JP2005306715A - 塩素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 触媒を充填し直すことなく長期安定的に反応を継続できる塩素の製造方法を提供する。
【解決手段】 30volppbを越える硫黄分を含む塩化水素および酸素の混合ガスを触媒と接触させて塩素を製造する方法であって、前記触媒として金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を固定床反応器に充填して使用し、前記固定床反応器に充填された触媒の体積(Vcat)に対する0℃、0.1MPa換算の塩化水素の供給量(VHCl)の比(VHCl/Vcat)が100hr-1〜2000hr-1となるように、前記混合ガスを供給することを特徴とする塩素の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塩化水素と酸素とを反応させて塩素を製造する方法に関する。
塩素は塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によって得られることもよく知られている。塩素を工業的に製造する方法としては、従来、酸化クロム触媒を用いて塩化水素を酸化する方法が知られている(たとえば、特許文献1を参照。)。この塩素の製造方法においては、塩化水素の酸化により得られた湿潤ガスである塩素を洗浄脱水するために、濃硫酸が汎用されている。濃硫酸による乾燥後、生成ガス中の塩素は圧縮冷却して分離回収され、塩素分離後の塩素回収残ガスは原料ガスの一部として再利用される。しかし、塩素回収残ガスに硫酸ミストが多量に含まれていると、触媒である酸化クロムの表面に触媒毒となる硫黄分が堆積し、触媒活性が低下するため、触媒を再充填する必要が生じ、長時間にわたり反応を安定に行わせることはできなくなる。
このような硫酸ミストによる問題を解決すべく、特許文献2には、グラスウール、金属塩、活性炭などを硫酸ミスト除去材として用い、塩素回収残ガスをこの硫酸ミスト除去材を通した後に原料ガスの一部として再利用する方法が開示されている。また特許文献3には、内部に吸収液が収容されこの吸収液に硫酸ミストを含むガスをバブリングさせるための平均孔径100μm以下の散気部材を設けた複数の洗浄槽からなり、硫酸ミストを含むガスがこれらの洗浄槽を順次通過するように各洗浄槽が連結された硫酸ミスト除去装置、およびこれを用いた硫酸ミストの除去方法が開示されている。しかしこれらの方法で硫酸ミストを触媒への影響がない程度(検出限界である30volppb以下)までに除去するためには、多大なコストと設備を要するという問題があった。また、塩化水素や酸素に、硫化カルボニルのような有機硫黄化合物が含まれていると、上記方法では、除去できないという問題もある。
特開昭62−275001号公報 特開平6−171907号公報 特開2002−136825号公報 特開2000−272906号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、触媒を充填し直すことなく長期安定的に反応を継続できる塩素の製造方法を提供することである。
本発明の塩素の製造方法は、30volppbを超える硫黄分を含む塩化水素および酸素の混合ガスを触媒と接触させて塩素を製造する方法であって、前記触媒として金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を固定床反応器に充填して使用し、前記固定床反応器に充填された触媒の体積(Vcat)に対する0℃、0.1MPa換算の塩化水素の供給量(VHCl)の比(VHCl/Vcat)が100h-1〜2000h-1となるように、前記混合ガスを供給することを特徴とする。
本発明の塩素の製造方法によれば、従来のように大掛かりな装置や煩雑な操作を必要とすることなく、頻繁に触媒を充填し直すことなく長期安定的に反応を継続できる塩素の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の塩素の製造方法の好ましい一例を示す概念図である。本発明における接触気相酸化法による塩素の製造方法は、通常、〔1〕反応工程、〔2〕吸収工程、〔3〕乾燥工程、〔4〕精製工程、〔5〕循環工程、の5つの工程を基本的に含む。
〔1〕反応工程
触媒下、塩化水素を含むガスを酸素で酸化し、塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を主成分とするガスを得る工程である。塩化水素を含むガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応または塩素化反応、焼却炉の燃焼などにおいて発生した塩化水素を含むいかなるものも使用することができる。該ガス中の塩化水素の濃度は10体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上のものが用いられる。塩化水素の濃度が10体積%よりも低い場合には、後述する精製工程で得られる未反応酸素を主成分とするガス中の酸素の濃度が低くなり、後述する循環工程で反応工程へ供給する該ガスの量を少なくしなければならないことがある。
塩化水素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、オルトジクロロベンゼン、モノクロロベンゼンなどの塩素化芳香族炭化水素、およびトルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、および塩化ビニル、1,2−ジクロロエタン、塩化メチル、四塩化塩素、塩化エチルなどの塩素化炭化水素、およびメタン、アセチレン、エチレン、プロピレンなどの炭化水素、および窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン、水素、硫化カルボニル、硫化水素、二酸化硫黄などの無機ガスが挙げられる。塩化水素と酸素の反応において、塩素化芳香族炭化水素および塩素化炭化水素は、二酸化炭素と水に酸化され、一酸化炭素は二酸化炭素に酸化され、ホスゲンは、二酸化炭素と塩素に酸化される。
塩化水素を含むガスは、通常、前処理を施された後に、反応工程に供される。前処理としては、たとえば活性炭、ゼオライトなどの吸着剤による有機化合物の吸着除去、特開2000−34105号公報に記載されるような、吸収と放散による不活性ガスおよび高沸成分の除去などが挙げられる。
酸素を含むガスとしては、酸素または空気が使用されるが、好ましくは酸素の濃度が80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上のものが用いられる。酸素の濃度が80体積%よりも小さい場合には、精製工程で得られる未反応酸素を主成分とするガス中の酸素濃度が低くなり、循環工程で反応工程へ供給する該ガスの量を少なくしなければならないことがある。酸素濃度が80体積%以上の酸素を含むガスは、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。酸素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などが挙げられる。
塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、理論量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25〜2モルがさらに好ましい。酸素の量が過少であると、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方酸素の量が過多であると生成した塩素と未反応酸素の分離が困難になる場合がある。
本発明の塩素の製造方法における反応工程では、塩化水素を酸素で酸化するに際し、金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を用いる必要がある。金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を固定床反応器に充填して用いることで、触媒毒の影響を少なくすることができる。また、酸化ルテニウムを用いることで、触媒成分の揮発や飛散による配管などの閉塞トラブルを伴わず、かつ揮発や飛散した触媒成分の処理工程を必要とせず、また平衡的に有利な温度で塩素を製造できるために、未反応塩化水素と水を回収する工程、塩素と未反応酸素を分離する工程および未反応酸素を反応工程に供給する工程を簡略化し、よって設備コストおよび運転コストを低く抑制し得る。
触媒中の酸化ルテニウムの含有量は、0.1〜20重量%が好ましい。触媒中の酸化ルテニウムの含有量が0.1重量%未満であると、触媒活性が低く塩化水素の転化率が低くなる傾向にあるためであり、また、触媒中の酸化ルテニウムの含有量が20重量%を超えると、触媒価格が高くなる傾向にあるからである。
酸化ルテニウムの粒径は、特に制限されるものではないが、1〜10nmの範囲内であるのが好ましい。なお、前記酸化ルテニウムの粒径は、たとえば、電子顕微鏡による観察により測定された値を指す。
本発明における触媒中の金属酸化物担体としては、たとえば、γ−アルミナ、α−アルミナ、ルチル型チタニア、アナターゼ型チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物で形成された担体が挙げられる。中でも、反応活性が高く、また低下しにくいことから、アルミナ、チタニアで形成された金属酸化物担体を用いるのが好ましい。
本発明において特に好適な触媒として、具体的には、特開平10−338502号公報に記載された、酸化ルテニウムの含有量が、1〜20重量%であり、酸化ルテニウムの中心径が1.0〜10.0nmである担持酸化ルテニウム触媒または酸化ルテニウム複合酸化物型触媒を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
触媒の形状は、球形粒状、円柱形ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状または成型後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状などで用いられる。この際、触媒直径としては5mm以下が好ましい。触媒直径が5mmを超えると、活性が低下する場合があるためである。触媒直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒充填層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。なお、ここでいう触媒直径とは、球形粒状では球の直径、円柱形ペレット状では断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
触媒の使用量(体積)(Vcat)は、0℃、0.1MPa換算の塩化水素の供給量(VHCl)とのGHSV(HCl体積/触媒層の体積)(VHCl/Vcat)で表すと、100hr-1〜2000hr-1で行われる。GHSVが100hr-1未満であると、触媒量が多く不経済であるためであり、またGHSVが2000hr-1を超えると、活性が低下しやすいためである。原料を触媒充填層に流す方向は、上向きでも下向きでもよい。反応圧力は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜1MPa、さらに好ましくは0.1〜0.8MPaで行われる。反応温度は、通常200〜500℃、好ましくは200〜380℃で行われる。反応温度が低すぎる場合は、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方、反応温度が高すぎる場合には、触媒成分が揮発することがあるためである。
反応方式としては、固定床反応器を用いた固定床気相流通方式が適用される。本発明における固定床式反応器には、たとえば特開2000−272907号公報に記載の方法によって、反応域のうち少なくとも二の反応域の温度制御を熱交換方式で行うものを用いてもよい。このような反応領域を2つ以上に分けた反応器では、第1段目の反応域を2つ準備し、2段目以降が被毒される前に、第1段目を交互に切り替えて使用すれば実質的に問題を回避できる。しかし、高価な反応器を2基準備することはコストの観点から不利であるという面もある。
固定床式反応器としては、単一または直列に連結された複数の固定床反応管で、反応管の外側にジャケット部を有するものが挙げられる。反応管内の温度は、ジャケット部の熱媒体によって制御される。反応で生成した反応熱は、熱媒体を通じて、スチームを発生させて回収することができる。熱媒体としては、溶融塩、有機熱媒体および溶融金属などを挙げることができるが、熱安定性や取り扱いの容易さなどの点から溶融塩が好ましい。溶融塩の組成としては、硝酸カリウム50重量%と亜硝酸ナトリウム50重量%の混合物、硝酸カリウム53重量%と亜硝酸ナトリウム40重量%と硝酸ナトリウム7重量%の混合物を挙げることができる。反応管に使用される材質としては、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。金属材料としては、Ni、SUS316L、SUS310、SUS304、ハステロイB、ハステロイCおよびインコネルなどが挙げられるが、中でもNiが好ましく、炭素含有量が0.02重量%以下のNiが特に好ましい。
本発明の塩素の製造方法において、反応器の入口部における硫黄成分濃度は、1000volppb以下であるのが好ましく、500volppb以下であるのがより好ましい。反応器の入口部における硫黄成分濃度が1000volppbを超えると、触媒の全部でなく被毒された触媒のみを交換すれば、硫黄の被毒を回避することができるが、交換の間プラントの運転を停止しなければならず、また非常に煩雑な作業が必要となる虞があるためである。本発明においては、反応器の入口部における硫黄成分濃度が1000volppb以下であれば、実質的に問題なく運転可能であり、従来と比較して格段に高い硫黄成分濃度を許容することができるので、大掛かりな装置や煩雑な操作を伴って硫黄成分を完全に除去する必要がない。したがって、触媒を充填しなおすことなく、長期にわたって運転を継続することができる。なお、この反応器の入口部における硫黄成分濃度は、たとえばガスクロマトグラフ法により測定することができる。
〔2〕吸収工程
反応工程で得た塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を主成分とするガスを、水および/または塩酸水と接触させることにより、および/または、冷却することにより、塩化水素と水を主成分とする溶液を回収し、塩素と未反応酸素を主成分とするガスを得る工程である。接触温度は0〜100℃、圧力は0.05〜1MPaで行われる。接触させる塩酸水の濃度は、25重量%以下が好ましい。また、塩素水和物析出防止のために、特開2003−261306号公報に記載の方法を採用するのが好ましい。
得られた溶液は、そのまま、あるいは溶液中に含まれる塩素を加熱、および/または窒素などの不活性なガスのバブリングにより除去した後、電解槽のpH調整、ボイラーフィールド水の中和、アニリンとホルマリンの縮合転移反応および塩酸水電解の原料、食品添加用などに用いることができる。また、ソーダハンドブック1998、p315の図3.173に記載されているように塩酸の全部および一部を放散させてHClガスを得、反応原料として塩素収率を高めることも、さらには特開2001−139305号公報に記載の方法で、前記放散後の残塩酸から水を除去することで、塩素の収率をほぼ100%にすることも可能である。
〔3〕乾燥工程
吸収工程で得たガス中の水分を除去することにより、乾燥したガスを得る工程である。乾燥工程後のガス中の水分は0.5mg/l以下、好ましくは0.1mg/l以下である。ガス中の水分を除去する化合物としては、硫酸、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、ゼオライトなどが挙げられるが、中でも使用後の排出が容易であることから、硫酸が好ましい。ガス中の水分を除去する方法としては、吸収工程で得た塩素と未反応酸素を主成分とするガスを硫酸と接触させる方法が挙げられる。
工程に加える硫酸の濃度は、90重量%以上が好ましい。硫酸濃度が90重量%よりも小さいと、ガス中の水分が十分に除去されないことがある。接触温度は0〜80℃、圧力は0.05〜1MPaで行われる。乾燥剤として硫酸を使用した場合は、乾燥工程の直後で硫酸ミストを除去するのが好ましい。たとえば、ブリンクエリミネーターや特開2003−181235号公報記載の方法を適用することができる。
〔4〕精製工程
乾燥工程で得た乾燥したガスを、塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離することにより塩素を得る工程である。塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離する方法としては、圧縮および/または冷却する方法、および/または公知の方法(特開平3−262514号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。たとえば、乾燥工程で得たガスを圧縮および/または冷却することによって、塩素を主成分とする液体が未反応酸素を主成分とするガスと分離される。塩素の液化は、圧力と温度で規定される塩素が液体状態で存在し得る範囲で実施される。その範囲で低温にすればするほど、圧縮圧力が低くなるために圧縮動力は小さくできるが、工業的には設備などの問題から、圧縮圧力と冷却温度はこの範囲内の最適な経済条件を考慮して決められる。通常の運転においては、塩素液化の圧縮圧力は0.5〜5MPa、冷却温度は−70〜40℃で行われる。
得られた塩素を主成分とする液体は、そのまま、あるいは一部または全部を気化させた後、塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として用いることができる。一部または全部を気化させた後に用いる場合は、乾燥工程で得られるガスの熱交換を行うことにより、気化に必要な熱の一部を得ると同時に、乾燥工程で得られるガス中の塩素の液化に必要な外部冷媒による冷却負荷を削減することが可能である。同様に、液体フロンの予備冷却や、塩素蒸留塔などの還流液の冷却に用いることもできる。
〔5〕循環工程
本発明における循環工程とは、精製工程で得た未反応酸素を主成分とするガスの一部または全部を反応工程へ供給する工程である。本発明の製造方法においては、このように硫酸ミストを含むガスを反応工程に循環させるに際し、反応器の入口部における硫黄成分濃度は、上述したように1000volppb以下であるのが好ましい。
〔6〕除害工程
本発明の塩素の製造方法では、上述した精製工程で得た未反応酸素を主成分とするガス、または循環工程で反応工程へ供給されなかったガスを該ガス中に含まれる塩素を除去した後、系外に排出する工程である除害工程をさらに含むことが、好ましい。塩素を除害する方法としては、ガスをアルカリ金属水酸化物の水溶液、またはアルカリ金属チオ硫酸塩の水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属亜硫酸塩を溶解させた水溶液と接触させて除害する方法、ガス中の塩素を分離回収する公知の方法(特開平3−262514号公報、特開平10−25102号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。
本発明の塩素の製造方法によれば、従来のように大掛かりな装置や煩雑な操作を必要とすることなく、頻繁に触媒を充填し直すことなく長期安定的に反応を継続できる塩素の製造方法を提供することができる。
また本発明の塩素の製造方法は、好ましくは前記〔1〕〜〔5〕の工程(より好ましくは前記〔1〕〜〔6〕の工程)を有することによって、触媒成分の揮発や飛散による配管などの閉塞トラブルを伴わず、かつ処理工程を必要とせず、また活性の高い触媒を使用することによって、平衡的に有利な温度で塩素を製造できるために、未反応塩化水素と水を回収する工程、塩素と未反応酸素を分離する工程および未反応酸素を酸化反応に供給する工程を簡略化し、よって設備コストおよび運転コストの観点から特に優れた塩素の製造方法を実現できる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、この実施例により本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
(1)触媒の調製
α−アルミナ粉末(AES−12、住友化学社製)7kg、酸化チタン粉末(STR−60R、堺化学工業社製、100%ルチル結晶形)3.5kgおよびメチルセルロース(メトローズ65SH−4000、信越化学工業社製)210gを混合し、純水2198g、酸化チタンゾル(CSB、堺化学工業社製、TiO2含量:38質量%)1377g、グリセリン42gおよびユニルーブ(50MB−26、日本油脂社製)210gを加え混練した。この混合物を直径3.0mmφ、長さ3〜5mm程度のヌードル状に押出して成型体を得た。得られた成型体50gを分取し、空気中で、室温から800℃まで2.2時間で昇温し、同温度で3時間焼成し、47.5g白色の押出し状酸化チタン−α−アルミナの混合物担体を得た。
担体のルチル結晶形酸化チタン含量の計算値は、
TiO2/(TiO2+Al23)×100=36.5(質量%)
であった。
担体のα−アルミナ含量の計算値は、
Al23/(TiO2+Al23)×100=63.5(質量%)
であった。
次いで、この担体20.0gに、塩化ルテニウム(添川理化学社製)(RuCl3・nH2O、Ru含量:40.7質量%)0.748gを純水4.9gに溶解して調製した水溶液を含浸させ、25℃で15時間放置した。次いで、得られた固体を、室温から250℃まで空気流通下に、1.3時間昇温し、同温度で2時間焼成し、20.4gの青灰色押出し状酸化チタン−α−アルミナ担持酸化ルテニウム触媒を得た。
(2)反応
固定床反応器に上記で得た触媒を充填し、塩化水素および酸素の混合ガスを0℃、0.1MPaの塩化水素に換算してGHSV600hr-1の流量で流通させて、280〜300℃、0.2MPa(ゲージ圧)にて反応させて、塩化水素基準の転化率85%で塩素を得た。混合ガスには、塩化水素に対して400volppbの硫黄分が含まれていた。その後、徐々に反応温度を上げて、15000時間経過後には350〜380℃まで上昇させたが、転化率は85%を維持した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の塩素の製造方法の好ましい一例を示す概念図である。

Claims (1)

  1. 30volppbを超える硫黄分を含む塩化水素および酸素の混合ガスを触媒と接触させて塩素を製造する方法であって、
    前記触媒として金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を固定床反応器に充填して使用し、前記固定床反応器に充填された触媒の体積(Vcat)に対する0℃、0.1MPa換算の塩化水素の供給量(VHCl)の比(VHCl/Vcat)が100hr-1〜2000hr-1となるように、前記混合ガスを供給することを特徴とする塩素の製造方法。
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