JPH053405B2 - - Google Patents

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JPH053405B2
JPH053405B2 JP3460787A JP3460787A JPH053405B2 JP H053405 B2 JPH053405 B2 JP H053405B2 JP 3460787 A JP3460787 A JP 3460787A JP 3460787 A JP3460787 A JP 3460787A JP H053405 B2 JPH053405 B2 JP H053405B2
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chlorine
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oxygen
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Hiroyuki Ito
Yoshitsugu Jinno
Masafumi Kataita
Shinji Takenaka
Masanobu Ajioka
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、塩化水素ガスを含酸素ガスで酸化し
塩素を製造する方法、より詳細には、各種含塩素
化合物の反応工程で排出される塩化水素ガスを含
酸素ガスで酸化し塩素を製造する工業的製造方法
に関するものである。
(発明の技術背景) 塩素は食塩電解により大規模に製造されてお
り、塩素の需要は年々増大するにもかかわらず、
食塩電解の際に同時に生成する苛性ソーダの需要
は塩素のそれよりも少ないために各々の不均衡を
うまく調整するのは困難な状況が生じている。
一方、有機化合物の塩素化反応またはホスゲン
化反応の際に大量の塩化水素が副生し、その量
は、市場の需要量より大巾に多いために、未利用
のままで無駄に廃棄されている。また廃棄のため
の処理コスト大きい。
(従来の技術) 塩化水素を酸化して塩素を製造する反応は古く
からDeacon反応として知られている。1868年デ
イーコン(Deacon)の発明による銅系の触媒が、
従来最も優れた活性を示す触媒とされ、塩化銅と
塩化カリに第三成分として種々な化合物を添加し
たいわゆるデイーコン触媒が多数提案されてい
る。
しかしながら、これらの触媒で工業的に行なう
には少なくとも400℃以上の高温が必要であり、
又触媒寿命の問題があつた。
また、Decon触媒を用いて塩素を製造する米国
特許4394367は、反応による生成ガスを、反応温
度より若干低い温度の硫酸吸収塔に導入し、これ
により脱水乾燥された生成ガスを加圧状態にし
て、多塩素化物などの不純物を四塩化炭素により
抽出除去した後、塩素を液化して分離する方法を
提案している。
しかしながら、この方法は、吸収温度が約200
℃付近の高温であるため、生成ガス中に含まれて
いる多量の生成水を除去するためには、多量の硫
酸を循環使用せねばならず、動力費、装置を考慮
すると必ずしも有利な方法とはいえない。
また、ザ ケミカルエンジニア(THE
CHIM.ENG.、1963年、CE229頁)には同じくデ
イーコンプロセスの改良法として、酸化剤に空気
を用いて反応を行つた後、生成ガスを水洗して塩
化水素を30%塩酸として回収した後、硫酸で脱水
乾燥し、更に四塩化炭素を塩素の抽出剤として使
用し、塩素を分離する方法も提案されている。
しかしながら、この方法では酸素源として空気
を用いるので生成ガス中の塩素濃度が低く、塩素
の液化分離のための圧縮、冷却が必要であり、こ
れらに大きな動力費を要する。
また、これらの両者に共通する欠点は、反応後
の分離工程に四塩化炭素などの溶剤を使用してい
ることであり、そのため塩素と四塩化炭素との分
離が煩雑となる。更に、本発明方法のように酸化
クロームを触媒として使用し、塩素を分離した後
の残ガスを循環する場合は、循環ガスにも溶剤が
混入し酸化クロム触媒に悪影響を与える。
また、これらデイーコン触媒以外に酸化クロム
を触媒として用いる提案も種々なされているが、
充分な活性を示すものはない。
例えば、米国特許第676667号は、CrO3をアル
ミナに担持し焼成または水素還元して、三価のク
ロミア触媒にして用いる方法を開示しているが、
低い転化率しか示されていない。更に、英国特許
第846832号では、前記米国特許のように六価クロ
ムを三価クロミアにした酸化クロム触媒は、初期
転化率は高いが活性低下が著しく大きいので、そ
の改良法として高い転化率を維持するため原料塩
化水素にクロミルクロライドを混入して反応させ
る方法も提案されている。しかし、このように酸
化クロム触媒として用いても新たな反応試薬を加
えない限り、反応温度も高く、空間速度も低いた
めに工業的な操作に耐えうるものは見当らない。
(発明が解決しようとする問題点) 上記のような塩素の工業的製造の実情と技術的
背景を踏まえ、塩化水素を原料とする塩素の製造
方法について鋭意検討した。その結果、この反応
で特定の酸化クロム触媒が極めて有効な触媒効果
を奏することを見出した。
すなわち、本発明者らは種々検討の結果、水酸
化クロムを焼成して得られた酸化クロム触媒また
は酸化珪素担体上に酸化クロムを担持した浸漬触
媒が高活性を有し、これらの触媒を用いて塩化水
素に対して酸素のモル比を0.25〜10として、300
〜500℃の温度で反応させると高い空間速度で高
い転化率で塩素を製造できる。
そこで、さらに、本発明者らは酸化クロム
(Cr2O3)触媒を用い、且つ従来技術とは異なり
分離回収工程において溶剤を使用しない塩素の工
業的製造法について鋭意検討を行つた結果、酸化
クロム触媒は、反応中クロムが若干飛散するもの
の、反応条件によつてはデイーコン触媒より優れ
ていることを認めた。
すなわち、触媒を高活性に維持して反応させる
ためには、触媒を常に酸素による酸化雰囲気下に
維持する必要があり、このため酸素を塩化水素に
対して理論当量以上、すなわち、O2/HClモル
比0.25以上の比較的大過剰で使用し、酸素の過剰
量が多ければ多いほど触媒性能を高活性に維持で
きることを認めた。
また、酸化反応に空気を用いると反応後の生成
ガス中の塩素濃度が希薄となり、塩素の分離、精
製に多くの費用を要したり、更に大量の廃ガスを
大気に放出する際の処理費用も膨大となるので、
酸化反応には酸素を用いるのが好ましい。
したがつて、塩化水素を酸化クロム触媒の存
在、過剰量の酸素を用いて酸化し塩素を製造する
場合は、揮散する触媒成分を有効に回収し、酸化
に用いた過剰の酸素を有効に再利用する必要があ
る。
特に、蒸気及び微粉末状で生成ガス中に同伴し
た触媒成分のクロム分は、濃度としては僅かであ
るが製品である塩素に混入し、その純度を低下さ
せる。また、その塩素を使用する場合に問題が生
じることが予想され、更に塩素回収後にガスを大
気放出する際、有害なクロムを放出することにな
り、安全衛生上でも大きな問題である。また比較
的高価であるので回収する必要がある。
本発明の課題は、特定の酸化クローム触媒を使
用し、塩化水素ガスを酸素で酸化して塩素を製造
する工業的製造方法を提供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検
討の結果、酸化クロムを主成分とした触媒を用
い、塩化水素1モルに対し0.25モル以上の酸素を
加えて300〜500℃で反応させて得られた塩素、
水、未反応塩化水素、酸素、及び飛散クロムや無
機性ガスよりなる高温の生成ガスを、まず、急
冷、水洗し、生成ガス中のクロムをまず高濃度の
水溶液として回収した後、ついで、生成ガス吸収
塔へ送入し、ガス中の塩化水素を水に吸収させ塩
化水素水溶液として回収し、更に、生成ガスを硫
酸にて洗浄、脱水し、その後、生成ガスを圧縮、
冷却し、該ガス中の塩素ガスを液化し、該ガスよ
り液化塩素を分離し、塩素分離後の主に酸素より
なる残ガスの一部又は全部を、循環ガスとして塩
化水素の酸化工程へ戻す工程よりなる、塩素の工
業的製造方法を見出し、本発明を完成した。
次に本発明による好ましい製法の一つの例とし
て、第1図のフローシートを参考に詳しく説明す
る。
原料の塩化水素を工業的に得る場合、塩化水素
は有機化合物の置換反応や縮合反応などの副生物
として得られるために、かならずしも高純度では
ない。不純物として、例えばベンゼン、クロルベ
ンゼンなどの有機化合物と窒素、一酸化炭素など
の無機性ガスが考えられる。有機化合物は塩化水
素と酸素との反応において塩素化され、高沸点化
される。例えばベンゼンはヘキサクロルベンゼン
となる。このように高沸点化された有機化合物
は、反応器6の生成ガス出口部や塩酸ガス吸収塔
9の生成ガス入口部などでラインの閉塞などを起
こし、プラントトラブルの原因となると共に、多
塩素化有機化合物の取り扱いが厄介であり、労働
衛生上も好ましくはないので、通常反応前に除去
されている。
本発明においても塩化水素1中の有機化合物は
極力除去するのが好ましい。また生成ガス中には
通常炭酸ガス等の無機性ガスが含有されている
が、そのまま反応器6へ入つても特に問題はな
い。
したがつて、塩化水素1は活性炭充填塔に通じ
微量の有機化合物を活性炭吸着によつて除去され
る。その際、場合によつては活性炭充填塔に通す
前に、原料塩化水素は冷却して有機物を凝縮、除
去するのがさらに好ましい。
使用する活性炭は、有機化合物を吸着できるも
のであれば果実殻系、木材系、石油系など種類を
問わない。また使用条件も通常の活性炭使用条件
でよい。活性炭の使用量は、塩化水素1中に含ま
れる有機化合物量と活性炭の再生回数によつて決
まる。活性炭の再生には熱再生か減圧再生の方式
が使用できるが、水蒸気による脱着、不活性ガス
による熱風再生などが有効である。もちろん活性
炭の使用量が少なければ再生を行なわず廃棄する
こともできる。また第1図面には固定層型式の吸
着方式を記載してあるが、通常よく行われる移動
層吸収方式や流動層吸収方式を採用しても何ら問
題はない。
無機性ガスは活性炭にほとんど吸着されないの
でそのまま反応器6へ入る。無機性ガスは塩素化
されることはなく一酸化炭素のように酸素で酸化
され、二酸化炭素になることはあるが、特に反応
性に問題はない。
しかし、無機性ガスが多く塩化水素の濃度が極
端に低い場合には、系全体の容積が増加し、また
投入するエネルギーも多くなるために好ましくな
く、実用上無機性ガスの濃度は20%以下にして実
施するのが好ましい。
本発明に用いる酸化クロム触媒は、主成分がク
ロミア(Cr2O3)であり、沈澱法または浸漬法で
調整することができる。
沈澱法による場合は、例えば三価クロム塩とし
て硝酸クロムまたは塩化クロムを用い、その沈澱
触媒を得るための中和剤としてはアンモニアを用
い、得られた水酸化クロムを800℃に満たない温
度で焼成し、このようにして得られた酸化クロム
を主成分とし、酸化珪素をバインダーとして用い
て成型する。
また浸漬法による場合は、例えば、好ましくは
細孔容積が0.3〜1.5c.c./gである酸化珪素を担体
とし、水溶性クロム塩、または無水クロム酸
(CrO3)の水溶液に浸漬する方法により担持さ
せ、これを乾燥した後、300〜400℃にて1〜2時
間焼成する操作を数回繰り返し、20〜60重量%の
クロミア担持量とした後、更に400〜600℃で数時
間焼成して調整すればよい。
本発明において、反応器6の圧力は0.1〜5
Kg/cm2Gの範囲、好ましくは3〜4Kg/cm2Gであ
る。また反応温度は300〜500℃、好ましくは350
〜450℃である。反応温度が高い程塩化水素の転
化速度は速くなるが、それに伴い触媒から蒸気状
で揮散したクロミルクロライド量が大きくなる。
塩化水素と酸素との反応は次式(1)の反応式に示
される。
4HCl+O2→2Cl2+2H2O (1) 反応式に示される通り、塩化水素4モルに対
し、酸素1モルが理論当量である。使用する酸化
クロム触媒は反応時、常に酸化雰囲気下にしてお
く必要があるので、反応器6に入る混合ガス流路
5での塩化水素と酸素の比率は、塩化水素1モル
に対し、酸素0.25モル以上でなければならず、
0.25〜10モルの範囲が好ましい。更に好ましくは
0.3〜2モルの範囲になるように酸素流路4およ
び循環ガス流路35の流量を調整する。
酸素のモル比が0.25以下では、塩化水素の転化
率が低く、未反応の塩化水素ガスの分離装置が過
大となり、原料費が増加し、又触媒活性が短期に
低下するので不利である。
酸素のモル比が10モル以上となる場合には、反
応ガス中の生成塩素濃度が低く、反応ガスからの
塩素の分離が困難となる。
反応器6を出た生成ガスは水、塩素、未反応塩
化水素、酸素及び触媒成分から由来する揮散・飛
散クロムや微量の無機性ガスを含む約300〜500℃
の高温ガスである。
生成ガスは次にクロム回収塔8に入り、急冷、
水洗される。本発明では触媒として酸化クロムを
用いるので、クロムの酸化塩化物が微量生成し、
それが揮散クロムとして反応生成ガスに同伴され
る。そのため揮散クロムを生成ガスより除去し、
回収することが極めて重要である。
すなわち、本発明では生成ガス中に微量である
が、触媒由来の蒸気状揮散クロムや微粉末化状態
の飛散クロム化合物が存在しているため、通常の
塩化水素の回収、除去を目的とした水洗では塩酸
水に微量のクロムが混入し、通常の塩酸の用途に
は使用できない。また塩酸からクロム分を回収す
るのが困難である。そのため、本発明では、最初
の水洗工程でクロム分を洗液中に高濃度で分離回
収される。
具体的には、まず水を循環させたクロム回収塔
8に生成ガスを送り、生成ガスを急冷し揮散・飛
散クロムは水側へ回収される。その際定常の状態
では循環水は、その温度と圧力における飽和塩酸
水となつており、また回収塔内では生成水の凝縮
により水量が増加するのでクロムの濃縮はできな
い。
したがつて、本発明では、塩酸水量の増加を防
ぐため、塔内では塩酸水の共沸温度付近で実施す
ることが好ましく、通常の3〜4Kg/cm2G付近で
反応を実施した場合は、90〜130℃で運転するの
が好ましい。
この条件下で生成ガス中に揮散・飛散している
クロム化合物は、循環される飽和塩酸水に洗浄、
濃縮され、高濃度のクロム化合物を含む塩酸水の
一部を回収塔から定常的に抜き出すことにより、
クロム化合物を完全に除去しながらクロム化合物
の回収濃度を一定値に保つことができる。また、
その際の循環水量は、操作温度をコントロールし
て、生成水の凝縮量および共沸による塩酸水の蒸
発量ならびにクロム含有塩酸水の抜き出し量との
バランスにより決められる。しかし、必要であれ
ば適宜水補給口13より水を追加して塔内のコン
トロールを容易にすることもできる。クロム回収
塔で循環される塩酸水中のクロム濃度は高いほ
ど、抜き出されるクロム含有塩酸水としてロスす
る塩化水素の量が少なくなり、またクロムを回収
するための中和剤量も少なくてすむ。
このようにして揮散・飛散クロムを除去した生
成ガスは、塩酸ガス吸収塔9に入る。この吸収塔
9は20〜100℃、望ましくは60℃以下の水を循環
し、生成ガスは水にて急速に冷却される。反応で
生成した生成ガス中の水の大部分を凝縮させ、ま
た生成ガス中の大部分の塩化水素ガスが分離され
る。
生成ガス中の塩化水素は、他のガス成分に比較
し水に対する溶解度が極めて大きいので、循環使
用する洗浄水は塩化水素濃度が増大し、生成ガス
中の塩化水素の吸収が不充分となる。よつて水補
給口18より水の追加、又塩酸水溶液抜出口19
より抜出す塩酸水溶液量を調節し、循環する洗浄
水の塩化水素濃度の増加を防止し、生成ガス中の
塩化水素濃度をほぼトレース程度とすることがで
きる。塩酸水溶液抜出口19より抜出された塩酸
水溶液はそのまま塩酸水として一般に使用できる
ほか、加熱して塩酸水より塩化水素を発生させ、
本反応の原料塩化水素として再使用することもで
きる。循環する塩酸水溶液は冷却器17により冷
却され、一定温度に調節される。塩酸ガス吸収塔
9は充填塔、段塔、スプレー塔などが使用でき、
又これらの組合せや吸収をより完全に行うため
に、多段にしても良い。
又、前工程のクロム回収塔8と塩酸ガス吸収塔
9は一つの塔でなく、それぞれ別々の塔として設
けても良い。
生成ガスは塩素、微量の水、塩化水素および無
機性ガスを含み水洗後の生成ガス流路20を経
て、硫酸洗浄塔21へ入る。
硫酸洗浄塔21は20〜80℃、好ましくは60℃以
下の硫酸を硫酸ポンプ23にて循環しており、生
成ガスは硫酸と接触し生成ガス中の残存水分が完
全に硫酸に吸収される。
硫酸循環系24の硫酸濃度を適度に保つように
硫酸補給口22の硫酸と希硫酸抜出口26の希硫
酸の流量を調節する。硫酸は冷却器25にて冷却
し、所定温度に調節する。
希硫酸は常圧下、又は減圧下に加熱することに
より濃縮でき、再利用することができる。硫酸洗
浄塔は充填塔、段塔、スプレー塔などが使用で
き、またこれらの組合せや吸収をより完全に行う
ために、多段にしてもよい。
硫酸洗浄塔21を出た生成ガスは27を経て、
圧縮機28で圧縮し、その後29を経て冷却器3
0で冷却する。
塩素の液化については、圧力と温度にて規定さ
れる液化範囲が存在する。その範囲で低温にすれ
ばする程圧縮圧力は低くてよい。工業的には設備
費等の問題もあり、圧縮圧力や冷却する温度はこ
の範囲内の最適な経済条件を考慮して決められ
る。通常の運転においては、圧縮圧力10〜25Kg/
cm2G、温度−15〜−30℃で実施するのがよい。
所望の最適圧力に圧縮された生成ガスは蒸留塔
32に送入する。生成ガスは蒸留塔32上部の冷
凍機にて冷却される冷却器37により冷却、液化
し、蒸留される。
冷却器37内では液化塩素と、酸素ガス、無機
性ガス、微量の塩化水素ガス、未凝縮の塩素を含
むガス相に分かれ、塔底より液化塩素33として
取り出す。蒸留塔は特殊な構造は必要なく、通常
の加圧、又は常圧操作での段塔や、充填塔などの
型式でよい。
蒸留塔32内で分離された過剰の酸素ガス、無
機性ガス、微量の塩化水素ガス、及び未凝縮の塩
素を含むガスは残ガスとして34を経て流出す
る。
この残ガス中の酸素は、原料の塩化水素の酸化
に再使用するため、循環ガス流路35を経て原料
塩化水素、及び酸素の混合ガスに混入される。
その際、継続運転中に原料塩化水素、及び酸素
に含まれる無機性ガスが逐次増加してくるため、
常時その一部を廃ガスとして系外へ放出するのが
よい。廃棄する残ガス36の量は原料として使用
した原料排ガス1と酸素4に含まれる無機性ガス
量によつて決まる。即ち、無機性ガス量が多けれ
ば多い程流路36のガス相は増していく必要があ
る。したがつて、系外へ排出される残ガス量は上
記の条件を考慮して適宜決められる。
脱水生成ガス流路27の生成ガスの圧縮圧力を
高くすればするほど、冷却温度を下げれば下げる
ほど残ガス流路34中のガス相に含まれる塩素濃
度が低下し、その分、残ガスの1部を循環ガスと
して循環ガス流路35を経て反応器6にもどす場
合の塩素含有量は少なくなる。
また、塩化水素を酸素で酸化して塩素を生成す
る反応は前記(1)式に示されるように平衡反応であ
る。このため循環ガス35中の塩素量が多けれ
ば、平衡は(1)式の左辺側に片寄り、供給する塩化
水素量に対して生成する塩素量が低下し、塩素の
生産量が低下する。この観点からするならば、圧
縮圧力をより高く、また冷却温度をより低くする
方が得策である。しかしながら、投入するエネル
ギー量や使用する機器のコストを考えるならば、
圧縮圧力はより低く、また冷却温度はより高くす
る方が良い。
すなわち、圧縮圧力や冷却温度は反応条件のほ
かに、このように経済上の条件によつても決まる
性質のものである。
従つて、残ガス相36に塩素が無視できない量
残存する場合には、酸ガス相36は初めの圧縮圧
力より更に高い圧力に圧縮し、その後冷却し、塩
素を凝縮し、別途蒸留塔にて蒸留し、塩素として
分離してもよい。
(実施例) 以下、実施例で本発明を詳しく説明する。
実施例 1 圧力4Kg/cm2G、温度30℃の塩化水素ガス50.6
Kg/h(1.41Kgモル、塩化水素:93.70wt%、酸
素:1.33wt%、窒素:2.02wt%、一酸化炭素:
2.88wt%、オルソ ジ クロール ベンゼン:
0.04wt%)を熱交換器(活性炭塔出口の冷塩化水
素ガスと熱交換する。)で−2℃に冷却した。更
に、プライン冷却器で−12℃に冷却し、塩化水素
ガス中の凝縮成分を除去し、次にヤシガラを乾留
した活性炭(4×6mmの粒状)充填塔2に通し
て、塩化水素ガス中の有機化合物を除去し、熱交
換器に導入し、原料の塩化水素ガスと熱交換し25
℃とした。酸素ガス10.2Kg/h(0.3Kgmol酸素:
99.6wt%窒素:0.4wt%)、含酸素循環ガス24.5
Kg/h(0.7Kgmol、塩化水素 トレース、酸素:
40.8wt%、水分 トレース、塩素:9.7wt%、窒
素:16.3wt%、炭酸ガス:33.2wt%)を加えて
(原料塩化水素1モルに酸素0.5モルの割合)、加
熱器に送入し、加熱蒸気で200℃に加熱し流動床
反応器6に送入した。
反応器内に装着している触媒の製造は別途に次
のように行なつた。
即ち、硝酸クロム9水塩3.0Kgを脱イオン水30
に溶解させ、よく撹拌しながら28%のアンモニ
ア水29Kgを30分間を要して滴下注入した。生じた
沈澱スラリーをデカンテーシヨンで洗浄後、焼成
後の全重量の10%にあたるコロイダルシリカを加
えた。この混合スラリーをスプレードライヤーで
乾燥して得られた粒状粉末を、空気雰囲気中600
℃で3時間焼成し、平均粒径50〜60μの触媒を得
た。以上の操作を繰返して合計39.5Kgの触媒を得
た。
流動床反応器6は直径約0.3m、高さ約3m、
Ni内張り製の円筒状反応器であり、この中に前
述の触媒39.5Kgを装着した。
原料の塩化水素ガスと酸素ガスおよび含酸素循
環ガスを、触媒の存在下400℃で酸化反応も行つ
た。
酸化による生成ガス(塩化水素:17.6wt%、酸
素:15.1wt%、水:9.4wt%、塩素:39.8wt%、
窒素:5.9wt%、炭酸ガス:12.2wt%)は85.3
Kg/h(2.2Kgmol)の流量にてクロム回収塔8へ
送入した。
クロム回収塔8は上部に塩酸ガス吸収塔9を併
せもち、内部に充填物を有する直径約0.3m、高
さ約6mの塔である。下部のクロム回収塔はクロ
ム回収の塔で、該回収塔の上部より散水し、塔底
より水を抜き、その水は常時循環しており、循環
水は50℃に冷却器で調節した。
生成ガス中の塩化水素、及び触媒の主成分のク
ロムが揮散飛散したものは水で水洗し、それぞれ
水溶液となるが循環使用のため、クロム濃度を一
定水溶液として取り出すため、循環系内に常時一
定量の水を補給し、連続的に約0.15重量%クロム
水溶液の取出しを行つた。
クロム分を溶解した塩酸水溶液はその後、アル
カリで中和し回収した。
クロム回収塔の充填物上に設けられているミス
トセパレーターを出た生成ガスは上部の塩酸ガス
吸収塔9に送入した。該吸収塔内には1インチの
ラツシリングを充填し、上部より25℃の水を38.5
Kg/hの流量で送入して向流式に洗浄を行つた。
洗浄後の70℃の水は、冷却器で50℃に冷却し、循
環洗浄した。
循環洗浄中は、循環ポンプ出口より70℃の洗浄
水(塩酸水溶液)約60Kg/h(塩化水素:24.7wt
%、水分:74.6wt%、塩素:0.7wt%)の流量で
抜出した。
塩酸ガス吸収塔9で水洗され、ガス中の塩化水
素ガスが僅かとなつた60℃の生成ガスは冷却器に
て20℃に冷却し、硫酸洗浄塔21に送入した。
硫酸洗浄塔21は、内部に充填物を有し、
PVCライニングの上部、下部の2段に分かれた
直径約0.3m、高さ約7mの塔である。
上段の洗浄塔上部には、50〜60℃の、90〜95%
硫酸を送入し、向流式に生成ガスを洗浄し、ガス
中の脱水を行つた。
ガス洗浄後の塔底の硫酸は、一部は抜き出し冷
却器にて50〜60℃に冷却し、循環ポンプで硫酸洗
浄塔の洗浄に循環使用した。この循環系には硫酸
濃度を90〜95%に保つため98%硫酸3.0Kg/hを
常時補給した。
上段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸の残部は、
下段の硫酸洗浄塔上部に流下し、更に生成ガスの
向流洗浄、脱水を行つた。
下段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸は、抜き出
され冷却器で、50〜60℃に調節して70%硫酸とし
て循環ポンプで下段硫酸洗浄塔上部へ送液、循環
して生成ガスの洗浄、脱水を行つた。
この循環系の循環ポンプ出口からは約70%硫酸
4.2Kg/hを抜き出した。
硫酸洗浄塔を出た50℃の生成ガス(塩化水素ト
レース、酸素:20.8wt%、水 トレース、塩素:
54.2wt%、窒素:8.2wt%、炭酸ガス:16.8wt%)
は61.9Kg/h(1.3Kgmol)の流量で圧縮機28に
送入圧縮し、4Kg/cm3Gより25Kg/cm2Gまで圧縮
し、−2.5℃に冷却した。
−2.5℃の冷却された圧縮生成ガスは、生成ガ
ス中の塩素を完全に液化して分離するため、蒸留
塔32に送入した。蒸留塔は内径約0.15m、高さ
約6mの塔で、その内部には充填物を有し、上部
には冷凍機により冷却する冷却器37が設けられ
てあり、蒸留塔32中段に送入された圧縮生成ガ
スは、上部の冷却器で冷却され、約−17℃で生成
ガス中の塩素は液化、凝縮され、塔内充填物間を
流下し塔底に至る。
その間、液化塩素は蒸留され、液化塩素中の不
純物は酸素などの残ガスと共に塔頂へ排出され、
塔底の液化塩素は液体塩素33として分離した。
この塩素組成は(塩化水素 トレース、酸素:
0.6wt%、水分 トレース、塩素:99.0wt%、窒
素 トレース、炭酸ガス:0.4wt%)で30.8Kg/
h(0.4Kgmol)の流量にて得ることができた。
一方、蒸留塔頂へ排出された未液化ガスは、主
に酸素からなり、その他に無機性ガスを含む残ガ
ス34(塩化水素 トレース、酸素:40.8wt%、
水 トレース、塩素:9.7wt%、窒素:16.3wt%、
炭酸ガス:33.2wt%)は24.5Kg/hの流量で循環
ガス流路35を経て反応器入口ガスに混合し、塩
化水素の酸化に再利用した。
また、一部の残ガス36は6.6Kg/hの流量で
除害塔で水洗後、大気へ廃棄した。
実施例 2 圧力4Kg/cm2G、温度28℃の塩化水素ガス39.7
Kg/h(1.1Kgモル、塩化水素:93.8wt%、酸素:
1.3wt%、窒素:2.0wt%、一酸化炭素:2.9wt%)
を熱交換器(活性炭塔出口の冷塩化水素ガスと熱
交換する。)で−2℃に冷却した。さらに、プラ
イン冷却器で−12℃に冷却し、塩化水素ガス中の
凝縮成分を除去し、つぎに、ヤシガラを乾留した
活性炭(4×6mmの粒状)充填塔2に通して塩化
水素ガス中の有機化合物を除去し、熱交換器に導
入し、原料の塩化水素ガスと熱交換し、25℃とし
た。
酸素ガス8.0Kg/h(0.25Kgmol、酸素:99.6wt
%、窒素:0.4wt%)、含酸素循環ガス38.0Kg/h
(1.1Kgmol、塩化水素 トレース、酸素:42.1wt
%、水分 トレース、塩素:9.8wt%、窒素:
15.9wt%、炭酸ガス:32.2wt%)を加えて(原料
塩化水素1モルに酸素0.75モルの割合)、加熱器
に送入し、加熱蒸気で200℃に加熱し流動床反応
器6に送入した。
反応器内に装着している触媒の製造は別途に次
のように行なつた。
即ち、硝酸クロム9水塩3.0Kgを脱イオン水30
に溶解させて良く撹拌しながら、28%のアンモ
ニア水29Kgを30分間を要して滴下注入した。生じ
た沈澱スラリーをデカンテーシヨンで洗浄後、焼
成後の全重量の10%にあたるコロイダルシリカを
加えた。この混合スラリーをスプレードライヤー
で乾燥して得られた粒状粉末を、空気雰囲気中
600℃で3時間焼成し、平均粒径50〜60μの触媒
を得た。以上の操作を繰返して、合計30.9Kgの触
媒を得た。
流動床反応器6は直径約0.3m、高さ約3m、
Ni内張り製の円筒状反応器であり、この中に前
述の触媒30.9Kgを装着した。
原料の塩化水素ガスと酸素ガスおよび含酸素循
環ガスは、触媒の存在下400℃で酸化反応も行つ
た。
酸化による生成ガス(塩化水素:14.4wt%、酸
素:21.4wt%、水:7.2wt%、塩素:32.6wt%、
窒素:8.0wt%、炭酸ガス:16.4wt%)は85.6
Kg/h(2.2Kgmol)の流量でクロム回収塔8へ送
入した。
クロム回収塔8は上部に塩酸ガス吸収塔9を併
せもち、内部に充填物を有する直径約0.3m、高
さ約6mの塔である。下部のクム回収塔はクロム
回収の塔で、該回収塔の上部より散水し、塔底よ
り水を抜き、その水は常時循環しており、循環水
は50℃に冷却器で調節した。
生成ガス中の塩化水素、及び触媒の主成分のク
ロムが揮散飛散したものは水で水洗し、それぞれ
水溶液となるが、循環使用のためクロム濃度を一
定水溶液として取り出すため循環系内に常時一定
量の水を補給し、連続的に約0.15重量%クロム水
溶液の取出しを行つた。
クロム分を溶解した塩酸水溶液は、その後アル
カリにて中和し回収した。
クロム回収塔の充填物上に設けられているミス
トセパレータを出た生成ガスは上部の塩酸ガス吸
収塔9に送入した。該吸収塔内には1インチのラ
ツシリングを充填し、上部より25℃の水を32.5
Kg/hの流量で送入し向流式に洗浄を行つた。洗
浄後の70℃の水は冷却器で50℃に冷却し、循環洗
浄した。
循環洗浄中は、循環ポンプ出口より70℃の洗浄
水(塩酸水溶液)約49Kg/h(塩化水素:24.7wt
%、水分:74.6wt%、塩素:0.7wt%)の流量に
て抜出した。
塩酸ガス吸収塔9で水洗され、ガス中の塩化水
素ガスが僅かとなつた60℃の生成ガスは、冷却器
にて20℃に冷却し、硫酸洗浄塔21に送入した。
硫酸洗浄塔21は、内部に充填物を有し、
PVCライニングの上部、下部の2段に分かれた、
直径約0.3m、高さ約7mの塔である。
上段の洗浄塔上部には、50〜60℃の90〜95%硫
酸を送入し、向流式に生成ガスを洗浄し、ガス中
の脱水を行つた。
ガス洗浄後の塔底の硫酸は、一部は抜き出し冷
却器にて50〜60℃に冷却し、循環ポンプで硫酸洗
浄塔の洗浄に循環使用した。この循環系には硫酸
濃度を90〜95%に保つため98%硫酸231Kg/hを
常時補給した。
上段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸の残部は、
下段の硫酸洗浄塔上部に流下し、更に生成ガスの
向流洗浄、脱水を行つた。
下段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸は抜き出さ
れ、冷却器で50〜60℃に調節して70%硫酸として
循環ポンプで下段硫酸洗浄塔上部へ送液循環し
て、生成ガスの洗浄、脱水を行つた。
この循環系の循環ポンプ出口からは約70%硫酸
5.0Kg/hを抜き出した。
硫酸洗浄塔を出た50℃の生成ガス(塩化水素
トレース、酸素:27.4wt%、水 トレース、塩
素:41.2wt%、窒素:10.3wt%、炭酸ガス:
21.1wt%)は66.8Kg/h(1.5Kgmol)の流量で圧
縮機28に送入圧縮し、4Kg/cm2Gより25Kg/cm2
Gまで圧縮し、−2.5℃に冷却した。
−2.5℃の冷却された圧縮生成ガスは、生成ガ
ス中の塩素を完全に液化して分離するため、蒸留
塔32に送入した。蒸留塔は内径約0.15m、高さ
約6mの塔で、その内部には充填物を有し、上部
には冷凍機により冷却する冷却器37が設けられ
てあり、蒸留塔32中段に送入された圧縮生成ガ
スは、上部の冷却器で冷却され約−17℃で生成ガ
ス中の塩素は液化、凝縮され、塔内充填物間を流
下し塔底に至る。
その間に、液化塩素は蒸留され、液化塩素中の
不純物は酸素などの残ガスと共に塔頂へ排出さ
れ、塔底の液化塩素は、液体塩素33として分離
した。
この塩素組成は(塩化水素 トレース、酸素:
0.6wt%、水分 トレース、塩素:99wt%、窒
素:トレース、炭酸ガス:0.4wt%)で23.6Kg/
h(0.34Kgmol)の流量で得ることができた。
一方、蒸留塔頂へ排出された未液化ガスは、主
に酸素からなり、その他に無機性ガスを含む残ガ
ス34(塩化水素 トレース、酸素:42.1wt%、
水 トレース、塩素:9.8wt%、窒素:15.9wt%
炭酸ガス:32.2wt%)は38.0Kg/hの流量で循環
ガス流路35を経て反応器入口ガスに混合し、塩
化水素の酸化に再利用した。また一部の残ガスは
36 5.3Kg/hの流量で除害塔で水洗後、大気
へ廃棄した。
実施例 3 圧力4Kg/cm2G、温度30℃の塩化水素ガス48.8
Kg/h(1.36Kgモル、塩化水素:93.70wt%、酸
素:1.33wt%、窒素:2.02wt%、一酸化炭素:
2.88wt%、オルソ ジ クロール ベンゼン:
0.04wt%)を熱交換器(活性炭塔出口の冷塩化水
素ガスと熱交換する。)で−2℃に冷却した。更
に、プライン冷却器で−12℃に冷却し、塩化水素
ガス中の凝縮成分を除去し、次にヤシガラを乾留
した活性炭(4×6mmの粒状)充填塔2に通して
塩化水素ガス中の有機化合物を除去し、熱交換器
に導入し、原料の塩化水素ガスと熱交換し25℃と
した。酸素ガス9.8Kg/h(0.31Kgmol、酸素:
99.6wt%、窒素:0.4wt%)、含酸素循環ガス26.9
Kg/h(0.73Kgmol、塩化水素 トレース、酸
素:35.9wt%、水分 トレース、塩素:9.7wt%、
窒素:18.0wt%、炭酸ガス:36.5wt%)を加えて
(原料塩化水素1モルに酸素0.5モルの割合)、加
熱器に送入し、加熱蒸気で200℃に加熱し流動床
反応器6に送入した。
反応器内に装着している触媒の製造は別途に次
のように行なつた。
20重量%の無水クロム酸を溶解させた水溶液を
粒径80〜250メツシユの微細なシリカゲル(細孔
容積0.75c.c./gr)に浸漬させ、120℃で乾燥後、
350〜400℃で2時間空気中で焼成した。この操作
を3回繰返し最終的に500℃で、3時間焼成し平
均流径50〜60μの触媒38.1Kgを得た。
触媒の組成はクロミア(Cr2O3)48重量%、シ
リカ52重量%であつた。
流動床反応器6は直径約0.3m、高さ約3m、
Ni内張り製の円筒状反応器であり、この中に前
述の触媒38.1Kgを装着した。
原料の塩化水素ガスと酸素ガスおよび含酸素循
環ガスを、触媒の存在下430℃で酸化反応も行つ
た。
酸化による生成ガス(塩化水素:14.2wt%、酸
素:13.9wt%、水:9.7wt%、塩素:41.3wt%、
窒素:9.9wt%、炭酸ガス:14.0wt%)は85.5
Kg/h(2.1Kgmol)の流量にてクロム回収塔8へ
送入した。
クロム回収塔8は上部に塩酸ガス吸収塔9を併
せもち、内部に充填物を有する直径約0.3m、高
さ約6mの塔である。下部のクロム回収塔はクロ
ム回収の塔で、該回収塔の上部より散水し、塔底
より水を抜き、その水は常時循環しており、循環
水は50℃に冷却器で調節した。
生成ガス中の塩化水素、及び触媒の主成分のク
ロムが揮散飛散したものは水で水洗し、それぞれ
水溶液となるが、循環使用のためクロム濃度を一
定水溶液として取り出すため、循環系内に常時一
定量の水を補給し、連続的に約0.15重量%クロム
水溶液の取出しを行つた。
クロム分を溶解した塩酸水溶液はその後、アル
カリにて中和し回収した。
クロム回収塔の充填物上に設けられているミス
トセパレーターを出た生成ガスは上部の塩酸ガス
吸収塔9に送入した。該吸収塔内には1インチの
ラツシリングを充填し、上部より25℃の水を29.6
Kg/hの流量で送入し向流式に洗浄を行つた。洗
浄後の70℃の水は、冷却器で50℃に冷却し、循環
洗浄した。
循環洗浄中は、循環ポンプ出口より70℃の洗浄
水(塩酸水溶液)約49Kg/h(塩化水素:24.7wt
%、水分:74.6wt%、塩素:0.7wt%)の流量に
て抜出した。
塩酸ガス吸収塔9で水洗され、ガス中の塩化水
素ガスが僅かとなつた60℃の生成ガスは、冷却器
にて20℃に冷却し、硫酸洗浄塔21に送入した。
硫酸洗浄塔21は、内部に充填物を有し、
PVCライニングの上部、下部の2段に分かれた
直径約0.3m、高さ約7mの塔である。
上段の洗浄塔上部には、50〜60℃の、90〜95%
硫酸を送入し、向流式に生成ガスを洗浄し、ガス
中の脱水を行つた。
ガス洗浄後の塔底の硫酸は、一部は抜き出し冷
却器にて50〜60℃に冷却し、循環ポンプで硫酸洗
浄塔の洗浄に循環使用した。この循環系には硫酸
濃度を90〜95%に保つため98%硫酸3.2Kg/hを
常時補給した。
上段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸の残部は、
下段の硫酸洗浄塔上部に流下し、更に生成ガスの
向流洗浄、脱水を行つた。
下段の硫酸洗浄塔底に流下した硫酸は抜き出さ
れ冷却器で50〜60℃に調節して、70%硫酸として
循環ポンプで下段硫酸洗浄塔上部へ送液、循環し
て生成ガスの洗浄、脱水を行つた。
この循環系の循環ポンプ出口からは約70%硫酸
4.4Kg/hを抜き出した。
硫酸洗浄塔を出た50℃の生成ガス(塩化水素
トレース、酸素:18.3wt%、水 トレース、塩
素:54.0wt%、窒素:9.1wt%、炭酸ガス:
18.5wt%)は64.8Kg/h(1.3Kgmol)の流量で圧
縮機28に送入圧縮し、4Kg/cm2Gより25Kg/cm2
Gまで圧縮し、−2.5℃に冷却した。
−2.5℃の冷却された圧縮生成ガスは、生成ガ
ス中の塩素を完全に液化して分離するため蒸留塔
32に送入した。蒸留塔は内部約0.15m、高さ約
6mの塔で、その内部には充填物を有し、上部に
は冷凍機により冷却する冷却器37が設けられて
あり、蒸留塔32中段に送入された圧縮生成ガス
は、上部の冷却器で冷却され、約−17℃で生成ガ
ス中の塩素は液化、凝縮され、塔内充填物間を流
下し塔底に至る。
その間、液化塩素は蒸留され、液化塩素中の不
純物は酸素などの残ガスと共に塔頂へ排出され、
塔底の液化塩素は液体塩素33として分離した。
この塩素組成は(塩化水素 トレース、酸素:
0.6wt%、水分 トレース、塩素:99.0wt%、窒
素 トレース、炭酸ガス:0.4wt%)で32.2Kg/
h(0.46Kgmol)の流量で得ることができた。
一方、蒸留塔頂へ排出された未液化ガスは、主
に酸素からなり、その他に無機性ガスを含む残ガ
ス34(塩化水素 トレース、酸素:35.8wt%、
水 トレース、塩素:9.7wt%、窒素:18.0wt%、
炭酸ガス:36.5wt%)は26.9Kg/hの流量で循環
ガス流路35を経て反応器入口ガスに混合し、塩
化水素の酸化に再利用した。
また一部の残ガス36は5.7Kg/hの流量にて
除害塔で水洗後、大気へ廃棄した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法を実施する場合の好まし
いフローシートの一例である。 図中、1:塩化水素、2:活性炭充填塔、3:
塩化水素流路、4:酸素流路、5:混合ガス流
路、6:反応器、7:生成ガス流路、8:クロム
回収塔、9:塩酸ガス吸収塔、10:ポンプ、1
1:クロム水溶液循環系、12:冷却器、13:
水補給口、14:塩酸水溶液抜出口、15:ポン
プ、16:塩酸水溶液循環系、17:冷却器、1
8:水補給口、19:塩酸水溶液抜出口、20:
水洗後の生成ガス流路、21:硫酸洗浄塔、2
2:硫酸補給口、23:硫酸ポンプ、24:硫酸
循環系、25:冷却器、26:希硫酸抜出口、2
7:脱水生成ガス流路、28:圧縮機、29:圧
縮ガス流路、30:冷却器、31:圧縮、冷却ガ
ス流路、32:蒸留塔、33:塩素(液相)、3
4:残ガス流路、35:循環ガス流路、36:残
ガス流路、37:冷却器。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 塩化水素を含むガスを原料ガスとし、これを
    酸化させて塩素を製造する方法において、 (1) 原料排ガス中に含まれる塩化水素1モルに対
    して、0.25モル以上の酸素を用い、反応温度
    300〜500℃で酸化クロム触媒の存在下、塩化水
    素の酸化反応を行ない、 (2) 主として塩素、水、未反応塩化水素、酸素、
    及び揮散・飛散クロムを含有する生成ガスを急
    冷、水洗して該クロムを水溶液として回収した
    後、 (3) 生成ガスをさらに水洗浄し、未反応塩化水素
    を水に吸収させて塩化水素水溶液として回収
    し、 (4) 生成ガスをさらに硫酸で洗浄、脱水し、 (5) 得られた未反応酸素を含む主として塩素より
    なる生成ガスは圧縮、冷却し、塩素は液化塩素
    にして生成ガスより分離し、 (6) 分離後の主として酸素よりなる残ガスの一
    部、又は全部を循環ガスとして前記工程(1)の酸
    化工程へ戻す、工程よりなる塩素の工業的製造
    方法。
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