JP2011202011A - 精留塔のスタートアップ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】専用の熱付け油を使用することなく精留塔を予熱することができ、また、予熱に使用した流体を廃油とすることなく製品として利用可能な精留塔のスタートアップ方法の提供。
【解決手段】フィッシャー・トロプシュ合成油に含まれるワックス留分を水素化分解して得られる水素化分解生成物と、前記合成油に含まれる中間留分を水素化精製して得られる水素化精製生成物とが供給され、分留される精留塔のスタートアップ方法であって、前記水素化分解生成物の少なくとも一部であって、常温常圧で液状である炭化水素油を含む流体を用いて、前記精留塔の予熱を行うことを特徴とする精留塔のスタートアップ方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成反応により製造された合成油に含まれる中間留分の水素化精製生成物とワックス留分の水素化分解生成物とが供給され、分留される精留塔のスタートアップ方法に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、硫黄分および芳香族炭化水素の含有量が低く、環境にやさしいクリーンな液体燃料が求められている。このような観点から、硫黄分および芳香族炭化水素を含まず、脂肪族炭化水素に富む燃料油基材、特に灯油・軽油基材を製造できる技術として、一酸化炭素と水素を原料としたフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」という場合もある。)を利用する方法が検討されている(例えば特許文献1参照。)。
FT合成反応によって得られる合成油(粗油)(以下、「FT合成油」という場合もある。)は、広い炭素数分布を有する脂肪族炭化水素類を主成分とする混合物である。このFT合成油からは、沸点が約150℃よりも低い成分を多く含むナフサ留分と、沸点が約150〜約360℃の成分を多く含む中間留分と、中間留分よりも重質な(沸点が約360℃を超える)炭化水素成分を含むワックス留分とを得ることができる。そして、これら各留分のうち中間留分は、灯油・軽油基材に相当する最も有用な留分であり、これを高い収率で得ることが望まれる。そのため、FT合成油を分留および水素化処理して燃料油基材を得るアップグレーディング工程においては、FT合成反応工程において中間留分とともに相当量併産されるワックス留分を、水素化分解により低分子量化して中間留分に相当する成分へと転換し、全体としての中間留分の収率を高めることが行われている。
具体的には、図1に示すように、FT合成油から第1精留塔10における分留により得られる水素化分解前の粗ワックス留分は、ライン14によりワックス留分水素化分解装置50に供給されて水素化分解される。そして、水素化分解生成物はライン51を経て第2精留塔20に供給される。一方、FT合成油から第1精留塔10における分留により得られる水素化精製前の粗中間留分は、ライン13により中間留分水素化精製装置40に供給されて水素化精製される。そして、水素化精製生成物はライン41を経て、前記水素化分解生成物と合流して第2精留塔20に供給される。第2精留塔20に供給された水素化分解生成物および水素化精製生成物は分留され、ライン22から灯油・軽油基材となる中間留分が得られる。また、第2精留塔20の塔底からは、主としてワックス留分の水素化分解において充分に分解を受けなかった所謂「未分解ワックス」からなる塔底油が抜き出され、この塔底油はライン24を介してワックス留分水素化分解装置50の上流のライン14へリサイクルされ、再び水素化分解に供される。
ここで、ワックス留分水素化分解装置50から流出する水素化分解生成物には、水素化分解により分子量が所定の値以下まで低下した炭化水素成分だけでなく、前述の未分解ワックスも含まれる。この未分解ワックスは、凝固点の高い成分であり、これを含む前記水素化分解生成物は、通常、常温常圧では流動性のない固体または半固体となる。
ところで、第2精留塔20を長期間の運転停止の状態からスタートアップする際には、第2精留塔20およびこれに接続する配管等は常温または常温に近い温度となっている。そこへ上記のワックス留分の水素化分解生成物を供給した場合、前記水素化分解生成物が冷却され、固体または半固体となって第2精留塔20あるいはこれに接続する配管等の閉塞といった問題が生じるおそれがある。そこで、精留塔20のスタートアップにおいては、精留塔20にワックス留分水素化分解装置50からの水素化分解生成物を供給する前に、外部より、常温常圧において液状である炭化水素油(以下、「熱付け油」ということもある。)を導入し、これを加熱・循環することにより、第2精留塔20およびこれに接続する配管等を前記水素化分解生成物が固化しない程度の温度に予熱することが行われる。
このように第2精留塔20の予熱を行った後、第2精留塔20にワックス留分水素化分解装置50からの水素化分解生成物および中間留分水素化精製装置40からの水素化精製生成物の供給を開始して第2精留塔20を運転することにより、前記装置閉塞などのトラブルを防止することができる。
なお、第2精留塔20の予熱が終了した後には、熱付け油はライン24から分岐した排出ライン29によりスロップタンクに移送される。
特開2004−323626号公報
しかしながら、このような方法で第2精留塔20を予熱する場合、専用の熱付け油を用意する必要があった。この熱付け油は、常温常圧で液状であり、また、製品への混入を考慮すると、硫黄分、芳香族炭化水素等を含まない特殊な炭化水素油である必要がある。また該熱付け油は精留塔の予熱の終了後には製品に利用されることなく廃棄又は自所内用燃料となることも多く、非効率であるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、専用の熱付け油を使用することなく精留塔を予熱することができ、また、使用した熱付け油を廃油や自所内用燃料とすることなく製品として利用可能な精留塔のスタートアップ方法の提供を課題とする。
本発明の精留塔のスタートアップ方法は、フィッシャー・トロプシュ合成油に含まれるワックス留分をワックス留分水素化分解工程において水素化分解して得られる水素化分解生成物と、前記合成油に含まれる中間留分を水素化精製して得られる水素化精製生成物とが供給され、分留される精留塔のスタートアップ方法であって、前記水素化分解生成物の少なくとも一部であって、常温常圧で液状である炭化水素油を含む流体を用いて、前記精留塔の予熱を行う予熱工程を有することを特徴とする。
本発明の精留塔のスタートアップ方法においては、前記水素化分解生成物が、運転中のワックス留分水素化分解工程から供給されるものであることが好ましい。
本発明の精留塔のスタートアップ方法においては、前記予熱工程は、前記流体を前記精留塔に加熱して供給する工程と、前記精留塔の塔底から塔底油を抜き出し、加熱して前記精留塔に返送する工程と、前記精留塔の塔頂部から留出する留分を前記精留塔に環流する工程と、を備えるものであることが好ましい。
また、本発明の精留塔のスタートアップ方法においては、前記水素化分解生成物が前記ワックス留分を300〜400℃の温度、LHSV0.1〜1.2h−1の条件にて水素化分解して得られる水素化分解生成物であってよい。
また、本発明の精留塔のスタートアップ方法においては、前記炭化水素油が前記水素化分解生成物を180〜300℃の温度にて気液分離して得られる気体成分を、冷却・液化して得られる炭化水素油であってよい。
更に、本発明の精留塔のスタートアップ方法においては、前記流体が、前記常温常圧で液状である前記炭化水素油と前記水素化精製生成物との混合物であってよい。
本発明のスタートアップ方法によれば、特殊な性状を有する専用の熱付け油を使用することなく精留塔を予熱することができ、また、予熱に使用した流体を廃油や自所内用燃料とすることなく製品として利用可能となり、効率的に精留塔のスタートアップができる。
FT合成油アップグレーディングシステムの概略構成図である。 図1の一部を具体的に示す構成図である。
以下、本発明を、好ましい実施形態の例に沿って詳細に説明する。
[FT合成油アップグレーディングシステム]
図1は、FT合成油アップグレーディングシステムの概略構成図である。まず、図1を参照して、FT合成油アップグレーディングシステムについて説明する。
図1のFT合成油アップグレーディングシステムは、図示略のFT合成反応装置からライン1を経て導入されるFT合成油を粗ナフサ留分、粗中間留分および粗ワックス留分に分留する第1精留塔10と、ライン12により導入される粗ナフサ留分を水素化精製するナフサ留分水素化精製装置30と、ライン13により導入される粗中間留分を水素化精製および水素化異性化する中間留分水素化精製装置40と、ライン14により導入される粗ワックス留分を水素化分解するワックス留分水素化分解装置50とを備えている。なお、前記第1精留塔から得られる「粗ナフサ留分」、「粗中間留分」および「粗ワックス留分」は、それぞれ、水素化精製あるいは水素化分解を行っていない各留分を意味し、飽和炭化水素以外にFT合成反応の副生成物であるオレフィン類およびアルコール類等の含酸素化合物を含むものである。
ここでFT合成油としては、FT合成反応により合成されるものであれば特に限定されないが、中間留分の収率を高めるとの観点から、沸点約150℃以上の炭化水素をFT合成油全体の質量を基準として80質量%以上含むことが好ましい。
また、FT合成油は、通常、公知のFT合成反応方法により製造され、広い炭素数分布を有する脂肪族炭化水素を主成分とする混合物であるが、これを予め適宜分留することにより得られる留分であってもよい。
粗ナフサ留分は、第1精留塔10において約150℃より低い温度で留出する成分であり、粗中間留分は、第1精留塔10において約150℃以上約360℃以下の温度で留出する成分であり、粗ワックス留分は、第1精留塔10において約360℃で留出せず、塔底から抜き出される成分である。
なお、ここでは、好ましい形態として、第1精留塔10において2つのカットポイント(すなわち、約150℃および約360℃)を設定して、3つの留分に分留する例を示しているが、例えば1つのカットポイントを設定して、そのカットポイント以下の留分を中間留分としてライン13から中間留分水素化精製装置40に導入し、そのカットポイントを超える留分をワックス留分としてライン14から抜き出してもよい。または、第1精留塔10において3つのカットポイントを設定して、4つの留分、すなわち、ナフサ留分、中間留分の軽質成分、中間留分の重質成分、ワックス留分の4つの留分に分留してもよい。
ナフサ留分水素化精製装置30においては、粗ナフサ留分は公知の方法によって水素化精製され、ナフサ留分に含まれるオレフィン類は水素化により飽和炭化水素に転化され、またアルコール類などの含酸素化合物は水素化脱酸素により飽和炭化水素と水とに転化される。
中間留分水素化精製装置40においては、公知の方法により、前記ナフサ留分水素化精製装置30と同様に、粗中間留分に含まれるオレフィン類および含酸素化合物は飽和炭化水素に転化される。また同時に、生成油の燃料油基材としての低温特性(低温流動性)を向上する目的で、粗中間留分を主として構成するノルマルパラフィンの少なくとも一部が水素化異性化されてイソパラフィンに転化される。
ワックス留分水素化分解装置50においては、水素化分解触媒を用いた公知の方法により粗ワックス留分が水素化分解されて、中間留分に相当する成分へと転換される。この際、粗ワックス留分に含まれるオレフィン類やアルコール類などの含酸素化合物はパラフィンに転化される。また、同時に、生成油の燃料油基材としての低温特性(低温流動性)の向上に寄与するノルマルパラフィンの水素化異性化も進行する。
一方、粗ワックス留分の一部は過度に水素化分解を受け、目的とする中間留分に相当する沸点範囲の炭化水素よりもさらに低沸点のナフサ留分に相当する炭化水素に転化される。また、その一部については水素化分解が更に進行し、ブタン類、プロパン、エタン、メタンなどの炭素数4以下のガス状炭化水素へと転化される。
図1のFT合成油アップグレーディングシステムは、ナフサ留分水素化精製装置30の下流に、ナフサ留分水素化精製装置30を経たナフサ留分から、炭素数4以下の炭化水素を主成分とするガス状炭化水素を、その塔頂に接続されたライン62から排出するナフサスタビライザー60と、このようにしてガス状炭化水素が除去されたナフサ留分を貯留するナフサタンク70とを備えている。ここでナフサ留分水素化精製装置30から流出するナフサ留分は、ライン31により、ナフサスタビライザー60に導入され、ナフサスタビライザー60においてガス状炭化水素が除去されたナフサ留分は、ライン61によりナフサタンク70に導入され、貯留される。
また、ナフサ留分水素化精製装置30において水素化精製されたナフサ留分の一部は、ライン32によりナフサ水素化精製装置30の上流のライン12にリサイクルされる。粗ナフサ留分の水素化精製は大きな発熱を伴う反応であり、粗ナフサ留分のみを水素化精製する場合には、ナフサ留分水素化精製装置30において、ナフサ留分の温度が過度に上昇するおそれがある。そこで、前記水素化精製後のナフサ留分の一部をリサイクルすることにより粗ナフサ留分を希釈し、前記過度の温度上昇を防止するものである。
中間留分水素化精製装置40およびワックス留分水素化分解装置50の下流には、中間留分水素化精製装置40からの水素化精製生成物と、ワックス留分水素化分解装置50からの水素化分解生成物とが供給され、これらの混合物を分留する第2精留塔20が設置される。第2精留塔20においては、ライン21からは軽質留分が抜き出され、ライン22からは灯油・軽油基材となる中間留分が抜き出される。中間留分水素化精製装置40からの水素化精製生成物は、ライン41により、第2精留塔20に供給され、ワックス留分水素化分解装置50からの水素化分解生成物は、ライン51により、第2精留塔20に供給される。第2精留塔20に供給される中間留分水素化精製装置40からの水素化精製生成物と、ワックス留分水素化分解装置50からの水素化分解生成物とは、ラインブレンドで混合されてもタンクブレンドで混合されてもよく、その混合方法は特に限定されない。
また、この例では、第2精留塔20において中間留分を単一の留分として得て、ライン22によりこれを中間留分タンク90に導入し貯留する例を示しているが、これを適宜複数の留分、例えば、灯油留分と軽油留分とに分留し、複数のタンクにそれぞれの留分を導入し、貯留してもよい
第2精留塔20の塔底油は、未分解のワックス留分、すなわち、ワックス留分水素化分解工程において十分に分解されなかったワックス留分を主成分とする。前記塔底油はライン24によりワックス留分水素化分解装置50の上流のライン14へリサイクルされ、ワックス留分水素化分解装置50に供給されて再び水素化分解を受ける。これにより、中間留分収率を向上させることができる。
一方、第2精留塔20の塔頂から排出される軽質留分は、ライン21を介してライン31へ送られ、ナフサスタビライザー60に供給される。
[ワックス留分水素化分解工程〜リサイクル工程]
次に、中間留分水素化精製装置40およびワックス留分水素化分解装置50の周辺を詳細に示す構成図を図2に示し、図2に沿って、上記アップグレーディングシステムにおけるワックス留分水素化分解工程および下流の各工程について更に詳細に説明する。
(ワックス留分水素化分解工程)
ワックス留分水素化分解工程においては、図2に示すように、第1精留塔(図示せず)の塔底から、場合により中間タンク(図示せず)を経て、ライン14により供給された粗ワックス留分はワックス留分水素化分解装置50において水素化分解され、未分解ワックスを含む水素化分解生成物が得られる。なお、特に断らない限り、水素化分解生成物とは未分解ワックスを含むものを意味する。水素化分解生成物は、後述する第1の気液分離装置55および第2の気液分離装置57により気液分離され、液体成分は、第2精留塔20に供給される。未分解ワックスを主成分とする第2精留塔20の塔底油はライン24によりワックス留分水素化分解装置50の上流のライン14に返送され、混合槽(図示せず)において粗ワックス留分と混合され、ワックス留分水素化分解装置50に供給されて再度水素化分解される。
ワックス留分水素化分解装置50において使用される水素化分解触媒としては、例えば、固体酸を含む担体に、活性金属として周期表第8〜10族に属する金属を担持したものが挙げられる。なお、ここで、周期表とは、国際純正・応用化学連合(IUPAC、International Union of Pure and Applied Chemistry)により規定される長周期型の元素の周期表をいう。
好適な担体としては、超安定Y型(USY)ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイトおよびβゼオライトなどの結晶性ゼオライト、ならびに、シリカアルミナ、シリカジルコニア、およびアルミナボリアなどの耐熱性を有する無定形複合金属酸化物の中から選ばれる1種類以上の固体酸を含んで構成されるものが挙げられる。さらに、担体は、USYゼオライトと、シリカアルミナ、アルミナボリアおよびシリカジルコニアの中から選ばれる1種以上の固体酸とを含んで構成されるものがより好ましく、USYゼオライトと、アルミナボリアおよび/またはシリカアルミナを含むものがさらに好ましい。
USYゼオライトは、Y型ゼオライトを水熱処理および/または酸処理により超安定化したものであり、Y型ゼオライトが本来有する細孔径が2nm以下のミクロ細孔と呼ばれる微細細孔構造に加え、2〜10nmの範囲に細孔径を有する新たな細孔が形成されている。USYゼオライトの平均粒子径に特に制限はないが、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。また、USYゼオライトにおいて、シリカ/アルミナのモル比(アルミナに対するシリカのモル比)は10〜200であることが好ましく、15〜100であることがより好ましく、20〜60であることがさらに好ましい。
また、担体は、結晶性ゼオライト0.1〜80質量%と、耐熱性を有する無定形複合金属酸化物0.1〜60質量%とを含んで構成されるものであることが好ましい。
担体は、上記固体酸とバインダーとを含む担体組成物を成型した後、焼成することにより製造できる。固体酸の配合割合は、担体全量を基準として1〜70質量%であることが好ましく、2〜60質量%であることがより好ましい。また、担体がUSYゼオライトを含んで構成される場合、USYゼオライトの配合割合は、担体全体の質量を基準として0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。さらに、担体がUSYゼオライトおよびアルミナボリアを含んで構成される場合、USYゼオライトとアルミナボリアの配合比(USYゼオライト/アルミナボリア)は、質量比で0.03〜1であることが好ましい。また、担体がUSYゼオライトおよびシリカアルミナを含んで構成される場合、USYゼオライトとシリカアルミナとの配合比(USYゼオライト/シリカアルミナ)は、質量比で0.03〜1であることが好ましい。
バインダーとしては、特に制限はないが、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシアが好ましく、アルミナがより好ましい。バインダーの配合量は、担体全体の質量を基準として20〜98質量%であることが好ましく、30〜96質量%であることがより好ましい。
成型された担体の形状は限定されないが、例えば球状、円柱状、三つ葉・四葉型の断面を有する異形円柱状などが挙げられる。また、その粒子径についても特に制限はないが、実用性から1μm〜10mmであることが好ましい。
前記担体組成物の焼成温度は、400〜550℃の範囲内にあることが好ましく、470〜530℃の範囲内であることがより好ましく、490〜530℃の範囲内であることがさらに好ましい。
周期表第8〜10族の金属としては、具体的にはコバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金などが挙げられる。これらのうち、ニッケル、パラジウムおよび白金の中から選ばれる金属を1種単独または2種以上組み合わせて用いることが好ましい。これらの金属は、含浸やイオン交換などの常法によって上述の担体に担持することができる。担持する金属量には特に制限はないが、金属の合計量が担体質量に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましい。
ワックス留分水素化分解装置50における水素分圧としては、例えば0.5〜12MPaであり、1.0〜5.0MPaが好ましい。
ワックス留分水素化分解装置50における液空間速度(LHSV)としては、例えば0.1〜10.0h−1であり、0.3〜3.5h−1が好ましい。水素ガスとワックス留分との比(水素ガス/油比)は、特に制限はないが、例えば50〜1000NL/Lであり、70〜800NL/Lが好ましい。
なお、ここで「LHSV(liquid hourly space velocity;液空間速度)」とは、固定床流通式反応塔に充填された触媒からなる層(触媒層)の容量当たりの、標準状態(25℃、101325Pa)におけるワックス留分の体積流量のことであり、単位「h−1」は時間の逆数である。また、水素ガス/油比における水素容量の単位である「NL」は、標準状態(0℃、101325Pa)における水素容量(L)を示す。
ワックス留分水素化分解装置50の通常運転時における反応温度(触媒床重量平均温度)としては、180〜400℃が例示でき、好ましくは200〜370℃、より好ましくは250〜350℃、さらに好ましくは280〜350℃である。反応温度が400℃を超えると、水素化分解が過度に進行して、目的とする中間留分の収率が低下する傾向にある。また、水素化分解生成物が着色して、燃料基材としての使用が制限される場合もある。一方、反応温度が180℃より低い場合は、ワックス留分の水素化分解が十分に進行せず、中間留分の収率が低下する傾向にある。なお、反応温度は、ライン14に設けられた熱交換器18出口の設定温度を調整することにより制御される。
ワックス留分水素化分解装置50の通常運転時においては、水素化分解生成物中に含まれる沸点が25℃以上360℃以下の炭化水素成分の含有量が、沸点25℃以上の全水素化分解生成物の質量を基準として、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは45〜70質量%となるように、水素化分解装置50を運転することが望ましい。前記特定の炭化水素成分の含有量がこのような範囲内にあれば、水素化分解の進行の度合いが適切であり、中間留分の収率を高めることができる。
(気液分離工程)
この例においては、ワックス留分水素化分解工程における水素化分解生成物は、2段に設けられた気液分離装置へ導入されて気液分離される。すなわち、水素化分解工程において未反応の水素ガスと、ワックス留分が過度に水素化分解されて生成したガス状炭化水素とからなる気体と、液状炭化水素からなる液体とに分離される。
ワックス留分水素化分解装置50出口に接続されたライン52には、水素化分解生成物を冷却するための熱交換器(図示略)が設置されていることが好ましい。この熱交換器により冷却された水素化分解生成物は、第1の気液分離装置55により気体成分と液体成分とに分離される。第1の気液分離装置55内の温度は180〜300℃程度であることが好ましい。すなわち、第1の気液分離装置55において分離される液体成分は、前記温度において液体状態となる炭化水素からなる重質油成分であり、未分解のワックス留分を多く含む。前記重質油成分は、第1の気液分離装置55の底部から、ライン53およびライン51を経て、第2精留塔20に供給される。
一方、第1の気液分離装置55において分離された気体成分は、第1の気液分離装置55の頂部からライン59を介して熱交換器(冷却装置)56に導入されて冷却され、その少なくとも一部が液化される。熱交換器56からの流出物は、第2の気液分離装置57に導入される。第2の気液分離装置57の入口温度は、熱交換器56による冷却により、90〜130℃程度とされる。
第2の気液分離装置57においては、気体成分と熱交換器56における冷却により液化した液体成分とが分離される。分離された気体成分は、第2の気液分離装置57の頂部からライン19により抜き出される。ライン19には熱交換器が設置され(図示略)、気体成分は40℃程度に冷却されることが好ましい。これにより、気体成分中の軽質炭化水素の一部は液化して第2の気液分離装置57に戻る。残った気体成分は、気体状炭化水素を含んだ水素ガスを主成分とし、中間留分水素化精製装置40あるいはナフサ留分水素化精製装置30(図示略)に供給され、水素化処理用水素として再利用される。
一方、第2の気液分離装置57の底部に接続されたライン54からは、液体成分が抜き出される。この液体成分は、第1の気液分離装置55よりも低温である第2の気液分離装置57の温度において液状である、より軽質な炭化水素からなる軽質油成分である。そして、この軽質油成分は、第1の気液分離装置55からの重質油成分とともに、ライン51により、第2精留塔20へ供給される。
このように気液分離装置を2段に設け、2段階で冷却する手法を採用することにより、ワックス留分水素化分解工程の水素化分解生成物中に含まれる凝固点の高い成分(特に未分解のワックス留分)が冷却により固化して、装置閉塞を起こすなどのトラブルを防止することができる。なお、この例において気液分離工程は2段階としているが、3段階あるいはそれ以上としてもよい。
(分留工程)
次いで、ワックス留分水素化分解工程の分解生成物のうち、上述のように気液分離工程により分離された液体成分は、ライン51により第2精留塔20に供給される。また、中間留分水素化精製装置40から流出する水素化精製された中間留分は、気液分離装置45において水素ガスを主成分とする気体と分離されて、ライン41により上記水素化分解生成物と混合され、第2精留塔20に供給される。そして、第2精留塔20の中央部に接続されたライン22からは中間留分(灯油・軽油留分)が得られ、第2精留塔20の上部に接続されたライン21からは軽質留分が得られ、塔底からは水素化分解生成物中に残存する未分解ワックスを主に含む重質炭化水素(塔底油)が回収される。
(リサイクル工程)
ついで、リサイクル工程において、分留工程で得られた塔底油の全量をワックス留分水素化分解工程に再供給する。この塔底油は、ワックス留分水素化分解工程からの分解生成物中に残存する未分解ワックスを含有するものであるため、これをワックス留分水素化分解工程に再供給することにより、水素化分解を進行させ、最終的な中間留分の収率を一層高めることができる。
[精留塔のスタートアップ方法]
次に、図2を参照しながら、第2精留塔20のスタートアップ方法について、好ましい実施形態に沿って説明する。
第2精留塔20のスタートアップに際して、その予熱に使用する流体は、ワックス留分の水素化分解生成物の少なくとも一部であって、常温常圧で液状である炭化水素油を含む。前記流体も前記炭化水素油と同様に、常温常圧で液状であることが必要である。前記炭化水素油は、当該スタートアップに係る運転以前の運転において製造され、貯留されていたものであってもよいが、精留塔のスタートアップに先立って運転が開始され、運転中であるワックス留分水素化分解工程から供給されるものであることが好ましい。これにより、当該炭化水素油を貯留するための設備を設ける必要がなく、設備コストを低減することができる。以下、この実施形態により説明を行う。
第2精留塔20のスタートアップにおいては、まず、ワックス留分水素化分解装置50の運転を開始して、その流出油、すなわち水素化分解生成物を得る。そして、得られた水素化分解生成物の少なくとも一部であって、常温常圧において液状である炭化水素油を含む流体を用いて前記精留塔およびこれに接続する配管等の予熱を行う(予熱工程)。
なお、ここで常温常圧とは、温度23℃、絶対圧力101325Paを意味する。また、常温常圧において液状であるとは、対象とする炭化水素油の、大気圧下、JIS K2269に規定される方法により測定される流動点が23℃以下であることを意味する。
本発明の精留塔のスタートアップ方法における好ましい実施形態の第1の態様を以下に説明する。
第2精留塔20のスタートアップに先立って、ワックス留分水素化分解装置50の運転を開始し、水素化分解生成物中に含まれる沸点が25℃以上360℃以下の炭化水素成分の含有量が、沸点25℃以上の全水素化分解生成物の質量を基準として、90質量%以上となるようにワックス留分の水素化分解を行なうことが好ましい。こうすることにより、水素化分解生成物が常温常圧において液状となる。
水素化分解生成物中に含まれる沸点が25℃以上360℃以下の炭化水素成分の含有量が、沸点25℃以上の全水素化分解生成物の質量を基準として、90質量%以上とするためには、ワックス留分水素化分解の反応温度は300〜400℃、好ましくは320〜380℃、更に好ましくは320〜350℃とし、且つ、LHSVを0.1〜1.2h−1、好ましくは0.2〜1.0h−1とすることが望ましい。反応温度が300℃を下回る場合には、ワックス留分の水素化分解およびワックス留分中のノルマルパラフィンの異性化が充分に進行せず、得られる水素化分解生成物が常温常圧において液状とならない傾向にある。一方、反応温度が400℃を超える場合には、分解生成物が着色し、当該水素化分解生成物を製品として使用できないおそれがある。また、LHSVが0.1h−1未満の場合は、水素化分解生成物の流出速度が小さく、効率的に精留塔のスタートアップを行うことが困難となる傾向にある。一方、LHSVが1.2h−1を超える場合には、ワックス留分の水素化分解およびワックス留分中のノルマルパラフィンの異性化が充分に進行せず、得られる水素化分解生成物が常温常圧において液状とならない傾向にある。
ついで、ワックス留分水素化分解装置50から流出した水素化分解生成物は、この例では多段に設けられた気液分離装置により気体成分と液体成分とに分離される。この気液分離装置の運転条件は、前述の通常運転時と同様の条件とすることが好ましい。水素化分解生成物はまず第1の気液分離装置55において気液分離される。スタートアップ時以外の通常運転時には、第1の気液分離装置55で分離される液体成分は常温常圧において固体または半固体となることが通常である。一方、この実施態様のスタートアップ時においては、前述の水素化分解条件を選択することにより、ワックス留分の水素化分解およびノルマルパラフィンの水素化異性化が十分に進行することから、第1の気液分離装置55で分離される液体成分は、常温常圧において液状である。また、第1の気液分離装置55において、液体成分は実質的に得られずに全て気体成分となってもよい。
第1の気液分離装置55において分離された気体成分は、熱交換器56により冷却されて、液化した液体成分は第2の気液分離装置57において気体成分と分離される。気体成分はライン19に設けられた熱交換器(冷却器・図示せず)により40℃程度まで冷却され、液化した軽質の液体炭化水素が気液分離装置57に戻る。
この態様においては、第2精留塔20の予熱に用いる流体として、前記第1の気液分離装置55から流出する液体成分(炭化水素油)および第2の気液分離装置57から流出する液体成分(炭化水素油)の混合物、すなわちワックス留分水素化分解装置50から流出する水素化分解生成物全部を用いてよい。その場合、第1の気液分離装置55からの炭化水素油および第2の気液分離装置57からの炭化水素油は、それぞれライン53およびライン54を経てライン51により合流する。
また、第1の気液分離装置55からの炭化水素油は利用せず、第2の気液分離装置57からの炭化水素油のみを第2精留塔20の予熱のための流体として用いてもよい。この場合、ライン53に設置したバルブ(図示せず)を閉とし、第1の気液分離装置55にて得られた炭化水素油は、同装置内に貯留するか、あるいはライン58およびライン24を経てワックス留分水素化分解装置50にリサイクルしてもよい。第1の気液分離装置55からの炭化水素油を利用せず、第2の気液分離装置57からの炭化水素油のみを第2精留塔20の予熱のための流体として利用することにより、該流体の流動点はより低くなり、より低温で液状を保つこととなる。よって、該流体は寒冷時におけるスタートアップ等により適するものとなる。
第2精留塔20およびこれに接続する配管等は、上記により得られた第2精留塔20の予熱のための流体により、次のように予熱される。
予熱のための流体は、ライン51から熱交換器28により加熱されて第2精留塔20に供給される。供給された流体中の軽質分は、第2精留塔20の塔頂から抜き出され、冷却のための熱交換器30を経て液化した炭化水素がリフラックス・ドラム31に貯留される。リフラックス・ドラム31内の液化した炭化水素は、ライン25にて第2精留塔20に還流される。
一方、第2精留塔20の塔底からは塔底油が抜き出され、ライン24、27、およびライン51を経て、熱交換器28によって加熱されて第2精留塔20に返送される。以上のように、ライン51からの前記流体の供給、軽質分の還流、および塔底からの塔底油の返送および加熱により第2精留塔20およびこれに接続する配管等の予熱が行われる。
以上のようにして第2精留塔20およびこれに接続する配管等の予熱が進行し、第2精留塔20およびこれに接続する配管等の温度が上昇していく。そして、この予熱は少なくとも第2精留塔20への原料油供給段(前記流体の供給段)の温度が120℃程度以上になるまで行う。第2精留塔20への原料油供給段(前記流体の供給段)の温度を120℃程度以上とすることにより、その後未分解ワックスを含む水素化分解生成物が第2精留塔20に供給されても、第2精留塔20入口周辺の配管等あるいは第2精留塔20内において、ワックス留分が固化し装置が閉塞することを防止できる。この段階において、第2精留塔20の予熱が完了する。
第2精留塔20の予熱が完了した時点で、未分解ワックスを含む水素化分解生成物の第2精留塔20への供給を開始する。すなわち、ワックス留分水素化分解工程および気液分離工程の運転方法および運転条件を通常運転とし、得られた液状の水素化分解生成物の全てを第2精留塔20に供給する。
未分解ワックスを含む水素化分解生成物の第2精留塔20への供給を開始し、これを継続することにより、第2精留塔20の温度プロファイルを通常運転のそれに近づけていく。そして、ひとつの目安として、第2精留塔20においてライン22が接続される中間留分抜き出し段の温度が通常運転における温度まで上昇した段階において、塔底油を抜き出して、ライン24、27、51および熱交換器28を経て加熱後第2精留塔20へ返送する運転を停止し、替わって抜き出した塔底油をライン24を経てワックス留分水素化分解装置50の上流へリサイクルする運転を開始する。また、ライン22からの中間留分の抜き出しを開始する。更に、ライン23より軽質留分の抜き出しも開始する。以上により、第2精留塔20のスタートアップが完了する。
なお、中間留分水素化精製装置40からの流出油は、第2精留塔20のスタートアップ完了後、任意のタイミングで受け入れを開始できる。
次に本発明の精留塔のスタートアップ方法における好ましい実施形態の第2の態様を以下に説明する。
第2精留塔20のスタートアップに先立って、ワックス留分水素化分解装置50の運転を開始し、その反応温度を通常運転時と同等とする。また、LHSVは特に限定されないが、粗ワックス留分の供給開始から通常運転の値に向けて徐々に増加させる。ワックス留分水素化分解工程から流出する水素化分解生成物は前述の2段階に設けられた気液分離装置55〜57へ導入されて気液分離される。気液分離装置55〜57の運転条件は、通常運転における条件とする。第1の気液分離装置55(180〜300℃)において分離される液体成分は、特にLHSVが通常運転の値に近づくと、未分解ワックスを多く含み、常温常圧においては流動性をもたない固体もしくは半固体となる。
一方、第1の気液分離装置55において分離された気体成分は、熱交換器(冷却装置)56において90〜130℃程度に冷却され、液化した液体成分は、第2の気液分離装置57において気体成分と分離される。この第2の気液分離装置57から得られる炭化水素油は、第1の気液分離装置55において水素化分解生成物から未分解ワックスが回収された後の比較的軽質の炭化水素であり、常温常圧において液状となる。この実施態様にあっては、第1の気液分離装置55より得られる液体成分は使用せず、第2の気液分離装置57より得られる炭化水素油のみを含む前記流体を用いて第2精留塔20のスタートアップに伴う予熱を行なう。この場合、第2精留塔20を予熱する間、ライン53に設置したバルブ(図示せず)を閉とし第1の気液分離装置55にて得られた液体成分は、同装置内に貯留されるか、あるいはライン58およびライン24を経てワックス留分水素化分解装置50にリサイクルされる。
上述のような運転により、第2の気液分離装置57より常温常圧において液状である炭化水素油が得られる。また、この第2の態様においては、ワックス留分水素化分解装置50の運転温度は通常運転時における温度としており、またLHSVも通常運転の値に向けて上昇させるので、第2精留塔20のスタートアップに伴う予熱のために特別な運転条件を設定することはない。したがって、前記予熱が終了した時点で、ワックス留分水素化分解装置50の運転条件は通常運転の条件となっており、速やかに通常運転を開始することができる。
上記本発明の精留塔のスタートアップ方法における好ましい実施形態の第2の態様において、得られた前記流体を第2精留塔20に供給して第2精留塔20およびこれに接続する配管等を予熱する運転方法は、上述の好ましい実施形態の第1の態様における操作方法と同様であってよく、更に第2精留塔20の予熱完了後の通常運転開始までの運転方法についても、上述の好ましい実施形態の第1の態様について記載したものと同様であってよい。
なお、第2精留塔20のスタートアップに伴う予熱に用いる流体としては、上記のようにして得られる、ワックス留分の水素化分解生成物から得られる常温常圧において液状である炭化水素油のみでなく、その他の常温常圧で液状である炭化水素油と前記炭化水素油との混合油であってもよい。好適なその他の常温常圧において液状である炭化水素油としては、中間留分水素化精製装置40からの流出油が挙げられる。この場合、第2精留塔20のスタートアップに先立ち、ワックス留分水素化分解装置50だけでなく、中間留分水素化精製装置40の運転も開始し、その流出油を、前記ワックス留分の水素化分解生成物から得られる常温常圧において液状である炭化水素油と混合して用いる。その場合に用いられるワックス留分の水素化分解生成物から得られる常温常圧において液状である炭化水素油は、前記好ましい実施形態の第1の態様で得られる炭化水素油であってもよいし、好ましい実施形態の第2の態様で得られる炭化水素油のいずれであってもよい。
以上のようにして、第2精留塔20のスタートアップが完了するが、第2精留塔20の予熱に使用した前記流体は、回収・廃棄等を行なう必要がなく、そのまま製品の一部として利用される。したがって、従来必要であった特定の性状を有する熱付け油の調達が不要となることと相まって、効率的に精留塔のスタートアップを行うことができ、必要とするコストを低減することが可能となる。
本発明の精留塔のスタートアップ方法は、上記の好ましい実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を損なわない範囲において、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒子径0.82μmのUSYゼオライト(シリカ/アルミナのモル比:37)とアルミナ・ボリア(アルミナ/ボリアの質量比:5.6)とアルミナバインダーとの混合物(USYゼオライト/アルミナ・ボリア/アルミナバインダー=4/56/40(質量比))を、押出成型法により直径約1.5mm、長さ約3mmの円柱状に成型した。得られた成型体を乾燥、焼成して担体を得た。この担体に塩化白金酸の水溶液を含浸し、担体の質量を基準として0.6質量%の白金を担持した。これを乾燥、焼成することで水素化分解触媒を得た。
次に、得られた水素化分解触媒を固定床流通式反応器に充填し、図2に示すような装置を用いてFT合成油から分留により得られた粗ワックス留分(炭素数21〜80、ノルマルパラフィン95質量%)の水素化分解を行った。
先ず、上記水素化分解触媒について、水素気流下、345℃にて4時間の還元処理を行った。次に、前記粗ワックス留分を供給し、反応条件を温度330℃、LHSV 0.7h−1、水素分圧を4.0MPa、水素/油比を674NL/Lとして水素化分解を行なった。
ワックス留分水素化分解装置50から流出する水素化分解生成物を第1の気液分離装置55および第2の気液分離装置57にて気液分離した。なお、第1の気液分離装置55の温度を240℃、第2の気液分離装置57の温度を90℃とした。第1の気液分離装置55において分離された液体成分はライン53を経て、そして第2の気液分離装置57において分離された液体成分はライン54を経て、ライン51において合流し、熱交換器28によって加熱されて第2精留塔20へ供給された。なお、ライン51からサンプリングされた炭化水素油の流動点をJIS K 2269に準拠した方法で測定したところ、20℃であった。
第2精留塔20の塔底から炭化水素油を抜き出し、ライン24、27、および51を経て熱交換器28により加熱し、第2精留塔20へ返送した。また、第2精留塔20の塔頂に接続されたライン21より軽質分を抜き出し、熱交換器30により冷却して液化し、リフラックス・ドラム31を経て、第2精留塔20へ還流した。
上記の操作により第2精留塔20およびこれに接続する配管等の予熱を行った。そして、第2精留塔20への原料油の供給段の温度が上昇し、120℃に達した時点で予熱を完了し、ワックス留分水素化分解装置50の運転条件を通常運転の条件、すなわち、温度320℃、LHSV2.0h−1、水素分圧4.0MPa、水素/油比674NL/Lとし、未分解ワックスを含む水素化分解生成物から、気液分離装置55および57より得られる炭化水素油をライン51にて混合し、第2精留塔20に供給した。そしてライン22が接続された中間留分抜き出し段の温度が295℃まで上昇した時点で、第2精留塔20の塔底油をライン24、27、51および熱交換器28を経て第2精留塔20へリサイクルする運転を停止し、替わって同塔底油をライン24を経てワックス留分水素化分解装置50の上流(ライン14)へリサイクルする運転を開始した。また、同時にライン22から中間留分の抜き出しを開始した。更にライン23より軽質分の抜き出しを開始した。
以上により、未分解ワックスの固化による閉塞等の問題を生じることなく、第2精留塔20のスタートアップを完了した。
続いて、中間留分水素化精製装置40の流出油を第2精留塔20に受け入れを開始し、通常運転に移行することができた。
(実施例2)
ワックス留分水素化分解装置50の反応温度を320℃、LHSVを0.7h−1から2.0h−1へ向けて徐々に上昇させ、ライン53に設置されるバルブ(図示せず)を閉とし、第1の気液分離装置55から得られる液体成分をライン58およびライン24を経てワックス留分水素化分解装置50へリサイクルし、第2の気液分離装置57より得られる液体成分のみをライン54、51および熱交換器28を経て第2精留塔20に供給した以外は、実施例1と同様の操作により第2精留塔20のスタートアップを行った。なお、第2の気液分離装置57から得られる炭化水素油をライン51より採取し、流動点を測定したところ、−17℃であった。
そして、未分解ワックスの固化による閉塞等の問題を生じることなく、第2精留塔20のスタートアップを完了した。
以上のように、ワックス留分水素化分解生成物から得られる常温常圧において液状である炭化水素油を用いて第2精留塔20およびこれに接続する配管等を予熱することにより、未分解ワックスの固化による装置の閉塞を生じることなく、該精留塔のスタートアップを行うことができた。
10 第1精留塔
20 第2精留塔
40 中間留分水素化精製装置
50 ワックス留分水素化分解装置
55 第1の気液分離装置
57 第2の気液分離装置

Claims (6)

  1. フィッシャー・トロプシュ合成油に含まれるワックス留分をワックス留分水素化分解工程において水素化分解して得られる水素化分解生成物と、前記合成油に含まれる中間留分を水素化精製して得られる水素化精製生成物とが供給され、分留される精留塔のスタートアップ方法であって、
    前記水素化分解生成物の少なくとも一部であって、常温常圧で液状である炭化水素油を含む流体を用いて、前記精留塔の予熱を行う予熱工程を有することを特徴とする精留塔のスタートアップ方法。
  2. 前記水素化分解生成物が、運転中のワックス留分水素化分解工程から供給されるものであることを特徴とする請求項1記載の精留塔のスタートアップ方法。
  3. 前記予熱工程は、
    前記流体を加熱して前記精留塔に供給する工程と、
    前記精留塔の塔底から塔底油を抜き出し、加熱して前記精留塔に返送する工程と、
    前記精留塔の塔頂部から留出する留分を前記精留塔に環流する工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の精留塔のスタートアップ方法。
  4. 前記水素化分解生成物が、前記ワックス留分を温度300〜400℃、LHSV0.1〜1.2h−1の条件にて水素化分解して得られる水素化分解生成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の精留塔のスタートアップ方法。
  5. 前記炭化水素油が、前記水素化分解生成物を180〜300℃の温度にて気液分離して得られる気体成分を、冷却、液化して得られる炭化水素油であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の精留塔のスタートアップ方法。
  6. 前記流体が、前記常温常圧で液状である前記炭化水素油と前記水素化精製生成物との混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の精留塔のスタートアップ方法。
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