JP5443508B2 - 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法 - Google Patents

水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5443508B2
JP5443508B2 JP2011539342A JP2011539342A JP5443508B2 JP 5443508 B2 JP5443508 B2 JP 5443508B2 JP 2011539342 A JP2011539342 A JP 2011539342A JP 2011539342 A JP2011539342 A JP 2011539342A JP 5443508 B2 JP5443508 B2 JP 5443508B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrocracking
wax fraction
flow rate
gas
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011539342A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011055653A1 (ja
Inventor
和彦 田坂
祐一 田中
真理絵 岩間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Exploration Co Ltd
Inpex Corp
Japan Oil Gas and Metals National Corp
Nippon Steel Engineering Co Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Exploration Co Ltd
Inpex Corp
Japan Oil Gas and Metals National Corp
JXTG Nippon Oil and Energy Corp
Nippon Steel Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd, Japan Petroleum Exploration Co Ltd, Inpex Corp, Japan Oil Gas and Metals National Corp, JXTG Nippon Oil and Energy Corp, Nippon Steel Engineering Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to JP2011539342A priority Critical patent/JP5443508B2/ja
Publication of JPWO2011055653A1 publication Critical patent/JPWO2011055653A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5443508B2 publication Critical patent/JP5443508B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G47/00Cracking of hydrocarbon oils, in the presence of hydrogen or hydrogen- generating compounds, to obtain lower boiling fractions
    • C10G47/36Controlling or regulating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G2/00Production of liquid hydrocarbon mixtures of undefined composition from oxides of carbon
    • C10G2/30Production of liquid hydrocarbon mixtures of undefined composition from oxides of carbon from carbon monoxide with hydrogen
    • C10G2/32Production of liquid hydrocarbon mixtures of undefined composition from oxides of carbon from carbon monoxide with hydrogen with the use of catalysts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G2300/00Aspects relating to hydrocarbon processing covered by groups C10G1/00 - C10G99/00
    • C10G2300/10Feedstock materials
    • C10G2300/1022Fischer-Tropsch products
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G2300/00Aspects relating to hydrocarbon processing covered by groups C10G1/00 - C10G99/00
    • C10G2300/40Characteristics of the process deviating from typical ways of processing
    • C10G2300/4081Recycling aspects

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成反応により製造された合成油に含まれるワックス留分を水素化分解する水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法に関する。
本願は、2009年11月9日に出願された特願2009−256123号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、環境負荷低減の観点から、硫黄分および芳香族炭化水素の含有量が低く、環境にやさしいクリーンな液体燃料が求められている。このような観点から、硫黄分および芳香族炭化水素を含まず、脂肪族炭化水素に富む燃料油基材、特に灯油・軽油基材を製造できる技術として、一酸化炭素ガスと水素ガスを原料としたフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」ということもある。)を利用する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
FT合成反応を利用して液体燃料基材を製造する技術としては、天然ガス等の気体状の炭化水素を原料として、改質反応により一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする合成ガスを製造し、この合成ガスをFT合成反応に供することにより液体炭化水素からなる合成油を合成し、更にこの合成油を水素化処理および分留することにより、液体燃料基材として用いられる炭化水素油を得るGTL(Gas To Liquids)プロセスが知られている。
FT合成反応によって得られる合成油(粗油)(以下、「FT合成油」ということもある。)は、広い炭素数分布を有する脂肪族炭化水素類を主成分とする混合物である。このFT合成油からは、沸点が約150℃よりも低い成分を多く含むナフサ留分と、沸点が約150〜約360℃の成分を多く含む中間留分と、中間留分よりも重質な(沸点が約360℃を超える。)炭化水素成分を含むワックス留分(以下、「FTワックス留分」という場合もある)とを得ることができる。そして、これら各留分のうち、中間留分は灯油・軽油基材に相当する最も有用な留分であり、これを高い収率で得ることが望まれる。そのため、FT合成油から燃料油基材を得るためのアップグレーディング工程においては、FT合成反応工程において中間留分とともに相当量併産されるFTワックス留分を、水素化分解により低分子量化して中間留分に相当する成分へと転換し、全体としての中間留分の収率を高めることが行われている。
ワックス留分水素化分解工程においては、反応条件を厳しくして水素化分解の進行度合いを高めると、ワックス留分の一部は過度に分解され、目的とする中間留分よりも軽質なナフサ留分あるいはガス状炭化水素の生成が増加し、中間留分の収率が低下する。そこで、一般的には、水素化分解反応の条件としては、水素化分解生成物中に占める中間留分領域の生成物の割合が最も高くなるような条件が選択される。そして、このような水素化分解反応条件においては、ワックス留分の一部は十分に分解されず、未分解ワックス留分として分解生成物中に残存する。この未分解ワックス留分は、ワックス留分水素化分解工程で得られる水素化分解生成物から分留により回収され、ワックス留分水素化分解工程に再供給される。
なお、本願明細書においては、「水素化分解生成物」とは、特に断らない限り、ワックス留分水素化分解工程からの流出物全体をいい、その中には水素化分解により所定の分子量以下まで低下した炭化水素成分だけでなく、前述の未分解ワックス留分も含まれる。
具体的には、FT合成油から分留により得られるFTワックス留分は、ワックス留分水素化分解工程において水素化分解された後、気液分離工程において気液分離される。そして、ここで得られた液体成分(炭化水素油)は、FT合成油から予め分留され別途水素化精製された中間留分とともに後段の精留塔へと送られ、分留により中間留分(灯油・軽油留分)が得られる。この際、精留塔の塔底からは、前記未分解ワックス留分を主成分とする重質な成分(塔底油)が回収される。塔底油は全量リサイクルされ、FT合成反応工程からのワックス留分とともにワックス留分水素化分解工程に再供給され、再度水素化分解される(例えば、特許文献2参照)。
このように、ワックス留分水素化分解工程における分解の進行度合いを調整し、精留塔の塔底油を再度ワックス留分水素化分解工程に供給し、中間留分に相当する成分へと転換することにより、最終的な中間留分の収率を一層高めることができる。
特開2004−323626号公報 特開2007−204506号公報
しかしながら、従来、このように精留塔の塔底油を回収し、これをワックス留分水素化分解工程に再供給する際には、運転管理の容易さから、回収され再供給される塔底油の流量が一定になるように精留塔を制御していた。このような制御が行われると、精留塔に供給される炭化水素油の性状(主に組成分布。)が何らかの要因により変動した場合、精留塔から得られる塔底油の性状も変動し、また、そのような変動にかかわらず、一定量の塔底油がワックス留分水素化分解工程に再供給されることとなる。そのため、一旦、精留塔に供給される炭化水素油の性状が変動すると、次に説明するような悪循環が生じて、その変動が増幅され、最終的には、精留塔から得られる製品である灯油・軽油基材の品質にも悪影響を及ぼす可能性があった。
すなわち、例えば、何らかの要因により精留塔に供給される炭化水素油が標準よりも軽質な成分となった場合、精留塔から得られる塔底油も軽質になる。そうすると、このような軽質な塔底油が再度水素化分解工程で水素化分解されてさらに軽質化し、その結果、より一層軽質化した炭化水素油が精留塔に供給されるという悪循環が生じる。精留塔に供給される炭化水素油が軽質化すると、灯油・軽油基材として得られる製品も軽質化し、製品の動粘度などの点で懸念が生じる。逆に、何らかの要因により精留塔に供給される炭化水素油が標準よりも重質な成分となった場合、精留塔から得られる塔底油も重質になる。このような重質な塔底油が再度水素化分解工程に供給されると、水素化分解が不十分となる傾向にあり、その結果、より一層水素化分解が不十分な重質な炭化水素油が精留塔に供給されるという悪循環が生じる。精留塔に供給される炭化水素油が重質化すると、本来は灯油・軽油留分に含まれることのない重質な成分が該留分に混入して、流動点等の製品の低温流動性を悪化させるおそれがある。
このように塔底油の流量を一定にするように精留塔を制御した場合には、一旦、精留塔に供給される炭化水素油の性状が標準的な性状から変動すると、上述のような悪循環が生じてその変動が増幅され、ひいては、製品の品質に悪影響を及ぼすことが懸念された。
なお、精留塔に供給される炭化水素油の性状の変動要因としては、例えば、ワックス留分水素化分解工程において使用する水素化分解触媒の劣化などのワックス留分水素化分解工程の変動や、FT合成反応工程の条件変動によるFT合成油の性状変動などが考えられる。
また、精留塔に供給される炭化水素油をサンプリングして分析し、その組成の変動を「リアルタイム」で把握することは、サンプリング作業が煩雑となること及び分析に時間を要することから現実的ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、精留塔において得られる塔底油をワックス留分水素化分解工程に再供給するワックス留分の水素化分解方法において、精留塔に供給される炭化水素油の性状が標準的な性状から変動しても、そのような変動が増幅される悪循環を抑制し、精留塔に供給される炭化水素油の性状を速やかに標準的な性状へと安定化させ、その結果、精留塔から得られる中間留分製品の品質を安定に維持できるワックス留分の水素化分解方法、および前記ワックス留分の水素化分解方法を利用した炭化水素油の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、精留塔から塔底油を回収してワックス留分水素化分解工程に再供給するワックス留分の水素化分解方法において、塔底油の流量を一定にするように精留塔を制御する方法に代えて、精留塔のボトムカット温度を一定に制御することにより、精留塔に供給される炭化水素油の性状の変動にかかわらず、得られる塔底油の性状が一定になることに着目した。このように塔底油の性状が一定になると、塔底油が再供給されるワックス留分水素化分解工程において得られる水素化分解生成物の性状も一定となる。
また、このようにボトムカット温度を一定に制御する場合、精留塔に供給される炭化水素油の性状が変動すると、それに応じて塔底油の流量が変動するようになる。したがって、塔底油の流量に着目すれば、精留塔に供給される炭化水素油の分析を行うことなく、その性状が変動したことを迅速に把握することができる。本発明者らは、この塔底油の流量を指標として、ワックス留分水素化分解工程の反応条件を調整することにより、ワックス留分水素化分解工程での水素化分解の進行度合いを適切な状態に制御でき、ワックス留分水素化分解工程で得られる水素化分解生成物の性状を一定にし得る方法に想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のワックス留分の水素化分解方法は、フィッシャー・トロプシュ合成反応によって合成された液体炭化水素に含まれるワックス留分を水素化分解し、水素化分解生成物を得るワックス留分水素化分解工程と、
前記水素化分解生成物をボトムカット温度が一定に設定された精留塔に供給して、前記精留塔から少なくとも中間留分および塔底油を得る分留工程と、
前記塔底油の全量を前記ワックス留分水素化分解工程に再供給するリサイクル工程と、
前記塔底油の流量を指標として、前記ワックス留分水素化分解工程を制御する水素化分解制御工程とを備え
前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分の流量に対する前記塔底油の流量の比と、当該塔底油の流量を与える当該ワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を求め、前記関係をもとに所望の塔底油の流量に対応する反応温度を、前記ワックス留分水素化分解工程の反応温度として設定する工程を含む
本発明の炭化水素油の製造方法は、一酸化炭素ガスと水素ガスとを含む原料ガスから、フィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成する液体炭化水素合成工程と、
前記液体炭化水素合成工程にて合成された液体炭化水素に含まれるワックス留分を水素化分解し、水素化分解生成物を得るワックス留分水素化分解工程と、
前記水素化分解生成物をボトムカット温度が一定に設定された精留塔に供給して、前記精留塔から少なくとも中間留分および塔底油を得る分留工程と、
前記塔底油の全量を前記ワックス留分水素化分解工程に再供給するリサイクル工程と、
前記塔底油の流量を指標として、前記ワックス留分水素化分解工程を制御する水素化分解制御工程とを備え
前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分の流量に対する前記塔底油の流量の比と、当該塔底油の流量を与える当該ワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を求め、前記関係をもとに所望の塔底油の流量に対応する反応温度を、前記ワックス留分水素化分解工程の反応温度として設定する工程を含む
また、前記水素化分解制御工程においては、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分と、前記ワックス留分水素化分解工程に再供給される前記塔底油との合計の流量が一定になるように、前記塔底油の流量の変動に応じて、前記ワックス留分の流量を調整する工程をさらに含んでいてもよい。
本発明によれば、精留塔で得られる塔底油をワックス留分水素化分解工程に再供給するワックス留分の水素化分解方法において、精留塔に供給される炭化水素油の性状が標準的な性状から変動したとしても、そのような変動が増幅される悪循環を抑制し、精留塔に供給される炭化水素油の性状を速やかに標準的な性状へと安定化させることができる。その結果、精留塔から得られる中間留分製品の品質を安定に維持することが可能な、ワックス留分の水素化分解方法および炭化水素油の製造方法が提供される。
GTLプロセスを実行する液体燃料合成システムの概略図である。 図1の一部であり、FT合成油から液体燃料基材を製造するアップグレーディングユニットを具体的に示す図である。 塔底油の流量と、該塔底油の流量を与えるワックス留分水素化分解工程の反応温度(実測値)との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、炭化水素原料である天然ガスを液体燃料基材に転換するGTLプロセスを実行する液体燃料合成システム1を示す。この液体燃料合成システム1は、合成ガス製造ユニット3と、FT合成ユニット5と、アップグレーディングユニット7とから構成される。
合成ガス製造ユニット3は、炭化水素原料である天然ガスを改質して一酸化炭素ガスと水素ガスを含む合成ガスを製造する。
FT合成ユニット5は、製造された合成ガスからFT合成反応により液体炭化水素を合成する。
アップグレーディングユニット7は、FT合成反応により合成された液体炭化水素を水素化処理(hydroprocessing)・分留して液体燃料製品(ナフサ、灯油、軽油、ワックス等)の基材となる炭化水素油を製造する。以下、これら各ユニットの構成要素について説明する。
合成ガス製造ユニット3は、脱硫反応器10と、改質器12と、排熱ボイラー14と、気液分離器16,18と、脱炭酸装置20と、水素分離器26とを主に備える。
脱硫反応器10は、水素化脱硫装置等で構成され、原料である天然ガスから硫黄成分を除去する。
改質器12は、脱硫反応器10から供給された天然ガスを改質して、一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H)とを主成分として含む合成ガスを製造する。
排熱ボイラー14は、改質器12にて生成した合成ガスの排熱を回収して高圧スチームを発生する。
気液分離器16は、排熱ボイラー14において合成ガスとの熱交換により加熱された水を気体(高圧スチーム)と液体とに分離する。
気液分離器18は、排熱ボイラー14にて冷却された合成ガスから凝縮分を除去し気体分を脱炭酸装置20に供給する。
脱炭酸装置20は、気液分離器18から供給された合成ガスから吸収溶剤を用いて炭酸ガスを除去する吸収塔22と、当該炭酸ガスを含む吸収溶剤から炭酸ガスを放散させて吸収液を再生する再生塔24とを有する。
水素分離器26は、脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離された合成ガスから、当該合成ガスに含まれる水素ガスの一部を分離する。
FT合成ユニット5は、例えば、気泡塔型反応器(気泡塔型炭化水素合成反応器)30と、気液分離器34と、分離器36と、第1精留塔40とを主に備える。
気泡塔型反応器30は、合成ガスから液体炭化水素を合成する反応器の一例であり、FT合成反応により合成ガスから液体炭化水素を合成するFT合成反応器として機能する。この気泡塔型反応器30は、例えば、塔型の容器内部に、液体炭化水素(FT合成反応の生成物)中に固体の触媒粒子を懸濁させた触媒スラリーが収容された気泡塔型スラリー床式反応器で構成される。この気泡塔型反応器30は、上記合成ガス製造ユニット3において製造された合成ガス中の一酸化炭素ガスと水素ガスとを反応させて液体炭化水素を合成する。
気液分離器34は、気泡塔型反応器30内に配設された伝熱管32内を流通して加熱された水を、水蒸気(中圧スチーム)と液体とに分離する。
分離器36は、気泡塔型反応器30の内部に収容されていた触媒スラリーを触媒粒子と液体炭化水素とに分離する。
第1精留塔40は、気泡塔型反応器30から分離器36、気液分離器38を介して供給された液体炭化水素を各留分に分留する。
アップグレーディングユニット7は、例えば、ワックス留分水素化分解装置50と、中間留分水素化精製装置52と、ナフサ留分水素化精製装置54と、気液分離器56,57,58,60と、第2精留塔70と、ナフサスタビライザー72とを備える。
ワックス留分水素化分解装置50は、第1精留塔40の塔底に接続されており、その下流に多段に設けられた第1気液分離器56および第2気液分離器57が設けられている。
中間留分水素化精製装置52は、第1精留塔40の中央部に接続されており、その下流に気液分離器58が設けられている。
ナフサ留分水素化精製装置54は、第1精留塔40の塔頂に接続されており、その下流に気液分離器60が設けられている。
第2精留塔70は、第1気液分離器56,第2気液分離器57および気液分離器58から供給された液体炭化水素の混合物を沸点に応じて分留する。
ナフサスタビライザー72は、気液分離器60および第2精留塔70から供給されたナフサ留分の炭化水素油を更に分留して、軽質成分はオフガスとして排出し、重質成分は製品のナフサとして分離・回収する。
次に、以上のような構成の液体燃料合成システム1により、天然ガスから液体燃料基材となる炭化水素油を製造する工程(GTLプロセス)について説明する。
液体燃料合成システム1には、天然ガス田または天然ガスプラントなどの外部の天然ガス供給源(図示せず)から、炭化水素原料としての天然ガス(主成分がCH)が供給される。上記合成ガス製造ユニット3は、この天然ガスを改質して合成ガス(一酸化炭素ガスと水素ガスを主成分とする混合ガス)を製造する。
まず、上記天然ガスは、水素分離器26によって分離された水素ガスとともに脱硫反応器10に供給される。脱硫反応器10は、当該水素ガスを用いて天然ガスに含まれる硫黄分を公知の水素化脱硫触媒の作用によって硫化水素に転換し、生成した硫化水素を例えばZnOなどの吸着材に吸着させる。これにより、天然ガスから硫黄分を除去する。
脱硫された天然ガスは、二酸化炭素供給源(図示せず)から供給される二酸化炭素ガス(CO)と、排熱ボイラー14で発生した水蒸気とが混合された後で、改質器12に供給される。改質器12は、水蒸気・炭酸ガス改質法により、二酸化炭素と水蒸気とを用いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを製造する。
このようにして改質器12で生成された高温の合成ガス(例えば、900℃、2.0MPaG)は、排熱ボイラー14に供給され、排熱ボイラー14内を流通する水との熱交換により冷却(例えば400℃)されて、排熱回収される。
排熱ボイラー14において冷却された合成ガスは、凝縮液分が気液分離器18において分離・除去された後、脱炭酸装置20の吸収塔22、又は気泡塔型反応器30に供給される。吸収塔22において合成ガスに含まれる炭酸ガスが吸収剤に吸収され、再生塔24において吸収剤から炭酸ガスが放出される。なお、放出された炭酸ガスは、再生塔24から改質器12に送られて、上記改質反応に再利用される。
このようにして、合成ガス製造ユニット3において製造された合成ガスは、上記FT合成ユニット5の気泡塔型反応器30に供給される。このとき、気泡塔型反応器30に供給される合成ガスの組成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば、H:CO=2:1(モル比))に調整されている。
また、水素分離器26は、圧力差を利用した吸着、脱着(水素PSA)により、合成ガスに含まれる水素ガスを分離する。当該分離された水素ガスは、ガスホルダー等(図示略)から圧縮機(図示略)を介して、液体燃料合成システム1内において水素ガスを利用して所定の反応を行う各種の水素利用反応装置(例えば、脱硫反応器10、ワックス留分水素化分解装置50、中間留分水素化精製装置52、ナフサ留分水素化精製装置54など)に、連続して供給される。
次いで、上記FT合成ユニット5は、上記合成ガス製造ユニット3において製造された合成ガスから、FT合成反応により、液体炭化水素を合成する。
上記合成ガス製造ユニット3において製造された合成ガスは、気泡塔型反応器30の底部から流入して、気泡塔型反応器30内に収容された触媒スラリー内を上昇する。この際、気泡塔型反応器30内では、上述したFT合成反応により、当該合成ガスに含まれる一酸化炭素ガスと水素ガスとが反応して、液体炭化水素が生成する。
気泡塔型反応器30で合成された液体炭化水素は、触媒スラリーとして触媒粒子とともに分離器36に導入される。
なお、上記触媒スラリーを構成する触媒としては特に限定されないが、シリカ等の無機酸化物担体にコバルト等の活性金属が担持された触媒が好ましく使用される。
分離器36は、触媒スラリーを触媒粒子等の固形分と液体炭化水素を含んだ液体分とに分離する。分離された触媒粒子等の固形分は、その一部が気泡塔型反応器30に戻され、液体分は第1精留塔40に供給される。
また、気泡塔型反応器30の塔頂からは、未反応の合成ガスおよび生成した、気泡塔型反応器30内の条件においてガス状の炭化水素化合物を含む気体副生成物が排出され、気液分離器38に供給される。気液分離器38は、この気体副生成物を冷却して、凝縮した軽質の液体炭化水素化合物を分離して第1精留塔40に導入する。気液分離器38で分離されたガス分は、未反応の合成ガス(COとH)、炭素数4以下の炭化水素ガスを主成分としており、その一部は気泡塔型反応器30の底部に再投入されて、その中に含まれる未反応の合成ガスはFT合成反応に再利用される。また、気泡塔型反応器30に再投入されなかったガス分は、オフガスとして排出され、燃料ガスとして使用されたり、LPG(液化石油ガス)相当の燃料が回収されたり、合成ガス製造ユニットの改質器12の原料として再利用されたりする。
以上のようにしてFT合成ユニット5により得られ、後述するアップグレーディングユニット7において、液体燃料基材に使用される炭化水素油を製造するための原料としての液体炭化水素としては特に限定されないが、アップグレーディングユニット7において得られる中間留分の収率を高めるとの観点から、沸点約150℃以上の炭化水素を、FT合成反応によって得られる液体炭化水素全体の質量を基準として80質量%以上含むことが好ましい。
次いで、第1精留塔40は、上記のようにして気泡塔型反応器30から分離器36および気液分離器38を介して供給された液体炭化水素を、ナフサ留分(沸点が約150℃より低い。)と、灯油・軽油に相当する中間留分(沸点が約150〜360℃。)と、ワックス留分(沸点が約360℃を超える。)とに分留する。
なお、ここでは、好ましい形態として、第1精留塔40において2つのカットポイント(すなわち、約150℃および約360℃)を設定して、3つの留分に分留する例を示しているが、例えば1つのカットポイントを設定して、該カットポイント以下の留分を中間留分として第1精留塔40の中央部から抜き出し、該カットポイントを超える留分をワックス留分として第1精留塔40の底部から抜き出してもよい。
以下、アップグレーディングユニット7の詳細を示す図2を参照して、アップグレーディングユニット7における炭化水素油の製造工程について説明する。
アップグレーディングユニット7は、上記FT合成ユニット5において合成され、第1精留塔40において分留された各液体炭化水素をそれぞれ水素化処理し、更に分留して液体燃料(ナフサ、灯油、軽油、ワックス等)の基材となる炭化水素油を製造する。
第1精留塔40の塔頂から取り出されるナフサ留分の液体炭化水素(主としてC〜C10)は、ラインL10を経てナフサ留分水素化精製装置54に移送される。第1精留塔40の中央部から取り出される中間留分の液体炭化水素(主としてC11〜C20)は、ラインL1を経て中間留分水素化精製装置52に移送される。第1精留塔40の底部から取り出されるワックス留分の液体炭化水素(主としてC21以上)は、ラインL2を経てワックス留分水素化分解装置50に移送される。
ナフサ留分水素化精製装置54は、第1精留塔40の塔頂から移送された炭素数が少ないナフサ留分の液体炭化水素(概ねC10以下)を、水素分離器26からワックス留分水素化分解装置50を介して供給された水素ガスを用いて、公知の方法により水素化精製する。この水素化精製においては、ナフサ留分の液体炭化水素中に含まれる、FT合成反応により副生するオレフィン類及びアルコール類等の含酸素化合物が、それぞれ水素化、水素化脱酸素され、パラフィン炭化水素に転換される。水素化精製された炭化水素油を含む生成物は、気液分離器60において気体分と液体分に分離され、そのうち液体分は、ラインL13を通じてナフサスタビライザー72に移送され、気体分(水素ガスを含む)は、ラインL22およびラインL14を経てワックス留分水素化分解装置50に供給されて、含まれる水素ガスが再利用される。
なお、ナフサ留分水素化精製装置54において水素化精製されたナフサ留分の一部は、ラインL9を通じてナフサ留分水素化精製装置54の上流のラインL10にリサイクルされる。ナフサ留分の水素化精製は大きな発熱を伴う反応であり、未精製のナフサ留分のみを水素化精製する場合には、ナフサ留分水素化精製装置54において、ナフサ留分の温度が過度に上昇する虞がある。そこで、水素化精製後のナフサ留分の一部をリサイクルすることにより未精製のナフサ留分を希釈し、前記過度の温度上昇を防止するものである。
中間留分水素化精製装置52は、第1精留塔40の中央部から移送された炭素数が中程度である中間留分の液体炭化水素(概ねC11〜C20)を、水素分離器26からワックス留分水素化分解装置50を介して供給された水素ガスを用いて、水素化精製する。この水素化精製においては、オレフィン類およびアルコール類等の含酸素化合物をそれぞれ水素化および水素化脱酸素によりパラフィン炭化水素へ転換され、また、ノルマルパラフィンの少なくとも一部がイソパラフィンへ水素化異性化される。ノルマルパラフィンのイソパラフィンへの異性化により、水素化精製された中間留分炭化水素の燃料基材としての低温流動性が向上する。
水素化精製された炭化水素油を含む生成物は、気液分離器58において気体分と液体分に分離され、そのうち液体分は第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガスを含む)はラインL20、ラインL22およびラインL14を通じてワックス留分水素化分解装置50に供給されて、含まれる水素ガスが再利用される。
ワックス留分水素化分解装置50は、第1精留塔40の塔底から移送されたワックス留分の液体炭化水素(概ねC21以上)を、上記水素分離器26およびナフサ留分水素化精製装置54並びに中間留分水素化精製装置52から供給された水素ガスを利用して水素化分解して、炭素数を概ね20以下に低減し、中間留分に相当する留分へと転換する。また、ワックス留分の液体炭化水素に含まれるオレフィン類やアルコール類などの含酸素化合物はパラフィン炭化水素に転換される。更に、生成油の燃料油基材としての低温流動性の向上に寄与するノルマルパラフィンの水素化異性化によるイソパラフィンの生成も進行する。
一方、ワックス留分の一部は過度に水素化分解を受け、目的とする中間留分に相当する沸点範囲の炭化水素よりも更に低沸点のナフサ留分に相当する炭化水素に転換される。また、ワックス留分の一部は水素化分解が更に進行し、ブタン類、プロパン、エタン、メタンなどの炭素数4以下のガス状炭化水素へと転換される。
上記ワックス留分水素化分解装置50から流出するワックス留分の水素化分解生成物は、多段に設置された第1気液分離器56および第2気液分離器57において気体分と液体分とに段階的に分離され、そのうち液体分は第1気液分離器56および第2気液分離器57から第2精留塔70に移送される。また、気体分は第2気液分離器57からラインL17を通じて中間留分水素化精製装置52およびナフサ留分水素化精製装置54に供給されて、含まれる水素ガスが再利用される。
中間留分水素化精製装置52およびワックス留分水素化分解装置50の下流には、第2精留塔70が設置される。更に、第2精留塔70で分留された中間留分を貯留する中間留分タンク90が設置される。
気液分離器58においてガス分(水素ガスを含む)と分離された中間留分水素化精製装置52の流出油は、ラインL21を通じて第2精留塔70に供給される。また、多段に設置された第1気液分離器56および第2気液分離器57にてガス分(水素ガスを含む)と分離されたワックス留分水素化分解装置50からの流出油(水素化分解生成物)も、ラインL19またはラインL18およびラインL7を通じて第2精留塔70に供給される。第2精留塔70に供給される中間留分水素化精製装置52の流出油と、ワックス留分水素化分解装置50の流出油(水素化分解生成物)とは、ラインブレンドで混合されてもタンクブレンドで混合されてもよく、その混合方法は特に限定されない。
第2精留塔70は、上記のようにしてワックス留分水素化分解装置50および中間留分水素化精製装置52から供給されたそれぞれの流出油の混合物を、C10以下の炭化水素化合物(沸点が約150℃より低い)と、中間留分(沸点が約150〜360℃)と、ワックス留分水素化分解装置50において十分に水素化分解されなかった未分解ワックス留分(沸点が約360℃を超える)とに分留する。第2精留塔70の塔底からは主として未分解ワックス留分が得られ、これはワックス留分水素化分解装置50の上流にリサイクルされる。第2精留塔70の中央部からは中間留分が取り出され、ラインL8を通じて中間留分タンク90に貯留される。一方、第2精留塔70の塔頂からは、C10以下の軽質の炭化水素化合物が取り出されて、ラインL12およびL13を通じて、ナフサスタビライザー72に供給される。
ナフサスタビライザー72では、上記ナフサ留分水素化精製装置54の留出油および第2精留塔70の塔頂から供給されたC10以下の炭化水素化合物を分留して、製品としてのナフサ(C〜C10)を得る。これにより、ナフサスタビライザー72の塔底からは、高純度のナフサが取り出される。一方、ナフサスタビライザー72の塔頂からは、製品対象外である炭素数が概ね4以下の炭化水素化合物を主成分とするオフガスが排出される。このオフガスは、燃料ガスとして使用されたり、LPG相当の燃料が回収されたりする。
上記の例では、第2精留塔70において中間留分を単一の留分として得、これをラインL8を通じて中間留分タンク90に導入し貯留するが、これを適宜複数の留分、例えば、灯油留分(沸点が約150〜250℃)と軽油留分(沸点が約250〜360℃)の2つの留分として分留し、複数のタンクにそれぞれの留分を導入し、貯留してもよい。
第2精留塔70の塔底油は、未分解ワックス留分、すなわち、ワックス留分水素化分解工程において十分に分解されなかったワックス留分を主成分とする。前記塔底油はラインL11を通じてワックス留分水素化分解装置50の上流のラインL2へリサイクルされ、再びワックス留分水素化分解装置50に供給されて水素化分解を受ける。これにより、中間留分収率を向上させることができる。
次に、ワックス留分水素化分解装置50の周辺の詳細を示す図2を参照しながら、ワックス留分の水素化分解方法について説明する。
この例のワックス留分水素化分解装置50は、固定床流通式反応塔を備え、前記反応塔には、詳しくは後述するような水素化分解触媒が充填される。そして、ラインL2を介してFTワックス留分が供給され、ラインL2に接続されるラインL14を介して水素ガスが供給され、これらが混合されてワックス留分水素化分解装置50に供給され、ワックス留分が水素化分解される。
また、ワックス留分水素化分解装置50の下流には、詳しくは後述する気液分離器が多段に設けられている。
以下、ワックス留分の水素化分解方法の各工程について具体的に説明する。
(ワックス留分水素化分解工程)
ワックス留分水素化分解工程においては、図2に示すように、第1精留塔の塔底から、場合によっては中間タンク62を経て供給されたFT合成反応工程からのワックス留分が、ワックス留分水素化分解装置50において水素化分解され、水素化分解生成物が得られる。この際、第2精留塔70の塔底から回収された塔底油は、ラインL11を通じてワックス留分水素化分解装置50の上流のラインL2へリサイクルされ、混合槽64において第1精留塔40からラインL2を通じて供給されるワックス留分と混合され、ワックス留分水素化分解装置50に再供給されて水素化分解を受ける。これにより、中間留分収率を向上させることができる。
ワックス留分水素化分解工程において使用される水素化分解触媒としては、例えば、固体酸を含む担体に、活性金属として周期表第8〜10族に属する金属を担持したものが挙げられる。なおここで、周期表とは、国際純粋応用化学連合(IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry))により規定される長周期型の元素の周期表をいう。
好適な担体としては、超安定Y型(USY)ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイトおよびβゼオライトなどの結晶性ゼオライト、ならびに、シリカアルミナ、シリカジルコニア、およびアルミナボリアなどの耐熱性を有する無定形複合金属酸化物の中から選ばれる1種類以上の固体酸を含むものが挙げられる。さらに、担体は、USYゼオライトと、シリカアルミナ、アルミナボリアおよびシリカジルコニアの中から選ばれる1種以上の耐熱性無定形複合金属酸化物とを含むものがより好ましく、USYゼオライトと、アルミナボリアおよび/またはシリカアルミナとを含むものがさらに好ましい。
USYゼオライトは、Y型ゼオライトを水熱処理および/または酸処理により超安定化したものであり、Y型ゼオライトが本来有する細孔径が2nm以下のミクロ細孔と呼ばれる微細細孔構造に加え、2〜10nmの範囲に細孔径を有する新たな細孔が形成されている。USYゼオライトの平均粒子径に特に制限はないが、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。また、USYゼオライトにおいて、シリカ/アルミナのモル比(アルミナに対するシリカのモル比)は10〜200であることが好ましく、15〜100であることがより好ましく、20〜60であることがさらに好ましい。
また、担体は、結晶性ゼオライト0.1〜80質量%と、耐熱性を有する無定形複合金属酸化物0.1〜60質量%とを含むものであることが好ましい。
担体は、上記固体酸とバインダーとを含む担体組成物を成形した後、焼成することにより製造できる。固体酸の配合割合は、担体全量を基準として1〜70質量%であることが好ましく、2〜60質量%であることがより好ましい。また、担体がUSYゼオライトを含む場合、USYゼオライトの配合割合は、担体全体の質量を基準として0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。さらに、担体がUSYゼオライトおよびアルミナボリアを含む場合、USYゼオライトとアルミナボリアの配合比(USYゼオライト/アルミナボリア)は、質量比で0.03〜1であることが好ましい。また、担体がUSYゼオライトおよびシリカアルミナを含む場合、USYゼオライトとシリカアルミナとの配合比(USYゼオライト/シリカアルミナ)は、質量比で0.03〜1であることが好ましい。
バインダーとしては、特に制限はないが、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシアが好ましく、アルミナがより好ましい。バインダーの配合量は、担体全体の質量を基準として20〜98質量%であることが好ましく、30〜96質量%であることがより好ましい。
前記担体組成物の焼成温度は、400〜550℃の範囲内にあることが好ましく、470〜530℃の範囲内であることがより好ましく、490〜530℃の範囲内であることがさらに好ましい。
周期表第8〜10族の金属としては、具体的にはコバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金などが挙げられる。これらのうち、ニッケル、パラジウムおよび白金の中から選ばれる金属を1種単独または2種以上組み合わせて用いることが好ましい。これらの金属は、含浸やイオン交換などの常法によって上述の担体に担持することができる。担持する金属量には特に制限はないが、金属の合計量が担体質量に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましい。
ワックス留分水素化分解工程における水素分圧としては、例えば0.5〜12MPaであり、1.0〜5.0MPaが好ましい。
液空間速度(LHSV)としては、例えば0.1〜10.0h−1であり、0.3〜3.5h−1が好ましい。水素ガスとワックス留分との比(水素ガス/油比)は、特に制限はないが、例えば50〜1000NL/Lであり、70〜800NL/Lが好ましい。
なお、ここで「LHSV(liquid hourly space velocity;液空間速度)」とは、固定床流通式反応塔に充填された触媒からなる層(触媒層)の容量当たりの、標準状態(25℃、101325Pa)におけるワックス留分および再供給される第2精留塔の塔底油の合計の体積流量のことであり、単位「h−1」は時間の逆数である。また、水素ガス/油比における水素ガス容量の単位である「NL」は、標準状態(0℃、101325Pa)における水素ガス容量(L)を示す。
また、ワックス留分水素化分解工程の反応温度(触媒床重量平均温度)としては、180〜400℃が例示でき、好ましくは200〜370℃、より好ましくは250〜350℃、さらに好ましくは280〜350℃である。反応温度が400℃を超えると、水素化分解が過度に進行して、目的とする中間留分の収率が低下する傾向にある。また、水素化分解生成物が着色して、燃料基材としての使用が制限される場合もある。一方、反応温度が180℃より低い場合は、ワックス留分の水素化分解が十分に進行せず、中間留分の収率が低下する傾向にある。また、ワックス留分中のアルコール類等の含酸素化合物が十分に除去されない傾向にある。
なお、反応温度は、ラインL2に設けられた熱交換器66出口の設定温度を調整することにより制御される。
このようなワックス留分水素化分解工程においては、水素化分解生成物中に含まれる特定の炭化水素成分、すなわち、沸点が25℃以上360℃以下の炭化水素成分の含有量が、沸点25℃以上の全水素化分解生成物の質量を基準として、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは45〜70質量%となるように、ワックス留分水素化分解装置50を運転することが好ましい。前記特定の炭化水素成分の含有量がこのような範囲内にあれば、水素化分解の進行の度合いが適切であり、中間留分の収率を高めることができる。
(気液分離工程)
この例においては、ワックス留分水素化分解工程における水素化分解生成物は、多段に設けられた第1気液分離器56および第2気液分離器57に導入される。ワックス留分水素化分解装置50出口に接続されたラインL15には、水素化分解生成物を冷却するための熱交換器(図示略)が設置されていることが好ましい。この熱交換器により冷却された水素化分解生成物は、第1気液分離器56により気体成分と液体成分とに分離される。第1気液分離器56内の温度は210〜260℃程度であることが好ましい。すなわち、第1気液分離器56において分離される液体成分は、前記温度において液体状態となる炭化水素からなる重質油成分であり、未分解ワックス留分を多く含む。前記重質油成分は、第1気液分離器56の底部から、ラインL19およびラインL7を通じて、第2精留塔70に供給される。
一方、第1気液分離器56において分離された気体成分は、第1気液分離器56の頂部からラインL16を介して熱交換器(冷却装置)55に導入されて冷却され、その少なくとも一部が液化される。熱交換器55からの流出物は、第2気液分離器57に導入される。第2気液分離器57の入口温度は、熱交換器55による冷却により、90〜100℃程度とされる。
第2気液分離器57においては、気体成分と熱交換器55における冷却により凝縮した液体成分とが分離される。分離された気体成分は、第2気液分離器57の頂部からラインL17を通じて抜き出される。ラインL17には熱交換器が設置され(図示略)、気体成分は40℃程度に冷却されることが好ましい。これにより、気体成分中の軽質炭化水素の一部は液化して第2気液分離器57に戻る。残った気体成分は、気体状炭化水素を含んだ水素ガスを主成分とし、中間留分水素化精製装置52およびナフサ留分水素化精製装置54に供給され、水素化処理用水素ガスとして再利用される。
一方、第2気液分離器57の底部に接続されたラインL18からは、液体成分が抜き出される。この液体成分は、第1気液分離器56よりも低温である第2気液分離器57において凝縮する、より軽質な炭化水素からなる軽質油成分である。そして、この軽質油成分は、第1気液分離器56からの重質油成分とともに、ラインL7を通じて第2精留塔70に供給される。
なお、このように気液分離器を多段に設け、段階的に冷却する手法を採用することにより、ワックス留分水素化分解工程の水素化分解生成物中に含まれる凝固点の高い成分(特に未分解ワックス留分)が急冷により固化して、装置閉塞を起こすなどのトラブルを防止することができる。
(分留工程)
ついで、ワックス留分水素化分解工程の水素化分解生成物のうち、上述のように気液分離工程において分離された液体成分は、ラインL7を通じて第2精留塔70に供給され、分留される。そして、第2精留塔70の中間部に接続されたラインL8から中間留分(灯油・軽油留分)が得られ、塔底からは塔底油として、水素化分解生成物中に残存する未分解ワックス留分を主に含む重質炭化水素が回収される。
そして、分留工程では、第2精留塔70をボトムカット温度が一定になるように制御して運転が行われる。ここでボトムカット温度とは、中間留分と塔底油の沸点の境界を示す指標であり、例えば塔底油の蒸留性状における10%留出点、初留点、あるいは5%留出点とすることができる。また、ラインL8を通じて得られる中間留分の90%留出点、95%留出点、あるいは終点でもよい。例えばラインL8を通じて得られる中間留分の抜出しトレイ温度を前記のいずれかの温度に一定とすることで、ボトムカット温度を一定に制御することができる。
このようにボトムカット温度を一定に制御することにより、何らかの要因により、第2精留塔70に供給される気液分離工程からの液体成分(炭化水素油)の性状が変動したとしても、第2精留塔70から得られる塔底油の性状(組成)はほぼ一定に安定するようになる。その一方で、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状が変動すると、それに伴って、第2精留塔70から得られる塔底油の流量が変動するようになる。
ボトムカット温度は、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状の変動の度合いにもよるが、通常、330〜380℃の範囲内で一定となるように調整する。
(リサイクル工程)
ついで、リサイクル工程において、分留工程で得られた塔底油の全量をワックス留分水素化分解工程に再供給する。塔底油は、ワックス留分水素化分解工程からの分解生成物中に残存する未分解ワックス留分を含有するものであるため、塔底油をこのようにワックス留分水素化分解工程に再供給することにより、未分解ワックス留分の水素化分解を進行させ、最終的な中間留分の収率を一層高めることができる。
(水素化分解制御工程)
ついで、水素化分解制御工程では、分留工程で回収されリサイクル工程でワックス留分水素化分解工程に再供給される塔底油の流量を指標として、ワックス留分水素化分解工程の反応条件(反応温度など。)を調整し、ワックス留分水素化分解工程を制御する。
ワックス留分水素化分解工程の反応温度が高いほど、水素化分解が進行して未分解ワックス留分が減少するため、第2精留塔70からの塔底油の流量は減少し、ワックス留分水素化分解工程の反応温度が低いほど、未分解ワックス留分が増加し、第2精留塔70からの塔底油の流量は増加する。そこで、第2精留塔70からの塔底油の流量が標準よりも多い場合には、ワックス留分水素化分解工程の反応温度を高め、一方、塔底油の流量が標準よりも少ない場合には、水素化分解工程の反応温度を低くすることにより、ワックス留分水素化分解工程を適切な状態に維持できる。ワックス留分水素化分解工程を適切な状態に維持できれば、ワックス留分水素化分解工程からの水素化分解生成物の性状が安定し、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状も安定するため、第2精留塔70から得られる製品の品質を良好に維持することができる。
ワックス留分水素化分解工程においては、先に説明したように、水素化分解生成物中の特定の炭化水素成分の量、すなわち、沸点が25℃以上360℃以下の炭化水素成分の、沸点25℃以上の全水素化分解生成物の質量基準での含有量が、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは45〜70質量%となるように、反応温度を決定することが好適である。そこで、前記特定の炭化水素成分量を67質量%とすることを運転の目標とし、第2精留塔のボトムカット温度を360℃とする場合を例にとり、以下説明を行う。
前記特定の炭化水素成分量が67質量%となる水素化分解反応温度を基準反応温度とする。なお、この条件においては、第2精留塔70からの塔底油の流量は、ワックス留分水素化分解反応装置50へのフィード量(FT合成反応工程からのワックス留分とリサイクルされる塔底油との合計の流量)の約33%となる。すなわち、FT合成反応工程からのワックス留分の流量を100とした場合、塔底油の流量は50となる。
図3は、FT合成反応工程からのワックス留分の流量に対する塔底油の流量の比(リサイクル比率)と、その塔底油の流量を与えるワックス留分水素化分解工程の反応温度(実測値)との関係を示すグラフである。ここで横軸は、第1精留塔40の塔底から、場合により中間タンク62を経て、ワックス留分水素化分解工程に供給される、FT合成反応工程からのワックス留分の流量を100とした場合の塔底油の流量(体積基準)である。縦軸は、ワックス留分水素化分解反応温度の、塔底油の流量(横軸)が50となる(前記特定の炭化水素成分量が67質量%となる)基準反応温度(±0℃)からの温度変化量である。すなわち、図3は塔底油の流量の基準値からの変化と、反応温度の基準温度からの変化の関係を示している。
このグラフからは、塔底油の流量が多い場合には、実際のワックス留分水素化分解工程の反応温度は基準反応温度よりも低下していることが理解できる。そのため、この場合には、ワックス留分水素化分解工程の反応温度を高めるように制御する必要がある。例えば、塔底油の流量が60である場合には、水素化分解工程の反応温度は基準よりも1.4℃低くなっていることがグラフから読み取れるため、水素化分解制御工程では、ワックス留分水素化分解工程の反応温度を1.4℃高める操作をする。また、このグラフからは、塔底油の流量が少ない場合には、実際のワックス留分水素化分解工程の反応温度は基準よりも高くなっていることが理解できる。そのため、この場合には、水素化分解工程の反応温度を低くするように制御する必要がある。例えば、塔底油の流量が40である場合には、ワックス留分水素化分解工程の反応温度は基準よりも1.6℃高くなっていることがグラフから読み取れるため、水素化分解制御工程では、水素化分解工程の反応温度を1.6℃低くする操作をする。
このように反応温度を調整することにより、前記特定の炭化水素成分量が67質量%となるように、すなわち塔底油の流量が50となるように、ワックス留分水素化分解工程を制御できる。
このように水素化分解制御工程では、図3に示すような、塔底油の流量とワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を予め把握しておくことが好ましい。そして、この関係に基づいて、塔底油の流量からワックス留分水素化分解工程の反応温度を決定し、その温度になるように反応温度を調整することが好ましい。このように反応温度を調整して塔底油の流量を所定の値に戻すことにより、ワックス留分水素化分解工程を適切な状態に速やかに戻すことができる。
上述のように、第2精留塔70においてボトムカット温度を一定とする制御を行うと、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状が変動した場合、第2精留塔70からの塔底油の流量は変動する。この変動に対してワックス留分水素化分解工程をより安定化させるためには、第1精留塔40の塔底から、場合により中間タンク62を経て、ワックス留分水素化分解工程に新たに供給される、FT合成反応工程からのワックス留分と、再供給される塔底油との合計の流量、すなわち、ワックス留分水素化分解工程へのフィード量が一定となるように、塔底油の流量の変動に応じて、FT合成反応工程からのワックス留分の流量を調整することが好ましい。これにより、第2精留塔70においてボトムカット温度を一定とする制御を行なうことにより奏される、精留塔へ供給される炭化水素油の性状の変動が増幅される悪循環を抑制する効果を、より確実なものとすることができる。
更に、水素化分解制御工程においては、塔底油の流量とワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を予め把握しておき、該工程の反応温度を、塔底油の流量から前記関係に基づいて決定される温度とし、かつ、FT合成反応工程からのワックス留分と、再供給される塔底油との合計の流量(フィード量)が一定となるように、塔底油の流量に応じてワックス留分の流量を調整することがより好ましい。水素化分解制御工程をこのようにすることにより、第2精留塔70へ供給される炭化水素油の性状が変動した場合、この変動が増幅される悪循環をより確実に抑制しつつ、ワックス留分水素化分解工程を、所定の安定した状態により速やかに、且つ確実に戻すことが可能となる。
以上説明したように、分留工程では第2精留塔70のボトムカット温度を一定に制御し、ワックス留分水素化分解制御工程では、ボトムカット温度を一定に制御することで生じた塔底油の流量の変動に応じて、ワックス留分水素化分解工程を制御することにより、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状が標準的な性状から変動したとしても、そのような変動が増幅される悪循環を抑制し、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状を速やかに標準的なものへと安定化させることができる。その結果、第2精留塔70から得られる製品の品質を安定に維持できる。
すなわち、まず、分留工程においてボトムカット温度を一定に制御することにより、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状にかかわらず、得られる塔底油の性状は一定となる。このように塔底油の性状が一定になると、塔底油が再供給されるワックス留分水素化分解工程において得られる水素化分解生成物の性状も一定に落ち着いていく。そして、このように分留工程を制御すると、第2精留塔70に供給される炭化水素油の性状に応じて塔底油の流量が変動するようになるため、分留工程を上述のように制御することに加えて、塔底油の流量を指標として、ワックス留分水素化分解工程の反応条件を制御する。これにより、ワックス留分水素化分解工程における水素化分解の進行度合いを適切に制御でき、ワックス留分水素化分解工程で得られる分解生成物の性状を一定に保つことができる。
このように第2精留塔70のボトムカット温度を一定に制御するとともに、塔底油の流量を指標としてワックス留分水素化分解工程を制御すると、ワックス留分水素化分解工程に供給される原料面、及びワックス留分水素化分解工程の反応面の両面の変動に対して、ワックス留分水素化分解工程を適切に制御し、製品の性状を安定に維持することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
上記実施形態においては、炭化水素原料としての天然ガスを液体燃料基材に転換するプラントを構成する液体燃料合成システム1について述べたが、本発明は天然ガスを原料とする場合のみに適用されるものではなく、例えばアスファルトや残油などの炭化水素を原料とする場合にも適用される。つまり、少なくとも一酸化炭素ガスと水素ガスとを含む原料ガスと触媒スラリーとの接触によるFT合成反応によって液体炭化水素を合成し、得られた液体炭化水素から液体燃料基材等に使用される炭化水素油を製造するシステムに適用することができる。
なお、本発明の炭化水素油の製造方法における炭化水素油とは、本発明の水素化分解方法によって生成するワックス留分の水素化分解生成物、該分解生成物を分留して得られるナフサ留分、中間留分、あるいは中間留分を更に分留して得られる灯油留分及び軽油留分、あるいはこれらの留分の混合物を含む炭化水素油をいう。
本発明は、FT合成反応によって合成された液体炭化水素に含まれるワックス留分を水素化分解し、水素化分解生成物を得るワックス留分水素化分解工程と、前記水素化分解生成物をボトムカット温度が一定に設定された精留塔に供給して、前記精留塔から少なくとも中間留分および塔底油を得る分留工程と、前記塔底油の全量を前記ワックス留分水素化分解工程に再供給するリサイクル工程と、前記塔底油の流量を指標として、前記ワックス留分水素化分解工程を制御する水素化分解制御工程とを備えるワックス留分の水素化分解方法、および前記ワックス留分の水素化分解方法を利用した炭化水素油の製造方法に関する。
本発明によれば、精留塔から得られる製品の品質を安定に維持できる。
70 第2精留塔、
50 ワックス留分水素化分解装置

Claims (4)

  1. フィッシャー・トロプシュ合成反応によって合成された液体炭化水素に含まれるワックス留分を水素化分解し、水素化分解生成物を得るワックス留分水素化分解工程と、
    前記水素化分解生成物をボトムカット温度が一定に設定された精留塔に供給して、前記精留塔から少なくとも中間留分および塔底油を得る分留工程と、
    前記塔底油の全量を前記ワックス留分水素化分解工程に再供給するリサイクル工程と、
    前記塔底油の流量を指標として、前記ワックス留分水素化分解工程を制御する水素化分解制御工程とを備え
    前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分の流量に対する前記塔底油の流量の比と、当該塔底油の流量を与える当該ワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を求め、前記関係をもとに所望の塔底油の流量に対応する反応温度を、前記ワックス留分水素化分解工程の反応温度として設定する工程を含む、ワックス留分の水素化分解方法。
  2. 前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分と、前記ワックス留分水素化分解工程に再供給される前記塔底油との合計の流量が一定になるように、前記塔底油の流量の変動に応じて、前記ワックス留分の流量を調整する工程をさらに含む、請求項1に記載のワックス留分の水素化分解方法。
  3. 一酸化炭素ガスと水素ガスとを含む原料ガスから、フィッシャー・トロプシュ合成反応により液体炭化水素を合成する液体炭化水素合成工程と、
    前記液体炭化水素合成工程にて合成された液体炭化水素に含まれるワックス留分を水素化分解し、水素化分解生成物を得るワックス留分水素化分解工程と、
    前記水素化分解生成物をボトムカット温度が一定に設定された精留塔に供給して、前記精留塔から少なくとも中間留分および塔底油を得る分留工程と、
    前記塔底油の全量を前記ワックス留分水素化分解工程に再供給するリサイクル工程と、
    前記塔底油の流量を指標として、前記ワックス留分水素化分解工程を制御する水素化分解制御工程とを備え
    前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分の流量に対する前記塔底油の流量の比と、当該塔底油の流量を与える当該ワックス留分水素化分解工程の反応温度との関係を求め、前記関係をもとに所望の塔底油の流量に対応する反応温度を、前記ワックス留分水素化分解工程の反応温度として設定する工程を含む、炭化水素油の製造方法。
  4. 前記水素化分解制御工程が、前記ワックス留分水素化分解工程に供給される前記ワックス留分と、前記ワックス留分水素化分解工程に再供給される前記塔底油との合計の流量が一定になるように、前記塔底油の流量の変動に応じて、前記ワックス留分の流量を調整する工程をさらに含む、請求項3に記載の炭化水素油の製造方法。
JP2011539342A 2009-11-09 2010-10-26 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法 Active JP5443508B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011539342A JP5443508B2 (ja) 2009-11-09 2010-10-26 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009256123 2009-11-09
JP2009256123 2009-11-09
PCT/JP2010/068916 WO2011055653A1 (ja) 2009-11-09 2010-10-26 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法
JP2011539342A JP5443508B2 (ja) 2009-11-09 2010-10-26 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011055653A1 JPWO2011055653A1 (ja) 2013-03-28
JP5443508B2 true JP5443508B2 (ja) 2014-03-19

Family

ID=43969893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011539342A Active JP5443508B2 (ja) 2009-11-09 2010-10-26 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US20120232172A1 (ja)
EP (1) EP2500400B8 (ja)
JP (1) JP5443508B2 (ja)
CN (1) CN102597178B (ja)
AU (1) AU2010316361B2 (ja)
BR (1) BR112012010793B1 (ja)
CA (1) CA2779876C (ja)
EA (1) EA026920B1 (ja)
MY (1) MY160874A (ja)
NO (1) NO2500400T3 (ja)
WO (1) WO2011055653A1 (ja)
ZA (1) ZA201203241B (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5443206B2 (ja) * 2010-02-24 2014-03-19 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 水素化分解方法
US8849582B2 (en) * 2010-12-21 2014-09-30 Invensys Systems, Inc. Offline analyzer system and method for multivariate characterization of properties in crude and heavy hydrocarbon oils
CN104560136B (zh) * 2013-10-29 2016-08-17 中国石油化工股份有限公司 一种费-托合成蜡的异构加氢裂化方法
CN105295991B (zh) * 2014-07-01 2017-03-29 中国石油化工股份有限公司 一种提高费托蜡加氢裂化中间馏分油收率的方法
US11884621B2 (en) 2021-03-25 2024-01-30 Enerflex Us Holdings Inc. System, apparatus, and method for hydrocarbon processing

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007204506A (ja) * 2006-01-30 2007-08-16 Nippon Oil Corp ワックスの水素化分解方法
JP2007269901A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Nippon Oil Corp 合成油の処理方法、水素製造用炭化水素油及びディーゼル燃料基材用炭化水素油
JP2007269899A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Nippon Oil Corp 合成油の処理方法、灯油煙点向上剤用炭化水素油及びディーゼル燃料基材用炭化水素油
JP2009221298A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Japan Oil Gas & Metals National Corp 水素化処理装置の運転方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3981793A (en) * 1975-06-30 1976-09-21 Phillips Petroleum Company Automatic control of a hydrocracker
MY139353A (en) * 2001-03-05 2009-09-30 Shell Int Research Process to prepare a lubricating base oil and a gas oil
DE60302366T2 (de) * 2002-07-18 2006-08-03 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. Verfahren zur herstellung eines mirkokristallinen wachses und eines mitteldestillat-brennstoffs oder -kraftstoffs
JP3945773B2 (ja) 2003-04-23 2007-07-18 株式会社ジャパンエナジー 環境対応燃料油とその製造方法
DE602004009073T2 (de) * 2003-07-04 2008-06-19 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. Verfahren zur herstellung von grundölen aus einem produkt der fischer-tropsch-synthese
JP2009256123A (ja) 2008-04-15 2009-11-05 Univ Nihon シリカベースド無機材料の表面処理法およびそれに用いる表面処理剤

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007204506A (ja) * 2006-01-30 2007-08-16 Nippon Oil Corp ワックスの水素化分解方法
JP2007269901A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Nippon Oil Corp 合成油の処理方法、水素製造用炭化水素油及びディーゼル燃料基材用炭化水素油
JP2007269899A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Nippon Oil Corp 合成油の処理方法、灯油煙点向上剤用炭化水素油及びディーゼル燃料基材用炭化水素油
JP2009221298A (ja) * 2008-03-14 2009-10-01 Japan Oil Gas & Metals National Corp 水素化処理装置の運転方法

Also Published As

Publication number Publication date
MY160874A (en) 2017-03-31
BR112012010793A2 (pt) 2020-09-08
CN102597178A (zh) 2012-07-18
WO2011055653A1 (ja) 2011-05-12
BR112012010793B1 (pt) 2021-07-27
NO2500400T3 (ja) 2018-02-03
JPWO2011055653A1 (ja) 2013-03-28
EP2500400B8 (en) 2017-10-25
ZA201203241B (en) 2013-07-31
AU2010316361B2 (en) 2013-12-05
CN102597178B (zh) 2015-07-22
EA026920B1 (ru) 2017-05-31
CA2779876C (en) 2014-12-09
EP2500400B1 (en) 2017-09-06
EA201290290A1 (ru) 2012-12-28
EP2500400A1 (en) 2012-09-19
US20120232172A1 (en) 2012-09-13
CA2779876A1 (en) 2011-05-12
EP2500400A4 (en) 2014-12-24
AU2010316361A1 (en) 2012-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5568619B2 (ja) 合成ナフサの製造方法
AU2010209215B2 (en) Method for upgrading FT Synthesis oil, and mixed crude oil
JP5443508B2 (ja) 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法
CA2806283C (en) Method for washing reactor
JP5502093B2 (ja) 水素化分解方法、および炭化水素油の製造方法
JP5367727B2 (ja) 中間留分水素化精製反応器の操業方法及び中間留分水素化精製反応器
JP5443206B2 (ja) 水素化分解方法
JP5599633B2 (ja) 精留塔のスタートアップ方法
JP5990389B2 (ja) 炭化水素油の製造方法、気泡塔型スラリー床反応装置及び炭化水素油の製造システム

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131021

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5443508

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250