JP2008064782A - 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芯材と、該芯材表面を被覆し、脂環基を有する熱可塑性樹脂を含有する被覆樹脂層とを少なくとも有し、TGA法による100℃以上400℃以下の範囲内における熱減量がキャリア全体の0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であり、且つ、DTA法による100℃以上400℃以下の範囲内におけるキャリア全体の吸熱量が7mJ/g以上40mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。
【選択図】なし
Description
また、近年では、高画質を安定的に提供するために、現像によって消費されるトナーといっしょにキャリアを追加し、現像機内のキャリアを少しずつ入れ替えることにより帯電量の変化を抑制し画像濃度を安定化する現像装置(いわゆるトリクル現像装置)(特許文献4参照)が提案されている。
請求項1に係わる発明は、
芯材と、該芯材表面を被覆し、脂環基を有する熱可塑性樹脂を含有する被覆樹脂層とを少なくとも有し、
TGA法による100℃以上400℃以下の範囲内における熱減量がキャリア全体の0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であり、且つ、DTA法による100℃以上400℃以下の範囲内におけるキャリア全体の吸熱量が7mJ/g以上40mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用キャリアである。
前記吸熱量が7mJ/g以上30mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用キャリアである。
前記熱減量がキャリア全体の2.0重量%以上4.0重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用キャリアである。
前記被覆樹脂層の剥がれ量が2000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアである。
前記被覆樹脂層の剥がれ量が1500ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用キャリアである。
トナーと、キャリアとを少なくとも含み、
前記キャリアが、請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤である。
粒子状の添加剤を含み、前記添加剤の体積平均粒径が200nm以上7μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤である。
トナー像形成手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジである。
画像形成装置に対して脱着可能であり、
静電潜像保持体と、現像剤を収容すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを少なくとも備え、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
前記トナー像形成手段が、前記静電潜像保持体表面に現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも有し、
前記現像剤保持体は、回転しながら前記静電潜像保持体表面に前記現像剤を供給する筒状部材であり、前記現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が400mm/s以上1500mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジである。
静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
前記トナー像形成手段が、前記静電潜像保持体表面に現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも有し、
前記現像剤保持体は、回転しながら前記静電潜像保持体表面に前記現像剤を供給する筒状部材であり、
前記現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が400mm/s以上1500mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置である。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と比べて、更に温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と比べて、更に温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と比べて、更に被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と比べて、更に被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と比べて、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しやすい条件においても、被覆樹脂層の剥離を抑制して、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用キャリアを提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる静電荷像現像用現像剤カートリッジを提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、高速な画像形成を行っても、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができるプロセスカートリッジカートリッジを提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、温度や湿度等の環境依存性が少ないとともに、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、高速な画像形成を行っても、被覆樹脂層が剥離しにくく、長期にわたり安定的に画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の静電荷像現像用キャリア(以下、「キャリア」と略す場合がある)は、 芯材と、該芯材表面を被覆し、脂環基を有する熱可塑性樹脂を含有する被覆樹脂層とを少なくとも有し、TGA法による100℃以上400℃以下の範囲内における熱減量がキャリア全体の0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であり、且つ、DTA法による100℃以上400℃以下の範囲内におけるキャリア全体の吸熱量が7mJ/g以上40mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする。
そのため、本発明者らは、その被覆樹脂層表面に水分が吸着しづらくするため、被覆樹脂層中に「脂環基を有する熱可塑性樹脂」を用いることが非常に適していることを見出した。
そこで、本発明者らは、芯材粒子との密着性があまり大きくない脂環基を有する熱可塑性樹脂を被覆樹脂層に用いる場合においても、現像機内での長期間の攪拌によって芯材と被覆樹脂層との剥がれを抑制するために鋭意検討した結果、TGA法による100℃以上400℃以下の範囲内における熱減量がキャリア全体の0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であり、且つ、DTA法による100℃以上400℃以下の範囲内におけるキャリア全体の吸熱量が7mJ/g以上40mJ/g以下の範囲内であることが重要であることを見出した。
この方法を利用して、脂環基を有する熱可塑性樹脂を用いて被覆樹脂層を形成すると、被覆樹脂層中の脂環基はランダムな方向を向いてしまう。この場合、樹脂中で主鎖よりも大きな骨格をとることが多い脂環基は、樹脂表面に微細でランダムな凹凸を形成する。すると、分子レベルでは芯材粒子表面との接触している部分は、樹脂の凸部だけとなり、樹脂骨格の凹部では極僅かに芯材粒子から離れている樹脂骨格部分が生じるようになる。しかし、この極僅かな距離でも、芯材粒子表面と樹脂との間に作用するファンデルワールス力は大きく減少するため、その結果、芯材粒子と脂環基を有する熱可塑性樹脂との密着性が低下するものと考えられる。
それゆえ、本発明者らは、脂環基を有する熱可塑性樹脂の配向は、DTA法により測定される吸熱量に依存しており、また、脂環基を有する熱可塑性樹脂の配向性の向上に起因した、優れた環境安定性と芯材からの被覆樹脂層の剥離を抑制によって長期にわたり安定的に画像が形成できるという効果を得るには、キャリア全体の吸熱量を40mJ/g以下とすることが必要であることを見出した。なお、この吸熱量は30mJ/g以下であることが好ましく、25mJ/g以下であることが更に好ましい。
なお、被覆樹脂層の形成に用いる脂環基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以下の場合、熱処理温度をガラス転移温度以上100℃以下の範囲内にとすることが好ましい。この場合、芯材粒子表面に吸着された水分により、上述した配向状態をより一層均一とすることができる。
熱減量がキャリア全体の0.5重量%未満の場合には、芯材表面を被覆する被覆樹脂層が薄すぎるために、被覆樹脂層の下層の影響が帯電性に現れて帯電量に環境依存性が悪化したり、また被覆樹脂層のないキャリア表面が現れやすくなり、帯電量に環境依存性が悪化する場合がある。また、熱減量がキャリア全体の5重量%を超える場合には、芯材表面を被覆する被覆樹脂層が厚過ぎるために、現像機内や、磁気ブラシ形成時の攪拌等によりキャリア同士が接触し、比較的柔らかい樹脂層に応力が蓄積されてゆく。一度の接触による応力は僅かであっても経時でこの応力は増大し、やがてキャリアから剥離してしまう。
熱減量の測定はJIS K 7120−1987(プラスチックの熱重量測定方法)によって測定した。具体的な条件は気体としては乾燥空気を用い、これを50ml/分で、測定前1時間から流入した。試験片の量は102mgで行い、加熱は30℃から1000℃まで行った。熱減量は30℃における重量をa、400℃における重量をbとして、以下の式によって求めた。
熱減量(重量%)=100(a−b)/a
被覆樹脂層の剥がれ量が2000ppmを超える場合には、被覆樹脂層が剥離しやすいために、長期にわたり安定的に画像形成を行うことが困難となる場合がある。
100mlのビーカーにキャリアを40g、mg単位まで正確に測定した。ついで0.1%のノニオン界面活性剤(HS−208、日本油脂社製)水溶液40mlを入れ、38℃に加温した。超音波ホモジナイザー(US−300TCVP−3、日本精機製作所社製)で4分間、Level V(200μA)で照射した。その後ビーカーの底に磁石をつけ、液を別のビーカーへ移した。このときキャリアが別のビーカーへ移動しないよう調整した。(1)前述のノニオン界面活性剤水溶液40mlをさらにキャリアが入っているビーカーに入れ、3分間ガラス棒で攪拌した後、再び該別のビーカーへ液を移した。続けて、(1)の作業を3回繰り返した。
ろ紙をmg単位まで正確に測定し、これをXmgとした。このろ紙を用い、前述の該別のビーカーに移された0.1%のノニオン界面活性剤水溶液をろ過して、ノニオン界面活性剤水溶液中の不純物をろ過した。ろ紙を乾燥機(50℃)に入れ12時間そのまま放置した。12時間後乾燥機から取り出し、25℃に冷却してこのろ紙の重量をmg単位で正確に測定した。これをYmgとした。
被覆樹脂層の剥がれ量は以下の式によって測定した。
被覆樹脂層の剥がれ量(ppm)=(Y−X)/(キャリア重量)
次に、本発明のキャリアを構成する構成材料や、キャリアのその他の諸特性について以下に説明する。
本発明のキャリアに用いられる芯材としては特に限定されるものではなく、公知のキャリア用の芯材が利用できる。例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等があげられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは磁性キャリアであることが望ましい。本発明に好適に用いられる芯材としては、表面均一化が容易で帯電性が安定するため、フェライト粒子が好ましい。
20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象物を1〜3mm程度の厚さになるように平坦に載せ、層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せ層を挟み込む。測定対象物間の空隙をなくすため、層上に配置した電極板の上に4kgの荷重をかけてから層の厚み(cm)を測定する。層の上下の両電極には、エレクトロメーターおよび高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が103.8V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)を計算する。測定対象物の体積電気抵抗(Ω・cm)の計算式は、下記式(1)に示す通りである。
・式(1) R=E×20/(I−I0)/L
本発明のキャリアを構成する被覆樹脂層は、上記の通り、「脂環基を有する熱可塑性樹脂」を含む。「脂環基を有する熱可塑性樹脂」は、脂環基および熱可塑性を有していれば特に制限は無く、目的に応じて選択することができる。また「脂環基を有する熱可塑性樹脂」は、結果として得られた樹脂に熱可塑性があれば、「脂環基を有するモノマー」の単独重合体であっても良いし、「脂環基を有するモノマー」と「その他のモノマー」との共重合体であっても良い。
「その他のモノマー」に対して「脂環基を有するモノマー」の割合が多すぎて上記範囲を外れる場合には、脂環基同士の立体障害等により樹脂披覆が悪化し、キャリア表面から剥離しやすい場合があり、「その他のモノマー」に対して「脂環基を有するモノマー」の割合が少なすぎて上記範囲を外れる場合には、環境安定性に劣る場合がある。
が大きくなる場合がある。
導電粉として具体的には例えば、金、銀、銅等の金属粒子;カーボンブラック;ケッチェンブラック;アセチレンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛等の体積抵抗率が108Ω・cm〜1012Ω・cmの範囲内の半導電性酸化物粒子(;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子;などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100g程度であるカーボンブラックが、製造安定性に優れて好ましい。
また導電粉の体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定する。
例えば、芯材を被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を芯材の表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜形成用液と混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、等が挙げられる。これらの中でも、ニーダーコーター法が好ましい。
・式(2)
鉄量率(atomic%)=AFe/(AC+AO+AFe)×100
・式(3)
被覆率(%)={1−(キャリアの鉄量率)/(芯材単体の鉄量率)}×100
・式(4)
平均膜厚(μm)=[キャリア1個当たりの被覆樹脂量(導電粉等の添加物もすべて含む)/キャリア1個当たりの表面積]÷被覆樹脂層の平均比重
=[4/3π・(d/2)3・ρ・WC]/[4π・(d/2)2]÷ρC
=(1/6)・(d・ρ・WC/ρC)
キャリアの重量平均粒子径は、15μm以上50μm以下が好ましく、25μm以上40μm以下がより好まし。キャリアの重量平均粒子径が15μmより小さいと、キャリア汚染が悪化する可能性がある。またキャリアの重量平均粒子径が50μmより大きいと、攪拌によるトナー劣化が顕著となる可能性がある。
・式(5) SF1=100π×(ML)2/(4×A)
ここで、MLはキャリア粒子の最大長、Aはキャリア粒子の投影面積である。なお、キャリア粒子の最大長と投影面積は、スライドガラス上にサンプリングしたキャリア粒子を光学顕微鏡により観察し、ビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEX III、NIRECO社製)に取り込んで、画像解析を行うことにより求めたものである。この際のサンプリング数は100個以上で、その平均値を用いて、式(5)に示す形状係数を求める。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1000エルステッドまで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。本発明においては、飽和磁化は1000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
キャリアの体積電気抵抗が1×1015Ω・cmを超える場合、高抵抗になり、現像時に現像電極として働きにくくなるため、特にベタ画像部でエッジ効果が出るなど、ソリッド再現性が低下する場合がある。一方、1×107Ω・cm未満の場合、低抵抗になるため、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されてしまう不具合が発生しやすくなる場合がある。
またキャリアの体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定を行う。
本発明の静電荷像現像用現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)は、トナーと、キャリアとを少なくとも含み、キャリアとして本発明のキャリアが用いられるものである。
トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーを用いることができる。トナーとしては、代表的には、結着樹脂と着色剤とを含む着色トナーを挙げることができるが、着色剤の代わりに赤外線吸収剤を用いた赤外線吸収トナーなどを用いることも可能である。また、これらの成分に加えて、必要に応じて離型剤や各種の内添剤、外添剤等のその他の成分を更に添加することもできる。
ここで、粒子状の添加剤とは、キャリアおよびトナー(トナー粒子本体)以外の成分を意味し、好適には、後述するトナー粒子表面に外添処理される無機酸化物粒子が挙げられ、特に、体積平均粒径が200nm以上7μm以下のいわゆる研磨剤として利用されるシリカ、酸化セリウム等の無機酸化物粒子が好適である。
なお、粒子状の添加剤の体積平均粒径の測定は、導電粉の体積平均粒径の測定と同様にして行うことができる。
トナーの結着樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン-アクリル酸アルキル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン等が挙げられる。
ここで上記トナー粒子の形状係数は、キャリアの形状係数SF1と同様にして求められる。
但し、トリクル現像方式などに利用される供給用現像剤として本発明の現像剤を利用する場合における、トナーとキャリアの混合重量比としては、トナー重量/キャリア重量が2以上が好ましく、3以上が好ましく、5以上が更に好ましい。
次に、本発明の静電荷像現像用現像剤用カートリッジ(以下、「カートリッジ」と略す場合がある)について説明する。本発明のカートリッジは、トナー像形成手段を少なくとも備えた画像形成装置に脱着可能であり、トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、現像剤が既述した本発明の現像剤であることを特徴とする。
ここで、現像剤を供給する際の現像剤保持体の周速としては400mm/s以上であることが好ましく、450mm/s以上であることがより好ましい。現像剤保持体の周速が400mm/s以上の高速域では、本発明の画像形成装置や、本発明のプロセスカートリッジを取り付けた画像形成装置では、高速な画像形成が可能である反面、画像形成時に現像剤に加わる機械的ストレスも大きくなるため、被覆樹脂層の剥離が起こりやすくなる。
しかし、本発明の画像形成装置やプロセスカートリッジでは、被覆樹脂層の剥離が起こりにくい本発明の現像剤を用いているため、長期に渡って高速な画像形成を行っても、被覆樹脂層の剥離を抑制して、高画質画像を長期に渡って安定的に形成することができる。
なお、現像剤保持体の周速の上限は特に限定されないが、実用上は1500mm/s以下であることが好ましく、1200mm/s以下であることがより好ましい。
なお、トナー像形成手段18中およびカートリッジ28中に収納される現像剤は、本発明の現像剤である。
感光体としては例えば、単層構造の感光体または多層構造の感光体等を用いることができる。また感光体の材質としては、セレンやアモルファスシリコン等の無機感光体や、有機感光体等が考えられる。
露光手段としては、例えば、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系からなるレーザー走査書き込み装置、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段を使用することができる。均一で、解像度の高い露光像を作るという好ましい態様を実現させるためには、レーザー走査書き込み装置またはLEDヘッドを使うことが好ましい。
加熱ロールまたは加圧ロール等のロール表面を形成する材料は、トナーを付着させない目的で、例えばトナーに対して離型性の優れた材料、シリコンゴムやフッ素系樹脂などであることが好ましい。この際、シリコーンオイル等の離型性液体を、ロール両面に塗布しないことが望ましい。離型性液体は、定着ラチチュードを広くすることに対しては有効であるが、定着される記録媒体に転移する為、画像形成された印刷物にベトツキが生じ、テープを貼れないことやマジックで文字を書き加えられないこと等の問題が生じる可能性がある。この問題は、記録媒体としてOHPなどのフィルムを用いると顕著となる場合がある。また離型性液体は、定着画像表面の荒さをスムーズにすることが困難であるため、記録媒体としてOHPフィルムを用いる場合に特に重要となる画像透明性が低下する要因にもなる場合がある。しかし、トナーにワックス(オフセット防止剤)を含む場合には、十分な定着ラチチュードを示すので、定着ロールに塗布されるシリコーンオイル等の離型性液体は必要無い。
・ポリエステル樹脂(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、シクロヘキサンジメタノールおよびテレフタル酸(組成比(モル比)4:1:5)の共重合体、重量平均分子量Mw=11000):85部
・植物系ワックス(カルナバワックス):5部
・SiO2粒子(R972;日本アエロジル製):5部
・C.I.ピグメントブルー15:3:5部
上記各成分をヘンシェルミキサーで充分予備混合を行い、2軸型ロールミルにより160℃にて溶融混練し、冷却後ジェットミルにより微粉砕を行い、さらに風力式分級機で2回分級を行い、体積平均粒径6.5μm、4μm以下の粒径のトナー粒子数15個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子0.7体積%のトナー粒子(シアントナー)を製造した。
このトナー粒子100部と、外添剤として疎水性酸化ケイ素粒子(体積平均粒径12nm、日本アエロジル社製、RX200)1.5部をヘンシェルミキサー(3000rpm/5分)にて混合してトナー粒子a1を調整した。
前記トナー粒子(シアントナー)100部と外添剤として疎水性酸化ケイ素粒子(体積平均粒径12nm、日本アエロジル社製、RX200)1.5部と酸化セリウム(体積平均粒径3.3μm)3部にした以外はトナー粒子a1と同じ条件で混合し、トナー粒子a2を調整した。
・Mn−Mg−Sr−フェライト粒子:100部
(真比重ρ=4.6g/cm3、平均粒径36.0μm、体積電気抵抗108Ω・cm)・トルエン:20部
・シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル共重合樹脂:3部
(共重合比(モル比);シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル=99/1、重量平均分子量Mw=9.8×104、ガラス転移温度Tg=90℃)
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製):0.2部
上記成分のうち、シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間攪拌し、樹脂溶液を作製した。
続いて、この樹脂溶液とMn−Mg−Sr−フェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、80℃で30分間攪拌した後、80℃のまま100Paまで10分かけて減圧してトルエンを除去し、フェライト粒子表面上に被膜を形成した。その後、同ニーダーに再度投入し95℃、大気圧で30min攪拌したのち、ニーダーの加熱を切り、温度が70℃になったところで取り出した。取り出したものを、目開き75μm網で篩分して、キャリアA1を得た。
キャリアA1の製造において、大気圧で30min攪拌した代わりに45minにし、かつ3℃/分で70℃まで温度を低下させた以外は、キャリアA1と同じ方法でキャリアA2を得た。
キャリアA1の製造において、80℃で30分間攪拌した後、80℃のまま100Paまで10分かけて減圧するのを30分で減圧した以外はキャリアA1と同じ方法でキャリアA3を得た。
キャリアA2の製造において、シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間攪拌するのを、20分にした以外はキャリアA2と同じ方法でキャリアA4を得た。
キャリアA2の製造において、シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間攪拌するのを、40分にした以外はキャリアA2と同じ方法でキャリアA5を得た。
キャリアA1の製造において、フェライト粒子表面上に被膜を形成した後に、ニーダーに再度投入して95℃で、大気圧で30min攪拌する処理を行わなかった以外はキャリアA1の場合と同様にして作製し、キャリアB1を得た。
キャリアA1の製造において、シクロヘキシルメタクリレート/ジメチルアミノエチル共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間攪拌するのを、2分にした以外はキャリアA1と同じ方法でキャリアB2を得た。
・Mn−Mg−Sr−フェライト粒子:100部
(真比重ρ=4.6g/cm3、平均粒径36.0μm、体積電気抵抗108Ω・cm)・トルエン:20部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合樹脂:3部
(共重合比(モル比);スチレン/メチルメタクリレート=18/82、重量平均分子量Mw=8.1×104、ガラス転移温度Tg=109℃)
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製):0.2部
上記成分のうち、スチレン/メチルメタクリレート共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで5分間攪拌し、樹脂溶液を作製した。 続いて、この樹脂溶液とMn−Mg−Sr−フェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、80℃で10分間攪拌した後、80℃のまま100Paまで5分かけて減圧してトルエンを除去して、該フェライト粒子表面上に被膜を形成し、取り出したものを目開き75μm網で篩分して、キャリアB3を得た。
上記において製造した各々のキャリア93重量部と、上記において製造した各々のトナー7重量部とを、表1に示した組み合わせでそれぞれ混合し現像剤を得た。
また、表1に示す組み合わせにて、トナー80重量部と、キャリア20重量部とを、電子写真プリンター(DocuCentreColor a450、富士ゼロックス(株)製)用の空カートリッジに入れ、ふたをした後、手で10回振盪し、供給用現像剤を得た。
これらの現像剤及び供給用現像剤を用いて、電子写真複写機(現像剤保持体の速度を350mm/s、500mm/sに可変可能となるように改造したDocuCentreColor 400CP富士ゼロックス(株)製)にて、以下に示す方法により、現像性、カブリの評価を高温高湿環境(30℃、80%RH)及び低温低湿環境(10℃、10%RH)にて行った。
A3サイズの用紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製、J紙)を用い、複写機内を通過する用紙の前半分の部分が4.5g/m2になるようにベタ部分を、後半分が白紙部分がそのまま残る画像を10000枚連続で出力し、現像性については目視により1枚目を基準として10000枚目の状態について、また、カブリについては、目視により1枚目と10000枚目について以下の基準で評価した。
これに対して、本評価では、上述した標準的な利用態様よりもトナー消費量が大きく、キャリアによるトナーの帯電量安定化機能により一層負担が加わる条件(A4用紙よりも大面積のA3用紙の前半部分に、文字画像ではなく画像面積率の最も大きいベタ画像を形成する条件)で実施した。この理由は、以下に説明するようにキャリア性能の差が最も顕著に確認できるためである。
このため、(1)単位時間当たりに消費されるトナー量が小さい場合には、例えキャリアが劣化した状態において上述した機能が維持される場合であっても、(2)同程度のキャリアの劣化が起こった状態で単位時間当たりに消費されるトナー量が大きくなると、上述した機能が十分に発揮できなくなる。
それゆえ、画像を連続して形成した際に、上記(1)に示す場合では、経時的に見かけ上は何らの変化が観察されなくても、上記(2)に示す場合では、経時的にはトナーの帯電が低下するためにかぶりの発生が確認されることになる。
◎:ベタ部分の画像濃度低下が確認できない。
○:ベタ部分の画像濃度低下は確認できるが実用上問題ない。
△:ベタ部分の画像濃度低下は確認できるが許容範囲である。
×:濃度低下が明らかに確認できる。
◎:目視で見てカブリはない。
○:ルーペで見てカブリが見えるが、問題ない。
△:カブリはあるものの許容範囲である。
×:カブリが明らかにわかる。
12、110、212・・・静電潜像保持体
14、120、214・・・帯電手段
16、130、216・・・静電潜像形成手段
18、140、218・・・トナー像形成手段
141・・・現像剤収容容器
146・・・現像剤供給手段
148・・・現像剤排出手段
20、220・・・転写手段
152・・・2次転写ローラ
26、180、226・・・定着手段
28、147・・・カートリッジ
210・・・プロセスカートリッジ
Claims (12)
- 芯材と、該芯材表面を被覆し、脂環基を有する熱可塑性樹脂を含有する被覆樹脂層とを少なくとも有し、
TGA法による100℃以上400℃以下の範囲内における熱減量がキャリア全体の0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であり、且つ、DTA法による100℃以上400℃以下の範囲内におけるキャリア全体の吸熱量が7mJ/g以上40mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。 - 前記吸熱量が7mJ/g以上30mJ/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
- 前記熱減量がキャリア全体の2.0重量%以上4.0重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用キャリア。
- 前記被覆樹脂層の剥がれ量が2000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
- 前記被覆樹脂層の剥がれ量が1500ppm以下であることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用キャリア。
- トナーと、キャリアとを少なくとも含み、
前記キャリアが、請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。 - 粒子状の添加剤を含み、前記添加剤の体積平均粒径が200nm以上7μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤。
- トナー像形成手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジ。 - 画像形成装置に対して脱着可能であり、
静電潜像保持体と、現像剤を収容すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを少なくとも備え、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 前記トナー像形成手段が、前記静電潜像保持体表面に現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも有し、
前記現像剤保持体は、回転しながら前記静電潜像保持体表面に前記現像剤を供給する筒状部材であり、前記現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が400mm/s以上1500mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。 - 静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記現像剤が請求項6又は7に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記トナー像形成手段が、前記静電潜像保持体表面に現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも有し、
前記現像剤保持体は、回転しながら前記静電潜像保持体表面に前記現像剤を供給する筒状部材であり、
前記現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が400mm/s以上1500mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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