに生成した疎水化されたシリカが凝集し易くなり、乾燥分散が難くなる場合がある。
アミノアルキルシラン化合物の使用方法は、アミノアルキルシラン化合物をそのまま使用する方法、0.5〜2wt%濃度の希薄水溶液を調製して使用する方法、水溶性有機溶剤に溶解して使用する方法、非水溶性有機溶剤に溶解して使用する方法等があり、いずれの方法を用いても良い。
アミノアルキルシラン化合物の添加方法は、特に限定されるのもではなく、通常、ミキサーやブレンダーの中に親水性シリカを入れ、撹拌しながらアミノアルキルシラン化合物を直接入れる方法、あるいはアミノアルキルシラン化合物の水溶液又は有機溶媒希釈液をスプレー塗布する方法などがあり、いずれを用いても良い。
親水性シリカとアミノアルキルシラン化合物との反応は速やかに進むために、通常、常温〜60℃の温度で行われる。親水性シリカとアミノアルキルシラン化合物との反応時間は、目的とする疎水化の要求度によって適宜選択され一律に決定できないが、通常、5〜100分間、好ましく20〜60分間で、ほぼ完全に反応は進み、アミノアルキルシラン化合物は外に反応性アミノ基を向け、親水性シリカ表面のヒドロキシル基(OH基)と反応して結合する。
本発明で用いる(B)疎水化剤は、親水性シリカと結合したアミノアルキルシラン化合物のアミノ基と反応して、シリカをより高い疎水性にするための疎水化剤であり、(a)カルボン酸化合物、(b)アルキルケテンダイマーがある。(a)カルボン酸化合物は、炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖の飽和又は不飽和の1価のカルボン酸及びそのハロゲン化物である。具体的にはプロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニル酸及びこれらのカルボン酸に対応する酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ素化物がある。炭素数が3未満のカルボン酸及びそのハロゲン化物では、得られる疎水化の程度が十分でない場合があり、炭素数が22を越えるカルボン酸及びそのハロゲン化物は工業的に入手が困難な場合がある。
(b)アルキルケテンダイマーは、一般式(2)で表されるアルキルケテンダイマーであり、R、Rはそれぞれ独立に炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基、炭素数7〜28のアルキルフェニル基である。具体的なアルキルケテンダイマーとしては、プロピルケテンダイマー、ブチルケテンダイマー、オクチルケテンダイマー、2−エチルヘキシルケテンダイマー、デシルケテンダイマー、ドデシルケテンダイマー、ヤシアルキル(炭素数10〜12)ケテンダイマー、テトラデシルケテンダイマー、ヘキサデシルケテンダイマー、ステアリルケテンダイマー、イソステアリルケテンダイマー、ベヘニルケテンダイマー、硬化牛脂アルキル(炭素数14〜18)ケテンダイマー、牛脂アルキル(炭素数14〜18)ケテンダイマー、オレイルケテンダイマー、ブチルフェニルケテンダイマー、オクチルフェニルケテンダイマー、ノニルフェニルケテンダイマー、ドデシルフェニルケテンダイマー、製紙用アルキル(炭素数8〜18)ケテンダイマー(AKD)などがある。R、Rの炭素数が3未満のアルキルケテンダイマーでは、十分な疎水性が得られなく、炭素数が22を超えるアルキルケテンダイマーは、工業的に入手が困難な場合がある。これらの中で疎水化剤として好ましくは、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、デカン酸塩化物、ドデカン酸塩化物、ステアリン酸塩化物、ヤシアルキル(炭素数10〜12)ケテンダイマー、硬化牛脂アルキル(炭素数14〜18)ケテンダイマー、製紙用アルキル(炭素数8〜18)ケテンダイマー(AKD)である。また、疎水化剤として、これらの単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の効果を妨げない範囲内で従来から使用されてきた疎水化剤、例えばジメチルポリシロキサン、末端反応性ヒドロキシル基を持ったジメチルポリシロキサン、ハイドロジエンメチルポリシロキサン、トリメチルクロロシラン等のシランカップリング剤を併用しても良い。
疎水化剤の調製は、(a)カルボン酸化合物及び/又は(b)アルキルケテンダイマーを混合する方法、1〜40wt%濃度の有機溶剤に溶解して使用する方法、1〜40wt%濃度の水溶性有機溶剤に溶解して使用する方法、O/W型エマルションとして使用する方法などがあり、何れの方法を用いても良い。有機溶剤としてはトルエン、キシレンなどがあり、水溶性有機溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、ブチルセルソルブ、ジオキサン、エタノール、エチレングリコール、エチレンカーボネートなどがある。
本発明の疎水性シリカ(以下「疎水性シリカ」とする)は、疎水化剤と、アミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカを反応させて得られる。両者の混合比率は、疎水化剤に含まれるカルボン酸化合物及びはアルキルケテンダイマーとの合計モル数と、親水性シリカのアミノアルキルシラン化合物処理に用いたアミノアルキルシラン化合物中の反応性アミノ基のモル数の比率として1:1〜2:1、好ましくは1.1:1〜1.5:1である。アミノアルキルシラン化合物中の反応性アミノ基のモル数比率が、当該比率の範囲よりも大きいと反応で残存する親水性のアミノ基のために十分な疎水性が得られない。また、疎水化剤の合計モル数が当該比率の範囲を超えて混合しても、増加に見合うだけの疎水性の向上が得られなく、経済的メリットが得られない。
疎水化剤の添加方法は、特に限定されるのもではなく、通常、ミキサーやブレンダーの中にアミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカを入れ、撹拌しながら疎水化剤を直接入れる方法、あるいは疎水化剤の溶媒希釈液をスプレー塗布する方法などがあり、いずれを用いても良い。
疎水化剤とアミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカとの反応温度は、使用する疎水化剤とアミノアルキルシラン化合物の種類により適宜決定すればよいが、通常、常温〜100℃である。また、疎水化剤とアミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカとの反応時間は、目的とする疎水性シリカの用途、疎水性の要求度によって適宜選択され一律に決定できないが、通常、20〜120分間、好ましく30〜90分間である。
本発明の疎水化シリカの製造において、疎水性シリカの微粒子を製造してから使用するまでに長時間保管する場合があり、この間に疎水性シリカの粉体の凝集が生じる場合がある。これを防止するために疎水化剤と、アミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカとの疎水化反応時にフッ素系界面活性剤の添加により、分散性に優れた疎水性シリカが得られる。フッ素系界面活性剤としては、一般式(3)〜(5)で表されるフッ素系化合物がある。ここで、一般式(3)において、Rは炭素数5〜18のパーフルオロアルキル基;XはCOOM(カルボン酸残基)、SOM(スルホン酸残基);Mはナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子である。また、一般式(4)において、Rは炭素数5〜18のパーフルオロアルキル基;Yは水素原子、−OPO(OH)(燐酸残基);pは1〜15の整数である。さらに一般式(5)において、R10は炭素数5〜18のパーフルオアルキル基;Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫酸残基、燐酸残基、炭素数1〜6のカルボン酸残基である。
Figure 2008106205
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一般式(3)〜(5)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は、疎水性シリカ粉体の凝集防止の要求程度に応じて適宜その添加量を決定すれば良いが、通常、親水性シリカに対して0.01〜2wt%であり、好ましくは0.05〜1.5wt%である。0.01wt%未満では、凝集防止効果が十分に得られない場合がある。フッ素系界面活性剤の添加量が2wt%を超えても本発明の効果は得られるが、添加量の割りに得られる効果の向上度合いが小さい場合がある。
また、本発明の効果を妨げない範囲内で疎水性シリカの分散性を向上させるために、シリコーンオイル等を併用しても良い。シリコーンオイルとしては、通常、直鎖状シロキサン構造を持っている非反応性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンおよび脂肪酸エステル変性シリコーンオイルなどが挙げられ、その動粘度は通常、1〜10万mm/sである。界面活性剤およびシリコーンオイルの添加量は、通常、アミノアルキルシラン化合物で処理した親水性シリカに対して通常、0.2〜5wt%である。
本発明のゴム組成物は、ゴム配合物と疎水性シリカを含むゴム組成物であり、ゴム組成物には、クレー、タルク、亜鉛華などの無機系充填材、ステアリン酸などの高級脂肪酸やその金属塩、動植物油などの有機系充填材、界面活性剤、加硫促進剤などが配合されていてもよい。また、疎水性シリカと親水性シリカを併用して配合してもよい。ゴム組成物における疎水性シリカの配合比率は、ゴム100重量部に対して疎水性シリカ5〜100重量部、好ましくは疎水性シリカ10〜80重量部である。疎水性シリカが5重量部以下では、ゴム組成物の耐摩耗性、耐老化性の改善効果が少なく、好ましくない。また、100重量部を超えると、ゴム組成物の機械物理性能が劣る場合やゴム組成物中の疎水性シリカ及びその他の配合成分の均一分散が困難になり、好ましくにい。好ましくはゴム100重量部に対して疎水性シリカが10〜80重量部である。また、ゴム組成物におけるゴムの組成は、ゴム組成物を適用するゴム製品の種類と用途によって適宜配合を選択し決定すればよく、特に限定されるものではない。
ゴムと疎水性シリカの混合は、特に限定されるものではなく、一般的な混合方法で行われる。例えば、天然ゴム及び/又は合成ゴム、亜鉛華、クレー、ステアリン酸等の各種添加剤、疎水性シリカ及び親水性シリカをそれぞれ所定量入れ、高トルク型密閉式ミキサーで約5分〜20分間混練し、次いで、混練物をロールミキサーに移し、架橋剤−架橋促進剤(例えば硫黄)を入れて50℃、5分〜10分間混練して疎水性シリカ配合のゴム組成物が得られる。疎水性シリカ配合のゴム組成物の物性を測定するには、疎水性シリカ配合のゴム組成物を金型(長さ15cm×幅15cm×厚さ0.2cm)に入れて160℃、20分間プレスして、ゴム組成物試験片(ゴムシート)を作成し、試験に供する。
ゴム組成物への疎水性シリカの配合により、ゴム組成物の機械物理性能(耐摩耗性、引っ張り強度)向上、耐老化性向上(耐熱老化、耐光老化性及び耐オゾン性)および加工性能が改善される。例えば、合成ゴムのエチレン−プロプレンジエンゴム(EPDM)と非共役ジエンモノマーとの共重合体は硫黄架橋(加硫)が可能で、耐熱老化性、耐候性、耐溶剤性、耐薬品性にもすぐれ、電気的性能も良好なために自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品、高圧ゴム被覆電線や被覆ケーブル線等、用途が広い。しかし、耐オゾン性や耐磨耗性が低い。本発明の疎水性シリカの配合により、耐オゾン性や耐磨耗性改善されただけでなく、ゴム組成物の粘度を下げることができ、加工性の改善も得られる。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(アミノアルキルシラン化合物)
A−1:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン〔「トーレシリコーンSH6020」(商品名)、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製〕
A−2:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン〔「トーレシリコーンSS1020」(商品名)、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製〕
A−3:3−アミノプロピルトリエトキシシラン〔「トーレシリコーンZ−6011」(商品名)、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製〕
A−4:3−アミノプロピルトリメトキシシラン〔「トーレシリコーンZ−6610」(商品名)、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製〕
(親水性シリカ)
B−1:親水性シリカ(湿式沈殿シリカ)〔「ZEOSIL200」(商品名)、J.M.Huber(株)製〕
B−2:親水性シリカ(乾式シリカ)〔「AEROSIL130」(商品名)、日本アエロジル(株)製]〕
(疎水化剤)
C−1:ステアリン酸エマルション(ステアリン酸:20wt%濃度)〔伯東(株)製〕
C−2:アルキルケテンダイマーエマルション(AKD:20wt%濃度)〔伯東(株)製〕
(その他1)
D−1:パーフルオロオクチルスルフォン酸ナトリウムC17SONaエマルション
(10wt%濃度)〔伯東(株)製〕
D−2:ジメチルポリシロキサン〔「SH200」(商品名)、動粘度1000mm/s、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製〕
(疎水性シリカ1)
撹拌機、温度計およびコンデンサーを付けた1000mL反応容器に脱イオン水200mL、アミノアルキルシラン化合物(A−1)2gを添加し、撹拌下、親水性シリカ(B−1)20gをゆっくり添加し、室温で30分間、疎水化反応を行った。次にステアリン酸エマルション(C−1)20mg、水100mLを添加して1時間、撹拌、混合し、遠心分離によってアミノアルキルシラン−ステアリン酸エマルション処理したシリカを分離した。分離したシリカを130℃で4時間、加熱し、水分を除去して疎水性シリカ1を得た。
(疎水性シリカ2〜4)
実施例1において、アミノアルキルシラン化合物(A−1)をアミノアルキルシラン化合物(A−1)〜(A−4)に代え、同様にして疎水性シリカ2〜4を調製した。
(疎水性シリカ5)
実施例1において、ステアリン酸エマルション(C−1)20mLをAKDエマルション(C−2)20mLに代え、同様にして疎水性シリカ5を調製した。
(疎水性シリカ6)
実施例1において、親水性シリカ(B−1)20gの添加と共にパーフルオロオクチルスルフォン酸ナトリウムエマルション4mLを添加し、同様にして疎水性シリカ6を調製した。
(疎水性シリカ7)
撹拌機、温度計およびコンデンサーを付けた1000mL反応容器に脱イオン水200mL、アミノアルキルシラン化合物(A−1)2gを添加し、撹拌下、親水性シリカ(B−1)20gをゆっくり添加し、室温で30分間、疎水化反応を行った。さらに110℃で1時間、加熱し、水分を除去して疎水性シリカ7を得た。
(疎水性シリカ8)
撹拌機、温度計およびコンデンサーを付けた1000mL反応容器に撹拌下、親水性シリカ(B−1)20gを入れ、ゆっくりと撹拌しながら、ジメチルポリシロキサン(D−2)2g及び触媒量のトリエチレンテトラミンを加え、均一に撹拌、混合した。窒素気流下で130〜150℃に加熱し、2時間維持して水分を除去し、冷却して疎水性シリカ8を得た。
(疎水性シリカ9)
撹拌機、温度計およびコンデンサーを付けた1000mL反応容器に撹拌下、親水性シリカ(B−1)20gを入れ、ゆっくりと撹拌しながら、ステアリン酸エマルション(C−1)20mLを加え、均一に撹拌、混合した。窒素気流下で130〜150℃に加熱し、2時間維持して水分を除去し、冷却して疎水性シリカ9を得た。
(疎水性シリカの疎水化の評価)
特開平5−97423公報に記載される透過率法を用いて疎水性シリカ1〜9の疎水化度を測定した。疎水性シリカ1g、水100gを200mL分液ロートに入れ、5分間しんとうした後、1分間静置した。分液ロートの下部水相から懸濁した水10mLを取り、吸光光度計にて波長550nmの透過率を測定した。採取した懸濁液の透過率を求め、次式により疎水性シリカの疎水化度(%)を算出した。疎水化度(%)が高いほど、疎水性が高いことを示す。
(疎水化度)(%)=(α/β)×100
α:疎水性シリカによる懸濁した水相の透過率(%)
β:純水の透過率(%)
結果を表1に示した。
Figure 2008106205
(疎水性シリカを含有するゴム組成物の調製)
下記配合原料を用いて、ゴム組成物を調製した。
(ゴム)
E−1:エチレン−プロプレンジエンゴム(EPDM)(日本合成ゴム(株)製)
E−2:天然ゴム(NR)(Kumplan Guthrie Berhad社(マレーシア)製)
E−3:エポキシ化天然ゴム(ENR)(Kumplan Guthrie Berhad社(マレーシア)製)
E−4:ハイスチレン樹脂(日本合成ゴム(株)製)
E−5:ポリブタジエンゴム(BR)(日本エラストマー(株))
E−6:スチレンーブタジエンゴム(SBR)(住友化学(株)製)
(その他2)
F−1:硫黄(試薬)
F−2:ポリエチレングリコール(「PEG−4000」(商品名)、日本油脂(株)製)
F−3:亜鉛華(日本化学(株)製)
F−4:ステアリン酸(試薬)
F−5:クレー(「HAクレー」(商品名)、丸尾カルシウム(株)製)
F−6:シリカ(親水性シリカ)(「ニップシールVN3」(商品名)、日本シリカ(株)製)
(実施例1)
高トルク撹拌機、温度計およびコンデンサーを付けた1500mLミキサーに撹拌下、エチレン−プロプレンジエンゴム(EPDM)(E−1)135g、天然ゴム(E−2)100g、エポキシ化天然ゴム(ENR)(E−3)20g、ハイスチレン樹脂(E−4)100g、ポリブタジエンゴム(BR)(E−5)、ポリエチレングリコール(F−2)2g、亜鉛華(F−3)18g、ステアリン酸(F−4)5g、クレー(F−5)120g、シリカ(親水性シリカ)(F−6)40g、疎水性シリカ1:60gを入れ、5分間混練した。次いで、混練物をロールミキサーに移し、硫黄(F−1)9gを入れて、50℃、5分間混練しゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を金型(長さ15cm×幅15cm×厚さ0.2cm)に入れて160℃、20分間プレスして、ゴム組成物試験片(ゴムシート)を作成した。
(実施例2〜実施例9)
実施例1において、疎水性シリカ1(60g)を疎水性シリカ2(60g)〜疎水性シリカ9(60g)にそれぞれ置き換え、同様の方法でそれぞれに対応するゴム組成物及びゴム組成物試験片(ゴムシート)を作成した。
(ゴム組成物の物性試験)
調製したゴム組成物の物性試験を以下の方法で行った。
・ムーニー粘度(ML1+4):JIS K6300に従って、未加硫ゴム組成物を使用して100℃で測定した。
・引張強度(TB)、伸び(EB):JIS K6301 「加硫ゴム物理試験方法」に従って、引張強度は「TB:MPa」、伸びは「EB:%」として測定した。
・耐摩耗性:テーバー摩耗試験器を用いて研磨砥石H−18、荷重0.49N、回転数1000回として摩耗容量(cm)を測定した。
・耐オゾン性:オゾンウエザーメーター OSM−H(スガ試験機株)を使用し、温度40℃、オゾン濃度50pphm(pphm:parts per hundred million)の環境下で20%伸長サンプルの亀裂の有無で評価した。
Figure 2008106205
本発明の疎水性シリカ含有のゴム組成物では、ムーニー粘度の低下、引張強度、伸び及び耐摩耗性の改善が見られる。また、オゾンによる亀裂の発生も無く、耐オゾン性も向上していることが分かる。

Claims (6)

  1. 親水性シリカを(A)一般式(1)(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜5の整数である。)で表されるアミノアルキルシラン化合物で処理し、さらに(B)(a)炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖の飽和又は不飽和の1価のカルボン酸化合物、(b)一般式(2)(式中、R、Rは共に炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基、炭素数7〜28のアルキルフェニル基である。)で表されるアルキルケテンダイマーから選ばれた1種以上を含む疎水化剤と反応させて得られる疎水性シリカを含有することを特徴とするゴム組成物。
    Figure 2008106205
    Figure 2008106205
  2. ゴムが、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロプレンジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)、クロロプレンゴム(ネオプレンゴム)、ブチルゴム(イソプレン−イソブチレンゴム)、フッ素ゴムから選ばれる1種以上である請求項1記載のゴム組成物。
  3. アミノアルキルシラン化合物が3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランから選ばれた1種以上である請求項1又は請求項2記載のゴム組成物。
  4. 疎水化剤がデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、デカン酸塩化物、ドデカン酸塩化物、ステアリン酸塩化物、ヤシアルキル(炭素数10〜12)ケテンダイマー、硬化牛脂アルキル(炭素数14〜18)ケテンダイマー(AKD)の1種以上である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 疎水性シリカをゴム100重量部に対して5〜100重量部を添加する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 親水性シリカと疎水性シリカを20:80〜50:50で併用する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のゴム組成物。
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