JP2008028070A - 貼り合わせウェーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハの製造方法を提供することにある。
【解決手段】活性層用ウェーハに、水素またはヘリウム等の軽元素イオンを所定の深さ位置に注入してイオン注入層を形成する工程と、前記活性層用ウェーハを絶縁膜を介して支持基板用ウェーハに貼り合わせる工程と、前記イオン注入層で剥離する工程と、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程とを有する貼り合わせウェーハの製造方法において、前記第1熱処理工程後、活性層表面に生じる酸化膜を除去することなく、第2熱処理工程を引き続き行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素又はヘリウム等の軽元素を所定の深さ位置にイオン注入した活性層用ウェーハを、支持基板用ウェーハと貼り合わせ、その後の熱処理によりイオン注入した部分を剥離させる工程を有する、貼り合わせウェーハの製造方法及びその方法により製造した貼り合わせウェーハに関するものである。
貼り合わせウェーハの製造方法としては、例えば、活性層用ウェーハに、水素またはヘリウム等の軽元素イオンを所定の深さ位置に注入してイオン注入層を形成する工程と、前記活性層用ウェーハを絶縁膜を介して支持基板用ウェーハに貼り合わせる工程と、前記イオン注入層で剥離する工程と、剥離により露出する活性層部分を研磨により薄膜化して、所定膜厚の活性層を形成する工程とを有する、いわゆるスマートカット法がある。このスマートカット法は、従来の貼り合わせ技術とは異なり、貼り合わせた後の剥離により、その剥離した残部がウェーハとして再利用できる。この再利用により、貼り合わせウェーハでありながら、そのうちの1枚のウェーハを複数回使用することが可能となり、材料コスト削減の道を開いた。また、スマートカット法により製造したウェーハは、膜厚均一性に優れているという利点もあり、将来性のある製造方法として注目されている。
しかしながら、スマートカット法により製造した貼り合わせウェーハは、イオン注入部分の剥離により、剥離後の活性層表面に100nm程度のダメージが残存する。そのため、そのダメージを取り除く処理が必要になってくるが、その代表的な手法として犠牲酸化がある。しかし、高温で犠牲酸化を行うと、ダメージ層中に存在する転位が熱処理中に活性層内部に伸展し、後工程で表面欠陥として顕在化するという問題があった。また、犠牲酸化後、フッ酸(HF)に浸漬して酸化膜を除去し、貼り合わせ強度を高める強化熱処理及び平坦化熱処理を行うのだが、フッ酸浸漬による絶縁膜のえぐれ及び貼り合わせ強度の不足が原因で、次工程の平坦加熱処理(アルゴンまたは水素雰囲気中で行う1000〜1200℃の高温熱処理)により活性層の剥がれが発生し、その結果、欠陥の発生及び活性層の膜厚均一性を崩すという問題があった。
欠陥の発生、及び活性層の膜厚のばらつきは、ウェーハのデバイス特性やデバイス性能に著しい悪影響をもたらすため、貼り合わせウェーハの品質を向上するためには、効果的に貼り合わせウェーハ中の欠陥の発生を抑制し、活性層の膜厚の均一性を確保することができる貼り合わせウェーハの製造方法の開発が望まれている。
本発明の目的は、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程を所定の条件で連続して行うことにより、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)活性層用ウェーハに、水素またはヘリウム等の軽元素イオンを所定の深さ位置に注入してイオン注入層を形成する工程と、前記活性層用ウェーハを絶縁膜を介して支持基板用ウェーハに貼り合わせる工程と、前記イオン注入層で剥離する工程と、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程とを有する貼り合わせウェーハの製造方法において、前記第1熱処理工程後、活性層表面に生じる酸化膜を除去することなく、第2熱処理工程を引き続き行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
(2)前記第1熱処理工程の条件は、900℃以下の酸素雰囲気による熱処理であることを特徴とする上記(1)記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
(3)前記第2熱処理工程の条件は、1050℃以上の酸素または窒素雰囲気により2時間以上行う熱処理であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
この発明によれば、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程を所定の条件で連続して行うことにより、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハの製造方法の提供が可能となった。
次に、この発明に従う貼り合わせウェーハの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の製造方法によって貼り合わせウェーハを製造する工程を説明するためのフローチャートである。
この発明の製造方法は、活性層用ウェーハ1の少なくとも片面を熱酸化して、該表面に絶縁膜3(シリコン酸化膜)を形成した(図1(a))後、この活性層用ウェーハ1に、水素またはヘリウム等の軽元素イオンを所定の深さ位置(好適には、400〜600nmの深さ位置)に注入し(図1(b))、その後支持基板用ウェーハ2と貼り合わせ、熱処理によりイオン注入した部分を剥離させる工程を有する、いわゆるスマートカット法による製造方法である。スマートカット法で製造した貼り合わせウェーハは、イオン注入した部分の剥離後に、活性層の剥離面に生じたダメージにより欠陥が発生し、歩留まりを悪化させる問題があった。それを解決するため、従来の方法においては、図2で示すように、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う熱処理工程(図2(a))後に、ウェーハ表面の酸化膜除去を行い(図2(b))、その後、貼り合わせ強度を高め、ウェーハを平坦化するための熱処理工程(図2(c))を有する製造方法を用いていた。しかしながら、従来の犠牲酸化処理は、処理温度が950℃程度と高温で行われるため、活性層表面のダメージ中に存在する転位が熱処理中に活性層内部に伸展し、後工程で表面欠陥として顕在化するという問題があった。また、従来技術では、犠牲処理工程で水素注入ダメージが残る活性層表面近傍を酸化してダメージ領域をSiO2(酸化膜11)とした後、その酸化膜11をHF溶液により除去することでダメージ領域を取り除いているが、この際、本来除去すべきでないウェーハのテラス部に位置する絶縁膜の周縁部分についても除去される傾向がある。そのため、その後に行われる、貼り合わせ強度の向上及びウェーハの平坦化のための熱処理工程において、平坦化熱処理工程で活性層が部分的に剥がれ、欠陥の発生及び活性層膜厚の均一性を崩すという問題が生じている。
本発明者らは、前記問題について鋭意研究を重ねた結果、前記犠牲酸化熱処理工程(第1熱処理工程)後、活性層表面に生じる酸化膜11を除去する前に、貼り合わせ強度を向上させる熱処理工程(第2熱処理工程)を引き続き行えば、貼り合わせ界面の絶縁膜の周縁部分が除去されず貼り合わせ強度が向上するため、その後の平坦化熱処理工程においても活性層の剥がれを防止でき、その結果、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハの製造方法を見出した。
本発明のより具体的な製造方法は、図1に示すように、表面に熱酸化させた絶縁膜3を有する活性層用ウェーハ(図1(a))にHのような軽元素イオンを注入し、表面から所定の深さにイオン注入層4を形成させる(図1(b))。次に、活性層用ウェーハ1と支持基板用ウェーハ2を貼り合わせた後(図1(d))、窒素雰囲気中で所定温度、好適には400〜600℃の範囲内で熱処理を行い、イオン注入層4にて活性層用ウェーハの残部5を剥離させる(図1(e))。剥離により露出した活性層7(図1(f))は、その後、所定条件、好適には900℃以下の酸素雰囲気で、図1(g)に示すように、前記剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う(第1熱処理工程)。第1熱処理工程後、HF溶液を用いた活性層表面の酸化膜除去を行うことなく、図1(h)に示すように、所定条件、好適には1050℃以上の酸素または窒素雰囲気により2時間以上行う(第2熱処理工程)。その後、この貼り合わせウェーハ101を所定の洗浄液に浸漬することによりウェーハ表面に生じた酸化膜11をエッチングして除去する工程(図1(i))を経て、活性層7を平坦化熱処理した後(図1(j))、研磨により薄膜化を行う(図1(k))。これにより、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハを製造することができる。
また、前記第1熱処理工程の条件は、900℃以下の酸素雰囲気による熱処理であることが好ましい。熱処理温度が900℃を超えると活性層7におけるダメージが結晶欠陥や転位として熱処理中に活性層7の内部に伸展し、結晶性を悪化させる恐れがあるからであり、酸素以外の雰囲気により熱処理を行った場合、ダメージ層を完全に除去することができないためである。
さらに、前記第2熱処理工程の条件は、1050℃以上の酸素または窒素雰囲気により2時間以上行う熱処理であることが好ましい。熱処理温度が1050℃未満では十分な貼り合わせ強度が得られず、酸素または窒素以外の雰囲気ガスにより熱処理を行った場合、熱処理時間が2時間未満では十分な貼り合わせ強度を得られず、また、還元性のあるガスを用いた場合は、ガスによる活性層表面のエッチングが起こるためである。
なお、前記酸化膜除去に用いる洗浄液としては、フッ酸(HF)を含むものであればよく、特に限定はしないが、例えば、0.1質量%〜50質量%のクエン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、サリチル酸、シュウ酸、酢酸またはギ酸からなる群より選ばれた1種または2種以上の有機酸と、0.005〜0.25質量%のフッ酸を含む洗浄液が挙げられる。
また、前記平坦化熱処理は、活性層表面の凹凸を滑らかにするための還元作用を利用した高温熱処理であり、例えば、アルゴンまたは水素雰囲気で1000〜1200℃の熱処理が挙げられる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
(実施例1)
実施例1は、サイズが300mmの活性層用シリコンウェーハに150nmの酸化膜を形成した後、水素ガスのイオン注入(加速電圧:50keV、ドーズ量:1×1017/cm2)を行った後、活性層用ウェーハと支持基板用ウェーハを貼り合わせた。貼り合わせウェーハに窒素雰囲気で500℃、30分間の熱処理を施して、水素イオンを注入した部分を剥離させた。剥離させた貼り合わせウェーハに、縦型熱処理炉により850℃の酸素雰囲気で90分間保持する熱処理(第1熱処理)を施した後、同一熱処理炉内で、1050℃の酸素雰囲気で120分間保持する熱処理(第2熱処理)を施した。第2熱処理後、この貼り合わせウェーハを、0.5質量%のクエン酸からなる有機酸と、0.01質量%のフッ酸(HF)を含むHF溶液に浸漬して酸化膜の除去を行った後、1100℃のアルゴン雰囲気で120分間の平坦化熱処理を行い、貼り合わせウェーハを製造した。
(比較例1)
比較例1は、第1熱処理の温度が950℃であること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(比較例2)
比較例2は、第1熱処理の雰囲気ガスがアルゴンであること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(比較例3)
比較例3は、第2熱処理の温度が1000℃であること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(実施例2)
実施例2は、第2熱処理の雰囲気ガスが窒素であること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(比較例4)
比較例4は、第2熱処理の雰囲気ガスがアルゴンであること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(実施例5)
実施例5は、第2熱処理の処理時間が1時間であること以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
比較例
(比較例6)
比較例6は、第1熱処理工程の後、第2熱処理工程の前にHF溶液に浸漬して活性層表面の酸化膜除去を行ったこと以外は、実施例1と同様の工程で貼り合わせウェーハを製造した。
(評価方法)
上記各供試ウェーハをHF(49質量%)溶液に30分程度浸漬し、ウェーハ中に検出されたHF欠陥を光学顕微鏡で観察し、1平方センチメートルあたりの欠陥密度を算出した。また、活性層の膜厚均一性について、膜厚測定器を用いて測定し、ウェーハ中の膜厚の最大値と最小値の差分を取ることで膜厚均一性を算出した。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2008028070
表1.実施例及び比較例のHF欠陥密度及び活性層の膜厚均一性。
表1の結果から、本発明の方法による実施例1及び2は、HF欠陥密度及び活性層の膜厚均一性のいずれについても、従来の方法により作製した比較例6の貼り合わせウェーハよりも良好な数値を得ていることがわかる。また、第1熱処理温度が900℃を超えている比較例1、第1熱処理の雰囲気ガスが酸素以外の比較例2、第2熱処理温度が1050℃未満の比較例3、第2熱処理の雰囲気ガスが酸素または窒素以外の比較例4、及び第2熱処理の処理時間が2時間未満の比較例5については、それぞれ好適範囲内の実施例1に比べ、欠陥密度及び膜厚均一性の数値が悪化していることがわかる。
この発明によれば、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程を所定の条件で連続して行うことにより、活性層の欠陥の発生を抑制し、膜厚の均一化を図ることのできる貼り合わせウェーハの製造方法の提供が可能になった。
この発明の製造方法によって貼り合わせウェーハを製造する工程を説明するためのフローチャートであって、(a)は熱酸化処理した活性層用ウェーハ、(b)はHイオンを用いてイオン注入した活性層用ウェーハ、(c)は支持基板用ウェーハ、(d)は(b)と(c)の両ウェーハを貼り合わせた状態、(e)は熱処理により活性層用ウェーハの残部を剥離した直後の状態、(f)は活性層用ウェーハの残部を剥離後の貼り合わせウェーハの状態、(g)は第1熱処理を施した直後の貼り合わせウェーハ、(h)は第2熱処理を施した直後の貼り合わせウェーハ、(i)は第2熱処理後にHF溶液を用いて酸化膜を取り除いた直後の貼り合わせウェーハ、(j)は平坦化熱処理を施した直後の貼り合わせウェーハ、(k)は貼り合わせウェーハに研磨を施した状態を示す。 従来の製造方法によって貼り合わせウェーハを製造する工程の一部を説明するためのフローチャートであって、(a)は犠牲酸化するための熱処理を施した直後の貼り合わせウェーハ、(b)は犠牲酸化処理後にHF溶液を用いて酸化膜を取り除いた直後の貼り合わせウェーハ、(c)は貼り合わせ強度を高め、ウェーハを平坦化するための熱処理を施した直後の貼り合わせウェーハ、(d)は貼り合わせウェーハに研磨を施した状態を示す。
符号の説明
1 イオン注入した活性層用ウェーハ
2 支持基板用ウェーハ
3 絶縁膜
4 イオン注入層
5 活性層用ウェーハの残部
6 テラス部
7 活性層
9 研磨機
10 貼り合わせウェーハ
101 貼り合わせウェーハ
11 酸化膜

Claims (3)

  1. 活性層用ウェーハに、水素またはヘリウム等の軽元素イオンを所定の深さ位置に注入してイオン注入層を形成する工程と、前記活性層用ウェーハを絶縁膜を介して支持基板用ウェーハに貼り合わせる工程と、前記イオン注入層で剥離する工程と、剥離により露出した活性層表面のダメージを減少させるため犠牲酸化を行う第1熱処理工程と、貼り合わせ強度を高める第2熱処理工程とを有する貼り合わせウェーハの製造方法において、
    前記第1熱処理工程後、活性層表面に生じる酸化膜を除去することなく、第2熱処理工程を引き続き行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
  2. 前記第1熱処理工程の条件は、900℃以下の酸素雰囲気による熱処理であることを特徴とする請求項1記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
  3. 前記第2熱処理工程の条件は、1050℃以上の酸素または窒素雰囲気により2時間以上行う熱処理であることを特徴とする請求項1または2記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
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