JP6703369B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、乗用車、トラック、バスなどに使用するタイヤ用に好適なタイヤ用ゴム組成物に関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。
従来において、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、充填材としてシリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。
しかしながら、無機充填材配合ゴム組成物において、シリカ等の無機充填材を配合する際には、無機充填材、特にシリカはゴム組成物中で凝集してしまうため(シリカ表面の水酸基が原因で凝集してしまうため)、凝集を防止するためにシランカップリング剤が用いられている。
従って、シランカップリング剤を配合して上記問題を好適に解決するために、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を更に高める目的で種々の試みがなされている。
例えば、本出願人は、シリカに対して親和性を有する官能基を含む変性剤を使用して得られる変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、シランカップリング剤(C)及びグアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類から選択される少なくとも一種の促進剤(D)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該促進剤(D)を加えて混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法(例えば、本出願人による特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1の技術は、転がり抵抗の低減効果を発揮するものであるが、加工性の改善が求められている。
一方、従来からシリカなどの充填材配合ゴム組成物における加工性等の改良技術としては、グリセリン脂肪酸エステルなどを用いてシリカなどの充填材配合ゴム組成物における加工性等を改良することが知られている。
例えば、1)ジエン系ゴム90重量部以上含むゴム100重量部に対して、40重量%以上が白色充填剤である充填剤30〜120重量部と、非イオン系界面活性剤0.2〜8重量部とを配合した帯電性を改良したゴム組成物(例えば、特許文献2参照)や、2)ジエンゴムの群から選択される少なくとも1種のポリマー、ゴム組成物中のゴム100重量部に対して、5〜100重量部の微粉末沈降ケイ酸、0〜80重量部のカーボンブラック、および0.5〜20重量部の少なくとも1種の非芳香族粘度低下物質を含むタイヤトレッド用ゴム組成物において、前記非芳香族粘度低下物質が、グリセリン−モノステアレート、ソルビタン−モノステアレート、ソルビタン−モノオレエートおよびトリメチロールプロパン(2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)からなる 群から選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
上記特許文献2及び3のうち、特許文献2には、実施例の一つにグリセリン脂肪酸モノエステルを配合し、シリカ配合時に起こりうる本発明と異なる帯電を防止する効果についての記載があるものの、粘度低減効果について記載や示唆などはないものである。
また、上記特許文献3は、本発明の近接技術を開示するものであるが、グリセリン脂肪酸モノエステルを配合し、シリカ配合時の粘度低減効果について記載はあるが、シリカ配合ゴム組成物にグリセリン脂肪酸モノエステルを配合したときに起こりうる加工性の悪化については全く記載や示唆などはないものである。
特開平2012−246334公報(特許請求の範囲、実施例等 ) 国際公開WO95/31888号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平9−118786号公報(特許請求の範囲、実施例等 )
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものであり、転がり抵抗の低減効果を発揮すると共に、加工性を向上させたタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤などの活性剤(D)、並びに、特定のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるタイヤ用ゴム組成物とすることにより、上記目的のタイヤ用ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(16)に存する。
(1) 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、
前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、
を含むゴム組成物の製造方法により製造されることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
(2) 合成ジエン系ゴムが、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基を3つ以上有し、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するジエン系重合体であることを特徴とする上記(1)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有することを特徴とする上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 前記変性官能基が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基であることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のゴム組成物。
(5) 前記ジエン系重合体のピーク分子量が5万〜70万であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(6) 前記ジエン系重合体は、変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とを経ることよりジエン系重合体を得ることを特徴とする上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) 前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成は、前記ジエン系重合体の単量体成分と変性剤とを交互又は同時に投入することで行うことを特徴とする上記(6)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(8) 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.2〜7質量部であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(9) 活性剤(D)がグアニジン類であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(10) 活性剤(D)がシステイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジチオリン酸類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(11) 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(12) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、前記グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする上記(11)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(13) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が10〜65質量%であることを特徴とする上記(11)又は(12)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(14) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比が、0.5〜10であることを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(15) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする上記(11)〜(14)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(16) さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする上記(11)〜(15)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
本発明によれば、転がり抵抗の低減効果を発揮すると共に、加工性を向上させたタイヤ用ゴム組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳述する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されることを特徴とするものである。
〔ゴム成分〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いるゴム成分としては、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、合成ジエン系の変性ポリマーなどが挙げられる。
変性ポリマーとしては、例えば、本出願人による、1)特開平11−349632号公報記載の炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と特定のメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させて得た変性ポリマー、2)WO2003/046020号記載のジエン系モノマーを単独で、あるいは、他のモノマーと共に重合して得られ、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合の含量が75モル%以上の、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第1次変性の後、さらにヒドロカルビルオキシシラン化合物を加え、縮合促進剤の存在下で、第2次変性を行った得た共役ジエン系重合体や、上記第1次変性の後、多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させて得た共役ジエン系重合体、並びに、上記第1次変性の後、縮合促進剤を加え、末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合反応を行なって得た共役ジエン系重合体、3)WO2003/087171号記載の有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる変性反応を行い、該反応の途中及び/又は終了後に反応系に縮合促進剤を加えて得た変性重合体が挙げられる。これらの変性ポリマーは、上記各公報(各実施例等)に開示の方法により製造することができ、また、市販品があれば、市販品を使用してもよい。
これらの変性ポリマーは、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物の両方に用いた場合に、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮し得るものとなる。
これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
好ましくは、変性ポリマーの含有量は、ゴム成分(A)に対して、10質量%以上、更に、30〜70質量%とすることが望ましい。
更に、前記合成ジエン系ゴム(変性ポリマー)として、下記特性のジエン系重合体を用いることができる。
このジエン系重合体としては、その末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するものであってもよい。このジエン系重合体において、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに前記変性官能基を配する理由は、より効率的にシリカを分散させる効果が得られると考えられるためである。また、変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有することによって、シリカの凝集体を効率的に崩すことが出来ると考えられる。前記の特徴を全て有することで、個別の特徴のみを有するジエン系重合体と比較して、より顕著な効果が得られると考えられる。
ここで、前記ジエン系重合体は、変性ジエン共重合体であっても良いし、変性ジエン単独重合体であっても良い。その中でも、ジエン系単量体と芳香族ビニル化合物との共重合体又はジエン系単量体の単独重合体が好ましく、60〜100質量%のジエン系単量体と、0〜40質量%の芳香族ビニル化合物とを重合してなる、重合体(単独重合体)又は共重合体であることがより好ましい。前記ゴム組成物の低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性をより向上できるためである。
また、前記ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、単量体としての前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン及び2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基とは、該官能基とシリカ表面の間で共有結合を形成するか、又は、共有結合よりも弱い分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等といった分子間に働く電磁気学的な力)を形成することが可能な官能基のことである。前記シリカとの親和性の高い官能基であれば特に限定はされないが、好ましくは、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基等が挙げられる。
また、前記変性官能基を末端から全鎖長の1/4の範囲のみに3つ以上有する状態とは、前記ジエン系重合体のうち末端から1/4の範囲(末端から25%の範囲)に前記変性官能基が3つ以上存在し、末端から1/4以外の部分については、前記変性官能基が存在しない状態のことである。
なお、前記ジエン系重合体の末端は、少なくともいずれか一方の末端のことを意味し、前記変性官能基を有する範囲は、前記ジエン系重合体の一方の末端(先端)から全鎖長の1/4の範囲でも良く、両端から全鎖長の1/4の範囲ずつでも良いが、ジエン系重合体自体の性能と、変性による性能を効率よく得られる点からは、いずれか一方の末端のみに存在することが好ましい。
さらに、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有する状態とは、上述したように、前記ジエン系重合体の末端から全鎖長の1/4の範囲のみに存在する各官能基について、変性官能基と変性官能基との間にジエン系重合体の単量体構造(例えば、ジエン系重合体がポリブタジエンの場合には、1,3−ブタジエンのことであり、スチレン−ブタジエン共重合体の場合には、スチレン及び/又は1,3−ブタジエンのことである。)を介しており、変性官能基同士が結合していない状態のことをいう。
前記ジエン系重合体の末端から全鎖長の1/4の範囲において、前記変性官能基が互いに直接結合しない構造をとることで、シリカとの親和性をさらに向上できるため、より優れた低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性を実現できる。
さらにまた、同様の観点から、全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有する(つまり、前記ジエン系重合体中の全ての変性官能基は互いに直接結合していない)ことがより好ましい。
なお、前記ジエン系重合体を得るための重合方法としては、アニオン重合、配位重合及び乳化重合のいずれでも良い。変性剤は、アニオン重合又は配位重合の重合活性末端と反応する変性剤であっても良いし、重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であっても良い。また、乳化重合において、変性剤がモノマーとして共重合されても良い。
なお、前記ジエン系重合体の分子量は、特に限定はされないが、ピーク分子量を5万以上とすることで良好な耐破壊特性及び耐摩耗性が得られ、70万以下とすることで良好な加工性が得られることから、5万〜70万であることが好ましい。また、さらに加工性良好な加工性を得ながらも良好な耐破壊特性及び耐摩耗性を得るためには、10万〜35万であることが望ましい。
さらに、前記ゴム成分中の前記前記ジエン系重合体の含有率は、10質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中の前記ジエン系重合体の含有率が10質量%未満では、充填剤の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性を改善する効果が小さいためである。
ここで、前記ジエン系重合体を得る際の変性に用いられる変性剤について説明する。
前記変性剤は、シリカに対して相互作用性を有する官能基を含む変性剤であり、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。
前記シリカに対して高い親和性を有する観点から前記変性剤は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
そして、当該アルコキシシラン化合物については、特に限定はされないものの、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 0006703369
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、ORが複数ある場合、複数のORはたがいに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。)
ここで、前記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラーtert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトリジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げることができるが、これらの中で、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びジメチルジエトキシシランが好適である。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせても用いてもよい。
また、前記シリカに対して高い親和性を有する観点から、前記変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であっても良い。
そして、当該ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(III)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n1、n2、n3及びn4は0〜4の整数であり、かつ、n1+n2=1以上の整数)であり、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基(イソシアナート基又はチオイソシアナート基を示す。以下、同様。)、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていても良く、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であっても良く、R21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていても良く、R23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていても良く、R22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していても良く、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていても良く、或いは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていても良い。
前記加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は前記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の一価の脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
さらに、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(IV)中、p1+p2+p3=2(但し、p1及びp2、p3は0〜2の整数であり、かつ、p1+p2=1以上の整数)であり、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。)、或いは、硫黄であり、R25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、R26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していても良く、p2が2の場合には、互いに同一もしくは異なり、或いは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
さらに、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(V)又は(VI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好
ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(V)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)であり、R31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていても良く、R35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっても良い。
Figure 0006703369
前記一般式(VI)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)であり、R36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていても良く、R38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていても良い。
また、前記変性剤が、下記一般式(VII)又は(VIII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
Figure 0006703369
前記一般式(VIII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていても良い。
また、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(IX)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である。)であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていても良い。
さらに、前記変性剤が、下記一般式(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 0006703369
前記一般式(X)中、Xはハロゲン原子であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基又は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
以上の一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、前記変性共役ジエン系重合体がアニオン重合により製造される場合の変性剤として用いられることが好ましい。
また、一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
また、アニオン重合によって前記ジエン系重合体を変性する場合に好適な変性剤としては、具体的には、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び1―メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
さらに、前記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。
このリチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド及びリチウムメチルフェネチルアミドから選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好適に例示される。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。
また、配位重合によって前記ジエン系重合体を変性する場合に好適な変性剤としては、2−シアノピリジン及び3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。
さらに、乳化重合によって前記ジエン系重合体を変性する場合に好適な変性剤としては、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒド及び4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。これらの乳化重合において好ましく用いられる変性剤は、窒素原子及び/又はケイ素原子を含むモノマーとして、乳化重合時に共重合されることが好ましい。
なお、前記ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算のピーク分子量が5万以上70万以下であるのが好ましい。ジエン系重合体のピーク分子量が5万以上とすることで、良好な耐破壊特性及び耐摩耗性が得られ、70万以下とすることで、良好な加工性が得られる。さらに、高度に耐破壊特性及び耐摩耗性と加工性を両立するためには、10〜35万の分子量であることが望ましい。
また、前記ジエン系重合体は、示差走査熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移点(Tg)が0℃以下であるのが好ましい。前記ジエン系重合体のガラス転移点が0℃を超えると、低温でのゴム特性が著しく悪化する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、前記ゴム成分は、上述した前記ジエン系重合体以外に、さらに、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体等を含有することができ、これらの中でも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムのうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。これらゴム成分は、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
さらに、前記ゴム成分中の前記ジエン系重合体の含有率は、10質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中の前記ジエン系重合体の含有率が10質量%未満では、充填剤の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性を改善する効果が小さいためである。
(ジエン系重合体の製造方法)
なお、上述したジエン系重合体を製造する方法については、その末端から全鎖長の1/4の範囲のみに変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を形成することができれば特に限定はされない。
製造方法の一つとして、例えば、前記変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖(ジエン系重合体の末端から全鎖長の3/4の範囲)を形成する工程、並びに、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖(ジエン系重合体の末端から全鎖長の1/4の範囲)を形成する工程を経ることによって、上述した変性ジエン系重合体を製造することができる。なお、前記変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とは、どちらを先に行っても構わない。
ここで、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成については、例えば以下の(1)〜(4)のような方法が挙げられる。
(1)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、交互に投入する方法。
(2)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、同時に投入する方法。
(3)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、交互に投入する方法。
(4)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、同時に投入する方法。
上記(1)〜(4)の中でも、全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有する(つまり、前記ジエン系重合体中の全ての変性官能基は互いに直接結合していない)構造をより確実に形成できる点からは、前述の1若しくは3の方法が好ましく、生産に掛かる時間を短縮し生産性を高めるためには前述の2若しくは4の方法が好ましい 。なお、前述の前記ジエン系重合体の単量体成分と共重合可能であり変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能な部位を有する化合物としては例えば、p−メチルスチレン等が挙げられる。
〔無機充填材(B)〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる無機充填材(B)は、シリカ及び下記一般式(XI)で表される無機化合物を用いることができる。
aM1・xSiOy・zH2O ………(XI)
ここで、一般式(XI)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、a、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(XI)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
本発明においては、上述の無機充填材(B)の内、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80〜350m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET表面積が120〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。
前記一般式(XI)で表わされる無機化合物としては、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(XI)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
一般式(XI)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材(B)は、シリカ単独で使用しても良いし、シリカと一般式(I)で表される無機化合物の1種以上とを併用しても良い。
ここで、前記シリカの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して60〜250質量部であることが好ましく、70〜150質量部であることがより好ましく、75〜120質量部であることが特に好ましい。前記シリカの含有量が60質量部未満の場合には、シリカの量が少ないため、破壊特性及び耐摩耗性の向上効果を充分に得られないおそれがあり、含有量が250質量部を超えると、シリカの量が多すぎるため、ゴム組成物の伸びや加工性が悪化するおそれがある。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の充填材は、所望により、上述の無機充填材(B)に加えてカーボンブラックを含有しても良い。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。
このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。本発明において、カーボンブラックは無機充填材(B)に含まれない。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の無機充填材(B)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ウエット性能を確保する観点から好ましく、120質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。更には、30〜100質量部使用することがより好ましい。
また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(B)が40質量%以上であることがウェット性能と低発熱性の両立の観点から好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
〔シランカップリング剤(C)〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるシランカップリング剤(C)は、特に制限はなく、汎用の各種シランカップリング剤が使用でき、好ましくは、下記一般式(XII)及び(XIII)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが望ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好なタイヤ用ゴム組成物が得られることとなる。
以下、下記一般式(XII)及び(XIII)を順に説明する。
Figure 0006703369
〔式(XII)中、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但し、p及びrの双方が3であることはない。〕
上記一般式(XII)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。
Figure 0006703369
〔上記式(XIII)中、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基であり、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、Rは一般式
(−S−R−S−)、(−R−Sm1−R10−)及び(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R〜R13は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜20の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基、二価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2、m3は同一でも異なっていても良く、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kは同一でも異なっていても良く、各々平均値として1〜6であり、s及びtは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但しs及びtの双方が3であることはない。〕
上記一般式(XIII)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33等で表される化合物が好適に挙げられる。
本発明に用いるシランカップリング剤(C)は、上記一般式(XII)及び(XIII)で表わされる化合物の中で、上記一般式(XII)で表わされる化合物が特に好ましい。加硫促進剤などの活性剤(D)はゴム成分(A)と反応するポリスルフィド結合部位の活性化を起こし易いからである。
本発明においては、シランカップリング剤(C)は一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いるシランカップリング剤(C)の配合量は、無機充填材(B)の1〜20質量%であることが好ましい。1質量%未満ではタイヤ用ゴム組成物の低発熱性向上の効果が発揮しにくくなり、一方、20質量%を超えると、タイヤ用ゴム組成物のコストが過大となり、経済性が低下するからである。更には、無機充填材(B)の3〜20質量%であることがより好ましく、無機充填材(B)の4〜10質量%であることが特に好ましい。
〔加硫促進剤などの活性剤(D)〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる加硫促進剤などの活性剤(D)としては、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類などの加硫促進剤、並びに、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジン等が挙げられ、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドは反応性が高いので好ましく、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)は反応性がより高いので特に好ましい。
用いることができるスルフェンアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。これらの中で、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及びN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドは、反応性が高いので好ましい。
用いることができるチアゾール類としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト-ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの中で、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)及びジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)は、反応性が高く好ましい。
用いることができるチウラム類としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラプロピルチウラムジスルフィド、テトライソプロピルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラペンチルチウラムジスルフィド、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラヘプチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラノニルチウラムジスルフィド、テトラデシルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラステアリルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラプロピルチウラムモノスルフィド、テトライソプロピルチウラムモノスルフィド、テトラブチルチウラムモノスルフィド、テトラペンチルチウラムモノスルフィド、テトラヘキシルチウラムモノスルフィド、テトラヘプチルチウラムモノスルフィド、テトラオクチルチウラムモノスルフィド、テトラノニルチウラムモノスルフィド、テトラデシルチウラムモノスルフィド、テトラドデシルチウラムモノスルフィド、テトラステアリルチウラムモノスルフィド、テトラベンジルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。これらの中で、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド及びテトラベンジルチウラムジスルフィドは、反応性が高いので好ましい。
用いることができるチオウレア類としては、例えば、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジイソプロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、1,3−ジ(o−トリル)チオ尿素、1,3−ジ(p−トリル)チオ尿素、1,1−ジフェニル−2−チオ尿素、2,5−ジチオビ尿素、グアニルチオ尿素、1−(1−ナフチル)−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、p−トリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素等が挙げられる。これらの中で、N,N’−ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素及びN,N’−ジメチルチオ尿素は、反応性が高いので好ましい。
用いることができるジチオカルバミン酸塩類としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジペンチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジヘプチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸亜鉛、ジデシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジイソプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジペンチルジチオカルバミン酸銅、ジヘキシルジチオカルバミン酸銅、ジヘプチルジチオカルバミン酸銅、ジオクチルジチオカルバミン酸銅、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸銅、ジデシルジチオカルバミン酸銅、ジドデシルジチオカルバミン酸銅、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジプロピルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジペンチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジヘキシルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジヘプチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジオクチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジデシルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジドデシルジチオカルバミン酸ナトリウム、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸ナトリウム、ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジプロピルジチオカルバミン酸第二鉄、ジイソプロピルジチオカルバミン酸第二鉄、ジブチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジペンチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジヘキシルジチオカルバミン酸第二鉄、ジヘプチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジオクチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸第二鉄、ジデシルジチオカルバミン酸第二鉄、ジドデシルジチオカルバミン酸第二鉄、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸第二鉄、ジベンジルジチオカルバミン酸第二鉄等が挙げられる。これらの中で、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛及びジメチルジチオカルバミン酸銅は、反応性が高いため好ましい。
用いることができるキサントゲン酸塩類としては、例えば、メチルキサントゲン酸亜鉛、エチルキサントゲン酸亜鉛、プロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛、ペンチルキサントゲン酸亜鉛、ヘキシルキサントゲン酸亜鉛、ヘプチルキサントゲン酸亜鉛、オクチルキサントゲン酸亜鉛、2−エチルヘキシルキサントゲン酸亜鉛、デシルキサントゲン酸亜鉛、ドデシルキサントゲン酸亜鉛、メチルキサントゲン酸カリウム、エチルキサントゲン酸カリウム、プロピルキサントゲン酸カリウム、イソプロピルキサントゲン酸カリウム、ブチルキサントゲン酸カリウム、ペンチルキサントゲン酸カリウム、ヘキシルキサントゲン酸カリウム、ヘプチルキサントゲン酸カリウム、オクチルキサントゲン酸カリウム、2−エチルヘキシルキサントゲン酸カリウム、デシルキサントゲン酸カリウム、ドデシルキサントゲン酸カリウム、メチルキサントゲン酸ナトリウム、エチルキサントゲン酸ナトリウム、プロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、ブチルキサントゲン酸ナトリウム、ペンチルキサントゲン酸ナトリウム、ヘキシルキサントゲン酸ナトリウム、ヘプチルキサントゲン酸ナトリウム、オクチルキサントゲン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルキサントゲン酸ナトリウム、デシルキサントゲン酸ナトリウム、ドデシルキサントゲン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中で、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛は、反応性が高いので好ましい。
用いるシステイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、上記加硫促進剤と同様に、ゴム成分(A)と反応するポリスルフィド結合部位の活性化作用を有するものである。
用いることができるシステイン類としては、例えば、(L−)システイン、N−アセチル−L−システイン、(L−)システイン塩酸塩、(L−)システインエチルエステル塩酸塩、(L−)システインメチルエステル塩酸塩などが挙げられる。
用いることができるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)としては、例えば、炭素数4〜12のアルキル基またはアリール基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛が挙げられる。
特に好ましい加硫促進剤などの活性剤(D)としては、反応性がより高いグアニジン類、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、特に好ましくは、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)である。
本発明において、混練の第一工程におけるゴム組成物中の加硫促進剤などの活性剤(D)のモル量がシランカップリング剤(C)のモル量の0.1〜1.0倍であることが好ましい。0.1倍以上であればシランカップリング剤(C)の活性化が十分に起こり、1.0倍以下であれば加硫速度に大きな影響は与えないからである。更に好ましくは、該加硫促進剤などの活性剤(D)の分子数(モル数)はシランカップリング剤(C)の分子数(モル数)の0.3〜1.0倍である。
好ましくは、上記活性剤(D)の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.3〜6質量部、更に好ましくは、0.3〜2.5質量部であり、特に好ましくは、0.5〜1.5質量部であることが望ましい。この活性剤(D)の合計含有量が0.3質量部未満であると、低ロス効果は低く、一方、6質量部超過であると、粘度や収縮に与える影響が大きく、ユニフォミティーを悪化させてしまうこととなる。
なお、加硫促進剤などの活性剤(D)は、硫黄加硫の促進剤としても用いられるので、最初の第1工程で全部を配合しなくともよく、第1工程混練の最終段階となる第二工程においても所望により適量(一部)を配合しても良い。
〔グリセリン脂肪酸エステル組成物(E)〕
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの持つ3つのOH基のうちの少なくとも1つに脂肪酸(炭素数が8〜28)がエステル結合したものであり、脂肪酸のつく数によって、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルに分かれるものである。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)は、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含むが、それ以外にグリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを含んでいてもよい。
本発明において、グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、加硫促進剤(D)によりシランカップリング剤(C)を活性化せしめ、加硫促進剤(D)による未加硫ゴムの粘度の悪化を抑制して、無機充填材(B)の分散姓を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性の向上等の観点から、炭素数8〜28、好ましくは炭素数8〜22、更に好ましくは炭素数10〜18の脂肪酸、より更に好ましくは炭素数12〜18の脂肪酸である。また、脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖いずれでもよいが、特に、直鎖状飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。好ましくは、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸であり、特に、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
なお、炭素数8未満の脂肪酸では、ポリマーとの親和性が低く、ブルームが起こりやすい。一方、炭素数28を超える脂肪酸では、加工性改良効果の向上は炭素数28以下と変わらず、コストが上昇し、好ましくない。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)は、脂肪酸の炭素数が8〜28であり、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、好ましくは、組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下となるものが望ましい。このグリセリン脂肪酸エステル組成物を配合することにより、加工性の悪化を抑制し、加硫速度も遅延させることなく、シリカ配合未加硫ゴムの粘度の低減による加工性の向上と、耐熱性などの諸性能を高度に達成することができる。
本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノエステル含有量が85質量%を超えるものでは、加工性、作業性に懸念がある。また、加硫ゴムの耐熱性低下が大きい。
そのため、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、モノエステル含有量は、未加硫ゴム粘度を低減する観点から、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、85質量%以下であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下であり、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは45〜85質量%、より更に好ましくは50〜85質量%、更に好ましくは50〜80質量%、より更に好ましくは50〜75質量%となるものが望ましい。
また、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量は、加工性の向上と低発熱性を良好とする観点から好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、より更に好ましくは20質量%以上であり、未加硫ゴム粘度の低減の観点から、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以下であり、好ましくは10〜65質量%、より好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%、より更に好ましくは20〜50質量%である。
前記組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比は、未加硫ゴムの粘度の低減の観点から好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上、より更に好ましくは1.0以上であり、シュリンクを抑制とスコーチ制御と耐熱性を良好とする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を防ぐ観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルとグリセリン脂肪酸トリエステルの合計含有量は、未加硫ゴム粘度の低減、加工性の向上と低発熱性を良好とする観点から、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは17〜50質量%である。
特に、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、未加硫ゴム粘度の低減、加工性の向上と低発熱性を良好とする観点から、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が17〜50質量%であるものが更に好ましく、また、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が20〜50質量%であるものが更に好ましい。
また、本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物の製造の際に、未反応原料としてグリセリンが残る場合がある。グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリンの含有量は、耐熱性低下抑制の観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量やジエステル含有量等が異なる2種以上用いてもよい。
本発明において、用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、油脂等を分解したグリセリンと脂肪酸から製造するエステル化法と、油脂等とグリセリンとを原料としたエステル交換法などにより製造することができ、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノエステル量をコントロールしたものを製造する方法等としては、下記1)〜3)の各方法などが挙げられる。
1)上記エステル化法やエステル交換法などにおいて、脂肪酸成分とグリセリン成分の仕込み比率を変えることで、エステル化の平衡組成を制御する方法。グリセリンについては、さらに蒸留により取り除くことが出来る。但し、反応特性上、グリセリン脂肪酸モノエステル量の上限は約65質量%前後と考えられる。
2)エステル化法やエステル交換法で得られた反応生成物をさらに分子蒸留などにより分別留去し、高純度(通常95質量%以上)のグリセリン脂肪酸モノエステルを取り出す方法。
3)上記2)の手法で得た高純度グリセリン脂肪酸モノエステルを1)の手法で得られる中純度グリセリン脂肪酸モノエステルと任意の割合で混合することにより、比較的高純度領域(およそ65〜95質量%程度)のグリセリン脂肪酸モノエステルを得る方法。
上記原料の油脂や脂肪酸などを天然物から由来のものを用いることにより、環境負荷等も低減したグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
更に、本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、モノエステル量がコントロールされた市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製のレオドールMS−60、エキセルS−95)等が挙げられる。
なお、本発明において、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のモノグリセライド含有量(グリセリン脂肪酸モノエステル含有量)とは、GPC分析(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下式(I)に従って求めたものをいい、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド(グリセリン脂肪酸ジエステル)及びトリグリセライド(グリセリン脂肪酸トリエステル)の合計に対するモノグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
Figure 0006703369
〔上記式(I)中、GはGPCのグリセリン面積、MGはGPCのモノグリセライド面積、DGはGPCのジグリセライド面積、TGはGPCのトリグリセライド面積である。〕
尚、GPCの測定条件は、下記の通りである。
〔GPCの測定条件〕
GPCの測定は下記測定装置を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分0.6ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこにTHFに溶解した1重量%の試料溶液10μLを注入して測定を行った。
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:RI-8022(東ソー(株)製)
測定装置:HPLC-8220 GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSK-GEL SUPER H1000 2本及びTSK-GEL SUPER H2000 2本を直列に連結(東ソー(株)製)
同様に、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のジグリセライド含有量は、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの合計に対するジグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
用いることができるモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル組成物の例を挙げれば、例えば、脂肪酸の炭素数8のカプリル酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数10のデカン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数12のラウリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数14のミリスチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数16のパルミチン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数18のステアリン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数22のベヘン酸グリセリル含有組成物、脂肪酸の炭素数28のモンタン酸グリセリル含有組成物等が挙げられ、これらの中で、ラウリル酸グリセリル含有組成物、パルミチン酸グリセリル含有組成物、ステアリン酸グリセリル含有組成物が好ましい。これらのモノエステル量をコントロールしたグリセリン脂肪酸エステル含有組成物は、1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、未加硫ゴムの粘度低減の観点から、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1質量部以上であり、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を抑制する観点から、好ましくは、7質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは、2.5質量部以下であり、好ましくは、0.2〜7質量部、より好ましくは、0.3〜7質量部、更に好ましくは、0.3〜4質量部、特に好ましくは0.3〜2.5質量部、特により好ましくは、1〜2質量部である。
〔加硫剤(F)〕
本発明に用いる加硫剤としては、硫黄、不溶性硫黄などの硫黄等が挙げられ、その配合量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0質量部である。
〔タイヤ用ゴム組成物〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるものである。
本発明において、混練の第一工程で加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を加えて混練するのは、シランカップリング剤(C)のカップリング機能の活性を高め、無機充填材(B)の分散姓を改良して、未加硫ゴムの粘度の悪化を抑制し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性を向上させるためである。
本発明の混練の第一工程において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(B)を含む充填材及び前記シランカップリング剤(C)、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を混練した後に前記加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部を加えて、さらに混練することが、加硫促進剤などの活性剤(D)、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の配合によるカップリング機能の活性向上効果が低減するのを更に好適に抑制するために好ましい。即ち、無機充填材(B)とシランカップリング剤(C)との反応が十分に進行した後に、シランカップリング剤(C)とゴム成分(A)との反応を進行させることができるからである。
混練の第一工程で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)を含む充填材、及び該シランカップリング剤(C)、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を加えた後、該第一工程の途中で該加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)を加えるまでの時間を10〜180秒とすることがより好ましい。この時間の下限値は、30秒以上であることが更に好ましく、上限値は、150秒以下であることが更に好ましく、120秒以下であることが特に好ましい。この時間が10秒以上であれば(B)と(C)の反応を十分に進行させることができる。この時間が180秒を超えても(B)と(C)の反応は既に十分に進行しているので、更なる効果は享受しにくく、上限値を180秒とすることが好ましい。
本発明において、混練の第一工程におけるゴム組成物におけるゴム組成物の最高温度が、120〜190℃であることが好ましい。無機充填材(B)とシランカップリング剤(C)との反応を十分に進行させるためである。この観点から、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度が、130〜190℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。
本発明におけるタイヤ用ゴム組成物の混練工程は、ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるタイヤ用ゴム組成物であり、上記加硫剤(F)を含まない混練の第一工程と、加硫剤を含む混練の第二工程の少なくとも2つの工程を含むものであり、必要に応じ、加硫剤(F)を含まない混練の中間段階を含んでも良い。
本発明のタイヤ用ゴム組成物では、通常、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進助剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で、各種配合剤を、必要に応じ、混練の第一工程又は第二工程、あるいは第一工程と第二工程の中間段階において混練りされる。
本発明における混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等が用いられる。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記工程で混練し、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。
このように構成されるタイヤ用ゴム組成物が、何故、転がり抵抗の低減効果を発揮すると共に、加工性を向上させたタイヤ用ゴム組成物となるかは以下のように推察される。
すなわち、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるものであり、第1工程で、ゴム成分(A)に対して、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤などの活性剤(D)を配合した配合系に、無機充填材(B)の表面を疎水化し、かつ滑剤としても作用するモノエステル量をコントロールした脂肪酸の炭素数が8〜28となるグリセリン脂肪酸エステル組成物の少なくとも一種(あるいは上記他の態様の特定比のグリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルと)を配合することにより、加硫促進剤などの活性剤(D)によりシランカップリング剤(C)を活性化せしめ、加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)による未加硫ゴムの粘度の悪化をモノエステル単体と同様にフィラーであるシリカなどの無機充填材(B)と反応することができ、また、滑剤作用もあるため、さらに低粘度化し、また、シリカ等の疎水化作用と滑剤作用と可塑化作用とにより、粘度の悪化を抑制して、無機充填材(B)を含む充填材の分散姓を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性も向上されるものと推察される。
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
なお、用いるゴム成分において、ジエン系重合体として、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカとの間で相互作用が可能な含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基から選ばれる変性官能基を3つ以上有し、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するジエン系重合体(Y)を含むゴム成分は、後述する製造例11〜16である。このジエン系重合体(Y)を含むゴム成分を用いる本発明範囲をサポートする実施例は、後述する実施例10〜15となる。後述する実施例1〜9、16〜29は、上記ジエン系重合体(Y)を含まないゴム成分を用いるので参考例(本発明の範囲外)となる。
<製造例1〜9>
用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、下記各製造法等により得たものを使用した。なお、製造した各グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル、グリセリンの各成分の含有量は、前述の方法で算出し、各組成を求めた。これらの結果を下記表1に示す。
(製造例1:脂肪酸の炭素数が8のグリセリン脂肪酸エステル、実施例16用)
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの1L四ツ口フラスコに、グリセリン450g、オクタン酸[花王株式会社製ルナック8−98]352gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=2.0]、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウムをナトリウムとして10ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて240℃まで昇温した。240℃に達した後、酸成分をフラスコに環流させながら脱水し、その温度で4時間反応させた。反応後の生成物中のモノグリセライド含量は67面積%であった。
続いて反応混合物を170℃まで冷却し、そのままグリセリンを圧力2.7kPa以下で減圧留去し、さらに150℃、2kPaで2時間水蒸気を供給した後、ゼータプラス30S(キュノ(株)製)を用いて加圧で吸着濾過して、モノグリセライド含有組成物を得た。得られた組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例2:脂肪酸の炭素数が10のグリセリン脂肪酸エステル、実施例17用)
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のデカン酸[花王株式会社製ルナック10−98]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例3:脂肪酸の炭素数が12のグリセリン脂肪酸エステル、実施例18用)
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のラウリン酸[花王株式会社製ルナックL−98]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例4:脂肪酸の炭素数が炭素数16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例1〜1521〜2529用)
上記製造例4で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた
(製造例5:脂肪酸の炭素数が18のグリセリン脂肪酸エステル、実施例1928用)
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のステアリン酸[花王株式会社製ルナックS−98]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例6:脂肪酸の炭素数が22のグリセリン脂肪酸エステル、実施例20用)
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のベヘニン酸[花王株式会社製ルナックBA]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例7:脂肪酸の炭素数が16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例26用)
上記製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと、該製造例4のグリセリン脂肪酸エステルを分子蒸留することで調整したものとを重量比35:65で混合することにより調整した。得られたモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例8:脂肪酸の炭素数が16のグリセリン脂肪酸エステル、実施例27用)
上記製造例1において、グリセリンの量を160gに、オクタン酸をパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]657gに変える[グリセリン/脂肪酸(モル比)=0.67]以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
(製造例9:変性ポリマーの製造、実施例7用)
用いる変性ポリマーは、下記製造法により得た変性SBRを使用した。
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、これに2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.44ミリモルを加え、さらにn−ブチルリチウム(BuLi)0.48ミリモルを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系にN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1
−プロパンアミン0.43ミリモルを加えた後、さらに50℃で30分間変性反応を行った。この後、重合系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに常法に従い乾燥することにより変性ポリマー(変性SBR)を得た。
得られた変性ポリマー(変性SBR)の物性を、下記の方法に従って測定した。
変性ポリマー(変性SBR)のピーク分子量(Mp)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
また、変性ポリマー(変性SBR)のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求め、重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。変性ポリマー(重合体)のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
得られた変性ポリマー(変性SBR)のBase Mp〔変性反応前のピーク分子量(Mp)〕は、18.5×104、ミクロ構造におけるスチレン単位含有量は20.3(wt%)、ビニル基含量は51.8(wt%)、ムーニー粘度〔ML1+4/100℃〕は68であった。
<製造例10〜16>
以下の手順に従って、製造例10〜16を製造した。なお、各変性重合体となる変性SBRにおける、変性官能基同士の直接結合の有無、変性官能基の位置、変性官能基の種類、変性官能基の数、ポリマー分子特性である結合スチレン量(%)、ビニル基含量wt%)、ムーニー粘度(ML1+4/100℃)、ピーク分子量、ガラス転移温度(℃)を下記表2に示す。
(製造例10:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。引き続き、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。
(製造例11:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.27gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に1.14ミリモルのsec−ブチルリチウムと0.57ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として1.14ミリモルのN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。
(製造例12:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.27gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に2.28ミリモルのsec−ブチルリチウムと1.14ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として2.28ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Gを得た。
(製造例13:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.60ミリモルを加え、1.20ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.52gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として1.20ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に4.80ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.40ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として4.80ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−2を得た。
(製造例14:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.57ミリモルを加え、1.14ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.48gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として1.14ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に4.56ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.28ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として4.56ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−3を得た。
(製造例15:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.115ミリモルを加え、0.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.10gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.23ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に0.92ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.85ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として0.92ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−4を得た。
(製造例16:変性SBRの製造)
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.61gとp−メチルスチレン0.14gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に1.14ミリモルのsec−ブチルリチウムと0.57ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として1.14ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Hを得た。
上記製造例10〜16の変性重合体となる変性SBRのポリマー分子特性である結合スチレン量(wt%)、ビニル基含量(wt%)、ムーニー粘度(ML1+4/100℃)、ピーク分子量、ガラス転移温度は、以下により行った。
変性重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
ビニル基含量wt%)は、1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
変性重合体のムーニー粘度は、東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
変性重合体のピーク分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱分析機(DSC)にて、−150℃まで冷却した後に10℃/minで昇温する条件で測定した。
〔実施例1〜20及び比較例1〜7〕
下記表3及び4に示す配合処方で下記方法により、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例1〜20及び比較例1〜7では、混練の第一工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように表3及び4の混練の第一工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練の第一工程において、ゴム成分(A)〔SBR、変性SBR〕、無機充填剤(B)を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤(C)、加硫促進剤(D)〔グアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等〕、グリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を混練することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、第二工程として、前記予備組成物に加硫剤(F)である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)、TF(タフネス)、加工性(未加硫ゴム粘度)を下記の各方法により算出して評価した。
これらの結果を下記表3及び4に示す。
〔転がり抵抗性能(tanδ指数)の評価方法〕
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1のtanδを100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6のtanδを100として、下記式にて指数表示した。
発熱性指数={(比較例1又は6の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
指数値が大きいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗性能が優れることを示す。
〔耐摩耗性(指数)の評価方法〕
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1の摩耗量の逆数を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6の摩耗量の逆数を100として下記式にて指数表示した。
耐摩耗性指数={(比較例1又は6の加硫ゴム組成物の摩耗量)/(供試加硫ゴム組成物の摩耗量)}×100
指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
〔TF(タフネス)の評価方法〕
未加硫ゴムを160℃で20分加硫後、JIS K6251に準拠して測定温度100℃で引張試験を行うことによってEb(切断時伸び(%))及びTb(引張強さ(MPa))を測定し、TF(タフネス:Eb×Tb)を求めた。
実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6を100として指数表示した。この値が大きいほど、高温時ゴム強度(タフネス)が高いことを示す。
〔加工性(未加硫ゴム粘度の測定方法)〕
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1の粘度の逆数を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6の粘度の逆数を100として指数表示した。この値が大きいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
Figure 0006703369
Figure 0006703369
Figure 0006703369
Figure 0006703369
上記表3及び4中の*1〜*10は下記のとおりである。
*1)SBR#1723〔JSR社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*2)製造例9(変性SBR)
*3)シースト7HM(N234)〔東海カーボン社製〕
*4)東ソーシリカ社製「ニプシールVN3」、BET表面積210m/g、CTAB表面積144m/g
*5)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤 、商標「Si75」
*6)1,3−ジフェニルグアニジン、ノクセラーD〔大内新興化学工業社製〕
*7)N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、ノクセラーNS〔大内新興化学工業社製〕
*8)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ノクセラーDM〔大内新興化学工業社製〕
*9)マイクロクリスタリンワックス、オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*10)N−(1,3−ジメチルブチル)―N′−フェニルーp−フェニレンジアミン、ノクラック6C〔大内新興化学工業社製〕
上記表1〜4の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜20のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜7に較べて、転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)、タフネス、加工性(未加硫ゴム粘度)も良好となるタイヤ用ゴム組成物となることが判明した。
〔実施例21〜29及び比較例8〜9〕
下記表5に示す配合処方で下記方法により、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例21〜29及び比較例8〜9では、混練の第一工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように表の混練の第一工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練の第一工程において、ゴム成分(A)〔ポリマーA、ポリマーB〕、無機充填剤(B)を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤(C)、活性剤(D)〔活性剤A〜D〕、グリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を混練することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、第二工程として、前記予備組成物に加硫剤(F)である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、タイヤユニフォミティー(指数)、タイヤRRC(指数)、耐摩耗性(指数)を下記の各方法により算出して評価した。
これらの結果を下記表5に示す。
〔加工性(未加硫ゴム粘度の測定方法)〕
表3の加工性の評価法と同じであり、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
比較例8の粘度の逆数を100として指数表示した。この値が大きいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
〔転がり抵抗性能(tanδ指数)の評価方法〕
表3の転がり抵抗性能(tanδ指数)の評価法と同じであり、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例8のtanδを100として上記式にて指数表示した。
指数値が大きいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗性能が優れることを示す。
〔ユニフォミティーの評価方法〕
得られた各ゴム組成物をタイヤトレッドに用いて供試タイヤ(サイズ:215/45ZR17)を作製した。230kPaの内圧を充填した各供試タイヤのRFV(Radial Force Variation)およびLFV(Lateral Force Variation)を測定した。比較例8のタイヤの値を100として指数表示した。
指数値が小さい程、ユニフォミティーが優れていることを示す。
〔RRC(低転がり抵抗性)の評価方法〕
各供試タイヤをドラム試験にて、80km/時の走行時のタイヤ接地面に発生する進行方向に対する抵抗を測定した。比較例8のタイヤの値を100として指数表示した。
指数値が大きい程、低転がり抵抗性能に優れていることを示す。
〔耐摩耗性(指数)の評価方法〕
表3の耐摩耗性(指数)の評価法と同じであり、JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例8の摩耗量の逆数を100として上記式にて指数表示した。
指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
Figure 0006703369
上記表5中の*1〜*18は下記のとおりである。
*1)SBR#1723〔JSR社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*3)シースト7HM(N234)〔東海カーボン社製〕
*4)東ソーシリカ社製「ニプシールVN3」、BET表面積210m2/g、CTAB表面積144m/g
*6)1,3−ジフェニルグアニジン、ノクセラーD〔大内新興化学工業社製〕
*8)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ノクセラーDM〔大内新興化学工業社製〕
*9)マイクロクリスタリンワックス、オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*10)N−(1,3−ジメチルブチル)-N′−フェニルーp−フェニレンジアミン、ノクラック6C〔大内新興化学工業社製〕
*11)BR01〔JSR社製〕*12)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*13)ジブチルジチオリン酸亜鉛、商品名:Rhenocure TP/S、ラインケミー社製
*14)チオ尿素、商品名:チオ尿素、堺化学工業社製
*15)チオシアン酸アンモニウム、商品名:チオシアン酸アンモニウム、関東化学製
*16)L−システイン、商品名:L−Cysteine、東京化成工業社製
*17)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、商品名:サンセラーCM−G、三新化学工業社製
*18)2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、商品名:ノンフレックスRD−S、精工化学社製
上記表5の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例21〜29のタイヤ用ゴム組成物、それを用いたタイヤは、本発明の範囲外となる比較例8〜9に較べて、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、タイヤユニフォミティー(指数)、タイヤRRC(指数)、耐摩耗性(指数)も良好となることが判明した。
具体的に実施例及び比較例を考察すると、比較例8を勘案して比較例9において、グリセリン脂肪酸エステル組成物を入れると、転がり抵抗性能は変わらないが、粘度ががり、タイヤのユニフォミティー、耐摩耗が悪くなる。そこで、実施例21〜29のように、活性剤(D)とグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の両方を第一工程で含有することで、粘度や耐摩耗性を改良することができ、さらにグリセリン脂肪酸エステル組成物を単純に入れるだけでは改良しなかった、転がり抵抗性能も改良される。これらを総合すると、本発明をサポートする実施例21〜29では、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、タイヤユニフォミティー(指数)、タイヤRRC(指数)、耐摩耗性(指数)も高度に両立することが判明した。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. ジエン系重合体として、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカとの間で相互作用が可能な含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基から選ばれる変性官能基を3つ以上有し、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するジエン系重合体を含むゴム成分(A)、シリカを有する無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び活性剤(D)の全部又は一部、並びに、脂肪酸の炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、
    前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、
    を含むゴム組成物の製造方法により製造されるタイヤ用ゴム組成物であって、
    前記活性剤(D)は、加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジチオリン酸類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなり、
    前記脂肪酸の炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下である、
    ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. 全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ジエン系重合体のピーク分子量が5万〜70万であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ジエン系重合体は、変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とを経ることよりジエン系重合体を得ることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成は、前記ジエン系重合体の単量体成分と変性剤とを交互又は同時に投入することで行うことを特徴とする請求項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記脂肪酸の炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.2〜7質量部であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 活性剤(D)がグアニジン類であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が10〜65質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比が、0.5〜10であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  11. グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  12. さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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