JP2018035241A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】作業性が良好であり、タイヤに適用した場合に、耐摩耗性に優れ、更に低発熱性にも優れるタイヤを得ることができるゴム組成物及び耐摩耗性及び低発熱性に優れたタイヤを提供する。【解決手段】シリカ(B)と、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を含むゴム成分と、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤(C)とを含むゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。
タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、発熱性の低いゴム組成物を用いることが一般的な手法として知られており、具体的には、例えば、フィラー(特にシリカ)の分散性を改良することが行われている。シリカの分散は、変性ポリマーを用いる手法が一般的に知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、シリカ分散性を更に高めるために、変性ポリマーとして、ポリマー1分子あたりに変性剤を複数分子(2分子以上)導入したマルチ変性ポリマーを用いることが検討されている(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2003/029299号パンフレット 特開平10−156440号公報 特開2012−214711号公報
しかし、特許文献1及び2のような片末端又は両末端に変性官能基を有する変性ポリマーを用いると、未加硫ゴム粘度が増大し、ゴム組成物の作業性が低下することがあった。また、特許文献3に記載のマルチ変性ポリマーを単純にゴム組成物に配合すると、ゴム組成物の平滑性が低下して、練肌が悪くなり、ゴム組成物の作業性が悪化することがあった。
本発明は、作業性が良好であり、タイヤに適用した場合に、耐摩耗性に優れ、更に低発熱性にも優れるタイヤを得ることができるゴム組成物、及び耐摩耗性及び低発熱性に優れるタイヤを提供することを課題とする。
<1> シリカ(B)と、
主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を含むゴム成分と、
下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤(C)と
を含むゴム組成物である。
式中、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR(OSiR)からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。但し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。mは1〜4である。
は、水素原子、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つである。
は、−[O(RO)0.5−基である。但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。pは1〜4である)である。
x、y、及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、かつ0≦z≦1を満たす。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
、R 、及びRが複数ある場合、R 、R 、及びRは、それぞれ独立に、同じであっても異なっていてもよい。
<2> 前記ジエン系重合体(A)が、少なくとも1つの前記変性剤残基間に、ジエン系重合体の単量体構造を有する<1>に記載のゴム組成物である。
<3> 前記ジエン系重合体(A)が、全ての前記変性剤残基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有する<2>に記載のゴム組成物である。
<4> 前記変性剤残基が、更に、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択されるいずれか1つ以上を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のゴム組成物である。
<5> 前記ジエン系重合体(A)が、ジエン系単量体単位からなる単独重合体、又は60質量%以上100質量%未満のジエン系単量体単位と、0質量%を超え40質量%以下の芳香族ビニル化合物単位とを有する共重合体である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のゴム組成物である。
<6> 前記ジエン系単量体単位が、1,3−ブタジエン単位である<5>に記載のゴム組成物である。
<7> 前記芳香族ビニル化合物単位が、スチレン単位である<5>又は<6>に記載のゴム組成物である。
<8> 前記ゴム成分中の前記ジエン系重合体(A)の含有率が、10質量%以上である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のゴム組成物である。
<9> 前記シリカ(B)の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、60〜250質量部である<1>〜<8>のいずれか1つに記載のゴム組成物である。
<10> 前記シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量100質量部に対して、1〜20質量部である<1>〜<9>のいずれか1つに記載のゴム組成物である。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のゴム組成物をトレッド部材に用いたタイヤである。
本発明によれば、作業性が良好であり、タイヤに適用した場合に、耐摩耗性に優れ、更に低発熱性にも優れるタイヤを得ることができるゴム組成物、及び耐摩耗性及び低発熱性に優れるタイヤを提供することができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、シリカ(B)と、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を含むゴム成分と、シリカ(B)と、一般式(I)〔R Si−R−S−CO−R〕で表されるシランカップリング剤(C)とを含む。
一般式(I)の詳細は後述する。
本発明のゴム組成物は、更に、硫黄、加硫促進剤等を含んでいてもよい。
なお、本発明において、特記しない限り「ゴム組成物」とは、未加硫のゴム組成物をいう。
既述のように、従来用いられていたポリマーの片末端又は両末端に変性官能基を有する変性ポリマーをシリカと共に用いると、未加硫ゴム粘度が増大し、ゴム組成物の作業性が低下した。また、ポリマー1分子あたりに変性剤を複数分子導入したマルチ変性ポリマーを用いることで、より高いシリカ分散性が得られる。しかし、特許文献3に記載されているシランカップリング剤(例えば、エボニックデグッサ社製のSi69;ビス−[γ−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド)と共に当該マルチ変性ポリマーを用いると、ゴム組成物の平滑性が低下して、練肌が悪くなり、ゴム組成物の作業性が悪化した。
一方、ポリマー鎖全体に変性剤残基を導入した形態のジエン系重合体については、シリカの凝集塊同士をポリマー鎖が繋いでしまい、却ってシリカの分散性が失われ、タイヤの低発熱性及び耐摩耗性が低下した。
これに対し、マルチ変性ポリマーとして、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を用いると共に、シランカップリング剤として、を用いることで、理由は定かではないが、ゴム組成物は、作業性が改善され、ゴム組成物をタイヤに適用した場合に、耐摩耗性に優れ、更に低発熱性にも優れるタイヤを得ることができる。
一般式(I)で表される硫黄含有シラン化合物をゴム組成物に含有することで、多少、低発熱性を高めることができるが、ジエン系重合体(A)を併用することで、より高い低発熱性のタイヤが得られる。
以下、本発明のゴム組成物及びタイヤについて詳細に説明する。
まず、ゴム成分について説明する。
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物は、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を含むゴム成分を含有する。
ゴム成分は、ジエン系重合体(A)以外に、天然ゴム等を更に含むことができる。
[ジエン系重合体(A)]
ジエン系重合体(A)は、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有する。
ジエン系重合体(A)の製造方法は後述するが、ジエン系重合体(A)は、ジエン系重合体(A)1分子当たり、変性剤を3分子以上導入した分子構成であり、変性剤由来の分子鎖(変性剤残基)をジエン系重合体(A)の主鎖に有する。ジエン系重合体(A)は、変性剤由来の分子鎖である変性剤残基を、ジエン系重合体(A)の主鎖に3つ以上有する。なお、ジエン系重合体(A)の主鎖とは、ジエン系単量体単位を有する分子鎖であって、ジエン系重合体(A)が有する分子鎖の中で最も長い分子鎖をいう。
ここで、シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基とは、シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性官能基を含む変性剤由来の分子鎖をいう。シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性官能基とは、当該変性官能基とシリカ表面との間で共有結合を形成するか、又は、共有結合よりも弱い分子間力を形成することができる。なお、分子間力とは、イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等といった分子間に働く電磁気学的な力をいう。
変性剤残基は、シリカと親和性の高い原子として、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択されるいずれか1つ以上を有することが好ましく、変性官能基として、含ケイ素官能基、含窒素官能基、及び含酸素官能基が挙げられる。
ここで、ジエン系重合体(A)は、変性ジエン共重合体であってもよいし、変性ジエン単独重合体であってもよい。中でも、ジエン系重合体(A)は、タイヤの低発熱性及び耐摩耗性を向上する観点から、ジエン系単量体単位の単独重合体、又は60質量%以上100質量%未満のジエン系単量体単位と、0質量%を超え40質量%以下の芳香族ビニル化合物単位とを有する共重合体であることが好ましい。
ジエン系単量体単位の単独重合体は、ジエン系単量体を単独重合してなる。また、60質量%以上100質量%未満のジエン系単量体単位と、0質量%を超え40質量%以下の芳香族ビニル化合物単位とを有する共重合体は、60質量%以上100質量%未満のジエン系単量体と、0質量%を超え40質量%以下の芳香族ビニル化合物とを共重合してなる。
ジエン系重合体(A)は、65質量%を超え90質量%未満のジエン系単量体単位と、10質量%以上35質量%以下の芳香族ビニル化合物単位とを有する共重合体であることが好ましい。
ジエン系重合体(A)の主鎖を構成するジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジエン系単量体は1,3−ブタジエンが好ましい。すなわち、ジエン系単量体単位は、1,3−ブタジエン単位であることが好ましい。
これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、単量体としての芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族ビニル化合物はスチレンが好ましい。すなわち、芳香族ビニル化合物単位は、スチレン単位であることが好ましい。
これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性剤残基は、ジエン系重合体(A)の主鎖上であって、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲(末端から25%の範囲)のみに位置する。
変性剤残基がジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲に位置することで、シリカ(B)の凝集をより抑制し易く、ゴム組成物中のシリカ(B)の分散性を高め、タイヤの耐摩耗性及び低発熱性を高めることがきる。
なお、ジエン系重合体(A)の主鎖の末端とは、当該主鎖の一方の末端又は他方の末端あるいは両方の末端をいう。
従って、変性剤残基の位置は、ジエン系重合体(A)の主鎖の一方の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲でもよいし、他方の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲でもよいし、両末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲ずつでもよい。
更に、3つ以上の変性剤残基は、変性による性能を効率よく得、シリカ(B)の凝集を更に抑制する観点から、ジエン系重合体(A)の主鎖の片方の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲にのみ存在することがより好ましい。換言すると、主鎖の一方の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲以外の部分に変性剤残基を有しないことがより好ましい。更に換言すると、ジエン系重合体(A)の主鎖の一方の末端から主鎖の全鎖長の3/4〜4/4の範囲、すなわち主鎖の他方の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲の部分に変性剤残基を有しないことがより好ましい。
ジエン系重合体(A)は、主鎖に、ジエン系重合体(A)1分子当たり3つ以上の変性剤残基を有する。変性剤残基と変性剤残基との間(変性剤残基間)に、ジエン系重合体の単量体構造を有することが好ましい。変性剤残基間にジエン系重合体の単量体構造を有することで、シリカの凝集体を効率的に崩すことができる。
ここで、「ジエン系重合体の単量体」とは、ジエン系重合体がジエン系単量体の単独重合体であればジエン系単量体をいい、ジエン系重合体がジエン系単量体と他の単量体(例えば、との共重合体であれば、ジエン系単量体又は当該他の単量体、あるいはジエン系単量体及び当該他の単量体をいう。
「変性剤残基間にジエン系重合体の単量体構造を有する状態」とは、変性剤残基と変性剤残基との間に、ジエン系重合体を構成する単量体(例えば、ジエン系重合体がポリブタジエンの場合は、1,3−ブタジエンであり、スチレン−ブタジエン共重合体の場合は、スチレン又は1,3−ブタジエンあるいはスチレン及び1,3−ブタジエンである)の構造を介しており、変性剤残基同士が直接結合していない状態をいう。
また、「ジエン系重合体の単量体構造」は、ジエン系重合体(A)の主鎖上に、ジエン系重合体の単量体由来の二重結合を2つ有する。一方、ジエン系重合体(A)を得るために用いられるジエン系単量体に由来する「ジエン系単量体単位」は、ジエン系重合体(A)の主鎖上に二重結合を1つ有する。
変性剤残基同士が直接結合しない構造をとることで、シリカとの親和性を更に向上することができるため、タイヤの低発熱性及び耐摩耗性をより向上することができる。
更に同様の観点から、ジエン系重合体(A)は、少なくとも1つの変性剤残基間に、ジエン系重合体の構造を有することが好ましく、全ての前記変性剤残基間に、ジエン系重合体の単量体構造を有することがより好ましい。つまり、ジエン系重合体(A)の全ての変性剤残基は、変性剤残基との間で、互いに直接結合しないことがより好ましい。
(i)変性剤残基間にジエン系重合体の構造を有し、更に、(ii)変性剤残基がジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲に位置すると、(i)と(ii)の各々の特徴を個別に有する従来のジエン系重合体を用いた場合に比べて、シリカ(B)とゴム成分中の変性官能基とが効率的に反応し易く、シリカ(B)の分散性をより高めることができる。その結果、タイヤの低発熱性と体摩耗性をより向上することができる。
ジエン系重合体(A)を得るための重合方法としては、アニオン重合、配位重合、及び乳化重合のいずれでもよい。変性剤は、特に限られず、アニオン重合又は配位重合の重合活性末端と反応する変性剤であってもよいし、重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分を有するものであってもよい。また、乳化重合において、変性剤がモノマーとして共重合されてもよい。
ジエン系重合体(A)の分子量は、特に限定はされないが、ピーク分子量を5万以上とすることで、耐摩耗性がより良好なタイヤが得られ易く、また、タイヤに耐破壊特性を与え易い。ジエン系重合体(A)のピーク分子量を70万以下とすることで、ゴム組成物の作業性がより良好になる。更に、タイヤの高い耐摩耗性と、ゴム組成物のより良好な作業性を両立する観点からは、ジエン系重合体(A)のピーク分子量は10〜35万であることが望ましい。
ジエン系重合体(A)のピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算のピーク分子量(Mp)とする。
ゴム成分中のジエン系重合体(A)の含有率は、10質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中のジエン系重合体(A)の含有率が10質量%以上であることで、シリカ(B)の分散性を改良する効果を高くすることができ、ゴム組成物の低発熱性及び耐摩耗性を改善する効果を高めることができる。ゴム成分中のジエン系重合体(A)の含有率は、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
また、同様の観点から、本発明のゴム組成物中のジエン系重合体(A)の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。
ここで、ジエン系重合体(A)を得る際の変性に用いられる変性剤について説明する。変性剤は、シリカ(B)に対して相互作用性を有する官能基を含み、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択されるいずれか1つ以上を有する変性剤であることが好ましい。ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子を含む変性剤は、シリカ(B)に対して高い親和性を有する。
シリカ(B)に対して高い親和性を有する観点から、変性剤は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。アルコキシシランは特に限定されないものの、シリカ(B)に対する親和性を高める観点から、下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(II)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基を示す。
aは、0〜2の整数であり、OR12が複数ある場合、複数のOR12は、互いに同一でも異なっていてもよく、分子中には活性プロトンは含まれない。
ここで、一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げられる。
一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物は、これらの中でも、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びジメチルジエトキシシランが好適である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シリカ(B)に対して高い親和性を有する観点から、変性剤は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物であってもよい。ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(III)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)である。
は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基(イソシアナート基又はチオイソシアナート基を示す。以下、同様)、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基からなる群の中から選択される少なくとも1種の官能基である。n4が2以上の場合には、Aは、同一でも異なっていてもよい。Aは、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよい。
21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。当該脂肪族もしくは脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、いずれも窒素原子及びケイ素原子のいずれか一方又は両方を含有していてもよい。n2が2以上の場合には、R22は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、或いは、互いに結合して環を形成してもよい。
24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」は、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の一価の脂環式炭化水素基」を意味する。二価の炭化水素基の場合も同様である。
さらに、一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(IV)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)である。
は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。)、或いは、硫黄原子である。
25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)である。
26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基である。当該脂肪族もしくは脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、いずれも窒素原子及びケイ素原子のいずれか一方又は両方を含有していてもよい。また、前記含窒素有機基は更にケイ素原子を含有していてもよい。p2が2の場合には、R26は、互いに同一もしくは異なり、或いは、互いに結合して環を形成してもよい。
28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
さらに、一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(V)又は(VI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
一般式(V)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)である。
31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なってもよい。
一般式(VI)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)である。
36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
また、変性剤は、下記一般式(VII)又は(VIII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
一般式(VIII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
一般式(IX)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である。)であり、TMSはトリメチルシリル基である。
46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていてもよい。
さらに、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(X)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(X)中、Xはハロゲン原子であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR51は互いに結合して二価の有機基を形成してもよい。
52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
50及びR51は、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
以上の一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、ジエン系重合体(A)が変性共役ジエン系重合体である場合に、変性共役ジエン系重合体がアニオン重合により製造される場合に用いられることが好ましい。
また、一般式(III)〜(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
アニオン重合によってジエン系重合体(A)を変性する場合に好適な変性剤としては、具体的には、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び1―メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
更に、前記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。
リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、及びリチウムメチルフェネチルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
リチウムアミド化合物のアミド部分とは、次のように考える。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。
配位重合によってジエン系重合体(A)を変性する場合に好適な変性剤としては、2−シアノピリジン及び3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドが挙げられる
乳化重合によってジエン系重合体(A)を変性する場合に好適な変性剤としては、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒド及び4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンが挙げられる。これらの乳化重合において好ましく用いられる変性剤は、窒素原子及びケイ素原子のいずれか一方又は両方を含むモノマーとして乳化重合時に共重合されることが好ましい。
ジエン系重合体(A)は、示差走査熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移点(Tg)が0℃以下であることが好ましい。ジエン系重合体(A)のガラス転移点が0℃以下であることで、低温でのゴム特性を損ねにくい。
[他のゴム成分]
本発明のゴム組成物において、ゴム成分は、ジエン系重合体(A)以外に、更に、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体等の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分は、上記の中でも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン−ブタジエン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの他のゴム成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[ジエン系重合体(A)の製造方法]
ジエン系重合体(A)を製造する方法については、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有する分子構造を形成可能な製造方法であれば、特に限定されない。
本発明においては、シリカ(B)の凝集をより抑制する観点から、変性剤残基は、(i)変性剤残基間にジエン系重合体の単量体構造を有し、更に、(ii)変性剤残基がジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲に位置ことが好ましい。このような(i)及び(ii)の特徴を有するジエン系重合体(A)を製造する製造方法の1つとしては、例えば、変性官能基を有さないジエン系重合体(A)の分子鎖〔ジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の3/4の範囲〕を形成する工程(a3/4)、及び、変性官能基とジエン系重合体(A)の単量体構造とからなる分子鎖〔ジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲〕を形成する工程(a1/4)を経ることによって、(i)及び(ii)の特徴を有するジエン系重合体(A)を得ることができる。
工程(a3/4)及び工程(a1/4)は、どちらを先に行っても構わないが、工程(a1/4)に先立って、工程(a3/4)を行うことが好ましい。工程(a3/4)を先に行うことで、後の工程で、未反応の変性官能基及びジエン系重合体(A)の単量体が反応することを防ぎ、ジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲以外の範囲に、変性剤残基が形成されることを抑制することができる。
なお、工程(a1/4)を先に行う場合には、工程(a1/4)を終える度に、重合転化率が100%であることを確認してから、工程(a3/4)を行うことが好ましい。重合転化率が100%であることを確認してから次の工程を行うことで、ジエン系重合体(A)の主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲以外の範囲に、変性剤残基が形成されることを抑制することができる。
ここで、変性官能基とジエン系重合体の単量体構造とからなる分子鎖の形成については、例えば、以下の(1)〜(4)のような方法が挙げられる。
(1)ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、交互に投入する方法。
(2)ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基を有する変性剤とを、同時に投入する方法。
(3)ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、交互に投入する方法。
(4)ジエン系重合体の単量体成分と、該単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物とを、同時に投入する方法。
上記(1)〜(4)の中でも、全ての変性剤残基間に、ジエン系重合体の単量体構造を有する(つまり、ジエン系重合体(A)の全ての変性剤残基は、変性剤残基との間で、互いに直接結合しない)構造をより確実に形成する観点から、ジエン系重合体(A)を製造する方法は、(1)又は(3)の方法が好ましい。また、生産にかかる時間を短縮し、生産性を高める観点からは、ジエン系重合体(A)を製造する方法は、(2)又は(4)の方法が好ましい。
なお、ジエン系重合体の単量体成分と共重合可能であり且つ変性官能基含有化合物と化学的に反応することで変性官能基の導入が可能となる部位を有する化合物としては、例えば、4−メチルスチレン等が挙げられる。
〔シリカ(B)〕
本発明のゴム組成物は、シリカ(B)を含む。
ゴム組成物がシリカ(B)を含むことで、ゴム組成物の補強効果を高め、タイヤの耐摩耗性を向上することができる。
シリカ(B)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60〜250質量部であることが好ましい。シリカ(B)の含有量が、60〜250質量部以上であることで、タイヤの耐摩耗性をより向上することができ、250質量部以下であることで、ゴム組成物の作業性を損ねにくい。シリカ(B)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60〜150質量部であることがより好ましく、60〜120質量部であることが更に好ましく、60〜100質量部であることが特に好ましい。
シリカ(B)の種類は特に限定されず、一般グレードのシリカから、表面処理を施した特殊シリカまで、用途に応じて使用することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上の中でも、シリカ(B)は、ゴム組成物の作業性、タイヤの耐摩耗性をより向上する点から、湿式シリカを用いることが好ましい。
〔シランカップリング剤(C)〕
本発明のゴム組成物は、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤(C)を含む。
ゴム組成物がシランカップリング剤(C)を含むことで、ゴム組成物の作業性を高め、ゴム組成物の混練後に得られる成形体の表面性状に優れる。具体的には、成形体の表面が平滑であり、ひび割れ、成形体の脆化を抑制することができる
また、ゴム組成物がシランカップリング剤(C)を含むことで、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、耐摩耗性に優れる上に、低発熱性にも優れる。シランカップリング剤(C)は、従来のゴム又は従来の変性ゴムと用いることで、タイヤの転がり抵抗を抑制する機能を有していたが、既述のジエン系重合体(A)と共に用いることで、従来に無い更に高い低発熱性を実現することができることがわかった。
以下、一般式(I)について説明する。
式中、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR(OSiR)からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。但し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。mは1〜4である。
は、水素原子、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つである。
は、−[O(RO)0.5−基である。但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。pは1〜4である)である。
x、y、及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、かつ0≦z≦1を満たす。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
、R 、及びRが複数ある場合、R 、R 、及びRは、それぞれ独立に、同じであっても異なっていてもよい。
上記R、R、R及びRにおいて、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、アルケニル基も、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタニル基等が挙げられる。更に、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が、シクロアルケニル基としては、シクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。また更に、Rにおいて、アラルキル基としては、フェネチル基等が挙げられる。
上記R及びRにおいて、アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が挙げられる。また更に、Rにおいて、アルケニレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基等が挙げられる。また、シクロアルキルアルキレン基としては、シクロヘキシルメチレン基等が、アリーレン基としては、フェニレン基等が、アラルキレン基としては、キシリレン基等が挙げられる。
また、上記Rにおいて、−[O(RO)0.5−基は、下記に示すジオールから、水酸基の水素原子を二原子除いたものである。ここで、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ピナコールが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールが好ましく、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールがより好ましい。
一般式(I)の硫黄含有シラン化合物は、特表2001−505225号公報に記載の方法で合成することができ、また、GEシリコーン社製の商品名「NXTシラン」、モメンティブ社製の「3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン」等の市販品を利用することもできる。
シランカップリング剤(C)の含有量は、シリカ(B)の含有量100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が、シリカ(B)の含有量100質量部に対して、1質量部以上であることで、ゴム組成物の作業性及びゴム組成物の成形体の表面性状を、より良好なものとし、また、ジエン系重合体(A)との相乗効果によるタイヤの優れた低発熱性を、より向上することができる。シランカップリング剤(C)の含有量が、シリカ(B)の含有量100質量部に対して、20質量部以下であることで、ゴム成分のゲル化を抑制し、ゴム組成物の作業性を損ねにくい。
シランカップリング剤(C)の含有量は、シリカ(B)の含有量100質量部に対して、5〜12質量部であることがより好ましい。
〔カーボンブラック(D)〕
本発明のゴム組成物は、カーボンブラック(D)を含むことが好ましい。
カーボンブラック(D)としては特に制限はなく、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、及びこれらの混合物(例えば、ISAF−HAF等)が用いられ、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。中でも、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAF、及びISAF−HAFがより好ましい。
カーボンブラック(D)の含有量は、ゴム組成物の補強性とタイヤの耐摩耗性向上の観点から、ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
〔各種成分(E)〕
本発明のゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセスオイル、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種成分(E)を含有することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物で用い得る加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。これらの加硫促進剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
加硫促進剤の含有量(2種以上用いる場合は全加硫促進剤の含有量)は、ゴム成分100質量部に対し、1〜8質量部が好ましく、2〜6質量部である。
また、本発明のゴム組成物に用い得る軟化剤として用いるプロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。プロセスオイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5〜80質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。かかる範囲であると、タイヤの低発熱性を損ねにくい。
本発明のゴム組成物に用い得る老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、0.3〜5.0質量部がより好ましい。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物をトレッド部材に用いてなり、耐摩耗性と優れた低発熱性を有する。キャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤの場合は、本発明のゴム組成物をキャップゴムに用いてもよいし、ベースゴムに用いてもよい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物をトレッド部材に用いて、通常の方法によって製造される。すなわち、既述のジエン系重合体(A)を含むゴム成分と、シリカ(B)と、一般式(I)で表されるシランカップリング剤(C)と、必要に応じて、カーボンブラック(D)及び各種成分(E)とを含有させたゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤトレッドに加工し、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型し、生タイヤを成型する。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
<タイヤ以外の用途>
タイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、ベルト(コンベアベルト)、ゴムクローラ、各種ホース等にも本発明のゴム組成物を使用することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<重合体A〜Gの製造>
以下の手順に従って、重合体A(未変性重合体)及び重合体B〜G(変性重合体)を製造した。
〔重合体Aの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン551グラム及びスチレン129グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、さらに重合開始剤として5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して未変性重合体である重合体Aを得た。
〔重合体Bの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン551グラム及びスチレン129グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、さらに重合開始剤として5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、変性剤1として5.23ミリモルのN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(下記構造)を加え、30分間反応させた。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Bを得た。
〔重合体Cの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン551グラム及びスチレン129グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、さらに重合開始剤として5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、変性剤2として5.23ミリモルの3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン(下記構造)を加え、30分間反応させた。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Cを得た。
〔重合体Dの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン276グラム及びスチレン65グラムになるように加えた。また、耐圧容器に2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、さらに重合開始剤として5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン276グラムを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン65グラムを含むスチレンのシクロヘキサン溶液、及び、変性剤2〔3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン〕15.69ミリモルを加え、1時間重合を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Dを得た。
〔重合体Eの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン413グラム及びスチレン97グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン138グラムを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン32グラムを含むスチレンのシクロヘキサン溶液、及び、4−メチルスチレン15.69ミリモルを加え、1時間重合を行った。更に重合反応系にイソプロパノール5.23ミリモルを加え、15分間反応させた。次いで、上記重合体溶液に15.69ミリモルのsec−ブチルリチウムと15.69ミリモルのテトラメチルエチレンジアミンを添加し、80℃で30分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、15.69ミリモルの変性剤1〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン〕を加え、50℃で30分間反応させた。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Eを得た。
〔重合体Fの製造〕
乾燥し、窒素置換した5リットルの耐圧容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン524グラム及びスチレン123グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン28グラムを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン6グラムを含むスチレンのシクロヘキサン溶液、及び、4−メチルスチレン15.69ミリモルを加え、1時間重合を行った。更に重合反応系にイソプロパノール5.23ミリモルを加え、15分間反応させた。次いで、上記重合体溶液に15.69ミリモルのsec−ブチルリチウムと15.69ミリモルのテトラメチルエチレンジアミンを添加し、80℃で30分間反応を行った。反応後に得られた重合体溶液に、15.69ミリモルの変性剤1〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン〕を加え、50℃で30分間反応させた。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Fを得た。
〔重合体Gの製造〕
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン413グラム及びスチレン97グラムになるように加えた。また、耐圧容器に、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン2.62ミリモルを加え、5.23ミリモルのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率はほぼ100%であった。
引き続き、重合反応系に、1,3−ブタジエン138グラムを含む1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、スチレン32グラムを含むスチレンのシクロヘキサン溶液、及び、変性剤2〔3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン〕15.69ミリモルを加え、1時間重合を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液3ミリリットルを加えて反応を停止させ、常法に従い反応物を乾燥して変性重合体である重合体Gを得た。
<重合体A〜Gの特徴>
以上のようにして製造した重合体A〜Gの変性剤残基の数、変性剤残基を構成する変性剤の種類、変性剤残基の位置、変性剤残基間のジエン系重合体の単量体構造の有無、変性剤残基同士の直接結合の有無、及び重合体の分子特性を表1に示す。
なお、表1中の重合体の結合スチレン量(重合体中のスチレン単位含有量)及びビニル粘度(質量%)は、1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。重合体のムーニー粘度(ML1+4/100℃)は、JIS K6300−1994に準拠して、東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃の温度で測定した。
また、表2〜4にも、重合体A〜Gの特徴を簡略して示した。
表2〜4中、「変性重合体(1つ、片末端)」とあるのは、重合体が主鎖上に変性剤残基を1つ有し、変性剤残基の位置が主鎖の片末端であることを意味する。
「変性重合体(3つ、1/2)」とあるのは、重合体が主鎖上に変性剤残基を3つ有し、全変性剤残基が、主鎖の片末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲外であって、主鎖の片末端から主鎖の全鎖長の1/2の範囲に位置すること、すなわち、全変性剤残基が、主鎖の片末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲を超え、全鎖長の1/4〜2/4の範囲内に位置することを意味する。
「変性重合体(3つ、1/4)」とあるのは、重合体が主鎖上に変性剤残基を3つ有し、全変性剤残基が、主鎖の片末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに位置することを意味する。
「変性重合体(3つ、1/20)」とあるのは、重合体が主鎖上に変性剤残基を3つ有し、全変性剤残基が、主鎖の片末端から主鎖の全鎖長の1/20の範囲のみに位置することを意味する。
「未変性重合体(0個、−)」とあるのは、重合体が主鎖上に変性剤残基を有しないことを意味する。
<ゴム組成物の調製及びタイヤの製造>
表2〜4に示す配合処方に従って各成分をバンバリーミキサーで混練し、ゴム組成物を調製した。次いで、調製したゴム組成物について、加硫温度145℃、加硫時間45分間の条件で加硫ゴムを得た。
また、調製したゴム組成物をトレッドゴムに用いてタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を試作した。
<評価>
上記のようにして調製したゴム組成物、又は、上記条件で得た加硫ゴムを用いて、練り肌評価、作業性評価、耐摩耗性評価、及び低発熱性評価を行った。
各評価方法の詳細を以下に示す。また、評価結果を表2〜4に示す。
〔練り肌評価〕
調製した加硫ゴム組成物を押出し成形し、得られたゴムシートのシート性状を目視により以下の基準で評価した。シート表面が平滑で、シートが脆化していないほど、作業性に優れることを示す。
A:シート表面が非常に平滑で、表面荒れがない。
B:シート表面が平滑である。
C:シート形状を保っているが、表面が荒れており、表面に凹凸がある。
D:シートが脆化し、シート形状を保ちにくい(物性評価不可)。
〔作業性評価〕
調製したゴム組成物について、JIS−K6300−1:2001に準拠して、ムーニー粘度計(モンサント社製RPA)によって、L型ローターを用い、130℃の条件下で、ゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4/130℃]を測定した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度の値は、比較例1の値を100として指数表示す。なお、指数値が大きいほど、ゴム組成物の流れ性が良く、作業性に優れる。許容範囲は108以下である。
〔耐摩耗性評価〕
得られた加硫ゴムについて、ランボーン式摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定した。
比較例1の加硫ゴムの摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
〔低発熱性評価〕
得られた加硫ゴムについて、損失正接(tanδ)を、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。得られたtanδの値は、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が小さい程、低ロス性に優れ、低発熱性が良好であることを示す。
表2〜4中の*1〜*8の詳細は、次のとおりである。
*1:AQ、ニップシールAQ、東ソーシリカ社製
*2:プロセスオイル、A/O MIX、三共油化工業社製
*3:カーボンブラック:三菱化学社製「ダイヤブラックN234」
*4:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*5−1:ビス−[γ−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、Si69、エボニックデグッサ社製
*5−2:3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン、モメンティブ社製
*6:ジフェニルグアニジン、ノクセラーD、大内新興化学工業社製
*7:ジベンゾチアジルジスルフィド、ノクセラーDM−P、大内新興化学工業社製
*8:N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、ノクセラーNS−P、大内新興化学工業社製
比較例5〜7からわかるように、本発明におけるジエン系重合体(A)を、本発明におけるシランカップリング剤(C)以外の従来のシランカップリング剤と共に用いても、作業性、耐摩耗性、及び低発熱性の評価が実施例よりも低く、又は評価できないほどに、性能が低下してしまうことがわかった。また、比較例8〜10からわかるように、本発明におけるシランカップリング剤(C)を用いても、共に用いる重合体が、未変性の重合体又は従来の片末端変性の重合体である場合には、練り肌評価及び作業性評価において優れるものの、加硫ゴムの耐摩耗性及び低発熱性には優れなかった。更に、本発明におけるシランカップリング剤(C)を用いても、主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに変性剤残基がないと、各評価ができないほど性能が低下した。
これに対し、本発明におけるジエン系重合体(A)とシランカップリング剤(C)とを用いた実施例では、作業性及び耐摩耗性に優れると共に、練り肌評価に優れ、更には、低発熱性評価が、比較例に比べて顕著に優れていることがわかった。

Claims (11)

  1. シリカ(B)と、
    主鎖の末端から主鎖の全鎖長の1/4の範囲のみに、前記シリカ(B)との間で相互作用が可能な変性剤残基を、1分子当たり3つ以上、主鎖に有するジエン系重合体(A)を含むゴム成分と、
    下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤(C)と
    を含むゴム組成物。

    〔式中、Rは、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−及び−(OSiR(OSiR)からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。但し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。mは1〜4である。
    は、水素原子、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基からなる群より選択されるいずれか1つである。
    は、−[O(RO)0.5−基である。但し、Rは、アルキレン基及びシクロアルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。pは1〜4である)である。
    x、y、及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、かつ0≦z≦1を満たす。
    は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
    は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選択されるいずれか1つであり、且つ炭素数が1〜18である。
    、R 、及びRが複数ある場合、R 、R 、及びRは、それぞれ独立に、同じであっても異なっていてもよい。〕
  2. 前記ジエン系重合体(A)が、少なくとも1つの前記変性剤残基間に、ジエン系重合体の単量体構造を有する請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ジエン系重合体(A)が、全ての前記変性剤残基間に、前記ジエン系重合体の単量体構造を有する請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記変性剤残基が、更に、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる群より選択されるいずれか1つ以上を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記ジエン系重合体(A)が、ジエン系単量体単位からなる単独重合体、又は60質量%以上100質量%未満のジエン系単量体単位と、0質量%を超え40質量%以下の芳香族ビニル化合物単位とを有する共重合体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 前記ジエン系単量体単位が、1,3−ブタジエン単位である請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 前記芳香族ビニル化合物単位が、スチレン単位である請求項5又は請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 前記ゴム成分中の前記ジエン系重合体(A)の含有率が、10質量%以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  9. 前記シリカ(B)の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、60〜250質量部である項1〜請求項8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  10. 前記シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量100質量部に対して、1〜20質量部である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッド部材に用いたタイヤ。
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