JP4128346B2 - サイドカット塔の制御方法およびこれに使用するサイドカット塔 - Google Patents

サイドカット塔の制御方法およびこれに使用するサイドカット塔 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイドカット塔を安定して操業するためのサイドカット塔の制御方法およびこれに使用するサイドカット塔に関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸留塔を用いて複数成分からなる混合液を沸点範囲の異なる3種類の成分に分離する場合、2塔の蒸留塔を用いると安定して操業できることが経験的に知られている。一方、このような系にサイドカット塔を適用して、1塔のサイドカット塔のみで1度に沸点範囲の異なる3種類の成分に分離できることも知られている。後者の方法は塔の建設費の面で有利である。
【0003】
図8は、サイドカット塔51の基本的な制御ループ構成の一例を示す概略図である。このサイドカット塔51は、フィード流量、留出流量、サイドカット流量、熱媒流量、缶出流量および還流流量が制御されている。フィード流量、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量は、各流量の実測値に基づいて、流量制御器18、8、9および10により調整弁17、5、6および7がそれぞれ調整されることにより制御されている。また、還流流量および缶出流量は、還流タンク11およびリボイラ14内の液面高さの実測値に基づいて、液面制御器12および15により調整弁13および16がそれぞれ調整されることにより制御されている。なお、26は凝縮器である。
【0004】
図8に示す系において何らかの外乱が生じて留出液、サイドカット液および缶出液の液組成が変化した場合、通常、各液の流量を変化させることにより液組成を制御する。各液組成はリアルタイムで測定するのが困難であるが、留出液組成は塔頂付近2の温度と、サイドカット液組成はサイドカット段付近3の温度と、缶出液組成は塔底付近4の温度とそれぞれ相関が高いことから、各液組成の変化は上記各温度を測定することにより観測することができる。
【0005】
したがって、図8に示すように、留出流量制御器8と塔頂付近2の温度の温度制御器52とのカスケード制御、サイドカット流量制御器9とサイドカット段付近3の温度の温度制御器53とのカスケード制御、熱媒流量制御器10と塔底付近4の温度の温度制御器54とのカスケード制御をそれぞれ導入する制御方法が考えられる。しかしながら、上記3箇所の温度制御を同時に実施した場合、これらの制御間で干渉が生じ、操業が不安定になる。操業時におけるサイドカット塔内の挙動は非常に複雑であるため、前記干渉を抑制することができる条件出しを実機を用いて実施するのは時間と労力の面で実質的に不可能である。
【0006】
このため、通常のサイドカット塔では、温度制御は1箇所のみとし、他の制御箇所は何も制御しないか、あるいは図9に示すような比率制御で流量バランスを安定化させる方法が用いられている。すなわち、図9に示すサイドカット塔55は、例えば塔底付近4にのみ温度制御器56を導入し、比率制御器57によりサイドカット流量と還流流量とを比率制御したものである。この制御方法では、塔底付近4の液組成、すなわち缶出液組成は安定して制御できる。しかしながら、塔頂付近2およびサイドカット段付近3では、液の温度が全く考慮されていないため、これらの液組成、すなわち留出液組成およびサイドカット液組成の外乱によるばらつきを抑制するのは困難である。
【0007】
しかも、上記のようなサイドカット塔を設計する際には、操作上および制御上の動的な外乱などを考慮した検討はなされていないのが現状であった。このため、実操業に至った後、操作上および制御上のトラブルが発生するケースが多く見られた。
【0008】
以上のことから、塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4の全てにおいて、操業時に生じる外乱に対して、液組成および液流量を安定して制御することができるサイドカット塔の制御方法が必要とされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の全てにおいて、操業時に生じる外乱に対して、液組成および液流量を安定して制御することができるサイドカット塔の制御方法およびこれに使用するサイドカット塔を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、サイドカット塔の操業時において想定され、しかも避けがたい外乱の主なものとしてフィード組成の変動があることに着目した。このフィード組成変動は、不規則に発生することに加え、組成を連続的に観測することは困難であり、しかも留出液組成、サイドカット液組成および缶出液組成の変動の原因にもなる。このため、このような外乱に対処するためには、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の3箇所を温度制御できるフィードバック制御系が有効であると考えた。
【0011】
しかしながら、3箇所を同時に制御しようとすると、前記したように、制御ループの干渉により制御系の安定性に問題が生じるため、全ての組成を精度よく制御し続けることは困難であった。
【0012】
そこで、本発明者らは、3箇所を同時に温度制御し、かつ干渉を抑制し、しかも操業時の動的外乱をも考慮してサイドカット塔を安定して操業するための制御方法についてさらに研究を重ねた。その結果、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度と、操業上、制御上の動的な外乱などにより生じるサイドカット塔の動的挙動とを考慮に入れてダイナミックシミュレータによるシミュレーションを行い、3箇所のフィードバック制御パラメータをそれぞれ調整することで、干渉を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明の制御方法は、サイドカット塔を安定操業させるためのサイドカット塔の制御方法であって、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータをそれぞれ設定し、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれフィードバック制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、サイドカット塔の操業において想定され、しかも避けがたい他の外乱としてフィード流量の変動があることに着目した。このフィード流量は、生産調整やスタートアップ/シャットダウンの多い系では負荷変動が生じるため、特に変動しやすい。このようなフィード流量変動が生じやすい系では、フィード流量変動が生じてから、留出流量、サイドカット流量および缶出流量の変動として観測されるまでに時間の遅れが生じるため、十分な応答性を持った制御をすることができない。そこで、本発明者らは、このような系の場合、前記制御方法に加えて、外乱(フィード流量変動)を直接観測し、予め実験若しくはシミュレーションで導出されたフィードフォワード式を介して前記外乱に応じた操作を実施するフィードフォワード制御が有効であることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明の制御方法は、サイドカット塔を安定操業させるためのサイドカット塔の制御方法であって、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータをそれぞれ設定し、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれフィードバック制御し、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量に基づいてフィードフォワード制御することを特徴とする。
【0016】
本発明のサイドカット塔は、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータが設定され、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれ制御するためのフィードバック制御手段を備えていることを特徴とし、これらの手段に加えて、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量に基づいて制御するためのフィードフォワード制御手段を備えているのがより好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のサイドカット塔1を示す概略図である。
【0018】
本発明のサイドカット塔1は、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータが設定され、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔1の塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4の温度をそれぞれ制御するための温度制御器19、20、21などからなるフィードバック制御手段と、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量に基づいて制御するためのフィードフォワード制御器22、23、24などからなるフィードフォワード制御手段とを備えている。
【0019】
本発明におけるサイドカット塔1は、留出液を排出するための留出ラインおよび缶出液を排出するための缶出ラインの他に、サイドカット液を排出するためのサイドカットラインを備えており、沸点範囲の異なる3種類の成分に分離することができる蒸留塔である。
【0020】
前記オフラインとは、サイドカット塔1を建設する前の設備設計段階はもちろんのこと、建設後においても設備立ち上げ前や操業の合間などのサイドカット塔1が稼働していないときのことをいう。
【0021】
本発明において、ダイナミックシミュレータとは、サイドカット塔1の操業時における動的な挙動(時間の変化に伴う状態変化)を理論式または近似式を用いて表現して構築したシステムのことをいい、フィード流量、フィード組成などの実操業で想定される外乱を与えて疑似操業したときのサイドカット塔1内の動的な挙動、例えばサイドカット塔内温度の経時的な変化などをコンピュータにより算出することができるものである。
【0022】
塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4における「付近の温度」とは、目標とする液組成(留出液組成、サイドカット液組成、缶出液組成)との相関が高く、かつ各液組成が変化した際に、観測可能な大きさをもって変化する箇所の温度をいう。例えば、塔頂付近2において目標とする液組成と比較して低沸成分が増加した場合、塔頂付近2の温度は目標温度よりも低い値となる。
【0023】
サイドカット塔1の操業により得られる留出液、サイドカット液および缶出液は、製品として回収されたり、あるいは次工程で使用されたりする。これらの液は、その用途に応じてそれぞれ要求される液組成の範囲(精度)が異なる。本発明における「要求される温度精度」とは、操業時における塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4において許容されるそれぞれの温度範囲のことをいい、これらの温度を範囲内に制御することによって、留出液、サイドカット液および缶出液のそれぞれの液組成を要求される範囲内に制御することができる。すなわち、要求される各液組成を基にして、要求されるそれぞれの温度精度が決定される。
【0024】
塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4の温度を制御する方法は特に限定されないが、例えば留出流量、サイドカット流量および熱媒流量を増減させることによって、塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4のそれぞれの温度を制御することができる。
【0025】
フィードバック制御手段には、例えばPID制御を使用することができる。この場合のフィードバック制御パラメータとしてはPID制御の制御パラメータである比例ゲイン(比例帯)、積分時間などが挙げられる。本実施形態では、前記ダイナミックシミュレータにより塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4において要求されるそれぞれの温度精度を考慮した比例ゲインおよび/または積分時間を設定する。
【0026】
本発明におけるフィードフォワード制御は、フィードフォワード制御器22、23、24により行われ、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量変動に基づいて制御する。すなわち、外乱であるフィード流量変動を、実験あるいはシミュレーションで導出したフィードフォワード式を介して留出流量、サイドカット流量および熱媒流量の増減量に変換するものである。また、熱媒流量のフィードフォワード制御においては、観測されたフィード流量変動と、この変動に対する熱媒流量の増減との動作タイミングを合わせるための遅れ器25を設けることもできる。
【0027】
I.ダイナミックシミュレータによるフィードバック制御パラメータの設定方法図2は、ダイナミックシミュレータによるフィードバック制御パラメータの設定手順を示したフローチャートである。以下、フィードバック制御としてPID制御を用いた場合を例にして説明する。
【0028】
<ステップ1>
まず、サイドカット塔1の動的な挙動を表現できるダイナミックシミュレータを構築する。
【0029】
<ステップ2>
ついで、構築したダイナミックシミュレータにフィード流量、フィード組成などの実操業で想定される外乱を与える。
【0030】
<ステップ3>
ダイナミックシミュレータにより塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4におけるフィードバック制御パラメータをそれぞれ単独で調整する。例えば、塔頂付近2の比例ゲインを調整する場合、サイドカット段付近3および塔底付近4の温度制御は行わず、塔頂付近2の温度のみをフィードバック制御したときのシミュレーションをして、その際の温度変動(温度のふれ幅)が要求される温度精度を満たすように比例ゲインを調整する。
【0031】
<ステップ4>
塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4のうち、任意の2箇所の温度をフィードバック制御したときのシミュレーションをする。このシミュレーションは全ての組み合わせについて実施する。2箇所を同時に温度制御すると干渉による振れが生じるため、通常、ステップ3の単独制御のときよりも温度変動が大きくなる。
【0032】
<ステップ5>
ステップ4のシミュレーションで生じる温度変動が要求される温度精度を満たさない場合は、それぞれの比例ゲインを調整し、再度ステップ4のシミュレーションを行う。このとき、要求精度の低い方の比例ゲインを優先して小さく(感度を低く)する。それぞれの要求精度が満たされるまで、この操作を繰り返し行う。
【0033】
<ステップ6>
塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4の全ての温度を同時にフィードバック制御したときのシミュレーションをする。3箇所を同時に温度制御すると、通常、ステップ4の場合(2箇所を温度制御)よりも温度変動が大きくなる。
【0034】
<ステップ7>
ステップ6のシミュレーションで生じる温度変動が要求される温度精度を満たさない場合は、それぞれの比例ゲインを調整し、再度ステップ6のシミュレーションを行う。このとき、要求精度の低い方の比例ゲインを優先して小さくする。それぞれの要求精度が満たされるまで、この操作を繰り返し行う。
このようにして調整された各パラメータは、フィードバック制御パラメータとして実操業に適用される(ステップ8)。
【0035】
II.サイドカット塔の制御
図3は、サイドカット塔1の制御系を示したブロック図である。
図1および3に示すように、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量は調整バルブ5、6、7により調整される。このバルブ5、6、7を直接制御するのは流量制御器8、9、10である。流量制御器8、9、10は、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量の実測値とそれぞれの設定値とを比較してPID制御するものである。
【0036】
この流量制御器8、9、10の上位には、温度制御器19、20、21およびフィードフォワード制御器22、23、24が設けられている。温度制御器19、20、21は、塔頂付近2の温度、サイドカット段付近3の温度および塔底付近4の温度とそれぞれの設定値とを比較してPID制御するものである。この温度制御器19、20、21には、前記したダイナミックシミュレータにより調整された各パラメータがそれぞれ設定されている。フィードフォワード制御器22、23、24は、前記したように、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量の変動に基づいて制御するものである。
【0037】
以上のように、塔頂付近2の温度、サイドカット段付近3の温度および塔底付近4の温度が、ダイナミックシミュレータにより調整された各パラメータが設定された温度制御器19、20、21と流量制御器8、9、10とによりカスケード制御され、しかも流量制御器8、9、10がフィードフォワード制御器22、23、24によりフィードフォワード制御されているサイドカット塔1を使用することによって、塔頂付近2、サイドカット段付近3および塔底付近4の全てにおいて、操業上に生じる外乱に対して、安定して液組成および液流量を制御することができる。
【0038】
なお、前記熱媒としては、スチーム、温水、熱媒用オイルなどが使用できる。また、リボイラに用いられる加熱手段としては、上記熱媒を用いた熱交換器型式の他に、電熱ヒータ型式などを用いることもできる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
図1および3に示したサイドカット塔1の制御系の安定性をシミュレーションにより評価した。この安定性評価では、シミュレーション用のソフトウェアプログラムとして、Aspen Technology社製のASPEN CUSTOM MODELERを使用した。
<PID制御パラメータの設定条件>
塔頂付近2のパラメータ(比例ゲイン)を小さく設定し感度を抑え、サイドカット段付近3および塔底付近4のパラメータは一般的なパラメータ設定値とした。
【0041】
実施例1
外乱としてフィード流量をステップ状に変動させたときの制御応答について評価した。結果を図4に示す。
シミュレーションによる疑似操業を開始してから2時間後(図4の破線部分)にフィード流量をステップ状に変動させたところ、サイドカット液組成および缶出液組成にはほとんど変動は見られなかった。一方、比例ゲインを小さく設定した留出液組成は若干変動が見られたものの、その組成は許容範囲内であった。
【0042】
実施例2
外乱としてフィード組成をステップ状に変動させたときの制御応答について評価した。結果を図5に示す。
シミュレーションによる疑似操業を開始してから2時間後(図5の破線部分)にフィード組成をステップ状に変動させたところ、缶出液組成にはほとんど変動は見られなかった。一方、サイドカット液組成と留出液組成との間には干渉が見られ、特に比例ゲインを小さく設定した留出液組成に比較的大きな変動が見られた。しかし、これらの組成は全て許容範囲内であった。
【0043】
試験例1
外乱として2時間の間にフィード流量を徐々に上昇させたときの制御応答について評価した。シミュレーションによる疑似操業を開始してから2時間後にフィード流量の上昇(負荷上げ)を開始し、その後2時間かけて所定の流量に達したところで負荷上げを停止した。
【0044】
試験例2
外乱として5時間の間にフィード流量を徐々に上昇させたときの制御応答について評価した。シミュレーションによる疑似操業を開始してから2時間後にフィード流量の上昇(負荷上げ)を開始し、その後5時間かけて試験例1と同じ流量に達したところで負荷上げを停止した。
【0045】
試験例1および2の結果を図6および7にそれぞれ示す。
図6および7に示すように、負荷上げに要する時間が短いほど組成の変動が大きくなることが分かる。このシミュレーションによる疑似操業によって、実操業において組成変動が許容範囲内となるような負荷上げ時間を決定することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度と、操業時の動的な外乱などにより生じるサイドカット塔の動的挙動とを考慮に入れてダイナミックシミュレータによるシミュレーションを行い、3箇所のフィードバック制御パラメータをそれぞれ調整し、該パラメータを用いてそれぞれの温度をフィードバック制御することで、制御間の干渉を抑制でき、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の全てにおいて、操業上に生じる外乱に対して、液組成を安定して制御することができるという効果がある。
【0047】
さらに、本発明によれば、上記制御方法に加えて、流量制御器がフィードフォワード制御器によりフィードフォワード制御されているサイドカット塔を使用するときは、塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の全てにおいて、操業時に生じる外乱に対して、液組成および液流量を安定して制御することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるサイドカット塔を示す概略図である。
【図2】本発明におけるダイナミックシミュレータによるフィードバック制御パラメータの設定手順を示したフローチャートである。
【図3】本発明におけるサイドカット塔の制御系を示したブロック図である。
【図4】実施例1において、フィード流量をステップ状に変動させたときの制御応答について評価した結果を示すグラフである。
【図5】実施例2において、フィード組成をステップ状に変動させたときの制御応答について評価した結果を示すグラフである。
【図6】試験例1において、フィード流量を徐々に上昇させたときの制御応答について評価した結果を示すグラフである。
【図7】試験例2において、フィード流量を徐々に上昇させたときの制御応答について評価した結果を示すグラフである。
【図8】サイドカット塔の基本的な制御ループ構成の一例を示す概略図である。
【図9】サイドカット塔の基本的な制御ループ構成の他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 サイドカット塔
2 塔頂付近
3 サイドカット段付近
4 塔底付近
5,6,7,13,16,17 調整バルブ
8,9,10,18 流量制御器
11 還流タンク
12,15 液面制御器
14 リボイラ
19,20,21 温度制御器
22,23,24 フィードフォワード制御器
25 遅れ器
26 凝縮器

Claims (5)

  1. サイドカット塔を安定操業させるためのサイドカット塔の制御方法であって、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータをそれぞれ設定し、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれフィードバック制御するにあたり、
    前記フィードバック制御がPID制御であり、前記パラメータがPID制御における比例ゲインおよび/または積分時間であることを特徴とするサイドカット塔の制御方法。
  2. サイドカット塔を安定操業させるためのサイドカット塔の制御方法であって、オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータをそれぞれ設定し、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれフィードバック制御し、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量に基づいてフィードフォワード制御するにあたり、
    前記フィードバック制御がPID制御であり、前記パラメータがPID制御における比例ゲインおよび/または積分時間であることを特徴とするサイドカット塔の制御方法。
  3. 前記フィードバック制御により留出流量、サイドカット流量および熱媒流量が調節されることによって、前記塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度がそれぞれ制御される請求項1または2に記載のサイドカット塔の制御方法。
  4. オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータが設定され、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれ制御するためのフィードバック制御手段を備えており、該フィードバック制御がPID制御であり、前記パラメータがPID制御における比例ゲインおよび/または積分時間であることを特徴とするサイドカット塔。
  5. オフラインでダイナミックシミュレータにより塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近において要求されるそれぞれの温度精度を考慮したフィードバック制御パラメータが設定され、設定された各パラメータを用いてサイドカット塔の塔頂付近、サイドカット段付近および塔底付近の温度をそれぞれ制御するためのフィードバック制御手段と、留出流量、サイドカット流量および熱媒流量をフィード流量に基づいて制御するためのフィードフォワード制御手段とを備えており、前記フィードバック制御がPID制御であり、前記パラメータがPID制御における比例ゲインおよび/または積分時間であることを特徴とするサイドカット塔。
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