JP2005125520A - 熱転写シート及び印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直接転写方式と間接転写方式との両転写方式に対応でき、ランニングコストを低減可能な熱転写シートを提供する。
【解決手段】熱転写シートは、同一の基材フィルム上に、基材フィルム上に層成され、カードの比熱に考慮した熱エネルギーでカードにインク像を直接形成するためのインク層と、中間転写シートの比熱に考慮した熱エネルギーで中間転写シートにインク像を形成するためのインク層と、を有しており、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン),K(ブラック)の染料層、およびK(ブラック)の顔料層を有する中間転写部と、B(ブラック)の顔料層を有する直接転写部とが面順次に配置されている。直接転写部に離型層を層成することで熱転写シートRのシワや破断を防止でき、染料層および顔料層を適正な熱エネルギー値で加熱することで、直接及び間接転写を高画質で行うことができる。
【選択図】図7
【解決手段】熱転写シートは、同一の基材フィルム上に、基材フィルム上に層成され、カードの比熱に考慮した熱エネルギーでカードにインク像を直接形成するためのインク層と、中間転写シートの比熱に考慮した熱エネルギーで中間転写シートにインク像を形成するためのインク層と、を有しており、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン),K(ブラック)の染料層、およびK(ブラック)の顔料層を有する中間転写部と、B(ブラック)の顔料層を有する直接転写部とが面順次に配置されている。直接転写部に離型層を層成することで熱転写シートRのシワや破断を防止でき、染料層および顔料層を適正な熱エネルギー値で加熱することで、直接及び間接転写を高画質で行うことができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、カード等の記録媒体に画像・文字などの各種情報を印刷するためのインクを有する熱転写シート、およびこれを用いた印刷装置であって、特に、記録媒体の特性又は印刷する情報に応じて印刷方式を切り換えて上記各種情報を印刷するための熱転写シート、およびこれを用いた印刷装置に関する。
従来、クレジットカード、キャッシュカード、ライセンスカード、IDカード等のカード状記録媒体を作成する場合には、記録媒体に熱転写シートを介してサーマルヘッドで熱転写して所期の画像・文字などを記録する熱転写方式の印刷装置が用いられている。この種の印刷装置として、画像・文字等を、熱転写シートを介して記録媒体に直接転写する直接転写方式の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方式では、熱昇華性インクを用いることで、インク特性による階調表現性に優れることから高画質の画像が得られるという利点を有するものの、画像等が転写される記録媒体の表面にこのインクを受容する受容層が必須となるため、記録媒体が限定されたり、又は、記録媒体の表面に受容層を形成する必要がある。
一般に、熱昇華性インクを受容可能な記録媒体としてポリ塩化ビニル製カード(所謂PVCカード)が多用されているが、不要となったPVCカードを焼却すると公害物質が生成される等の理由により、最近ではポリエチレンテレフタレート製カード(いわゆるPETカード)等への切り換えが検討されている。しかしながら、このPETカードは結晶性の材質であるため、熱昇華転写しにくいばかりでなく、エンボスを形成することが困難なことから、記録媒体にエンボス加工を施す必要がある場合には当面従来のPVCカードを使用せざるを得ない。
更に、近年その利用範囲が拡大しつつあるICカードのように、ICチップやアンテナを埋め込むタイプのカード状記録媒体では、内部に埋め込まれたこれらの素子により表面に凹凸が生じるので、上記凹凸面への画像転写に支障をきたすなどの欠点も指摘されている。
上述した不具合を解消する熱転写方式の印刷装置として、一旦画像を中間転写媒体に転写した後に、この画像を被転写体に再転写する、いわゆる間接転写方式の印刷装置の技術が知られている(例えば特許文献2)。この方式によると、直接転写方式で欠点とされた、受容層に関連した記録媒体の限定や記録媒体表面の凹凸面への画像転写時の不具合等の問題点を改善することができ、更には、カード状記録媒体への全面印刷が直接転写方式のものと比べて容易に行うことができる等の利点がある。
しかしながら、間接転写方式では中間転写媒体を使用する必要があるため、直接転写方式のものよりランニングコストが高く、印刷に要する処理時間も余分に掛かる、という不利な点があると共に、カードデザイン上、表面は全面印刷が必要でも、裏面はカードの使用上の注意等を印刷して表示することが多いため、全面印刷を必要とするケースは少ないなど、両方式には一長一短がある。
従って、PVCやPET等の記録媒体の材質の他、エンボス、IC素子などの有無等を含めた記録媒体の表面形状乃至特性、記録媒体への全面印刷を必要とするか等の印刷に関する情報や各種目的に応じて、直接転写方式と間接転写方式とでその印刷方式を切り換えて記録媒体に画像等を印刷できる印刷装置が得られれば、記録媒体に最適な印刷方式で印刷することが可能となると共に、印刷に伴うランニングコストの低減を図ることできる。また、直接転写方式と間接転写方式とで印刷処理に必要な部材が集約的に配置され、部材の一部共通化が図られれば、印刷装置全体が大型化することなく、コストが低減した印刷装置を実現することが可能となるので、このような印刷装置が普及するものと考えられる。
ところで、上述したそれぞれの従来装置に使用される熱転写シートは、基材フィルムとしてポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムを使用し、この基材フィルムの一方の面に熱昇華性染料と樹脂等のバインダからなる染料層を設けた昇華型熱転写シートと、上述した染料層の代わりに、顔料等の着色剤と熱溶融性組成物からなるインク層を設けた熱溶融型の熱転写シートなどがあり、これらが適宜、上述した直接転写方式乃至間接転写方式の印刷装置に用いられている。これらの熱転写シートは、その背面からサーマルヘッド等の加熱デバイスにより画像情報に応じた熱エネルギーが印加されて、それぞれのインク成分が昇華または熱溶融化して、カードやプラスチックシート等の被転写体上に転写されて文字、画像などのインク像が形成される。
しかしながら、従来、直接転写方式の印刷装置と間接転写方式の印刷装置とは別々の装置として構成されていたため、それぞれの転写方式の利点を享受して記録(転写)媒体の特性又は印刷する情報に応じて印刷処理を行おうとすれば、それぞれの転写方式の印刷装置を用意する必要があるため、コスト高となるばかりでなく、これらの印刷装置にはそれぞれ異なる別の熱転写シートを用いなければならず、印刷に伴うランニングコストも必然的に上昇していた。更に、間接転写方式の印刷装置に通常用いられる熱転写シートを直接転写方式の印刷装置に用いたり、その逆に直接転写方式の印刷装置に通常用いられる熱転写シートを間接転写方式の印刷装置に用いれば、それぞれの熱転写シートが有する組成上乃至構造上の違いから、文字、画像などのインク像が形成された後の熱転写シートと記録(転写)媒体とが互いに融着し、すみやかに離れずに印画によるシワ、搬送不良及びサーマルヘッド等の加熱デバイスの損傷などを生起させたり、或いは、記録(転写)媒体にインク像が十分転写されず画質不良を発生させたりする、という問題があった。
本発明は上記事案に鑑み、直接転写方式と間接転写方式との両転写方式に対応でき、ランニングコストを低減可能な熱転写シートを提供することを課題とする。また、本発明は、直接転写方式と間接転写方式とを切り換えて印刷可能で、全体が大型化することなく低コストで、かつ、両転写方式において高画質な印刷処理を可能とする印刷装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、熱転写シートであって、可撓性基材と、前記基材上に層成され、第1の熱エネルギー値に対応して記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、前記基材上に層成され、第2の熱エネルギー値に対応して中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層と、を有し、前記第1のインク層と前記第2のインク層とが面順次に配置されたことを特徴とする。
第1の態様では、同じ基材上に、第1の熱エネルギー値に対応して記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、第2の熱エネルギー値に対応して中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層とが面順次に層成、配置されているので、直接及び間接転写方式の両方式に対応でき、両方式で画像形成を行う場合に、単一の熱転写シートで層成された第1、第2のインク層を、それぞれ第1、第2の熱エネルギー値で加熱することで、記録媒体、中間転写媒体にインク像が形成できるため、転写方式に応じて熱転写シートの交換の手間を省くことができ、転写方式に対応して熱転写シートをそれぞれ準備しなくてもよいので、消耗品となる熱転写シートのランニングコストを低減させることができると共に、第1、第2のインク層をそれぞれ第1、第2の熱エネルギー値で加熱することで記録媒体乃至中間転写媒体に高画質なインク像を形成することができる。
第1の態様において、基材とインク像が形成された記録媒体との剥離を促進するために、第1のインク層が離型剤を含有するか、又は、第1のインク層と基材との間に、離型剤を含有する離型層を更に有するようにしてもよい。このような態様では、第1のインク層が、少なくとも黒色インクを含有したり、又は、少なくとも黒色インクと、インク像が形成された記録媒体の表面を保護する保護層とが面順次に配置されてなるようにしてもよい。このとき、第1のインク層と第2のインク層とが複数色の熱溶融性及び/または熱昇華性インクを含有するようにしてもよい。更に、インク像が形成された記録媒体と第1のインク層との接着を促進する接着剤を含有する接着層を有し、第1のインク層が少なくとも熱溶融性インクを含有して離型層と接着層との間に層成するようにしてもよい。また、第1の態様において、第2のインク層が少なくとも熱溶融性インクを含有するとともに、基材とインク像が形成された中間転写媒体との剥離を促進する離型剤を含有する離型層と、記録媒体上に形成されたインク像の記録媒体への接着を促進する接着剤を含有する接着層とを更に有し、離型層と接着層とを基材と第2のインク層との間に層成する態様を採るようにしてもよい。
また、本発明の第2の態様は、熱転写シートに含まれるインクを熱転写してインク像を形成する印刷装置において、カード状記録媒体及び一時的にインク像を保持するフィルム状中間転写媒体に選択的にインク像を形成する印刷手段と、前記フィルム状中間転写媒体のインク像を前記カード状記録媒体に転写する転写手段と、前記印刷手段により前記カード状記録媒体にインク像を形成する第1のモードと、前記印刷手段により前記フィルム状中間転写媒体にインク像を形成し、このインク像を前記転写手段により前記カード状記録媒体に転写する第2のモードとを選択するためのモード選択手段と、を備え、前記熱転写シートは、前記カード状記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、前記フィルム状中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層とが面順次に配置されるとともに、前記モード選択手段で前記第1のモードが選択されたときに、前記カード状記録媒体と前記第1のインク層とを対向させて重ねた状態で前記印刷手段により前記カード状記録媒体にインク像が形成され、前記モード選択手段で前記第2のモードが選択されたときに、前記フィルム状中間転写媒体と前記第2のインク層とを対向させて重ねた状態で前記印刷手段により前記フィルム状転写媒体にインク像が形成されることを特徴とする。
第2の態様では、モード選択手段で、カード状記録媒体にインク像を形成する第1のモード又はカード状記録媒体に転写する第2のモードが選択され、印刷手段により、カード状記録媒体及び一時的にインク像を保持するフィルム状中間転写媒体に選択されたモードに従い選択的にインク像が形成され、第2のモードが選択されたときに、転写手段により、印刷手段で形成されたフィルム状中間転写媒体上のインク像がカード状記録媒体に転写される。熱転写シートは、カード状記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、フィルム状中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層とが面順次に配置されるとともに、モード選択手段で第1のモードが選択されたときに、カード状記録媒体と第1のインク層とを対向させて重ねた状態で印刷手段によりカード状記録媒体にインク像が形成され、モード選択手段で第2のモードが選択されたときに、フィルム状中間転写媒体と第2のインク層とを対向させて重ねた状態で印刷手段によりフィルム状転写媒体にインク像が形成される。
第2の態様において、熱転写シートは、インク像が形成されたカード状記録媒体との剥離を促進する離型剤を第1のインク層に含有するか、或いは離型剤を含有する離型層を第1のインク層に積層して形成されるとともに、フィルム状中間転写媒体は、インク像が形成されるためのインクを受容する受容層を有し、この受容層が、インク像が形成された後の熱転写シートとの剥離を促進する剥離剤を含有するようにしてもよい。
本発明の第1の態様によれば、直接及び間接転写方式の両方式に対応でき、両方式で画像形成を行う場合に、単一の熱転写シートで層成された第1、第2のインク層を、それぞれ第1、第2の熱エネルギー値で加熱することで、記録媒体、中間転写媒体にインク像が形成できるため、転写方式に応じて熱転写シートの交換の手間を省くことができ、転写方式に対応して熱転写シートをそれぞれ準備しなくてもよいので、消耗品となる熱転写シートのランニングコストを低減させることができると共に、第1、第2のインク層をそれぞれ第1、第2の熱エネルギー値で加熱することで記録媒体乃至中間転写媒体に高画質なインク像を形成することができる、という効果を得ることができる。
また、本発明の第2の態様によれば、第1、第2モードの選択により直接転写方式と間接転写方式とを切り換えて印刷可能で全体が大型化することなく低コストで、かつ、両転写方式において高画質な印刷処理を可能とする印刷装置を実現することができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な印刷装置の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、ハウジングとなる筺体2内に、カード状記録媒体としてのカードCを繰り出し略水平に搬送するための水平カード搬送路P0、カードCに直接転写方式によりインク像(画像)を形成するためのカード搬送路となる第1カード搬送路P1、及び、フィルム状転写媒体としての中間転写シートF上に一時的に保持された画像を間接転写方式によりカードCに転写するためのカード搬送路となる第2カード搬送路P2を有している。第1カード搬送路P1は、略垂直方向に配されており、カードCの搬送方向を切り換える第1カード反転部5、第2カード反転部6の中心位置で、略水平方向に配された水平カード搬送路P0及び第2カード搬送路P2と交差している。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、ハウジングとなる筺体2内に、カード状記録媒体としてのカードCを繰り出し略水平に搬送するための水平カード搬送路P0、カードCに直接転写方式によりインク像(画像)を形成するためのカード搬送路となる第1カード搬送路P1、及び、フィルム状転写媒体としての中間転写シートF上に一時的に保持された画像を間接転写方式によりカードCに転写するためのカード搬送路となる第2カード搬送路P2を有している。第1カード搬送路P1は、略垂直方向に配されており、カードCの搬送方向を切り換える第1カード反転部5、第2カード反転部6の中心位置で、略水平方向に配された水平カード搬送路P0及び第2カード搬送路P2と交差している。
水平カード搬送路P0上には、カードCを1枚ずつ分離して水平カード搬送路P0に送り出すカード供給部3、カード供給部3の下流側でカードCの両面を清浄するクリーナ4、クリーナ4の下流側でカードCを挟持したまま回転乃至反転させ第1カード搬送路P1方向にカードCの搬送路を直交状に切り換え可能な第1カード反転部5がそれぞれ配設されている。
カード供給部3は、複数のカードCを積層状に収容するカードスタッカを有している。カードスタッカの水平カード搬送路P0に臨む位置には、1枚のみのカードCの通過を許容する開口スロットを有したスタッカ側板が配置されており、カードスタッカの底部には、回転することでカードスタッカに積層収容された複数のカードCのうち最底部に位置するカードCを水平カード搬送路P0に送り出すキックローラ3aが圧接配置されている。
クリーナ4は、水平カード搬送路P0を挟んで対峙し表面に粘着性物質を塗着したゴム材料等のクリーニングローラと、このクリーニングローラに圧接する圧接ローラとで構成される2組のローラ対を有している。
第1カード反転部5は、カードCを挟持可能に対をなすピンチローラ、これらのピンチローラを回転可能に支持し第1カード反転部5の中心位置を回転中心として回転乃至反転する回転枠を有している。これらのピンチローラは、一方が正逆転可能な駆動ローラ、他方が従動ローラとされており、回転枠が水平状態においては水平カード搬送路P0を挟んで圧接し合い(図1に示す状態)、垂直状態においては第1カード搬送路P1を挟んで圧接し合う。ピンチローラの間にカードCを挟持した状態で回転枠を回転乃至反転させると、ピンチローラも共回りしてカードCを変位させてしまうので、第1カード反転部5での回転乃至反転動作は、回転枠の回転乃至反転とピンチローラとの回転とは独立して駆動される(第2カード反転部6も同じ。)。
なお、第1カード反転部5の近傍には、回転枠の回転角度を検出する図示しない一体型透過センサ(スリット板との組合せ)が配置されている。また、ピンチローラの回転方向を判断するために、ピンチローラのいずれか一方の位置を検出するための図示しない一体型透過センサ(半月板との組合せ)が配設されており、回転枠の回転角度を任意に設定することができると共に、ピンチローラによるカードCの搬送方向が制御される(第2カード反転部6も同じ。)。
また、第1カード反転部5の下流側で水平カード搬送路P0の延長線上には、カードCにカードCの所有者等に関する情報を記録する磁気エンコーダ7(又は、ICエンコーダ)が配置されている。第1カード反転部5は、磁気エンコーダ7との間でカードCの授受(受け渡し)を行う。
第1カード搬送路P1上には、下方側から上方側に、それぞれ、上述した第1カード反転部5、第1カード反転部5から渡されたカードCを印刷手段としての画像形成部9(詳細後述)に送り込むと共に、画像形成部9側から搬送されたカードCを第2カード搬送路P2に向けて送り出すための回転乃至反転可能な第2カード反転部6、一定の回転速度で回転するキャプスタンローラ対11、及び、従動ローラ12(図2参照)が配設されている。
また、第1カード搬送路P1上で、キャプスタンローラ11及び従動ローラ12の間には、後述するサーマルヘッド制御部19H(図5参照)から供給される画像データ(正像データ、鏡像データ)に従って熱転写シートRを用いてカードC及び中間転写シートFに選択的に(いずれか一方に)インク像を形成する画像形成部9が配置されている。画像形成部9は、熱転写プリンタの構成が採用されており、カードC又は中間転写シートFへの印刷時(画像形成時)にカードCや中間転写シートFを支持するプラテンローラ21及びプラテンローラ21に対して進退可能に配設されたサーマルヘッドユニット20を有している。サーマルヘッドユニット20に対向して配置されたプラテンローラ21と、サーマルヘッドユニット20との間には熱転写シートRが介在している。
図6に示すように、中間転写シートFは、ベースフィルムFa、ベースフィルムFaの背面側に形成された背面コート層Fb、剥離剤を含み熱転写シートRのインクを受容する受容層Fe、受容層Feの表面を保護するオーバーコート層Fd、ベースフィルムFaの表面側に形成され加熱によりオーバーコート層Fd及び受容層Feを一体としてベースフィルムFaからの剥離を促進する剥離層Fcが、下側から背面コート層Fb、ベースフィルムFa、剥離層Fc、オーバーコート層Fd及び受容層Feの順で積層され、フィルム状に形成されている。ベースフィルムFaに積層されたこれら各層は、中間転写シートFの全体に亘ってほぼ一様に形成されている。
ベースフィルムFaは基材フィルム(または基材シート)とも称され、従来の熱転写シートRに使用されているものと同じ基材フィルムをそのまま用いることができる。具体的には、例えば、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものを挙げることができる。ベースフィルムFaの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好適に用いられる。
背面コート層Fbは、熱転写シートRから色材を転写する際、及び後述する(画像)受容層FeをカードC等の被転写体に転写する際に、サーマルヘッドやラインヒータ、或いはヒートローラ等の加熱デバイスとの熱融着を防止し走行を滑らかにするために、ベースフィルムFaの背面側(加熱デバイスと接触する受容層Feの反対側)に形成されている。この背面コート層Fbに用いられる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又はこれらの混合物を挙げることができる。背面コート層Fbの耐熱性をより高めるために上記の樹脂のうち、水酸基等の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層としてもよい。更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、背面コート層Fbに固形あるいは液状の離型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤又は滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を挙げることができる。背面コート層15に含有される滑剤の量は、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%程度である。
受容層Feは、少なくともバインダ樹脂からなり、必要に応じて離型剤(剥離剤)等の各種添加剤を添加してもよい。バインダ樹脂は昇華染料が染着しやすいものを用いることが好ましく、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニルポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース誘導体等を用いることができ、これらの中でもビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂が特に好ましく用いられる。
熱転写シートRとの熱融着を防止するために、受容層Feには上記の樹脂に離型剤(剥離剤)を配合することが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系化合物等を用いることができるが、この中でもシリコーンオイルが好適である。この離型剤の添加量は、画像受容層2bを形成するバインダ樹脂100重量部に対し0.2〜30重量部程度とすることが好ましい。受容層Feは、上記のベースフィルムFa上に、上記の樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加え、水又は有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させたインク(スラリ)を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコータ等で塗布することが可能である。その塗布量は、塗布乾燥後の膜厚が0.1〜10μm程度となるようすることが望ましい。
オーバーコート層Fdは、少なくともバインダ樹脂から構成されるが、ベースフィルムFaと適当な剥離性を持ち、受容層Feと共にカード等の被転写体に転写された後は受容層Feの表面保護層として所望の物性をもつ樹脂組成を選定する。一般的には、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等の熱硬化型の樹脂を用いることができる。画像の形成されたカード等の被転写体に対して、耐摩擦性、耐薬品性、耐汚染性が特に要求される場合は、画像保護層樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いることもできる。また、上記の樹脂に、画像形成物の擦過性を向上させるための滑剤、汚染防止のための界面活性剤、耐候性能を向上させるための紫外線吸収剤、酸化防止剤等を加えてもよい。オーバーコート層Fdは受容層Feと同様の方法で形成することができ、厚みは0.1〜10μm程度が好ましい。
ベースフィルムFaの表面側に形成された剥離層Fcは離型層とも称され、この剥離層Fcにはバインダ樹脂と剥離性(離型性)材料とが含有される。バインダ樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキッド樹脂等を挙げることができる。また、剥離性(離型性)材料としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッソ系樹脂、タルク、シリカの微粉末や、界面活性剤や金属セッケン等の滑剤等を挙げることができる。剥離層Fcは、上述した受容層Feと同様の方法で形成することができ、その厚みは0.1〜5μmが好ましい。
一方、本実施形態の熱転写シートRは、カードCへインク像を直接転写する直接転写方式と、中間転写シートFに一旦画像(鏡像)を転写した後、カードCにインク像を再転写して正像を形成する間接転写方式とを両立させる構成を備えている。一般に、熱転写シートには、感熱溶融転写方式において用いられる熱溶融性インク転写シートや、感熱昇華転写方式において用いられる熱昇華性染料転写シートの他、公知の転写方式を用いた種々の転写シートがあり、一般にインクリボンと称されるが、本発明の熱転写シートには、いずれの転写方式のものも適用可能である。
感熱溶融転写方式は、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダに分散させた熱溶融性インク層を、プラスチックフィルム等の基材シート(基材フィルムともいう。)に担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスの画像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチックシート、カード等の被転写体上にインク層をバインダと共に転写する画像形成方法である。この記録方法では熱溶融性インクが色材となる。これに対し、感熱昇華転写方式は、色材として昇華性染料を使用し、該昇華性染料をバインダ樹脂に溶解或いは分散させた染料層を、プラスチックフィルム等の基材シート(基材フィルム)に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックシート、カード等の支持体上に画像受容層を設けた被転写体とを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスの画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、熱転写シート上の染料層中に含まれる昇華性染料を被転写体上の画像受容層中に移行させて、画像を記録する方法である。この記録方法では染料が色材となる。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、以下、熱昇華性インクを用いる場合を具体的に例示し、熱溶融性インクを用いる場合等の態様については後述する。
図7(A)に示すように、本実施形態の熱転写シートRは、間接転写用のインク層Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン),K(ブラック)に続いて、直接転写用のインク層K(ブラック)が面順次に配置されたパターンを有している。すなわち、熱転写シートRは、基材フィルム上に、第1のインク層としての直接転写用のインク層と第2のインク層としての間接転写用のインク層が面順次に層成された(インク層として形成された)帯状の形状を有している(図6も参照)。インク像及び文字等の画像をその両面に形成(印刷)するIDカードの場合は、一般に、カード表面にカード所有者の顔写真といったカラー画像情報や、所属・IDナンバー・氏名といった文字情報を全面印刷し、裏面に注意書き等の文字情報を印刷するケースが多く行われている(裏面側は全面印刷の必要ない)が、このような印刷態様に対応するためには、カードの表面への印刷には全面印刷が可能な間接転写方式が適している(直接転写方式はカードエッジや隅部での印刷に難点がある。)ため、本実施形態では、カード表面への印刷には間接転写用インク(以下、このインクが塗布された熱転写シートRの部分を間接転写部という。)を使用し、カード裏面への印刷には直接転写用インク(以下、このインクが塗布された熱転写シートRの部分を直接転写部という。)を使用する。
図8(A)に示すように、直接転写部では、基材フィルムRa上に、離型層Fb及び染料層(昇華性インク層)Rcが層成されており、図8(E)に示すように、間接転写部では、直接転写部と連続した同一の基材フィルムRa上に染料層Rcが層成されている。なお、直接転写部及び間接転写部の厚みは、いずれか一方の離型層Fb乃至染料層Rcの厚みが調整され、熱転写シートR全体としてほぼ同一の厚みに調製されている。
基材フィルムRaの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチックフィルム、コンデンサ紙、パラフィン紙等の紙類、不織布を挙げることができ、また、これらの複合体であってもよい。基材フィルムRaの厚さは、要求される強度、熱伝導性等を考慮して適宜決定することができ、通常、2〜10μm程度が好ましい。基材フィルムRaは、熱転写シートRがガイドコロ等を介して搬送されることから、可撓性を有することが必要である。
直接転写部及び間接転写部に層成された染料層Rcは、熱昇華性の染料を任意のバインダ樹脂で担持させた層である。使用可能な染料としては、従来公知の染料転写シートに使用されているものを挙げることができ、具体的には、マゼンダ(赤紫色染料)としては、MS Red G、Macrol ex Red Violet R、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、Resolin Red F3BS等が挙げられ、イエロー(黄色染料)としては、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、シアン(青緑色染料)としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100等が挙げられる。
上記の染料を担持するためのバインダとしては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル等を挙げることができる。上記の樹脂の中では、セルロース系、アセタール系、ブチラール系およびポリエステル系の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。また、染料層Rcの中には、必要に応じて種々の添加剤を含有させてもよい。染料層Rcの厚さは0.2〜5μm、好ましくは0.4〜2μm程度であり、染料層Rc中には昇華性染料が5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の割合で含有されることが望ましい。
なお、直接転写部の基材フィルムRa上に層成された染料層Rcは、上述した中間転写シートFの剥離層Fcに用いたものと同一の材質かつ同一の厚みを好適に使用可能なため、ここでの説明を省略する。また、本実施形態におけるK(ブラック)には、黒色がよりきれいに表現できる熱溶融性顔料インクが直接転写部、間接転写部を問わず用いられている。
図4に示すように、画像形成部9は、サーマルヘッドユニット20の先端部に位置するサーマルヘッド20aが、進退機構30(詳細後述)により、(a)印刷位置(図4(C)参照)、(b)印刷待機位置(図4(B)参照)、(c)熱転写シート交換位置(図4(A)参照)、の3つの位置に位置付けられる構成を有している。
上記の(a)印刷位置は、熱転写シートRを介して直接転写時はカードCに、間接転写時は中間転写シートFに圧接して印刷(画像形成)を行う位置であり、このとき、カードC又は中間転写シートFはプラテンローラ21に支持されている。次に、(b)印刷待機位置は、例えば、カラーのインク像形成時にY・M・Cを重ねて転写するが、Yの転写後に次のMの頭出しのために熱転写シートRを送るとき、サーマルヘッド20aを上記の(a)印刷位置から若干(5mm程度)離間させるための位置であり、カラー画像印刷のための動作継続が為されるための待機位置である。この場合、Mの転写後に次のCの頭出しのために熱転写シートRを送る際も、サーマルヘッド20aは同様に(b)印刷待機位置に位置付けられることになる。また、所期の印刷が完了すると、サーマルヘッド20aはこの(b)印刷待機位置に位置付けられて次の印刷命令を受けるまで待機状態となる。
(c)熱転写シート交換位置は、その名の通り、熱転写シートRを交換するときにサーマルヘッド20aをプラテンローラ21から所定量(25mm程度)離間させるための位置であり、通常の連続印刷動作では、上述した(a)印刷位置と(b)印刷待機位置との間をサーマルヘッド20aが往復動する。つまり、(c)熱転写シート交換位置は、印刷動作を行わない非動作位置である。
上述したように、これら、サーマルヘッド20aの(a)印刷位置、(b)印刷待機位置、及び(c)熱転写シート交換位置への移動は、進退機構30により行われる。図3に示すように、サーマルヘッド20aを有するサーマルヘッドユニット20は、ヘッドホルダ40に着脱可能に保持されており、このヘッドホルダ40の端部には一対のコロ22が設けられている。一方、図示しないDCモータが駆動されると、その駆動力はギヤ31に伝わり、このギヤ31の中心に設けられたシャフト32を介して、非円形の一対の偏心カム23へと伝達されることになる。つまり、偏心カム23はシャフト32の軸上に所定間隔を有して固設されており、ギヤ31の回転と同期して回転することになる。
この偏心カム23とヘッドホルダ40の端部に設けられた一対のコロ22とは、アーム33によって連接されている。アーム33の一部には偏心カム23に夫々当接する一対のコロ34が設けられており、偏心カム23の回転に伴って揺動支点35を中心にアーム33が揺動可能に構成されている。アーム33の揺動支点35の反対側の一部は、偏心カム23に当接するコロ34を挟んで、ヘッドホルダ40側のコロ22と当接関係を有しており、これにより、アーム33の揺動に応じてヘッドホルダ40に保持されたサーマルヘッドユニット20がプラテンローラ21に対して離接可能に進退移動するものである。なお、ヘッドホルダ40はバネ29の作用により、常時プラテンローラ21から離間する方向に付勢されている。
このため、進退機構30の偏心カム23の回転を制御することによって、サーマルヘッド20aが3つの位置((a)印刷位置/(b)印刷待機位置/(c)熱転写シート交換位置)のいずれかに移動して位置付けられることになる。この場合、サーマルヘッド20aを(a)印刷位置に位置付ける際には、偏心カム23の最大半径部でコロ34に接触し、サーマルヘッド20aを(b)印刷待機位置に位置付ける際には、偏心カム23の中間半径部でコロ34に接触し、また、サーマルヘッド20aを(c)熱転写シート交換位置に位置付ける際には、偏心カム23の最小半径部でコロ34に接触するように偏心カム23が回転制御される。
従って、カードCに直接インク像を形成する直接転写時には、サーマルヘッド20aは熱転写シートRの直接転写部を介してカードCに圧接する。この状態で、サーマルヘッド20aの複数の発熱素子を選択的に発熱駆動することで直接転写部の基材フィルムRa上に層成された染料層Rcの熱転写インク成分がカードCの表面に熱転写され、所期の画像情報がカード表面にインク像として印画される。一方、中間転写シートFにインク像を形成する間接転写時には、サーマルヘッド20aは熱転写シートRの間接転写部を介して中間転写シートFに圧接する。この状態で、サーマルヘッド20aの複数の発熱素子を選択的に発熱駆動することで間接転写部の基材フィルムRa上に層成された染料層Rcの熱転写インク成分が中間転写シートFの表面に、例えば、Y・M・C・Kの順に熱転写され、所期のカラー画像が中間転写シートFに形成される。
図1に示すように、熱転写シートRは、熱転写シートRをロール状に捲回した熱転写シート供給部14から供給され、複数のガイドコロで案内されサーマルヘッド20aに略全面を当接させながら、巻取ローラ対37の回転駆動と共に駆動し熱転写シートRをロール状に巻き取る熱転写シート巻取部15に巻き取られる。熱転写シート供給部14及び熱転写シート巻取部15は、サーマルヘッドユニット20の両側の位置に配設されており、それぞれの中心部はスプール軸に装填されている。また、画像形成部9には、熱転写シートRの位置出し用マーク又は熱転写シートRの間接転写部のKの位置を検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光センサSdという。)が、熱転写シート供給部14及びサーマルヘッドユニット20間に配設された2つのガイドコロの間に、熱転写シートRに対して離間状態で直交するように配置されている。
なお、巻取ローラ対37の駆動側ローラ軸には同軸上に図示しないギヤが嵌着されており、このギヤは同軸上に図示しないクロック板を有するギヤに噛合している。また、図示しないクロック板の近傍には、熱転写シートRの巻き取り量を管理するために図示しないクロック板の回転を検出する受光センサSeが配設されている。
また、図1及び図2に示すように、プラテンニップローラ28は、プラテンローラ21に当接することで、プラテンローラ21の表面に中間転写シートFを押し付けてプラテンローラ21との間で中間転写シートFを挟持する(図2の実線参照)と共に、プラテンローラ21から離間可能(図2の2点鎖線参照)に構成されており、プラテンローラ21に対するプラテンニップローラ28の離接動作は移動機構50により行われる。
移動機構50は、駆動源となる正逆転可能なモータ51(ステッピングモータ)を有している。モータ51の回転駆動力はモータ51の駆動軸に設けられたギヤ52から隣接するギヤ53へと伝達され、このギヤ53と同軸に配されたプーリ54を所定方向に回転させることになる。このプーリ54とプーリ56との間にはタイミングベルト55が掛け渡されており、プーリ54の回転駆動力は、タイミングベルト55を介してプーリ56へと伝達される。
プーリ56の回転軸57上にはレバー部材58の一端側が固設されており、レバー部材58の他端側にはプラテンニップローラ28が回転自在に軸支されていることで、プーリ56に伝達された回転駆動力により、レバー部材58が回転軸57を中心として所定方向に揺動し、それに伴いプラテンニップローラ28が移動することになる。モータ51は正逆転可能なため、上記駆動とは逆方向に駆動制御することで、プラテンニップローラ28は上記の駆動伝達機構を介して上述した移動方向とは逆方向に移動可能である。
本形態では、例えば、プラテンニップローラ28が中間転写シートFをプラテンローラ21に押し当てて、プラテンローラ21との間で中間転写シートFを挟持する位置(プラテンローラ21に当接する第1の位置)に位置付けられた状態でモータ51を正転駆動すると、プラテンニップローラ28はプラテンローラ21から離間する方向に移動し、カードCを搬送するための第1カード搬送路P1(カードCを搬送可能な第2の位置)に進出し、従動ローラ12と共働して、上述したキャプスタンローラ11と同様に、カードCへの印刷時(直接転写モード設定時)のカードCを一定速度で搬送する搬送ローラとして機能させることができる(図2の2点鎖線参照)。
プラテンニップローラ28が第2の位置に位置付けられた状態でモータ51を逆転駆動すると、プラテンニップローラ28は上記の移動方向とは逆方向に移動して、中間転写シートFを介してプラテンローラ21に当接する位置(第1の位置、図2の実線で示す位置)に移動する。また、プラテンニップローラ28が、第1の位置ではプラテンローラ21方向に、第2の位置では対向する従動ローラ12側に付勢されるように加圧バネ(押しバネ)59が付設されている。
なお、プラテンニップローラ28は、間接転写時には中間転写シートF上に形成された画像を有する被転写面に接触することから、ゴミが付着しやすいゴムローラより樹脂ローラの方が望ましいため、本形態ではPOM(ポリオキシメチレン=ポリアセタール樹脂)ローラを採用している。また、本形態では、プラテンローラ21の周面に常時接触して、プラテンローラ21の表面に付着したゴミ等の異物を除去する低硬度(例えば、40度)のゴムローラ26をクリーニングローラとして有している。
プラテンローラ21には中間転写シートFがサーマルヘッドユニット20側の周面に掛け渡されている。中間転写シートFは、受容層Fe側が熱転写シートRと対向し、背面コート層Fb側がプラテンローラ21に当接している。カードCに直接転写方式で印刷される際及び中間転写シートFに画像が形成される際の中間転写シートFの搬送速度は、熱転写シートRの搬送速度と同一搬送速度に設定されている。また、カードCに直接転写方式で印刷される際には、中間転写シートFの搬送速度とカードCの搬送速度とが同一搬送速度に設定されている。なお、画像形成部9のゴムローラ26の下部位置には、中間転写シートFの位置出し用マークを検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光センサSaという。)が中間転写シートFに対して離間状態で直交するように配置されている。
図1に示すように、第2カード搬送路P2上には、第2カード反転部6の下流側に、キャプスタンローラ対41、42、43、中間転写シートFから画像が転写されたカードCの反りを矯正するためのローラ45、46からなるデカールローラ対、及び、印刷処理が完了したカードCを排出する排出ローラ対44が配設されている。また、第2カード搬送路P2上のキャプスタンローラ対42、43の間には、中間転写シートFに形成された画像をカードCに転写する転写部10が配置されている。転写部10は、カードCへの中間転写シートFの転写時にカードCを支持するプラテンローラ27及びプラテンローラ27に対して進退可能に配設されたヒートローラ16を有している。ヒートローラ16には、中間転写シートFを加熱するための発熱ランプが内蔵されている。プラテンローラ27とヒートローラ16との間には中間転写シートFが介在している。
ヒートローラ16は、図示しない進退機構により、プラテンローラ27に対して進退可能とされている。進退機構は、ヒートローラ16を着脱可能に保持するホルダと、このホルダに固定された従動ローラと、従動ローラに周接しながらカム軸を中心に一方向に回転する非円形のヒートローラ昇降カムと、ホルダに内蔵されホルダの上面をヒートローラ昇降カムに圧接させるバネとを有して構成されている。
デカールローラ対を構成するローラ45は、不図示のカム機構により図1に示すカード搬送位置から第2カード搬送路P2より上側でローラ46に当接する当接位置への移動が許容されている。上昇した(当接位置に位置した)ローラ45によるカードCに対する押付力を和らげるために、ローラ46の回転軸には、図示しない弾性体(バネ)が掛けられている。また、プラテンローラ27は、キャプスタンローラ対41、42、43の駆動ローラ側(下方側のローラ)と図示しない駆動機構により連結されて駆動回転し、カードCの搬送を行う機能も果たす。排出ローラ対44の駆動ローラ側(下方側のローラ)もまた、駆動機構によりキャプスタンローラ対41等と駆動連結されて回転駆動する。
中間転写シートFは、中間転写シートFをロール状に捲回した中間転写シート供給部24から供給され、搬送ローラ48、ガイドローラ47(図2参照)及びプラテンローラ21、中間転写シートFに逆張力を加えるバックテンションローラ49、ガイドコロ等で案内され、転写時にはカードCを介して第2カード搬送路P2上でプラテンローラ27とヒートローラ16とに挟まれて、中間転写シートFをロール状に巻き取る中間転写シート巻取部25に巻き取られる。
なお、転写部10には、中間転写シートFの存在を検出すると共に位置出し用マークを検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光センサSbという。)が中間転写シートFを跨ぐように配置されている。また、第2カード搬送路P2の下側かつ筺体2の外側には、印刷処理が完了し筺体2に形成された排出口から排出されたカードCを収容する排出スタッカ13が着脱可能に装着されている。
印刷装置1は、水平カード搬送路P0、第1カード搬送路P1上に配設された構成部材、移動機構50等を収容する第1ユニットと、第2カード搬送路P2上に配設された構成部材、磁気エンコーダ7、中間転写シート供給部24、中間転写シート巻取部25等を収容する第2ユニットとに分割されている。第1ユニット及び第2ユニット間は、ロックレバー88で所定間隔に確保されており、このロックレバー88を解除することで、図示を省略したレール上を第2ユニットが第1ユニットに対して相対的に水平移動(図1の左側への水平移動)が可能な構造を有している。
第2ユニットは、第2カード搬送路P2を境として、上側の第1ブロックと、下側の第2ブロックとで構成されている。第1ブロックは、下側に位置する第2ブロックに対して図示を省略した取付部材を介してシャフト90で連結されている。すなわち、排出口が形成された筺体2の側端部に配置されたシャフト90回動支点として、第2ブロックに対して回動自在に構成されている。
シャフト90の両端部(図1の紙面奥行き方向)付近には、第1ブロックを第2ブロックに対して回動させる方向に付勢するねじりコイルバネ91が配設されている。シャフト90の両端部分は、一方端が第1ブロックにネジ止めされたカバー部材92に取り付けられている。カバー部材92は第1ブロックと共に回動する。従って、第1ブロックは第2ブロックに対して開放可能な構造とされている。第1ブロックが開放された状態では、ねじりコイルバネ91の一方側がカバー部材92で覆われる。第1ブロックは、カバー部材92の一側面が第1ブロックと第2ブロックの間に介在する図示しない取付部材の一側面に当接することで規制され、第2ブロックに対して略90°の角度で円弧状に開放乃至閉鎖される方向への回動が許容されている。
また、第1ブロック内の第2カード搬送路P2の上方には、第2カード搬送路P2上に配設された各ローラ、中間転写シート供給部24、中間転写シート巻取部25、搬送ローラ48、プラテンローラ21、バックテンションローラ49等を駆動する正逆転可能なパルスモータM1、M2を駆動源とし、複数のギヤ、プーリ、電磁クラッチ等を有する図示しない駆動機構が配設されている。
更に、印刷装置1には、カードCの位置を検出するために、水平カード搬送路P0、第1カード搬送路P1、第2カード搬送路P2に沿って、複数の一体透過型センサが配設されている。すなわち、水平カード搬送路P0に沿って、クリーナ4と第1カード反転部5との間に一体型透過センサS1、第1カード反転部5の近傍で磁気エンコーダ7側に一体型透過センサS2が配設されており、第1カード搬送路P1に沿って、第1カード反転部5寄りで第2カード反転部6側との間に一体透過型センサS3、第2カード反転部6の近傍でキャプスタンローラ11側に一体型透過センサS4、キャプスタンローラ11とプラテンローラ21との間に一体型透過センサS5が配設されており、第2カード搬送路P2に沿って、デカールローラ対とキャプスタンローラ41との間に一体型透過センサS9、キャプスタンローラ対42とデカールローラ対(ローラ45、46)との間に一体型透過センサS6、キャプスタンローラ対43と排出ローラ対44との間に一体型透過センサS7、排出口の手前に一体型透過センサS8が配設されており、搬送されるカードCの先端又は後端が検出される。なお、以下の説明においては、カードCは図1に示す第1カード搬送路P1上を上下両方向に、第2カード搬送路P2上を左右両方向に搬送されることから、一律にカードCの搬送方向を基準として、カードCの搬送方向先端を先端、搬送方向後端を後端という。
また、印刷装置1は、筐体2内に、商用交流電源から各機構部及び制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部18、印刷装置1全体の動作制御を行いモード設定手段の一部としても機能する制御部19、並びに、筐体2の上部に制御部19からの情報に従って印刷装置1の状態等を表示すると共に、オペレータによる操作で制御部19に操作命令が指示可能なモード設定手段の一部としてのタッチパネル8を備えている。
図5に示すように、制御部19は、印刷装置1の制御処理を行うマイコン19Aを有している。マイコン19Aは、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1の制御動作が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM及びこれらを接続する内部バスで構成されている。
マイコン19Aには外部バス19Bが接続されている。外部バス19Bには、タッチパネル8の表示や操作命令を制御するタッチパネル表示操作制御部19C、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部19D、各パルスモータに駆動パルスを送出するモータドライバを制御するモータ制御部19E、外部コンピュータと印刷装置1の通信を行うための外部入出力インタフェース19F、カードCに印刷すべき画像情報等を一時的に格納するバッファメモリ19G、サーマルヘッドユニット20の熱エネルギーを制御するサーマルヘッド制御部19H、及び、図示しない電磁クラッチのオン・オフの制御信号を出力するクラッチ制御部19Jが接続されている。タッチパネル表示操作制御部19C、センサ制御部19D、サーマルヘッド制御部19H及びクラッチ制御部19Jは、それぞれ、タッチパネル8、各種センサ、各種モータのドライバ、サーマルヘッドユニット20、図示しない電磁クラッチに接続されている。
(動作)
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の印刷装置1の動作について制御部19のマイコン19AのCPUを主体として説明する。なお、RAMには、既に外部コンピュータから外部入出力インタフェース19F、バッファメモリ19Gを介して受信した画像情報が正像データ、鏡像データに変換されて格納されているものとする。
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の印刷装置1の動作について制御部19のマイコン19AのCPUを主体として説明する。なお、RAMには、既に外部コンピュータから外部入出力インタフェース19F、バッファメモリ19Gを介して受信した画像情報が正像データ、鏡像データに変換されて格納されているものとする。
印刷装置1に電源が投入されると、CPUは、タッチパネル表示操作制御部19Cを介してタッチパネル8に初期画面を表示させる。この時点でタッチパネル8(又は外部コンピュータの表示画面)には、第1のモードとしての直接転写モード、第2のモードとしての間接転写モードの別を設定するためのモード設定ボタン、モード設定ボタンで設定されたモードをクリアするためのクリアボタン、印刷装置1に設定されたモードでの印刷を開始させるためのスタートボタン、並びに、印刷装置1のスタンバイ又は印刷可能状態の別、印刷済みカード枚数等が表示され、カードCに画像形成(印刷)を行うための画像形成ルーチンの実行が可能な状態となる。
図9に示すように、この画像形成ルーチンでは、まず、ステップ202でタッチパネル8(又は外部コンピュータ)から直接転写モード(第1のモード)又は間接転写モード(第2のモード)のモード入力があるまで待機し、モード入力があると、次のステップ204において、入力されたモードのデフォルト値をRAMに格納(取得)する。次にステップ206でタッチパネル8(又は外部コンピュータ)から印刷開始の指示があるまで待機し、印刷開始の指示があると、ステップ208においてRAMに格納したモードが間接転写モードか否かを判断する。ステップ208での判断が肯定のときは、次のステップ210において、受光センサSbが中間転写シートFの存在を検出したか否かを判定し、否定判定のときは、間接転写方式による画像形成を行うことができないので、ステップ212でタッチパネル8に中間転写シートFがない旨を表示して(又は、外部コンピュータに中間転写シートFがない旨を通知して)画像形成ルーチンを終了しステップ202へ戻り、肯定判定のときは、次のステップ214において、カードCに間接転写モードで画像形成を行うための間接転写処理サブルーチンを実行する。
図10に示すように、間接転写処理サブルーチンでは、ステップ300において、モータ51を駆動しプラテンニップローラ28をプラテンローラ21に当接させた(第1の位置に位置付けた)後、ステップ302でパルスモータM1、M2を送り方向に回転させると共にモータ51を回転させ、次のステップ304において、受光センサSaを監視することで中間転写シートFに形成されている位置出し用マークを認識し、中間転写シートFの送りや戻しと常に一体で正逆転するバックテンションローラ49に接続されている図示しないクロック板の回転量を一体型透過センサScで検出することにより、印刷開始位置まで中間転写シートFが搬送されたか否かを判断し、否定判断のときは、ステップ302へ戻り中間転写シートFの搬送を続行し、肯定判断のときは、次のステップ306において、パルスモータM1、M2、モータ51の駆動を停止させる。この間、サーマルヘッド20aは(b)印刷待機位置にあり、熱転写シートRは、例えば、Y(イエロー)の開始端が所定位置となるまで送られる。このような制御は、例えば、受光センサSdにより熱転写シートRの間接転写部のK(ブラック)の先端(又は、直接転写部のKの後端)を検出し、熱転写シートR上に予め等間隔の幅が定められている間接転写部のKの先端(又は、直接転写部のKの後端)からY(イエロー)の開始端までの距離を、巻取ローラ対37の近傍に配設した図示しないクロック板の回転を一体型透過センサSeで検出することで実行することができる。
次いでステップ308では、図示しないDCモータを駆動してサーマルヘッド20aを(a)印刷位置に位置付けて熱転写シートRを介してプラテンローラ21に押し当てさせ、次のステップ310において、パルスモータM1、M2、モータ51を巻き戻し(Rv)方向へ回転させると共に、図示しない電磁クラッチの連結によりプラテンローラ21を反時計回りに回転させ、搬送ローラ48も反時計回りに回転させる。これにより、中間転写シートFにはY(イエロー)のインク像形成が開始される。すなわち、熱転写シートRのY(イエロー)染料層Rc(図8(E)参照)は中間転写シートFの受容層Fe(図6参照)に対抗して重ねた状態となり、熱転写シートRのY染料層Rcをサーマルヘッド20aで加熱することで、中間転写シートFの受容層Feへのインク像形成が開始される。パルスモータM1の駆動力によりプラテンローラ21は反時計回りに回転し、パルスモータM2の駆動力により中間転写シートFは中間転写シート供給部24に巻き取られ、同期して熱転写シートRは熱転写シート巻取部15に巻き取られる。
次のステップ312では、中間転写シートFに形成される画像の長手方向の大きさに対応する所定パルス数パルスモータM1(又はパルスモータM2)が回転駆動したか否かを判断することにより、中間転写シートFへの画像形成が終了したか否かを判定する。否定判定のときは、ステップ310へ戻り中間転写シートFへのYのインク像形成を続行し、肯定判定のときは、ステップ314において、パルスモータM1、M2、モータ51の駆動を停止させる。なお、CPUは、予め格納した鏡像データを読み出し、Y、M、C、K毎の印画データを熱エネルギーに変換し、1ライン(又は数ライン)毎に、サーマルヘッド制御部19Hを介して、変換した熱エネルギー値(第2の熱エネルギー値)を、中間転写シートFの種類による所定の係数を加味して、鏡像熱エネルギー値としてサーマルヘッドユニット20に送出させている。サーマルヘッド20aの各印画素子はこの鏡像熱エネルギー値に従って加熱される。
次いでステップ316では、図示しないDCモータを駆動して偏心カム23を(b)印刷待機位置に位置付けてサーマルヘッド20aをプラテンローラ21に対して退避させ、次のステップ318において、所定色(YMCK)分の画像形成が終了したか否かを判断する。否定判断のときには、次の色(例えば、M)を中間転写シートFの受容層Feに既に形成された色(例えば、Y)に重ねて画像形成を行うためにステップ302へ戻り、肯定判断のとき、すなわち、YMCKによる画像形成が終了したときは、図示しない電磁クラッチに、プラテンローラ21、搬送ローラ48への連結を解除させ、次のステップ320へ進む。これにより、中間転写シートF上には画像が鏡像で形成される。
ステップ320では、パルスモータM2を駆動させて、予めプラテンローラ27から離間しているヒートローラ16の位置を越えて画像形成部9で中間転写シートFに形成された画像領域の後端がキャプスタンローラ対43の近傍でヒートローラ16と中間転写シート巻取部25との間に配置されたガイドコロを通過する所定位置まで、バックテンションローラ49に接続されている図示しないクロック板の回転量に従って中間転写シートFを搬送する。この搬送時に転写部10内に受光センサSbからの出力を監視することで中間転写シートFの位置出し用マークが検出され、この時点で搬送量を再度設定することが可能となり、搬送精度が向上する。
また、ステップ320では、中間転写シートFの中間転写シート巻取部25側への搬送に並行させて、予め第2カード反転部6に挟持させておいたカードCを送り出し、カードCの両端がキャプスタンローラ対43及び排出ローラ対44に挟持される位置まで第2カード搬送路P2に沿って搬送する。
すなわち、カード供給部3、クリーナ4、第1カード反転部5のピンチローラを回転駆動させ、カード供給部3からブランクのカードCを1枚、水平カード搬送路P0上に送出し、クリーナ4で両面を清浄し、カードCの先端が一体型透過センサS1で検出されると、キックローラ3aの回転を停止させる。続いて、カードCを第1カード反転部5のピンチローラの回転により第1カード反転部5を介して磁気エンコーダ7に引き渡す。このとき、カードCの先端が一体型透過センサS2で検出されるとクリーナ4のクリーニングローラの回転を停止させると共に、所定時間経過後、ピンチローラの回転を逆転させる。磁気エンコーダ7のカードの所有者等に関する情報の記録が終了すると、磁気エンコーダ7からカードを受け取り、ピンチローラでカードCの両端を挟持する。このような制御は、例えば、一体型透過センサS2で磁気エンコーダ7から搬送されるカードCの先端を検出し、所定ステップ数カードCが搬送されたところでピンチローラの回転を停止させることで行うことができる。
次いで、それぞれのピンチローラが水平カード搬送路P0及び第2搬送路P2を挟む位置に位置付けられた第1カード反転部5及び第2カード反転部6のピンチローラを停止させた状態で90°回転させ、それぞれのピンチローラが第1カード搬送路P1を挟む位置に位置付けた後、再度ピンチローラを駆動することで、第1カード反転部5から第2カード反転部6にカードCを搬送する。そして、それぞれのピンチローラの回転を停止させた状態で元の位置に戻すため−90°回転させることで、第1カード反転部5は図1に示す状態に戻り、第2カード反転部6はカードCを挟持して第2カード搬送路P2上に位置することとなる。なお、この動作は、原則として中間転写シートFの転写部10への搬送中に行われるが、本形態では初回に限って、間接転写処理サブルーチンの前に実行される。従って、ステップ320を開始する前に、第2カード反転部6は、カードCを挟持し、予め第2カード搬送路P2上に位置付けられている。
また、ステップ320では、図示しないパルスモータM3を駆動することで、キャプスタンローラ対41、42、43等の第2カード搬送路P2上の各ローラ対を回転させ、第2カード搬送路P2に沿ってカードCを搬送させる。一体型透過センサS7がカードCの先端を検出すると、更に所定パルス数カードCを排出口側に搬送する。これにより、カードCの両端はキャプスタンローラ対43及び排出ローラ対44に挟持される位置まで搬送され、パルスモータM3の駆動を停止させる。なお、一体型透過センサS6がカードCの先端を検出した時点で第2カード反転部6のピンチローラの回転駆動は停止される。
次のステップ322では、パルスモータM2、モータ51を巻き戻し方向に回転させ中間転写シートFの画像領域の後端部が転写開始位置(ヒートローラ16が下降したときにヒートローラ16の中心からの仮想垂直線が第2カード搬送路P2と直交する位置)に対応する位置まで、画像形成部9側の戻し方向に搬送して、パルスモータM2、モータ51の駆動を停止させる。なお、ステップ322の状態では、図1に示すように、ヒートローラ16はプラテンローラ27から退避した退避位置に位置している。また、中間転写シートFの画像形成部9側への搬送時においても、上述した受光センサSc、Sbからの出力を監視することで中間転写シートFの位置出し用マークが検出され、搬送量を再度設定することで搬送精度の向上が図られる。
また、ステップ322では、中間転写シートFの画像形成部9側への搬送に並行させて、両端がキャプスタンローラ対43及び排出ローラ対44に挟持されたカードCを画像形成位置まで搬送する。すなわち、パルスモータM3を逆転駆動させ、両端が挟持されたカードCを第2カード反転部6側に第2カード搬送路P2上を搬送し、カードCの後端を一体型透過センサS7で検出した後所定パルス数カードCを更に第2カード反転部6側に搬送してパルスモータM3の逆転駆動を停止させることで、カードCの(搬送方向)先端を画像形成位置に対応する位置まで搬送する。
次にステップ324において、ヒートローラ昇降カムを回転させて、ヒートローラ16をプラテンローラ27から離間していた状態からプラテンローラ27に当接する状態へ移行させて、ヒートローラ昇降カムの回転動作を停止させる。この時点で、カードCの先端は、裏面がプラテンローラ27に支持され、表面が中間転写シートFを介してヒートローラ16に押し当てられる。
次のステップ326では、カードCの表面に、画像形成部9で中間転写シートFの受容層Feに形成された画像をヒートローラ16で加熱・加圧して熱転写する間接転写を実行する。このステップ326における動作について詳述すれば、カードCは、裏面が反時計回りに回転するプラテンローラ27に支持され、表面が中間転写シートFを介してヒートローラ16に押し当てられ、第2カード反転部6側に搬送される。中間転写シートFの剥離層Fcは発熱ランプの熱によりベースフィルムFaから剥離され、ヒートローラ16の加圧により、カードCの表面に、画像が形成された受容層Feとオーバーコート層Fdとが一体で転写される。この転写に同期して中間転写シートFは中間転写シート供給部24に巻き戻される。このような動作は、パルスモータM2、M3、モータ51の逆転駆動により行われる。この間、ステップ328において、カードCの先端が、一体型透過センサS6の位置に位置したかを監視することで中間転写が終了したか否かを判断しており、間接転写が未了のときはステップ326へ戻り間接転写を続行し、間接転写が完了すると、次のステップ330に進む。この転写部10での転写により、カードCの全面には、正像の画像が形成される。なお、間接転写時のカードC及び中間転写シートFの搬送速度は同一速度に設定されている。
ステップ330では、パルスモータM2、M3、モータ51の駆動停止により中間転写シートFの送り搬送(中間転写シート巻取部24への巻き戻し)及びカードCの第2カード反転部6側への搬送を停止させ、ヒートローラ昇降カムを再度回転させてプラテンローラ27に対してヒートローラ16を退避させる。
次にステップ332では、パルスモータM3を逆転駆動させ、カードCを更に第2カード反転部6側に搬送し、カードCの先端を一体型透過センサS9で検出した後所定パルス数カードCを更に第2カード反転部6側に搬送してパルスモータM3の逆転駆動を停止させることで、カードCがキャプスタンローラ対41、42に挟持される位置まで搬送する。次いで、不図示のカム機構によりローラ45を第2カード搬送路P2より上側でローラ46への当接位置まで移動させ、間接転写により生じたカードCの反りを矯正するデカール処理を実行する。
次にステップ334において、パルスモータM3の駆動により、カードCを、第2カード搬送路P2上を搬送させて印刷装置1の外に排出する搬送・排出処理を実行する。ステップ334での搬送・排出処理では、パルスモータM3を駆動させてカードCを第2カード搬送路P2に沿って排出口方向へ搬送させ、一体型透過センサS8がカードCの先端を検出したか否かを判断し、否定判断のときは、カードCを更に搬送し、肯定判断のときは、カードCを完全に筐体2外に排出するために所定時間搬送を続行する。これにより、カードCは排出口を経て排出スタッカ13上へ排出される。次に、次回の間接転写に備えるために、パルスモータM3の回転駆動を停止させ、パルスモータM1、M2、モータ51を逆転駆動させて、中間転写シートFを所定距離搬送したか否かを上述した一体型透過センサScで検出することで判断し、否定判断のときは中間転写シートFの搬送を続行し、肯定判断のときはパルスモータM1、M2、モータ51の駆動を停止させて、間接転写処理サブルーチンを終了しステップ202へ戻る。
一方、図9のステップ208での判断が否定(直接転写モード)のときは、ステップ216において、カードCに直接転写モードで画像形成を行うための直接転写処理サブルーチンを実行する。
図11に示すように、直接転写処理サブルーチンでは、ステップ400において、モータ51を駆動しプラテンニップローラ28を従動ローラ12に当接する位置(第2の位置)に位置付けた後、ステップ402において、ピンチローラが第1カード搬送路P1を挟む位置に位置する第2カード反転部6にカードCを搬送する。
すなわち、ステップ320で説明した場合と同様に、カード供給部3、クリーナ4、第1カード反転部5のピンチローラを回転駆動させ、カード供給部3からブランクのカードCを1枚、水平カード搬送路P0上に送出し、クリーナ4で両面を清浄し、カードCの先端が一体型透過センサS1で検出されると、キックローラ3aの回転を停止させる。続いて、カードCを第1カード反転部5のピンチローラの回転により第1カード反転部5を介して磁気エンコーダ7に引き渡す。このとき、カードCの先端が一体型透過センサS2で検出されるとクリーナ4のクリーニングローラの回転を停止させると共に、所定時間経過後、ピンチローラの回転を逆転させる。磁気エンコーダ7のカードの所有者等に関する情報の記録が終了すると、磁気エンコーダ7からカードを受け取り、ピンチローラでカードCの両端を挟持する。次いで、それぞれのピンチローラが水平カード搬送路P0及び第2搬送路P2を挟む位置に位置付けられた第1カード反転部5及び第2カード反転部6のピンチローラを停止させた状態で90°回転させ、それぞれのピンチローラが第1カード搬送路P1を挟む位置に位置付けた後、再度ピンチローラを駆動することで、第1カード反転部5から第2カード反転部6にカードCを搬送する。一体型透過センサS3でカードCの後端が検出されると、第1カード反転部5のピンチローラの駆動を停止し、第1カード反転部5を−90°回転して図1に示す水平カード搬送路P0に面する位置に戻す。
次いでステップ404において、第2カード反転部6のピンチローラを回転駆動させ、パルスモータM1及びモータ51の回転駆動を開始させると共に、電磁クラッチをパルスモータM1からの駆動力をプラテンローラ21へ伝達させる状態とする。これにより、第2カード反転部6のピンチローラ、プラテンローラ21、キャプスタンローラ対11、プラテンニップローラ28の回転駆動が開始され、カードCは第1カード搬送路P1に沿って画像形成部9方向への搬送が開始される。また、中間転写シートFは中間転写シート供給部24への搬送(巻き戻し)が開始される。
次のステップ406では、キャプスタンローラ対11とプラテンローラ21との間に配置された一体型透過センサS5がカードCの先端を検出したか否かを判断し、否定判断のときは、ステップ404へ戻り画像形成部9へのカードCの搬送を続行し、肯定判断のときは、次のステップ408において、カードCの先端が印刷開始位置(プラテンローラ21が第1カード搬送路P1に接する位置)に至るまでの所定パルス数カードCを従動ローラ28側に搬送する。なお、第2カード反転部6のピンチローラは、一体型透過センサS4でカードCの後端が検出された時点で回転動作を停止する。この間、サーマルヘッド20aはプラテンローラ21に対して(b)印刷待機位置にあり、熱転写シートRは、その間接転写部のKの先端(又は、直接転写部のKの後端)が受光センサSdで検出されて、巻取ローラ対37で所定距離搬送され、直接転写部のK(ブラック)の開始端が印刷可能な位置となるまで所定距離送られる。また、ステップ408では、熱転写シートRを所定距離送った後、図示しないDCモータを駆動してサーマルヘッド20aが(a)印刷位置に位置付けられるまで偏心カム23を回転させる。これにより、カードCは、裏面が中間転写シートFを介してプラテンローラ21に支持され、表面が熱転写シートRを介してサーマルヘッド20aに押し当てられる。
続いてステップ410において、カードCの裏面への直接転写方式による画像形成を実行する。CPUは、予め格納した正像データを読み出し、印画データを熱エネルギーに変換し、1ライン(又は数ライン)毎に、サーマルヘッド制御部19Hを介して、変換した熱エネルギー値(第1の熱エネルギー値)を、カードCの種類による所定の係数を加味して、正像熱エネルギー値としてサーマルヘッドユニット20に送出させている。サーマルヘッド20aの各印画素子はこの正像熱エネルギー値に従って加熱される。カードCへの画像形成時にサーマルヘッド20aに与えられる熱エネルギーは、カードCの比熱が中間転写シートFのベースフィルムFa自体の比熱より大きいこともあり、中間転写シートFへの間接転写時にサーマルヘッド20に与えられる熱エネルギーよりも大きくなるように制御され、このような熱エネルギーの演算は、上述した熱エネルギーへの係数を変更することにより行われる。
熱転写シートRの直接転写部の染料層Rc(図8(A)参照)は、カードCの裏面に対抗して重ねた状態となり、熱転写シートRの直接転写部の染料層Rcをサーマルヘッド20aで加熱することで、カードCの裏面へのK(ブラック)のインク像形成が開始される。パルスモータM1の駆動によりプラテンローラ21は反時計回りに回転し、同期して熱転写シートRは熱転写シート巻取部15に巻き取られ、カードCの裏面には直接転写方式で注意書き等の画像形成が行われる。すなわち、熱転写シートRの直接転写部には離型層Rbが層成されており、サーマルヘッド20aの加熱により染料層Rcの剥離、すなわち、カードC離面へのインク像形成が促進される。これにより、カードCの裏面には、正像の画像が形成される。なお、直接転写時に、中間転写シートFは熱転写シートR及びカードCと同一速度で搬送される。
次にステップ412において、図示しないDCモータを駆動してサーマルヘッド20aが(b)印刷待機位置に位置付けられるまで偏心カム23を回転させることで、カードCからサーマルヘッド20aを退避させ、ステップ414において、第2カード反転部6のピンチローラを逆転駆動させてからパルスモータM1、モータ51の逆転駆動を開始させてプラテンローラ21、プラテンニップローラ28、キャプスタンローラ対11の逆転によりカードCを第2カード反転部6側に搬送させる。
次のステップ416では、カードCの後端が一体型透過センサS5の位置まで搬送されたか否かを判断する。否定判断のときはステップ414へ戻り第2カード反転部6側へのカードCの搬送を続行し、肯定判断のときは次のステップ418において、所定パルス数カードCを更に第2カード反転部6側へ搬送する。次いで、ステップ420において、パルスモータM1の駆動を停止させると共に図示しない電磁クラッチにプラテンローラ21への連結を停止させ、更に、第2カード反転部6のピンチローラの逆転を停止させて垂直状態の第2カード反転部6のピンチローラにカードCを挟持させ、次のステップ422において、カードCを、第2カード搬送路P2上を搬送して印刷装置1外に排出する搬送・排出処理を実行する。
ステップ422での搬送・排出処理では、第1カード搬送路P1上に位置しているカードCを、第2カード搬送路P2上を排出口側に搬送可能なように、垂直状態の第2カード反転部6を90°回転させる。これにより、カードCは表面を上側にして第2カード搬送路P2上に位置することになる。次いで、図示しないパルスモータM3を駆動させてカードCを第2カード搬送路P2に沿って排出口側に搬送させ、一体型透過センサS8がカードCの先端を検出したか否かを判断し、否定判断のときは、カードCを更に搬送し、肯定判断のときは、カードCを完全に筐体2外に排出するために所定時間搬送を続行し、図示しないパルスモータM3の回転駆動を停止させて、直接転写処理サブルーチンを終了しステップ202へ戻る。これにより、カードCは排出口を経て排出スタッカ13へ排出される。なお、一体型透過センサS6がカードCの先端を検出した時点で第2カード反転部6のピンチローラの回転駆動は停止される。また、直接転写では、転写部10のヒートローラ16はプラテンローラ27から離間した状態に保持されている。
(作用等)
次に、本実施形態の印刷装置1及び印刷装置1に使用される熱転写シートの作用等について説明する。
次に、本実施形態の印刷装置1及び印刷装置1に使用される熱転写シートの作用等について説明する。
本発明者は、調査研究の結果、従来の直接転写用リボンで中間転写シートFに印刷すると、画像はある程度形成できるものの、十分に転写が行われないために、色合い、階調性等に問題が生じて画質不良となってしまうことを確認した。また、従来の間接転写用インクリボンでカードに印刷すると、印刷後のインクリボンとカードCとが融着し合って離れず(適正な剥離が行われず)にインクリボンにシワが生じたり、場合によってはインクリボンが破断する現象を把握した。これは、両者(間接転写用インクリボン及びカード)に剥離剤が含有されていないことに起因するものと思われる。
本実施形態の印刷装置1に使用される熱転写シートRは、図8(A)(E)を比較すると明らかなように、基材フィルムRaと染料層Rcとの間に、直接転写部には離型層Rbが層成されており、間接転写部には離型層Rbが存在していない。直接転写部に離型層Rbを層成することにより、直接転写でインク像(画像)形成後の基材フィルムRaとカードCとの適正な剥離を図ることができる。従って、熱転写シートRにシワが生じたり、熱転写シートRが破断することを防止することができる。
また、熱転写シートRは、同一の基材フィルムRa上に、カードCの比熱を考慮した熱エネルギー値でカードCにインク像を形成するための直接転写部の染料層Rc(第1のインク層)と、中間転写フィルムFの比熱を考慮した熱エネルギー値で中間転写フィルムFにインク像を形成するための間接転写部の染料層Rc(第2のインク層)とが面順次に層成、配置されている。このため、上記のように、染料層Rcをサーマルヘッド20aにより適正な熱エネルギー値で加熱することで、カードCに直接、中間転写シートFに画像を形成することができる。従って、熱転写シートRを用いることで、転写方式に応じて熱転写シートRの交換の手間を省くことができ、転写方式に対応して熱転写シートRをそれぞれ準備しなくてもよいので、消耗品となる熱転写シートRのランニングコストを低減させることができる。また、直接転写と間接転写とでカードC、中間転写シートFの比熱に応じて熱エネルギー値で加熱することで、カードC乃至中間転写シートFに高画質な画像を形成することができる。
更に、本実施形態の印刷装置1は、カードC又は中間転写シートFに画像を形成する画像形成部9(印刷手段)及び中間転写シートFに形成された画像をカードCに転写する転写部10(転写手段)、タッチパネル8(モード選択手段)等を有しているので、画像形成ルーチンで示したように、単一の熱転写シートRにより直接転写方式及び間接転写方式双方の印刷が可能である。しかも、本実施形態では、カードCへの画像形成と中間転写シートFへの画像形成とを単一のサーマルヘッドユニット20で行っており、同一構成部材を用いて転写方式を切り換えるタイプの印刷装置のため、印刷装置1の小型化と低コスト化を図ることができる。また、本実施形態の印刷装置1は、上述した熱転写シートRを使用するので、熱転写シートRに生じるシワや熱転写シートRの破断といった不具合を防止することができると共に、カードC、中間転写シートFの比熱に応じて熱エネルギー値で加熱するので、画質不良を招くことなく、カードC乃至中間転写シートFに高画質な画像を形成することができる。
なお、本実施形態では、図8(A)、(E)を参照して、直接転写部及び間接転写部に昇華性インクを用いた熱転写シートRの一例を例示したが、本発明はこれに限らず、以下に例示するように種々の変形が可能である。
図8(B)に示すように、図8(A)に示す染料層Rc及び離型層Rbに代えて、染料層Rc及び離型層Rbに用いられる上記の染料、バインダ及びワックス類等の剥離性材料を混合させた昇華性インク層Rd(第1のインク層)を層成するようにしてもよい。
また、図8(C)に示すように、熱転写シートRの直接転写部に熱溶融性インクを用いる場合には、基材フィルムRaの片面に離型層Rbを介して熱溶融性インク層Reを層成するようにしてもよい。熱溶融性インク層Reは着色剤とビヒクルとからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものでもよい。着色剤としては、有機又は無機の顔料が好ましく、濃度は5〜20重量%の範囲が好ましい。ビヒクルとしては、例えば、ワックス又は樹脂を主成分とし、その他乾性油、鉱油、セルロース及び、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等のゴムの誘導体との混合物を挙げることができる。ワックスの代表例としては、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛脂、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、キャデリンワックス、ライスワックス、モンタンワックス等、種々のワックスが用いられる。また、樹脂の代表例としては、アクリル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ノボラック樹脂、オレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、石油樹脂等が挙げられる。熱溶融性インク層Reの厚みは、必要な濃度と熱感度との調和がとれる様に決定すべきであるが、約1〜10μmの範囲が好ましい。
更に、昇華性インク層Rc又は熱溶融性インク層Reに代えて、文字、画像等が形成されたカード等の被転写体の表面を保護して、耐擦過性、光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させるための保護層を形成するようにしてもよい。この保護層は、例えば、合成樹脂、合成樹脂とワックスとの混合物等により形成することができる。保護層に使用する合成樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂等を挙げることができる。また、保護層に使用するワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。ワックスの使用量は、合成樹脂100重量部当り0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
保護層には、実質的に透明な無機又は有機の微粒子を含有させることができる。このような微粒子を含有させることによって、保護層の転写時の膜切れが向上し、更に、保護層の耐擦過性等を向上させることができるとともに、保護層の表面光沢を抑えてマット調の表面を得ることができる。微粒子としては、シリカ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)パウダー、ナイロンパウダー等の比較的透明性の高いものが挙げられる。微粒子の使用量は合成樹脂に対して0.1〜10重量%が好ましく、使用量が10重量%を超えると、保護層の透明性および耐久性が低下してしまう。また、保護層に紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させることによって、転写された後の保護層で覆われる画像等の光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させることができる。
基材フィルムRa上に保護層を形成する方法としては、合成樹脂に必要に応じて帯電防止剤、ワックス等の添加剤を添加したインクを調製し、このインクを基材フィルムRa上(又は、既に層成されている離型層Rb上)にグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用いて塗布、乾燥する方法が挙げられる。形成する保護層5の厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とする。
そして、上記した昇華性インク層Rb及び熱溶融性インク層Re乃至は保護層は、サーマルヘッドによる熱転写後の文字、画像等が形成されたカード等の被転写媒体(記録媒体)と、上記基材フィルムRaとの剥離を促進する離型剤(剥離剤ともいう。)を含有して、図8に示す昇華性インク層Rd及び熱溶融性インク層Rg乃至図示を省略する保護層とすることが望ましい。この離型剤は、上述した中間転写シートFの受容層Feに含有される離型剤と同一のものを用いることができ、また、その添加量も同等とすることができるのでここでの説明を省略する。
上記した離型剤による作用は、バインダ樹脂と離型性材料とが含有された離型層Rbとして構成することでも得ることができる。この場合、図示するように基材フィルムRaとインク層(昇華性インク層Rc、熱溶融性インク層Re、又は図示しない保護層)との間に積層される。なお、その材質、形成方法乃至層厚等は上記した中間転写シートFの剥離層Fcに準ずるもとのとして、同様にここでの説明を省略する。
更に、熱転写シートRの一部が、熱溶融性インクを有する熱転写シートで形成されている場合に、熱溶融性インク層Re又はRgを有する領域は、文字、画像といったインク像が形成されたカード等の被転写体(記録媒体)と転写された熱溶融性インク層Re、Rg(インク像)との接着を促進する直接転写時、乃至、中間転写シートF上に一旦形成された文字、画像といったインク像がカード等の被転写体(記録媒体)に(再)転写された際に、中間転写シートFから転写されたインク像の上記カード等の被転写体(記録媒体)への接着を促進する間接転写時に、接着剤を含有する接着剤層Rfが形成されることが望ましい。この接着剤層Rfは、熱転写シートRの直接転写部では熱溶融性インクRe又はRg上に積層され、また、熱転写シートRの間接転写部では上記した離型層Rbと熱溶融性インク層Reとの間に設けられている(層成されている)。
この接着剤層Rfを形成する接着剤としては、アクリル、スチレンアクリル、塩化ビニル、スチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱溶融性接着剤を使用することができる。接着剤層Rfの形成はグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段により行うことができ、接着剤層Rfの厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。また、この接着剤層Rfには、帯電防止剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜含有させてもよい。
上記中間転写シートFの受容層Feとカード等の被転写体との接着力を向上させるために、上記した接着剤層Rfを中間転写シートFの受容層Fe上に形成することも可能である。なお、図8(F)は、間接転写部に、離型層Rb、接着剤層Rf、熱溶融性(レジン系)インク層Rgを有する熱転写シートを示しているが、この熱転写シートでは、サーマルヘッド20aで基材フィルムRaの裏面側(下側)から加熱されると、離型層Rbの作用により、熱溶融性インク層Rgと接着剤層Rfとが一体に基材フィルムRaから剥離し、中間転写フィルムの受容層Fe上に、熱溶融性インク層Rg及び接着剤層Rfが層成される。図6に則して換言すれば、下から順に、背面コート層Fb、ベースフィルム層Fa、剥離層Fc、受容層Fe、熱溶融性インク層Rg、接着剤層Rfの層配置となる。転写部10では、ヒートローラ16による中間転写シートFの剥離層Fcの作用により、カードCに、接着剤層Rb、熱溶融性インク層Rg、受容層Feの順に積層されて転写される。従って、この熱転写シートの離型層Rbは、インク層のみを基材フィルムRaから剥離する本実施形態の熱転写シートRとは異なる機能を有しており、接着剤層Rfは熱溶融性インク層ReをカードCに接着させるという本実施形態の熱転写シートRが有していない機能を有している。
また、本実施形態では、図7(A)に示したように、Y,M,C,Kのインク層を有する中間転写部とKのインク層を有する直接転写部とを面順次に繰り返した熱転写シートRを例示したが、本発明はこれに制限されず、種々の変更態様を採ることができる。例えば、図7(B)に示すように、Y,M,C,Kのインク層を有する間接転写部とKのインク層及び保護層(O)を有する直接転写部とを面順次に層成、配置するようにしてもよい。なお、間接転写部のインク層として、K(ブラック)を除いたY,M,Cで構成するようにしてもよい。このような熱転写シートでは、カードCの裏面に印刷した文字情報領域若しくはその領域より広く保護層Oを転写して、印刷した文字情報部分を保護することができる。
更に、図7(C)に示すように、熱転写シートを、例えば、カードCの一面側にカラー画像情報乃至文字情報を全面印刷し、他面側に全面印刷の必要がないカラー画像情報乃至文字情報を印刷する場合に適したインク層のパターンとするようにしてもよい。具体的には、Y,M,C,Kのインク層を有する間接転写部に続いて、Y,M,Cのインク層及び保護層Oを有する直接転写部が面順次に層成、配置するようにしてもよい。上述したように、保護層Oを設けることで、本形態においては、カードCの他面側に印刷したカラー画像情報乃至文字情報の表面(ひょうめん)を保護することができる。なお、間接転写方式による印刷処理においては、中間転写シートFのオーバーコート層Fdが上記の保護層と実質的に同じ作用を有するため、基本的には、Y,M,C,Kのインク層を有する間接転写部に続いて保護層Oを設け、Y,M,C,Kのインク層を有する間接転写部で形成したカラー画像情報乃至文字情報に係る領域を保護層Oによって保護させる必要はない。
また、図7(D)に示すように、図7(A)に示したインク層Kの直接転写部に代えて、インク層G(ゴールド)といった特殊インク層で直接転写部のインク層を構成するようにしてもよい。本発明は、特殊インク層を任意に設けて、種々様々なデザインによる印刷が可能である。以上の説明では、カードの表面/裏面、又は一面/他面側を例示したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、上記背景技術の欄で説明したように、記録媒体がPVCであるか、或いはPETであるかといった材質の他、エンボス、IC素子などの有無等を含めた記録媒体の表面形状乃至特性、記録媒体への全面印刷を必要とするか等の印刷に関する情報や各種目的に応じて、直接転写方式と間接転写方式とでその印刷方式を切り換えて記録媒体に画像乃至文字情報等を印刷可能なように、間接転写用インク層と直接転用インク層(保護層含む)とを使い分けできるように、任意にそれらのパターンを設定するようにしてもよい。例えば、文字、画像等のインク像が形成される転写体としてカードであれば、クレジットカード、キャッシュカード、ライセンスカード、IDカードといった所期の用途に準じて、或いはカードデザインに応じて、更にはユーザの希望するパターンに対応して種々設定可能である。
そして、本実施形態の印刷装置1では、カードCの片面に直接転写方式又は間接転写方式で画像を形成する例を示したが、カードCの裏面に直接転写方式で画像を形成し、カードCの表面に間接転写方式で画像を形成するようにしてもよい。このような両面印刷を行うには、第2カード反転部6の機能に着目して、図10のステップ334を除く間接転写処理サブルーチンを実行した後、カードCを第2カード反転部6に搬送して90°回転させて間接転写がなされた面とは反対の面に直接転写方式による画像形成を行うために、図11のステップ400、及び、ステッ404以降の直接転写処理サブルーチンを実行するようにしても、図11のステップ422を除く直接転写処理サブルーチンを実行した後、カードCを第2カード反転部6に挟持させたまま、図10の間接転写処理サブルーチンを実行し、間接転写処理サブルーチンのステップ320で第2カード反転部6に挟持させたままのカードCを90°回転させて転写部10へ搬送するようにしてもよい。このような態様では、直接転写及び間接転写(又は、間接転写及び直接転写)が連続して行われるので、熱転写シートRをムダに未使用のまま巻き取ることなく、順に使用していくことが可能なため、熱転写シートRの使用効率を高めることができる。
また、本実施形態では、タッチパネル8又は外部コンピュータからモード入力や印刷スタートの開始を行う例を中心に説明したが、画像データは、例えば、FD、MO、ZIP等の情報記録媒体を介して制御部19のマイコン19AのRAMやVRAM、SDRAM等に格納してもよいことは云うまでもない。そして、発明者は、本実施形態やその変化態様は本発明の態様の一部であることを認識しており、本発明は特許請求の範囲に記載した範囲において種々の変更が可能であり、そのような種々の変化態様や、具体的事情を踏まえ、本発明の非本質的部分に若干の相違があり、いわゆる置換可能性及び置換容易性を有する変化態様も本発明の技術的範囲に属することを認識している。
本発明に係る印刷装置は、直接転写方式と間接転写方式とを切り換えて印刷が可能で装置の小型化を図ることができるため、印刷装置の製造・販売に寄与し、また、該印刷装置等に使用可能な熱転写フィルムは印刷装置による印刷(インク像の形成)の実施に役立つため、いずれも産業上の利用可能性を有する。
1 印刷装置
8 タッチパネル(モード設定手段の一部)
9 画像形成手段(印刷手段)
10 転写部(転写手段)
19 制御部(制御手段、モード設定手段の一部)
C カード(記録媒体、カード状記録媒体)
F 中間転写シート(転写媒体、フィルム状転写媒体)
R 熱転写シート
Ra 基材フィルム(基材)
Rb 離型層
Rc 染料層(第1のインク層、第2のインク層)
Rd 昇華性インク層(第1のインク層)
Re 熱溶融性インク層(第1のインク層、第2のインク層)
Rf 接着剤層(接着層)
Rg 熱溶融性インク層(第1のインク層)
8 タッチパネル(モード設定手段の一部)
9 画像形成手段(印刷手段)
10 転写部(転写手段)
19 制御部(制御手段、モード設定手段の一部)
C カード(記録媒体、カード状記録媒体)
F 中間転写シート(転写媒体、フィルム状転写媒体)
R 熱転写シート
Ra 基材フィルム(基材)
Rb 離型層
Rc 染料層(第1のインク層、第2のインク層)
Rd 昇華性インク層(第1のインク層)
Re 熱溶融性インク層(第1のインク層、第2のインク層)
Rf 接着剤層(接着層)
Rg 熱溶融性インク層(第1のインク層)
Claims (10)
- 可撓性基材と、
前記基材上に層成され、第1の熱エネルギー値に対応して記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、
前記基材上に層成され、第2の熱エネルギー値に対応して中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層と、
を有し、
前記第1のインク層と前記第2のインク層とが面順次に配置されたことを特徴とする熱転写シート。 - 前記第1のインク層が、前記基材とインク像が形成された前記記録媒体との剥離を促進する離型剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記第1のインク層と前記基材との間に、前記基材とインク像が形成された前記記録媒体との剥離を促進する離型剤を含有する離型層を更に有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記第2のインク層が少なくとも熱溶融性インクを含有するとともに、前記基材とインク像が形成された前記中間転写媒体との剥離を促進する離型剤を含有する離型層と、前記記録媒体上に形成されたインク像の記録媒体への接着を促進する接着剤を含有する接着層とを更に有し、前記離型層と前記接着層とを前記基材と前記第2のインク層との間に層成したことを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記第1のインク層が、少なくとも黒色インクを含有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱転写シート。
- 前記第1のインク層は、少なくとも黒色インクと、インク像が形成された前記録媒体の表面を保護する保護層とが面順次に配置されてなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱転写シート。
- インク像が形成された前記記録媒体と前記第1のインク層との接着を促進する接着剤を含有する接着層を更に有し、前記第1のインク層が少なくとも熱溶融性インクを含有して前記離型層と前記接着層との間に層成したことを特徴とする請求項3に記載の熱転写シート。
- 前記第1のインク層と前記第2のインク層とが複数色の熱溶融性及び/または熱昇華性インクを含有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の熱転写シート。
- 熱転写シートに含まれるインクを熱転写してインク像を形成する印刷装置において、
カード状記録媒体及び一時的にインク像を保持するフィルム状中間転写媒体に選択的にインク像を形成する印刷手段と、
前記フィルム状中間転写媒体のインク像を前記カード状記録媒体に転写する転写手段と、
前記印刷手段により前記カード状記録媒体にインク像を形成する第1のモードと、前記印刷手段により前記フィルム状中間転写媒体にインク像を形成し、このインク像を前記転写手段により前記カード状記録媒体に転写する第2のモードとを選択するためのモード選択手段と、
を備え、
前記熱転写シートは、前記カード状記録媒体にインク像を形成するための第1のインク層と、前記フィルム状中間転写媒体にインク像を形成するための第2のインク層とが面順次に配置されるとともに、前記モード選択手段で前記第1のモードが選択されたときに、前記カード状記録媒体と前記第1のインク層とを対向させて重ねた状態で前記印刷手段により前記カード状記録媒体にインク像が形成され、前記モード選択手段で前記第2のモードが選択されたときに、前記フィルム状中間転写媒体と前記第2のインク層とを対向させて重ねた状態で前記印刷手段により前記フィルム状転写媒体にインク像が形成されることを特徴とする印刷装置。 - 前記熱転写シートは、インク像が形成された前記カード状記録媒体との剥離を促進する離型剤を前記第1のインク層に含有するか、或いは前記離型剤を含有する離型層を前記第1のインク層に積層して形成されるとともに、前記フィルム状中間転写媒体は、インク像が形成されるためのインクを受容する受容層を有し、この受容層が、インク像が形成された後の前記熱転写シートとの剥離を促進する剥離剤を含有することを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003360877A JP2005125520A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 熱転写シート及び印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003360877A JP2005125520A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 熱転写シート及び印刷装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005125520A true JP2005125520A (ja) | 2005-05-19 |
Family
ID=34641058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003360877A Pending JP2005125520A (ja) | 2003-10-21 | 2003-10-21 | 熱転写シート及び印刷装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005125520A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014233912A (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-15 | ニスカ株式会社 | 印刷装置及び印刷方法 |
JP2015013468A (ja) * | 2013-06-03 | 2015-01-22 | ニスカ株式会社 | 印刷装置及び印刷方法 |
KR20170001198A (ko) * | 2015-06-26 | 2017-01-04 | 주식회사 디지털프린팅솔루션 | 메탈릭 화상을 형성하는 인쇄방법, 이에 사용되는 기록재료 및 제조된 인쇄물 |
-
2003
- 2003-10-21 JP JP2003360877A patent/JP2005125520A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015013468A (ja) * | 2013-06-03 | 2015-01-22 | ニスカ株式会社 | 印刷装置及び印刷方法 |
KR20170001198A (ko) * | 2015-06-26 | 2017-01-04 | 주식회사 디지털프린팅솔루션 | 메탈릭 화상을 형성하는 인쇄방법, 이에 사용되는 기록재료 및 제조된 인쇄물 |
KR101713948B1 (ko) * | 2015-06-26 | 2017-03-09 | 주식회사 디지털프린팅솔루션 | 메탈릭 화상을 형성하는 인쇄방법, 이에 사용되는 기록재료 및 제조된 인쇄물 |
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