JP2012136659A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】変性ジエン系ゴム及びロジンエステル樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし
【解決手段】変性ジエン系ゴム及びロジンエステル樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減させることにより、車の低燃費化が行なわれてきた。近年、車の低燃費化への要求がますます強くなってきており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いトレッドを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。
ゴム組成物の低燃費性を改善する方法として、硫黄や加硫促進剤を増量して架橋密度を高くする方法や、補強用充填剤を減量する方法が知られている。しかし、これらの方法を用いると、破壊エネルギーが低下して摩耗外観不良(チッピング)やトレッド溝底のクラック(TGC)が発生し易くなる傾向があり、また、操縦安定性が悪化する傾向もある。従って、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善する方法が望まれている。
特許文献1には、軟化点が125℃以上、酸価が20以下であるロジンエステル樹脂をゴム組成物に配合することによりグリップ性能を向上できることが開示されている。しかし、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善する点については未だ改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、変性ジエン系ゴム及びロジンエステル樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記変性ジエン系ゴムが分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性されたものであることが好ましい。
上記ロジンエステル樹脂のヨウ素価が100gI2/100g以上であることが好ましい。
ゴム成分100質量%中の上記変性されたジエン系ゴムの含有量が5質量%以上であり、ゴム成分100質量部に対する上記ロジンエステル樹脂の含有量が1〜20質量部であることが好ましい。
上記ゴム組成物はトレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、変性ジエン系ゴムと、ロジンエステル樹脂とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に使用することにより、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、変性ジエン系ゴムと、ロジンエステル樹脂とを含む。これらを併用することにより、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善することができ、特に破壊エネルギーを大幅に改善することができる。これにより、優れた低燃費性及び操縦安定性を有しつつ、摩耗外観不良(チッピング)やトレッド溝底のクラック(TGC)等の発生を抑制できる。
本発明では、ゴム成分として変性ジエン系ゴムを含む。変性ジエン系ゴムは、変性剤で変性されたジエン系ゴムであれば特に限定されないが、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)されたものが好ましい。ジエン系ゴム(例えば、アニオン重合によりジエン系ゴムを合成したときの活性末端)と、エポキシ基が反応することにより、重合体鎖に水酸基を導入できる。更に、上記多官能化合物は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するため、2個以上の重合体鎖をカップリングすることができる。
分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物としては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物等が挙げられる。なかでも、分子中に2個以上のエポキシ基及び1個以上の窒素含有基を有する多官能化合物が好ましく、下記式(1)で表される多官能化合物がより好ましい。
(式(1)中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、エーテル、及び3級アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基を有してもよい。R3及びR4は、同一若しくは異なって、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、エーテル、及び3級アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基を有してもよい。R5は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選択される少なくとも1種の基を有してもよい。zは1〜6(好ましくは1〜4)の整数を表す。)
R1及びR2の炭化水素基は2価の炭化水素基であれば特に限定されず、鎖状であっても環状であってもよく、例えば、アルキレン基などが挙げられる。また、R3及びR4の炭化水素基は1価の炭化水素基であれば特に限定されず、鎖状であっても環状であってもよく、例えば、アルキル基などが挙げられる。また、R5の炭化水素基は1〜6価の炭化水素基であれば特に限定されず、鎖状であっても環状であってもよく、例えば、アルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基、シクロアルキレン基などが挙げられる。
上記多官能化合物は、ジグリシジルアミノ基を有する多官能化合物であることが好ましく、2個以上のジグリシジルアミノ基を有する多官能化合物であることがより好ましい。また、多官能化合物の分子内のエポキシ基の数は2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上である。
上記多官能化合物により変性されるジエン系ゴムとしては特に限定されず、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性の改善効果が高く、隣接部材との共架橋性も良好であるという理由から、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。
SBR及びBRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。例えば、SBRとしては、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)等が挙げられ、BRとしては、日本ゼオン(株)製のBRl220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等が挙げられる。
変性ジエン系ゴムが変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)の場合、該変性SBRのビニル含量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。80質量%を超えると、破壊エネルギーが低下する傾向がある。該ビニル含量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。30質量%未満であると、破壊エネルギーが低下する傾向がある。
なお、ビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって算出される。
なお、ビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって算出される。
変性SBRのスチレン含量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。スチレン含量が40質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。該スチレン含量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。スチレン含量が15質量%未満であると、ウェットグリップ性能が悪化する傾向がある。
なお、スチレン含量は、1H−NMR測定により算出される。
なお、スチレン含量は、1H−NMR測定により算出される。
上記多官能化合物(変性剤)によるジエン系ゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ジエン系ゴムと変性剤とを接触させればよく、ジエン系ゴムを重合し、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ジエン系ゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
ゴム成分100質量%中の変性ジエン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは65質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善できないおそれがある。変性ジエン系ゴムの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。90質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上記変性ジエン系ゴム以外のゴム成分を使用してもよく、該ゴム成分としては、例えば、上記ジエン系合成ゴム、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、破壊エネルギーを改善できるという理由から、NR、BRが好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。5質量%未満であると、NRを配合した効果が充分に得られないおそれがある。NRの含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。20質量%を超えると、変性ジエン系ゴムの含有量が少なくなり、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善できないおそれがある。
BRとしては特に限定されず、上記で例示したタイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。10質量%未満であると、BRを配合した効果が充分に得られないおそれがある。BRの含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。30質量%を超えると、変性ジエン系ゴムの含有量が少なくなり、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性をバランス良く改善できないおそれがある。
本発明において、ロジンエステル樹脂としては、ロジン類のエステル化物を使用することができ、該ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン;原料ロジンの不均化物;原料ロジンを水素添加処理した安定化ロジン;重合ロジン等が挙げられる。ロジン類の主成分は、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸である。
ロジンエステル樹脂は、上記ロジン類とポリオール(グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール)のエステル化反応により生成される。エステル化反応は、公知の方法、例えば、不活性ガスの雰囲気下で、ロジン類とポリオールを200〜300℃に加熱し、生成した水を系外に除去することにより行うことができる。
極性が高い(SP値が高い)ロジンエステル樹脂を用いることで、破壊エネルギーの改善効果を高めることができる。ロジンエステル樹脂の極性は樹脂中の2重結合の量に比例しており、2重結合の量はヨウ素価で表される。良好な破壊エネルギーが得られるという点から、ロジンエステル樹脂のヨウ素価(gI2/100g)は、好ましくは100以上、より好ましくは110以上である。また、合成の困難性の点から、ロジンエステル樹脂のヨウ素価は、好ましくは200以下、より好ましくは180以下、更に好ましくは160以下である。
本発明において、ヨウ素価とは、樹脂100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
本発明において、ヨウ素価とは、樹脂100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
ロジンエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。酸価が上記範囲内であると、低燃費性をより向上できる。
本発明において、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
本発明において、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
ロジンエステル樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、好ましくは50以上、より好ましくは80以上であり、好ましくは150以下、より好ましくは100以下である。水酸基価が上記範囲内であると、低燃費性をより向上できる。
本発明において、水酸基価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
本発明において、水酸基価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
ロジンエステル樹脂の軟化点は、好ましくは−20℃以上、より好ましくは0℃以上である。−20℃未満であると、ゴム組成物中でのロジンエステル樹脂の分散性が低下し、破壊エネルギーが低下する傾向がある。ロジンエステル樹脂の軟化点は、好ましくは20℃以下、より好ましくは17℃以下である。20℃を越えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
なお、ロジンエステル樹脂の軟化点とは、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
なお、ロジンエステル樹脂の軟化点とは、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
ロジンエステル樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上である。1質量部未満では、破壊エネルギーを充分に改善できないおそれがある。ロジンエステル樹脂の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。20質量部を超えると、硬度が低くなり過ぎて、操縦安定性が悪化する傾向がある。
本発明では、シリカを使用することが好ましい。変性ジエン系ゴムとともにシリカを配合することにより、シリカが良好に分散し、本発明の効果が良好に得られる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは40m2/g以上、より好ましくは50m2/g以上、更に好ましくは120m2/g以上である。40m2/g未満では、補強性が低く、破壊エネルギーや操縦安定性を充分に改善できないおそれがある。また、シリカのN2SAは、好ましくは220m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下、更に好ましくは180m2/g以下である。220m2/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、低燃費性や混練加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは45質量部以上、特に好ましくは55質量部以上である。5質量部未満では、シリカを配合した効果が充分に得られないおそれがある。また、シリカの含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは85質量部以下である。150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、低燃費性や混練加工性が悪化する傾向がある。
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは7質量部以上、より好ましくは9質量部以上である。7質量部未満では、破壊エネルギーが低下する傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明では、カーボンブラックを使用することが好ましい。これにより、良好な補強性が得られ、破壊エネルギー及び操縦安定性をより改善できる。カーボンブラックとしては、例えば、GPF、HAF、ISAF、SAFなど、タイヤ工業において一般的なものを用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上、更に好ましくは100m2/g以上である。30m2/g未満では、補強性が低く、破壊エネルギーや操縦安定性を充分に改善できないおそれがある。また、カーボンブラックのN2SAは、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは150m2/g以下である。250m2/gを超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなって混練加工性が悪化したり、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満では、カーボンブラックを配合した効果が充分に得られないおそれがある。また、カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。100質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上であり、好ましくは200質量部以下、より好ましくは120質量部以下である。上記範囲内であれば、良好な破壊エネルギー及び操縦安定性が得られる。また、本発明のゴム組成物は、変性ジエン系ゴムとロジンエステル樹脂とを併用しているため、フィラー(補強用充填剤)を減量しなくても、良好な低燃費性が得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、アロマオイル等のオイル、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜配合することができる。
上記ロジンエステル樹脂は、ゴム組成物を軟化する作用を有している。従って、上記ロジンエステル樹脂を用いることで、ゴム組成物中のオイルの含有量を少なくして、低燃費性や破壊エネルギーをより改善できる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。
本発明のゴム組成物は、タイヤに使用される各部材に使用することができ、トレッド(特にキャップトレッド)に使用することが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、前記各成分をバンバリーミキサー、オープンロール等のゴム混練装置を用いて混練する方法が挙げられる。
本発明のゴム組成物を用い、通常の方法で本発明の空気入りタイヤを製造することができる。すなわち、前記ゴム組成物を用いてトレッドなどのタイヤ部材を作製し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成型機上にて加熱加圧することにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR1:旭化成ケミカルズ(株)製のE15(分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物(テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン)で変性(カップリング)したS−SBR、スチレン単位量:23質量%、ビニル単位量:64質量%、変性基:OH)
SBR2:住友化学(株)製のSBR1502
BR:宇部興産(株)製のBR150B
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA:114m2/g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(ヨウ素価:100〜110gI2/100g)
ロジンエステル樹脂1:荒川化学工業(株)製のKE364C(ヨウ素価:120gI2/100g、酸価:34.5mgKOH/g、水酸基価:97.8mgKOH/g、軟化点:5〜15℃)
ロジンエステル樹脂2:荒川化学工業(株)製のTSF47(ヨウ素価:150gI2/100g、酸価:32.6mgKOH/g、水酸基価:86mgKOH/g、軟化点:5〜30℃)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
NR:RSS#3
SBR1:旭化成ケミカルズ(株)製のE15(分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物(テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン)で変性(カップリング)したS−SBR、スチレン単位量:23質量%、ビニル単位量:64質量%、変性基:OH)
SBR2:住友化学(株)製のSBR1502
BR:宇部興産(株)製のBR150B
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220、N2SA:114m2/g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(ヨウ素価:100〜110gI2/100g)
ロジンエステル樹脂1:荒川化学工業(株)製のKE364C(ヨウ素価:120gI2/100g、酸価:34.5mgKOH/g、水酸基価:97.8mgKOH/g、軟化点:5〜15℃)
ロジンエステル樹脂2:荒川化学工業(株)製のTSF47(ヨウ素価:150gI2/100g、酸価:32.6mgKOH/g、水酸基価:86mgKOH/g、軟化点:5〜30℃)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物を用いて以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(転がり抵抗指数)
上記加硫ゴム組成物からなるゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)から測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、測定用試験片のtanδを測定し、比較例4の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例4のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
上記加硫ゴム組成物からなるゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)から測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、測定用試験片のtanδを測定し、比較例4の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例4のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(破壊エネルギー指数)
JIS K6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」にしたがって、上記加硫ゴム組成物からなるゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)の引張強度及び破断伸びを測定した。そして、得られた測定結果を用いて、引張強度×破断伸び/2により破壊エネルギーを計算し、比較例4の破壊エネルギー指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。破壊エネルギー指数が大きいほど、力学強度に優れることを示す。
(破壊エネルギー指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例4の破壊エネルギー)×100
JIS K6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」にしたがって、上記加硫ゴム組成物からなるゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)の引張強度及び破断伸びを測定した。そして、得られた測定結果を用いて、引張強度×破断伸び/2により破壊エネルギーを計算し、比較例4の破壊エネルギー指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。破壊エネルギー指数が大きいほど、力学強度に優れることを示す。
(破壊エネルギー指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例4の破壊エネルギー)×100
(硬度指数)
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」にしたがって、タイプAデュロメーターにより、上記加硫ゴム組成物の硬度を測定した。そして、比較例4の硬度指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。硬度指数が±2の範囲では、操縦安定性への影響は問題ないレベルである。
(硬度指数)=(各配合の硬度)/(比較例4の硬度)×100
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」にしたがって、タイプAデュロメーターにより、上記加硫ゴム組成物の硬度を測定した。そして、比較例4の硬度指数を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。硬度指数が±2の範囲では、操縦安定性への影響は問題ないレベルである。
(硬度指数)=(各配合の硬度)/(比較例4の硬度)×100
比較例1に対して硫黄や加硫促進剤を増量した比較例2は、低燃費性は改善したが、破壊エネルギーが大きく低下するとともに、ゴムが硬くなり過ぎて操縦安定性が悪化した。同様に、比較例1に対してフィラー(補強用充填剤)を減量した比較例3は、低燃費性は改善したが、破壊エネルギーが大きく低下するとともに、ゴムが軟化して操縦安定性が悪化した。
一方、SBR1(分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性されたジエン系ゴム)と、ロジンエステル樹脂1又は2とを併用した実施例は、比較例に比べて、低燃費性、破壊エネルギー及び操縦安定性がバランス良く改善された。また、実施例2と比較例1、4、5との比較から、上記併用により、良好な操縦安定性を維持しながら、低燃費性及び破壊エネルギーが相乗的に改善されることが分かった。
Claims (6)
- 変性ジエン系ゴム及びロジンエステル樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物。
- 前記変性ジエン系ゴムが分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性されたものである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ロジンエステル樹脂のヨウ素価が100gI2/100g以上である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- ゴム成分100質量%中の前記変性されたジエン系ゴムの含有量が5質量%以上であり、
ゴム成分100質量部に対する前記ロジンエステル樹脂の含有量が1〜20質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。 - トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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