JP2015102314A - ボイラシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ハンチング抑止・収束することが可能なボイラシステムを提供すること。
【解決手段】複数のボイラ20と、ボイラ20により生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、PID制御により算出された、ボイラ20で発生すべき必要蒸気量に基づいてボイラ20の燃焼状態を制御する制御部4と、を備えるボイラシステム1であって、制御部4は、ハンチングが発生している場合又はハンチングが発生する可能性が高い場合に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点における、PID制御により算出された必要蒸気量を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換える。
【選択図】図4

Description

本発明は、蒸気消費量に応じたボイラの燃焼量を、PIDアルゴリズムにより制御するボイラシステムに関する。
従来、ボイラと、蒸気使用設備の蒸気消費量(要求負荷)に応じてボイラの燃焼量を制御する制御部と、を備えたボイラシステムが知られている。このようなボイラシステムでは、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力値」ともいう)が蒸気消費量の変動に係わらず一定の目標蒸気圧力値となるように、蒸気消費量の変動に応じてボイラの燃焼量が制御される。従来、蒸気消費量の変動に対して蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つため、ボイラで発生すべき蒸気量(以下、「必要蒸気量」ともいう)をPIDアルゴリズムにより制御する手法を用いたボイラシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−73105号公報 特許第3805611号公報
ところで、PIDアルゴリズムによる蒸気量の制御では、圧力安定性を重要視する観点から、予め制限条件圧力を設けておき、ヘッダ圧力値が制限条件圧力を超えた場合に、全てのボイラを待機(以下、「全台待機」ともいう)とする台数制御を行うことがある。
全台待機となった場合、ヘッダ圧力値は急激に下降し、PID演算により算出される必要蒸気量が過剰に確保される。このため、ボイラが燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、ヘッダ圧力値は下降から上昇に転じる。そして、ヘッダ圧力値が上昇に転じた時点から必要蒸気量は減少し続けるが、その時点で必要蒸気量が過剰に確保されている。そして、出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないため、出力蒸気量は増加し続け、ヘッダ圧力値が増加し続ける。
これにより、ヘッダ圧力値の上昇を抑えきれずに再度、制限条件圧力を超えることにより全台待機となり、ヘッダ圧力値が急降下する、ということを繰り返すこととなる。
この繰り返しにより、ヘッダ圧力値が目標蒸気圧力値に収束せずに上下に変動する、いわゆるハンチング現象が発生し、継続する。
このようなハンチング現象は、出力蒸気量が大幅に不足することにより、ヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない下限圧力を下回った場合においても発生し得る。
本発明は、ヘッダ圧力値の下降が所定の条件を満たす急激な下降である場合、ヘッダ圧力値を速やかに目標蒸気圧力値に収束させるボイラシステムを提供することを目的とする。また、ヘッダ圧力値が制限条件圧力を超えて全台待機となった場合、又はヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない下限圧力を下回った場合等において、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができるボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラと、該複数のボイラにより生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記制御部は、蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、制御周期nにおける今回必要蒸気量MVを、制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1、及び制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVに基づいて速度形PID制御方式により算出する蒸気量算出部と、前記蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVを発生させるよう制御周期nにおける前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、を備え、前記蒸気量算出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えた制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1と制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVとを加算して算出する、ボイラシステムに関する。
また、本発明は、燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラと、該複数のボイラにより生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記制御部は、蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、制御周期nにおける今回必要蒸気量MVを、制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1、及び制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVに基づいて速度形PID制御方式により算出する蒸気量算出部と、前記蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVを発生させるよう制御周期nにおける前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、を備え、前記蒸気量算出部は、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えて算出する、ボイラシステムに関する。
また、前記所定の条件は、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値がオーバーシュートしたことに起因して前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降すること、又は蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降してアンダーシュートすることを含むことが好ましい。
また、前記所定の条件は、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が制御上限圧力値を超えること、又は蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回ることを含むことが好ましい。
また、前記所定の条件は、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が該制御上限圧力値を超えた場合に、前記複数のボイラを全台待機とすることを含むことが好ましい。
本発明によれば、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値が目標圧力値と一致するように、制御対象のボイラの燃焼量を制御する台数制御手段を備えるボイラシステムにおいて、ヘッダ圧力値の下降が所定の条件を満たす急激な下降である場合、ヘッダ圧力値を速やかに目標蒸気圧力値に収束させることで、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができるボイラシステムを提供することができる。
本発明によれば、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値が目標圧力値と一致するように、制御対象のボイラの燃焼量を制御する台数制御手段を備えるボイラシステムにおいて、ヘッダ圧力値が制限条件圧力を超えて全台待機となった場合、又はヘッダ圧力値が通常制御であれば到達しない下限圧力を下回った場合等において、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができるボイラシステムを提供することができる。
実施形態1に係るボイラシステム1の概略構成図である。 ボイラ群の概略を示す図である。 制御部の構成を示す機能ブロック図である。 実施形態1に係るボイラシステム1のフィードバック制御の流れを示すフローチャートである。 実施形態2に係るボイラシステム1のフィードバック制御の流れを示すフローチャートである。 図1に示すボイラシステム1をモデルとして、通常の速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量との時間的推移を示す図である。 図1に示すボイラシステム1をモデルとして、本発明の一実施形態に係る速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量との時間的推移を示す図である。
以下、本発明のボイラシステムの好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力(ヘッダ圧力)を測定し、測定結果としての蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20と電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態を制御する。台数制御装置3の詳細については、後述する。
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の変動に基づいて必要蒸気量を算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量(後述の出力蒸気量)が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が下降することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の下降により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、蒸気ヘッダ6に供給される蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が上昇することになる。従って、ボイラシステム1は、蒸気圧センサ7により測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。そして、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力に基づいて、蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じて必要とされる蒸気量である必要蒸気量を算出する。制御方式の詳細については、後述する。
ここで、実施形態1のボイラシステム1を構成する複数のボイラ20について説明する。図2は、実施形態1に係るボイラ群2の概略を示す図である。
実施形態1のボイラ20は、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、燃焼率の20%の燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼率が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度を制御することにより、燃焼率を調整するようになっている。
また、燃焼率を連続的に制御するとは、後述のローカル制御部22における演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、ボイラ20の出力(燃焼率)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
実施形態1では、ボイラ20の燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更は、ボイラ20(バーナ)の燃焼をオン/オフすることで制御される。そして、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、燃焼率が連続的に制御可能となっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
単位蒸気量Uは、ボイラ20の最大燃焼状態S2における蒸気量(最大蒸気量)に応じて適宜設定できるが、ボイラシステム1における出力蒸気量の必要蒸気量に対する追従性を向上させる観点から、ボイラ20の最大蒸気量の0.1%〜20%に設定されることが好ましく、1%〜10%に設定されることがより好ましい。
なお、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
また、複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2に示すように、ボイラ20の1号機〜5号機のそれぞれに「1」〜「5」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、5号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、通常の場合、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
以上のボイラ20は、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の燃焼状態を制御するローカル制御部22と、を備える。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
次に、台数制御装置3の詳細について説明する。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧力信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
記憶部5は、制御部4の制御により各ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各ボイラ20から受信した燃焼状態等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を記憶する。こうすることで、記憶部5は、各ボイラ20から出力される実際の蒸気量、及び各ボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値である実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量を記憶部5に記憶する。
制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20に各種の指示を行ったり、各ボイラ20から各種のデータを受信したりして、5台のボイラ20の燃焼状態や優先順位を制御する。各ボイラ20は、台数制御装置3から燃焼状態の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
(制御部4の構成)
次に、制御部4の詳細な構成について説明する。図3に示すように、制御部4は、蒸気量算出部41と、出力制御部42と、を含んで構成される。
蒸気量算出部41は、予め設定された目標蒸気圧力値SV、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値PV等に基づいて、必要蒸気量を算出する。具体的には、蒸気量算出部41は、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値PVが、予め設定された目標蒸気圧力値SVとなるように、必要蒸気量を、後述の速度形PIDアルゴリズムにより算出する。
蒸気量算出部41は、複数のボイラ20から発生させる今回必要蒸気量MVnを、下記の速度形演算式(1)に基づいて算出する。

MV = MVn−1 + ΔMV ・・・(1)
ここで、Δtを制御周期、nを正の整数値としたとき、
MVは制御周期n(起点t0+n*Δt)における複数のボイラ20から発生させる今回必要蒸気量、
MVn−1は制御周期(n−1)における前回必要蒸気量、
ΔMVは制御周期毎の必要蒸気量変化分を表す。

速度形演算は、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVのみを計算し、これに前回必要蒸気量MVn−1を加算して、今回必要蒸気量MVを計算する方法である。
これに対して、制御周期毎に今回必要蒸気量MVを直接計算するPID制御アルゴリズムは、位置形演算と言う。
制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVは、下記の式(2)〜(6)に基づいて算出する。

ΔMV = ΔP+ΔI+ΔD ・・・(2)
ここで、ΔPはP制御出力(変化分)を、
ΔIはI制御出力(変化分)を、
ΔDはD制御出力(変化分)を表す。

ΔP = K*(e−en−1) ・・・(3)
ここで、Kは、比例ゲインを、
は、式(4)に示すように、今回の目標蒸気圧力値SVと、蒸気圧センサ7で測定された蒸気ヘッダ6の内部の今回蒸気圧力値PVとの差(今回偏差量)を表す。

= SV−PV ・・・(4)

ΔI =K*(Δt/T)*e ・・・(5)
は積分時間を表す。

ΔD = K*(T/Δt)*(e−2en−1+en−2
・・・(6)
ここで、Tは微分時間を表す。
蒸気量算出部41は、式(3)、(5)、(6)で算出された各出力(変化分)を合計することにより、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVを算出する。
蒸気量算出部41は、式(1)のように、前回必要蒸気量MVn−1にΔMVを加算して、今回必要蒸気量MVを計算する。
蒸気量算出部41は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、前回必要蒸気量MVn−1の値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えて算出し、置き換えられた前回必要蒸気量MVn−1にΔMVを加算して、今回必要蒸気量MVを計算する。
ここで、所定の条件とは、例えば蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値がオーバーシュートしたことに起因して蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降すること、又は蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降してアンダーシュートすることを含んでもよい。
さらに、所定の条件とは、例えば蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が制御上限圧力値を超えること、又は蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回ることを含んでもよい。
さらに、所定の条件とは、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が該制御上限圧力値を超えた場合に、前記複数のボイラ20を全台待機とすることを含んでもよい。
出力制御部42は、蒸気量算出部41が算出した今回必要蒸気量に基づいてボイラ20の燃焼状態(燃焼量)を制御する。出力制御部42は、ボイラ群2から必要蒸気量分の蒸気が発生するように各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
出力制御部42は、蒸気量算出部41において、蒸気消費量に応じて算出された必要蒸気量に基づいて、燃焼させるボイラ20の台数を設定する。出力制御部42は、記憶部5に記載されている優先順位に従って燃焼を開始又は停止するボイラ20を設定すると共に、それらボイラ20のローカル制御部22に対して、台数制御信号(運転の開始又は停止)を出力する。これにより、ボイラ群2から必要蒸気量分の蒸気が発生するように各ボイラ20の燃焼状態を制御することで、必要蒸気量に対応する蒸気量(以下、「出力蒸気量」ともいう)が蒸気ヘッダ6に供給される。
次に、実施形態1のボイラシステム1の動作について、図4を参照して説明する。図4は、ボイラシステム1のフィードバック制御の流れを示すフローチャートである。
前述したように、制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20のローカル制御部22から取得した各ボイラ20から出力される実際の蒸気量、及び各ボイラそれぞれから出力される蒸気量の合計値である実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量を記憶部5に記憶している。
ボイラシステム1のフィードバック制御の流れは、次のとおりである。
ステップS1において、蒸気量算出部41は、制御周期毎において、蒸気圧センサ7から送信された蒸気圧信号に基づいて、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力PV」ともいう)を取得する。
ステップS2において、蒸気量算出部41は、式(2)〜式(6)に基づいて、制御周期毎の必要蒸気量変化分(ΔMV)を算出する。
ステップS3において、蒸気量算出部41は、ヘッダ圧力PVに所定の条件を満たす下降が発生し、後述する置き換え処理が未処理か否か、を判定する。
この際、例えば、レジスタ、ビットメモリ等を用いたフラグデータを用意して、蒸気量算出部41は、ヘッダ圧力PVに所定の条件を満たす下降が発生した場合にフラグデータをセットし、置き換え処理を完了した場合にフラグデータをリセットすることにより、後述する置き換え処理が未処理か否か、を判定してもよい。
ヘッダ圧力PVに所定の条件を満たす下降が発生し、後述する置き換え処理が未処理の場合(Yes)には、ステップS4に移る。それ以外の場合(No)には、ステップS7へ移る。
ステップS4において、蒸気量算出部41は、ヘッダ圧力PVが下降から上昇に転じたか否かを判定する。ヘッダ圧力PVが下降から上昇に転じた場合(Yes)には、ステップS5に移る。一方、ヘッダ圧力PVが下降から上昇に転じていない場合(No)には、ステップS7へ移る。
ここで、ヘッダ圧力PVが下降から上昇に転じた場合とは、制御周期nがヘッダ圧力PVが上昇に転じた後の所定の時間範囲内に含まれる場合を含む。
(必要蒸気量の実際出力蒸気量による置き換え)
ステップS5において、蒸気量算出部41は、記憶部5に記憶された実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量を取得する。
ステップS6において、蒸気量算出部41は、前回必要蒸気量MVn−1の値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換える。
こうすることで、蒸気量算出部41は、今回必要蒸気量MVの算出において、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換えられた前回必要蒸気量MVn−1を用いることとなる。
その後、ステップS7に移る。
(速度形演算)
ステップS7において、蒸気量算出部41は、式(1)に基づいて、前回必要蒸気量MVn−1に制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVを加算して、今回必要蒸気量MVを算出する。
その後、ステップS8に移る。
(今回必要制御量MVによる制御)
ステップS8において、蒸気量算出部41は、今回必要蒸気量MVを出力制御部42に出力する。
ステップS9において、出力制御部42は、蒸気量算出部41が算出した今回必要蒸気量MVに基づいてボイラ20の燃焼状態(燃焼量)を制御する。出力制御部42は、ボイラ群2から必要蒸気量分の蒸気が発生するように各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
その後、ステップS1に戻る。
図4に示した、ボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートにおいて、蒸気量算出部41は、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVを、ステップS2において算出した。しかしながら、ステップS2に替えて、ステップS7において、制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVの算出と今回必要蒸気量MVの算出を合わせて行うこともできる。
(実施形態2:置き換え処理の変形)
必要蒸気量の実際出力による置き換え処理の変形として、蒸気量算出部41が、今回必要蒸気量の値MVを実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換える、実施形態2も可能である。
すなわち、実施形態2に係るボイラシステム1の蒸気量算出部41は、ヘッダ圧力PVに所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力PVが下降から上昇に転じた場合に、今回必要蒸気量の値MVを実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換え、今回必要蒸気量MVを算出する。
実施形態2に係るボイラシステム1のフィードバック制御のフローチャートを図5に示す。なお、図4と図5とは、ステップS6及びステップS7の処理又は順序が異なるだけであり、説明は省略する。
次に、図6及び図7を参照して、通常の速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合と比較しながら、実施形態1に係る速度形PIDアルゴリズムを用いて圧力制御を実施した場合に、ハンチング現象が抑制され、蒸気圧力値が速やかに目標蒸気圧力値に収束される様子を説明する。
ここで、図6は、通常の速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量との時間的推移を示す図である。これに対して、図7は、本発明の実施形態1に係る速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合におけるヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量との時間的推移を示す図である。
図6及び図7ともに、図1に示すように、5台のボイラ20からなるボイラ群を備え、各ボイラ20の最大発生蒸気量(最大出力)が7000kg/h、目標蒸気圧力値が1.5MPa、制限上限圧力が1.53MPa(メガパスカル)と設定された、ボイラシステム1をモデルとしている。
図6及び図7ともに、ボイラシステム1に対する要求負荷は、当初、15000kg/hとなる一定の蒸気消費量が続き、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力は、目標蒸気圧力値(1.5MPa)に収束している。その後、経過時間tにおいて、要求負荷が3000kg/hとなり、急激に減少した。その結果、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が目標蒸気圧力値を過大に上回る、オーバーシュートが発生し、経過時間tにおいて、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力が制限上限圧力1.53MPaを超過し、全てのボイラ20が待機となった。
図6及び図7において、横軸は経過時間(秒)、左縦軸は蒸気圧力値(MPa)を、右縦軸は蒸気量(kg/h)を、それぞれ示している。また、実線は蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値を、破線は要求負荷を、太い実線は必要蒸気量を、太い破線は蒸気ヘッダ6に供給される出力蒸気量を、それぞれ表している。なお、出力蒸気量は、燃焼させる5台のボイラ20から出力される蒸気量の合計値を示している。
まず、図6を参照して、制御部4が、通常の速度形PIDアルゴリズムによる圧力制御を実施した場合における、全てのボイラが待機となった以降の、ヘッダ圧力値と必要蒸気量と実際の出力蒸気量の時間的変化について説明する。
ボイラシステム1は、経過時間tにおいて、全台待機となったことにより、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が急下降した際、下降中にPID演算により算出される必要蒸気量が過剰に確保される。他方、急激な必要蒸気量の変化に対してボイラシステム1のボイラ20には応答遅れが生じている。
ボイラシステム1は、ボイラ20が燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値は、tにおいて下降から上昇に転じる。蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点から、速度形PID演算により算出される必要蒸気量は減少し続けるが、その時点で既に必要蒸気量が過剰に確保されている。一方、ボイラシステム1は、ボイラ群2の実際の出力蒸気量は必要蒸気量に追いついていないことから、t以降も出力蒸気量は増加し続けることとなる。
その結果、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力の上昇を抑えきれなくなり、再度オーバーシュートし、制限上限圧力1.53MPaを超過することとなる。
ボイラシステム1は、再度全てのボイラ20が全台待機となり、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が急下降する事態となる。
その結果、図6に示すように、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が目標蒸気圧力値に収束せずに上下に変動するハンチング現象が発生し継続してしまう。
一方、図7に示す実施形態1のボイラシステム1も、経過時間tにおいて、全台待機となったことにより、図6に示す通常例と同様に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が急下降した際、下降中にPID演算により算出される必要蒸気量が過剰に確保される。
ボイラシステム1は、ボイラ20が燃焼を開始し、出力蒸気量が増加することにより、その後、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値は、tにおいて下降から上昇に転じる。
そして、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点で、蒸気量算出部41は、速度形PID演算において、必要蒸気量を実際に出力蒸気量に置き換える処理を実行する。
具体的には、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が下降から上昇に転じたtにおいて、蒸気量算出部41は、前回必要蒸気量MVn−1の値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換え、置き換えられた前回必要蒸気量MVn−1にΔMVを加算して、今回必要蒸気量MVを計算する。
出力制御部42は、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量が前回必要蒸気量となることで、それ以降、蒸気量算出部41により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができる。
例えば、次回必要蒸気量MVn+1の算出においては、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換えられた前回必要蒸気量MVn−1にΔMVを加算して算出された今回必要蒸気量MVを用いて算出されることになる。
このため、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点において、蒸気量算出部41により必要蒸気量が実際の出力量に補正されることで、それ以降、出力制御部42は、蒸気量算出部41により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができる。
こうすることで、ボイラシステム1は、図7に示すように、t以降において、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値がオーバーシュートすることなく、実際の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することになる。そして、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値は、目標蒸気圧力値の付近で収束する。
以上、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力が制限上限圧力を超過し、全てのボイラ20が待機となった場合に、ハンチング現象が発生せずに、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値は、目標蒸気圧力値の付近で収束することを説明したが、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1の動作は、上記のケースに限定されない。
実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、例えば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値がオーバーシュートしたことに起因して蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が急下降する場合においても、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が下降から上昇に転じたときに、蒸気量算出部41は、前回必要蒸気量MVn−1の値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量により置き換えることができる。そうすることで、出力制御部42は、それ以降、蒸気量算出部41により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができる。その結果、ボイラシステム1において出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。
同様に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降してアンダーシュートする場合においても、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで、同様の効果が得られる。
また、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回る場合においても、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで同様の効果が得られる。
上述した実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、前回必要蒸気量MVn−1の値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えて算出する。
これにより、通常の速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1が図6のように、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点でボイラ群2の実際の出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないことに起因した、ハンチング現象の発生、継続を防止できる。
なお、実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1についても、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1と同様の動作を行うことで、同様の効果が得られることは明らかである。
以上説明した実施形態1のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)上述した実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えた制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1と制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVとを加算して算出する。
これにより、実施形態1に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点で、速度形PID制御により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(2)上述した実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えて算出する。
これにより、実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1が蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点で、速度形PID制御により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(3)また、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値がオーバーシュートしたことに起因して蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降する場合、又は蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降してアンダーシュートする場合においても、蒸気量算出部41は、同様の動作を行うことができる。
これにより、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点で、速度形PID制御により算出される必要蒸気量とボイラ20の実際の出力蒸気量との遅延をなくすることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(4)また、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が制御上限圧力値を超えること、又は蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回る場合においても、蒸気量算出部41は、同様の動作を行うことができる。
これにより、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点でボイラ群2の実際の出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないことに起因する、ハンチング現象の発生を防止できる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
(5)また、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が制御上限圧力値を超えた場合に、複数のボイラ20を全台待機とする場合においても、蒸気量算出部41は、同様の動作を行うことができる。
これにより、実施形態1及び実施形態2に係る速度形PID制御方式を用いるボイラシステム1においては、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた時点でボイラ群2の実際の出力蒸気量が必要蒸気量に追いついていないことに起因する、ハンチング現象の発生とその継続を防止できる。その結果、ボイラシステム1の圧力安定性を向上させることができる。
以上、本発明に係るボイラシステムの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、各実施形態では、本発明を、5台のボイラ20からなるボイラ群2を備えたボイラシステムに適用した例について説明した。これに限らず、本発明を、6台以上のボイラからなるボイラ群を備えたボイラシステムに適用してもよいし、2〜4台のボイラからなるボイラ群を備えたボイラシステムに適用してもよい。また、各実施形態では、台数制御として、蒸気消費量に応じて算出された必要蒸気量と予め設定された優先順位とに基づいて燃焼させるボイラ20の台数を設定する例について説明した。これに限らず、複数台のボイラを備えたボイラ群において、燃焼させるボイラの台数は、例えば、システムの燃焼率や各ボイラの稼動状況等に基づいて設定してもよい。また、各実施形態では、本発明による圧力制御と複数のボイラの台数制御とを組み合わせた例について説明したが、本発明による圧力制御を単体のボイラの圧力制御に適用してもよい。その場合には、PIDアルゴリズムにより算出された必要蒸気量が、そのまま単体のボイラにおける必要蒸気量として設定される。
また、各実施形態では、複数のボイラ20を比例制御ボイラにより構成することとしているが、ボイラ20は比例制御ボイラに限らず、段階値制御ボイラにより構成することとしてもよい。なお、段階値制御ボイラとは、複数の段階的な燃焼位置を有し、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。一例として、複数のボイラ20を、燃焼停止位置、低燃焼位置及び高燃焼位置の3位置を有する3位置ボイラにより、構成することとしてもよい。もちろん、ボイラ20は、3位置に限らず、任意のN位置の燃焼位置を有することとしてもよい。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
3 ボイラ制御装置
4 制御部
5 記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
18 蒸気使用設備
20 ボイラ
41 蒸気量算出部
42 出力制御部

Claims (5)

  1. 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラと、
    該複数のボイラにより生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、
    要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記制御部は、
    蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、制御周期nにおける今回必要蒸気量MVを、制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1、及び制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVに基づいて速度形PID制御方式により算出する蒸気量算出部と、
    前記蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVを発生させるよう制御周期nにおける前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、を備え、
    前記蒸気量算出部は、
    前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えた制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1と制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVとを加算して算出する、ボイラシステム。
  2. 燃焼率を変更して燃焼可能な複数のボイラと、
    該複数のボイラにより生成された蒸気が集合する蒸気ヘッダと、
    要求負荷に応じて前記複数のボイラの燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記制御部は、
    蒸気消費量の変動に対して該蒸気ヘッダの蒸気圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、制御周期nにおける今回必要蒸気量MVを、制御周期n−1における前回必要蒸気量MVn−1、及び制御周期毎の必要蒸気量変化分ΔMVに基づいて速度形PID制御方式により算出する蒸気量算出部と、
    前記蒸気量算出部により算出された今回必要蒸気量MVを発生させるよう制御周期nにおける前記複数のボイラの燃焼状態を制御する出力制御部と、を備え、
    前記蒸気量算出部は、
    前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた場合に、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降から上昇に転じた制御周期nにおける、今回必要蒸気量MVの値を、実際の給蒸中ボイラにより出力されている出力蒸気量に置き換えて算出する、ボイラシステム。
  3. 前記所定の条件は、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値がオーバーシュートしたことに起因して前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降すること、又は蒸気ヘッダの内部の蒸気圧力値が下降してアンダーシュートすることを含む、請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。
  4. 前記所定の条件は、蒸気ヘッダの蒸気圧力値が制御上限圧力値を超えること、又は蒸気ヘッダの蒸気圧力値が制限下限圧力値を下回ることを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボイラシステム。
  5. 前記所定の条件は、蒸気ヘッダの蒸気圧力値が前記制御上限圧力値を超えた場合に、前記複数のボイラを全台待機とすることを含む、請求項4に記載のボイラシステム。
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