JP3834501B2 - 蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法 - Google Patents

蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸留塔は原料液に含まれる沸点範囲の異なる複数の成分を分離することができる装置であり、有機化学工業、石油工業、アルコール工業などの幅広い分野で利用されている。図3は蒸留塔の一例を示す概略図である。図3に示すように、蒸留塔1は主に蒸留塔本体2、還流タンク6、リボイラー7などから構成されている。蒸留塔本体2は塔頂3、塔底5などの各部位からなり、必要に応じてサイドカット段4が設けられる。サイドカット段4にはサイドカット液の流出口20が設けられている。
【0003】
蒸留塔本体2には原料液が原料液供給口8から供給される。供給された原料液の一部は塔底に溜まり、残りは排出口13から排出される。排出された原料液の一部は缶出液として流出され、残りの液はリボイラー7に供給される。リボイラー7に供給された液は、熱媒体によって加熱されて蒸気となる。この蒸気は、蒸気入口9から蒸留塔本体2に導入され、原料液と向流接触しながら上昇し、塔頂3の蒸気排出口10から排出される。排出された蒸気は冷却器11に送られて凝縮液となり、還流タンク6に送られる。この凝縮液の一部は還流口12から還流液として蒸留塔本体2へ供給され、残りは留出液として流出される。原料液の供給量、サイドカット液の流出量、留出液の流出量、還流液の供給量、熱媒体の供給量および缶出液の流出量は、バルブ14、15、16、17、18および19によりそれぞれ調節される。
【0004】
上記のような蒸留塔1を定常運転まで立ち上げるスタートアップ操作は、通常、以下のような手順で行われている。まず、蒸留塔本体2に原料液または原料液に近い組成の液を供給し、所定量供給した時点で原料液の供給は一旦停止する。ついで、リボイラー7にスチーム等の熱媒体を供給し、炊き上げを開始する。この際、バルブ16、15および19を閉じて留出液、サイドカット液および缶出液の流出を停止しておき、バルブ17のみ開けて還流液を循環させる(全還流操作)。この全還流操作によって蒸留塔内に原料液を循環させている間、塔頂、サイドカット段および塔底に存在する液の温度測定あるいは液の組成分析を行い、全ての部位の液が所定の温度あるいは所定の組成になっていることを確認した後に、原料液の供給を再開し、ついで留出液、サイドカット液および缶出液の流出を開始する。このような一連の操作によれば安全に蒸留塔をスタートアップできることが知られている。
【0005】
しかしながら、上記のような方法では、定常運転に達するまでに長時間の全還流操作が必要であり、その間に多くの熱媒体が消費され、また、作業員は長時間操作に携わる必要がある。このため、スタートアップに要する時間を短縮して熱媒体の使用量や作業員の負担を低減することができる蒸留塔が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、蒸留塔のスタートアップ時間を短縮することができる蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来のスタートアップ操作では全ての部位の液が所定の温度あるいは所定の組成になるまで留出液および缶出液の流出をせず、かつ原料液の供給も停止しているということがスタートアップに長時間を要する原因であると考えた。そこで、蒸留塔本体へ原料液を中断することなく連続的に供給し、かつ塔頂および塔底の液がそれぞれ所定の組成に達した時点で留出液および缶出液の流出をそれぞれ開始すれば、スタートアップ時間を短縮できるはずであると考えた。
【0008】
ところが、この方法では原料液の供給を連続的に行うため、場合によっては、塔頂および塔底における液の温度あるいは組成が所定のレベルに達して留出液あるいは缶出液の流出を開始するまでに、蒸留塔本体、塔底、還流タンクまたはリボイラーの容積が不足してしまうことが考えられる。そこで、本発明者らは、蒸留塔の設計段階において、全還流操作をせずに原料液の供給を連続的に行って定常運転まで立ち上げるスタートアップシミュレーションを、蒸留塔の動的な挙動を表現できるダイナミックシミュレータを用いて行い、このシミュレーション結果に基づいて蒸留塔を設計すればスタートアップ時間を短縮可能な蒸留塔を設計できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の蒸留塔は、蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されていることを特徴とする。前記シミュレーションは、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間における蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータにより求めるものである。
【0010】
また、蒸留塔本体がサイドカット段を有する場合には、このサイドカット段を考慮したシミュレーションの結果に基づき蒸留塔を設計するのが好ましい。すなわち、本発明の蒸留塔は、好ましくは、サイドカット段を有する蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されていることを特徴とする。前記シミュレーションは、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間における蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータにより求めるものである。上記シミュレーションは、留出液および缶出液の流出だけでなく、サイドカット液の流出も停止した状態で行ってもよい。
【0011】
また、サイドカット段を有する蒸留塔の場合、サイドカット液の流出を停止しない状態でシミュレーションを行ってもよい。すなわち、サイドカット液を流出させ、留出液および缶出液の流出を停止した場合のシミュレーションは、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、サイドカット段の液の一部または全部を流出させたときの、前記時間における蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータにより求めるものである。
【0012】
本発明のスタートアップ方法は、前記蒸留塔のスタートアップ方法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始することを特徴とする。また、前記塔頂の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度および塔底の液温度を測定することにより行われてもよい。
【0013】
また、蒸留塔のサイドカット段を考慮する場合にも、上記と同様のスタートアップ方法を適用することができる。すなわち、本発明のスタートアップ方法は、前記蒸留塔のスタートアップ方法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始することを特徴とする。上記スタートアップは、留出液および缶出液の流出だけでなく、サイドカット液の流出も停止した状態で行ってもよい。この場合、サイドカット段の液組成が所定の組成となった時点で、サイドカット液の流出を開始する。また、前記塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度、サイドカット段の液温度および塔底の液温度を測定することにより行われてもよい。
【0014】
また、サイドカット段を有する蒸留塔の場合、サイドカット液の流出を停止しない状態でスタートアップを行ってもよい。すなわち、サイドカット液を流出させ、留出液および缶出液の流出を停止した場合のスタートアップ方法は、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、サイドカット段の液の一部または全部を流出させ、蒸留塔本体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である蒸留塔について詳細に説明する。本発明において、蒸留塔は例えば図1に示すフローチャートに基づいて設計される。
【0016】
I.蒸留塔の設計方法
<ステップ1>
まず、蒸留塔のスタートアップのシミュレーションを行うためのダイナミックシミュレータを構築する。このダイナミックシミュレータとは、蒸留塔の運転時における動的な挙動(時間の変化に伴う状態変化)を理論式または近似式を用いて表現して構築したシステムのことをいい、原料液供給条件、還流条件、リボイラーへの熱媒体供給条件などを与えて擬似操業したときの塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成などの各部位における液組成や蒸留塔本体の液量、塔底の液量、還流タンクの液量およびリボイラーの液量などの動的挙動をコンピュータにより算出するものである。
【0017】
ここで、塔頂の液組成が変化すると留出液の液組成が変化し、サイドカット段の液組成が変化するとサイドカット液の液組成が変化し、塔底の液組成が変化すると缶出液の液組成が変化する。なお、実際の蒸留塔における前記熱媒体としては、スチーム、温水、熱媒用オイルなどが使用できる。
【0018】
<ステップ2>
前記ダイナミックシミュレータ上で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始する。この原料液の供給は途中で中断することなく行われ、定常運転に達した後も継続される。塔底に所定量の液が溜まった時点でリボイラーへ熱媒体を供給し、さらに還流を開始する。
【0019】
<ステップ3>
塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成の動的挙動と、蒸留塔本体の液量、塔底の液量、還流タンクの液量およびリボイラーの液量の動的挙動とをシミュレーションする。時間の経過とともに、塔頂には低沸点成分が濃縮され、塔底には高沸点成分が濃縮されていく。
【0020】
<ステップ4>
塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成になっているかどうかを判定する。このとき、蒸留塔本体、塔底、還流タンクおよびリボイラーの各容積が、それぞれの箇所に存在する液量を保持できているかどうか(容積不足となっていないか)も同時に判定する。塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成のいずれかが所定の組成になったときは、それに対応する箇所から留出液、サイドカット液あるいは缶出液の流出を開始する。
【0021】
<ステップ5>
塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成の全てが所定の組成になり、留出液の流出、サイドカット液の流出および缶出液の流出の全てが開始されて定常運転となるまでに、蒸留塔本体、塔底、還流タンクおよびリボイラーの各容積が、それぞれの箇所に存在する液量を保持できなくなった場合は、ステップ5へ進み、容積不足となった部位の容積を変更し、変更した条件で再度ステップ2からシミュレーションを行う。このとき、原料液供給量、熱媒体供給量、還流量などの条件も必要に応じて変更してもよい。
【0022】
<ステップ6>
上記のようにして、ステップ2〜5のシミュレーションが繰り返され、各部位の組成の全てが所定の組成になった時点で各部位が必要とする容積などの条件が確立される。これにより、本発明の蒸留塔を設計することができる。
【0023】
<ステップ7>
得られたデータを基にして、蒸留塔を構築し、実機に適用する。なお、上記の設計方法は、蒸留塔建設前の設計段階において適用できるのはもちろんであるが、既設の蒸留塔の一部を改造する際にも適用することができる。
【0024】
II.実操業における蒸留塔のスタートアップ
上記した方法により設計された蒸留塔を使用すれば、本発明のスタートアップ方法により短時間で蒸留塔のスタートアップができる。すなわち、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出、サイドカット液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始することにより定常運転まで短時間で立ち上げることができる。
【0025】
ここで、「定常運転」とは、前記所定の組成の留出液、サイドカット液および缶出液を所定の流量で排出している状態をいう。
【0026】
なお、実操業においては、塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成をリアルタイムで測定するのが困難な場合があるが、これらの液組成は、塔頂の液温度、サイドカット段の液温度および塔底の液温度とそれぞれ相関が高いことから、各液温度を測定することにより各液組成の変化を観測することもできる。
【0027】
また、前記設計方法において、原料液供給量、熱媒体供給量、還流量などの条件は、予め設定した条件に固定してシミュレーションを行ってもよいが、これらの条件はダイナミックシミュレータ上で任意に設定することができるので、図1のフローチャートに示す手順に沿ったシミュレーションを繰り返すことで、これらの最適な条件を見出すこともできる。また、蒸留塔本体への原料液の供給を開始する時点では、蒸留塔本体内が空の状態からシミュレーションを開始するのが好ましいが、必要に応じて、任意の組成および量の液を蒸留塔本体内に予め供給した状態からシミュレーションを開始してもよい。
【0028】
上記一実施形態ではサイドカット段を一つだけ有する蒸留塔を例にして説明したが、サイドカット段を有しない蒸留塔や複数のサイドカット段を有する蒸留塔の場合にも本発明を適用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
実施例
以下の前提条件を基にして、ダイナミックシミュレータを用いた前記設計方法により蒸留塔を設計した。本実施例では、シミュレーション用のソフトウェアプログラムとして、AEA ハイプロテック社製の「HYSYS.PLANT」を使用した。
【0031】
<蒸留塔を設計する上での前提条件>
(i) 塔底からは高沸点成分を排出し、その一部または全部を製品(缶出液)として回収する。
(ii) 塔頂からは低沸点成分を排出し、その一部または全部を留出液として除去する。
(iii) サイドカット段からは未反応原料を流出させ、原料液の一部として再度使用する。
(iv) 原料液としては、前工程の反応器から供給され、この反応器の立ち上げに伴って徐々に液組成が変化するものを使用する。
【0032】
これらの前提条件を基にして設計された蒸留塔のスタートアップ操作手順を以下に示す。
<スタートアップ操作手順>
(a) 留出液および缶出液の流出は停止し、蒸留塔本体への原料液の供給を開始する。
(b) 蒸留塔本体内の液はサイドカット段より流出させて、再度原料液の一部として使用する。このとき、サイドカット液の流出量は塔底の液面レベルが一定となるように調整する。
(c) 前工程の反応器のスタートと同期させ、遅れを加味し、リボイラーにスチーム(熱媒体)を投入し、ついで還流を開始する。
(d) 前工程の反応により原料液中に高沸点成分(製品成分)および低沸点成分が増加してくる。
(e) 塔底の液温度が所定の温度になった時点で缶出液の流出を開始する。このとき、缶出液の流出量は塔底の液面レベルが一定となるように調整する。この際、サイドカット液の流出量の調整は、蒸留塔本体内の圧力損失が一定となるような調整に切り替える。
(f) 塔頂の液温度が所定の温度になった時点で留出液の流出を開始する。これにより定常運転となる。このとき、留出液の流出量は原料液供給量の約2%、サイドカット液の流出量は原料液供給量の約85%、缶出液の流出量は原料液供給量の約13%であった。
【0033】
上記スタートアップ操作手順により擬似操業を行った結果を図2に示す。図2は、横軸が擬似操業時の経過時間(単位は時間。)を表し、縦軸が流出量または供給量(単位はトン/時間。1トン=1000kg。)と塔底に存在する液の容積(塔底の容積に対する比(単位は%))とを表している。図2に示すように、短時間(約4.5時間)で蒸留塔を立ち上げることができた。なお、留出液の流出量は原料液供給量の約2%と微量であったため、図2中に図示されていない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法によれば、蒸留塔のスタートアップ時間を短縮することができるので、全還流操作を行う従来法と比較して、効率的でかつ経済性にも優れているという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である蒸留塔の設計方法を示すフローチャートである。
【図2】実施例において蒸留塔のスタートアップのシミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図3】蒸留塔の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔
2 蒸留塔本体
3 塔頂
4 サイドカット段
5 塔底
6 還流タンク
7 リボイラー

Claims (6)

  1. 蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されていることを特徴とする蒸留塔。
    留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間における蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータにより求めるシミュレーション。
  2. サイドカット段を有する蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されていることを特徴とする蒸留塔。
    留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間における蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータにより求めるシミュレーション。
  3. 請求項1記載の蒸留塔のスタートアップ方法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始することを特徴とする蒸留塔のスタートアップ方法。
  4. 前記塔頂の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度および塔底の液温度を測定することにより行われる請求項3記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
  5. 請求項2記載の蒸留塔のスタートアップ方法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始することを特徴とする蒸留塔のスタートアップ方法。
  6. 前記塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度、サイドカット段の液温度および塔底の液温度を測定することにより行われる請求項5記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
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