JP2011094084A - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工性と低発熱性のバランスを向上する。
【解決手段】(A)シリカ100重量部に対してゴムポリマーとの架橋部位を有しないアルキルアルコキシシラン1〜8重量部を添加し、かつ硫黄原子含有シランカップリング剤を添加せずに混合し、熱処理によりシリカにアルキルアルコキシシランを反応させて表面処理シリカを得る。(B)次いで、前記表面処理シリカを水中に分散させたスラリー溶液と、ゴム溶液とを混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを得る。その後、(C)前記シリカ含有ゴムマスターバッチに硫黄原子含有シランカップリング剤を添加し混合してゴム組成物を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカを含有するゴムマスターバッチを用いたゴム組成物の製造方法に関する。
従来、例えば、空気入りタイヤを構成するゴム組成物のヒステリシスロスを低減して低発熱性(低燃費性)にするため、充填剤としてシリカが配合されることがある。シリカは粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有していることから、ゴムポリマー中で粒子同士が凝集しやすく、分散性に劣る。そのため、シリカ表面をシランカップリング剤で処理し、疎水化することによりシリカの分散性を改良する技術が知られている。
例えば、下記特許文献1には、沈降シリカまたは熱分解法シリカを水性懸濁液中にてシランカップリング剤で処理して相溶化シリカスラリーを形成し、次いで、このシリカスラリーをポリマーラテックスとブレンドすることにより、シリカ含有ゴムマスターバッチを製造することが開示されている。シランカップリング剤としては、アミノ基、メルカプト基、ポリスルフィドなどの官能基を有する有機ケイ素の他、アルキルアルコキシシランなども列挙されており、具体例としては、メルカプトシランカップリング剤を用いてシリカを表面処理し、これを用いてスチレンブタジエンゴムとのブレンドにより、マスターバッチを得ることが開示されている。
下記特許文献2には、特定構造のアミノシランカップリング剤とスルフィドシランカップリング剤を順次にシリカに表面処理し、これをゴムラテックスと混合することにより、シリカ含有ゴムマスターバッチを製造することが開示され、該ゴムマスターバッチに促進剤などの各種助剤を添加混合してゴム組成物を得ることにより、硬化速度が速くなり、促進剤の減量が図られることが開示されている。
下記特許文献3には、特定構造のポリシロキサン化合物(シリコーンオイル)で表面処理したシリカを、水中に分散させてスラリー溶液とした後、該スラリー溶液とゴム溶液とを混合してゴムマスターバッチを製造することが開示されている。
特開平10−231381号公報 特表2003−506549号公報 特開2006−213858号公報
従来技術において、シリカを表面処理するシランカップリング剤としては、一般にスルフィドシランカップリング剤やメルカプトシランカップリング剤などの硫黄原子を含有するシランカップリング剤が用いられている。しかしながら、硫黄原子を含有するシランカップリング剤で処理した表面処理シリカを用い、これをゴム溶液と混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを作製した場合、実用上大きな問題があることが判明した。
すなわち、かかるゴムマスターバッチは、通常、製造後に一時的に保管され、また流通段階におかれるが、そのような保管及び流通段階において、硫黄部分がゴムポリマーと反応してしまう。このようにゴムマスターバッチの状態において、シランカップリング剤とゴムポリマーが反応してしまうと、該ゴムマスターバッチを用いてゴム組成物を調製する際に、ゴム組成物の粘度が上昇し、そのためゴム組成物の加工性を損なうとともに、シリカの分散性が低下して本来の低発熱性を損なう結果となる。
なお、特許文献1は、上記のようにシリカ含有ゴムマスターバッチを製造する際にゴムポリマーとの架橋部を有するシランカップリング剤を主として用いるものであり、かかる架橋部を有するシランカップリング剤を用いることによる上記問題点についても示唆されていない。また、特許文献3のようなポリシロキサン化合物で表面処理する場合、シリカを疎水化する能力に劣り、シリカの分散は十分ではなかった。
本発明は、以上の点に鑑み、加工性と低発熱性のバランスを向上することができるゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ゴムポリマーとの架橋部位を有しないアルキルアルコキシシランとシリカを事前に反応させ、それで得られた表面処理シリカをゴムと混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを得ることにより、保管及び流通段階でのゴムポリマーとの反応を回避して上記従来の問題を解消できることを見い出した。一方で、事前にアルキルアルコキシシランで表面処理しただけでは、シリカとゴムポリマーとの結合が不十分となって強度が不足することが判明した。そこで、硫黄原子を含有するシランカップリング剤を後添加で用いることにより、シリカ含有ゴムマスターバッチの保管及び流通段階での上記問題を解消しつつ、強度確保も図れることを見い出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
すなわち、本発明に係るゴム組成物の製造方法は、
(A)シリカ100重量部に対して下記一般式(1)で表されるアルキルアルコキシシラン1〜8重量部を混合し、熱処理により反応させて、硫黄原子含有シランカップリング剤を含まない表面処理シリカを得る工程と、
(R(RSi−R …(1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、Rは炭素数1〜30のアルキル基であり、p=1〜3、p+q=3である。)
(B)前記表面処理シリカを水中に分散させたスラリー溶液と、ゴム溶液とを混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを得る工程と、
(C)前記シリカ含有ゴムマスターバッチに硫黄原子含有シランカップリング剤を添加し混合する工程と、を含むものである。
本発明によれば、アルキルアルコキシシランとシリカを事前に反応させて得られた表面処理シリカをスラリー溶液とし、これをゴム溶液と混合して得られたシリカ含有ゴムマスターバッチを使用してゴム組成物を調製するので、保管及び流通段階でのシリカとゴムポリマーとの結合を回避することができる。また、該シリカ含有ゴムマスターバッチに後添加で硫黄原子含有シランカップリング剤を配合することにより、ゴム組成物の混合段階でシリカとゴムポリマーを結合させて強度を向上することができる。よって、強度を確保しながら、加工性と低発熱性のバランスを向上することができる。
本発明では、まず、(A)工程において、シリカにアルキルアルコキシシランを添加し混合する。
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びに低発熱性の改良効果が良好である湿式シリカが好ましい。シリカは、窒素吸着比表面積(BET)が100〜300m/gであるものが好ましく、BETが100m/g未満であるとシリカの補強効果が得られにくくなり、300m/gを超えるとシリカの分散性が低下し、加工性(混合、押出性)が悪化する傾向にある。このようなシリカとしては、東ソーシリカ工業(株)のニップシールAQ、トクヤマ(株)のトクシールUR、U−13、エボニック社製のウルトラジルVN3などの市販品が使用できる。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。
アルキルアルコキシシランは、ゴムポリマーとの架橋部位を有さず、かつシリカ表面のシラノール基と反応する官能基を有する化合物であり、下記一般式(1)で表されるものが用いられる。
(R(RSi−R …(1)
式中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。Rは、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。Rは、炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基であり、1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。Rについて、上記アルキルポリエーテル基とは、−O−(R−O)−R(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、k=1〜20であることが好ましい。)で表される。Rは、炭素数1〜30のアルキル基であり、炭素数が大きいほど疎水性を向上することができるので、好ましくは炭素数6〜22のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数8〜18のアルキル基である。p=1〜3、p+q=3であり、より好ましくはp=3,q=0である。
このようなアルキルアルコキシシランの具体例としては、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシランなどが挙げられる。
アルキルアルコキシシランは、シリカ100重量部に対して1〜8重量部で使用されることが好ましい。アルキルアルコキシシランの使用量が1重量部未満では、量的に不十分で、ゴムマスターバッチとなってからシリカが再凝集を起こし、粘度が上昇して加工性が損なわれるおそれがある。逆に、この使用量が8重量部を超えると、過剰のアルキルアルコキシシランにより、ゴム組成物の低発熱性が損なわれるおそれがある。
シリカとアルキルアルコキシシランとの混合方法は、乾式、湿式を問わない。すなわち、ヘンシェルミキサーやブレンダー中で、シリカを攪拌しながら、アルキルアルコキシシランを添加し混合してもよく、あるいは、シリカを水やイソプロピルアルコールなどの溶媒中に分散させた後、これにアルキルアルコキシシランを添加し混合してもよい。アルキルアルコキシシランを添加する際、水とともに酸性化合物又は塩基性化合物を添加し調製した処理液として添加してもよく、これによりシリカとの反応性を向上することができる。
(A)工程では、次いで、熱処理によりシリカとアルキルアルコキシシランとを反応させる。詳細には、シリカとアルキルアルコキシシランとの混合物を、電気炉などのヒーターで加熱・乾燥させることにより、アルキルアルコキシシランとシリカ表面のシラノール基同士(アルキルアルコキシシランのシラノール基はアルコキシ基の加水分解によって生成する。)を脱水縮合させ、これによりアルキルアルコキシシランをシリカ表面に結合させる。熱処理条件は、特に限定されず、例えば、100℃以上、より好ましくは100〜180℃にて、30分間〜3時間程度にて実施することができる。
このようにして得られた表面処理シリカは、シリカ表面に結合したアルキルアルコキシシランのアルキル基によって疎水性が付与され、よって、ゴムポリマー中での分散性を向上することができる。また、硫黄原子含有シランカップリング剤を添加せずに表面処理を行っているので、得られた表面処理シリカは、ゴムポリマーとの架橋部位を持つ硫黄原子含有シランカップリング剤を含まないものである。そのため、後述するゴムマスターバッチの状態において、ゴムポリマーとの結合反応を回避して、ゴム組成物の粘度上昇による加工性の低下を抑えることができるとともに、分散性の低下により低発熱性の改良効果が損なわれる不具合を解消することができる。
次に、(B)工程において、前記表面処理シリカを水中に分散させてスラリー溶液を調製する。スラリー溶液の調製は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されない。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ハイシアーミキサー、コロイドミルなどを用いて、表面処理シリカを水中に分散させることができる。スラリー溶液中におけるシリカの濃度は特に限定されず、例えば1〜20重量%とすることができる。
(B)工程では次いで、該スラリー溶液とゴム溶液とを混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを製造する。該ゴム溶液としては、天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックスが好ましく用いられるが、溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液であってもよい。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックスでもよく、あるいはまた、フィールドラテックスを遠心分離などの公知の濃縮法により蛋白質を除去するなどして濃縮した濃縮ラテックスでもよい。また、合成ゴムラテックスとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)などのジエン系ゴムの他、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどの各種ゴムポリマーが、水などの水系溶媒や炭化水素溶剤などに分散してなるラテックスが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくは、天然ゴムラテックスを含むジエン系ゴムラテックスであり、更に好ましくは、天然ゴムラテックスを用いることである。ゴム溶液中におけるゴムポリマーの含有率は、特に限定されないが、一般には10〜70重量%である。
スラリー溶液とゴム溶液との混合は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されない。例えば、ホモミキサー中でスラリー溶液を攪拌しながらゴム溶液を滴下する方法、ホモミキサー中でゴム溶液を攪拌しながらスラリー溶液を滴下する方法、所定の流速を持つスラリー溶液流とゴム溶液流とを合流させて混合する方法などを用いることができる。
このようにして混合した後、凝固し、脱水乾燥することで、シリカ含有ゴムマスターバッチが得られる。凝固は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いて凝固させてもよく、あるいはまた凝固剤を添加せずに凝固がなされるものであってもよい。また、乾燥も公知の方法を用いて行うことができ、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤーなどの通常の乾燥機を用いて行うことができ、また混練機を用いて機械的せん断力をかけながら乾燥させてもよい。
シリカ含有ゴムマスターバッチ中における表面処理シリカとゴムポリマーとの比率は特に限定されないが、例えば、ゴムポリマー100重量部に対して、表面処理シリカを10〜150重量部とすることができ、より好ましくは20〜100重量部である。
次に、(C)工程において、前記シリカ含有ゴムマスターバッチに硫黄原子含有シランカップリング剤を添加し混合してゴム組成物が製造される。このように後添加で硫黄原子含有シランカップリング剤を含有させることにより、シリカ含有ゴムマスターバッチでの保管段階での上記不具合を生じることなく、シリカとゴムポリマーを結合させてゴム組成物の強度を向上することができる。
硫黄原子含有シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(2)に示されるように、シリカのシラノール基と反応し得るアルコキシ基と、ゴムポリマーと反応し得る硫黄原子を含む官能基Aとを有する各種カップリング剤が挙げられ、特に限定されない。
(R(RSi−A …(2)
式中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。Rは、炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。Rについて、アルキルポリエーテル基とは、上記Rと同様、−O−(R−O)−R(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、k=1〜20であることが好ましい。)で表される。Aは、硫黄原子を含む官能基であり、ポリスルフィド結合を有する有機基、メルカプト基を有する有機基、チオカルボニル基を有する有機基などが挙げられる。m=1〜3、m+n=3であり、好ましくはm=3、n=0である。
官能基Aがポリスルフィド結合を有する有機基の場合、上記式(2)で表されるカップリング剤は、スルフィドシランカップリング剤であり、その具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが好ましいものとして挙げられる。官能基Aがメルカプト基を有する有機基の場合、上記式(2)で表されるカップリング剤は、メルカプトシランカップリング剤であり、その具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。官能基Aがチオカルボニル基を有する有機基の場合、上記式(2)で表されるカップリング剤としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
硫黄原子含有シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、2〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10重量部である。硫黄原子含有シランカップリング剤の配合量が少なすぎると、強度の向上効果が得られにくくなる。
ゴム組成物には、前記シリカ含有ゴムマスターバッチと、硫黄原子含有シランカップリング剤の他、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、活性剤、カーボンブラック等の他の充填剤、滑剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。また、ゴムポリマーとしては、上記シリカ含有ゴムマスターバッチから配合されるものとは別に、通常の天然ゴムやジエン系合成ゴムなどの各種ゴムポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
これら各成分を混合するゴム組成物の混合方法は、特に限定されず、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー等の混合機を用いて混練することができる。
このようにして得られるゴム組成物の用途は、特に限定されず、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。特には、タイヤに用いることが好適であり、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、各種空気入りタイヤのゴム部分(トレッドゴムやサイドウォールゴムなど)を構成することができる。空気入りタイヤに用いることにより、低燃費性に優れたタイヤを製造することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、シリカ(エボニック社製「Ultrasil VN3」)1000gを入れて攪拌し、アルキルアルコキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「OTES」、オクチルトリエトキシシラン)を60g(シリカ100重量部に対して6重量部)添加し、15分間攪拌混合した後、処理したシリカを取り出した。得られたシリカを、電気炉にて120℃で2時間熱処理を行い、表面処理シリカを得た。
得られた表面処理シリカを5.3重量%のスラリー溶液となるように水を加え、コロイドミルを用いて、8000回転×30分という条件で処理して、均一なスラリー溶液を得た。得られたスラリー溶液4000gに対し、天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」、ゴム濃度=60重量%)をゴム濃度が20重量%になるように希釈したものを2000g(ゴムポリマー100重量部に対してシリカ50重量部)添加し、混合した後、ギ酸を加えて凝固させ、脱水し、更にオーブンにて乾燥してシリカ含有マスターバッチを得た。
得られたシリカ含有ゴムマスターバッチを70℃で30日間保管した後、該マスターバッチを用いてゴム組成物を調製した。ゴム組成物は、バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、常法に従ってゴム組成物を調製した。詳細には、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製した。
[実施例2]
実施例1において、表面処理シリカ作製時におけるアルキルアルコキシシランの添加量を20g(シリカ100重量部に対して2重量部)に代え、それに応じて、ゴム組成物の作製時のマスターバッチを配合量を表1のように代えて、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[実施例3]
実施例2において、表面処理シリカ作製時におけるアルキルアルコキシシランとして、東京化成工業株式会社製「ODTES」(オクタデシルトリエトキシシラン)を用い、その他は実施例2と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例1]
シリカ含有ゴムマスターバッチを作製せずに、表1に示す配合に従い、常法に従ってゴム組成物を調製した。
[比較例2]
実施例1において、表面処理シリカ作製時にアルキルアルコキシシランを用いる代わりに、スルフィドシランカップリング剤(エボニック社製「Si69」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を80g(シリカ100重量部に対して8重量部)用い、また、ゴム組成物の作製時には該スルフィドシランカップリング剤を配合せずに、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例3]
実施例1において、表面処理シリカ作製時におけるアルキルアルコキシシランの添加量を5g(シリカ100重量部に対して0.5重量部)に代え、それに応じて、ゴム組成物の作製時のマスターバッチを配合量を表1のように代えて、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例4]
実施例1において、表面処理シリカ作製時におけるアルキルアルコキシシランの添加量を100g(シリカ100重量部に対して10重量部)に代え、それに応じて、ゴム組成物の作製時のマスターバッチを配合量を表1のように代えて、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例5]
実施例1において、表面処理シリカ作製時に、アルキルアルコキシシランの添加量を20g(シリカ100重量部に対して2重量部)に代え、更に、スルフィドシランカップリング剤(エボニック社製「Si69」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を80g(シリカ100重量部に対して8重量部)添加し、また、ゴム組成物の作製時には該スルフィドシランカップリング剤を配合せずに、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例6]
実施例1において、ゴム組成物の作製時にスルフィドシランカップリング剤を配合せず、その他は実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製した。
[比較例7]
シリカ含有ゴムマスターバッチを作製せずに、表1に示す配合に従い、常法に従ってゴム組成物を調製した。
表1中におけるゴム組成物の配合に用いた各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」)をオーブンで蒸発乾燥させたもの
・シリカ:エボニック社製「Ultrasil VN3」
・スルフィドシランカップリング剤:エボニック社製「Si69」
・アルキルアルコキシシラン:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「OTES」
・老化防止剤:6PPD、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
・ステアリン酸:花王(株)製「工業用ステアリン酸」
・ワックス:パラフィンワックス、日本精蝋社製「オゾエース0355」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業株式会社製「1号亜鉛華」
・加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド
・硫黄:5%油処理粉末イオウ
得られた各ゴム組成物について、未加硫時のムーニー粘度を測定するとともに、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、tanδと300%引張モジュラスを測定し評価した。各評価方法は以下の通りである。
・ムーニー粘度:JIS K6300に準じて、100℃でのムーニー粘度ML(1+4)を測定し、比較例1を100とした指数で表示した。指数が小さいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
・tanδ:JIS K6394に準じて、温度70℃、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み2%の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほどtanδが小さく、発熱しにくいこと、即ち低発熱性に優れることを示す。
・300%引張モジュラス:JIS K6251に準じて引張試験(ダンベル3号形)を実施し、300%伸長時のモジュラス値を比較例1の数値を100とした指数で表示した。数値が大きいほど高モジュラスであり、強度(補強性)に優れることを示す。
結果は表1に示す通りであり、シリカ含有ゴムマスターバッチを作製する際に硫黄原子含有シランカップリング剤を用いた比較例2では、長期間の保存によりゴムポリマーとの反応が進んでしまったためか、ゴム組成物の粘度が高く加工性に劣っており、また分散性に劣ることでマスターバッチ化による低発熱性の向上効果も得られなかった。
これに対し、本発明に係る実施例1〜3であると、シリカ含有ゴムマスターバッチの作製後に長期間保存したにもかかわらず、加工性と低発熱性のバランスを向上することができ、また、補強性も確保されていた。このような効果は、比較例5のように、ゴムマスターバッチ作製時に、アルキルアルコキシシランとともに硫黄原子含有シランカップリング剤を添加した場合や、比較例7のように、ゴム組成物の作製時に、シリカとともに、アルキルアルコキシシランと硫黄原子含有シランカップリング剤を添加し混合した場合には、得られなかった。
また、比較例6では、シリカ含有ゴムマスターバッチの作製時にアルキルアルコキシシランを用いたため、ゴム組成物の粘度上昇を抑え加工性を改善することはできたものの、後添加で硫黄原子含有シランカップリング剤を配合していないため、強度が低く、補強性が損なわれていた。
Figure 2011094084

Claims (1)

  1. (A)シリカ100重量部に対して下記一般式(1)で表されるアルキルアルコキシシラン1〜8重量部を混合し、熱処理により反応させて、硫黄原子含有シランカップリング剤を含まない表面処理シリカを得る工程と、
    (R(RSi−R …(1)
    (式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、Rは炭素数1〜30のアルキル基であり、p=1〜3、p+q=3である。)
    (B)前記表面処理シリカを水中に分散させたスラリー溶液と、ゴム溶液とを混合してシリカ含有ゴムマスターバッチを得る工程と、
    (C)前記シリカ含有ゴムマスターバッチに硫黄原子含有シランカップリング剤を添加し混合する工程と、
    を含むゴム組成物の製造方法
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