JP3651670B2 - 画像転写装置及び画像転写方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像転写装置及び画像転写方法に係り、特に、カード等の記録媒体に画像・文字などの各種情報を転写するための画像転写装置及び該転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレジットカード、キャッシュカード、ライセンスカード、IDカード等のカード状記録媒体を作製する場合には、記録媒体に熱転写フィルムを介してサーマルヘッドで熱転写して所期の画像・文字等を記録する熱転写方式の印刷装置が用いられている。一例として特開平9−131930号公報には、画像・文字等を、熱転写フィルムを介して記録媒体に直接転写する直接転写方式の印刷装置が開示されている。この方式では、熱昇華性インクを用いることで、インク特性による階調表現性に優れることから高画質の画像が得られるという利点を有するものの、画像等が転写される記録媒体の表面にこのインクを受容する受容層が必須となるので、記録媒体が限定されたり、又は、記録媒体の表面に受容層を形成する必要がある。
【0003】
一般に、熱昇華性インクを受容可能な記録媒体としてポリ塩化ビニル製カード(所謂PVCカード)が多用されているが、不要となったPVCカードを焼却すると公害物質が生成される等の理由により、最近ではポリエチレンテレフタレート製カード(所謂PETカード)等への切り換えが検討されている。
【0004】
更に、近年その利用範囲が拡大しつつあるICカードのように、ICチップやアンテナを埋め込むタイプのカード状記録媒体では、内部に埋め込まれたこれらの素子により表面に凹凸が生じるので、上記凹凸面への画像転写に支障をきたすなどの欠点も指摘されている。
【0005】
上述した不具合を解消する熱転写方式の印刷装置として、特開2000−141727号公報には、一旦画像を中間転写媒体に転写した後に、この画像を被転写体に再転写する、所謂間接転写方式の印刷装置の技術が開示されている。この方式によると、直接転写方式で欠点とされた、受容層に関連した記録媒体の限定や記録媒体表面の凹凸面への画像転写時の不具合等の問題点を改善することができ、更には、カード状記録媒体への全面印刷が直接転写方式のものと比べて容易に行うことができる等の利点がある。また、特開平10−71789号公報には、上記特開平9−131930号公報に開示されているような印刷装置で作製された情報カードとしてのカード状記録媒体の表面に、改ざん防止の目的で特定パターン乃至特定画像入りホログラムフィルムなどを加熱定着、つまり転写して被覆する、ホログラムフィルムなどのコートフィルムのオーバーコート定着装置が開示されている。
【0006】
間接転写方式に用いられる中間転写媒体、オーバーコート定着装置に用いられるコートフィルム等のフィルム状転写媒体は、フィルム状転写媒体が連続的に捲回された供給部側から供給され所定搬送路上を搬送されて巻取部側へ巻き取られる。搬送路上にはヒートローラ等の転写手段が配置されており、フィルム状転写媒体に形成された画像等は転写手段により記録媒体に転写される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルム状転写媒体を巻取部側へ搬送しながら転写処理を行うと、記録媒体への転写処理終了時にヒートローラからの熱がフィルム状転写媒体の未使用部分である中間転写媒体体の画像未形成領域やコートフィルムの未転写領域に伝わり熱伸縮によるシワ、変質等の劣化が生ずるので、後続の転写処理時においてはカード状記録媒体への高画質・高品質な画像転写処理が行えない、という不具合が発生する。この不具合を避けるために、劣化が生じたフィルム状転写媒体の所定領域を不使用とする処理を採用すると、消耗品に係わるランニングコストが上昇するので、記録媒体の作製コスト高を招く、という問題が生ずる。
【0008】
本発明は上記事案に鑑み、フィルム状転写媒体の転写処理において、連続して高画質・高品質な画像を得ることができる共に、ランニングコストを低減することができる画像転写装置及び画像転写方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、画像が形成されたフィルム状転写媒体を供給する転写媒体供給部と、前記転写媒体を巻き取る転写媒体巻取部と、前記転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写媒体を、前記転写媒体供給部側から前記転写媒体巻取部側及び前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側の両方向に搬送可能な転写媒体搬送手段と、を備えた画像転写装置において、前記転写手段は、前記転写媒体搬送手段による前記転写媒体の前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側への搬送中に、前記転写媒体に形成された画像を前記記録媒体に転写することを特徴とする。
【0010】
本態様の画像転写装置は、画像が形成されたフィルム状転写媒体を供給する転写媒体供給部と、転写媒体を巻き取る転写媒体巻取部と、転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写媒体を、転写媒体供給部側から転写媒体巻取部側及び転写媒体巻取部側から転写媒体供給部側の両方向に搬送可能な転写媒体搬送手段と、を備えている。本態様では、転写手段は、転写媒体搬送手段による転写媒体の転写媒体巻取部側から転写媒体供給部側への搬送中に、転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写する。この画像転写動作を転写媒体搬送手段による転写媒体の転写供給部側から転写媒体巻取部側への搬送中に実行する従来技術では、転写媒体と記録媒体との分離を目的として分離箇所まで転写媒体の未使用部分の搬送が必要となり、この搬送の間、転写媒体の未使用部分は転写手段と接触して劣化を生ずる。本態様によれば、転写媒体の搬送方向を従来技術とは逆方向とし、転写媒体搬送手段による転写媒体の転写媒体巻取部側から転写媒体供給部側への搬送中に、転写手段が転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写することで、分離のために搬送されるのは転写媒体の使用済み部分となり、当該使用済み部分のみが転写手段と接触し未使用部分は転写手段に接触しないので、未使用部分が劣化することがなく、連続して高画質・高品質の転写画像を得ることができると共に、劣化した未使用部分を不使用とする処理も生じないので、ランニングコストを低減させることができる。
【0011】
本態様において、転写媒体に形成された記録媒体に対応する画像領域の一方端は転写手段より転写媒体巻取部側に位置付けられると共に、画像領域の他方端から転写手段による記録媒体への画像転写が開始される。このとき、転写手段を画像転写位置と退避位置との間で移動させる移動手段を更に備え、該移動手段を記録媒体への画像転写終了後の所定時間に亘り転写手段を画像転写位置に保持させた後に転写手段を退避位置に移動させるようにすれば、転写手段の退避位置においては転写媒体の転写手段への接触による未使用部分の劣化を避けることができ、画像転写位置においては記録媒体への画像転写終了後の所定時間に亘り転写手段を画像転写位置に保持させることで、転写媒体の記録媒体への画像転写を確保することができると共に、転写媒体の分離箇所までの安定した搬送が可能となる。このような転写手段には、発熱体を有するヒートローラを用いることができる。また、転写媒体には、例えば、任意の画像形成が可能な中間転写媒体や特定パターン乃至特定画像が形成されたホログラム媒体を用いることができる。転写媒体に中間転写媒体を用いるときには、転写媒体供給部に転写媒体に画像を形成する画像形成手段を設けるようにすればよい。
【0015】
更に、本発明の第2の態様は、画像が形成されたフィルム状転写媒体を供給する転写媒体供給部と前記転写媒体を巻き取る転写媒体巻取部との間の画像転写位置で前記画像が形成された転写媒体を記録媒体に転写する画像転写方法であって、前記画像が形成された転写媒体を前記画像転写位置を越えて前記転写媒体巻取部側へ搬送するとともに、前記記録媒体を記録媒体供給部から前記画像転写位置を越えて記録媒体排出口側へ搬送する搬送工程と、前記画像転写位置を越えて前記転写巻取部側へ搬送された転写媒体を前記搬送工程で搬送された搬送方向とは反対の前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側へ搬送するとともに、前記画像転写位置を越えて前記記録媒体排出口側へ搬送された記録媒体を前記搬送工程で搬送された搬送方向とは反対の前記記録媒体排出口側から前記記録媒体供給部側へ搬送しつつ前記画像転写位置において前記転写媒体に形成された画像を前記記録媒体に転写する転写工程と、を含む。本態様では、転写工程で画像転写位置を越えて転写巻取部側ないし記録媒体排出口側へ搬送された転写媒体及び記録媒体を、転写工程において、搬送工程で搬送された搬送方向とは反対の転写媒体巻取部側から転写媒体供給部側ないし記録媒体排出口側から記録媒体供給部側に搬送しつつ画像転写位置において転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写することで、第1の態様と同様に、分離のために搬送されるのは転写媒体の使用済み部分となるので、連続して高画質・高品質の転写画像を得ることができると共に、劣化した未使用部分を不使用とする処理も生じないので、ランニングコストを低減することができる。本態様において、更に、搬送工程の前に、転写媒体に画像を形成する画像形成工程を更に含むようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を適用した画像転写装置の実施の形態について説明する。
【0017】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の画像転写装置1は、ハウジングとなる筐体2内に、記録媒体としてのカードCに間接転写方式により画像を形成する(転写する)ためのカード搬送路となるカード搬送路Pを有している。カード搬送路P上には、カードCを1枚ずつ分離してカード搬送路Pに送り出すカード供給部3、カード供給部3の下流側でカードCの両面を清浄するクリーナ4、クリーナ4の下流側でカードCを水平方向に搬送する水平搬送部5がそれぞれ配設されている。
【0018】
カード供給部3は、複数のカードCを積層状に収容するカードスタッカを有している。カードスタッカのカード搬送路Pに臨む位置には、1枚のみのカードCの通過を許容する開口スロットを有したスタッカ側板32が配置されており、カードスタッカの底部には、回転することでカードスタッカに積層収容された複数のカードCのうち最底部に位置するカードCをカード搬送路Pに送り出すキックローラ31が圧接配置されている。クリーナ4は、カード搬送路Pを挟んで対をなして対峙し表面に粘着性物質を塗着したゴム材料等のクリーニングローラ34とこのクリーニングローラ34に圧接する圧接ローラ35を有している。水平搬送部5は、カードCを挟持可能に対をなす水平搬送ローラ対38、39、11を有している。これらの水平搬送ローラ対38、39、11は、一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。
【0019】
また、画像転写装置1は、カード供給部3、クリーナ4及び水平搬送部5の上方に配置され、サーマルヘッド制御部19Hから送出された鏡像データに従って熱転写インクを加熱することで中間転写シートFに画像を形成する画像形成手段としての画像形成部9を備えている。画像形成部9は、熱転写プリンタの構成が採用されており、中間転写シートFへの画像形成時に中間転写シートFを支持するプラテンローラ21及びプラテンローラ21に対して進退可能に配設されたサーマルヘッド20を有している。プラテンローラ21とサーマルヘッド20との間には熱転写シートRが介在している。
【0020】
図7(A)、(B)に示すように、プラテンローラ21に対するサーマルヘッド20の進退運動は、サーマルヘッド20を着脱可能に保持する図示しないホルダと、このホルダに固定された従動ローラ22と、従動ローラ22に周接しながらカム軸24を中心にいずれかの方向(矢印A方向又はその反対方向)に回転する非円形のサーマルヘッド進退カム23と、ホルダをサーマルヘッド進退カム23に圧接させる図示しないバネとを有するサーマルヘッド進退駆動ユニットにより実行される。
【0021】
図4(A)に示すように、熱転写シートRは、例えばフィルム上にカードCの長手方向の長さより若干大きい幅で、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、及びBk(ブラック)のインクが順に塗着されており、Bk(ブラック)の次には画像が形成されたカードCの表面を保護する保護層領域Tを面順次に繰り返した帯状の形状を有している。
【0022】
図7(A)、(B)に示すように、熱転写シートRは、熱転写シートRをロール状に捲回した熱転写シート供給部14から供給され、複数のガイドコロ53及び上述した図示しないホルダに固着されたガイド板25により案内されサーマルヘッド20の先端部に略全面を当接させながら、巻取ローラ対57の回転駆動と共に駆動し熱転写シートRをロール状に巻き取る熱転写シート巻取部15に巻き取られる。熱転写シート供給部14及び熱転写シート巻取部15は、サーマルヘッド20の両側の位置に配設されており、中心部はそれぞれスプール軸に装填されている。また、画像形成部9には、熱転写シートRの位置出し用マーク又は熱転写シートRのBkの位置を検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光センサS1という。)が、熱転写シート供給部14及びサーマルヘッド20間に配設された2つのガイドコロ53の間に、熱転写シートRに対して離間状態で直交するように配置されている。また、巻取ローラ対57の駆動側ローラ軸には同軸上に図示しないギヤが嵌着されており、このギヤは同軸上に図示しないクロック板を有するギヤに噛合している。なお、このクロック板の近傍には、熱転写シートRの巻き取り量を管理するためにクロック板の回転を検出する図示しない一体型透過センサが配置されている。
【0023】
中間転写シートFに対する熱転写シートRを介してのサーマルヘッド20の印刷位置(加熱位置)Srは、プラテンローラ21の周部であってプラテンローラ21の軸芯からサーマルヘッド20に向けて水平方向に延長した仮想水平線との交点に対応している。
【0024】
また、図1及び図7(A)、(B)に示すように、プラテンローラ21には中間転写シートFがサーマルヘッド20側の周面に掛け渡されている。図4(B)に示すように、中間転写シートFは、ベースフィルムFa、ベースフィルムFaの背面側に形成された背面コート層Fb、インクを受容する受容層Fe及び受容層Feの表面を保護するオーバーコート層Fd、ベースフィルムFaの表面側に形成され加熱によりオーバーコート層Fd及び受容層Feを一体としてベースフィルムFaからの剥離を促進する剥離層Fcが、下側から背面コート層Fb、ベースフィルムFa、剥離層Fc、オーバーコート層Fd及び受容層Feの順で積層されて形成されている。中間転写シートFは、受容層Fe側が熱転写シートRと対向し、背面コート層Fb側がプラテンローラ21に当接するように掛け渡されている。印刷位置Srにおいて、中間転写シートに画像が形成される際(図7(B)参照)の中間転写シートFの搬送速度は、熱転写シートRの搬送速度と同一に設定されている。なお、画像形成部9には、中間転写シートFの位置出し用マークを検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光センサS2という。)が、プラテンローラ21とガイドコロ91との間に中間転写シートFに対して離間状態で直交するように配置されている。
【0025】
また、図1に示すように、画像転写装置1は、カード搬送路P上で水平搬送部5の下流側で画像形成部9で中間転写シートFに形成された画像をカードCに転写する転写手段としての転写部10、及び、転写部10の下流側でカードCを水平方向に搬送すると共に、カードCを筐体2の外部に排出する排出ローラ対を有する水平搬送排出部12を備えている。
【0026】
転写部10は、カードCへの中間転写シートFの転写時にカードCを支持するプラテンローラ50及びプラテンローラ50に対して進退可能に配設されたヒートローラ45を有している。ヒートローラ45には、中間転写シートFを加熱するための発熱体としての発熱ランプ46が内蔵されている。プラテンローラ50とヒートローラ45との間には中間転写シートFが介在している。
【0027】
図8(A)、(B)に示すように、プラテンローラ50に対するヒートローラ45の進退運動は、ヒートローラ45を着脱可能に保持するホルダ49と、ホルダ49に固定された従動ローラ43と、従動ローラ43に周接しながらカム軸52を中心に一方向(矢印B方向)に回転する非円形のヒートローラ昇降カム51と、ホルダ49に内蔵されホルダ49の上面をヒートローラ昇降カム51に圧接させる図示しないバネとを有する移動手段としてのヒートローラ昇降駆動ユニットにより実行される。
【0028】
図1及び図8(A)に示すように、中間転写シートFは、中間転写シートFをロール状に捲回した中間転写シート供給部16から供給され、従動ローラ59を伴う搬送ローラ58、ガイドコロ60、プラテンローラ21、ガイドコロ91、ピンチローラ89と共に中間転写シートFに逆張力を加えるバックテンションローラ88、ガイドコロ92、ガイドコロ44、ガイドコロ44とヒートローラ45との間に配置されており転写部10を構成するフレームに固着され後述するようにカードCと中間転写シートFとを分離するように案内するガイド板47、ヒートローラ45とシート巻取部17との間に配置されており転写部10を構成するフレームに固着されガイド板47と共働して転写部10の非転写時に中間転写シートFのヒートローラ45への接触を防止する補助ガイド板54により、中間転写シートFをロール状に巻き取るシート巻取部17まで案内される。また、図8(B)に示すように、転写部10の転写時には、中間転写シートFは、カードCを介してカード搬送路P上でプラテンローラ50とヒートローラ45とに挟まれて、画像形成部9が配置された矢印E方向に巻き戻される。
【0029】
図1に示すように、転写部10には、水平搬送排出部12の転写部10側に配置されたキャプスタンローラ156を有する水平搬送ローラ対と共働してカードCを矢印L又はR方向に搬送可能で、カード搬送路Pを挟んで圧接し合うキャプスタンローラ48を駆動ローラとする水平搬送ローラ対が、水平搬送ローラ対11の下流側かつプラテンローラ50の上流側に配設されている。なお、転写部10には、中間転写シートFの位置出し用マークを検出するための発光素子及び受光素子(以下、受光素子S3という。)が、ガイドコロ44とガイド板47と間に中間転写シートFを跨ぐように配置されている。
【0030】
図2に示すように、図1に示したプラテンローラ21、カード搬送路P及び筐体2で画定される領域には、正逆転可能なパルスモータM1と、同じく正逆転可能なパルスモータM2とを駆動動力源とする転写媒体搬送手段としての中間転写シート搬送機構が配設されている。パルスモータM1のモータ軸には、タイミングプーリ(以下、単にプーリという。)61が嵌着されており、プーリ63との間に無端タイミングベルト(以下、単にベルトという。)62が巻き掛けられている。プーリ63の軸にはプーリ63より小径のプーリ64が嵌着されている。
【0031】
プーリ64にはベルト65がプーリ66との間で巻き掛けられている。プーリ66の軸には電磁クラッチ67が嵌着されている。電磁クラッチ67は、サーマルヘッド20の中間転写シートFへの画像形成時に、電磁クラッチ67の軸に嵌着されたプーリ68にプーリ66の回転駆動力を連結する。プラテンローラ21には同軸上にプーリ70が嵌着されており、プーリ68とプーリ70とにはベルト69が巻き掛けられている。
【0032】
また、プーリ64には別のベルト81が捲き掛けられており、プーリ82に回転駆動力を伝達する。プーリ82の軸にはギヤ84に噛合するギヤ83が嵌着されている。ギヤ84の軸にはギヤ84より小径のギヤ85が嵌着されており、ギヤ85はギヤ86と噛合している。ギヤ86の軸にはトルクリミッタ87が嵌着されており、トルクリミッタ87を介して回転駆動力がバックテンションローラ88に伝達される。バックテンションローラ88にはピンチローラ89が圧接されている。バックテンションローラ88と同軸にはクロック板90が嵌着されている。中間転写シートFが正逆方向に送られるときに、バックテンションローラ88は中間転写シートFと同期して回転する。クロック板90の近傍には、中間転写フィルムFの搬送量(送り量、戻し量)を管理するためにクロック板90の回転量を検出する一体型透過センサSAが配設されている。
【0033】
一方、パルスモータM2のモータ軸には、プーリ93が嵌着されており、プーリ95との間にベルト94が巻き掛けられている。プーリ95の軸にギヤ96が嵌着されている。
【0034】
ギヤ96は、反時計回りでギヤ96からの駆動が伝達され時計回りでフリーとなる(空回りする)軸に嵌着されたワンウェイギヤ97に噛合している。ワンウェイギヤ97の軸にはギヤ98及びプーリ99が嵌着されており、ギヤ98は時計回りでフリーとなり反時計回りでロックされるワンウェイギヤ101に噛合している。プーリ99にはプーリ103との間でベルト102が捲き掛けられている。プーリ103の軸にはギヤ104が嵌着されており、ギヤ104はギヤ105と噛合している。ギヤ105の軸にはトルクリミッタ106が嵌着されており、トルクリミッタ106を介して回転駆動力がギヤ107に伝達される。ギヤ107の同軸上にはクロック板108が嵌着されている。ギヤ107は、中間転写シートFを巻き取るための巻取スプール軸110に嵌着されたギヤ109と噛合している。クロック板108の近傍には、クロック板108の回転を介して巻取スプール軸110の回転量を検出すると共に、巻取スプール軸110の回転を検出して中間転写シートFの破断不良を検出する一体型透過センサSBが配設されている。
【0035】
また、ギヤ96は、ワンウェイギヤ97の反対側で、時計回りでギヤ96からの駆動が伝達され反時計回りでフリーとなる軸に嵌着されたワンウェイギヤ111に噛合している。ワンウェイギヤ111の軸にはギヤ112及びプーリ113が嵌着されており、ギヤ112は反時計回りでフリーとなり時計回りでロックされるワンウェイギヤ114に噛合している。プーリ113にはプーリ116及びプーリ125との間でベルト115が捲き掛けられている。なお、このベルト115が一定張力を保つように、ベルト115で連なるプーリ116とプーリ125の間にはテンションローラ126が配設されている。プーリ116の軸にはギヤ117が嵌着されており、ギヤ117はギヤ118と噛合している。ギヤ118の軸にはトルクリミッタ119が嵌着されており、トルクリミッタ119を介して回転駆動力がギヤ123に伝達される。ギヤ123と同軸にはクロック板121が嵌着されている。ギヤ123は、中間転写シートFを供給するための供給スプール軸120に嵌着されたギヤ124と噛合している。クロック板121の近傍には、クロック板121の回転を介して供給スプール軸120の回転を検出すると共に、供給スプール軸120の回転を検出して中間転写シートFの破断不良を検出する一体型透過センサSCが配設されている。なお、供給スプール軸120には中間転写シート供給部16が装填され、巻取スプール軸110にはシート巻取部17が装填されている。
【0036】
一方、プーリ113からの駆動はベルト115を介してプーリ125にも伝達される。プーリ125の軸にはギヤ127が嵌着されており、ギヤ127はギヤ128に噛合している。更に、ギヤ128と同軸に配設されたギヤ129を介して駆動がギヤ130へと伝達されていく。ギヤ130の軸には電磁クラッチ131が嵌着されている。電磁クラッチ131は、中間転写シートFの巻き戻し(Rv)時のみ電磁クラッチ131の軸に嵌着されたギヤ132を介してギヤ130の回転駆動力をギヤ133に連結する。ギヤ133の軸にはトルクリミッタ134が嵌着されており、トルクリミッタ134を介して回転駆動力が中間転写シートFを搬送する搬送ローラ58に伝達される。なお、上記電磁クラッチ131の駆動連結時における供給スプール軸120、プラテンローラ21及び搬送ローラ58による中間転写シートFの搬送速度は、供給スプール軸120>搬送ローラ58>プラテン21の関係にあり、トルク管理については、プラテン21>搬送ローラ58>供給スプール軸120となるように設定されている。
【0037】
中間転写シートFの送り(Fw)と巻き戻し(Rv)は主にパルスモータM2の回転方向を切り換えることにより行われ、中間転写シートFの巻き戻し(Rv)動作において行われる中間転写シートFへの画像形成時では、供給スプール軸120、プラテンローラ21及びバックテンションローラ88による中間転写シートFの搬送速度は、供給スプール軸120>プラテンローラ21>バックテンションローラ88の関係にある。このため、サーマルヘッド20を離間して中間転写シートFを送る際には、中間転写シートFの弛みを防止するために、電磁クラッチ67により駆動が切り離される。
【0038】
図3に示すように、カード搬送路P上には、正逆転可能なパルスモータM3を駆動動力源とするカード搬送駆動機構が配設されている。パルスモータM3のモータ軸には、プーリ142が嵌着されており、プーリ144との間にベルト143が巻き掛けられている。プーリ144の軸にはプーリ144より小径のプーリ145が嵌着されており、プーリ147との間にベルト146が巻き掛けられている。プーリ147の軸には上述したプラテンローラ50とプラテンローラ50より小径のギヤ148が嵌着されている。
【0039】
ギヤ148にはギヤ148より大径のギヤ149が噛合しており、ギヤ149にはギヤ150が噛合している。このギヤ150の軸にギヤ150より大径で上述したキャプスタンローラ48が駆動ローラとして嵌着されており、カード搬送路P上で従動ローラと圧接配置することで水平搬送ローラ対が構成されている。また、ギヤ150の軸にはキャプスタンローラ48より大径のトルクリミッタ155が嵌着されている。トルクリミッタ155は、カードCの後端(以下、カードCの水平搬送方向に拘わらず、カードCの図1に示す矢印L側の端部を一方端いい、図1に示す矢印R側の端部を他方端という。)と中間転写シートFとの分離(剥離)を良好に確保するために、カードCの一方端がヒートローラ45とプラテンローラ50とのニップが解除された時点で増速させる機能を有している。ギヤ150にはギヤ151が噛合しており、ギヤ151にはギヤ152が噛合している。このギヤ152の軸にギヤ152より大径で上述した水平搬送ローラ対11を構成する駆動ローラが嵌着されており、カード搬送路P上で従動ローラと圧接配置されている。なお、ギヤ152に伝達されたパルスモータM3の回転駆動力は、図示を省略した複数のギヤを介して水平搬送部5の水平搬送ローラ対38、39の駆動ローラ及びクリーナ4のクリーニングローラ34にも伝達されている。
【0040】
また、ギヤ148にはギヤ148より大径のギヤ153が噛合しており、ギヤ153にはギヤ154が噛合している。ギヤ154の軸には、キャプスタンローラ156及びギヤ154より小径のプーリ157が嵌着されている。プーリ157にはベルト158が捲き掛けられており、ベルト158の他端側はプーリ159に捲き掛けられている。プーリ159の軸には搬送されたカードCを筐体2の外部に排出するための排出ローラ160が嵌着されている。キャプスタンローラ156、排出ローラ160は、それぞれカード搬送路P上で従動ローラと圧接配置されている。なお、キャプスタンローラ156と排出ローラ160との間には、カードCの湾曲等の変位を矯正する駆動を持たないローラ対161が配置されている。
【0041】
図1に示すように、筐体2のカード搬送路Pの矢印L方向への延長線上には、印刷等の処理が終了したカードCを筐体2の外部へ排出する排出口27が形成されている。排出口27の下側には、カードCを積層してストックするスタッカ13が筐体2に着脱可能に装着されている。なお、クリーナ4と水平搬送部5との間に一体型透過センサS4が、水平搬送ローラ対39の近傍で水平搬送ローラ対11側に一体型透過センサS5が、転写部10と水平搬送排出部12との間に一体型透過センサS6が、水平搬送部12内の排出ローラ160の近傍でキャプスタンローラ156側に一体型透過センサS7が、水平搬送排出部12と排出口27との間に一体型透過センサS8がそれぞれ配設されており(図示省略)、カード搬送路Pに沿って搬送されるカードCの一方端又は他方端が検出される。
【0042】
更に、図1に示すように、画像転写装置1は、筐体2内に、商用交流電源から各機構部及び制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部18、画像転写装置1全体の動作制御を行う制御部19、並びに、筐体2の上部に制御部19からの情報に従って画像転写装置1の状態等を表示すると共に、オペレータによる操作で制御部19に操作命令が指示可能なタッチパネル8を備えている。
【0043】
図5に示すように、制御部19は、画像転写装置1の制御処理を行うマイコン19Aを有している。マイコン19Aは、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、画像転写装置1の制御動作が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM及びこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0044】
マイコン19Aには外部バス19Bが接続されている。外部バス19Bには、タッチパネル8の表示や操作命令を制御するタッチパネル表示操作制御部19C、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部19D、モータ制御部19E、各モータに駆動パルスを送出するモータドライバを制御するモータ制御部19E、外部コンピュータと画像転写装置1の通信を行うための外部入出力インタフェース19F、カードCに印刷すべき画情報等を一時的に格納するバッファメモリ19G、サーマルヘッド20の熱エネルギーを制御するサーマルヘッド制御部19H、及び、電磁クラッチのオン・オフの制御信号を出力するクラッチ制御部19Jが接続されている。タッチパネル表示操作制御部19C、センサ制御部19D、サーマルヘッド制御部19H及びクラッチ制御部19Jは、タッチパネル8、センサSa〜Sc、S1〜S8を含むセンサ、パルスモータM1〜M3のドライバを含むドライバ、サーマルヘッド20、電磁クラッチ67、131にそれぞれ接続されている。
【0045】
(動作)
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の画像転写装置1の動作について制御部19のマイコン19AのCPUを主体として説明する。なお、RAMには、既に外部コンピュータから外部入出力インタフェース19F、バッファメモリ19Gを介して受信した画情報が鏡像データに変換されて格納されているものとする。
【0046】
CPUは、タッチパネル表示操作制御部19Cを介してタッチパネル8に初期画面を表示させる。この時点でタッチパネル8(又は外部コンピュータの表示画面)には、スタートボタン、画像転写装置1のスタンバイ又は印刷可能状態の別、印刷済みカード枚数等が表示される。オペレータがスタートボタンを押下すると、カードCに間接転写方式による画像転写を行うための間接転写ルーチンが実行される。
【0047】
図6に示すように、この間接転写ルーチンでは、まず、ステップ202において、パルスモータM1、M2を送り(Fw)方向(中間転写シートFをシート巻取部17に巻き取る方向)に回転させ、次のステップ204において、受光センサS2を監視することで中間転写シートFに形成されている位置出し用マークを認識し、中間転写シートFの送りや戻しと常に一体で正逆転するバックテンションローラ88に接続されているクロック板90の回転量を一体型透過センサSAで検出することにより、印刷開始位置まで中間転写シートFが搬送されたか否かを判断し、否定判断のときは、ステップ202へ戻り中間転写シートFの搬送を続行し、肯定判断のときは、次のステップ206において、パルスモータM1、M2の駆動を停止させる。この間、サーマルヘッド20はプラテンローラ21に対して離間した位置にあり(図7(A)参照)、熱転写シートRは、例えば、Y(イエロー)の開始端が印刷位置Srに位置するまで所定距離送られる(熱転写シート巻取部15に巻き取られる)。
【0048】
次いでステップ208では、サーマルヘッド進退駆動ユニットの駆動によりサーマルヘッド進退カム23を矢印A方向へ回転させてサーマルヘッド20を熱転写シートR及び中間転写シートFを介してプラテンローラ21に押し当てさせ、次のステップ270において、パルスモータM1及びパルスモータM2を巻き戻し(Rv)方向へ回転させると共に、電磁クラッチ67、131の連結によりプラテンローラ21を反時計回りに回転させ、搬送ローラ58も反時計回りに回転させる。これにより、中間転写シートFにはY(イエロー)の画像形成が開始される。すなわち、熱転写シートRのY(イエロー)インク層をサーマルヘッド20で加熱することで、中間転写シートFの受容層Feに鏡像による画像形成が開始され、パルスモータM1の駆動力によりプラテンローラ21は反時計回りに回転し、パルスモータM2の駆動力により中間転写シートFは中間転写シート供給部16に巻き取られ、同期して熱転写シートRは熱転写シート巻取部15に巻き取られる。なお、サーマルヘッド20にはRAMに格納されていた鏡像データ(画像形成時にサーマルヘッド20に与えられる熱エネルギーデータ)がサーマルヘッド制御部19Hを介して予め送出されおり、サーマルヘッド20の各印画素子はこの鏡像データに従って加熱される。
【0049】
次のステップ212では、中間転写シートFに形成される画像の長手方向の大きさに対応する所定パルス数パルスモータM1(又はパルスモータM2)が回転駆動したか否かを判断することにより、中間転写シートFへの画像形成が終了したか否かを判定する。否定判定のときは、ステップ210へ戻り中間転写シートFへの画像形成を続行し、肯定判定のときは、次のステップ214において、パルスモータM1、M2の駆動を停止させると共に、電磁クラッチ67、131に、プラテンローラ21、搬送ローラ58への連結を解除させる。
【0050】
次いでステップ216では、サーマルヘッド進退駆動ユニットの駆動によりサーマルヘッド進退カム23を回転させて、サーマルヘッド20をプラテンローラ21に対して退避させ、次のステップ218において、所定色(YMC)分の画像形成が終了したか否かを判断する。否定判断のときには、次の色(例えば、M)を中間転写シートFの受容層Feに既に形成された色(例えば、Y)に重ねて画像形成を行うためにステップ202へ戻り、肯定判断のとき、すなわち、YMCによる画像形成が終了したときは、次のステップ220へ進む。
【0051】
ステップ220では、パルスモータM2を送り方向に回転させて、予めプラテンローラ50から離間されているヒートローラ45の位置を越えて画像形成部9で中間転写シートFに形成された画像領域の後端(以下、中間転写シートFの搬送方向に拘わらず画像形成部9側に位置する画像領域の端部を後端という。)が補助ガイド板54の先端部を通過する所定位置まで、バックテンションローラ88に接続されているクロック板の回転量に従って中間転写シートFを搬送してパルスモータM2の駆動を停止させる。このとき、中間転写シートFの画像領域の先端部(以下、中間転写シートFの搬送方向に拘わらずシート巻取部17側に位置する画像領域の端部を先端部という。)はシート巻取部17に巻き取られる。中間転写シートFの搬送時に転写部10内にガイドコロ44とガイド板47との間に配置された受光センサS3からの出力を監視することで中間転写シートFの位置出し用マークが検出され、この時点で搬送量を再度設定することが可能となり、搬送精度が向上する。
【0052】
また、ステップ220では、中間転写シートFのシート巻取部17側への搬送に並行させて、カード供給部3からカードCを送り出し、カードCの両端がキャプスタンローラ156を有する水平搬送ローラ対と排出ローラ160及びこの排出ローラ160に圧接された従動ローラとに挟持される位置までカード搬送路Pに沿って搬送する。すなわち、カード供給部3及びパルスモータM3を駆動させることで、供給部3からカードCを1枚カード搬送路P上に送出し、クリーナ4で両面を清浄し、カードCの一方端がクリーナ4と水平搬送部5との間に配置された図示しない一体型透過センサS4で検出されると、キックローラ31の回転を停止させ、カードCを水平搬送部5、転写部10を通過させてカード搬送路Pに沿って更に矢印L方向へ搬送させる。排出ローラ160の近傍でキャプスタンローラ156側に配置された図示しない一体型透過センサS7がカードCの一方端を検出すると、更に所定パルス数カードCを矢印L方向に搬送させてパルスモータM3の回転駆動を停止させる。これにより、カードCの一方端は排出ローラ160及び圧接した従動ローラに挟持され、他方端はキャプスタンローラ156を有する水平搬送ローラ対に挟持された状態となる。
【0053】
次のステップ222では、パルスモータM2を巻き戻し方向に回転させ中間転写シートFの画像領域の後端部が転写開始位置(図9(A)、(B)に示すように、ヒートローラ45が下降したときにヒートローラ45の中心からの仮想垂直線がカード搬送路Pと直交する位置)に対応する位置まで、画像形成部9側の戻し方向(図9(A)の矢印E方向)に搬送して、パルスモータM2の駆動を停止させる。なお、ステップ222の状態では、図8(A)に示すように、ヒートローラ45はプラテンローラ50から退避した退避位置に位置している。また、中間転写シートFの画像形成部9側への搬送時においても、上述した受光センサS3からの出力を監視することで中間転写シートFの位置出し用マークが検出され、搬送量を再度設定することで搬送精度の向上が図られる。
【0054】
また、ステップ222では、中間転写シートFの画像形成部9側への搬送に並行させて、両端が排出ローラ160及び圧接した従動ローラとキャプスタンローラ156を有する水平搬送ローラ対に挟持されたカードCを画像形成位置まで搬送する。すなわち、パルスモータM3を逆転駆動させ、両端が挟持されたカードCを矢印R方向にカード搬送路P上を搬送し、カードCの他方端が転写部10と水平搬送排出部12との間に配置された図示しない一体型透過センサS6で検出された後所定パルス数カードCを更に矢印R方向に搬送してパルスモータM3の逆転駆動を停止させることで、カードCの他方端を画像形成位置に対応する位置まで搬送する。
【0055】
次にステップ224において、ヒートローラ昇降駆動ユニットを駆動させヒートローラ昇降カム51を矢印B方向へ回転させて、ヒートローラ45を退避位置から、カード搬送路P上で、中間転写シートF及びカードC介してプラテンローラ50に当接する画像転写位置まで下降させて、ヒートローラ昇降駆動ユニットの駆動を停止させる。この時点で、転写部10を構成するフレームに固着されたガイド板47、補助ガイド板54の先端部はカード搬送路P上又はカード搬送路Pより下方側に位置し、カードCの他方端は底面側がプラテンローラ50に支持され、中間転写シートFの画像領域F1の後端部は上方からヒートローラ45に押し当てられてカードCの他方端と接触する(図9(A)の状態)。
【0056】
次のステップ226では、パルスモータM2を巻き戻し方向に回転させると共に、パルスモータM3を逆転駆動させて、カードCの画像転写面側に、中間転写シートFの画像領域F1の鏡像をヒートローラ45で熱転写する間接転写を実行する。このステップ226における動作について詳述すれば、カードCは、底面側が反時計回りに回転するプラテンローラ50に支持され、画像転写面側が中間転写シートFを介してヒートローラ45に押し当てられ、矢印R方向に搬送される。ガイド板47及び補助ガイド板54でカード搬送路Pに沿って略水平方向に案内された画像領域F1の剥離層Fcは発熱ランプ46からの熱によりベースフィルムFaから剥離され、画像領域F1の受容層Feとオーバーコート層Fdとが一体でカードCに転写される(図8(B)の状態)。転写時には、カードC及び中間転写シートFの搬送速度は同一に設定されており、中間転写シートFはパルスモータM2の巻き戻し方向への回転により中間転写シート供給部16に巻き戻される。この間、ステップ228において、カードCの他方端が水平搬送ローラ対39の近傍で水平搬送ローラ対11側に配置された図示しない一体型透過センサS5で検出されたかを監視することで、中間転写シートFとカードCとのガイド板47による分離が完了したか否かを判断する。すなわち、中間転写シートF及びカードCが、図9(A)、(B)に示す転写開始位置から、図9(C)、(D)に示す、カードCへの画像領域F1の転写が完了する転写完了位置を経て、更にそれぞれ矢印E方向及び矢印R方向に中間転写シートFとカードCとの分離のために搬送され(以下、分離搬送という。)、図9(E)、(F)に示すように、中間転写シートFの画像領域の先端部とカードCの一方端との分離が完了する分離完了位置に位置したかを、カードCの他方端を一体型透過センサS5で検出することで判断する。否定判断のときは、ステップ226へ戻り転写を続行し、肯定判断のときは、上述したトルクリミッタ155により中間転写シートFとカードCとの分離を促進するために、中間転写シートF及びカードCを更にそれぞれ矢印E方向及び矢印R方向に所定パルス数搬送する(図6での図示を省略)。
【0057】
次にステップ230では、パルスモータM2、M3の駆動を停止させることで、転写・分離時の中間転写シートF及びカードCの搬送を終了させ、ヒートローラ昇降駆動ユニットを駆動させヒートローラ昇降カム51を再度回転させてプラテンローラ50に対してヒートローラ45を退避位置に位置させる(上昇させる)。次のステップ232では、パルスモータM3を回転駆動させてカードCをカード搬送路Pに沿って更に矢印L方向へ搬送させ、ステップ232において、水平搬送排出部12と排出口27との間に配置された図示しない一体型透過センサS8がカードCの一方端を検出したか否かを判断し、否定判断のときは、カードCを更に搬送するためにステップ232へ戻り、肯定判断のときは、ステップ236において所定時間待機してカードCの搬送を続行させる。これにより、カードCは排出口27を経てスタッカ13へ排出される。次のステップ238では、パルスモータM3の駆動を停止させ、処理済みのカード枚数や処理の完了をタッチパネル8上に表示する。
【0058】
次のステップ240〜ステップ244では、新たなカードCへの処理に備えて、中間転写シートFの、画像領域F1に隣接する未使用部分F0(図9(F)参照)を画像形成部9の近傍まで搬送して、間接転写ルーチンを終了する。すなわち、ステップ240では、パルスモータM1、M2を逆転駆動させ、次のステップ240で所定距離搬送したか否かを上述した一体型透過センサSAで検出することで判断し、否定判断のときはステップ240へ戻り中間転写シートFの未使用部分F0の画像形成部9の近傍までの搬送を続行し、肯定判断のときは次のステップ244でパルスモータM1、M2の駆動を停止させる。
【0059】
(作用等)
次に、本実施形態の画像転写装置1の作用等について説明する。
【0060】
上述したように、本実施形態の画像転写装置1では、転写・分離時に中間転写シートFは画像形成部9への巻き戻し方向である矢印E方向に搬送され、カードCは矢印R方向に搬送される(図9(A)〜(F)参照)。このため、転写完了(図9(C)、(D)参照)後、中間転写シートFとカードCとを分離するための分離搬送がヒートローラ45からガイド板47までの間で行われるが(図9(E)、(F)参照)、この分離搬送が行われる中間転写シートF上の分離搬送領域F3は、分離搬送の方向が矢印E方向のため、中間転写シートFの使用済部分である既使用部分F2に属する。これに対し、図10(A)〜(F)に示すように、従来技術に従って中間転写シートF及びカードCを本実施形態と反対方向にそれぞれ矢印E’方向及び矢印L方向に搬送すると、中間転写シートF上の分離搬送領域F3は、中間転写シートFの分離搬送方向が矢印E’方向のため、中間転写シートFの未使用部分F0に属することとなる(図10(F)参照)。従って、従来の画像転写装置による搬送方向では、未使用部分F0に属する分離搬送領域F3にヒートローラ45の熱が伝わり熱伸縮によるシワ、変質等の劣化が生ずるので、後続の転写処理時にカードCへの高画質・高品質な画像転写処理が行えないか、又は、劣化した未使用部分F0に属する分離搬送領域F3を使用しないことで画像転写処理での品質維持はできるものの、未使用部分F0のうち使用不能部分が発生するので、中間転写シートFを効率よく使用できず、結果としてカードC1枚当たりの作製コストの上昇を招く。上述したように、本実施形態の画像転写装置1では、中間転写シートFの搬送の方向が矢印E方向であり分離搬送領域F3は既使用部分F2に属するため、未使用部分F0がヒートローラ45との接触により劣化することはないので、連続して高画質・高品質の画像転写処理を行うことができ、消耗品である中間転写シートFのランニングコストを低減させることができる。なお、図10において、(A)、(B)は図9(A)、(B)に、(C)、(D)は図9(C)、(D)に、(E)、(F)は図9(E)、(F)に、それぞれ対応している。
【0061】
また、本実施形態の画像転写装置1では、転写部10を構成するフレームに固着されたガイド板47は、ヒートローラ昇降駆動ユニットの駆動により、ヒートローラ45と共にカード搬送路Pに対して離接する方向に移動可能である。ガイド板47の先端部は、ヒートローラ45が下降したときにカード搬送路P上又はカード搬送路Pの下方側に位置付けられるので、転写時には、補助ガイド板54と共働して、中間転写シートFをカード搬送路PのカードCに面接触させ、ヒートローラ45による画像領域F0のカードCへの転写が確保され、分離搬送時には、補助ガイド板54と共働して中間転写シートFをカード搬送路Pに沿って安定して搬送することが可能であり、分離時には、水平方向へ搬送されるカードCと矢印E方向へ搬送される中間転写シートFとが分離可能なように角度を与えるので、両者の分離を担保することができる。この分離時には、トルクリミッタ155との共働により中間転写シートFとカードCとの分離が更に促進される。また、ヒートローラ45が退避位置に位置するときには、中間転写シートFをカード搬送路Pから離間させることでカード搬送路P上を搬送されるカードCとの接触による損傷を防止することできる。
【0062】
なお、本実施形態では、中間転写シート供給部16から供給された中間転写シートFに画像形成部9で任意の画像を形成して転写部10で当該画像をカードCに転写する例を示したが、本発明は、予め特定のパターンや特定の画像が形成されたホログラムシート等にも適用可能である。例えば、図11に示すように、画像転写装置1’は、中間転写シート供給部16の他にホログラムシート供給部29を備えており、ホログラムシートHは、ガイドコロを介して転写部10の両側に配設されたガイド板47、補助ガイド板54に案内されてシート巻取部17に巻き取られる。中間転写シートFが使用されるときにはホログラムシートHはホログラムシート供給部29に完全に巻き戻され、ホログラムシートHが使用されるときは中間転写シートFが中間転写シートFは中間転写シート供給部16に完全に巻き戻される。シート巻取部17は中間転写シートF又はホログラムシートHのいずれかを巻き取ることで任意の一方のシートが使用される。CPUは、プラテンローラ21とガイドコロ91との間に配置された受光センサS2を監視することで、中間転写シートFが使用されるか否かを判断する。ホログラムシートHは、上述した中間転写シートFと同様に、ホログラムシート供給部29側に巻き戻される方向で転写が実行される。画像転写装置1’は、ホログラムシートHに対しても上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、図11において、図1に示した画像転写装置1と同一の部材には同一の符号が使用されている。従って、本発明の用語「転写媒体供給部」は、上記実施形態に則して説明すれば、画像が形成された中間転写シートF又はホログラムシートHを転写部10に供給する上流側の機構部を意味する。
【0063】
また、本実施形態では、図8(A)に示すように、補助ガイド板54の長さをガイド板47の長さと同じとして、ヒートローラ45の退避位置において中間転写シートFをカード搬送路Pと平行の水平方向に位置させる例を示したが、補助ガイド板54の機能は退避位置における中間転写シートFのカードC及び中間転写媒体Fとの接触防止であるので、必ずしもガイド板47の長さと同じである必要はなく短くても良い。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、転写媒体の搬送方向を従来技術とは逆方向とし、転写媒体搬送手段による転写媒体の転写媒体巻取部側から転写媒体供給部側への搬送中に、転写手段が転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写することで、分離のために搬送されるのは転写媒体の使用済み部分となり、当該使用済み部分のみが転写手段と接触し未使用部分は転写手段に接触しないので、未使用部分が劣化することがなく、連続して高画質・高品質の転写画像を得ることができると共に、劣化した未使用部分を不使用とする処理も生じないので、ランニングコストを低減させることができ、第2の態様によれば、第1の態様と同様に、分離のために搬送されるのは転写媒体の使用済み部分となるので、連続して高画質・高品質の転写画像を得ることができると共に、劣化した未使用部分を不使用とする処理も生じないので、ランニングコストを低減することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の画像転写装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】実施形態の画像転写装置の中間転写シート搬送機構を示す側面図である。
【図3】実施形態の画像転写装置の転写部近傍のカード搬送機構を示す側面図である。
【図4】熱転写シート及び中間転写シートの説明図であり、(A)は熱転写シートを模式的に示す正面図、(B)は中間転写シートを模式的に示す断面図である。
【図5】実施形態の画像転写装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態の画像転写装置の制御部のCPUが実行する間接転写ルーチンのフローチャートである。
【図7】実施形態の画像転写装置の画像形成部の側面図であり、(A)はサーマルヘッドが退避した状態、(B)は中間転写シートに顔図を形成している状態を示す。
【図8】実施形態の画像転写装置の転写部の側面図であり、(A)はヒートローラが退避位置に位置した状態、(B)はヒートローラが画像形成位置に位置する状態を示す。
【図9】実施形態の画像転写装置の転写部のヒートローラ近傍の側面図及び中間転写シートの平面図であり、(A)はカードが転写開始位置に位置した状態、(B)は(A)に対応する中間転写シートの位置、(C)はカードが転写完了位置に位置した状態、(D)は(C)に対応する中間転写シートの位置、(E)は中間転写シートとカードとの分離が完了した状態、(F)は(E)に対応する中間転写シートの位置をそれぞれ示す。
【図10】従来技術に従って中間転写シート及びカードの搬送を実施形態とは反対方向に搬送した場合の転写部のヒートローラ近傍の側面図及び中間転写シートの平面図であり、(A)はカードが転写開始位置に位置した状態、(B)は(A)に対応する中間転写シートの位置、(C)はカードが転写完了位置に位置した状態、(D)は(C)に対応する中間転写シートの位置、(E)は中間転写シートとカードとの分離が完了した状態、(F)は(E)に対応する中間転写シートの位置をそれぞれ示す。
【図11】本発明が適用可能な他の実施形態の画像転写装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 画像転写装置
3 カード供給部(記録媒体供給部)
9 画像形成部(画像形成手段)
10 転写部(転写手段)
16 中間転写シート供給部(転写媒体供給部の一部)
17 中間転写シート巻取部(転写媒体巻取部)
27 排出口(記録媒体排出口)
45 ヒートローラ
46 発熱ランプ(発熱体)
47 ガイド板
51 ヒートローラ昇降カム(移動手段の一部)
M2 パルスモータ(転写媒体搬送手段の一部)
P カード搬送路
Claims (7)
- 画像が形成されたフィルム状転写媒体を供給する転写媒体供給部と、
前記転写媒体を巻き取る転写媒体巻取部と、
前記転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写媒体を、前記転写媒体供給部側から前記転写媒体巻取部側及び前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側の両方向に搬送可能な転写媒体搬送手段と、
を備えた画像転写装置において、
前記転写手段は、前記転写媒体搬送手段による前記転写媒体の前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側への搬送中に、前記転写媒体に形成された画像を前記記録媒体に転写することを特徴とする画像転写装置。 - 前記転写媒体に形成された前記記録媒体に対応する画像領域の一方端が前記転写手段より前記転写媒体巻取部側に位置付けられると共に、前記画像領域の他方端から前記転写手段による前記記録媒体への画像転写が開始されることを特徴とする請求項1に記載の画像転写装置。
- 更に、前記転写手段を画像転写位置と退避位置との間で移動させる移動手段を備え、前記移動手段は、前記記録媒体への画像転写終了後の所定時間に亘り前記転写手段を画像転写位置に保持させた後に前記転写手段を前記退避位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の画像転写装置。
- 前記転写手段が、発熱体を有するヒートローラであることを特徴とする請求項3に記載の画像転写装置。
- 前記転写媒体供給部は前記転写媒体に画像を形成する画像形成手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像転写装置。
- 画像が形成されたフィルム状転写媒体を供給する転写媒体供給部と前記転写媒体を巻き取る転写媒体巻取部との間の画像転写位置で前記画像が形成された転写媒体を記録媒体に転写する画像転写方法であって、
前記画像が形成された転写媒体を前記画像転写位置を越えて前記転写媒体巻取部側へ搬送するとともに、前記記録媒体を記録媒体供給部から前記画像転写位置を越えて記録媒体排出口側へ搬送する搬送工程と、
前記画像転写位置を越えて前記転写巻取部側へ搬送された転写媒体を前記搬送工程で搬送された搬送方向とは反対の前記転写媒体巻取部側から前記転写媒体供給部側へ搬送するとともに、前記画像転写位置を越えて前記記録媒体排出口側へ搬送された記録媒体を前記搬送工程で搬送された搬送方向とは反対の前記記録媒体排出口側から前記記録媒体供給部側へ搬送しつつ前記画像転写位置において前記転写媒体に形成された画像を前記記録媒体に転写する転写工程と、
を含む画像転写方法。 - 更に、前記搬送工程の前に、前記転写媒体に画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像転写方法。
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