JP2003135902A - 蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法 - Google Patents

蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法

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JP2003135902A JP2001337043A JP2001337043A JP2003135902A JP 2003135902 A JP2003135902 A JP 2003135902A JP 2001337043 A JP2001337043 A JP 2001337043A JP 2001337043 A JP2001337043 A JP 2001337043A JP 2003135902 A JP2003135902 A JP 2003135902A
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康晃 平石
Takanori Ito
孝徳 伊藤
Masahiro Kinoshita
正博 木下
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸留塔のスタートアップ時間を短縮すること
ができる蒸留塔および蒸留塔のスタートアップ方法を提
供することである。 【解決手段】 蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラ
ーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容
積、還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、シミ
ュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動的
挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動的
挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれぞ
れ設計されている蒸留塔を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸留塔および蒸留
塔のスタートアップ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蒸留塔は原料液に含まれる沸点範囲の異
なる複数の成分を分離することができる装置であり、有
機化学工業、石油工業、アルコール工業などの幅広い分
野で利用されている。図3は蒸留塔の一例を示す概略図
である。図3に示すように、蒸留塔1は主に蒸留塔本体
2、還流タンク6、リボイラー7などから構成されてい
る。蒸留塔本体2は塔頂3、塔底5などの各部位からな
り、必要に応じてサイドカット段4が設けられる。サイ
ドカット段4にはサイドカット液の流出口20が設けら
れている。
【0003】蒸留塔本体2には原料液が原料液供給口8
から供給される。供給された原料液の一部は塔底に溜ま
り、残りは排出口13から排出される。排出された原料
液の一部は缶出液として流出され、残りの液はリボイラ
ー7に供給される。リボイラー7に供給された液は、熱
媒体によって加熱されて蒸気となる。この蒸気は、蒸気
入口9から蒸留塔本体2に導入され、原料液と向流接触
しながら上昇し、塔頂3の蒸気排出口10から排出され
る。排出された蒸気は冷却器11に送られて凝縮液とな
り、還流タンク6に送られる。この凝縮液の一部は還流
口12から還流液として蒸留塔本体2へ供給され、残り
は留出液として流出される。原料液の供給量、サイドカ
ット液の流出量、留出液の流出量、還流液の供給量、熱
媒体の供給量および缶出液の流出量は、バルブ14、1
5、16、17、18および19によりそれぞれ調節さ
れる。
【0004】上記のような蒸留塔1を定常運転まで立ち
上げるスタートアップ操作は、通常、以下のような手順
で行われている。まず、蒸留塔本体2に原料液または原
料液に近い組成の液を供給し、所定量供給した時点で原
料液の供給は一旦停止する。ついで、リボイラー7にス
チーム等の熱媒体を供給し、炊き上げを開始する。この
際、バルブ16、15および19を閉じて留出液、サイ
ドカット液および缶出液の流出を停止しておき、バルブ
17のみ開けて還流液を循環させる(全還流操作)。こ
の全還流操作によって蒸留塔内に原料液を循環させてい
る間、塔頂、サイドカット段および塔底に存在する液の
温度測定あるいは液の組成分析を行い、全ての部位の液
が所定の温度あるいは所定の組成になっていることを確
認した後に、原料液の供給を再開し、ついで留出液、サ
イドカット液および缶出液の流出を開始する。このよう
な一連の操作によれば安全に蒸留塔をスタートアップで
きることが知られている。
【0005】しかしながら、上記のような方法では、定
常運転に達するまでに長時間の全還流操作が必要であ
り、その間に多くの熱媒体が消費され、また、作業員は
長時間操作に携わる必要がある。このため、スタートア
ップに要する時間を短縮して熱媒体の使用量や作業員の
負担を低減することができる蒸留塔が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、蒸留
塔のスタートアップ時間を短縮することができる蒸留塔
および蒸留塔のスタートアップ方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来のスタートア
ップ操作では全ての部位の液が所定の温度あるいは所定
の組成になるまで留出液および缶出液の流出をせず、か
つ原料液の供給も停止しているということがスタートア
ップに長時間を要する原因であると考えた。そこで、蒸
留塔本体へ原料液を中断することなく連続的に供給し、
かつ塔頂および塔底の液がそれぞれ所定の組成に達した
時点で留出液および缶出液の流出をそれぞれ開始すれ
ば、スタートアップ時間を短縮できるはずであると考え
た。
【0008】ところが、この方法では原料液の供給を連
続的に行うため、場合によっては、塔頂および塔底にお
ける液の温度あるいは組成が所定のレベルに達して留出
液あるいは缶出液の流出を開始するまでに、蒸留塔本
体、塔底、還流タンクまたはリボイラーの容積が不足し
てしまうことが考えられる。そこで、本発明者らは、蒸
留塔の設計段階において、全還流操作をせずに原料液の
供給を連続的に行って定常運転まで立ち上げるスタート
アップシミュレーションを、蒸留塔の動的な挙動を表現
できるダイナミックシミュレータを用いて行い、このシ
ミュレーション結果に基づいて蒸留塔を設計すればスタ
ートアップ時間を短縮可能な蒸留塔を設計できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の蒸留塔は、蒸留塔本
体、還流タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の
容積、蒸留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およ
びリボイラーの容積が、以下のシミュレーションによっ
て得られた蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の
動的挙動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラ
ーの液量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されているこ
とを特徴とする。前記シミュレーションは、留出液およ
び缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原
料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成お
よび塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時
間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することな
く、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間に
おける蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動
的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙
動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液
量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータによ
り求めるものである。
【0010】また、蒸留塔本体がサイドカット段を有す
る場合には、このサイドカット段を考慮したシミュレー
ションの結果に基づき蒸留塔を設計するのが好ましい。
すなわち、本発明の蒸留塔は、好ましくは、サイドカッ
ト段を有する蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラー
を備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、
還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシ
ミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動
的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動
的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれ
ぞれ設計されていることを特徴とする。前記シミュレー
ションは、留出液および缶出液の流出が停止された状態
で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから蒸留塔
本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔
底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時間に、
蒸留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボ
イラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間における蒸
留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的挙動、
サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液量の動的
挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液量の動
的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれぞれダ
イナミックシミュレータにより求めるものである。上記
シミュレーションは、留出液および缶出液の流出だけで
なく、サイドカット液の流出も停止した状態で行っても
よい。
【0011】また、サイドカット段を有する蒸留塔の場
合、サイドカット液の流出を停止しない状態でシミュレ
ーションを行ってもよい。すなわち、サイドカット液を
流出させ、留出液および缶出液の流出を停止した場合の
シミュレーションは、留出液および缶出液の流出が停止
された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始して
から蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組
成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまで
の時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断すること
なく、リボイラーへ熱媒体を供給し、サイドカット段の
液の一部または全部を流出させたときの、前記時間にお
ける蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動的
挙動、サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液量
の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの液
量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそれ
ぞれダイナミックシミュレータにより求めるものであ
る。
【0012】本発明のスタートアップ方法は、前記蒸留
塔のスタートアップ方法であって、留出液および缶出液
の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供
給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断
することなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本
体の塔頂の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の
組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の流出
をそれぞれ開始することを特徴とする。また、前記塔頂
の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度お
よび塔底の液温度を測定することにより行われてもよ
い。
【0013】また、蒸留塔のサイドカット段を考慮する
場合にも、上記と同様のスタートアップ方法を適用する
ことができる。すなわち、本発明のスタートアップ方法
は、前記蒸留塔のスタートアップ方法であって、留出液
および缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体へ
の原料液の供給を開始したのち、蒸留塔本体への原料液
の供給を中断することなく、リボイラーへ熱媒体を供給
し、蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組
成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時
点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始
することを特徴とする。上記スタートアップは、留出液
および缶出液の流出だけでなく、サイドカット液の流出
も停止した状態で行ってもよい。この場合、サイドカッ
ト段の液組成が所定の組成となった時点で、サイドカッ
ト液の流出を開始する。また、前記塔頂の液組成、サイ
ドカット段の液組成および塔底の液組成の測定が、塔頂
の液温度、サイドカット段の液温度および塔底の液温度
を測定することにより行われてもよい。
【0014】また、サイドカット段を有する蒸留塔の場
合、サイドカット液の流出を停止しない状態でスタート
アップを行ってもよい。すなわち、サイドカット液を流
出させ、留出液および缶出液の流出を停止した場合のス
タートアップ方法は、留出液および缶出液の流出が停止
された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始した
のち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することな
く、リボイラーへ熱媒体を供給し、サイドカット段の液
の一部または全部を流出させ、蒸留塔本体の塔頂の液組
成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時
点で、留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始
するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
蒸留塔について詳細に説明する。本発明において、蒸留
塔は例えば図1に示すフローチャートに基づいて設計さ
れる。
【0016】I.蒸留塔の設計方法 <ステップ1>まず、蒸留塔のスタートアップのシミュ
レーションを行うためのダイナミックシミュレータを構
築する。このダイナミックシミュレータとは、蒸留塔の
運転時における動的な挙動(時間の変化に伴う状態変
化)を理論式または近似式を用いて表現して構築したシ
ステムのことをいい、原料液供給条件、還流条件、リボ
イラーへの熱媒体供給条件などを与えて擬似操業したと
きの塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底
の液組成などの各部位における液組成や蒸留塔本体の液
量、塔底の液量、還流タンクの液量およびリボイラーの
液量などの動的挙動をコンピュータにより算出するもの
である。
【0017】ここで、塔頂の液組成が変化すると留出液
の液組成が変化し、サイドカット段の液組成が変化する
とサイドカット液の液組成が変化し、塔底の液組成が変
化すると缶出液の液組成が変化する。なお、実際の蒸留
塔における前記熱媒体としては、スチーム、温水、熱媒
用オイルなどが使用できる。
【0018】<ステップ2>前記ダイナミックシミュレ
ータ上で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始する。こ
の原料液の供給は途中で中断することなく行われ、定常
運転に達した後も継続される。塔底に所定量の液が溜ま
った時点でリボイラーへ熱媒体を供給し、さらに還流を
開始する。
【0019】<ステップ3>塔頂の液組成、サイドカッ
ト段の液組成および塔底の液組成の動的挙動と、蒸留塔
本体の液量、塔底の液量、還流タンクの液量およびリボ
イラーの液量の動的挙動とをシミュレーションする。時
間の経過とともに、塔頂には低沸点成分が濃縮され、塔
底には高沸点成分が濃縮されていく。
【0020】<ステップ4>塔頂の液組成、サイドカッ
ト段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成
になっているかどうかを判定する。このとき、蒸留塔本
体、塔底、還流タンクおよびリボイラーの各容積が、そ
れぞれの箇所に存在する液量を保持できているかどうか
(容積不足となっていないか)も同時に判定する。塔頂
の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の液組成
のいずれかが所定の組成になったときは、それに対応す
る箇所から留出液、サイドカット液あるいは缶出液の流
出を開始する。
【0021】<ステップ5>塔頂の液組成、サイドカッ
ト段の液組成および塔底の液組成の全てが所定の組成に
なり、留出液の流出、サイドカット液の流出および缶出
液の流出の全てが開始されて定常運転となるまでに、蒸
留塔本体、塔底、還流タンクおよびリボイラーの各容積
が、それぞれの箇所に存在する液量を保持できなくなっ
た場合は、ステップ5へ進み、容積不足となった部位の
容積を変更し、変更した条件で再度ステップ2からシミ
ュレーションを行う。このとき、原料液供給量、熱媒体
供給量、還流量などの条件も必要に応じて変更してもよ
い。
【0022】<ステップ6>上記のようにして、ステッ
プ2〜5のシミュレーションが繰り返され、各部位の組
成の全てが所定の組成になった時点で各部位が必要とす
る容積などの条件が確立される。これにより、本発明の
蒸留塔を設計することができる。
【0023】<ステップ7>得られたデータを基にし
て、蒸留塔を構築し、実機に適用する。なお、上記の設
計方法は、蒸留塔建設前の設計段階において適用できる
のはもちろんであるが、既設の蒸留塔の一部を改造する
際にも適用することができる。
【0024】II.実操業における蒸留塔のスタートアッ
プ 上記した方法により設計された蒸留塔を使用すれば、本
発明のスタートアップ方法により短時間で蒸留塔のスタ
ートアップができる。すなわち、留出液および缶出液の
流出が停止された状態で、蒸留塔本体への原料液の供給
を開始したのち、蒸留塔本体への原料液の供給を中断す
ることなく、リボイラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体
の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成および塔底の
液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、留出液の
流出、サイドカット液の流出および缶出液の流出をそれ
ぞれ開始することにより定常運転まで短時間で立ち上げ
ることができる。
【0025】ここで、「定常運転」とは、前記所定の組
成の留出液、サイドカット液および缶出液を所定の流量
で排出している状態をいう。
【0026】なお、実操業においては、塔頂の液組成、
サイドカット段の液組成および塔底の液組成をリアルタ
イムで測定するのが困難な場合があるが、これらの液組
成は、塔頂の液温度、サイドカット段の液温度および塔
底の液温度とそれぞれ相関が高いことから、各液温度を
測定することにより各液組成の変化を観測することもで
きる。
【0027】また、前記設計方法において、原料液供給
量、熱媒体供給量、還流量などの条件は、予め設定した
条件に固定してシミュレーションを行ってもよいが、こ
れらの条件はダイナミックシミュレータ上で任意に設定
することができるので、図1のフローチャートに示す手
順に沿ったシミュレーションを繰り返すことで、これら
の最適な条件を見出すこともできる。また、蒸留塔本体
への原料液の供給を開始する時点では、蒸留塔本体内が
空の状態からシミュレーションを開始するのが好ましい
が、必要に応じて、任意の組成および量の液を蒸留塔本
体内に予め供給した状態からシミュレーションを開始し
てもよい。
【0028】上記一実施形態ではサイドカット段を一つ
だけ有する蒸留塔を例にして説明したが、サイドカット
段を有しない蒸留塔や複数のサイドカット段を有する蒸
留塔の場合にも本発明を適用することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0030】実施例 以下の前提条件を基にして、ダイナミックシミュレータ
を用いた前記設計方法により蒸留塔を設計した。本実施
例では、シミュレーション用のソフトウェアプログラム
として、AEA ハイプロテック社製の「HYSYS.
PLANT」を使用した。
【0031】<蒸留塔を設計する上での前提条件> (i) 塔底からは高沸点成分を排出し、その一部または
全部を製品(缶出液)として回収する。 (ii) 塔頂からは低沸点成分を排出し、その一部または
全部を留出液として除去する。 (iii) サイドカット段からは未反応原料を流出させ、
原料液の一部として再度使用する。 (iv) 原料液としては、前工程の反応器から供給され、
この反応器の立ち上げに伴って徐々に液組成が変化する
ものを使用する。
【0032】これらの前提条件を基にして設計された蒸
留塔のスタートアップ操作手順を以下に示す。 <スタートアップ操作手順> (a) 留出液および缶出液の流出は停止し、蒸留塔本体
への原料液の供給を開始する。 (b) 蒸留塔本体内の液はサイドカット段より流出させ
て、再度原料液の一部として使用する。このとき、サイ
ドカット液の流出量は塔底の液面レベルが一定となるよ
うに調整する。 (c) 前工程の反応器のスタートと同期させ、遅れを加
味し、リボイラーにスチーム(熱媒体)を投入し、つい
で還流を開始する。 (d) 前工程の反応により原料液中に高沸点成分(製品
成分)および低沸点成分が増加してくる。 (e) 塔底の液温度が所定の温度になった時点で缶出液
の流出を開始する。このとき、缶出液の流出量は塔底の
液面レベルが一定となるように調整する。この際、サイ
ドカット液の流出量の調整は、蒸留塔本体内の圧力損失
が一定となるような調整に切り替える。 (f) 塔頂の液温度が所定の温度になった時点で留出液
の流出を開始する。これにより定常運転となる。このと
き、留出液の流出量は原料液供給量の約2%、サイドカ
ット液の流出量は原料液供給量の約85%、缶出液の流
出量は原料液供給量の約13%であった。
【0033】上記スタートアップ操作手順により擬似操
業を行った結果を図2に示す。図2は、横軸が擬似操業
時の経過時間(単位は時間。)を表し、縦軸が流出量ま
たは供給量(単位はトン/時間。1トン=1000k
g。)と塔底に存在する液の容積(塔底の容積に対する
比(単位は%))とを表している。図2に示すように、
短時間(約4.5時間)で蒸留塔を立ち上げることがで
きた。なお、留出液の流出量は原料液供給量の約2%と
微量であったため、図2中に図示されていない。
【0034】
【発明の効果】本発明の蒸留塔および蒸留塔のスタート
アップ方法によれば、蒸留塔のスタートアップ時間を短
縮することができるので、全還流操作を行う従来法と比
較して、効率的でかつ経済性にも優れているという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である蒸留塔の設計方法を
示すフローチャートである。
【図2】実施例において蒸留塔のスタートアップのシミ
ュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図3】蒸留塔の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔 2 蒸留塔本体 3 塔頂 4 サイドカット段 5 塔底 6 還流タンク 7 リボイラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 正博 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4D076 AA22 AA23 AA24 BB30 EA03Y EA04Y EA10Y EA12Y EA15Y EA20Y EA45 EA49 JA03 JA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸留塔本体、還流タンクおよびリボイラー
    を備え、蒸留塔本体の容積、蒸留塔本体の塔底の容積、
    還流タンクの容積およびリボイラーの容積が、以下のシ
    ミュレーションによって得られた蒸留塔本体の液量の動
    的挙動、塔底の液量の動的挙動、還流タンクの液量の動
    的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動に基づきそれ
    ぞれ設計されていることを特徴とする蒸留塔。留出液お
    よび缶出液の流出が停止された状態で、蒸留塔本体への
    原料液の供給を開始してから蒸留塔本体の塔頂の液組成
    および塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの
    時間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することな
    く、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間に
    おける蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動
    的挙動、塔底の液量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙
    動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液
    量の動的挙動をそれぞれダイナミックシミュレータによ
    り求めるシミュレーション。
  2. 【請求項2】サイドカット段を有する蒸留塔本体、還流
    タンクおよびリボイラーを備え、蒸留塔本体の容積、蒸
    留塔本体の塔底の容積、還流タンクの容積およびリボイ
    ラーの容積が、以下のシミュレーションによって得られ
    た蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔底の液量の動的挙
    動、還流タンクの液量の動的挙動およびリボイラーの液
    量の動的挙動に基づきそれぞれ設計されていることを特
    徴とする蒸留塔。留出液および缶出液の流出が停止され
    た状態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始してから
    蒸留塔本体の塔頂の液組成、サイドカット段の液組成お
    よび塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となるまでの時
    間に、蒸留塔本体への原料液の供給を中断することな
    く、リボイラーへ熱媒体を供給したときの、前記時間に
    おける蒸留塔本体の液量の動的挙動、塔頂の液組成の動
    的挙動、サイドカット段の液組成の動的挙動、塔底の液
    量の動的挙動、塔底の液組成の動的挙動、還流タンクの
    液量の動的挙動およびリボイラーの液量の動的挙動をそ
    れぞれダイナミックシミュレータにより求めるシミュレ
    ーション。
  3. 【請求項3】請求項1記載の蒸留塔のスタートアップ方
    法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状
    態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸
    留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイ
    ラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成およ
    び塔底の液組成がそれぞれ所定の組成となった時点で、
    留出液の流出および缶出液の流出をそれぞれ開始するこ
    とを特徴とする蒸留塔のスタートアップ方法。
  4. 【請求項4】前記塔頂の液組成および塔底の液組成の測
    定が、塔頂の液温度および塔底の液温度を測定すること
    により行われる請求項3記載の蒸留塔のスタートアップ
    方法。
  5. 【請求項5】請求項2記載の蒸留塔のスタートアップ方
    法であって、留出液および缶出液の流出が停止された状
    態で、蒸留塔本体への原料液の供給を開始したのち、蒸
    留塔本体への原料液の供給を中断することなく、リボイ
    ラーへ熱媒体を供給し、蒸留塔本体の塔頂の液組成、サ
    イドカット段の液組成および塔底の液組成がそれぞれ所
    定の組成となった時点で、留出液の流出および缶出液の
    流出をそれぞれ開始することを特徴とする蒸留塔のスタ
    ートアップ方法。
  6. 【請求項6】前記塔頂の液組成、サイドカット段の液組
    成および塔底の液組成の測定が、塔頂の液温度、サイド
    カット段の液温度および塔底の液温度を測定することに
    より行われる請求項5記載の蒸留塔のスタートアップ方
    法。
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