JP2011144324A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗性能を向上)させることにより、車の低燃費化が行なわれてきた。近年、車の低燃費化への要求がますます強くなってきており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いベーストレッドを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。
ゴム組成物の低燃費性を改善する方法として、補強用充填剤を減量する方法や、架橋剤を増量する方法などが知られている。しかし、補強用充填剤を減量すると、ゴム組成物の硬度が低下し、車のハンドリング性能(操縦安定性)や破壊特性が悪化する傾向があるとともに、ゴム組成物の形状が安定せず、押出加工性が悪化する傾向があり、架橋剤を増量すると、破壊特性が悪化する傾向があった。
また、通常、タイヤ用ゴム組成物には、押出加工性を改善するために、アロマオイルなどの軟化剤が添加されている。しかし、アロマオイルを添加すると、転がり抵抗が大きくなり、低燃費性が悪化する傾向があった。したがって、硬度を維持しながら、低燃費性、破壊特性及び押出加工性をバランス良く改善する方法が望まれていた。
特許文献1〜4には、インデン系樹脂などのレジン(樹脂)を用いてグリップ性能などを改善することが提案されている。しかし、これらのゴム組成物では、硬度を維持しながら、低燃費性、破壊特性及び押出加工性をバランス良く改善する点について、未だ改善する余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、硬度を維持しながら、低燃費性、破壊特性及び押出加工性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤と、軟化点が−20〜20℃である液状レジンとを含有し、上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカの含有量が10〜150質量部、上記液状レジンの含有量が1〜25質量部であり、上記シリカ100質量部に対する上記シランカップリング剤の含有量が1〜15質量部であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
(式中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R4及びR5は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
上記液状レジンは、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ゴム成分100質量%中、上記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体の含有量は10質量%以上であることが好ましい。
上記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体は、上記式(1)で表される化合物により変性されたスチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムであることが好ましい。
上記シリカの窒素吸着比表面積は40〜220m2/gであることが好ましい。
上記ゴム組成物はベーストレッドに用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の化合物により変性されたジエン系重合体を含むゴム成分に対して、シリカと、シランカップリング剤と、特定の軟化点を有する液状レジンとをそれぞれ所定量配合したタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、ベーストレッド)に使用することにより、硬度を維持しながら、低燃費性、操縦安定性、破壊特性及び押出加工性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明は、特定の化合物により変性されたジエン系重合体を含むゴム成分に対して、シリカと、シランカップリング剤と、特定の軟化点を有する液状レジンとをそれぞれ所定量配合したタイヤ用ゴム組成物である。これらの成分を併用することで、硬度を維持しながら、低燃費性、操縦安定性、破壊特性及び押出加工性がバランス良く改善される。
上記式(1)で表される化合物において、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基(好ま
しくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜8のシクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6〜8のアリールオキシ基等)も含まれる。
しくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜8のシクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6〜8のアリールオキシ基等)も含まれる。
上記シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
上記アセタール基としては、例えば、−C(RR′)−OR″、−O−C(RR′)−OR″で表される基を挙げることができる。前者としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基等が挙げられ、後者としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、i−プロポキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、シクロペンチルオキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基等を挙げることができる。
R1、R2及びR3としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。これにより、破壊特性及び低燃費性を両立できる。
上記式(1)で表される化合物において、R4及びR5は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。
R4及びR5のアルキル基としては、例えば、上記アルキル基と同様の基を挙げることができる。
R4及びR5としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1〜2)が好ましく、エチル基がより好ましい。これにより、破壊特性及び低燃費性を両立できる。
n(整数)としては、2〜5が好ましい。これにより、破壊特性及び低燃費性を両立できる。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが1以下であると変性反応が阻害される場合があり、nが6以上であると変性剤としての効果が薄れる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジエトキシメチルシ
ラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(1)で表される化合物(変性剤)によるジエン系重合体の変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ジエン系重合体と変性剤とを接触させればよく、ジエン系重合体を重合し、該ジエン系重合体溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ジエン系重合体溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
変性されるジエン系重合体としては特に限定されず、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、隣接部材との共架橋性、破壊特性及び低燃費性が良好であるという理由から、BR、SBRが好ましく、BRがより好ましい。
変性ジエン系重合体が変性ブタジエンゴム(変性BR)の場合、該変性BRのビニル含量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル含量が35質量%を超えると、低発熱性が損なわれる傾向がある。該ビニル含量の下限は特に限定されない。
なお、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中の変性ジエン系重合体の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な低発熱性が得られないおそれがある。該変性ジエン系重合体の含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。85質量%を超えると、混練加工性及び破断強度が悪化する傾向がある。
変性ジエン系重合体以外に本発明で使用できるゴム成分としては特に限定されず、上記ジエン系合成ゴム、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ジエン系ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、グリップ性能及び破壊特性をバランスよく示すことから、NRが好ましい。
NRとしては、特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、混練加工性及び破断強度が悪化する傾向が
ある。該NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。90質量%を超えると、充分な低発熱性が得られないおそれがある。
ある。該NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。90質量%を超えると、充分な低発熱性が得られないおそれがある。
本発明では、シリカが使用される。変性ジエン系重合体とともにシリカを配合することにより、良好な低発熱性及び高いゴム強度が得られ、低燃費性及び破壊特性を両立できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは40m2/g以上、より好ましくは50m2/g以上である。40m2/g未満では、破壊特性が低下する傾向がある。また、シリカのN2SAは、好ましくは220m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。220m2/gを超えると、低発熱性、混練加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは45質量部、更に好ましくは65質量部である。シリカの含有量が10質量部未満では、シリカの配合による充分な効果が得られない傾向がある。また、シリカの含有量は、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは85質量部以下である。シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、混練加工性が悪化する傾向がある。
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上である。1質量部未満では、破壊特性が大きく低下する傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、15質量部以下、好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、シランカップリング剤を添加することによる破壊特性の改善や転がり抵抗低減などの効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物は、特定の軟化点を有する液状レジンを含有する。上記液状レジンをオイルの代替品として用いることで、硬度を維持しながら、低燃費性、破壊特性及び押出加工性をバランス良く改善できる。この効果は、上記液状レジンのゴム成分との相溶性と、上記液状レジンの粘度特性に起因すると考えられる。
上記液状レジンとしては、例えば、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂、液状ビニルトルエン樹脂、液状ポリイソペンタン樹脂などの液状の石油系又は石炭系樹脂などが挙げられる。なかでも、液状クマロンインデン樹脂、液
状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、液状クマロンインデン樹脂がより好ましい。
状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、液状クマロンインデン樹脂がより好ましい。
上記液状レジンの軟化点は、−20℃以上、好ましくは−5℃以上、より好ましくは0℃以上である。−20℃未満であると、液状レジンの粘度が低くなり過ぎて、ゴム成分との混練性が悪化する傾向がある。また、上記液状レジンの軟化点は、20℃以下、好ましくは18℃以下、より好ましくは17℃以下である。20℃を越えると、上記液状レジンの発熱性が上昇し、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記液状レジンの含有量は、ゴム成分100重量部に対して、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは12質量部以上である。1質量部未満では、押出加工性や低燃費性を充分に改善できないおそれがある。また、上記液状レジンの含有量は、ゴム成分100重量部に対して、25質量部以下、好ましくは22質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。25質量部を超えると、硬度が低下するとともに、低燃費性、破壊特性が悪化する傾向がある。
上記ゴム組成物には、カーボンブラックを配合してもよい。これにより、補強性が得られ、破壊特性、押出加工性をより改善できる。カーボンブラックとしては、例えば、GPF、HAF、ISAF、SAFなど、タイヤ工業において一般的なものを用いることができる。
カーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上である。N2SAが30m2/g未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのN2SAは、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは150m2/g以下である。N2SAが250m2/gを超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が非常に高くなって混練加工性が悪化したり、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K6217、7頁のA法によって求められる。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K6217、7頁のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。60質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、アロマオイル等のオイル、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
上記液状レジンは、ゴム組成物を軟化する作用を有している。したがって、上記液状レジンを用いることで、ゴム組成物中のオイルの含有量を少なくして、低燃費性をより改善できる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ま
しくは1質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0質量部(含有しない)である。
しくは1質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下、特に好ましくは0質量部(含有しない)である。
本発明のゴム組成物は、タイヤに使用される各部材に使用することができ、なかでも、ベーストレッドに使用することが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、前記各成分をバンバリーミキサー、オープンロール等のゴム混練装置を用いて混練する方法が挙げられる。
本発明のゴム組成物を用い、通常の方法で本発明の空気入りタイヤを製造することができる。すなわち、前記ゴム組成物を用いてベーストレッドなどのタイヤ部材を作製し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成型機上にて加熱加圧することにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車、トラック、バス等に用いることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
変性BR(BR(1)):住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(ビニル含量:15質量%、R1、R2及びR3=−OCH3、R4及びR5=−CH2CH3、n=3)
非変性BR(BR(2)):日本ゼオン(株)製のNipol BR1220
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA:114m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
液状レジン(1):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:5〜15℃)
液状レジン(2):Rutgers Chemicals社製のNOVARES TL10(α−メチルスチレン及びインデンを主成分とする液状レジン、軟化点:5〜15℃)固体レジン:Rutgers Chemicals社製のNOVARES C90(クマロンインデン樹脂、軟化点:85〜95℃)
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
NR:RSS#3
変性BR(BR(1)):住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(ビニル含量:15質量%、R1、R2及びR3=−OCH3、R4及びR5=−CH2CH3、n=3)
非変性BR(BR(2)):日本ゼオン(株)製のNipol BR1220
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA:114m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
液状レジン(1):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:5〜15℃)
液状レジン(2):Rutgers Chemicals社製のNOVARES TL10(α−メチルスチレン及びインデンを主成分とする液状レジン、軟化点:5〜15℃)固体レジン:Rutgers Chemicals社製のNOVARES C90(クマロンインデン樹脂、軟化点:85〜95℃)
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜3及び比較例1〜5
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを用いて以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、上記試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例2の低燃費性指数を100として、下記計算式により指数表示した。値が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(比較例2の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
転がり抵抗試験機を用い、上記試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例2の低燃費性指数を100として、下記計算式により指数表示した。値が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(比較例2の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
(硬度)
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」に準じて、タイプAデュロメーターにより、0℃における上記加硫ゴム組成物の硬度を測定した。
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」に準じて、タイプAデュロメーターにより、0℃における上記加硫ゴム組成物の硬度を測定した。
(破壊特性)
JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて屈曲亀裂成長試験を行い、上記加硫ゴム組成物に所定の大きさの亀裂が発生したときの屈曲回数を測定し、比較例2の破壊特性指数を100として、下記計算式により指数表示した。値が大きいほど、破壊特性に優れることを示す。
(破壊特性指数)=(各配合の屈曲回数)/(比較例2の屈曲回数)×100
JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて屈曲亀裂成長試験を行い、上記加硫ゴム組成物に所定の大きさの亀裂が発生したときの屈曲回数を測定し、比較例2の破壊特性指数を100として、下記計算式により指数表示した。値が大きいほど、破壊特性に優れることを示す。
(破壊特性指数)=(各配合の屈曲回数)/(比較例2の屈曲回数)×100
(押出加工性)
オープンロールを用いてシート状にした上記未加硫ゴム組成物のゴム肌(表面形状)の粗さを目視で観察し、5点満点で評価した。5に近いほど押出加工性に優れることを示す。
オープンロールを用いてシート状にした上記未加硫ゴム組成物のゴム肌(表面形状)の粗さを目視で観察し、5点満点で評価した。5に近いほど押出加工性に優れることを示す。
表1より、変性ジエン系重合体を含むゴム成分に対して、シリカ、シランカップリング剤及び液状レジンをそれぞれ所定量配合した実施例は、比較例と比較して、硬度を維持しながら、低燃費性、破壊特性及び押出加工性がバランス良く改善された。一方、比較例は、上記成分を所定量含有していないため、各性能のバランスが悪かった。
Claims (7)
- 下記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤と、軟化点が−20〜20℃である液状レジンとを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が10〜150質量部、前記液状レジンの含有量が1〜25質量部であり、
前記シリカ100質量部に対する前記シランカップリング剤の含有量が1〜15質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
- 前記液状レジンが、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分100質量%中、前記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体の含有量が10質量%以上である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記式(1)で表される化合物により変性されたジエン系重合体が、前記式(1)で表される化合物により変性されたスチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカの窒素吸着比表面積が40〜220m2/gである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- ベーストレッドに用いられる請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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