JP2008080796A - 熱転写プリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する情報漏洩防止手段を有する、維持管理の容易な熱転写プリンタを提供する。
【解決手段】本発明に係る熱転写プリンタは、染料層を有するインクリボンを介して、サーマルヘッド3により熱転写印刷を行う印刷部と、熱転写後のインクリボンを折り曲げる第1の折り曲げ部材7aと、第1の折り曲げ部材7aから離間して配置される第2の折り曲げ部材7bであって、インクリボンの上面側に突出する少なくとも一つの尖った頂部を有し、その頂部により第1折り曲げ部材7aから搬送された使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する、第2の折り曲げ部材7bと、この第2の折り曲げ部7bから搬送されたインクリボンを折り曲げ線に沿って折り畳むとともに、折り畳まれたインクリボンにおける相対する染料層同士を融着させる加熱ユニット8と、を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写プリンタに関し、さらに詳しくは使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する情報漏洩防止手段を有する熱転写プリンタに関する。
昇華型熱転写プリンタでは、使用済みインクリボンに印画の残像が残っており、ここから情報が漏洩する可能性がある。特に業務用プリンタではユーザーが使用した使用済みインクリボンは店舗内にあるプリンタ内に収納されたままの状態となっている。使用済みインクリボンはプリンタ内にセットしてあるだけなので、プリンタの管理者は簡単にこれにアクセスすることが可能である。この使用済みインクリボンをそのままでゴミ箱に捨てた場合、一般の人に印画情報が漏洩する可能性もある。このため、プリンタから使用済みインクリボンを取り出す段階には使用済みインクリボンに何らかの情報漏洩防止措置を施すことが求められている。
これに対し、例えば、使用済みのインクリボンのインク層同士を相対向させる姿勢に折り畳み、折り畳まれたインクリボンの相対向するインク層同士を溶融固着させて巻き取る機構を有する熱転写プリンタが提案されている(特許文献1及び2)。
特開平3−190782号公報 特開2005−297418号公報
上記特許文献1の熱転写プリンタでは、折り曲げ線を形成するのに押圧ローラを用い、特許文献2の方法では山型ガイド部材を用いているが、いずれの場合にも、インクリボンの折り曲げる部分に大きなテンションがかかるため、使用済みインクリボンが破断し易く、プリンタの維持管理が容易でないという問題があった。
そこで、本発明は、使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する情報漏洩防止手段を有する、維持管理の容易な熱転写プリンタを提供することを目的とした。
本発明は、上記課題を解決するため、染料層を有するインクリボンを介して、印刷ヘッドにより熱転写印刷を行う、少なくとも一つの印刷部と、熱転写後のインクリボンを折り曲げる第1の折り曲げ部材であって、インクリボンの搬送方向と垂直に、当該インクリボンの一方面または他方面側に突出する少なくとも一つの湾曲面を有する第1の折り曲げ部材と、前記第1の折り曲げ部材から離間して配置される第2の折り曲げ部材であって、インクリボンの搬送方向とは垂直に、前記一方面側または他方面側に突出する少なくとも一つの頂部を有し、その頂部により前記第1折り曲げ部材から搬送された使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する、第2の折り曲げ部材と、前記第2の折り曲げ部から搬送されたインクリボンを折り曲げ線に沿って折り畳み部と、折り畳まれたインクリボンにおける相対する染料層同士を融着させる加熱部と、を有している。
この構成によれば、本発明は、熱転写後のインクリボンを湾曲させる第1の折り曲げ部材と、第1の折り曲げ部材から離間して配置され、かつ頂部を有し、第1の折り曲げ部材から搬送されたインクリボンに頂部により折り曲げ線を形成する第2の折り曲げ部材とを有している。そのため、折り曲げ線を形成する際にインクリボンにかかるテンションを低減することができ、インクリボンの破断を防止することができる。これにより、使用済みインクリボンの情報漏洩防止機能を有し、維持管理の容易な熱転写プリンタを提供することができる。なお、折り曲げ部材の湾曲部または頂部の突出方向は、インクリボンの一方面(表面)または他方面(裏面)のいずれかであればよい。すなわち、折り曲げ部材の突出方向は、インクリボンの向きに合わせればよい。例えば、インクリボンの一方面が上方を向くように配置されていれば、折り曲げ部材は上方または下方に突出するように配置されていればよい。また、インクリボンの一方面が水平方向を向いていれば、折り曲げ部材も水平方向に突出するように配置されていればよい。
上記プリンタにおいて、第1及び第2の折り曲げ部材としては、例えば、第1の折り曲げ部材に、上記一方面または他方面側に突出する一の湾曲面を設けるとともに、第2の折り曲げ部材に、第1の折り曲げ部材の湾曲面と同一方向に突出する一の頂部を設け、その頂部により当該第1折り曲げ部材から搬送されたインクリボンに折り曲げ線を形成するように構成することができる。
また、本発明は、上記課題を解決するため、昇華染料を含む染料層を有するインクリボンから、染料受容層を形成した熱転写受像シート上に上記昇華染料をサーマルヘッドで熱転写し、サーマルヘッドから搬送された使用済みインクリボンを染料層が相対するように折り畳んだ状態でその相対する染料層同士を融着させる熱転写プリンタであって、使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する折り曲げ部と、折り曲げ部から搬送された使用済みインクリボンを折り曲げ線に沿って折り畳む一方、相対する染料層同士を融着させる加熱部と、からなる使用済みインクリボン処理機構を有し、上記折り曲げ部が、サーマルヘッドから搬送された使用済みインクリボンを上方に湾曲させる第1の折り曲げ部材と、第1の折り曲げ部材から離間して配置され、かつ頂部を有し、その頂部により第1折り曲げ部材から搬送された使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する第2の折り曲げ部材と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、折り曲げ線を形成する折り曲げ部を、サーマルヘッドから搬送された使用済みインクリボンを上方に湾曲させる第1の折り曲げ部材と、第1の折り曲げ部材から離間して配置され、かつ頂部を有し、第1の折り曲げ部材から搬送された使用済みインクリボンに上記頂部により折り曲げ線を形成する第2の折り曲げ部材とから構成するようにしたので、折り曲げ線を形成する際にインクリボンにかかるテンションを低減することができ、インクリボンの破断を防止することができる。これにより、使用済みインクリボンの情報漏洩防止機能を有し、維持管理の容易な熱転写プリンタを提供することができる。
上記各プリンタにおいては、インクリボンの幅の少なくとも1/4に相当する長さだけ、第2の折り曲げ部材を、第1の折り曲げ部材から離間して配置させることができる。
第1及び第2の折り曲げ部には、インクリボンと摺接する面に、インクリボンの搬送方向と平行に形成された複数の直線溝を設けることができる。
第1の折り曲げ部材と第2の折り曲げ部材とを、一の成型品とすることができる。或いは、第1及び第2の折り曲げ部材を別体とし、両折り曲げ部材を一体化するように固定する台部をさらに設けることができる。
また、本発明においては、折りたたみ部と加熱部とを、別個に設けてもよいし、一体的に形成してもよい。例えば、これらをインクリボンを折り畳む一対のローラで構成し、少なくとも一方のローラを、インクリボンを加熱可能に構成することができる。
加熱部は、インクリボンに対して近接離間するように構成することができる。
また、加熱部に、低熱量の熱源を設けることができる。
また、加熱部が、電磁波を発生するように構成することができる。
本発明によれば、使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止することができ、維持管理を容易にすることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る熱転写プリンタAの主要部の構成の一例を示す模式図であり、図2は、使用済みインクリボン処理機構の構成の一例を示す模式図である。
図1中、インクリボン10が巻回されたインクリボン供給ロール1と、受像シート11が巻回された受像シート供給ロール2とが、熱転写プリンタ内に配設されている。インクリボン10と受像シート11との搬送経路の途中には、印刷部を構成するプラテンロール4とサーマルヘッド(印刷ヘッド)3とが配設されている。インクリボン10と受像シート11とは、プラテンロール4とサーマルヘッド3との間を圧接状態で通過する。サーマルヘッド3を通過した使用済みインクリボン12は、搬送ローラ5により使用済みインクリボン処理機構6へ搬送され、次いで巻き取りロール9により巻き取られる。使用済みインクリボン処理機構6は、折り曲げ部7と、加熱ユニット8とを有する。さらに、図2に詳しく示すように、折り曲げ部7は、サーマルヘッド側の第1の折り曲げ部材7aと、第1の折り曲げ部材から離間して配置された第2の折り曲げ部材7bとを有し、それぞれが支持部材(不図示)に支持されている。
次に、熱転写プリンタの動作について説明する。印刷待機状態である初期状態では、サーマルヘッド3はヘッドアップ状態であり、プラテンロール4とは離間している。インクリボン供給ロール1の装着時には、インクリボン10の先端部を、搬送ローラ5の隙間を通過させる。そして、折り曲げ部7の上部を覆った状態で、インクリボン10の先端部を、加熱ユニット8を構成する加熱ローラ8aと加圧ローラ8bとの隙間を通過させる。その後、インクリボン10の先端部を巻き取りロール9に固定する。一方、受像シート11は、その先端部を受像シート供給ロール2から引出し、搬送ローラ(不図示)により挟持し固定する。
印刷時には、押圧機構(不図示)によりサーマルヘッド3をヘッドダウンさせ、インクリボン10と受像シート11とを、サーマルヘッド3とプラテンロール4との間で圧接状態とする。そして、複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッド3で画像情報に応じて選択的に熱を加えることにより受像シート11に画像を記録する。
印刷が終了すると、押圧機構(不図示)によりサーマルヘッド3がヘッドアップされ、インクリボン10と受像シート11との圧接状態が解除される。受像シート11は、所定の長さだけ搬送ローラ(不図示)により引き出され、排出部(不図示)へと搬送される。一方、使用済みインクリボン12は、搬送ローラ5を通して処理機構6に搬送される。処理機構6に送られたインクリボン12は、折り曲げ部7により折り曲げ線を形成され、次いで、加熱ユニット8に送られる。折り曲げ部7では、第1の折り曲げ部材7aによりインクリボン12は上方に湾曲され、次いで尖った頂部を有する第2の折り曲げ部材7bにより使用済みインクリボン12の長さ方向に折り曲げ線が形成される。折り曲げ線が形成されたインクリボン12は、加熱ローラ8aと加圧ローラ8bとの隙間を通過することにより、折り曲げ線に沿って折り畳まれ、かつ相対する染料層同士が融着される。そして、処理機構6を通過した使用済みインクリボン12は、巻き取りロール9により巻き取られる。
第1の折り曲げ部材7aは、円弧形状の湾曲面を上端部に有する板材であり、その円弧部分をインクリボン12に当接させることにより、インクリボンを上方に湾曲させることができる。そのため、第2の折り曲げ部材7bによる折り曲げ線形成時に生成するテンションを低減することができる。第2の折り曲げ部材7bには、中央部に尖った頂部を有する板材、具体的には上部が二等辺三角形の形状を有する板材を用いることができる。その二等辺三角形の頂角θは、90〜150度が好ましい。90度より小さいとテンションが大きくなり、150度より大きいと折り曲げ線を形成するのが困難となるからである。なお、第2の折り曲げ部材7bの頂部については、必ずしも鋭利な先端を有していなくてもよく、折り曲げ線を形成できる程度に尖っていればよい。
また、第1及び第2の折り曲げ部材7a,7bには、ABSやスチレンなどの一般的等の一般なプラスチック材料が使用可能であるが、シリコーン変性樹脂等の材料は使用済みインクリボンとの間の摩擦抵抗を小さくすることができるのでさらに好ましい。
また、図3に示すように、第1及び第2の折り曲げ部材7a,7bは、使用済みインクリボンと摺接する上面に、インクリボンの搬送方向と平行に形成された複数の直線溝71を有することが好ましい。インクリボンとの間の摩擦抵抗を低減して、テンションをさらに低減することができる。なお、両折り曲げ部7a,7bの両方に溝を形成するのではなく、いずれか一方に形成することもできる。
また、第2の折り曲げ部材7bは、第1の折り曲げ部材7aから離間して配置させるが、その距離Dは使用済みインクリボンの幅の少なくとも1/4、より好ましくは1/4以上1/1以下である。その距離が、使用済みインクリボンの幅の1/4よりも小さいと、第1の折り曲げ部材7aにより使用済みインクリボンを十分に湾曲させることができないため、テンションを低減させる効果を得ることができないからである。
また、図面では、第1の折り曲げ部材7aと第2の折り曲げ部材7bとを別体として構成した例を示したが、折り曲げ部には、第1の折り曲げ部材7aと第2の折り曲げ部材7bとが一の成型品であるものを用いることもできる。また、図4に示すように、第1の折り曲げ部材7aと第2の折り曲げ部材7bとを別体とした場合、台部73に固定して一体化した構成とすることもできる。
また、加熱ローラ8aの温度は、染料層同士を熱融着すべく、染料層に含まれるバインダー樹脂のガラス転移温度以上にする必要があり、例えば100〜200℃、好ましくは110〜180℃である。
上記実施形態では、加熱ユニット8によって、インクリボンの折り畳みと、加熱とを行っている。すなわち、本発明に係る折り畳み部と、加熱部とを一体として構成している。しかしながら、例えば、図5に示すように、これら分離することもできる。図5は、この熱転写プリンタの一部平面図である。同図に示すように、この例では、第2の折り曲げ部材7bの下流に、インクリボンを折り畳む一対の折り畳みロール60を配置し、これらロール60の間を、折り畳んだインクリボンを通過させる。そして、その下流には、折り畳んだインクリボンを加熱するための加熱部20を配置している。この加熱部20は、インクリボンを挟むように配置された一対のヒータ20a,20bから構成される。各ヒータ20a,20bは、インクリボンの染料層側樹脂を軟化させる程度の熱(100℃〜120℃)または、リボン基材も含めて軟化させる熱(150℃〜220℃)をインクリボンに付与するように構成されている。また、各ヒータは図5では、例えば遠赤外線ランプのようにインクリボンから離して加熱する構造としているが、サーマルヘッド等のような低熱量の熱源を有するように構成し、過剰な熱が付与されないようにすることもできる。
なお、ここでいう「低熱量の熱源」とは、例えば、「熱源の熱容量が非常に小さく、熱源に対する熱供給を停止した後は熱源の温度が速やかに30〜50℃まで下がる加熱部材」をいう。「熱容量が非常に小さい」とは、加熱を停止した直後に熱源にたまっている残留熱量が、搬送停止したインクリボンの一箇所に集中的に負荷された場合でも、インクリボンの基材として使用しているPETなどのフィルムがその融点(250℃付近)まで加熱されない程度の熱量しか無い為に、過剰加熱によるインクリボン破断が起こらない、事を示す。また、「熱供給を停止」とは、加熱素子の選択によって異なるが、ここで例としてあげているサーマルヘッドでは、通電を停止した状態を示す。また、「速やかに」とは、おおよそ1秒程度を想定している。
このほか、ヒータ20a,20bが、マイクロ波のような電磁波を発生するように構成することもでき、これによってインクリボンの染料層のみを加熱し、他の不必要な部分への加熱を行わないようにすることもできる。
また、インクリボンは、常に搬送されているわけではなく、例えば、後述するような印画の前後にインクリボンが停止する瞬間がある。このとき、加熱部20によって熱にさらされているインクリボンには、過剰な熱が付与され、インクリボンが破断する可能性がある。そこで、図5に示すように、インクリボンに対して各ヒータ20a,20bが近接離間するように構成し、インクリボンの進行が停止したときに、ヒータ20a,20bがインクリボンから離間するように構成することができる(矢印X)。
ところで、上記実施形態では、第1及び第2の折り曲げ部材7a,7bとして、1つの湾曲部、頂部を有するものを用いた例を示したが、複数の湾曲部、頂部を持ったものを用いることもできる。この場合、2つ折りに限定されず、3つ折りや4つ折り等の多数の折り曲げ線を形成することができる。以下、その例を挙げる。
図6に示すように、この例では、第1の折り曲げ部材7aの上端部が波状に形成されている。より詳細には、上向きに突出する3つの山75と2つの谷76を有するようにし、各山75の先端部及び各谷76の底部が湾曲するように形成されている。したがって、この第1の折り曲げ部材7aを通過するインクリボンには、5つの湾曲部が形成される。そして、その下流に配置されている第2の折り曲げ部材7bは、下端部に、下向きに突出する2つの尖った頂部77が並んで形成されている。そして、これら頂部77の間の谷78の底部も尖っている。したがって、第1の折り曲げ部材7aの谷76によって形成された湾曲部は、第2の折り曲げ部材7bの頂部77を通過することで、折り目が形成される。また、第1の折り曲げ部材7aの中央の山75を通過した湾曲部は、第2の折り曲げ部材7bの谷78によって折り目が形成される。こうして、インクリボンには、5つの折り目が形成され、加熱ローラ8を通過することで、折り畳まれつつ、染料面同士が融着する。
また、図7に示すように、構成することもできる。図7(a)に示すように、この例では、所定間隔をおいて配置された上下二枚の板材41a,41bを設け、その間をインクリボンが通過するようにしている。これら板材41a,41bは、図7(b)に示すように、上流側は平坦に形成されているが、下流側は、図7(c)に示すように、波形に形成されている。平坦な板材41a,41bが下流側にいくにしたがって、上下に突出し、搬送方向に垂直な方向に複数の湾曲部を形成する。そして、下流の波形は、上方に突出する3つの凸部と、下方に突出する2つの凸部とで形成されている。このような構成により、板材41a,41bの間を通過するインクリボンには、搬送中に5つの折り目が形成され、加熱ローラ8を通過することで、折り畳まれつつ、染料面同士が融着する。
インクリボンは、基材の一方の面に染料層を有するものであれば特に限定されないが、
他方の面に背面層を有するものが好ましい。熱転写シートの基材としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、染料層は、1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することもできる。染料層は、昇華性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印画濃度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択することができる。
染料としては、例えばジアロールメタン系、トリアロールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
また、染料層のバインダーとしては、従来公知のバインダー樹脂がいずれも使用でき、
好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロールアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性、染料の移行性等の観点から、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びフェノキシ樹脂等が特に好ましい。
染料層は、上記染料、バインダーと、その他必要に応じて従来公知の各種添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子、無機微粒子、シリコーンオイル、リン酸エステルなどが挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダーと、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層の乾燥時の塗工量は0.2〜6.0g/m、好ましくは0.2〜3.0g/mである。
背面層には耐熱滑性層を用いることができる。耐熱滑性層は、基材の耐熱性を向上させるため、サーマルヘッドとの滑り性を制御するものである。耐熱滑性層を形成する樹脂には、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロールアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン樹脂等を挙げることができる。
本発明の耐熱滑性層は、例えば、以下の方法により形成することができる。基材の上に、上記の樹脂やフィラーを、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調製し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の乾燥時の塗工量は、0.1g/m〜3.0g/mが好ましい。
また、受像シートには、例えば、天然パルプ紙、コート紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、金属、セラミックス、木材、布等を用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(サンプル作製方法)
薄膜基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ社製PETフィルム 4WF597、厚さ4.5μm)の未処理面上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥後塗布量が0.5g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して耐熱滑性層を形成した。さらに、上記薄膜基材に対し、耐熱滑性層と反対側の面上(易接着処理面上)に、下記組成の染料層用塗工液を、乾燥後塗布量が0.7g/mになるようにグラビアコーティングにて塗布し、乾燥した。さらに、下記組成の熱転写性保護層用塗工液を乾燥後塗布量が1.0g/mになるように染料層と面順次にグラビアコーティングにて塗布し、乾燥して熱転写性保護層を形成した。さらに、染料層及び熱転写性保護層と面順次になるように、位置検出用の検知マークを形成して、インクリボンを得た。
<耐熱滑性層用塗工液>
・ポリアミドイミド樹脂(HR−15ET、東洋紡績社製) 50.0部
・ポリアミドイミドシリコーン樹脂(HR−14ET、東洋紡績社製) 50.0部
・ポリエステル樹脂(バイロン220、東洋紡績社製) 3.0部
<染料層用塗工液>
・アントラキノン系染料(C.I.ソルベントブルー63) 3.0部
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業社製) 3.0部
・メチルエチルケトン 45.5部
・トルエン 45.5部
<熱転写性保護層用塗工液>
・アクリル樹脂(BR87 三菱レーヨン社製) 20.0部
・メチルエチルケトン 40.0部
・トルエン 40.0部
(評価方法)
上記の方法で作製したインクリボンを図1に示した熱転写プリンタに装着して、使用済みインクリボンの処理を行った。加熱部には加熱ローラを用い、加熱温度は110℃とした。
(結果)
本発明の使用済みインクリボン処理機構を用いることにより、染料層同士のみを融着させることができた。インクリボンの破断は全く認められなかった。
なお、比較として、折り曲げ部に、尖った頂部を有する第2の折り曲げ部材のみを用いた場合についても上記の評価方法と同様にして評価を行った。染料層同士を融着させることはできたが、インクリボンの一部が破断する場合があり、安定的なリボン融着は困難であった。
本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの主要部の構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの使用済みインクリボン処理機構の構成の一例を示す模式図である。 第1及び第2折り曲げ部材の他の例を示す斜視図である。 第1及び第2折り曲げ部材のさらに他の例を示す斜視図である。 図1の熱転写プリンタの他の例を示す一部平面図である。 折り曲げ部の例を示す斜視図である。 折り曲げ部の他の例を示す斜視図、及び断面図である。
符号の説明
1 インクリボン供給リール
2 受像シート供給リール
3 サーマルヘッド
4 プラテンロール
5 搬送ロール
6 使用済みインクリボン処理機構
7 折り曲げ部
7a 第1の折り曲げ部材
7b 第2の折り曲げ部材
8 加熱ユニット
8a 加熱ローラ
8b 加圧ローラ
9 巻き取りリール
A 熱転写プリンタ

Claims (11)

  1. 染料層を有するインクリボンを介して、印刷ヘッドにより熱転写印刷を行う印刷部と、
    熱転写後のインクリボンを折り曲げる第1の折り曲げ部材であって、インクリボンの搬送方向と垂直に並び、当該インクリボンの一方面または他方面側に突出する少なくとも一つの湾曲面を有する第1の折り曲げ部材と、
    前記第1の折り曲げ部材から離間して配置される第2の折り曲げ部材であって、インクリボンの搬送方向とは垂直に並び、前記一方面側または他方面側に突出する少なくとも一つの頂部を有し、その頂部により前記第1折り曲げ部材から搬送された使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する、第2の折り曲げ部材と、
    前記第2の折り曲げ部から搬送されたインクリボンを折り曲げ線に沿って折り畳み部と、
    折り畳まれたインクリボンにおける相対する染料層同士を融着させる加熱部と、
    を有する熱転写プリンタ。
  2. 前記第1の折り曲げ部材は、前記一方面または他方面側に突出する一の湾曲面を有しており、
    前記第2の折り曲げ部材は、前記第1の折り曲げ部材の湾曲面と同一方向に突出する一の頂部を有し、その頂部により当該第1折り曲げ部材から搬送されたインクリボンに折り曲げ線を形成する、請求項1に記載の熱転写プリンタ。
  3. 昇華染料を含む染料層を有するインクリボンから、染料受容層を形成した熱転写受像シート上に上記昇華染料をサーマルヘッドで熱転写し、サーマルヘッドから搬送された使用済みインクリボンを染料層が相対するように折り畳んだ状態でその相対する染料層同士を融着させる熱転写プリンタであって、
    使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する折り曲げ部と、
    折り曲げ部から搬送された使用済みインクリボンを折り曲げ線に沿って折り畳む一方、相対する染料層同士を融着させる加熱部と、からなる使用済みインクリボン処理機構を有し、
    上記折り曲げ部が、
    サーマルヘッドから搬送された使用済みインクリボンを上方に湾曲させる第1の折り曲げ部材と、
    第1の折り曲げ部材から離間して配置され、かつ頂部を有し、その頂部により第1折り曲げ部材から搬送された使用済みインクリボンに折り曲げ線を形成する第2の折り曲げ部材と、を有することを特徴とする熱転写プリンタ。
  4. 使用済みインクリボンの幅の少なくとも1/4に相当する長さだけ、前記第2の折り曲げ部材を、前記第1の折り曲げ部材から離間して配置させている、請求項1から3のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  5. 前記第1及び第2の折り曲げ部の少なくとも一方が、インクリボンと摺接する面に、インクリボンの搬送方向と平行に形成された複数の直線溝を有する請求項1から4のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  6. 前記第1の折り曲げ部材と第2の折り曲げ部材とが、一の成型品である請求項1から5のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  7. 前記第1及び第2の折り曲げ部材が別体であり、
    当該両折り曲げ部材を一体化するように固定する台部をさらに備えている、請求項1から6のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  8. 前記折り畳み部と加熱部とは、一体的に形成された、インクリボンを折り畳む一対のローラで構成され、
    少なくとも一方のローラが、インクリボンを加熱可能に構成されている、請求項1から7のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  9. 前記加熱部は、インクリボンに対して近接離間するように構成されている、請求項1から8のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  10. 前記加熱部は、低熱量の熱源を有している、請求項1から9のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
  11. 前記加熱部は、電磁波を発生する、請求項1から9のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
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