JP6353777B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、充填材としてシリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。
しかし、無機充填材配合ゴム組成物において、シリカ等の無機充填材を配合する際には、無機充填材、特にシリカはゴム組成物中で凝集してしまうため(シリカ表面の水酸基が原因で凝集してしまうため)、凝集を防止するためにシランカップリング剤が用いられる。
従って、シランカップリング剤を配合して上記問題を好適に解決するために、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を高める目的で種々の試みがなされている。
また、特許文献2では、基本成分として、少なくとも(i)1種のジエンエラストマー、(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシランを、(iv)ジチオリン酸亜鉛及び(v)グアニジン誘導体と一緒に含むゴム組成物が開示されている。
特許文献3では、少なくとも、(i) ジエンエラストマー、(ii) 強化充填剤としての無機充填剤、(iii)(無機充填剤/ジエンエラストマー)カップリング剤としての多硫化アルコキシシラン(PSAS)をベースとし、(iv) アルジミン(R−CH=N−R)及び(v) グアニジン誘導体とが併用されているゴム組成物が記載されている。
さらに、特許文献4では、少なくとも:(i)ジエンエラストマー、(ii)補強フィラーとしての無機フィラー、(iii)カップリング剤としての多硫化アルコキシシランに基づき、(iv)1,2-ジヒドロピリジン及び(v)グアニジン誘導体を伴うゴム組成物が提案されている。
しかしながら、これらの発明は、混練条件についての考慮がなされていなかった。
また、混練条件を考慮して、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を高める例としては、特許文献5及び6が挙げられるが、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなり作業性が低下するという問題点があった。
即ち、本発明は、
[1] ISO289−4(2003)に準拠した100℃におけるムーニー緩和率(MSR)が0.40〜0.70の共役ジエン系重合体ゴムを含むゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、シランカップリング剤(C)、及び、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類から選択される少なくとも一種の促進剤(D)を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該促進剤(D)を加えて混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法、及びその方法にて製造されたゴム組成物である。
本発明のゴム組成物の製造方法は、ISO289−4(2003)に準拠した100℃におけるムーニー緩和率(MSR)が0.40〜0.70の共役ジエン系重合体ゴムを含むゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、シランカップリング剤(C)、及び、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類から選択される少なくとも一種の促進剤(D)を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該促進剤(D)を加えて混練することを特徴とする。
本発明において、混練の第一段階で促進剤(D)を加えて混練するのは、シランカップリング剤(C)のカップリング機能の活性を高めるためである。
混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を加えた後、該第一段階の途中で該促進剤(D)を加えるまでの時間を10〜180秒とすることがより好ましい。この時間の下限値は、30秒以上であることが更に好ましく、上限値は、150秒以下であることが更に好ましく、120秒以下であることが特に好ましい。この時間が10秒以上であれば(B)と(C)の反応を十分に進行させることができる。この時間が180秒を超えても(B)と(C)の反応は既に十分に進行しているので、更なる効果は享受しにくく、上限値を180秒とすることが好ましい。
0≦X≦1.5×Y ・・・[1]
混練の第一段階(X)における有機酸量を減少させるためには、有機酸が混練りの第二段階以降に加えられることが好ましい。
なお、本発明における混練の第一段階とは、ゴム成分(A)と無機充填材(B)とシランカップリング剤(C)とを混練する最初の段階をいい、最初の段階でゴム成分(A)と無機充填材(B)以外の充填材とを混練する場合やゴム成分(A)のみを予備練りする場合の段階は含まれない。
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられるゴム成分(A)は、ISO289−4(2003)に準拠した100℃におけるムーニー緩和率(MSR)が0.40〜0.70の共役ジエン系重合体ゴムを含むものである。
上記の共役ジエン系重合体ゴムは、共役ジエン共重合体ゴムであってもよいし、共役ジエン単独重合体であってもよい。共役ジエン共重合体としては、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムであってもよいし、複数種の共役ジエンの共重合体であってもよい。
また、重合方法としては、アニオン重合、配位重合及び乳化重合のいずれでもよいが、ムーニー緩和率(MSR)を0.40〜0.70に制御する観点からアニオン重合が好ましい。本発明に係る共役ジエン系重合体ゴムは、分岐状共役ジエン系重合体ゴムであることが好ましい。この好適な分岐状共役ジエン系重合体ゴムは、変性共役ジエン系重合体ゴムであってもよいし、無変性共役ジエン系重合体ゴムであってもよい。
本発明において好適な分岐状共役ジエン系重合体ゴムが変性共役ジエン系重合体ゴムである場合の変性剤は、アニオン重合又は配位重合の重合活性末端と反応する変性剤であってもよいし、アニオン重合の重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であってもよい。また、乳化重合において、変性剤が、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つを含むモノマーとして共重合されてもよい。
本発明に係る、100℃におけるムーニー緩和率(MSR)が0.40〜0.70の共役ジエン系重合体ゴム(好ましくは、分岐状共役ジエン系重合体ゴム)は、例えば、アニオン重合において、通常より高温で重合することにより得られる。100℃におけるムーニー緩和率(MSR)は、0.50〜0.60がより好ましい。
ムーニー緩和率(MSR)は、ISO289−4(2003)に準拠し、ムーニービスコメータ(例えば、島津製作所製SMV−300RT)を用いて、100℃で、L形ロータの回転速度2rpmの回転を停止し、停止後のトルク(ムーニー単位)と時間(秒)とを両対数プロットした際の直線の傾きをムーニー緩和率(MSR)とする。
所望するムーニー緩和率(MSR)とするためには、共役ジエン系重合体ゴムの重合温度や反応中の撹拌速度を適宜調整してもよいし、共役ジエン系重合体ゴムを多官能性変性剤で変性することや、多官能性モノマーや分岐構造を有するモノマーを用いることでも分岐度を調整することが出来る。また、前述した方法を適宜組み合わせてもよい。なお、分岐度を調整する手法は前述した内容に限られるものではない。
アニオン重合における、本発明において好適な分岐状共役ジエン系重合体ゴムの重合温度は、100℃におけるムーニー緩和率(MSR)を0.40〜0.70に制御する観点から、100〜150℃が好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
重合開始剤としての有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属の内、有機アルカリ金属化合物が好ましく、特に有機リチウム金属化合物が好ましい。
また、上記二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素としては、例えば、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,4−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,3−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン、1,4−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン等が好ましく挙げられる。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第二アミンと有機リチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
本発明において好適な分岐状共役ジエン系重合体ゴムの変性に使用される変性剤は、シリカ等の無機充填材(B)及び/又はカーボンブラックに対して親和性を有する官能基を含む変性剤である。そして、この変性剤が、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。即ち、シリカ等の無機充填材(B)及び/又はカーボンブラックに対して親和性を有する官能基が、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有することが好ましい。ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子のいずれかを有する官能基は、シリカ等の無機充填材(B)及び/又はカーボンブラックに対して親和性を有するからである。
シリカに対して親和性を有する観点から、本発明に係る変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
また、酸素及びケイ素含有化合物としては、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランから1種以上選ばれるエポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好適に例示され、硫黄及びケイ素含有化合物としては、上記エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物のエポキシ基をチオエポキシ基に置換した置き換えたチオエポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好適に例示される。窒素含有化合物としては、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン及び4−ジメチルアミノベンジリデンアニリンから1種以上選ばれる化合物が好適に例示される。
以上例示した変性剤の内、四塩化スズ、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等の3官能以上の多官能性変性剤を用いることにより、分岐状共役ジエン系重合体ゴムの分岐度を高めて、ムーニー緩和率(MSR)を小さくすることができる。
この他の合成ジエン系ゴムとしては、無変性溶液重合スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(以下、「無変性溶液重合SBR」ということがある。)、変性溶液重合スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(以下、「変性溶液重合SBR」ということがある。)、乳化重合スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(以下、「乳化重合SBR」ということがある。)、無変性ポリブタジエンゴム(無変性BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を用いることができ、天然ゴム及び他の合成ジエン系ゴムは、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
本発明に係るゴム成分(A)中、分岐状共役ジエン系重合体ゴムが50〜100質量%、天然ゴム及び/又は他の合成ジエン系ゴムが0〜50質量%であることが好ましく、分岐状共役ジエン系重合体ゴムが60〜100質量%、天然ゴム及び/又は他の合成ジエン系ゴムが0〜40質量%であることがより好ましく、分岐状共役ジエン系重合体ゴムが70〜100質量%、天然ゴム及び/又は他の合成ジエン系ゴムが0〜30質量%であることがさらに好ましく、分岐状共役ジエン系重合体ゴムが80〜100質量%、天然ゴム及び/又は他の合成ジエン系ゴムが0〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられるシランカップリング剤(C)は、下記一般式(I)及び(II)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが好ましい。
本発明方法に係るゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好な空気入りタイヤを与えることができる。
以下、下記一般式(I)及び(II)を順に説明する。
(−S−R8−S−)、(−R9−Sm1−R10−)及び(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R8〜R13は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜20の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基、二価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2、m3は同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3、但しs及びtの双方が3であることはない。
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3等で表される化合物が好適に挙げられる。
上記一般式(II)で表わされるシランカップリング剤(C)は、例えば、国際公開2004/000930号、特開2006−167919号公報に記載された方法で製造できる。
本発明においては、シランカップリング剤(C)は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤(C)の配合量は、質量比[シランカップリング剤(C)/無機充填材(B)]が[1/100]〜[20/100]であることが好ましい。[1/100]未満ではゴム組成物の低発熱性向上の効果が発揮しにくくなり、[20/100]を超えると、ゴム組成物のコストが過大となり、経済性が低下するからである。更には質量比[シランカップリング剤(C)/無機充填材(B)]が[3/100]〜[20/100]であることがより好ましく、[4/100]〜[20/100]であることが特に好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられる促進剤(D)として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類が挙げられる。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、第一級アルキル基を有するもの、第二級アルキル基を有するもの及びアリール基を有するものが挙げられる。このようなジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、例えば、O,O′−ジメチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジエチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−t−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(4−メチルペンチル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジフェニルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジシクロヘキシルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。中でも、O,O′−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛が好ましい。これらのジアルキルジチオリン酸亜鉛は単独又は2種以上の混合物で用いることができる。
グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジン等が挙げられ、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドは反応性が高いので好ましく、1,3−ジフェニルグアニジンは反応性がより高いので特に好ましい。
なお、促進剤(D)は、硫黄加硫の促進剤としても用いられるので、混練の最終段階においても所望により適量を配合してもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられる無機充填材(B)は、シリカ及び下記一般式(III)で表される無機化合物を用いることができる。
dM1・xSiOy・zH2O ・・・(III)
ここで、一般式(III)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
尚、一般式(III)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
一般式(III)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材(B)は、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(III)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
また、本発明に係るゴム組成物の充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(B)が40質量%以上であることがウェット性能と低発熱性の両立の観点から好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における有機酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにロジン酸や変性ロジン酸等の樹脂酸などが挙げられる。
本発明においては、加硫促進助剤としての機能を十分に発揮する必要があることから有機酸中の50モル%以上がステアリン酸であることが好ましい。
また、有機酸中の50モル%以下が乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体に含まれるロジン酸(変性ロジン酸も包含される。)及び/又は脂肪酸であってもよい。
本発明の製造方法における混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等が用いられる。
なお、共役ジエン系重合体ゴムのムーニー緩和率(MSR)、結合スチレン含有量[質量%]、ビニル結合含有量[質量%]、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)を下記の方法により評価し、未加硫ゴム組成物の生産性指数及び作業性(ムーニー粘度指数)、並びに加硫ゴム組成物の発熱性(tanδ指数)を下記の方法により評価した。
ISO289−4(2003)に準拠し、島津製作所製ムーニービスコメータ(SMV−300RT)を用いて、100℃で、L形ロータの回転速度2rpmの回転を停止し、停止後のトルク(ムーニー単位)と時間(秒)とを両対数プロットした際の直線の傾きをムーニー緩和率(MSR)とした。
<結合スチレン含有量(質量%)>
1H−NMRでスペクトルの積分比を算出することにより求めた。
<ビニル結合含有量(質量%)>
赤外法(モレロ法)により求めた。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8220GPC、カラム:東ソー製GMHXL−2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、測定温度40℃で、共役ジエン系重合体ゴムのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶出溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。
<T80>
ML1+4測定直後にL形ロータの回転を停止し、ML1+4の値が80%低減するまでに必要な時間(秒)を測定した。
共役ジエン系重合体の生産サイクル(モノマーの重合の開始時から、脱溶媒工程をへて、乾燥工程を終了するまで)に要した時間により評価を行った。結果は比較例1で用いている共役ジエン系重合体Dの生産サイクルに要した時間を100として、指数で表記した。本数値が大きい程、生産性が優れていることを表す。
<作業性(ムーニー粘度指数)>
JIS K 6300−1:2001に準拠し130℃で1分間予熱し、その後の4分値(ML1+4)値を測定した。下記式により、ムーニー粘度指数を算出し、作業性の指標とした。ムーニー粘度指数の小さい程、作業性が良好である。
ムーニー粘度指数={(供試未加硫ゴム組成物のML1+4値)/(比較例2の未加硫ゴム組成物のML1+4値)}×100
<発熱性(tanδ指数)>
動的せん断粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例2のtanδを100として下記式にて指数表示した。指数値が小さい程、発熱性が低く、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
発熱性指数={(供試加硫ゴム組成物のtanδ)/(比較例2の加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
<共役ジエン系重合体A〜Eの製造>
第1表に示すスチレン量[100g/h(時)]、ブタジエン量[100g/h(時)]、n−ブチルリチウム量[mmol/h(時)]、[2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン(OOPs)/n−ブチルリチウム]モル比、1,2−ブタジエン量[ppm]、重合温度、n−ヘキサン溶液中のモノマー量[質量%]、及び連続重合中の滞留時間[min]により連続重合し、連続的に回収したポリマーセメントに、イソプロパノールを加えて重合反応を停止させ、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル‐4‐クレゾール(BHT)を添加した後、得られたポリマーセメントを、脱溶媒し、乾燥することにより、共役ジエン系重合体A〜Eを得た。得られた共役ジエン系重合体A〜Eの結合スチレン含有量[質量%]、ビニル結合含有量[質量%]、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(MWD)、T80及びムーニー緩和率(MSR)を第1表に示す。
1) (OOPs)/n−ブチルLi(mol比): mol比[(2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン)/(n−ブチルリチウム)]
2) 1,2−ブタジエンの投入量である。
第2表に示す配合処方及び混練方法により、実施例1〜6及び比較例1〜4においては混練の第一段階で、共役ジエン系重合体A〜Eを含むゴム成分(A)、充填剤(シリカ及びカーボンブラック)、シランカップリング剤(C)、アロマティックオイル、ステアリン酸及び老化防止剤6Cを加えて、60秒混練りした後、促進剤(D){TP/S、加硫促進剤DPG又はチオウレア}を加えて、さらに混練した。比較例5及び6においては混練の第一段階で、ゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、及びシランカップリング剤(C)を加えて混練したが、混練の第一段階で促進剤(D)を加えなかった。混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度は、いずれも、170℃であった。次に、混練の第二段階で酸化亜鉛、加硫促進剤及び硫黄を配合して、実施例1〜6及び比較例1〜6のゴム組成物を得た。混練の第二段階におけるゴム組成物の最高温度は、いずれも、110℃であった。得られた実施例1〜6及び比較例1〜6の12種類の未加硫ゴム組成物の生産性指数及び作業性(ムーニー粘度指数)、並びに12種類の加硫ゴム組成物の発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第2表に示す。
*1: 共役ジエン系重合体A〜E: 製造例1〜3並びに製造比較例1及び2で得られた共役ジエン系重合体A〜E
*2: SBR: JSR株式会社製、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「SL552」(結合スチレン含有量23.5質量%、ビニル結合含有量33.5質量%)
*3: アロマティックオイル: 芳香族系プロセスオイル: 富士興産株式会社製、商品名「アロマックス3」
*4: カーボンブラック(ISAF−HS):東海カーボン株式会社製、商品名「シースト7HM」
*5: シリカ: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil AQ」、BET表面積205m2/g
*6: シランカップリング剤: ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*7: TP/S: ラインケミー社製、商品名「レノキュアTP/S」(67%ジアルキルジチオリン酸亜鉛(zinc dialkyl dithiophosphate)bound to 33%シリカ、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の主成分は、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛である。)
*8: 加硫促進剤DPG: 1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
*9: チオウレア: 堺化学工業株式会社製、商品名「チオ尿素」)
*10: 老化防止剤6C: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*11 加硫促進剤DM: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*12: 加硫促進剤NS: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
Claims (12)
- ISO289−4(2003)に準拠した100℃におけるムーニー緩和率(MSR)が0.40〜0.70の連続式で重合した共役ジエン系重合体ゴムを含むゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、シランカップリング剤(C)、及び、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類から選択される少なくとも一種の促進剤(D)を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該促進剤(D)を加えて混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- 前記共役ジエン系重合体ゴムが前記ゴム成分(A)中、50〜100質量%であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記第一段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(B)の全部又は一部及び前記シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練した後に前記促進剤(D)を加えて、さらに混練することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記第一段階におけるゴム組成物中の有機酸のモル量Xが前記促進剤(D)のモル量Yに対して以下の式[1]の関係にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
0≦X≦1.5×Y ・・・[1] - 前記ゴム組成物中の有機酸が混練りの第二段階以降に加えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記第一段階におけるゴム組成物の最高温度が、120〜190℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記シランカップリング剤(C)が、下記一般式(I)及び(II)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法
[式中、R1は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基、R2は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、R3は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3、但しp及びrの双方が3であることはない。]
- 前記無機充填材(B)がシリカである請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、O,O′−ジメチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジエチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−t−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(4−メチルペンチル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジフェニルジチオリン酸亜鉛及びO,O′−ジシクロヘキシルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記グアニジン類が、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記チオウレア類が、チオウレア、N,N’−ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素及びN,N’−ジメチルチオ尿素から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法にて製造されたゴム組成物。
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