JP2007238682A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカの分散性を優れたものとして加工性を改善し、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能のバランスに優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム成分100重量部に対し、シリカを5〜100重量部、シリカシランカップリング剤を前記シリカ重量に対して1〜20重量%、及び下記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
Figure 2007238682

(式中、Rは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数6から24のアリール基、またはROC2pCHOHCH基(pは1〜5の整数、Rは水素原子、炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基)。R及びRは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数1〜3のアルキル基。Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、加工性を改善し、耐摩耗性、転がり抵抗特性及び湿潤路面での制動性能をバランスよく両立することができるゴム組成物、及びこれをトレッド部に用いた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのトレッドに用いられるゴム組成物は、低燃費性の市場ニーズから転がり抵抗特性の低減要求が強く、また安全性の面からの湿潤路面での制動性能や操縦安定性(以下、ウエット性能という)の向上が求められ、さらに耐久性、経済性の点で優れた耐摩耗性が求められ、これらの特性をバランス良く両立することが重要である。
ところで、上記転がり抵抗特性とウェット性能とは、ゴムのヒステリシスロスに関わる特性であり、一般にヒステリシスロスを大きくするとウェット性能は高くなり制動特性が向上するが、転がり抵抗も大きくなり燃費の悪化をもたらす。このように、転がり抵抗特性とウェット性能は、二律背反の関係にあり両特性を同時に満足させるべくゴム組成物が多数検討されている。
例えば、従来からゴム補強剤として使用されているカーボンブラックに代えて、上記転がり抵抗特性とウェット性能とのバランスが得られやすいシリカを配合したゴム組成物がタイヤトレッドに使用されるようになっている。
ところが、シリカは、親水性を有し、表面がシラノール基に覆われているため強い自己凝集性を持ち、ゴム中へ混合する際にゴム中への分散が容易でなくゴムの混練時間を長くし温度管理を必要とし、また分散不良に伴う後工程での加工性やゴム特性を低下させるという欠点がある。
シランカップリング剤はシリカのシラノール基と結合してシリカ同士の凝集を防ぎ、加工性を改善すると考えられるもので、シリカとゴムとの親和性を高めてシリカの分散性を向上し、また両者の結合力を高めるために使用されているが、シリカ分散性のさらなる向上を図るため、これらシランカップリング剤の改良技術が多数検討され、またアミン付加塩や4級アンモニウム塩からなる界面活性剤をシランカップリング剤と併用することが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2001−139727号公報 特開2002−275311号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなしたものであり、ゴム組成物へのシリカの多量配合に伴う加工性低下の問題を解決するとともに、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能とのバランスに優れたゴム組成物、及びそれをトレッド部に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、シリカ配合のゴム組成物にシランカップリング剤と特定構造のカチオン性界面活性剤とを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、さらにシランカップリング剤の改良、高級脂肪酸金属塩を併用することでより優れた効果が得られることを見出し本発明に到達したものである。
すなわち、本発明にかかるゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100重量部に対し、シリカを5〜100重量部、シリカシランカップリング剤を前記シリカ重量に対して1〜20重量%、及び下記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
Figure 2007238682
(式中、Rは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数6から24のアリール基、またはROC2pCHOHCH基(pは1〜5の整数、Rは水素原子、炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基)。R及びRは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数1〜3のアルキル基。Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
本発明のゴム組成物においては、前記シランカップリング剤が下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
(C2n+1O)Si−(CH−S−CO−C2y+1・・(2)
(式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは1または2、yは5〜9の整数である。)
また、前記カチオン性界面活性剤の配合量が、前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し1〜10重量部であることが好ましい。
さらに、本発明のゴム組成物は、高級脂肪酸金属塩を前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し0.1〜10重量部含有することが好ましい。
そして、本発明は、上記のゴム組成物を、トレッド部に用いた空気入りタイヤである。
本発明のゴム組成物によれば、シリカを配合したゴム組成物の粘度上昇を抑えゴム混練時のシリカ分散性を著しく向上し、ゴム加工時の作業性を改善するとともに、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能とをバランス良く両立することができ、燃費性、安全性、経済性に優れる空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムが使用される。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)及びジエン系合成ゴムが使用できる。ジエン系合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。これらのジエン系ゴムは、単独使用または2種類以上のブレンドでもよい。
本発明において、上記ジエン系合成ゴムとしては、その分子量やミクロ構造などは特に制限されない。例えば、SBRの場合、その重合方法やスチレン量、ビニル含量などのミクロ構造、分子量、或いは水酸基やアミノ基等の官能基による末端変性の有無などにより制限されることはない。その中でも、タイヤトレッドに用いる場合は、強度や低発熱性、耐摩耗性、加工性等に優れる従来よりトレッド用に用いられる溶液重合或いは乳化重合により得られるSBRの中から選択し使用することが好ましく、スタッドレスタイヤ用には低温特性の良いBRとのブレンド使用が好ましい。
本発明のゴム組成物に使用されるシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも補強性並びに低転がり抵抗特性とウェット性能の両立効果が良好である湿式シリカが好ましく、また生産性に優れる点からもコスト面で有利である。
上記シリカは、窒素吸着比表面積(BET法)が100〜300m/g、DBP吸油量が150〜300ml/100gにあるものが好ましく、BETが100m/g未満であるとシリカの補強効果が得られ難くなり、300m/gを超えるとシリカの分散性が著しく低下し、加工性(混合、押出性)が悪化する傾向にある。また、DBP吸油量を150〜300ml/100gとすることで分散性を良好に維持することができる。このようなシリカとしては、東ソーシリカ工業(株)製のニプシールAQ、VN3、トクヤマ(株)製のトクシールUR、U−13、デグサ社製のウルトラジルVN3などの市販品が使用できる。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に、DBP吸油量はJIS K6221に記載の方法に準拠し測定される。
さらに、シリカとしてはアミン類や有機高分子などで表面処理しポリマーとの親和性を改善した表面処理シリカなどを用いてもよい。
上記シリカの配合量はゴム成分100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜100重量部である。シリカの配合量が5重量部未満ではシリカ配合による補強性、低発熱性などのシリカ配合特有の作用が発揮されず本発明の目的が達せられず、100重量部を超えると本発明によりシリカの分散性を向上したとしてもゴムのムーニー粘度や硬度が上昇し、加工性の悪化、また耐摩耗性の低下傾向を示し好ましくない。
本発明のゴム組成物に用いられる界面活性剤は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤である。
Figure 2007238682
式中、Rは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数6から24のアリール基、またはROCpHpCHOHCH基(pは1〜5の整数、Rは水素原子、炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基)。R及びRは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数1〜3のアルキル基。Rは炭素数1〜3のアルキル基である。
式(1)中のR、R及びRのアルキル基のうち少なくとも1つは、炭素数が8以上の直鎖構造であるものが好ましい。炭素数が8未満ではアルキル基とゴム成分との反応性が不十分となりシランカップリング剤との併用効果が発現されずシリカの分散性が向上しない。また、炭素数が24を超えるとゴム物性への影響、特にゴム硬度の低下が予想され、耐摩耗性、ウェット性能に悪影響する。すなわち、本発明にかかるカチオン性界面活性剤は、ゴムとの反応性を示す疎水基部分が長鎖構造の炭化水素基からなることが好ましい。
このカチオン性界面活性剤は、そのN部分がシリカ表面のシラノール基と相互作用を持ち、シリカ表面に存在することでシラノール基の活性を抑えてシリカの凝集塊を作り難くし、これによりシリカの分散性を向上させることができる。
上記カチオン性界面活性剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。配合量が、1重量部未満では、シランカップリング剤との相互作用が不十分でシリカ分散性が改善されず、10重量部を超えるとスコーチを起こしやすくし、またゴム組成物が軟化し耐摩耗性、ウェット性能を悪化させる。
また、本発明のゴム組成物に用いられるシランカップリング剤は、特に限定されず、従来からゴム用として用いられている、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ポリスルフィド等のイオウ含有シランカップリング剤、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられる。
本発明においては、シランカップリング剤が下記一般式(2)で表される化合物であると、本発明の効果をさらに一層向上させることができる。
(C2n+1O)Si−(CH−S−CO−C2y+1・・(2)
式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは1または2、yは5〜9の整数である。
本発明のゴム組成物は、上記のカチオン性界面活性剤と式(2)で表されるシランカップリング剤とを併用することで、界面活性剤自体がシリカのシラノール基と反応すると共に、ゴム成分と物理的に相互作用を持つことにより、シランカップリング剤のカップリング効果を促進する作用るとともに、界面活性剤のN部分がシリカに吸着してシリカ表面の親水性を弱める作用によりシリカの凝集を抑制し、シリカの分散性が改善される。
かかるシランカップリング剤の配合量は前記シリカ量に対して1〜20重量%であり、より好ましくは2〜15重量%の範囲で使用される。シランカップリング剤の配合量が1重量%未満ではシランカップリング剤自体のカップリング効果が充分でなく、かつカチオン性界面活性剤との相互作用も不十分となり、20重量%を超えてもそれ以上のカップリング効果は得られず、ウェット性能、補強性、耐摩耗性を低下させるおそれがある。本発明においては、上記従来のシランカップリング剤と上記一般式(2)で表されるシランカップリング剤とを併用してもよい。
さらに、本発明のゴム組成物は、高級脂肪酸金属塩を前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し0.1〜10重量部含有することが好ましい。これにより、ゴム成分とシリカに対するカチオン性界面活性剤の相溶効果を向上し、本発明の作用効果をより高めることができる。
かかる高級脂肪酸金属塩としては、炭素数6以上の脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸アルカリ土類金属塩、脂肪酸亜鉛塩、脂肪酸ニッケル塩、及び脂肪酸モリブデン塩などである。
脂肪酸は飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。また、前記アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムなどが挙げられる。
これらの高級脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸金属塩を例に具体例を挙げると、ステアリン酸マグネシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、1,2−ヒドロキシステアリン酸亜鉛などがある。
上記高級脂肪酸金属塩の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは1重量部以上である。その配合量が0.1重量部未満では、充分な相溶効果が得られない。また、10重量部を超えると、硬度、モジュラスの低下が起こり、耐摩耗性が悪化するため好ましくない。これらの高級脂肪酸金属塩は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい
また、本発明のゴム組成物においては、補強性充填剤として上記シリカと併用してカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラックを配合することで、シリカによる混合時の発熱(スコーチ)の問題や加工性の低下を防ぐことができる。カーボンブラックとしては、HAF、ISAF、SAF級のカーボンブラックが適し、これらの2種以上を用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、ジエン系ゴム成分と上記シリカ、シランカップリング剤、カチオン性界面活性剤、必要に応じカーボンブラックの他に、ゴム工業において通常に用いられる硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫助剤などの各種配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合し用いることができる。
本発明のゴム組成物は、原料ゴムと上記成分に各種配合剤を配合しバンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練機を使用して常法に従い作製することができ、タイヤのトレッドを始めとしてサイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位に使用することができるが、特にシリカの分散状態を均一にすることで、耐摩耗性を損なわず転がり抵抗特性とウェット性能とを両立するタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用され、もちろんスタッドレスタイヤにも好適である。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[ゴム組成物の調製]
カチオン性界面活性剤として、下記5種類の界面活性剤A〜Eを用いた。なお、界面活性剤C〜Eが本発明にかかるカチオン性界面活性剤である。また、表1及び表2に記載のゴム組成物に用いた配合成分、及び共通配合成分とその配合量を下記に示す。
[界面活性剤]
・界面活性剤A:テトラメチルアンモニウムクロライド、ライオン(株)、アーカード41−50
・界面活性剤B:アクキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、花王(株)、サニゾールC
・界面活性剤C:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、花王(株)、コータミン24P
・界面活性剤D:ジ長鎖アルキル型アンモニウムクロライド、旭電化工業(株)、アデカミン4DAC−85(上記一般式(1)相当品)
・界面活性剤E:ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、花王(株)、コータミンD86P
[配合成分]
・ゴム成分1:JSR(株)、SBR4350(溶液重合SBR、スチレン量=35重量%、ビニル含有率=40重量%)
・ゴム成分2:宇部興産(株)、BR150L、(cis1,4結合=97重量%)
・シリカ:東ソーシリカ工業(株)、ニップシールAQ(BET:210m/g)
・カーボンブラック:三菱化学(株)、ダイアブラックN339
・シランカップリング剤A:上記式(2)で表されるシランカップリング剤(n=2、m=3、k=1、y=5〜9)、GEシリコーンズ社「NXT」
・シランカップリング剤B(従来のシランカップリング剤):ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグサ社「Si−75」
・高級脂肪酸金属塩:ラインケミージャパン(株)、アクチプラストPP(亜鉛塩)
[共通配合成分]
・アロマオイル:40重量部(ジャパンエナジー(株)、プロセスX−140)
・亜鉛華:2重量部(三井金属鉱業(株)、亜鉛華1号)
・ステアリン酸:2重量部(花王(株)、ルナックS−20)
・ワックス:2重量部(大内新興化学工業(株)、サンノック)
・老化防止剤6C:2重量部(大内新興化学工業(株)、ノクラック6C)
・硫黄:1.5重量部(細井化学工業(株)、ゴム用粉末硫黄150メッシュ)
・加硫促進剤CZ:1.5重量部(大内新興化学工業(株)、ノクセラーCZ)
・加硫促進剤D:1.5重量部(大内新興化学工業(株)、ノクセラーD−P)
容量20リットルのバンバリーミキサーを使用し、表1に示す界面活性剤配合処方、表2に示す界面活性剤と高級脂肪酸金属塩との併用配合処方に従い、上記共通配合成分とともに混合し各ゴム組成物を常法により調製した。
[評価]
得られた各ゴム組成物について加工性を評価するとともに、各ゴム組成物を用いてキャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤのキャップトレッドに適用し、205/65R15 94Hの空気入りラジアルタイヤを常法に従い製造した。そして、得られた各タイヤについて、耐摩耗性、転がり抵抗特性、ウェット性能を評価した。各評価方法は次の通りである。結果を表1及び表2に示す。
[加工性]
JIS K6300に準拠して100℃でゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど粘度が低く加工性が良好であることを示す。
[耐摩耗性]
2000ccの国産FF車に上記空気入りラジアルタイヤを4本装着し、アスファルト舗装の一般路を5000Km走行毎にローテーションしながら20000Km走行後、トレッド残溝深さを測定した。比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
[転がり抵抗特性]
使用リムを15×6.5JJとしてタイヤを装着し、空気圧230kPa、荷重450kgfとして、転がり抵抗測定用の1軸ドラム試験器にて23℃で80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、従って燃費性に優れることを示す。
[ウェット性能]
2000ccの国産FF車に上記空気入りラジアルタイヤを4本装着し、2〜3mmの水深で水をまいたアスファルト路面上を走行し、時速90kmでABSを作動させて20km/hまで減速時の制動距離を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が大きいほどウェット性能に優れることを示す。
Figure 2007238682
表1に示すように、本発明にかかる実施例はいずれも加工性を向上し、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能のバランスの良いタイヤ性能を得ることができ、特に式(2)で得られるシランカップリング剤との組み合わせによる実施例1〜3が優れている。一方、4つのメチル基あるいはアルキルベンジル基を有するカチオン性界面活性剤を配合した比較例2〜4、本発明にかかる界面活性剤を用いない比較例5,あるいは界面活性剤の配合量が多すぎる比較例6では、加工性の向上は見られるが、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能のいずれかが劣りバランスのよい特性の向上が得られない。
Figure 2007238682
表2に示されるように、高級脂肪酸金属塩を併用することで、加工性の向上、耐摩耗性、転がり抵抗特性及びウェット性能のバランスが未使用の場合より優れる傾向にあることが分かる。
本発明のゴム組成物は、低燃費性、安全性、耐久性に優れる空気入りタイヤのトレッドゴムに好適であり、乗用車用タイヤからトラック、バス用の大型タイヤ、またスタッドレスタイヤに使用することができる。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム成分100重量部に対し、シリカを5〜100重量部、シリカシランカップリング剤を前記シリカ重量に対して1〜20重量%、及び下記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤を含有する
    ことを特徴とするゴム組成物。
    Figure 2007238682
    (式中、Rは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数6から24のアリール基、またはROC2pCHOHCH基(pは1〜5の整数、Rは水素原子、炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基)。R及びRは炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または炭素数1〜3のアルキル基。Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
  2. 前記シランカップリング剤が下記一般式(2)で表される化合物である
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
    (C2n+1O)Si−(CH−S−CO−C2y+1・・(2)
    (式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは1または2、yは5〜9の整数である。)
  3. 前記カチオン性界面活性剤の配合量が、前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し1〜10重量部である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物
  4. さらに、高級脂肪酸金属塩を前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し0.1〜10重量部含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を、トレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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