JP2003238738A - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ

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JP2003238738A JP2002037100A JP2002037100A JP2003238738A JP 2003238738 A JP2003238738 A JP 2003238738A JP 2002037100 A JP2002037100 A JP 2002037100A JP 2002037100 A JP2002037100 A JP 2002037100A JP 2003238738 A JP2003238738 A JP 2003238738A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムへのシリカ分散性を高めると共に、破壊
特性,耐摩耗性及び加工性などに優れた低発熱性(低燃
費性)ゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いた空気入
りタイヤを提供すること。 【解決手段】 (A)(a)エチレン性不飽和ニトリル
単量体単位と、(b)芳香族ビニル単量体単位と、
(c)共役ジエン単量体単位とを有し、かつ上記
(a),(b)及び(c)単位の合計量に基づき、
(a)単位を5〜45重量%を含有する共役ジエン系共
重合体ゴムを含むゴム成分と、(B)有機珪素化合物に
よって表面処理されたシリカであって、次式 A=100−〔(DBA吸着量x)/(DBA吸着量y
)〕×100 〔式中、DBA吸着量xは、表面処理後のシリカのジノ
ルマルブチルアミン吸着量であり、DBA 吸着量y
は、表面処理前のシリカのジノルマルブチルアミン吸着
量である。〕で示される疎水化率Aが、15≦A≦70
の範囲にある部分疎水化シリカとを含むことを特徴とす
るゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いた空気入りタ
イヤである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物及びそ
れを用いた空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、
本発明は、シリカの分散性を高めたゴム組成物であっ
て、低発熱性(低燃費性),破壊特性,耐摩耗性及び加
工性などに優れたゴム組成物、及びこのゴム組成物を用
いた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の安全性への関心の高まり
に伴い、低燃費性能のみならず、湿潤路面での性能(以
下ウェット性能という)、特に、制動性能についても要
求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組
成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止
まらず、ウェット性能と低燃費性能を高度に両立するも
のが必要とされている。このような、良好な低燃費性と
良好なウェット性能とを同時にタイヤに与えるゴム組成
物を得る方法として、補強用充填材として、これまで一
般的に用いられてきたカーボンブラックに変えてシリカ
を用いる方法がすでに行われている。しかしながら、シ
リカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合
により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴム中へのシリ
カ粒子の分散を良くするために混練時間を長くする必要
がある。
【0003】また、従来より、ゴム組成物に使用する充
填材の分散性を高めるために、特に有機リチウム化合物
を用いたアニオン重合で得られるジエン系変性重合体の
重合活性末端を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾
する方法が、最も一般的になりつつある。しかし、この
場合、重合体末端官能基とシリカとの強い相互作用によ
り、シリカ粒子の分散が不十分となり、このため、ゴム
組成物のムーニー粘度が高くなり、押し出しなどの加工
性に劣ると共に、破壊特性,耐摩耗性には劣るなどの欠
点を有していた。これらの欠点を改良するために、シラ
ンカップリング剤が開発されたが、依然として、シリカ
の分散は十分なレベルに達しておらず、特に、工業的に
良好なシリカ分散を得ることは困難であった。また、特
開平5−51484号公報には、シリカの分散性を改良
するために、シリル化剤を配合することが開示されてい
るが、混練中という短い時間でシリカとシリル化剤を反
応させなければならないため、反応効率が十分ではな
く、さらに、これらシリル化剤は沸点が低く、混練中に
揮発し、反応が十分行われないという欠点を有してい
た。
【0004】さらに、特公昭63−2886号公報及び
特開平6−157825号公報には、疎水性沈降ケイ酸
を用いることが開示されているが、完全疎水化処理をし
た沈降ケイ酸を用いているため、シランカップリング剤
が反応する表面シラノール基が存在しなくなり、その結
果、ゴムの補強が十分にとれず、破壊特性,耐摩耗性を
向上させることは困難であった。また、特開平8−24
5838号公報には、部分疎水化したシリカを天然ゴム
および/またはジエン系合成ゴムに配合することが開示
されているが、この場合にも、未だ更なるシリカ分散と
ゴム組成物の破壊特性,耐摩耗性の双方を向上させるこ
とは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、補強用充填剤としてシリカを用いたゴム組成
物であって、ゴムへのシリカ分散性を高めると共に、破
壊特性,耐摩耗性及び加工性などに優れた低発熱性(低
燃費性)ゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いた空気
入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、不飽和ニト
リル単量体を含む特定のジエン系ゴムに、部分疎水化シ
リカを配合することが有効なことを知見した。本発明
は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は、(a)エチレン性不飽和ニトリル単量体
単位と、(b)芳香族ビニル単量体単位と、(c)共役
ジエン単量体単位とを有し、かつ上記(a),(b)及
び(c)単位の合計量に基づき、(a)単位5〜45重
量%を含有する共役ジエン系共重合体ゴムを含むゴム成
分と、(B)有機珪素化合物によって表面処理されたシ
リカであって、次式 A=100−〔(DBA吸着量x)/(DBA吸着量y
)〕×100 〔式中、DBA吸着量xは、表面処理後のシリカのジノ
ルマルブチルアミン吸着量であり、DBA 吸着量y
は、表面処理前のシリカのジノルマルブチルアミン吸着
量である。〕で示される疎水化率Aが15≦A≦70の
範囲にある部分疎水化シリカとを含むことを特徴とする
ゴム組成物を提供するものである。また、本発明は、前
記ゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ
をも提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のゴム組成物においては、
(A)成分として、以下に示す共役ジエン共重合体ゴム
を含むゴム成分が用いられる。当該共役ジエン共重合体
ゴムは、(a)エチレン性不飽和ニトリル単量体単位
と、(b)芳香族ビニル単量体単位と、(c)共役ジエ
ン単量体単位とを有するものであり、(a)単位は、上
記(a),(b)及び(c)単位の合計量に基づき、5
〜45重量%を含有することが必要である。(a)単位
であるエチレン性不飽和ニトリル単位の含有量が5重量
%未満ではシリカ分散性が不良となり、破壊特性,耐摩
耗性,低発熱性が十分に向上しない場合がある。一方、
この含有量が45重量%を越えると共役ジエン共重合体
ゴムのガラス転移点(Tg)が高くなりすぎ、ゴム弾性
体としての性質が失われる。このエチレン性不飽和ニト
リル単位の好ましい含有量は、8〜35重量%であり、
特に9〜20重量%が好ましい。ここで、単量体(a)
としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等
が挙げられるが、これらのうち、アクリロニトリルが好
ましい。これらの単量体(a)は1種のみを用いてもよ
いし、2種以上を併用することもできる。
【0008】(b)単位である芳香族ビニル単量体単位
の含有量としては、10〜50重量%を含有することが
好ましい。この含有量が10重量%未満では得られる加
硫ゴムの耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、一方、
50重量%を超えると得られる加硫ゴムの反発弾性が小
さくなり、tanδが大きくなりやすい。この芳香族ビ
ニル単量体単位の好ましい含有量は15〜40重量%で
ある。単量体(b)としては、スチレン、2−メチルス
チレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α
−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−
ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレ
ン及びtert−ブトキシスチレン等が挙げられるが、
これらのうち、スチレンが特に好ましい。これらの単量
体(b)は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用
することもできる。単量体(c)としては、1,3−ブ
タジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタ
ジエン、及びクロロプレンなどが挙げられるが、これら
のうち、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好まし
い。これらの単量体(c)は1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用することもできる。
【0009】共役ジエン系共重合体ゴムにおける繰り返
し単位において、単量体(c)からなる単量体単位の含
有量は20〜81重量%が好ましく、さらに好ましくは
50〜80重量%である。単量体(c)からなる単量体
単位の含有量が20重量%未満であると、得られる加硫
ゴムの反発弾性が小さくなり、tanδが大きくなるこ
とがある。前記共役ジエン系共重合体ゴムは、必要に応
じて、単量体(a)、(b)及び(c)の他、各種のエ
ステル系単量体が共重合したものとすることができる。
このエステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル
(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アク
リレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリレート類、及び酢酸ビニル等のビ
ニルエステル類が挙げられる。これらのエステル系単量
体からなる単量体単位の含有量は、共役ジエン系共重合
体ゴムの特性を損なわない範囲の量比とすることができ
るが、単量体単位全量に対して20重量%以下とするこ
とが好ましい。本発明の共役ジエン系共重合体ゴムとし
ては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体などが好ましく挙げられる。また、該共重合体ゴムは
ランダム共重合体のものが好ましい。
【0010】また、共役ジエン系共重合体ゴムは、ガラ
ス転移点が−60℃〜0℃であり、かつムーニ一粘度
〔ML1+4(100℃)〕が20〜200のものが好まし
い。上記「ガラス転移点」は、用いる単量体の組成比に
よって変化するが、ASTM D3418−82(Re
approved 1988)に準じて示差走査熱量計
(DSC)により測定した場合に、−60〜0℃であ
り、−50〜―10℃であることが好ましい。更に、ガ
ラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差は好まし
くは20℃以下であり、より好ましくは18℃以下、更
に好ましくは15℃以下、特に13℃以下である。な
お、下限は通常、5℃である。この温度差が20℃を超
えると、得られる加硫ゴムのウェットスキッド抵抗が低
下し、tanδも大きくなり好ましくない。また、上記
単量体(a)からなる単量体単位の含有量が9〜15重
量%であると共に、且つガラス転移の外挿開始温度と外
挿終了温度との差が13℃以下、特に10℃以下である
ことが好ましい。ここで、ガラス転移の外挿開始温度及
び外挿終了温度はASTM D3418−82(Rea
pproved 1988)に準じて示差走査熱量系
(DSC)により測定した。外挿開始温度は、図1に示
すDSCの昇温曲線において、低温側のベースラインを
延長した直線と、低温側の変曲点P1と高温側の編曲点
Phとの間のほぼ直線部分Lを延長した直線とが交わる
点に対応する温度軸の読みとした。また、外挿終了温度
は、図1に示すDSCの昇温曲線において、高温側のベ
ースラインを延長した直線と、直線部分Lを延長した直
線とが交わる点に対応する温度軸の読みとした。
【0011】本発明の共役ジエン系共重合体ゴムのムー
ニー粘度[ML1+4(100℃)]は20〜200であ
ることが好ましいが、さらに30〜150であることが
好ましい。ムーニー粘度が20未満であると、得られる
加硫ゴムの耐摩耗性が低下することがある。一方、20
0を超えると、この共役ジエン系共重合体ゴムを含有す
るゴム組成物の加工性が低下することがある。また、共
役ジエン系共重合体ゴムのGPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフ)法により測定したポリスチレン換算
の重量平均分子量は好ましくは100000以上であ
り、特に好ましくは100000〜2000000であ
る。重量平均分子量が100000未満であること、得
られる加硫ゴムの耐磨耗性が低下する傾向にあり、ta
nδが大きくなることもある。一方、2000000を
超えると、この共役ジエン系共重合体ゴムを含有するゴ
ム組成物の加工性が低下することがある。この重量平均
分子量は、重合時、ラジカル重合において一般に使用さ
れるアルキルメルカプタンに代表される連鎖移動剤を用
いることにより制御することができる。
【0012】共役ジエン系共重合体ゴムは、水系媒体に
おいて上記単量体(a)、(b)及び(c)並びに必要
に応じてエステル系単量体をラジカル重合開始剤を用い
て重合させ、製造することができる。重合方法は特に制
限されないが、通常、乳化重合が好ましい。乳化重合は
一般的な方法であればよく、所定の単量体を乳化剤の存
在下に水系媒体において乳化させ、ラジカル重合開始剤
により重合を開始し、所定の重合転化率となった時点で
重合停止剤により重合を停止する方法が挙げられる。本
発明において、上記単量体(a)の仕込み方が重要であ
り、重合系に分割して添加することが好ましい。単量体
(a)の一部を重合開始前に投入し、残部を重合過程に
おいて重合系に間欠的に、あるいは連続的に添加するこ
とが好ましい。また、重合途中で測定される全単量体仕
込み分の重合転化率が10〜95%、好ましくは20〜
80%となった後に、単量体(a)の残部を一括して又
は分割して又は連続的に添加することが好ましい。な
お、単量体(a)の全量を重合開始前に重合系に投入し
て共重合させた場合、共重合ゴムのガラス転移の開始温
度と終了温度との差が20℃を超えて大きくなる傾向に
あり、好ましくない。また、重合開始前の上記単量体
(a)の初期仕込み量は、使用する単量体(a)全量に
対して、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは
20〜90重量%、更に好ましくは30〜85重量%で
ある。
【0013】乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、
ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性
界面活性剤が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性剤
を使用することもできる。これらの乳化剤としては、ア
ニオン系界面活性剤が多用され、例えばカプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、
ステアリン酸等の炭素数10以上の長鎖脂肪酸のカリウ
ム塩又はナトリウム塩等の他、ロジン酸塩等を使用する
ことができる。ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ter
t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオ
キサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジーt
ert−ブチルヒドロパーオキサイド及びジクミルパー
オキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。
また、アゾビスイソブチロニトリルにより代表されるア
ゾ化合物、過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化
物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合わせに
より代表されるレドックス系触媒等を用いることもでき
る。これらのラジカル重合開始剤は1種のみ用いてもよ
いし、2種以上を併用することもできる。
【0014】また、共役ジエン系共重合体ゴムの分子量
を調節するため、連鎖移動剤として、tert−ドデシ
ルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキ
ルメルカプタン類、四塩化炭素、チオグリコール類、ジ
テルペン、ターピノーレン及びγ―テルピネン類等の連
鎖移動剤を使用することもできる。重合は酸素を除去し
た反応器を用いて0〜100℃で行うことができ、重合
温度は0〜80度であることが特に好ましい。重合方式
は連続式でもよいし、回分式であってもよく、重合温度
等、あるいは攪拌等の操作条件等を反応途中で適宜変更
することもできる。尚、重合転化率が高くなるとゲル化
する傾向があるため、重合転化率は80%以下に抑える
ことが好ましい。重合は所定の重合転化率に達した時点
で、重合停止剤を添加することにより停止することがで
きる。この重合停止剤としては、ヒドロキシルアミン、
ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物、又はヒ
ドロキノン等のキノン化合物等を用いることができる。
重合停止後、生成した共役ジエン系共重合体ゴムラテッ
クスから、必要に応じて、水蒸気蒸留等の方法により未
反応の単量体を除去した後、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、塩化カルシウム等の塩、及び必要であれば、塩
酸、硝酸、硫酸等を更に添加し、共役ジエン系共重合体
ゴムをクラムとして凝固させることができる。このクラ
ムを洗浄し、脱水した後、ドライヤー等により乾燥する
ことにより、共役ジエン系共重合体ゴムとすることがで
きる。
【0015】さらに、上記共役ジエン系共重合体ゴム
は、伸展油を含有したものとすることができ、この場
合、伸展油の含有量は、上記共役ジエン系共重合体ゴム
100重量部に対して10〜60重量部、好ましくは2
0〜50重量部である。伸展油が10重量部未満である
と、加工性が十分に向上せず、60重量部を超えると、
ゴム組成物の調製時に所要の加工性等に応じて配合され
る伸展油の量比が制限されるため好ましくない。得られ
る油展ゴムのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は
好ましくは20〜180、特に好ましくは30〜150
である。また、伸展油としては特に限定されず、例えば
芳香族系油、ナフテン系油、パラフィン系油を挙げるこ
とができる。これらの1種でもよいし、2種以上の混合
物でもよい。また、これらのうち、芳香族系の伸展油が
特に好ましい。
【0016】本発明のゴム組成物においては、(A)成
分のゴム成分として、前記共役ジエン系共重合体ゴムを
少なくとも30重量%含むことが必要である。この量が
30重量%未満では所望の物性を有するゴム組成物が得
られないことがある。ゴム成分中の該共役ジエン系共重
合体ゴムの好ましい含有量は35重量%以上であり、特
に40〜100重量%が好適である。上記の共役ジエン
系共重合体ゴムと併用されるゴム成分としては、天然ゴ
ム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴム
としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SB
R),ポリブタジエン(BR),ポリイソプレン(I
R),ブチルゴム(IIR),エチレン−プロピレン共
重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。また、その
一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性
剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよ
い。
【0017】次に、本発明の組成物において、(B)成
分として、有機珪素化合物によって疎水化したシリカが
用いられる。この疎水化の程度は、次式 A=100−〔(DBA吸着量x)/(DBA吸着量
y)〕×100 〔式中、DBA吸着量xは、表面処理後のシリカのジノ
ルマルブチルアミン吸着量であり、DBA 吸着量y
は、表面処理前のシリカのジノルマルブチルアミン吸着
量である。〕で表される疎水化率Aは15≦A≦70で
あることが必要である。上記DBA吸着量とはシリカの
疎水化の程度を示す指標である。DBA分子中のアミノ
基がシリカ表面に存在するシラノール基とイオン結合す
ることにより、吸着が起こる。これが大きいことは、疎
水化があまり行われていないこと、つまりシリカ表面の
シラノール基の量が多いことを示し、これが小さいこと
は、疎水化が進んでいることを示す。
【0018】疎水化率Aが15未満では、十分な耐摩耗
性を得ることが困難であり、70を超えると、十分なゴ
ム中への分散改良効果が得られず、耐摩耗性、低転がり
抵抗性(低燃費性)の改善がなされない。この点から、
疎水化率Aは好ましくは30≦A≦60である。また表
面処理前のDBA吸着量xは、200mmol/kg以
上、500mmol/kg以下が好ましい。さらに、表
面処理後のDBA吸着量yは、100mmol以上、2
30mmol/kg以下が好ましい。DBA吸着量が1
00mmol/kg未満では、十分な補強性が維持でき
ず、耐摩耗性が十分でないことがあり、DBA吸着量が
230mmol/kgを超えると、ゴム配合物の粘度が
十分に下がらず、シリカの分散不良による耐摩耗性を招
くことがある。
【0019】本発明のゴム組成物に用いられる部分疎水
化シリカは、表面処理剤として、下記の一般式(I)〜
(V)で表わされる化合物および低分子量環状ポリシロ
キサンよりなる群より選ばれた少なくとも一種の有機珪
素化合物で処理することが好ましい。
【0020】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0021】(上記式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、
炭素数1〜6のアルキル基,炭素数2〜6のアルケニル
基,炭素数3〜6のシクロアルキル基,フェニル基又は
炭素数7〜12のアラルキル基である。nは1〜3の整
数である。)
【0022】上記有機珪素化合物の具体例としては、ト
リメチルシラノール、トリメチルモノクロルシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシルチア
ンなどが挙げられる。シリカの処理に用いる有機珪素化
合物の量は、所望の疎水化率が得られるように調整す
る。これは、処理されるシリカおよび有機珪素化合物の
種類によって異なる。処理時のシリカの含有水分として
は、有機珪素化合物が加水分解性の官能基を有している
ことからも、適度(約3〜10%)の水分を含むことが
好ましく、処理後、加熱操作を実施してもよい。
【0023】本発明のゴム組成物に用いられる部分疎水
化シリカの使用量は、(A)成分100重量部当たり、
10〜85重量部の範囲であることが好ましい。使用量
が10重量部未満では、分散改良による耐摩耗性および
低転がり抵抗性のメリットが小さく、85重量部を超え
るとロールバギーなどの作業性の悪化をもたらすことが
ある。本発明のゴム組成物においては、本発明の目的が
損なわれない範囲で、前記の部分疎水化シリカと併用し
て、疎水化処理していない通常のシリカを用いることが
できる。上記で用いられるシリカとしては特に制限はな
く、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているもの
の中から任意に選択して用いることができる。例えば湿
式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),
ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられる
が、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ
性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式
シリカが好ましい。
【0024】さらに、本発明のゴム組成物においては、
所望により、貯蔵弾性率や補強性などを向上させる目的
で、さらに、(C)成分としてカーボンブラックを用い
ることができる。このカーボンブラックとしては特に制
限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されてい
るものの中から任意のものを選択して用いることができ
る。このカーボンブラックとしては、例えばFEF,S
RF,HAF,ISAF,SAF等が挙げられる。好ま
しくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上で、か
つ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ミリリ
ットル/100g以上のカーボンブラックである。この
カーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効
果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF,I
SAF,SAFが好ましい。
【0025】本発明においては、この所望により用いら
れる(C)成分のカーボンブラックの配合量は、前記
(A)成分100重量部に対し、80重量部以下の範囲
になるように、かつ前記(B)成分のシリカとの合計量
が120重量部以下になるように選ぶのがよい。このカ
ーボンブラックの配合量が80重量部を超えたり、
(B)成分との合計量が120重量部を超えると所望の
物性を有するゴム組成物が得られにくく、本発明の目的
が達せられないおそれがある。配合効果及び物性などの
面から、この(C)成分の好ましい配合量は、5〜70
重量部の範囲であり、かつ(B)成分との合計配合量は
100重量部以下が好ましい。
【0026】本発明のゴム組成物においては、所望によ
り、(D)成分としてシランカップリング剤を配合する
ことができる。このシランカップリング剤としては、特
に制限はなく、従来ゴム組成物に使用されている公知の
もの、例えば、ビス(3−トリメチルシリルプロピル)
テトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−
N、N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィ
ド、2−ベンゾチアジル−3−トリメトキシシリルプロ
ピルテトラスルフィドが好ましく挙げられる。この所望
により用いられるシランカップリング剤の配合量は、全
シリカ量に対して、通常1〜20重量%の範囲で選定さ
れる。この量が1重量%未満ではカップリング剤として
の効果が充分に発揮されにくく、また、20重量%を超
えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カ
ップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点か
ら、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5
〜15重量%の範囲である。
【0027】本発明のゴム組成物には、所望により、通
常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤,加
硫促進剤,プロセス油,老化防止剤,スコーチ防止剤,
亜鉛華,ステアリン酸などを含有させることができる。
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー
等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、
成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,アンダート
レッド,カーカス,サイドウォール,ビード部分等のタ
イヤ用途を始め、防振ゴム,ベルト,ホースその他の工
業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤト
レッド用ゴムとして好適に使用される。本発明の空気入
りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法に
よって製造される。このようにして得られた本発明の空
気入りタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優
れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるの
で、生産性にも優れている。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、重合体の物性は、下記の方法
に従って測定した。 <重合体の物性>重合体の重量平均分子量(Mw)の測
定はゲルパーミエーションクロマトグラフィ[GPC;
東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−
XL(2本直列)]により行い、示差屈折率(R1)を
用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン
換算で行った。重合体のムーニー粘度は東洋精機社製の
RLM−01型テスターを用いて、100℃で測定し
た。重合体中の結合アクリロニトリル単位含有量は、元
素分析による窒素含有量から算出して求めた。重合体中
のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分
比より算出した。重合体のガラス転移点(Tg)はパー
キンエルマー社製の示差走査熱分析機(DSC)7型装
置を用い−100℃まで冷却した後に10℃/minで
昇温する条件で測定した。また、加硫ゴムの物性を下記
の方法で測定すると共に、ゴム組成物のムーニー粘度を
下記のようにして測定した。
【0029】<シリカのDBA吸着量>R.Meyer: Kauts
chuku. Gummi.,7(8),180〜182(1954)
に従って測定した。つまり、105℃、2時間で乾燥し
た試料250mgを精秤し、これに50mlの1/50
0規定のDBA石油ベンジン溶液を加え、20℃で2時
間放置する。この上澄液の25mlに、クロロフォルム
5ml、クリスタルバイオレット指示薬2〜3滴を加
え、紫色が青色に変わるまで、1/100規定の過塩素
酸の無水酢酸溶液で滴定し、このときの滴定値をAml
とする。別に、試料を含まないブランクテストを行い、
その滴定値をBmlとする。DBA吸着量は次式によっ
て求められる。 DBA吸着量(mmol/kg) =80× (B−A) ×f (ただし、f は1/100規定の過塩素酸溶液の力価で
ある。)
【0030】<加硫ゴムの物性> (1)低発熱性 粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温
度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδ(50
℃)を測定した。tanδ(50℃)が小さい程、低発
熱性である。 (2)破壊強力 切断時の強力(Tb)をJIS K6301−1995
に従って測定した。 (3)耐摩耗性 ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ
率60%の摩耗量を測定し、比較例4又は12の耐摩耗
性を100として、耐摩耗指数として指数表示した。指
数が大きい方が良好となる。 <ゴム組成物のムーニー粘度>JIS K6300−1
994に準じ、130℃にてムーニー粘度[ML1+4
130℃]を測定した。
【0031】製造例1(重合体A:油展共役ジエン系共
重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部(重量部、以下同じ)、ロジ
ン酸石鹸を4.5部、ブタジエンを69部、スチレンを
26部、及びアクリロニトリルを5部仕込んだ。その
後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカル重合開
始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイドを0.
03部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを0.02
部、硫酸第1鉄7水和物を0.01部、及びソジウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレートを0.03部添加して
重合を開始した。重合転化率が30%に達した時点で、
アクリロニトリルを3部更に添加し、重合転化率が60
%に達した時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加
して重合を停止させた。次いで、スチームストリッピン
グにより未反応単量体を回収し、共役ジエン系共重合体
ゴムラテックスを得た。その後、このラテックスに含有
される固形分100部に対して37.5部のアロマオイ
ル(富士興産株式会社製、商品名「フッコール・アロマ
ックス#3」)を含む乳化物を配合し、これを硫酸と塩
化ナトリウムにより凝固させてクラムとした。次いで、
このクラムを熱風乾燥機により乾燥させ、アロマオイル
で油展された共役ジエンゴムAを得た。ラテックスに含
まれる共役ジエン系共重合体ゴムのムーニー粘度は12
7、結合アクリロニトリル量は10重量%、結合スチレ
ン量は20重量%、重量平均分子量は640000、ガ
ラス転移点は−43℃であり、ガラス転移の外挿開始温
度と外挿終了温度との差は11℃であった。また、油展
共役ジエン系共重合体ゴムAのムーニー粘度は49であ
った。
【0032】製造例2(重合体B:油展共役ジエン系共
重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを66部、スチレンを19部、及びアク
リロニトリルを7部仕込んだ。その後、重合用容器の温
度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メン
タンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジ
アミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水
和物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスル
ホキシレートを0.03部添加して重合を開始した。重
合転化率が30%に達した時点で、アクリロニトリルを
5部更に添加し、重合転化率が60%に達した時点で、
ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ
た。次いで、製造例Aの場合と同様にしてアロマオイル
で油展された共役ジエン系共重合体ゴムBを得た。ラテ
ックスに含まれる共役ジエン系共重合体ゴムのムーニー
粘度は132、結合アクリロニトリル量は14重量%、
結合スチレン量は15重量%、重量平均分子量は640
000、ガラス転移点は−45℃であり、ガラス転移の
外挿開始温度と外挿終了温度との差は12℃であった。
また、油展共役ジエン系共重合体ゴムAのムーニー粘度
は45であった。
【0033】製造例3(重合体C:油展共役ジエン系共
重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを66部、スチレンを26部、及びアク
リロニトリルを8部仕込んだ。その後、重合用容器の温
度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メン
タンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジ
アミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水
和物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスル
ホキシレートを0.03部添加して重合を開始した。重
合転化率が60%に達した時点で、ジエチルヒドロキシ
ルアミンを添加して重合を停止させた。次いで、製造例
Aの場合と同様にしてアロマオイルで油展された共役ジ
エン系共重合体ゴムCを得た。ラテックスに含まれる共
役ジエン系共重合体ゴムのムーニー粘度は125、結合
アクリロニトリル量は10重量%、結合スチレン量は2
0重量%、重量平均分子量は640000、ガラス転移
点は−41℃であり、ガラス転移の外挿開始温度と外挿
終了温度との差は25℃であった。また、油展共役ジエ
ン系共重合体ゴムAのムーニー粘度は47であった。
【0034】製造例4(重合体D:油展共役ジエン系共
重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを58部、及びスチレンを42部仕込ん
だ。その後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカ
ル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイ
ドを0.03部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを
0.02部、硫酸第1鉄7水和物を0.01部、及びソ
ジウムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.03部
添加して重合を開始した。重合転化率が60%に達した
時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を
停止させた。次いで、製造例Aの場合と同様にしてアロ
マオイルで油展された共役ジエン系共重合体ゴムDを得
た。ラテックスに含まれる共役ジエン系共重合体ゴムの
ムーニー粘度は126、結合スチレン量は35重量%、
重量平均分子量は760000、ガラス転移点は−42
℃であった。また、油展共役ジエン系共重合体ゴムAの
ムーニー粘度は47であった。
【0035】製造例5(重合体E:非油展共役ジエン系
共重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを80部、スチレンを12部、及びアク
リロニトリルを5部仕込んだ。その後、重合用容器の温
度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メン
タンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジ
アミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水
和物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスル
ホキシレートを0.03部添加して重合を開始した。重
合転化率が30%に達した時点で、アクリロニトリルを
3部更に添加し、重合転化率が60%に達した時点で、
ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ
た。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量
体を回収し、共役ジエン系共重合体ゴムラテックスを得
た。ラテックスに含まれる共役ジエン系共重合体ゴムの
ムーニー粘度は50、結合アクリロニトリル量は10重
量%、結合スチレン量は11重量%、重量平均分子量は
450000、ガラス転移点は−60℃であった。
【0036】製造例6(重合体F:非油展共役ジエン系
共重合体ゴム) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを72部、スチレンを28部仕込んだ。
その後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカル重
合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイドを
0.03部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを0.
02部、硫酸第1鉄7水和物を0.01部、及びソジウ
ムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.03部添加
して重合を開始した。重合転化率が60%に達した時点
で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止
させた。次いで、スチームトリッピングにより未反応単
量体を回収し、共役ジエン系共重合体ゴムラテックスを
得た。ラテックスに含まれる共役ジエン系共重合体ゴム
のムーニー粘度は49、結合スチレン量は23.5%、
重量平均分子量440000、ガラス転移点は−61℃
であった。上記により得られた重合体A〜Fのミクロ構
造及び物性値を第1表に示す。ここで、重合体A〜Dは
重合体100重量部に対してオイル37.5重量部を加
えた油展ゴムであるが、重合体E,Fは油展していな
い。
【0037】
【表1】
【0038】なお、実施例及び比較例で用いた処理又は
未処理シリカ(含水ケイ酸)の性状を第2表に示す。こ
こで、サンプル〜は、処理剤の種類又は疎水化率A
を異にする部分疎水化シリカである。
【0039】
【表2】
【0040】(注) *ニプシールAQ:商標,日本シリカ工業(株)製 実施例1〜6及び比較例1〜10 ゴム成分として、製造例1〜4で得られた第1表の重合
体A〜D(油展ゴム)を用い、第3表の配合1に示す配
合処方(充填材はカーボンブラック/シリカ併用系)に
より、第1ステージ混練りをした後、第2ステージ混練
りを行ってゴム組成物を調製した。
【0041】
【表3】
【0042】(注) *1;6C〔N−(1,3ジメチルブチル)−N‘−フ
ェニル−p−フェニレンジアミン〕 *2;DPG(ジフェニルグアジニン) *3;DM(ジベンゾチアジルスルフェンアミド) *4;NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスル
フェンアミド) 上記各ゴム組成物のムーニー粘度を測定すると共に、1
60℃,15分間の条件で加硫して得たゴム組成物につ
いて物性を測定した。その結果を第4表に示す。
【0043】
【表4】
【0044】上記の結果より、本発明における実施例1
〜3,4,5を、各々比較例5,6,7と比べた場合、
シリカは各同一種類であるが、これらの実施例では、破
壊強力,低発熱性,耐摩耗性の全てにおいて極めて優れ
ていることが分かる。また、共役ジエン系共重合体ゴム
として、特にガラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度
との差が20℃以下の重合体A又はBを用いた実施例
1,2は、実施例3に比べて本発明の効果が大きいこと
が分かる。なお、疎水化処理を全くしていないシリカを
用いた比較例1〜4においては、tanδは低くなる
が、分散性がよくないために破壊強力や耐摩耗性におい
ては、実施例1〜5に比べて非常に劣っている。また、
比較例8は、シリカの疎水化率Aの範囲が本発明の範囲
外であるために、本発明における共役ジエン系共重合体
ゴムを用いているが、その効果は得られない。実施例
7,8及び比較例12〜14ゴム成分として、製造例
5,6で得られた第1表の重合体E,F(非油展ゴム)
を用い、第3表の配合2に示す配合処方(充填材はシリ
カ単独系)により、第1ステージ混練りをした後、第2
ステージ混練りを行ってゴム組成物を調製した。このゴ
ム組成物ムーニー粘度を測定すると共に、160℃,1
5分間の条件で加硫したゴム組成物について物性を測定
した。その結果を第5表に示す。
【0045】
【表5】
【0046】上記の結果より、実施例7,8は、比較例
1、12に対して、ムーニー粘度,破壊強力,低発熱性
及び耐摩耗性の全てにおいて優れていることがわかる。
なお、比較例13〜14は、ムーニー粘度は低下してい
るが、破壊強力と耐摩耗性は非常に劣っている。
【0047】
【発明の効果】本発明のゴム組成物においては、シリカ
の分散性を大きく向上することができ、良好な低発熱性
と共に,優れた破壊特性及び耐摩耗性が得られ,特にタ
イヤトレッド用ゴムとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における共役ジエン系共重合体ゴムのガ
ラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度の求め方を示す
DSCのチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 但木 稔弘 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC021 AC032 AC062 AC071 AC081 AC082 BB152 BB182 DA037 DJ016 EX078 EX088 FB116 FB146 GM01 GN01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)エチレン性不飽和ニトリル
    単量体単位と、(b)芳香族ビニル単量体単位と、
    (c)共役ジエン単量体単位とを有し、かつ上記
    (a),(b)及び(c)単位の合計量に基づき、
    (a)単位5〜45重量%を含有する共役ジエン系共重
    合体ゴムを含むゴム成分と、(B)有機珪素化合物によ
    って表面処理されたシリカであって、次式 A=100−〔(DBA吸着量x)/(DBA吸着量y
    )〕×100 〔式中、DBA吸着量xは、表面処理後のシリカのジノ
    ルマルブチルアミン吸着量であり、DBA 吸着量y
    は、表面処理前のシリカのジノルマルブチルアミン吸着
    量である。〕で示される疎水化率Aが、15≦A≦70
    の範囲にある部分疎水化シリカとを含むことを特徴とす
    るゴム組成物。
  2. 【請求項2】 共役ジエン系共重合体ゴムが、(a),
    (b)及び(c)単位の合計量に基づき、(b)単位を
    10〜50重量%を含有する請求項1記載のゴム組成
    物。
  3. 【請求項3】 共役ジエン系共重合体ゴムが、ガラス転
    移点−60℃〜0℃及びムーニ一粘度〔ML1+4(100
    ℃)〕20〜200のものである請求項1又は2記載の
    ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 共役ジエン系共重合体ゴムが、ガラス転
    移の外挿開始温度と外挿終了温度との差が20℃以下の
    ものである請求項1、2又は3記載のゴム組成物。
  5. 【請求項5】 共役ジエン系共重合体ゴムが、アクリル
    ニトリルとスチレンとブタジエンとの共重合体である請
    求項1ないし4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 【請求項6】 (A)成分中に、前記共役ジエン系共重
    合体ゴムを30重量%以上含有する請求項1ないし5の
    いずれかに記載のゴム組成物。
  7. 【請求項7】 (B)成分の部分疎水化シリカの配合量
    が、(A)成分100重量部当たり、10〜85重量部
    である請求項1ないし6のいずれかに記載のゴム組成
    物。
  8. 【請求項8】 さらに、(A)成分100重量部当た
    り、(C)カーボンブラック80重量部以下を含む請求
    項1ないし7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 【請求項9】 さらに、シリカ量に対し、(D)カップ
    リング剤1〜20重量%を含む請求項1ないし8のいず
    れかに記載のゴム組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    ゴム組成物をトレッドゴムとして用いたことを特徴とす
    る空気入りタイヤ。
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