JP2016160422A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、変性共役ジエン系重合体を有するゴム成分と、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを含み、前記変性共役ジエン系重合体の変性は、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子のうちから選択される少なくとも一種を有する変性剤を用いてなり、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物は、脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを有し、該グリセリン脂肪酸エステル組成物の含有量が、ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
上記構成により、良好なシリカの分散性及び加工性を有しつつ、優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できる。
より優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できるからである。
さらに優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できるからである。
上記構成により、優れた低ロス性及び耐摩耗性を実現できる。
以下に、本発明のゴム組成物について、一実施形態を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分と、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを含むゴム組成物である。
本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分は、変性共役ジエン系重合体を有する。そして、該変性共役ジエン系重合体は、シリカに対して親和性を有する変性官能基を持っており、該変性共役ジエン系重合体の変性は、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子のうちから選択される少なくとも一種を有する変性剤を用いて行われることを特徴とする。
前記変性共役ジエン系重合体が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基を有することになり、前記シリカとの間で相互作用が生じる結果、ゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性を向上できる。
一方、単量体としての前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン及び2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記変性剤は、シリカに対して相互作用性を有する官能基を含む変性剤であり、窒素原子、ケイ素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤である。
そして、当該アルコキシシラン化合物については、特に限定はされないものの、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物を用いることができる。
前記加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は前記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基若しくは炭素数3〜20の一価の、脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
ましい。
また、一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
このリチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド及びリチウムメチルフェネチルアミドから選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好適に例示される。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分を形成する変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分を形成する変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分に加えて充填材としてのシリカを含む。シリカを含むことによって、ゴム組成物の補強効果を高め、破壊特性及び耐摩耗性を向上させることが可能となる。
さらに、前記シリカについては、BET比表面積が50〜300m2/g、CTAB比表面積(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)が50〜300m2/gであることが好ましい。BET比表面積やCTAB比表面積が高いほど、未加硫粘度の低減効果があるためである。なお、前記BET比表面積については、BET法の一点値により測定されるものであり、前記CTAB比表面積については、ASTM D3765に準拠して測定されるものである。
本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分及びシリカに加えて、脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステル及びグリセリン脂肪酸ジエステルを有するグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部含むことを特徴とする。
ゴム組成物中に前記グリセリン脂肪酸エステル組成物を特定量配合することによって、前記シリカの分散性を高め、優れた加工性を実現できるとともに、低ロス性及び耐摩耗性についても向上できる。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含むが、それ以外にグリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを含んでいてもよい。
なお、炭素数8未満の脂肪酸では、ポリマーとの親和性が低く、ブルームが起こりやすい。一方、炭素数28を超える脂肪酸では、加工性改良効果の向上は炭素数28以下と変わらず、コストが上昇し、好ましくない。
さらにグリセリン脂肪酸モノエステルの量が、90〜99質量%であることがさらに好ましく、最も好ましいのは95〜99質量%の範囲である。これは、低ロス性はグリセリン脂肪酸エステル中のグリセリン脂肪酸モノエステル量が多くなるほどロスが改良されるためであり、さらに製造上の観点を考慮するとこのような範囲が適当である。
1)上記エステル化法やエステル交換法などにおいて、脂肪酸成分とグリセリン成分の仕込み比率を変えることで、エステル化の平衡組成を制御する方法。グリセリンについては、さらに蒸留により取り除くことが出来る。但し、反応特性上、得られたグリセリン脂肪酸モノエステル量の上限は約65質量%前後と考えられる。
2)エステル化法やエステル交換法で得られた反応生成物をさらに分子蒸留などにより分別留去し、高純度(通常95質量%以上)のグリセリン脂肪酸モノエステルを取り出す方法。
3)上記2)の手法で得た高純度グリセリン脂肪酸モノエステルを1)の手法で得られる中純度グリセリン脂肪酸モノエステルと任意の割合で混合することにより、比較的高純度領域(およそ65〜95質量%程度)のグリセリン脂肪酸モノエステルを得る方法。
上記原料の油脂や脂肪酸などを天然物から由来のものを用いることにより、環境負荷等も低減したグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
更に、本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、モノエステル量がコントロールされた市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製のレオドールMS−60、エキセルS−95)等が挙げられる。
尚、GPCの測定条件は、下記の通りである。
−GPCの測定条件−
GPCの測定は下記測定装置を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を0.6ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこにTHFに溶解した1重量%の試料溶液10μLを注入して測定を行った。
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:RI-8022(東ソー(株)製)
測定装置:HPLC-8220 GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSK-GEL SUPER H1000 2本及びTSK-GEL SUPER H2000 2本を直列に連結(東ソー(株)製)
同様に、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のジグリセライド又はトリグリセライド含有量は、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの合計に対するジグリセライド又はトリグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分、シリカ及びグリセリン脂肪酸エステル組成物の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、活性剤、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分に、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
混練装置としては、特に限定はされず、例えば、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等を用いることができる。
ここで、前記カーボンブラックについては、特に限定はされないが、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがさらに好ましい。
また、前記カーボンブラックの含有量についても特に限定はされず、目的に応じて適宜調整することができる。
本発明のゴム組成物は、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸塩類又はキサントゲン酸塩類の加硫促進剤、システイン類、チオ尿素類、チオシアン酸アンモニウム及びジアルキルジチオリン酸亜鉛のうちから選択される少なくとも一種からなる活性剤を、さらに含むことが好ましい。ゴム組成物の低ロス性及び耐摩耗性をより向上できるからである。
用いることができるシステイン類としては、例えば、(L−)システイン、N−アセチル−L−システイン、(L−)システイン塩酸塩、(L−)システインエチルエステル塩酸塩、(L−)システインメチルエステル塩酸塩などが挙げられる。
用いることができるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)としては、例えば、炭素数4〜12のアルキル基又はアリール基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛が挙げられる。
特に好ましい加硫促進剤などの活性剤としては、反応性がより高いグアニジン類、システイン類、チオ尿素類、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、特に好ましくは、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)である。
さらに、本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことが好ましい。前記変性共役ジエン系重合体によって、カップリング機能の活性が高まる結果、ゴム組成物の低ロス性をさらに向上できるからである。
例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどの少なくとも1種が挙げられる。
前記加硫剤としては、硫黄、不溶性硫黄などの硫黄等が挙げられ、その配合量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0質量部である。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。前記ゴム組成物をタイヤ部材、特にトレッド部材として用いたタイヤは、低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下の手順に従って、共役ジエン系重合体A〜Eを製造した。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.70ミリモルを加え、さらに重合開始剤として0.70ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行い、リチウム型の活性部位を末端に有するスチレン−ブタジエン共重合体を得た。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、50℃にて老化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液を2ミリリットル加えて重合反応の停止を行い、さらに微量のBHTを含むイソプロパノール中で再沈殿させた後、ドラムドライヤーにて乾燥し、無変性アニオン重合SBRを得た。結合スチレン量は20質量%、ブタジエン中のビニル結合含量は55%であった。
上記の無変性アニオン重合SBRの重合時において、リチウム型の活性部位を末端に有するスチレン−ブタジエン共重合体の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対して、後述する変性剤A〜Eのいずれかを0.63mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行い、その後上記と同様にして、変性共役ジエン系重合体A〜Eを得た。
変性剤A:テトラエトキシシラン
変性剤B:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン
変性剤C:N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
変性剤D:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
変性剤E:3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン
変性共役ジエン系重合体(変性SBR)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
また、変性共役ジエン系重合体(変性SBR)のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求め、重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。変性ポリマー(重合体)のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
(グリセリン脂肪酸エステルA)
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの1L四ツ口フラスコに、グリセリン450g、パルミチン酸(花王株式会社製ルナックP−95)352gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=2.0]、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウムをナトリウムとして10ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分流しながら400r/minで撹拌し、約1.5時間かけて240℃まで昇温した。240℃に達した後、酸成分をフラスコに環流させながら脱水し、その温度で4時間反応させた。反応後の生成物中のモノグリセライド含量は67面積%であった。
続いて反応混合物を170℃まで冷却し、そのままグリセリンを圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S(キュノ(株)製)を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物(グリセリン脂肪酸エステルA)を取得した。得られた組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
なお、得られたグリセリン脂肪酸エステルAにおける、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は64質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量は34質量%、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量は1質量%、グリセリンの含有量は1質量%であった。
国際公開第2014/098155号の製造例1に記載の方法に従い、脂肪酸をオクタン酸から同モル量のパーム由来硬化脂肪酸に変えて合成し、さらに分子蒸留することで調製したものをグリセリン脂肪酸エステルBとした。
なお、グリセリン脂肪酸エステルBにおける、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は97質量%、グリセリンの含有量は0.5質量%であり、その他の2.5質量%については水、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル等の混合物であった。
上述の変性共役ジエン系重合体A〜Eを用いて、表2に示す配合処方のゴム組成物を調整し、実施例及び比較例の各サンプルを得た。
ゴム組成物の混練については、混練の第一工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように表2の混練の第一工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練の第一工程において、ゴム成分(A)〔SBR、共役ジエン系重合体A〜E〕、充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤、加硫促進剤〔グアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等〕、グリセリン脂肪酸エステル組成物を含む第一混合物を混練することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、第二工程として、前記予備組成物に加硫剤である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性(未加硫ゴム粘度)、低ロス性(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)、を下記の各方法により算出して評価した。また、各評価結果について、評価指標となる比較例1からどれだけ優れているか(比較例1との指数値の差)を取得し、取得値を合計(効果の合計を算出)することで、総合評価を行った。これらの結果を下記表3に示す。
*2:JSR社製「IR2200」
*3:富士興産社製「アロマックス#3」
*4:三菱化学社製「ダイヤブラックN234」
*7:東・ソーシリカ社製「AQ」
*8:デグッサ社製「Si69」
*9:大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
*15:堺化学工業製「チオ尿素」
*16:ラインケミー製「Rhenogran ETU−80」
*17:東京化成製「Bismuthiol」
各サンプルについて、JIS-K6300-1:2001に準拠して、ムーニー粘度計(モンサント社製RPA)によって、L型ローターを用い、130℃の条件下で、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4(130℃)]を測定した。
得られた未加硫ゴム組成物のムーニー粘度の値は、比較例1の粘度値を100として指数表示した。この値が小さいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
各サンプルに対して、損失正接(tanδ)を、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用いて、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。得られたtanδの値は、比較例1の値を100としたときの指数として表示した。結果を表3に示す。なお、低ロス性の指数値は、小さい程低ロス性に優れることを示す。
各サンプルについて、JIS k 6246-2:2005に準拠してランボーン式摩耗試験を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定した。
得られた摩耗量の値は、その逆数をとり、比較例1の値を100としたときの指数として表示した。結果を表3に示す。指数値が大きい程摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れる。
一方、ジエン系重合体が本発明の範囲から外れる比較例については、耐摩耗性や低ロス性が低下する傾向にあり、グリセリン脂肪酸エステル組成物が本発明の範囲から外れる比較例については、加工性が低下する傾向にあった。
さらに、活性剤を加えることで、より優れた加工性を得ることができることがわかった。
以上のことから、本願実施例のゴム組成物の各サンプルは、低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性に優れることがわかった。
Claims (12)
- シリカに対して親和性を有する変性官能基を持った変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分と、シリカと、グリセリン脂肪酸エステル組成物とを含むゴム組成物であって、
前記変性共役ジエン系重合体の変性は、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子のうちから選択される少なくとも一種を有する変性剤を用いてなり、
前記グリセリン脂肪酸エステル組成物は、脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを有し、該グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であることを特徴とする、ゴム組成物。 - 前記グリセリン脂肪酸エステル組成物における前記グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が、65質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸塩類又はキサントゲン酸塩類の加硫促進剤、システイン類、チオ尿素類、チオシアン酸アンモニウム及びジアルキルジチオリン酸亜鉛のうちから選択される少なくとも一種からなる活性剤を、さらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記活性剤が、チオウレア又はジエチルチオウレアであることを特徴とする、ことを特徴とする、請求項3に記載のゴム組成物。
- 前記活性剤が、ジメルカプトチアジアゾールであることを特徴とする、請求項3に記載のゴム組成物。
- 前記活性剤が、ジフェニルグアニジンであることを特徴とする、請求項3に記載のゴム組成物。
- 前記変性剤が、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることを特徴とする、請求項7に記載のゴム組成物。
- 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(V)又は(VI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることを特徴とする、請求項7に記載のゴム組成物。
- 前記変性剤が、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び1―メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記変性剤が、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
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