JP2008087992A - アントラキノン法による過酸化水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動溶液中の溶剤を精製することにより、生産効率を低下させることなく安定に運転を継続することが可能であり、かつ有機物濃度の低減された過酸化水素を製造する方法を提供する。
【解決手段】アントラキノン法による過酸化水素の製造方法において、(1)下記A〜Cの少なくとも一つから溶剤を回収し、 (A)作動溶液の一部を蒸留した留出液、 (B)酸化工程の排ガス、 (C)溶剤蒸留工程の留出液、(2)回収した溶剤にアルカリ化合物を添加して蒸留し、(3)蒸留で得られた留出液を下記a〜dの少なくとも一つに用いる、 (a)作動溶液の循環ラインに戻す (b)作動溶液の調製原料 (c)過酸化水素洗浄の溶剤 (d)触媒洗浄の溶剤ことを特徴とする過酸化水素の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、作動溶液中に蓄積する不純物を除去して、効率的に過酸化水素を製造する方法に関する。
現在、工業的な過酸化水素の製造は、アントラキノン類を反応媒体とする方法でアントラキノン法と呼ばれる。アルキル置換基を持つアントラキノンや、アルキル置換基を持つ5,6,7,8−テトラヒドロアントラキノン(以下、両者を「アントラキノン類」と総称することがある)を溶剤に溶解した溶液は、作動溶液と呼ばれる。溶剤は、非極性有機溶媒と極性有機溶媒の2種類の混合物が用いられる。
アントラキノン法では、アントラキノン類を触媒の存在下で水素により還元する還元工程、生成したアントラヒドロキノン類を酸化してアントラキノン類に再度転化し、同時に過酸化水素を生成させる酸化工程、生成した過酸化水素を水で抽出する抽出工程から構成され、抽出後の作動溶液は、再び還元工程に戻され、循環プロセスを形成する。
ここで、アントラキノン類が還元・酸化を繰り返すうちに、副生物が生成・蓄積し、過酸化水素の生産性を低下させる原因となっており、またプラントの安定運転の障害にもなっている。この中には、溶剤由来の低沸点の変成物も含まれている。
従来から、種々の副生物の除去・再生方法が提案されている。特許文献1では、還元されたアントラキノン類にアルカリ水溶液で抽出操作を施し、過酸化水素生成に寄与しない無効アントラキノン類を除去する方法が記載されている。この方法のように薬品を用いて処理を行うと、大量のアルカリ廃液が発生する問題がある。
特許文献2では、同様に薬品による処理を行なうものとして、アルミニウム、アンモニウム等のハロゲン化物の固体または水溶液を用い、100〜170℃にて作動溶液を処理し、無効アントラキノン類を再生する方法が記載されている。特許文献3には、作動溶液をオゾンで処理し、ついでアルカリ金属水酸化物水溶液で抽出し、抽出分離後の作動溶液を活性アルミナまたは活性マグネシアと接触させる方法が記載されている。
特許文献4では、作動溶液中の溶剤を分離する第1段蒸留、次いでアントラキノン類及びモノアントラセン系の軽質物質を分離する第2段蒸留をする際に、留出物の結晶化閉塞を防止する為に第2段蒸留の溜出蒸気を冷溶剤の液膜上で凝縮させる方法が記載されている。この作動溶液中には、溶剤、アントラキノン類、重質分解物(ポリアントラセン)、軽質分解物及び場合によってヒドロキシ化合物を含有するとしている。この方法では、軽質分解物は、ハイドロキノン類の溶解性助剤として有用であるので除去せず、有害な重質分解物のみを除去することを目的としている。
以上のように、提案されている技術では、有機溶媒由来の低沸点の変性物を効率良く除去する方法は、報告されていない。溶媒変性物は作動溶液の比重や粘度、表面張力等の物性を変化させてしまうため、作動溶液の還元・酸化・抽出工程の効率低下や安定運転への障害の原因となる。溶剤ロスの少ない環境に配慮したプラントでは、溶剤を環境に排出する量が極少量であり、溶媒変性物も排出されないので蓄積の問題が顕在化する。
作動溶液中の溶媒変性物の一部は過酸化水素に溶解するため、製品過酸化水素水中に有機不純物として残留し、過酸化水素の品質を低下させる。近年、半導体の集積度が上がる中で、洗浄剤として使われる過酸化水素への要求も厳しくなってきており、過酸化水素中の残留有機物の低減が望まれている。原料となる過酸化水素中の有機物が多い場合は、精製のための吸着樹脂や逆浸透膜の劣化が激しく交換頻度が多くなり問題である。
特開平6−135705号公報 特公昭41−18497号公報 特公昭45−19164号公報 特公昭55−23762号公報
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、作動溶液中の溶剤を精製することにより、生産効率を低下させることなく安定に運転を継続することが可能であり、かつ有機物濃度の低減された過酸化水素を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、作動溶液から溶剤を回収し、それにアルカリ化合物を添加して蒸留することにより、溶媒変性物の蓄積を防止し、不純物濃度の低減された過酸化水素を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アントラキノン法による過酸化水素の製造方法において、
(1)下記A〜Cの少なくとも一つから溶剤を回収し、
(A)作動溶液の一部を蒸留した留出液、
(B)酸化工程の排ガス、
(C)溶剤蒸留工程の留出液、
(2)回収した溶剤にアルカリ化合物を添加して蒸留し、
(3)蒸留で得られた留出液を下記a〜dの少なくとも一つに用いる、
(a)作動溶液の循環ラインに戻す
(b)作動溶液の調製原料
(c)過酸化水素洗浄の溶剤
(d)触媒洗浄の溶剤
ことを特徴とする過酸化水素の製造方法に関するものである。
本発明により、作動溶液中に蓄積していた溶媒変性物の除去が可能となり、溶剤ロスの少ない環境に配慮されたプロセスにより、効率的に過酸化水素を製造することができ、また、有機物濃度の低減された過酸化水素水を得ることができる。
本発明の実施態様の一例である図1のフローによって説明する。作動溶液は、還元工程1、酸化工程2及び抽出工程3を循環しており(ライン10)、抽出工程より粗製過酸化水素水が得られる。
本発明で使用するアントラキノンは、アルキル置換基を有するエチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アミルアントラキノンなどが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、アルキル置換基を有するテトラヒドロアントラキノンとしては、エチルテトラヒドロアントラキノン、t−ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンなどが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において作動溶液を調製するために用いられる有機溶媒は、特に限定されるものではない。好ましい有機溶媒として、非極性溶媒は芳香族炭化水素が挙げられる。例えばベンゼンまたは炭素数1〜5のアルキル置換基を含むベンゼン誘導体などである。極性溶媒は高級アルコール、カルボン酸エステル、四置換尿素、環状尿素、トリオクチルりん酸などが例示される。
溶媒変性物は、主として溶媒成分の酸化物、分解物である。具体的にはカルボン酸類、ポリオール類、フェノール類などが例示される。これらの化合物の一部は、水添工程において触媒被毒物として作用するため、作動溶液中に蓄積すると、触媒活性の悪化による水添効率低下の原因となる。また、これらの溶媒成分変性物は作動溶液の比重や粘度、表面張力等の物性を変化させてしまうため、作動溶液の還元・酸化・抽出工程の効率低下や安定運転への障害の原因となる。作動溶液中の溶媒変性物の一部は過酸化水素に溶解するため、製品過酸化水素水中に有機不純物として残留し、過酸化水素の品質を低下させる。
本発明で処理する溶剤は、アントラキノン類のような溶質(以下、固形分と称する)を含まないものが好ましい。この固形分を含まない溶剤を得る方法としては、以下が例示される。なお、これら処理の原料となる溶剤のことを「粗製溶剤」と称する。また、処理された溶剤を「精製溶剤」と称する。
(A)作動溶液の一部を蒸留した留出液
作動溶液蒸留工程7は、作動溶液に蓄積された重質のアントラキノン類変性物を除去することを主な目的として使用される。第1段の蒸留では、大気圧かまたはそれ以下の圧力で作動溶液中の溶媒成分を蒸留し、次いで第2段目の蒸留では、高真空下において溶質であるアントラキノン類を蒸留し、重質のアントラキノン類変性物を除去する。本発明では、第1段目の蒸留により得られた溶剤をアルカリ添加蒸留工程8の原料として使用する。
(B)酸化工程
酸化工程2の排ガスに含まれる溶剤蒸気は回収され、アルカリ添加蒸留工程8の原料として使用する。溶剤回収は、排ガスを冷却して溶剤蒸気を液化して回収する深冷分離法や、溶剤蒸気を活性炭に吸着させて捕集し、スチーミング処理を行うことで脱着させて回収する活性炭吸着法などが用いられる。
(C)溶剤蒸留工程
作動溶液から抽出された過酸化水素水には、極微量の作動溶液成分(アントラキノン類など)が含まれており、作動溶液成分の回収と過酸化水素水を精製することを目的として溶剤で洗浄される(過酸化水素洗浄工程5)。また、触媒を入れ替える際に触媒に付着した作動溶液成分を除去する為に溶剤で洗浄される(触媒洗浄工程9)。
このような洗浄溶剤には、少量であるがアントラキノン類が含まれている為、蒸留で溶媒を留出させて濃縮する(溶剤蒸留工程4)。ここでアントラキノン類を除去した留出溶剤は、アルカリ添加蒸留工程8の原料として使用する。
アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、または、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などが挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適に用いられる。
アルカリ水溶液は、揮発性の無い無機アルカリの溶液でpH10以上、好ましくは12以上が必要である。アルカリ水溶液中のアルカリ量は、処理する粗製溶剤に含まれる酸性物質の量により必要量が変化するので適宜調整されるが、十分に過剰である量として0.3〜5.0%の溶液が好ましく、0.5〜2.0%が好適である。アルカリの濃度が高すぎると中性の溶媒変性物の留出量が増加するので酸性の劣化物を水溶性にするに十分な量として決定される。
アルカリ水溶液の1部に対して処理できる粗製溶剤の量は、5〜30部が好ましく、8〜15部がさらに好適である。処理量が少ない場合には、アルカリ水溶液の廃水量が増え、廃水処理費用、環境問題などで好ましくない。逆に、処理量を増やしてしまうと精製溶剤への溶媒変性物の混入量が増え、得られる過酸化水素の品質が多少低下する。
蒸留装置は、特に制限はなく、一般的に用いられるバッチ蒸留装置、連続蒸留装置、薄膜蒸留装置などが用いられる。蒸留条件は、作動溶液に用いられている溶媒の種類により適宜選択されるので一概には規定できないが、圧力としては、大気圧が好適であり、温度は、アルカリ水溶液の蒸留する条件として決定される。通常は、100℃程度となる。
運転方法は、予めアルカリ水溶液を釜に仕込んでおいて、粗製溶剤を送液する方法、アルカリ水溶液と粗製溶剤を混合して連続的に送液する方法の何れでもよい。また、水を還流させることにより、アルカリ水溶液を蒸留塔内に留め、粗製溶剤を連続添加することで精製溶剤を連続的に得ることも可能である。留出した水は分離して還流水として戻し、精製溶剤のみを回収する。溶媒変成物が濃縮された缶出液は、中和し活性汚泥の処理を行うことにより環境を汚染することなく廃棄できる。
アルカリ添加蒸留8の留出液は、以下a〜dの少なくとも一つに用いることができる。
(a)作動溶液の循環ラインに戻す。
(b)作動溶液の調製工程6の原料とする。
(c)過酸化水素洗浄工程5の溶剤として用いる。
(d)触媒洗浄工程9の洗浄溶剤に用いる。
なお、(a)、(b)は、図1では還元工程前に戻しているが、これに限定されず、酸化工程前、抽出工程前でもよい。
以下、実施例により、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(A工程)
(処理原料である粗製溶剤の調製)
還元、酸化、抽出の循環プロセスを有するアントラキノン法による過酸化水素製造装置で使用していた作動溶液15リットルを13kPaの減圧下で蒸留し、粗製溶剤12リットルを得た。この粗製溶剤には、溶媒成分であるプソイドキュメンとジイソブチルカルビノール以外にジメチル安息香酸、アルキルフタル酸無水物、脂肪族カルボン酸類、トリメチルフェノール(TMP)、2,6−ジメチル−2,4−ヘプタンジオール(C9ジオール)などの溶媒変性物を含んでいた。この粗製溶剤を粗製溶剤1と言う。
(アルカリ添加蒸留)
蒸留装置(2リットルの攪拌機付き蒸留釜、20cm充填高メラパック精留塔)に1.0%NaOH水溶液1リットルを仕込み、上記の粗製溶剤1を連続的に添加し、加熱して溶剤と水の混合物を留出させた。混合物を静置槽で分液し、留出水は還流水として塔に戻し、留出した精製溶剤のみを回収した。粗製溶剤1を連続的に供給し、総供給量が10リットルになった時点で供給を停止した。なお、留出した精製溶剤を分析し、結果を表1に示す。処理量が多くなると釜に溶媒変性物が濃縮されるため留出側にも一部出てくるようになるが、全体としては高い除去率を保っている。
Figure 2008087992
処理倍率: アルカリ水溶液に対する粗製溶剤の処理量
除去率=留出総量÷粗製溶剤含有量
酸価: JIS−K0070により測定
実施例2
(触媒被毒物が除去されているかの確認)
回収した精製溶剤とアントラキノン類から作動溶液を調製し、水素化触媒の活性に与える影響を評価した。水素化触媒の活性の評価はバッチ式の評価装置を用いて行った。反応槽に触媒1重量部と作動溶液20重量部を投入した。反応槽にステンレス製の攪拌羽を取り付け、気密した後、反応系内を水素置換した。1000rpmで攪拌して30分間、単位触媒量当たりの水素吸収量を測定した。反応温度は30℃、反応圧力は常圧に制御した。結果を表2に示す。
Figure 2008087992
実施例3(B工程)
酸化塔排ガスを深冷分離法により、溶剤成分を回収した。ここで回収された粗製溶剤2を実施例1と同様の条件でアルカリ添加蒸留を行った。粗製溶剤2を連続的に供給し、総供給量が15リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、結果を表3に示す。
Figure 2008087992
実施例4(C工程)
過酸化水素洗浄工程で用いた洗浄溶剤を蒸留した留出溶剤を粗製溶剤3とする。粗製溶剤3を実施例1と同様の条件でアルカリ添加蒸留を行った。粗製溶剤3を連続的に供給し、総供給量が15リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、結果を表4に示す。
Figure 2008087992
実施例5
アルカリ濃度を1.0%NaOH水溶液から0.5%に変え、その他の条件は実施例1と同様にアルカリ添加蒸留を行った。粗製溶剤1を連続的に供給し、総供給量が10リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、結果を表5に示す。
Figure 2008087992
実施例6
アルカリ濃度を1.0%NaOH水溶液から2.0%に変え、その他の条件は実施例1と同様にアルカリ添加蒸留を行った。粗製溶剤を連続的に供給し、総供給量が10リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、結果を表6に示す。
Figure 2008087992
実施例7
アルカリ濃度を1.0%NaOH水溶液から10.0%に変え、その他の条件は実施例1と同様でアルカリ添加蒸留を行った。粗製溶剤1を連続的に供給し、総供給量が10リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、結果を表7に示す。
Figure 2008087992
比較例1
(通常の蒸留精製)
蒸留装置(2リットルの攪拌機付き蒸留釜、20cm充填高メラパック精留塔)に上記の粗製溶剤1を連続的に添加し、加熱して溶剤を留出させ回収した。総供給量が10リットルになった時点で供給を停止した。留出した精製溶剤を分析し、10リットル時点での結果を表8に示す。
Figure 2008087992
実施例8
実施例1と同様な操作にて粗製溶剤と回収アントラキノンを得た後、粗製溶剤は、アルカリ添加蒸留を行い精製溶剤とした。そして、この精製溶剤と回収アントラキノンを混合し、新たに作動溶液を調製した。水添・酸化・抽出の各工程を備えた小スケールの過酸化水素の製造装置を用いて上記のように調製した作動溶液で運転を行い抽出で得られる濃度40%の過酸化水素を得た。次に、この抽出過酸化水素を実施例4で得られた精製溶剤で洗浄して微量溶解している作動溶液成分を除去した。最後に、洗浄後の過酸化水素を5kPaの減圧下にて濃縮して60%の過酸化水素を得た。この過酸化水素を全炭素分析計で分析した結果、全炭素濃度は、45mg/Lであった。
比較例2
実施例1で使用した未処理の作動溶液を用いて小スケールの過酸化水素の製造装置を運転し、抽出で得られる濃度40%の過酸化水素を得た。次いで、実施例4の原料である粗製溶剤で抽出過酸化水素を洗浄した。最後に、実施例8と同様に5kPaの減圧下にて濃縮して60%の過酸化水素をえた。この過酸化水素を全炭素分析計で分析した結果、全炭素濃度は、175mg/Lであった。
本発明の過酸化水素製造フロー
符号の説明
1 還元工程
2 酸化工程
3 抽出工程
4 溶剤蒸留工程
5 過酸化水素洗浄工程
6 作動溶液調製工程
7 作動溶液蒸留工程
8 アルカリ添加蒸留工程
9 触媒洗浄工程
10 作動溶液循環ライン

Claims (2)

  1. アントラキノン法による過酸化水素の製造方法において、
    (1)下記A〜Cの少なくとも一つから溶剤を回収し、
    (A)作動溶液の一部を蒸留した留出液、
    (B)酸化工程の排ガス、
    (C)溶剤蒸留工程の留出液、
    (2)回収した溶剤にアルカリ化合物を添加して蒸留し、
    (3)蒸留で得られた留出液を下記a〜dの少なくとも一つに用いる、
    (a)作動溶液の循環ラインに戻す
    (b)作動溶液の調製原料
    (c)過酸化水素洗浄の溶剤
    (d)触媒洗浄の溶剤
    ことを特徴とする過酸化水素の製造方法。
  2. アルカリ化合物が水酸化ナトリウムである請求項1〜3記載の過酸化水素の製造方法。
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