JP2008063175A - スタートアップ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】系内から排出する塩素を削減して、系外へパージする際に塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減するスタートアップ方法を提供することである。
【解決手段】塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法であって、塩化水素から塩素を含む混合ガスを製造する混合ガス製造工程(S10)と、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)と、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)と、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明はスタートアップ方法に関し、より特定的には塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法に関する。
塩素は塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によって得られることが知られている。このような用途に用いられる塩素は、通常99vol%以上の高純度の品質が求められる。高純度の塩素を製造する方法として、たとえば特開2005−306715号公報(特許文献1)に記載の塩酸酸化プロセスにより塩素を製造する方法が挙げられる。上記特許文献1には、塩化水素を含むガスを酸素で酸化反応して得た塩素を含む混合ガスを、蒸留塔で精製し、混合ガスに同伴する酸素および二酸化炭素を分離して、所望の品質(純度)の塩素を得ることが開示されている。塩素の品質は、蒸留塔の冷却温度、塔底温度および段数などにより決定されている。
上記特許文献1の塩素酸化プロセスのスタートアップ時には、系内には不活性ガスおよび空気などで充満しているため、蒸留塔で精製した塩素は、再び不活性ガスおよび空気と混合して純度が低下してしまう。そのため、スタートアップ時には、系内の不活性ガスおよび空気を系外に排出する必要がある。そのため、通常、スタートアップ時には、蒸留塔で精製された塩素を、製品塩素として送気する配管に送り出さずに、系外と接続されている配管を介して系外に排出している。
しかしながら、スタートアップ時にこのようなガスを系外にパージすることは、蒸留塔で精製した塩素を系内から排出することになるので、塩素を製造する効率が低下するという問題がある。
また、塩素を含むガスは、系外にパージする前にアルカリ溶液で中和して塩素を除害する必要がある。そのため、スタートアップ時にアルカリ溶液を消費してしまうという問題がある。
特開2005−306715号公報
本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、系内から排出する塩素を削減して、系外へパージする際に塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減するスタートアップ方法を提供することである。
本発明のスタートアップ方法は、塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法であって、混合ガス製造工程と、圧縮混合ガス製造工程と、精製工程と、再圧縮工程とを備えている。混合ガス製造工程は、塩化水素から塩素を含む混合ガスを製造する。圧縮混合ガス製造工程は、混合ガスを圧縮機の吸入部に導入して、圧縮機により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する。精製工程は、圧縮混合ガスを精製塔に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する。再圧縮工程は、精製塩素を圧縮機の吸入部に導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する。
本発明のスタートアップ方法によれば、精製塔で得られた精製塩素を、圧縮機を介して再度精製塔に導入している。すなわち、精製塩素を系内で滞留または循環させているため、スタートアップ時に系内から排出する塩素を削減できる。また、系外へパージする塩素を削減できるので、系外へパージする際に塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、精製工程では、不純物を精製塔の塔頂から排出する工程を含んでいる。これにより、蒸留される不純物を精製塔から系外へより効率良くパージできる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、精製塔から排出される精製塩素の純度を測定する測定工程をさらに備えている。
これにより、精製塩素の純度を管理できるので、製品塩素の純度を所望の範囲内にして、高い品質を維持できる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、測定工程で精製塩素の純度が所定の純度未満である場合に、再圧縮工程を実施する。
これにより、精製塩素が所定の範囲内の純度を満たすまで、精製塩素が系内を滞留または循環する。そのため、スタートアップ時に系内から排出される塩素をより削減できる。また、系内から排出される塩素の量を削減できるので、塩素を除害するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。さらに、精製塩素の純度を厳密に管理できるので、製品塩素の純度を維持できる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、混合ガス製造工程は、塩化水素を酸化して、塩素と酸素とを含む混合ガスを得る工程を含んでいる。これにより、塩素を効率よく製造できる。
本発明のスタートアップ方法によれば、系内から排出する塩素を削減して、系外へパージする際に塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法について説明する。実施の形態1は、塩化水素から塩素を製造するプロセスとして塩酸酸化法(接触気相酸化法)のスタートアップ方法である。なお、図1は、本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法を説明するための図である。
<混合ガス製造工程>
まず、図1に示すように、塩化水素から塩素を含む混合ガスを製造する混合ガス製造工程(S10)を実施する。実施の形態1における混合ガス製造工程(S10)は、前処理工程(S11)と、反応工程(S12)と、吸収工程(S13)と、乾燥工程(S14)とを含んでいる。塩素の原料としては、塩化水素を含むガスを用いている。なお、実施の形態1における混合ガス製造工程(S10)は、塩化水素を酸化して、塩素と酸素とを含む混合ガスを得る工程を含んでいる。塩素と酸素とを含む混合ガスを得る工程は、少なくとも反応工程(S12)と、吸収工程(S13)と、乾燥工程(S14)とを有している。
混合ガス製造工程(S10)では、具体的には、まず、前処理塔(図示せず)にて、塩素の原料となる塩化水素を含むガスの不純物を除去するための前処理工程(S11)を実施することが好ましい。前処理工程(S11)では、たとえば、塩化水素を含むガスを前処理塔に導入し、芳香族化合物、塩素化脂肪族炭化水素、塩素化芳香族炭化水素および高沸点の無機化合物等の不純物をあらかじめ除去する。前処理方法としては一般に公知の方法を採用することができ、たとえば活性炭やゼオライト等による吸着処理等が挙げられる。また、塩化水素を含むガスを水または希塩酸に吸収させ、得られた吸収液から塩化水素ガスを放散させて、イナートガス成分や高沸点成分を除去しても良い(たとえば特開2000−34105号公報)。なお、前処理工程(S11)は省略されてもよい。
塩化水素を含むガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応または塩素化反応、焼却炉の燃焼などにおいて発生した塩化水素を含むいかなるものも使用することができる。塩化水素を含むガス中の塩化水素の濃度は10体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上のものが用いられる。塩化水素の濃度が10体積%よりも低い場合には、後述する精製工程(S30)で得られる未反応酸素を主成分とするガス(不純物)中の酸素の濃度が低くなり、後述する循環工程で反応工程(S12)へ供給する該ガスの量を少なくしなければならないことがある。
塩化水素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、オルトジクロロベンゼン、モノクロロベンゼンなどの塩素化芳香族炭化水素、およびトルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、および塩化ビニル、1,2−ジクロロエタン、塩化メチル、四塩化塩素、塩化エチルなどの塩素化炭化水素、およびメタン、アセチレン、エチレン、プロピレンなどの炭化水素、および窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン、水素、硫化カルボニル、硫化水素、二酸化硫黄などの無機ガスが挙げられる。塩化水素と酸素の反応において、塩素化芳香族炭化水素および塩素化炭化水素は、二酸化炭素と水に酸化され、一酸化炭素は二酸化炭素に酸化され、ホスゲンは、二酸化炭素と塩素に酸化される。
次に、図2に示すように、触媒下、反応器101にて、塩化水素を含むガスを酸素を含むガスで酸化し、塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を主成分とするガスを得る反応工程(S12)を実施する。
反応工程(S12)では、前処理工程(S11)において不純物を除去された塩化水素を含むガスとともに、酸素を含むガスが、反応器101に導入される。反応器101内では、以下の反応式により塩化水素が酸素によって酸化され、塩素が生成する。
4HCl+O2→2Cl2+2H2
酸素を含むガスとしては、酸素または空気が使用されるが、好ましくは酸素の濃度が80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上のものが用いられる。酸素の濃度が80体積%よりも小さい場合には、後述する精製工程(S30)で得られる未反応酸素を主成分とするガス中の酸素濃度が低くなり、後述する循環工程で反応工程(S12)へ供給する該ガスの量を少なくしなければならないことがある。酸素濃度が80体積%以上の酸素を含むガスは、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。酸素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などが挙げられる。
塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、理論量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25〜2モルとなるように供給することがさらに好ましい。酸素の量が過少であると、塩化水素の転化率が低くなる場合がある。一方、酸素の量が過多であると生成した塩素と未反応酸素の分離が困難になる場合がある。
反応工程(S12)では、ルテニウムおよび/またはルテニウム化合物等を含む触媒の存在下、塩化水素を酸素で酸化し、塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を主成分とするガスを得ることが好ましい。ルテニウムおよび/またはルテニウム化合物を触媒として用いることにより、触媒成分の揮発や飛散による配管等の閉塞トラブルを防止するとともに、揮発または飛散した触媒成分の処理工程が不要となる。さらに、化学平衡の観点でもより有利な温度で塩素を製造できるため、後述する吸収工程(S13)、乾燥工程(S14)および精製工程(S30)等の後工程を簡略化し、設備コスト及び運転コストを低く抑制することができる。
上記のルテニウムおよび/またはルテニウム化合物を含む触媒としては、公知の触媒(たとえば特開平9−67103号公報、特開平10−182104号公報、特開平10−194705号公報、特開平10−338502号公報および特開平11−180701号公報に記載されるもの)を用いることができる。
反応工程(S12)においては、酸化ルテニウムを含む触媒を用い、塩化水素ガスと酸素ガスとを反応させることにより塩素ガスを生成することが好ましい。酸化ルテニウムを含む触媒を用いた場合、塩化水素の転化率が著しく向上するという利点を有する。触媒中の酸化ルテニウムの含有量は、0.1〜20質量%の範囲内とされることが好ましい。酸化ルテニウムの量が0.1質量%よりも少ない場合、触媒活性が低く塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方、酸化ルテニウムの量が20質量%よりも多い場合には触媒価格が高くなる場合がある。なお、塩化水素の転化率は85%以上とすることが好ましい。
特に、たとえば特開平10−338502号公報に記載されるような、酸化ルテニウムの含有量が0.1〜20質量%であり、酸化ルテニウムの中心径が1.0〜10.0ナノメートルである担持酸化ルテニウム触媒または酸化ルテニウム複合酸化物型触媒もまた好ましく用いられる。
反応工程(S12)において使用される触媒は、たとえば、二酸化シリコン、グラファイト、ルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の担体に担持させて用いることが好ましい。特に酸化ルテニウムをこれらの化合物から選択される担体に担持させて用いることが好ましい。
反応工程(S12)の反応方式としては、たとえば固定床反応器を用いた固定床気相流通方式が適用できる。固定床式反応器には、たとえば特開2000−272907号公報に記載の方法によって、反応域のうち少なくとも二の反応域の温度制御を熱交換方式で行うものを用いることができる。このような反応領域を2つ以上に分けた反応器では、第1段目の反応域を2つ準備し、2段目以降が被毒される前に、第1段目を交互に切り替えて使用すれば実質的に問題を回避できる。しかし、高価な反応器を2基準備することはコストの観点から不利であるという面もある。
固定床式反応器としては、単一または直列に連結された複数の固定床反応管で、反応管の外側にジャケット部を有するものが挙げられる。反応管内の温度は、ジャケット部の熱媒体によって制御される。反応で生成した反応熱は、熱媒体を通じて、スチームを発生させて回収することができる。熱媒体としては、溶融塩、有機熱媒体および溶融金属などを挙げることができるが、熱安定性や取り扱いの容易さなどの点から溶融塩が好ましい。溶融塩の組成としては、硝酸カリウム50重量%と亜硝酸ナトリウム50重量%の混合物、硝酸カリウム53重量%と亜硝酸ナトリウム40重量%と硝酸ナトリウム7重量%の混合物を挙げることができる。反応管に使用される材質としては、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。金属材料としては、Ni、SUS316L、SUS310、SUS304、ハステロイB、ハステロイCおよびインコネルなどが挙げられるが、中でもNiが好ましく、炭素含有量が0.02重量%以下のNiが特に好ましい。
また、反応器101の入口部における硫黄成分濃度は、1000volppb以下であるのが好ましく、500volppb以下であるのがより好ましい。反応器101の入口部における硫黄成分濃度が1000volppbを超えると、触媒の全部でなく被毒された触媒のみを交換すれば、硫黄の被毒を回避することができるが、交換の間プラントの運転を停止しなければならず、また非常に煩雑な作業が必要となる虞があるためである。反応器101の入口部における硫黄成分濃度が1000volppb以下であれば、実質的に問題なく運転可能であり、従来と比較して格段に高い硫黄成分濃度を許容することができるので、大掛かりな装置や煩雑な操作を伴って硫黄成分を完全に除去する必要がない。したがって、触媒を充填しなおすことなく、長期にわたって運転を継続することができる。なお、この反応器の入口部における硫黄成分濃度は、たとえばガスクロマトグラフ法により測定することができる。
次に、吸収塔102にて、反応工程(S12)で得た塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を主成分とするガスを、水および/または塩酸水と接触させることにより、および/または、冷却することにより、塩化水素と水とを主成分とする溶液を回収し、塩素と未反応酸素とを主成分とする混合ガスを得る吸収工程(S13)を実施する。吸収工程(S13)では、接触温度は0〜100℃、圧力は0.05〜1MPaで行われる。接触させる塩酸水の濃度は、25重量%以下が好ましい。また、塩素水和物析出防止のために、特開2003−261306号公報に記載の方法を採用するのが好ましい。
得られた溶液は、そのまま、あるいは溶液中に含まれる塩素を加熱、および/または窒素などの不活性なガスのバブリングにより除去した後、電解槽のpH調整、ボイラーフィールド水の中和、アニリンとホルマリンの縮合転移反応および塩酸水電解の原料、食品添加用などに用いることができる。また、ソーダハンドブック1998、p315の図3.173に記載されているように塩酸の全部および一部を放散させてHClガスを得、反応原料として塩素収率を高めることも、さらには特開2001−139305号公報に記載の方法で、放散後の残塩酸から水を除去することで、塩素の収率をほぼ100%にすることも可能である。
次に、吸収工程(S13)で得た混合ガス中の水分を除去することにより、乾燥した混合ガスを得る乾燥工程(S14)を実施する。乾燥工程(S14)後のガス中の水分は0.5mg/l以下、好ましくは0.1mg/l以下である。混合ガス中の水分を除去する化合物としては、硫酸、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、ゼオライトなどが挙げられるが、中でも使用後の排出が容易であることから、硫酸が好ましい。混合ガス中の水分を除去する方法としては、吸収工程(S13)で得た塩素と未反応酸素とを主成分とする混合ガスを硫酸と接触させる方法が挙げられる。
乾燥工程(S14)において、加える硫酸の濃度は、90重量%以上が好ましい。硫酸濃度が90重量%よりも小さいと、混合ガス中の水分が十分に除去されないことがある。接触温度は0〜80℃、圧力は0.05〜1MPaで行われる。
乾燥剤として硫酸を使用した場合は、乾燥工程(S14)の直後で硫酸ミストを除去するのが好ましい。たとえば、ブリンクエリミネーターや特開2003−181235号公報記載の方法を適用することができる。
<圧縮混合ガス製造工程>
次に、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)を実施する。圧縮混合ガス製造工程(S20)により、精製塔105内の圧力調整を容易にできる。
圧縮機104は、実施の形態1のプロセスにおける乾燥塔103と精製塔105との間に配置されていれば特に限定されない。また、圧縮機104は、任意の圧縮機を用いることができる。
<精製工程>
次に、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)を実施する。精製工程(S30)により、乾燥工程(S14)で得た乾燥した混合ガスを、塩素を主成分とする液体またはガス(精製塩素)と未反応酸素を主成分とするガス(不純物)とに分離することにより塩素を得る。実施の形態1では、得られた精製塩素は液塩ドラム108に貯留させる。
塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離する方法としては、圧縮および/または冷却する方法、および/または公知の方法(たとえば特開平3−262514号公報、特表平11−500954号公報など)が挙げられる。たとえば、乾燥工程(S14)で得た混合ガスを圧縮および/または冷却することによって、塩素を主成分とする液体(精製塩素)が未反応酸素を主成分とするガス(不純物)と分離される。塩素の液化は、圧力と温度で規定される塩素が液体状態で存在し得る範囲で実施される。その範囲で低温にすればするほど、圧縮圧力が低くなるために圧縮動力は小さくできるが、工業的には設備などの問題から、圧縮圧力と冷却温度はこの範囲内の最適な経済条件を考慮して決められる。通常の運転においては、塩素液化の圧縮圧力は0.5〜5MPa、冷却温度は−70〜40℃で行われる。なお、圧縮混合ガス製造工程(S20)では、精製塔105でこのような圧力となるように圧縮機104で混合ガスを圧縮することが好ましい。
精製工程(S30)では、不純物を精製塔105の塔頂105aから排出する工程(S31)を実施することが好ましい。不純物は、未反応酸素ガスを主成分としているため、塩素よりも沸点が低い。そのため、蒸留された不純物は、気体となるため、塔頂105aから不純物を排出することが好ましい。
排出する工程(S31)では、精製塔105から排出される不純物を実施の形態1のプロセスの系外にパージする。この際、不純物(パージガス)中には残留塩素が含まれているので、環境への負荷を低減するため、該パージガス中の塩素をさらに除去するための除害工程を実施することが好ましい。塩素を除去する方法としては、該パージガスを、たとえばアルカリ金属水酸化物の水溶液、アルカリ金属チオ硫酸塩の水溶液、アルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、アルカリ金属水酸化物とアルカリ金属亜硫酸塩を溶解させた水溶液等と接触させる方法や、パージガス中の塩素を分離回収する公知の方法(特開平3−262514号公報、特開平10−25102号公報、特表平11−500954号公報)等が挙げられる。該パージガスの量は、精製工程(S30)において塩素と分離された未反応酸素を主成分とするパージガスのうち1〜50体積%、さらに1〜30体積%とされることが好ましい。
なお、本発明で得られる精製塩素においては、水素は実質的に検出されないことが好ましい。また、臭素およびヨウ素は精製塩素中の濃度が10ppm以下、三塩化窒素(NCl3)は精製塩素中の濃度が1wtppm以下とされることが好ましい。
また、酸素、窒素、二酸化炭素、水素の濃度はたとえばガスクロマトグラフ法、臭素、ヨウ素はたとえば酸化還元滴定法、三塩化窒素はたとえば吸光光度法によりそれぞれ測定することができる。
<測定工程>
次に、精製塔105から排出される精製塩素の純度を測定する測定工程を実施することが好ましい。そして、測定工程により測定される精製塩素の純度が所定の純度以上であるか否かを判断する工程(S40)を実施する。判断する工程(S40)で精製塩素の純度が所定の純度未満である場合には、判断する工程(S40)でNOと判断される。この場合には、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程を実施する。
なお、「純度」は、精製塩素中の塩素の純度を意味し、「所定の純度」は、99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。塩素の純度を99%以上とすることによって、種々の用途に用いることができる。塩素の純度を99.5%以上とすることによって、塩化ビニルやホスゲンの原料として好適に用いることができる。
また、測定工程において精製塔105から排出される精製塩素を測定する方法は任意の方法を採用でき、たとえばガスクロマトグラフ法などのオンライン分析計により測定することができる。
<再圧縮工程>
判断する工程(S40)でNOと判断された場合には、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程を実施する。具体的には、たとえば図2に示すように、精製塔105から排出される精製塩素を液塩タンク108に貯留する。そして、液塩タンク108から所定量の精製塩素を抜き出し、フラッシュさせた後、気化器109で気化させる。気化された精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入する。そして、実施の形態1のプロセスにおいて、精製塔105と、乾燥塔103と圧縮機104との間とを接続する配管の途中に配置される弁106を開ける。かつ、実施の形態1のプロセスにおいて、精製塔105(実施の形態1では気化器109)と製品塩素を送気する配管との途中に配置される弁107を閉じる。これにより、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入することができる。
そして、圧縮機104の吸入部104aで、精製塔105から排出された精製塩素と乾燥塔103から排出された乾燥された塩素を含む混合ガスとを混合する。そして、圧縮機104で混合されたガスを圧縮して、再圧縮ガスを製造する。そして、再圧縮ガスを精製塔105に導入する。
再圧縮工程実施後は、精製工程(S30)および判断する工程(S40)を繰り返す。これらの工程(S30,S40)は、上述した内容と同様に実施する。
<塩素製造工程>
一方、測定工程を実施して、精製塔105から排出される塩素の純度が所定の純度以上であるか否かを判断する工程(S40)において、YESと判断されれば、実施の形態1のプロセスの系内に充満していた不活性ガスや空気が排除されている。そのため、実施の形態1のプロセスにおけるスタートアップは終了する。スタートアップが終了すると、精製塩素を製品塩素として排出する。
具体的には、実施の形態1のプロセスにおいて、精製塔105と、乾燥塔103と圧縮機104との間とを接続する配管の途中に配置される弁106を閉じる。かつ、精製塔105(実施の形態1では気化器109)と製品塩素を送気する配管との途中に配置される弁107を開ける。これにより、精製塔105から排出される精製塩素を製品塩素として製造できる。
なお、判断する工程(S40)でYESと判断された後には、工程(S10〜S30)により、精製塩素を製品塩素として製造できる。精製塔105から排出された精製塩素を主成分とする液体は、そのまま、あるいは一部または全部を気化器109で気化させた後、たとえば塩化ビニルおよびホスゲンなどの原料として用いることができる。一部または全部を気化させた後に用いる場合は、乾燥工程(S14)で得られる混合ガスと熱交換を行うことにより、気化に必要な熱の一部を得ると同時に、乾燥工程(S14)で得られる塩素を含む混合ガス中の塩素の液化に必要な外部冷媒による冷却負荷を削減することが可能である。同様に、液体フロンの予備冷却や、塩素蒸留塔などの還流液の冷却に用いることもできる。
また、精製工程(S40)で得た未反応酸素を主成分とするガスの一部または全部を反応工程(S12)へ供給する循環工程を実施することが好ましい。また、このように硫酸ミストを含むガスを反応工程(S12)に循環させるに際し、反応器101の入口部における硫黄成分濃度は、上述したように1000volppb以下であることが好ましい。
以上説明したように、本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法によれば、塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法であって、塩化水素から塩素を含む混合ガスを製造する混合ガス製造工程(S10)と、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)と、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)と、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程とを備えている。これにより、スタートアップ時には、精製塔105で得られた精製塩素を、系外にパージせずに、液塩ドラム108に滞留させ、所定量の精製塩素は気化器109で蒸発させて圧縮機104を介して再度精製塔105に導入している。すなわち、精製塩素を実施の形態1のプロセスの系内で滞留または循環させているため、スタートアップ時に系外へパージする塩素を削減できる。そのため、実施の形態1のプロセスで原料から塩素を製造する効率を向上できる。
また、系外へパージする塩素を削減できるので、除害工程においてパージする塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。そのため、スタートアップ時において、コストの削減を図ることができる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、精製工程(S30)では、不純物を精製塔105の塔頂105aから排出する工程(S31)を含んでいる。これにより、不純物を精製塔105から系外へより効率良くパージできる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、精製塔105から排出される精製塩素の純度を測定する測定工程をさらに備えている。これにより、精製塩素の純度を管理できるので、製品塩素の純度を所望の範囲内にして、高い品質を維持できる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、測定工程で精製塩素の純度が所定の純度未満である場合に、再圧縮工程を実施する。これにより、精製塩素が所定の範囲内の純度を満たすまで、精製塩素が系内を滞留または循環して、系外へパージされない。そのため、スタートアップ時に系内から排出される塩素をより削減できる。また、系内から排出される塩素の量を削減できるので、除害工程で要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。さらに、精製塩素の純度を厳密に管理できるので、製品塩素の純度を維持できる。
上記スタートアップ方法において好ましくは、混合ガス製造工程(S10)は、塩化水素を酸化して、塩素と酸素とを含む混合ガスを得る工程(S12,S13)を含んでいる。すなわち、塩酸酸化法により塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法を適用している。そのため、スタートアップ時に系外に排出する塩素を削減するとともに、製造時には、塩化水素から塩素を効率的に製造することができる。
(実施の形態2)
図1および図3を参照して、本発明の実施の形態2におけるスタートアップ方法を説明する。実施の形態2は、塩化水素から塩素を製造するプロセスとしての塩酸水電解法のスタートアップ方法である。なお、図3は、本発明の実施の形態2におけるスタートアップ方法を説明するための図である。
実施の形態2におけるスタートアップ方法は、基本的には実施の形態1のスタートアップ方法と同様であるが、混合ガス製造工程(S10)においてのみ異なる。実施の形態2の塩酸水電解法による混合ガス製造工程(S10)は、たとえばソーダハンドブック1998、p296−297などを適用することができる。以下、混合ガス製造工程(S10)について説明する。
まず、図3に示すように、塩素の原料として塩化水素ガスを吸収塔201に供給する。また、水を吸収塔201に供給する。これにより、吸収塔201で塩酸を製造する。
次に、吸収塔201で得られた塩酸を液相電槽202に供給する。詳細には、液相電槽202は陰極室および陽極室を含み、それぞれ複数の電解エレメントを有している。そして、陰極室および陽極室に塩酸をそれぞれ供給する。液相電槽202では、塩酸が各エレメントを流れる間に電解されて、陽極室では塩素を、陰極室では水素を主に排出する。これにより、液相電槽202の陽極室から排出される塩素を含む混合ガスを得られる。
次に、液相電槽202から排出される塩素を含む混合ガスを乾燥塔103に供給する。乾燥塔103では実施の形態1における乾燥工程(S14)と同様であるので、その説明は繰り返さない。これにより、乾燥された塩素を含む混合ガスを得られる。
次に、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)を実施する。次に、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)を実施する。そして、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程を実施する。これらの工程は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
以上説明したように、本発明の実施の形態2におけるスタートアップ方法によれば、塩酸水電解法による塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法に適用することができる。そのため、塩酸水電解法であっても、系外へパージする塩素を削減でき、パージに伴う塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。
(実施の形態3)
図1および図4を参照して、本発明の実施の形態3におけるスタートアップ方法を説明する。実施の形態3は、塩化水素から塩素を製造するプロセスとしての無水塩酸電解法のスタートアップ方法である。なお、図4は、本発明の実施の形態3におけるスタートアップ方法を説明するための図である。
実施の形態3におけるスタートアップ方法は、基本的には実施の形態1のスタートアップ方法と同様であるが、混合ガス製造工程(S10)においてのみ異なる。実施の形態3の無水酸電解法による混合ガス製造工程(S10)は、たとえば特表2001−516333号公報などを適用することができる。以下、混合ガス製造工程(S10)について説明する。
具体的には、まず、図4に示すように、塩素の原料として塩化水素ガスを電気化学槽301に供給する。また、水素および水を電気化学槽301に供給する。電気化学槽301内で、無水の塩化水素を乾燥している塩素ガスに直接変換する。
詳細には、電気化学槽301内では、以下の反応により分子状の無水塩化水素に電気エネルギーを印加して、以下の反応式により、乾燥した塩素ガスとプロトンとが生成する。これにより、電気化学槽301から塩素を含む混合ガスが排出される。
2HCl→2H++2Cl2+2e-
次に、電気化学槽301から排出される塩素を含む混合ガスを乾燥塔103に供給する。乾燥塔103では実施の形態1における乾燥工程(S14)と同様であるので、その説明は繰り返さない。これにより、乾燥された塩素を含む混合ガスを得られる。
次に、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)を実施する。次に、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)を実施する。そして、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程を実施する。これらの工程は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
以上説明したように、本発明の実施の形態3におけるスタートアップ方法によれば、無水塩酸電解法による塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法に適用することができる。そのため、無水塩酸電解法であっても、系外へパージする塩素を削減でき、パージに伴う塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。
(実施の形態4)
図1および図5を参照して、本発明の実施の形態4におけるスタートアップ方法を説明する。実施の形態4は、塩化水素から塩素を製造するプロセスとしての酸素消費電極塩酸電解法のスタートアップ方法である。なお、図5は、本発明の実施の形態4におけるスタートアップ方法を説明するための図である。
実施の形態4におけるスタートアップ方法は、基本的には実施の形態1のスタートアップ方法と同様であるが、混合ガス製造工程(S10)においてのみ異なる。実施の形態4の酸素消費電極塩酸電解法により混合ガスを製造する混合ガス製造工程(S10)は、たとえば特開2003−49290号公報などを適用することができる。以下、混合ガス製造工程(S10)について説明する。
具体的には、まず、図4に示すように、塩素の原料として塩化水素水溶液を電解槽401に供給する。また、酸素含有ガスを電解槽401に供給する。電解槽401内で、塩素を含む混合ガスが得られる。
詳細には、図5に示すように、電解槽401は、カチオン交換膜401eにより酸素消費型陰極401dを有する陰極室401aと、陽極401cを有する陽極室401bとに区分されている。酸素消費型陰極401dは、カチオン交換膜401eの陰極室401a側に配置されている。電流分布器401fは、酸素消費型陰極401dの陰極室401a側に配置されている。陽極室401b中の圧力が高いので、カチオン交換膜401eは酸素消費型陰極401dの上に、酸素消費型陰極401dは電流分布器401fの上に押し付けられる。このようにして、酸素消費型陰極401dは充分な電気的接触を形成し、電流が充分に供給される。
原料としての塩化水素水溶液は、陽極室401bへ供給される。陽極401cで塩素が生成して、陽極室401bから排出される。酸素含有ガスは、陰極室401aの中へ供給され、そこで陽極室401bから酸素消費型陰極401dの中に拡散するプロトンと酸素消費型陰極401dで反応して、水を生成する。生成する水は、過剰な酸素含有ガスとともに排出される。
次に、電解槽401から排出される塩素を含む混合ガスを乾燥塔103に供給する。乾燥塔103では実施の形態1における乾燥工程(S14)と同様であるので、その説明は繰り返さない。これにより、乾燥された塩素を含む混合ガスが得られる。
次に、混合ガスを圧縮機104の吸入部104aに導入して、圧縮機104により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程(S20)を実施する。次に、圧縮混合ガスを精製塔105に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程(S30)を実施する。そして、精製塩素を圧縮機104の吸入部104aに導入して、混合ガスと精製塩素とを圧縮する再圧縮工程を実施する。これらの工程は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
以上説明したように、本発明の実施の形態4におけるスタートアップ方法によれば、酸素消費電極塩酸電解法による塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法に適用することができる。そのため、酸素消費電極塩酸電解法であっても、系外へパージする塩素を削減でき、パージすることに伴う塩素を処理するために要するアルカリ溶液の使用量を削減することができる。
なお、実施の形態1〜4における塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法は一例であり、本発明スタートアップ方法は塩化水素から塩素を製造する全てのプロセスのスタートアップ方法に適用できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1におけるスタートアップ方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態2におけるスタートアップ方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態3におけるスタートアップ方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態4におけるスタートアップ方法を説明するための図である。
符号の説明
101 反応器、102,201 吸収塔、103 乾燥塔、104 圧縮機、104a 吸入部、105 精製塔、105a 塔頂、106,107 弁、108 液塩ドラム、109 気化器、202 液相電槽、301 電気化学槽、401 電解槽、401a 陰極室、401b 陽極室、401c 陽極、401d 酸素消費型陰極、401e カチオン交換膜、401f 電流分布器。

Claims (5)

  1. 塩化水素から塩素を製造するプロセスのスタートアップ方法であって、
    前記塩化水素から前記塩素を含む混合ガスを製造する混合ガス製造工程と、
    前記混合ガスを圧縮機の吸入部に導入して、前記圧縮機により混合ガスを圧縮して、圧縮混合ガスを製造する圧縮混合ガス製造工程と、
    前記圧縮混合ガスを精製塔に導入して、蒸留により精製塩素と不純物とに分離する精製工程と、
    前記精製塩素を前記圧縮機の吸入部に導入して、前記混合ガスと前記精製塩素とを圧縮する再圧縮工程とを備えた、スタートアップ方法。
  2. 前記精製工程では、前記不純物を前記精製塔の塔頂から排出する工程を含む、請求項1に記載のスタートアップ方法。
  3. 前記精製塔から排出される前記精製塩素の純度を測定する測定工程をさらに備えた、請求項1または2に記載のスタートアップ方法。
  4. 前記測定工程で前記精製塩素の純度が所定の純度未満である場合に、前記再圧縮工程を実施する、請求項3に記載のスタートアップ方法。
  5. 前記混合ガス製造工程は、前記塩化水素を酸化して、前記塩素と酸素とを含む混合ガスを得る工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のスタートアップ方法。
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