JP2017064999A - 熱転写印画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する、インクリボンの張力制御が容易な熱転写印画装置を提供する。【解決手段】本実施形態による熱転写印画装置は、色材層を有するインクリボン2から、受像シート4上に色材を熱転写するサーマルヘッド6と、熱転写後のインクリボン2を下流側へ搬送する搬送ローラ7と、正転時に、搬送ローラ7から搬送されたインクリボン2を巻き取る巻取りロール8と、を備える。この熱転写印画装置は、搬送ローラ7より下流側におけるインクリボン2の張力を弛め、前記色材層が相対するようにインクリボン2の弛緩張出部20を形成し、弛緩張出部20を加熱部11と加圧ローラ12との隙間を通過させつつ加熱して、色材層同士を融着させるインクリボン処理部10を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する熱転写印画装置に関する。
サーマルヘッドとプラテンロールとの間にインクリボンと印画紙とを挟み込み、サーマルヘッドからインクリボンに熱を付与して、インクリボンの染料を印画紙に転写する熱転写プリンタが知られている。
熱転写プリンタでは、使用済みインクリボンに印画の残像が残っており、ここから情報が漏洩する可能性がある。例えば、業務用プリンタでは、ユーザが使用した使用済みインクリボンは店舗内にあるプリンタ内に収納されたままの状態となっている。使用済みインクリボンはプリンタ内にセットしてあるだけなので、プリンタの管理者は簡単にこれにアクセスできる。この使用済みインクリボンをそのまま廃棄した場合、第三者に印画情報が漏洩する可能性がある。そのため、使用済みインクリボンに何らかの情報漏洩防止措置を施すことが求められている。
特許文献1には、熱転写後のインクリボンにインクリボン搬送方向と平行な折り曲げ線を形成し、この折り曲げ線に沿ってインクリボンを折り畳み、折り畳んだインクリボンにおける相対する染料層同士を熱融着させて巻き取ることで、使用済みインクリボンを判読不能にする熱転写プリンタが提案されている。
しかし、このような熱転写プリンタでは、インクリボンの折り畳みにより、インクリボンの面方向が回転すると共に幅が変化するため、インクリボンの張力(テンション)制御が困難になるという問題があった。
特開2008−080796号公報
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止する、インクリボンの張力制御が容易な熱転写印画装置を提供することを課題とする。
本発明の熱転写印画装置は、色材層を有するインクリボンから、受像体上に染料を熱転写するサーマルヘッドと、熱転写後のインクリボンを下流側へ搬送する搬送ローラと、正転時に、前記搬送ローラから搬送されたインクリボンを巻き取る巻取りロールと、を備える熱転写印画装置であって、加熱部及び加圧ローラを有し、前記搬送ローラより下流側におけるインクリボンの張力を弛め、前記色材層が相対するようにインクリボンの弛緩張出部を形成し、前記弛緩張出部を前記加熱部と前記加圧ローラとの隙間を通過させつつ加熱して、色材層同士を融着させるインクリボン処理部を備えるものである。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記加熱部は加熱ローラであり、前記加圧ローラ及び前記加熱ローラを前記巻取りロールに巻き取られたインクリボンに接触させ、前記巻取りロールを逆転させる共に、前記加圧ローラ及び前記加熱ローラを回転させることで、前記弛緩張出部を前記加圧ローラと前記加熱ローラとの間に送り込むことを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置は、前記弛緩張出部の形成時に、前記巻取りロールの逆転及び前記搬送ローラによるインクリボンの搬送の少なくともいずれか一方を行う。
本発明の一態様による熱転写印画装置は、前記加熱部の表面に凹凸が設けられている。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記インクリボン処理部は、前記インクリボンの色材層側に配置されるガイドバーをさらに有し、前記加熱部及び前記加圧ローラは、前記インクリボンを挟んで前記ガイドバーとは反対側に配置され、前記ガイドバーが、前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記インクリボン処理部は、前記搬送ローラから搬送されるインクリボンの幅方向の両端を掴むクリップ部をさらに有し、前記クリップ部が、前記インクリボンを掴んで前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記インクリボン処理部は、前記インクリボンを色材層とは反対側から吸着する吸着部をさらに有し、前記インクリボンを吸着した前記吸着部が、前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記吸着部は、静電吸着、又は吸引により前記インクリボンを吸着することを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置において、前記インクリボン処理部は、前記インクリボンに対し色材層側から送風を行い、前記弛緩張出部を前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成する送風部をさらに有することを特徴とする。
本発明の一態様による熱転写印画装置は、張力の弛んだインクリボンが自重により鉛直下向きに移動し、前記加熱部と前記加圧ローラとの間に前記弛緩張出部を形成することを特徴とする。
本発明によれば、搬送ローラより下流側において熱転写後の使用済みインクリボンの張力を弛め、色材層が相対するようにインクリボンの弛緩張出部を形成し、弛緩張出部を加熱して色材層同士を融着させる。これにより、使用済みインクリボンの残像の漏洩を防止することができる。また、インクリボンの幅が変化せず、面方向が回転しない(捻じれない)ため、インクリボンの張力制御が容易である。
本実施形態に係る熱転写印画装置の概略構成図である。 (a)〜(e)は、本実施形態による使用済みインクリボンの処理方法を示す模式図である。 (a)〜(c)は、処理時の使用済みインクリボンの拡大模式図である。 使用済みインクリボンを一時的に待機させるバッファ部を示す図である。 (a)〜(c)は、弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 (a)〜(d)は、使用済みインクリボンの処理方法の一例を示す図である。 (a)、(b)は、弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 (a)〜(c)は、弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 (a)、(b)は、弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 (a)、(b)は、弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。 熱転写印画装置の構成の一例を示す図である。 弛緩張出部の形成方法の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る熱転写印画装置の主要部の構成を示す模式図であり、図2は、使用済みインクリボンの処理方法を示す模式図であり、図3は処理時の使用済みインクリボンの拡大模式図である。
図1に示すように、熱転写印画装置には、インクリボン2が巻回されたインクリボン供給ロール1と、受像シート4が巻回された受像シート供給ロール3とが配設されている。インクリボン2と受像シート4との搬送経路の途中には、印画部を構成するプラテンロール5とサーマルヘッド(印画ヘッド)6とが配設されている。インクリボン2は基材の一方の面に色材層を有するものであり、さらに他方の面に背面層を有していてもよい。
インクリボン2と受像シート4とは、プラテンロール5とサーマルヘッド6との間を圧接状態で通過する。サーマルヘッド6を通過した使用済みのインクリボン2は、搬送ローラ7により下流側へ搬送され、巻取りロール8により巻き取られる。なお、インクリボン供給ロール1側が上流側、巻取りロール8側が下流側となる。
熱転写印画装置は、サーマルヘッド6より下流側、具体的には搬送ローラ7と巻取りロール8との間におけるインクリボン2の張力を弛め、色材層が相対するようにインクリボン2の弛緩張出部20(図2、図3参照)を形成し、弛緩張出部20の色材層同士を融着させるインクリボン処理部10を備えている。この弛緩張出部20は、サーマルヘッド6から巻取りロール8へのインクリボン2の搬送経路、又は巻取りロール8に巻き取られるインクリボン2からみて、色材層が相対するように張り出した部分である。
インクリボン処理部10は、巻取りロール8の近傍に設けられた加圧ローラ11及び加熱ローラ12を有しており、弛緩張出部20を、加圧ローラ11と加熱ローラ12との隙間を通過させつつ加熱することで、色材層同士を融着させる。色材層同士が融着したインクリボン2を剥がそうとすると、インクリボン2が破断し得る。また、インクリボン2が破断しなくても、リボンが抜けている部分と残っている部分とが重なって残像が攪乱される。そのため、使用済みのインクリボン2の残像の漏洩を防止することができる。
次に、熱転写印画装置の動作について説明する。なお、熱転写印画装置の各部の動作は、図示しない制御部により制御される。印画待機状態である初期状態では、サーマルヘッド6はヘッドアップ状態であり、プラテンロール5とは離間している。インクリボン供給ロール1の装着時、インクリボン2の先端部を、搬送ローラ7の隙間を通過させ、巻取りロール8に固定する。一方、受像シート4は、その先端部を受像シート供給ロール3から引出し、搬送ローラ(不図示)により挟持し固定する。
印画時には、昇降手段(不図示)によりサーマルヘッド6をヘッドダウンさせ、インクリボン2と受像シート4とを、サーマルヘッド6とプラテンロール5との間で圧接状態とする。そして、複数の発熱抵抗体を有するサーマルヘッド6で画像情報に応じて選択的に熱を加えることにより受像シート4に画像を印画する。
印画が終了すると、昇降手段(不図示)によりサーマルヘッド6がヘッドアップされ、インクリボン2と受像シート4との圧接状態が解除される。受像シート4は、所定の長さだけ搬送ローラ(不図示)により引き出され、排出部(不図示)へと搬送される。一方、使用済みのインクリボン2は、搬送ローラ7により搬送され、正転する巻取りロール8に、色材層を内側にして巻き取られる。
次に、インクリボン処理部10による、使用済みのインクリボン2の色材層同士を融着させる処理について説明する。
図2(a)に示すように、巻取りロール8が使用済みのインクリボン2を巻き取っている間は、インクリボン処理部10の加圧ローラ11及び加熱ローラ12は、巻取りロール8から離間した位置に、互いに近接して配置される。
図2(b)に示すように、巻取りロール8によるインクリボン2の巻き取りを停止した状態で、移動機構(不図示)により加圧ローラ11及び加熱ローラ12を、巻取りロール8の最外周のインクリボン2の背面層に接触させる。
次に、図2(c)及び図3(a)に示すように、巻取りロール8を逆転させると共に、搬送ローラ7によりインクリボン2を搬送する。これにより、インクリボン2の張力が弛む。これと同時に、加圧ローラ11を巻取りロール8と同じ方向に回転させ、加熱ローラ12を巻取りロール8とは逆方向に回転させる。これにより、インクリボン2が加圧ローラ11と加熱ローラ12との間を通過し、弛緩張出部20が形成される。弛緩張出部20を構成するインクリボン2の少なくとも一部は巻取りロール8に巻き取られていたものである。弛緩張出部20は略ループ形状をなし、背面層が外側に位置し、色材層が相対するように内側に位置する。
続いて、図2(d)及び図3(b)に示すように、巻取りロール8を正転させると共に、搬送ローラ7によりインクリボン2を搬送する。さらに、加圧ローラ11を巻取りロール8から僅かに離隔し、加圧ローラ11を巻取りロール8と同じ方向に回転させ、加熱ローラ12を巻取りロール8とは逆方向に回転させつつ加熱処理を行う。すなわち、加圧ローラ11及び加熱ローラ12は、図2(c)及び図3(a)に示す工程とは逆方向に回転する。
加熱ローラ12の温度は、色材層同士を熱融着すべく、色材層に含まれるバインダー樹脂のガラス転移温度以上にする必要があり、例えば100〜200℃、好ましくは110〜180℃である。
これにより、弛緩張出部20は、加圧ローラ11と加熱ローラ12との隙間を通過しながら、加熱処理により相対する色材層同士が融着される。
その後、インクリボン2の融着部分22は、図2(e)に示すように、巻取りロール8に巻き取られる。
このように、色材層同士を融着させることで、使用済みのインクリボン2の残像の漏洩を防止することができる。また、本実施形態では、インクリボン2の面方向が回転せず、幅も変化しないため、インクリボン2の張力制御が容易である。
上記実施形態では、略ループ形状の弛緩張出部20を形成した後に加熱ローラ12による加熱処理を行い、色材層同士を融着していたが、図3(c)に示すように、弛緩張出部20を形成する際に加熱処理を同時に行い、色材層同士を融着させてもよい。この場合、加熱ローラ12が巻取りロール8の最外周のインクリボン2に接触しているため、最外周のインクリボン2の色材層が内周側のインクリボン2の背面層に固着しないように、加熱ローラ12の加熱温度を調整する必要がある。
図4に示すように、搬送ローラ7と巻取りロール8との間に、使用済みのインクリボン2を張力弛緩状態で一時的に待機させておくバッファ部40を設けてもよい。このようなバッファ部40を設けておくことで、印画部で印画を行い搬送ローラ7が使用済みのインクリボン2を下流側へ搬送しながら、インクリボン処理部10における使用済みのインクリボン2の処理を並行して行うことができる。
図5(a)(b)に示すように、使用済みのインクリボン2の下方側(色材層側)に棒状のガイドバー13を配置し、使用済みのインクリボン2の張力を弛め、ガイドバー13を上昇させることで弛緩張出部24を形成してもよい。
例えば、図6(a)に示すように、加圧ローラ11、加熱ローラ12及びガイドバー13は、巻取りロール8よりも上流側に配置される。図6(b)に示すように、インクリボン2の張力を弛め、昇降手段(不図示)により、加圧ローラ11と加熱ローラ12との間を通るようにガイドバー13を上昇させることで、加圧ローラ11と加熱ローラ12との間に弛緩張出部24が形成される。
インクリボン2の張力は、巻取りロール8を停止し、かつ搬送ローラ7からインクリボン2を搬送することで弛めることができる。巻取りロール8を逆転させてインクリボン2の張力を弛めてもよいし、搬送ローラ7からのインクリボン2の搬送及び巻取りロール8の逆転の両方を行ってインクリボン2の張力を弛めてもよいし、上述したバッファ部40を利用してもよい。
図6(c)(d)に示すように、弛緩張出部24を加圧ローラ11と加熱ローラ12とで挟持して圧接状態とし、加圧ローラ11及び加熱ローラ12を回転させて弛緩張出部24を繰り出しながら、加熱ローラ12で加熱して色材層同士を融着させる。インクリボン2の色材層同士が融着した融着部分22は、巻取りロール8を正転させて巻取りロール8に巻き取る。
なお、ガイドバー13は、弛緩張出部24を加圧ローラ11と加熱ローラ12とで挟持した後、図5(c)に示すように弛緩張出部24から引き抜く。伸縮可能なガイドバー13を縮めることで、弛緩張出部24からガイドバー13が引き抜かれるようにしてもよい。
ガイドバー13の長さはインクリボン2の幅より長くなっているが、図7(a)(b)に示すように、短い2本のガイドバー13a、13bをインクリボン2の幅方向の両側からインクリボン2の下方側に配置し、ガイドバー13a、13bを上昇させることで弛緩張出部24を形成してもよい。
弛緩張出部24を形成する方法は、ガイドバー13を用いるものに限定されない。例えば、図8(a)(b)(c)に示すように、2つのクリップ手段14、14によりインクリボン2の幅方向の両側を挟持し、インクリボン2の張力を弛め、クリップ手段14、14を上昇させることで弛緩張出部24を形成してもよい。
例えば、クリップ手段14は、アーム14a、14aと、各アーム14aの先端に設けられた爪14bと、を有する。アーム14a、14aを閉じることで、爪14b、14b間にインクリボン2の幅方向端部を挟み込むことができる。
図9(a)、(b)に示すように、インクリボン2を色材層とは反対側の背面層側から吸着部15で吸着し、インクリボン2を吸着した状態で吸着部15を上昇させることで弛緩張出部24を形成してもよい。
吸着部15によるインクリボン2の吸着は、静電気を用いたものでもよいし、吸引によるものでもよい。
図10(a)(b)に示すように、インクリボン2の下方側(色材層側)に表面の摩擦抵抗の小さいプレートPを配置し、加圧ローラ11及び加熱ローラ12とプレートPとでインクリボンを挟み、加圧ローラ11を図中反時計回り、加熱ローラ12を図中時計回りに回転させることで上に凸の撓み部26を形成し、この撓み部26をクリップ手段14で挟持したり、吸着部15で吸着したりしてもよい。
図11に示すように、送風部16を用いて、インクリボン2の下方側(色材層側)から送風することで弛緩張出部24を形成してもよい。
上記実施形態による熱転写印画装置は、インクリボン2の色材層が下側を向くような構成となっていたが、図12に示すように、インクリボン2の色材層が上側を向くようにしてもよい。この場合、上述したガイドバー13、13a、13b、クリップ手段14、吸着部15が下降することで弛緩張出部24が形成される。
また、インクリボン2の色材層が上側を向く場合、図13に示すように、インクリボン2の自重により弛緩張出部24を形成してもよい。巻取りロール8を停止し、搬送ローラ7によるインクリボン2の搬送を行うと、搬送ローラ7の下流側のローラ17とローラ18との間でインクリボン2が鉛直下向きに凸となるように撓む。搬送ローラ7によるインクリボン2の搬送を続けると、弛緩張出部24の先端が徐々に鉛直下向きに移動する。ここで、弛緩張出部24は、加圧ローラ11と加熱ローラ12との間を通るようにする。
その後、弛緩張出部24を加圧ローラ11と加熱ローラ12とで挟持して圧接状態とし、加圧ローラ11及び加熱ローラ12を回転させて弛緩張出部24を上方へ繰り出しながら、加熱ローラ12で加熱して色材層同士を融着させる。
上記の各構成において、加圧ローラ11と加熱ローラ12の配置位置を逆にしてもよい。
加熱ローラ12の代わりに板状の加熱プレートを用いてもよい。加熱プレートの表面は、インクリボン2との摩擦抵抗の小さい材料を使用し、弛緩張出部24が滑らかに摺動できるようにすることが好ましい。
また、加圧ローラ11を加熱ローラに代え、2つの加熱ローラで弛緩張出部20、24を挟持して加熱し、色材層同士を融着させてもよい。
上述した弛緩張出部20、24の形成、及び色材層の融着を含む使用済みインクリボン処理は、1つの画像の印画に使用された使用済みインクリボンが搬送されてくる毎に行ってもよいし、熱転写印画装置の休止中に、巻取りロール8に巻き取られているインクリボン2を巻き戻して行ってもよい。巻取りロール8からインクリボン2を巻き戻す場合は、巻き戻し量に上限を設けてもよい。
使用済みインクリボン処理を熱転写印画装置とは別体のインクリボン処理装置で行ってもよい。使用済みインクリボンを巻き取った巻取りロール8を熱転写印画装置から取り出し、インクリボン処理装置にセットして、上述の使用済みインクリボン処理を施す。このように、インクリボン処理装置を熱転写印画装置と別体としても、使用済みのインクリボン2の残像の漏洩を防止することができる。
インクリボン2は、基材の一方の面に色材層を有し、さらに他方の面に背面層が設けられた構成であることが好ましい。
基材の材料については特に限定されないが、色材層を受像シート4上に転写する際にサーマルヘッド6により加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2μm〜100μm程度が一般的で、好ましくは1μm〜10μmである。
色材層は、昇華性染料、バインダー樹脂、及び離型剤を含有している。イエロー染料、マゼンタ染料、及びシアン染料の色相の異なる昇華性染料を含む複数の領域が、面順次に繰り返し形成されていてもよい。
昇華性染料について特に限定はないが、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましい。このような昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。
昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂についても特に限定はなく、ある程度の耐熱性を有し、昇華性染料と適度の親和性があるものを使用することができる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;等を挙げることができる。
離型剤についても特に限定はなく、例えば、シリコーンオイル、リン酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等を使用することができる。
背面層には耐熱滑性層を用いることができる。耐熱滑性層は、基材の耐熱性を向上させるため、サーマルヘッド6との滑り性を制御するものである。耐熱滑性層を形成する樹脂には、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクロールアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン樹脂等を挙げることができる。
インクリボン2は、昇華性染料を色材として用いるものに限定されず、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた溶融着色層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させたものでもよい。インクリボン処理部10がこのようなインクリボン2を処理する場合、溶融着色層同士を加熱融着しても基材との密着性が弱く、融着部が剥離し得るため、内側の基材面同士を融着させることが好ましい。
受像シート4には公知のものを使用することができ、例えば、レジンコート層、紙、接着層、ボイド含有フィルム、及び受容層がこの順で積層されたものを用いることができる。ボイド含有フィルムとしては、フィルム中にボイドが形成されたものであれば、種々のものを用いることができる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)中にボイド発現剤を添加し、成膜、延伸過程でPETとボイド発現剤とを剥離させることで、ボイドを
フィルム内に形成したフィルムを用いることができる。基材は、PETのほか、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
上記実施形態では、サーマルヘッド6がインクリボン2から受像シート4に色材を熱転写する例について説明したが、色材が熱転写されるのは受像シート4に限定されず、カード等の他の受像体であってもよい。
上記実施の形態において、加熱ローラ12の表面に微小な凹凸構造を設けてもよい。このような加熱ローラ12を用いて加熱処理を行った場合、インクリボン2の融着部分22の外表面が凹凸に成形される。融着部分22の外表面の凹凸による反射で、融着部分22の情報を外から視認することが困難となる。また、加熱ローラ12の凸部分がインクリボン2を加熱し、加熱ローラ12の凹部分はインクリボン2と接触せず非加熱となるため、使用済みのインクリボン2の残像が攪乱され、融着部分22を剥がせたとしても、印画情報を取得することが困難となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 インクリボン供給ロール
2 インクリボン
3 受像シート供給ロール
4 受像シート
5 プラテンロール
6 サーマルヘッド
7 搬送ローラ
8 巻取りロール
10 インクリボン処理部
11 加圧ローラ
12 加熱ローラ
13 ガイドバー
14 クリップ手段
15 吸着部
16 送風部
17、18 ローラ
20、24 弛緩張出部
22 融着部分
40 バッファ部

Claims (10)

  1. 色材層を有するインクリボンから、受像体上に色材を熱転写するサーマルヘッドと、
    熱転写後のインクリボンを下流側へ搬送する搬送ローラと、
    正転時に、前記搬送ローラから搬送されたインクリボンを巻き取る巻取りロールと、
    を備える熱転写印画装置であって、
    加熱部及び加圧ローラを有し、前記搬送ローラより下流側におけるインクリボンの張力を弛め、前記色材層が相対するようにインクリボンの弛緩張出部を形成し、前記弛緩張出部を前記加熱部と前記加圧ローラとの隙間を通過させつつ加熱して、色材層同士を融着させるインクリボン処理部を備えることを特徴とする熱転写印画装置。
  2. 前記加熱部は加熱ローラであり、
    前記加圧ローラ及び前記加熱ローラを前記巻取りロールに巻き取られたインクリボンに接触させ、前記巻取りロールを逆転させる共に、前記加圧ローラ及び前記加熱ローラを回転させることで、前記弛緩張出部を前記加圧ローラと前記加熱ローラとの間に送り込むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写印画装置。
  3. 前記弛緩張出部の形成時に、前記巻取りロールの逆転及び前記搬送ローラによるインクリボンの搬送の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱転写印画装置。
  4. 前記加熱部の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱転写印画装置。
  5. 前記インクリボン処理部は、前記インクリボンの色材層側に配置されるガイドバーをさらに有し、
    前記加熱部及び前記加圧ローラは、前記インクリボンを挟んで前記ガイドバーとは反対側に配置され、
    前記ガイドバーが、前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする請求項3に記載の熱転写印画装置。
  6. 前記インクリボン処理部は、前記搬送ローラから搬送されるインクリボンの幅方向の両端を掴むクリップ部をさらに有し、
    前記クリップ部が、前記インクリボンを掴んで前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする請求項3に記載の熱転写印画装置。
  7. 前記インクリボン処理部は、前記インクリボンを色材層とは反対側から吸着する吸着部をさらに有し、
    前記インクリボンを吸着した前記吸着部が、前記加熱部と前記加圧ローラとの間を通って移動することで、前記弛緩張出部が前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成されることを特徴とする請求項3に記載の熱転写印画装置。
  8. 前記吸着部は、静電吸着、又は吸引により前記インクリボンを吸着することを特徴とする請求項7に記載の熱転写印画装置。
  9. 前記インクリボン処理部は、前記インクリボンに対し色材層側から送風を行い、前記弛緩張出部を前記加熱部と前記加圧ローラとの間に形成する送風部をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の熱転写印画装置。
  10. 張力の弛んだインクリボンが自重により鉛直下向きに移動し、前記加熱部と前記加圧ローラとの間に前記弛緩張出部を形成することを特徴とする請求項3に記載の熱転写印画装置。
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