JP2016006153A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
従来において、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。
しかしながら、無機充填材配合ゴム組成物において、シリカ等の無機充填材を配合する際には、無機充填材、特にシリカはゴム組成物中で凝集してしまうため(シリカ表面の水酸基が原因で凝集してしまうため)、凝集を防止するためにシランカップリング剤が用いられている。
従って、シランカップリング剤を配合して上記問題を好適に解決するために、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を更に高める目的で種々の試みがなされている。
しかしながら、上記特許文献1の技術は、転がり抵抗の低減効果を発揮するものであるが、加工性の改善が求められている。
例えば、1)ジエン系ゴム90重量部以上含むゴム100重量部に対して、40重量%以上が白色充填剤である充填剤30〜120重量部と、非イオン系界面活性剤0.2〜8重量部とを配合した帯電性を改良したゴム組成物(例えば、特許文献2参照)や、2)ジエンゴムの群から選択される少なくとも1種のポリマー、ゴム組成物中のゴム100重量部に対して、5〜100重量部の微粉末沈降ケイ酸、0〜80重量部のカーボンブラック、および0.5〜20重量部の少なくとも1種の非芳香族粘度低下物質を含むタイヤトレッド用ゴム組成物において、前記非芳香族粘度低下物質が、グリセリン−モノステアレート、ソルビタン−モノステアレート、ソルビタン−モノオレエートおよびトリメチロールプロパン(2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)からなる 群から選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
また、上記特許文献3は、本発明の近接技術を開示するものであるが、グリセリン脂肪酸モノエステルを配合し、シリカ配合時の粘度低減効果について記載はあるが、シリカ配合ゴム組成物にグリセリン脂肪酸モノエステルを配合したときに起こりうる加工性の悪化については全く記載や示唆などはないものである。
(1) 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、
前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、
を含むゴム組成物の製造方法により製造されることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
(2) 合成ジエン系ゴムが、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基を3つ以上有し、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するジエン系重合体であることを特徴とする上記(1)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有することを特徴とする上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 前記変性官能基が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基であることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のゴム組成物。
(5) 前記ジエン系重合体のピーク分子量が5万〜70万であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(6) 前記ジエン系重合体は、変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とを経ることよりジエン系重合体を得ることを特徴とする上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) 前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成は、前記ジエン系重合体の単量体成分と変性剤とを交互又は同時に投入することで行うことを特徴とする上記(6)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(8) 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.2〜7質量部であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(9) 活性剤(D)がグアニジン類であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(10) 活性剤(D)がシステイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジチオリン酸類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(11) 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(12) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、前記グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする上記(11)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(13) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が10〜65質量%であることを特徴とする上記(11)又は(12)記載のタイヤ用ゴム組成物。
(14) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比が、0.5〜10であることを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(15) グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする上記(11)〜(14)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(16) さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする上記(11)〜(15)のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されることを特徴とするものである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いるゴム成分としては、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、合成ジエン系の変性ポリマーなどが挙げられる。
変性ポリマーとしては、例えば、本出願人による、1)特開平11−349632号公報記載の炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と特定のメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させて得た変性ポリマー、2)WO2003/046020号記載のジエン系モノマーを単独で、あるいは、他のモノマーと共に重合して得られ、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合の含量が75モル%以上の、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第1次変性の後、さらにヒドロカルビルオキシシラン化合物を加え、縮合促進剤の存在下で、第2次変性を行った得た共役ジエン系重合体や、上記第1次変性の後、多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させて得た共役ジエン系重合体、並びに、上記第1次変性の後、縮合促進剤を加え、末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合反応を行なって得た共役ジエン系重合体、3)WO2003/087171号記載の有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる変性反応を行い、該反応の途中及び/又は終了後に反応系に縮合促進剤を加えて得た変性重合体が挙げられる。これらの変性ポリマーは、上記各公報(各実施例等)に開示の方法により製造することができ、また、市販品があれば、市販品を使用してもよい。
これらの変性ポリマーは、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物の両方に用いた場合に、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮し得るものとなる。
これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
好ましくは、変性ポリマーの含有量は、ゴム成分(A)に対して、10質量%以上、更に、30〜70質量%とすることが望ましい。
このジエン系重合体としては、その末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するものであってもよい。このジエン系重合体において、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに前記変性官能基を配する理由は、より効率的にシリカを分散させる効果が得られると考えられるためである。また、変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有することによって、シリカの凝集体を効率的に崩すことが出来ると考えられる。前記の特徴を全て有することで、個別の特徴のみを有するジエン系重合体と比較して、より顕著な効果が得られると考えられる。
一方、単量体としての前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン及び2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが特に好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前記ジエン系重合体の末端は、少なくともいずれか一方の末端のことを意味し、前記変性官能基を有する範囲は、前記ジエン系重合体の一方の末端(先端)から全鎖長の1/4の範囲でも良く、両端から全鎖長の1/4の範囲ずつでも良いが、ジエン系重合体自体の性能と、変性による性能を効率よく得られる点からは、いずれか一方の末端のみに存在することが好ましい。
前記ジエン系重合体の末端から全鎖長の1/4の範囲において、前記変性官能基が互いに直接結合しない構造をとることで、シリカとの親和性をさらに向上できるため、より優れた低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性を実現できる。
さらにまた、同様の観点から、全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有する(つまり、前記ジエン系重合体中の全ての変性官能基は互いに直接結合していない)ことがより好ましい。
前記変性剤は、シリカに対して相互作用性を有する官能基を含む変性剤であり、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。
そして、当該アルコキシシラン化合物については、特に限定はされないものの、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
そして、当該ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
前記加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は前記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の一価の脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
ましい。
また、一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
さらに、前記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。
このリチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド及びリチウムメチルフェネチルアミドから選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好適に例示される。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。
さらに、乳化重合によって前記ジエン系重合体を変性する場合に好適な変性剤としては、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒド及び4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンから選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。これらの乳化重合において好ましく用いられる変性剤は、窒素原子及び/又はケイ素原子を含むモノマーとして、乳化重合時に共重合されることが好ましい。
また、前記ジエン系重合体は、示差走査熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移点(Tg)が0℃以下であるのが好ましい。前記ジエン系重合体のガラス転移点が0℃を超えると、低温でのゴム特性が著しく悪化する。
さらに、前記ゴム成分中の前記ジエン系重合体の含有率は、10質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中の前記ジエン系重合体の含有率が10質量%未満では、充填剤の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の低ロス性、破壊特性及び耐摩耗性を改善する効果が小さいためである。
なお、上述したジエン系重合体を製造する方法については、その末端から全鎖長の1/4の範囲のみに変性官能基を3つ以上有し、少なくとも1つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を形成することができれば特に限定はされない。
製造方法の一つとして、例えば、前記変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖(ジエン系重合体の末端から全鎖長の3/4の範囲)を形成する工程、並びに、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖(ジエン系重合体の末端から全鎖長の1/4の範囲)を形成する工程を経ることによって、上述した変性ジエン系重合体を製造することができる。なお、前記変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とは、どちらを先に行っても構わない。
(1)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、交互に投入する方法。
(2)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、同時に投入する方法。
(3)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、交互に投入する方法。
(4)前記ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、同時に投入する方法。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる無機充填材(B)は、シリカ及び下記一般式(XI)で表される無機化合物を用いることができる。
aM1・xSiOy・zH2O ………(XI)
ここで、一般式(XI)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、a、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(XI)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
一般式(XI)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材(B)は、シリカ単独で使用しても良いし、シリカと一般式(I)で表される無機化合物の1種以上とを併用しても良い。
ここで、前記シリカの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して60〜250質量部であることが好ましく、70〜150質量部であることがより好ましく、75〜120質量部であることが特に好ましい。前記シリカの含有量が60質量部未満の場合には、シリカの量が少ないため、破壊特性及び耐摩耗性の向上効果を充分に得られないおそれがあり、含有量が250質量部を超えると、シリカの量が多すぎるため、ゴム組成物の伸びや加工性が悪化するおそれがある。
このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。本発明において、カーボンブラックは無機充填材(B)に含まれない。
また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(B)が40質量%以上であることがウェット性能と低発熱性の両立の観点から好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるシランカップリング剤(C)は、特に制限はなく、汎用の各種シランカップリング剤が使用でき、好ましくは、下記一般式(XII)及び(XIII)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが望ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好なタイヤ用ゴム組成物が得られることとなる。
以下、下記一般式(XII)及び(XIII)を順に説明する。
(−S−R8−S−)、(−R9−Sm1−R10−)及び(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R8〜R13は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜20の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基、二価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2、m3は同一でも異なっていても良く、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kは同一でも異なっていても良く、各々平均値として1〜6であり、s及びtは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但しs及びtの双方が3であることはない。〕
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3等で表される化合物が好適に挙げられる。
本発明においては、シランカップリング剤(C)は一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる加硫促進剤などの活性剤(D)としては、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類などの加硫促進剤、並びに、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジン等が挙げられ、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドは反応性が高いので好ましく、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)は反応性がより高いので特に好ましい。
用いることができるシステイン類としては、例えば、(L−)システイン、N−アセチル−L−システイン、(L−)システイン塩酸塩、(L−)システインエチルエステル塩酸塩、(L−)システインメチルエステル塩酸塩などが挙げられる。
用いることができるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)としては、例えば、炭素数4〜12のアルキル基またはアリール基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛が挙げられる。
特に好ましい加硫促進剤などの活性剤(D)としては、反応性がより高いグアニジン類、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、特に好ましくは、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)である。
好ましくは、上記活性剤(D)の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.3〜6質量部、更に好ましくは、0.3〜2.5質量部であり、特に好ましくは、0.5〜1.5質量部であることが望ましい。この活性剤(D)の合計含有量が0.3質量部未満であると、低ロス効果は低く、一方、6質量部超過であると、粘度や収縮に与える影響が大きく、ユニフォミティーを悪化させてしまうこととなる。
なお、加硫促進剤などの活性剤(D)は、硫黄加硫の促進剤としても用いられるので、最初の第1工程で全部を配合しなくともよく、第1工程混練の最終段階となる第二工程においても所望により適量(一部)を配合しても良い。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの持つ3つのOH基のうちの少なくとも1つに脂肪酸(炭素数が8〜28)がエステル結合したものであり、脂肪酸のつく数によって、グリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルに分かれるものである。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)は、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含むが、それ以外にグリセリン脂肪酸トリエステルやグリセリンを含んでいてもよい。
なお、炭素数8未満の脂肪酸では、ポリマーとの親和性が低く、ブルームが起こりやすい。一方、炭素数28を超える脂肪酸では、加工性改良効果の向上は炭素数28以下と変わらず、コストが上昇し、好ましくない。
そのため、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、モノエステル含有量は、未加硫ゴム粘度を低減する観点から、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、85質量%以下であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下であり、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは45〜85質量%、より更に好ましくは50〜85質量%、更に好ましくは50〜80質量%、より更に好ましくは50〜75質量%となるものが望ましい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量は、加硫後ゴム物性の過度の低下(貯蔵弾性率の低下等)を防ぐ観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、生産性の観点から、0.3質量%以上であってもよい。
特に、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、未加硫ゴム粘度の低減、加工性の向上と低発熱性を良好とする観点から、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計含有量が17〜50質量%であるものが更に好ましく、また、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜85質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステル含有量が15〜50質量%であるものが好ましく、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が50〜80質量%であって、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が20〜50質量%であるものが更に好ましい。
グリセリン脂肪酸エステル組成物は、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量やジエステル含有量等が異なる2種以上用いてもよい。
1)上記エステル化法やエステル交換法などにおいて、脂肪酸成分とグリセリン成分の仕込み比率を変えることで、エステル化の平衡組成を制御する方法。グリセリンについては、さらに蒸留により取り除くことが出来る。但し、反応特性上、グリセリン脂肪酸モノエステル量の上限は約65質量%前後と考えられる。
2)エステル化法やエステル交換法で得られた反応生成物をさらに分子蒸留などにより分別留去し、高純度(通常95質量%以上)のグリセリン脂肪酸モノエステルを取り出す方法。
3)上記2)の手法で得た高純度グリセリン脂肪酸モノエステルを1)の手法で得られる中純度グリセリン脂肪酸モノエステルと任意の割合で混合することにより、比較的高純度領域(およそ65〜95質量%程度)のグリセリン脂肪酸モノエステルを得る方法。
上記原料の油脂や脂肪酸などを天然物から由来のものを用いることにより、環境負荷等も低減したグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
更に、本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、モノエステル量がコントロールされた市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製のレオドールMS−60、エキセルS−95)等が挙げられる。
尚、GPCの測定条件は、下記の通りである。
〔GPCの測定条件〕
GPCの測定は下記測定装置を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分0.6ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこにTHFに溶解した1重量%の試料溶液10μLを注入して測定を行った。
標準物質:単分散ポリスチレン
検出器:RI-8022(東ソー(株)製)
測定装置:HPLC-8220 GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSK-GEL SUPER H1000 2本及びTSK-GEL SUPER H2000 2本を直列に連結(東ソー(株)製)
同様に、グリセリン脂肪酸エステル組成物中のジグリセライド含有量は、グリセリン、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドの合計に対するジグリセライドのGPC分析における面積割合を意味する。
本発明に用いる加硫剤としては、硫黄、不溶性硫黄などの硫黄等が挙げられ、その配合量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0質量部である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるものである。
本発明において、混練の第一工程で加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を加えて混練するのは、シランカップリング剤(C)のカップリング機能の活性を高め、無機充填材(B)の分散姓を改良して、未加硫ゴムの粘度の悪化を抑制し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性を向上させるためである。
混練の第一工程で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)を含む充填材、及び該シランカップリング剤(C)、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を加えた後、該第一工程の途中で該加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)を加えるまでの時間を10〜180秒とすることがより好ましい。この時間の下限値は、30秒以上であることが更に好ましく、上限値は、150秒以下であることが更に好ましく、120秒以下であることが特に好ましい。この時間が10秒以上であれば(B)と(C)の反応を十分に進行させることができる。この時間が180秒を超えても(B)と(C)の反応は既に十分に進行しているので、更なる効果は享受しにくく、上限値を180秒とすることが好ましい。
本発明における混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等が用いられる。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記工程で混練し、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。
すなわち、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、を含むゴム組成物の製造方法により製造されるものであり、第1工程で、ゴム成分(A)に対して、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤などの活性剤(D)を配合した配合系に、無機充填材(B)の表面を疎水化し、かつ滑剤としても作用するモノエステル量をコントロールした脂肪酸の炭素数が8〜28となるグリセリン脂肪酸エステル組成物の少なくとも一種(あるいは上記他の態様の特定比のグリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルと)を配合することにより、加硫促進剤などの活性剤(D)によりシランカップリング剤(C)を活性化せしめ、加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)による未加硫ゴムの粘度の悪化をモノエステル単体と同様にフィラーであるシリカなどの無機充填材(B)と反応することができ、また、滑剤作用もあるため、さらに低粘度化し、また、シリカ等の疎水化作用と滑剤作用と可塑化作用とにより、粘度の悪化を抑制して、無機充填材(B)を含む充填材の分散姓を改良し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性も向上されるものと推察される。
用いるグリセリン脂肪酸エステル組成物は、下記各製造法等により得たものを使用した。なお、製造した各グリセリン脂肪酸エステル組成物中のグリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル、グリセリンの各成分の含有量は、前述の方法で算出し、各組成を求めた。これらの結果を下記表1に示す。
攪拌機、脱水管−冷却管、温度計、窒素導入管付きの1L四ツ口フラスコに、グリセリン450g、オクタン酸[花王株式会社製ルナック8−98]352gを入れ[グリセリン/脂肪酸(モル比)=2.0]、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウムをナトリウムとして10ppm添加し、窒素を液上空間部に100mL/分流しながら400r/minで撹拌下、約1.5時間かけて240℃まで昇温した。240℃に達した後、酸成分をフラスコに環流させながら脱水し、その温度で4時間反応させた。反応後の生成物中のモノグリセライド含量は67面積%であった。
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のデカン酸[花王株式会社製ルナック10−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
上記実施例1において、オクタン酸を同モル量のラウリン酸[花王株式会社製ルナックL−98]に変える以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
製造例4で用いたグリセリン脂肪酸エステル組成物は、上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のステアリン酸[花王株式会社製ルナックS−98]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
上記製造例1において、オクタン酸を同モル量のベヘニン酸[花王株式会社製ルナックBA]に変える以外は製造例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
上記製造例4のグリセリン脂肪酸エステルと、該製造例4のグリセリン脂肪酸エステルを分子蒸留することで調整したものとを重量比35:65で混合することにより調整した。得られたモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
上記製造例1において、グリセリンの量を160gに、オクタン酸をパルミチン酸[花王株式会社製ルナックP−95]657gに変える[グリセリン/脂肪酸(モル比)=0.67]以外は実施例1と同様にして反応を行い、同様にグリセリンを除去し、吸着濾過を行った。吸着濾過後のモノグリセライド含有組成物をGPCで測定することで、各成分の組成を求めた。
用いる変性ポリマーは、下記製造法により得た変性SBRを使用した。
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、これに2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.44ミリモルを加え、さらにn−ブチルリチウム(BuLi)0.48ミリモルを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系にN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1
−プロパンアミン0.43ミリモルを加えた後、さらに50℃で30分間変性反応を行った。この後、重合系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに常法に従い乾燥することにより変性ポリマー(変性SBR)を得た。
得られた変性ポリマー(変性SBR)の物性を、下記の方法に従って測定した。
変性ポリマー(変性SBR)のピーク分子量(Mp)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
また、変性ポリマー(変性SBR)のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求め、重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。変性ポリマー(重合体)のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
得られた変性ポリマー(変性SBR)のBase Mp〔変性反応前のピーク分子量(Mp)〕は、18.5×104、ミクロ構造におけるスチレン単位含有量は20.3(wt%)、ビニル基含量は51.8(wt%)、ムーニー粘度〔ML1+4/100℃〕は68であった。
以下の手順に従って、製造例10〜16を製造した。なお、各変性重合体となる変性SBRにおける、変性官能基同士の直接結合の有無、変性官能基の位置、変性官能基の種類、変性官能基の数、ポリマー分子特性である結合スチレン量(%)、ビニル粘度(%)、ムーニー粘度(ML1+4/100℃)、ピーク分子量、ガラス転移温度(℃)を下記表2に示す。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。引き続き、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.27gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に1.14ミリモルのsec−ブチルリチウムと0.57ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として1.14ミリモルのN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.27gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に2.28ミリモルのsec−ブチルリチウムと1.14ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として2.28ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Gを得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.60ミリモルを加え、1.20ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.52gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として1.20ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に4.80ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.40ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として4.80ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−2を得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.57ミリモルを加え、1.14ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.48gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として1.14ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に4.56ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.28ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として4.56ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−3を得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.115ミリモルを加え、0.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.48gとp−メチルスチレン0.10gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.23ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に0.92ミリモルのsec−ブチルリチウムと2.85ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として0.92ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体G−4を得た。
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45g及びスチレン11.25gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.29ミリモルを加え、0.57ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン15gを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン3.61gとp−メチルスチレン0.14gを含むスチレンのシクロヘキサン溶液を加え、さらに1時間重合反応を行った。重合転化率が99%に到達した時点で、末端変性剤として0.57ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。
次いで、上記重合体溶液に1.14ミリモルのsec−ブチルリチウムと0.57ミリモルの2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを添加し、80℃で10分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、主鎖変性剤として1.14ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)(メチル)(ジエトキシ)シランを加えて15分間反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Hを得た。
変性重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
ビニル粘度(wt%)は、1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
変性重合体のムーニー粘度は、東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
変性重合体のピーク分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱分析機(DSC)にて、−150℃まで冷却した後に10℃/minで昇温する条件で測定した。
下記表3及び4に示す配合処方で下記方法により、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例1〜20及び比較例1〜7では、混練の第一工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように表3及び4の混練の第一工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練の第一工程において、ゴム成分(A)〔SBR、変性SBR〕、無機充填剤(B)を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤(C)、加硫促進剤(D)〔グアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等〕、グリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を混練することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、第二工程として、前記予備組成物に加硫剤(F)である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)、TF(タフネス)、加工性(未加硫ゴム粘度)を下記の各方法により算出して評価した。
これらの結果を下記表3及び4に示す。
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1のtanδを100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6のtanδを100として、下記式にて指数表示した。
発熱性指数={(供試加硫ゴム組成物のtanδ)/(比較例1又は6の加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
指数値が大きいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗性能が優れることを示す。
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1の摩耗量の逆数を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6の摩耗量の逆数を100として下記式にて指数表示した。
耐摩耗性指数={(比較例1又は6の加硫ゴム組成物の摩耗量)/(供試加硫ゴム組成物の摩耗量)}×100
指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
未加硫ゴムを160℃で20分加硫後、JIS K6251に準拠して測定温度100℃で引張試験を行うことによってEb(切断時伸び(%))及びTb(引張強さ(MPa))を測定し、TF(タフネス:Eb×Tb)を求めた。
実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6を100として指数表示した。この値が大きいほど、高温時ゴム強度(タフネス)が高いことを示す。
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
実施例1〜8、16〜20及び比較例1〜5では、比較例1の粘度の逆数を100として、また、実施例9〜15及び比較例6〜7では、比較例6の粘度の逆数を100として指数表示した。この値が大きいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
*1)SBR#1723〔JSR社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*2)製造例9(変性SBR)
*3)シースト7HM(N234)〔東海カーボン社製〕
*4)東ソーシリカ社製「ニプシールVN3」、BET表面積210m2/g、CTAB表面積144m2/g
*5)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤 、商標「Si75」
*6)1,3−ジフェニルグアニジン、ノクセラーD〔大内新興化学工業社製〕
*7)N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、ノクセラーNS〔大内新興化学工業社製〕
*8)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ノクセラーDM〔大内新興化学工業社製〕
*9)マイクロクリスタリンワックス、オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*10)N−(1,3−ジメチルブチル)―N′−フェニルーp−フェニレンジアミン、ノクラック6C〔大内新興化学工業社製〕
下記表5に示す配合処方で下記方法により、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例21〜29及び比較例8〜9では、混練の第一工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように表4の混練の第一工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練の第一工程において、ゴム成分(A)〔ポリマーA、ポリマーB〕、無機充填剤(B)を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤(C)、活性剤(D)〔活性剤A〜D〕、グリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を混練することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、第二工程として、前記予備組成物に加硫剤(F)である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、タイヤユニフォミティー(指数)、タイヤRRC(指数)、耐摩耗性(指数)を下記の各方法により算出して評価した。
これらの結果を下記表5に示す。
表3の加工性の評価法と同じであり、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
比較例8の粘度の逆数を100として指数表示した。この値が大きいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
表3の転がり抵抗性能(tanδ指数)の評価法と同じであり、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例8のtanδを100として上記式にて指数表示した。
指数値が大きいほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗性能が優れることを示す。
得られた各ゴム組成物をタイヤトレッドに用いて供試タイヤ(サイズ:215/45ZR17)を作製した。230kPaの内圧を充填した各供試タイヤのRFV(Radial Force Variation)およびLFV(Lateral Force Variation)を測定した。比較例8のタイヤの値を100として指数表示した。
指数値が小さい程、ユニフォミティーが優れていることを示す。
各供試タイヤをドラム試験にて、80km/時の走行時のタイヤ接地面に発生する進行方向に対する抵抗を測定した。比較例8のタイヤの値を100として指数表示した。
指数値が大きい程、低転がり抵抗性能に優れていることを示す。
表3の耐摩耗性(指数)の評価法と同じであり、JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例8の摩耗量の逆数を100として上記式にて指数表示した。
指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
*1)SBR#1723〔JSR社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*3)シースト7HM(N234)〔東海カーボン社製〕
*4)東ソーシリカ社製「ニプシールVN3」、BET表面積210m2/g、CTAB表面積144m2/g
*6)1,3−ジフェニルグアニジン、ノクセラーD〔大内新興化学工業社製〕
*8)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ノクセラーDM〔大内新興化学工業社製〕
*9)マイクロクリスタリンワックス、オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*10)N−(1,3−ジメチルブチル)―N′−フェニルーp−フェニレンジアミン、ノクラック6C〔大内新興化学工業社製〕
*11)BR01 〔JSR社製〕
*12)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*13)ジブチルジチオリン酸亜鉛、商品名:Rhenocure TP/S、ラインケミー社製
*14)チオ尿素、商品名:チオ尿素、堺化学工業社製
*15)チオシアン酸アンモニウム、商品名:チオシアン酸アンモニウム、関東化学製
*16)L−システイン、商品名:L−Cysteine、東京化成工業社製
*17)N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、商品名:サンセラーCM−G、三新化学工業社製
*18)2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、商品名:ノンフレックスRD−S、精工化学社製
具体的に実施例及び比較例を考察すると、比較例8を勘案して比較例9において、グリセリン脂肪酸エステル組成物を入れると、転がり抵抗性能は変わらないが、粘度が下がり、タイヤのユニフォミティーが良くなるが、摩耗が悪くなる。そこで、実施例21〜29のように、活性剤(D)とグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の両方を第一工程で含有することで、活性剤(D)を入れた時のデメリットである粘度や収縮を改良することができ、さらにグリセリン脂肪酸エステル組成物を単純に入れるだけでは改良しなかった、転がり抵抗性能も改良される。これらを総合すると、本発明をサポートする実施例21〜29では、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、タイヤユニフォミティー(指数)、タイヤRRC(指数)、耐摩耗性(指数)も高度に両立することが判明した。
Claims (16)
- 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び加硫促進剤、システイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジチオリン酸類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種からなる活性剤(D)の全部又は一部、並びに、炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、第一工程と、
前記予備組成物に加硫剤(F)を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、第二工程と、
を含むゴム組成物の製造方法により製造されることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。 - 合成ジエン系ゴムが、末端から全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカとの間で相互作用が可能な変性官能基を3つ以上有し、少なくとも一つの前記変性官能基間にジエン系重合体の単量体構造を有するジエン系重合体であることを特徴とする請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 全ての前記変性官能基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記変性官能基が、含窒素官能基、含ケイ素官能基又は含酸素官能基であることを特徴とする請求項2又は3に記載のゴム組成物。
- 前記ジエン系重合体のピーク分子量が5万〜70万であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記ジエン系重合体は、変性官能基を有さないジエン系重合体の分子鎖を形成する工程と、前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖を形成する工程とを経ることよりジエン系重合体を得ることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記官能基と前記ジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成は、前記ジエン系重合体の単量体成分と変性剤とを交互又は同時に投入することで行うことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.2〜7質量部であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 活性剤(D)がグアニジン類であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 活性剤(D)がシステイン類、チオ尿素、チオシアン酸アンモニウム、ジチオリン酸類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛から選ばれることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 炭素数が8〜28のグリセリン脂肪酸エステル組成物(E)が、グリセリン脂肪酸モノエステルとグリセリン脂肪酸ジエステルとを含み、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル含有量が85質量%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- グリセリン脂肪酸エステル組成物中、前記グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が35〜85質量%であることを特徴とする請求項11記載のタイヤ用ゴム組成物。
- グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸ジエステルの含有量が10〜65質量%であることを特徴とする請求項11又は12記載のタイヤ用ゴム組成物。
- グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル/グリセリン脂肪酸ジエステルの質量比が、0.5〜10であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸モノエステル量が50〜85質量%、グリセリン脂肪酸ジエステルとトリエステルの合計量が15〜50質量%であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物中、グリセリン脂肪酸トリエステルの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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