JP2008024286A - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗員の体格に関係なく、比較的小柄な乗員等の場合であっても、胸、腹及び腰の側部全体を良好に保護することができるサイドエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車両用シート1のシートバック1bに設けられたサイドエアバッグ装置2であって、エアバッグ4と、車両の側突時又は横転時にエアバッグ4にガスを供給してエアバッグ4を膨張展開させるインフレータ6と、を有し、エアバッグ4は、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部8、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部10を備え、胸腹保護部8と腰保護部10は、少なくともエアバッグ4の前縁から後方に向かう連結部12aにより区画されるように形成されており、胸腹保護部8の上部には、凹部16が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、サイドエアバッグ装置に係わり、特に、車両用シートのシートバックに設けられたサイドエアバッグ装置に関する。
サイドエアバッグ装置は、車両の側突時や横転時に、インフレータにより、エアバッグにガスを供給して膨張展開させ、車両の乗員を保護するためのものであり、従来から種々のものが提案されている。
特許文献1には、車両用シートのシートバックの車幅方向外側の側部に、その内部がシーム(縫目)により下室と上室とに区画されたエアバッグが設置された側突用エアバッグ装置が開示されている。
この側突用エアバッグ装置において、車両の側突時や横転時には、ガス発生器(インフレータ)が作動してガスがエアバッグの下室と上室に流入し、各室が膨張し、これにより、エアバッグが座席(シート)の窓側サイドに沿って展開するようになっている。
この側突用エアバッグ装置においては、下室へ上室よりもガスが多量に且つ高圧で供給されるようになっているので、下室が高内圧にて早期に膨張し、乗員の腰を横移動させながら受け止め、上室は下室よりも低内圧にて膨張するので、乗員の上半身をソフトに受け止めることができるようになっている。
特許文献2にも、サイドエアバッグ装置が開示され、このサイドエアバッグ装置も、エアバッグが乗員の胸と腹を保護する上部エアバッグ室と腰を保護する下部エアバッグ室を備え、これらの上部エアバッグ室と下部エアバッグ室の圧力差が所望値となるように、縫製部を備えている。
このサイドエアバッグ装置においても、下部エアバッグ室の内圧は上部エアバッグ室の内圧より高くなっており、下部エアバッグ室の高内圧化及び早期展開がなされている。
特開2005-41457号公報 特開2005-196891公報
上述した特許文献1及び特許文献2に開示された従来のサイドエアバッグ装置は、いずれも、上室(上部エアバッグ室)により乗員の胸と腹をソフトに保護し、下室(下部エアバッグ室)により、乗員の腰を横移動させながら受け止め、乗員の体の側部全体を保護する点で有効な装置である。
しかしながら、これらのサイドエアバッグ装置は、大柄な乗員の場合には、上室(上部エアバッグ室)が膨張展開することにより、胸及び腹が衝撃力から良好に保護されるが、小柄及び中柄な乗員(小柄及び中柄な女性ドライバ等)の場合には、上室(上部エアバッグ室)により上腕部が直接、押圧されるため上室のガスの内圧が高すぎて、上腕部に対して不快感を感じたり、あるいは、上腕部が内側に押され、それにより、わき腹に不快感を感じたりするような状況に陥る場合がある。
一方、腰部を保護するためには高圧で腰を強制的に横移動させなければならず、また、エアバッグの早期展開のためには、ガスを高圧化しなければならないが、高圧化すればするほど、上述した問題が発生し易くなる。
本来、サイドエアバッグ装置は、乗員の体格に関係なく一律に側突時や横転時に乗員を保護する必要があるので、上述した問題を解決する必要性は大きいが、未だに、有効な解決策は見出されていない。
そこで、本発明は、従来技術の持つ問題点を解決するためになされたものであり、乗員の体格に関係なく、比較的小柄な乗員等の場合であっても、胸、腹及び腰の側部全体を良好に保護することができるサイドエアバッグ装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両用シートのシートバックに設けられたサイドエアバッグ装置であって、エアバッグと、車両の側突時又は横転時にエアバッグにガスを供給してエアバッグを膨張展開させるインフレータと、を有し、エアバッグは、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部を備え、胸腹保護部と腰保護部は、少なくともエアバッグの前縁から後方に向かう区画部により区画されるように形成されており、胸腹保護部の上部には、膨張抑制部が形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、車両の側突時又は横転時には、インフレータからエアバッグにガスが供給されエアバッグが膨張展開し、このとき、エアバッグの腰保護部が膨張展開して、乗員の腰を横方向に押し出して、乗員の腰を保護する。また、胸腹保護部には、膨張抑制部が形成されているので、この膨張抑制部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができる、即ち、少量のガス量で胸腹保護部の展開性を向上させることができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部の上部には膨張抑制部が設けられており、この膨張抑制部により、エアバッグ展開時に、体格の大小にかかわらず小柄又は中柄な乗員を含めた乗員の上腕部が、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部の膨張抑制部は、胸腹保護部を車幅方向から見て、その前縁部の上側部分の少なくとも一部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、前縁部の下側部分と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも短くなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部の膨張抑制部を、小柄及び中柄な乗員の上腕部の位置に相当させることにより、エアバッグ展開時に、胸腹保護部により小柄及び中柄な乗員の上腕部が車幅方向内側に押されることを防止することができる。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部の膨張抑制部は、胸腹保護部の前縁部に、車幅方向から見て、前縁部上部と前縁部下部の間で後方に窪むように形成された凹部である。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部には、凹部が形成されているので、この凹部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部には凹部が設けられているので、小柄及び中柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部の膨張抑制部は、胸腹保護部の前方部の上下方向中間部位に形成された非膨張部である。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部には、非膨張部が形成されているので、この非膨張部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部には非膨張部が設けられているので、小柄及び中柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
本発明において、好ましくは、腰保護部は、胸腹保護部と連結され、且つ、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、膨張抑制部は、胸腹保護部の上半分側に形成されている。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時には、エアバッグの腰保護部が車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開するが、このとき、腰保護部は、胸腹保護部と連結部により連結されているので、腰保護部は安定して展開し、展開安定性を高めることができる。さらに、エアバッグは、腰保護部がシートクッションの座面に接触して展開するので、胸腹保護部は、腰保護部を介してシートクッションから反力を受けるが、膨張抑制部が胸腹保護部の上半分側に形成されており、シートクッションから離間した位置にあるので、応力集中を抑制でき、胸腹保護部の展開性が低下することを防止できる。
本発明において、好ましくは、腰保護部は、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、胸腹保護部と実質的に非連結状態で形成されている。
このように構成された本発明においては、腰保護部は、胸腹保護部と一体的に展開できないのでその分展開性は低下するが、胸腹保護部は、腰保護部がシートクッションの座面に接触して展開するときに、腰保護部を介してシートクッションから反力を受けにくくなるので、胸腹保護部の展開性が向上する。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部は、その前縁部の下部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、腰保護部の前縁部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも長くなるように形成され、胸腹保護部下部の前縁周辺は、胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、腰保護部は、胸腹保護部と連結されている。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の前縁周辺の展開が遅れると、この前縁周辺が、車両内側面(例えば、ドアトリム等)と乗員との間に挟まれて畳まれた状態のままとなり、展開性が悪化してしまうおそれがある。しかしながら、胸腹保護部は、その下部前縁周辺よりも早く展開可能な腰保護部と連結されているので、腰保護部の展開によって胸腹保護部下部の前縁周辺が展開側に引き出される。これにより、胸腹保護部下部の前縁周辺の良好な展開性を保持することができる。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部下部の前縁周辺は、胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、腰保護部は、胸腹保護部と連結され、胸腹保護部下部は、車幅方向から見て、その上下方向の前縁部中央部位が前縁部上下端付近よりも前方に突出するように湾曲形成されており、胸腹保護部下部の少なくとも前縁部上端近傍又は前縁部下端近傍には、ベントホールが形成されている。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時には、胸腹保護部に設けられたベントホールによって、胸腹保護部内のガス圧を膨張初期から後期にわたって適宜なガス圧に維持することができる。しかも、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の湾曲形成された突出部位が、車両内側面(ドアトリム等)と乗員との間に挟まれて畳まれた状態のままとなっても、ベントホールはこの突出部位によって塞がれないような位置に設けられているので、ガス排出機能を保持することができる。
本発明において、好ましくは、胸腹保護部下部の前縁周辺は、胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、腰保護部は、胸腹保護部と連結され、胸腹保護部の上部前縁近傍と下部前縁近傍に、ベントホールが形成されている。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時に、胸腹保護部の上部前縁近傍と下部前縁近傍に形成されたベントホールによって、胸腹保護部内のガス圧の均一化を図りつつ膨張させることができる。また、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の前縁周辺が畳まれたままとなったとしても、胸腹保護部の上部前縁近傍に形成されたベントホールによってガス排出機能を保持することができる。
本発明のサイドエアバッグ装置によれば、乗員の体格に関係なく、比較的小柄な乗員等の場合であっても、胸、腹及び腰の側部全体を良好に保護することができる。
以下、添付図面により、本発明のサイドエアバッグ装置の実施形態を説明する。
先ず、図1乃至図8により、本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置を説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図であり、図2は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図であり、図3は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図であり、図4は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。
図1に示すように、車両の車室内には、車両用シート1が取り付けられ、この車両用シート1は、乗員が着座するシートクッション1aと背中を支持するシートバック1bを備えている。
車両用シート1に着座する乗員の体格は種々なものであるが、ここでは、代表例として、乗員A及び乗員Bの場合を説明する。乗員Aは、米国の連邦規制基準CRF49ch.5でAM50と呼ばれる米国成人男性のうちの平均的な体型の乗員に相当する乗員を示し、一方、乗員Bは、この米国基準でAF05と呼ばれる米国成人女性のうちの最も小柄から5%目の人の平均的な体型の乗員に相当する乗員を示している。
本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置2は、膨張展開して乗員を保護するエアバッグ4と、このエアバッグ4にガスを供給するインフレータ6を備えており、エアバッグ4が折り畳まれた状態でインフレータ6と共にユニット化されたものが、車両用シート1のシートバック1bの窓側の側部の内部に設けられている。
ここで、サイドエアバッグ装置2は、センサ(図示せず)が車両の側突を検知したとき、及び、車両の横転時、より具体的には、車両が所定角度以上傾いたことを予知したとき、インフレータ6からガスを供給して、エアバッグ4を膨張展開させるようになっている。
図1乃至図4に示すように、エアバッグ4は、膨張展開状態を車幅方向から見て、車両用シート1のシートクッション1aに着座した乗員A及びBの胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部8と、乗員A及びBの腰を保護するように膨張する腰保護部10を備えている。これらの胸腹保護部8及び腰保護部10は、展開状態で車幅方向内側と外側に位置する同じ形状の二枚の布を縫製することにより、具体的には、破線で示される縫製部12により形成されるようになっている。
また、胸腹保護部8と腰保護部10とは、縫製部12の一部である連結部(区画部)12aにより、連結され、一体的に膨張展開するようになっている。また、連結部12aの最後端部には、縫製部12の一部である非膨張部12bが形成され、その部位が破断しないように強度を向上させている。
ここで、胸腹保護部8と腰保護部10は、それぞれの上方部で連通領域13において連通しており、その連通領域13の後方近傍に位置する腰保護部10の部位には、ガス流入口14が形成され、このガス流入口14がインフレータ6のガス噴出口(図示せず)に接続されている。
図1及び図2に示すように、胸腹保護部8の小柄な乗員(例えば、上述したAF05に対応する乗員B)の上腕部B1に対応する部位又はその近傍に膨張抑制部である凹部16が形成されている。より具体的には、凹部16は、胸腹保護部8の前縁部8aに、車幅方向から見て、前縁部上部8bと前縁部下部8cの間で後方に窪むように形成され、さらに、この凹部16は、胸腹保護部8の上半分側に形成されている。
図1に示すように、腰保護部10は、上述したように、胸腹保護部8と連結され、エアバッグ展開時には、車両用シート1のシートクッション1aの座面に接触するように展開するように、形成されている。
さらに、図1乃至図4に示すように、胸腹保護部8には、膨張展開状態を車幅方向から見て、その上部、即ち、胸腹保護部8の前縁部上部8bの近傍に、上部ベントホール18が形成され、さらに、その下部、即ち、前縁部下部8cの近傍に、上部ベントホール18から所定距離以上離間して、下部ベントホール20が形成されている。この上部ベントホール18は、その排出ガス量が、下部ベントホール20よりも少なくなるように、下部ベントホール20よりも小さく形成されている。なお、腰保護部10には、ベントホールは形成されていない。
なお、本実施形態においては、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、両方が形成されていることが好ましいが、これに限らず、少なくとも何れか一方が形成されていればよい。
ここで、図3及び図4に示されているように、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、両者ともに、車両前後方向から見て、中心部近傍で且つ中心部から窓側(車両外側)に変位した部位に設けられている。これにより、エアバッグ4の胸腹保護部8が膨張展開したとき、乗員及びドアの何れにも接触することがないので、塞がれることがなく、スムーズな排気が可能となる。
また、エアバッグ4の胸腹保護部8は、ガス流入口14から流入したガスが、上部ベントホール18又はその近傍を通過して、下部ベントホール20に流れるように形成されている。
次に、図5により、第1実施形態におけるエアバッグ4の第1変形例を説明する。この変形例では、エアバッグ4の胸腹保護部8の前縁部8aに窪み形状の非膨張部8gを形成し、これにより、上述した凹部16が形成されるようになっている。
次に、上述した第1実施形態によるサイドエアバッグ装置の作用効果を説明する。先ず、センサ(図示せず)が車両の側突を検知したとき、又は、車両の横転時、より具体的には、車両が所定角度以上傾いたことを予知したときには、図7及び図8に示すように、インフレータ6からガスが供給され、エアバッグ4が膨張展開する。
このとき、エアバッグ4の腰保護部10が膨張展開することにより、乗員Aの腰を横方向に押し出して、乗員の腰の保護を図ることができる。
また、エアバッグ4の胸腹保護部8に凹部16を設けたので、凹部16の容積分だけガス量が不要となり、その分だけ少量のガス量で胸腹保護部8を膨張展開することができる。即ち、少量のガス量でエアバッグの展開性を向上させることができる。その結果、大柄な乗員Aの場合でも、胸腹保護部8の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。
さらに、エアバッグ4の胸腹保護部8には凹部16が設けられているので、小柄な乗員Bの場合には、その上腕部B1が、エアバッグ展開時に、エアバッグ4の胸腹保護部8により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
また、エアバッグ展開時には、エアバッグ4の腰保護部10が車両用シートのシートクッション1aの座面に接触するように展開する。このとき、腰保護部10は、胸腹保護部8と連結部12aにより連結されているので、腰保護部10は安定して展開し、展開安定性を高めることができる。
このとき、エアバッグ4は、腰保護部10がシートクッション1aの座面に接触して展開するので、胸腹保護部8は、腰保護部10を介してシートクッション1aから反力を受ける。エアバッグの膨張展開時において、凹部16がシートクッション1aから近い位置にあると、この凹部16に反力による応力集中が発生し易くなり、展開性が悪化するが、本実施形態においては、凹部16が胸腹保護部8の上半分側に形成されており、シートクッション1aから離間した位置にあるので、応力集中を抑制でき、胸腹保護部8の展開性が低下することを防止できる。
さらに、本実施形態においては、エアバッグ4が膨張するとき、腰保護部10から上方に向いて作用する応力が発生するが、この応力は凹部16で集中するので、胸腹保護部8の上部が応力により上方に変位するのを抑制することができ、乗員の体形に合わせてエアバッグ4を適切に展開させることができる。
なお、本実施形態においては、第2変形例として、図6に示すように、エアバッグ4において、腰保護部10と胸腹保護部8との間に非連結部9を形成し、腰保護部10が胸腹保護部8と非連結状態となるようにしてもよい。この場合には、腰保護部10は、胸腹保護部8と一体的に展開できないのでその分展開性は低下するが、胸腹保護部8は、腰保護部10がシートクッション1aの座面に接触して展開しても、腰保護部10を介してシートクッション1aから反力を受けることがないので、胸腹保護部8の展開性が向上する。
次に、本実施形態においては、一つの膨張部である胸腹保護部8には離間して上部ベントホール18と下部ベントホール20が設けられているので、これらの2つのベントホールにより、胸腹保護部8全体の圧力をほぼ均一化することが可能となる。
また、エアバッグ4の胸腹保護部8は、ガス流入口14から流入したガスが、上部ベントホール18又はその近傍を通過して、下部ベントホール20に流れるように形成されているので、保護の必要性が大きな胸が位置する上部を先に高圧化することができ、保護性能が向上する。
また、上部ベントホール18は、その排出ガス量が、下部ベントホール20よりも少なくなるように、下部ベントホール20よりも小さく形成されているので、乗員の肌の露出度の多い胸(肩や腋を含む)の部分は、露出度の少ない腹の部分に比べて、高温の排出ガスの流出量が少なくなり、その分、乗員への不快感を抑制することができる。
さらに、胸腹保護部8においては、上述したように、ガスが上部ベントホール18又はその近傍を通過して下部ベントホール20に流れるので、上部ベントホール18からガスが抜けすぎると胸腹保護部8の下部の高圧化ができなくなるが、本実施形態では、上部ベントホール18からの排出ガス量を少なくしているので、このような問題の発生を防止することができる。
また、胸腹保護部8において、胸腹保護部8の前縁部上部8bの近傍に、上部ベントホール18が形成され、さらに、前縁部下部8cの近傍に、下部ベントホール20が形成されているので、エアバッグ4の胸腹保護部8の前部からガスを排気することができ、しかも、前縁部上部8bの近傍及び前縁部下部8cの近傍は、膨張時に車幅方向厚みが大きな部位であり、これらの厚みが大きな部位に上部ベントホール18及び下部ベントホール20が形成されているので、側突時や横転時に、上部ベントホール18又は下部ベントホール20が潰れてガスが阻害されることを防止できる。
さらに、腰保護部10は、腰を車幅方向に移動させるために高圧状態に保持する必要があるが、腰保護部10には、ベントホールは形成されず、且つ、胸腹保護部8と腰保護部10のそれぞれの上方部に連通領域13が形成され、この連通領域13の後方近傍にガス流入口14が形成されているので、高圧状態に保持することが可能である。さらに、胸腹保護部8に形成された上部ベントホール18のガス排出量が少ないので、腰保護部10の上部ベントホール18による腰保護部10の高圧化への影響は少ない。
次に、図9及び図10により、第1実施形態におけるエアバッグ4の第3変形例を説明する。図9は展開状態にあるエアバッグを示す側面図、図10は図9のエアバッグを示す平面図である。
この第3変形例のエアバッグ4は、基本構成が図2に示すエアバッグ4と同様であるので、以下、主に図2のエアバッグ4と異なる構成及び作用効果を説明する。
この変形例では、エアバッグ4の前縁部上部8b全体をシートバック1b側にシフトさせ、前縁部上部8bがシートバック1bの前面(背もたれ面)の長手方向とほぼ平行に延びるように形成されている。これにより、前縁部上部8bは、そのほぼ全体が後方に窪む凹状段部17を形成している。したがって、前縁部上部8bとシートバック1bの前面との水平離間距離L1よりも、前縁部下部8c(特に、前縁部下部8cの最前位置)とシートバック1bの前面との水平離間距離L2とを比べると、距離L1よりも距離L2の方が長くなっている(L1<L2)。前縁部下部8cは、車幅方向から見たとき、その上下方向の中央部が前方に突出し湾曲するように形成されている。
また、腰保護部10の前縁のうち最も前方に位置する点とシートバック1bの前面との水平離間距離L3よりも、距離L2の方が長くなっている(L3<L2)。
この変形例のエアバッグ4では、胸腹保護部8と腰保護部10とを縫製によって区画する連結部12aが図2に示すエアバッグ4よりも上方まで延びており、非膨張部12bがガス流入口14よりも上方に位置している。連結部12aは、エアバッグ4の前縁部の上下方向中央部分(前縁部下部8cの下端)から後方且つ上方に延びており、胸腹保護部8を上下方向に延びるように規定している。
また、この変形例では、ガス流入口14が、図2に示すエアバッグ4のものよりも大径に形成されており、膨張展開時にガスが内部にすばやく供給され、展開時間が短縮化されるように構成されている。
上部ベントホール18は、図2の例と同様に前縁部上部8bの上端近傍に形成されている。下部ベントホール20は、前方に突出する前縁部下部8cが前縁部上部8bの延長線を折り畳み線としてシートバック1b側に折り返されたとき、前縁部下部8c周辺の湾曲形状の突出部位8hによって完全には塞がれないような位置に形成されている。詳しくは、下部ベントホール20は、前縁部下部8cの下端近傍で連結部12aの前端周辺に形成されている。
なお、図9に仮想線で示すように、下部ベントホール20を、前縁部下部8cの上端近傍に形成してもよく、さらに双方に形成してもよい。
この変形例では、ガス流入口14が図2の例よりも大径に形成され、且つ、非膨張部12bがガス流入口14よりも上方に形成されたことにより、エアバッグ展開時に、腰保護部10がすばやく展開され、乗員の腰部を保護することができる。
また、非膨張部12bを迂回したガスは、胸腹保護部8の上部から下部に向かって供給されるが、低ガス圧又は少ガス量の場合には胸腹保護部8の下部の展開が遅れてしまうおそれがある。しかしながら、この変形例では、胸腹保護部8の前縁部上部8bに凹状段部17が形成されたことにより、胸腹保護部8の上側部分の容積が減少しているので、低いガス圧又は少量のガス量であっても、胸腹保護部8全体が、腰保護部10とほぼ同時又はわずかに遅れる程度で良好な展開性ですばやく展開され、乗員の胸部及び腹部を保護することができる。
また、この変形例では、エアバッグ展開時に、突出部位8hが最後に展開することになるが、突出部位8hが腰保護部10の上部に連続するように形成されているので、腰保護部10の展開に引っ張られるようにして、突出部位8hを含めた胸腹保護部8を展開させることができる。
また、エアバッグ4は、展開状態で前縁部上部8b全体が前縁部下部8cよりも後方に窪んだ状態となっているので、小柄な乗員Bに限らず、小柄な乗員Bと大柄な乗員Aとの間の中間的な体格を有する中柄な乗員(例えば、米国の連邦規制基準CRF49ch.5でAF50と呼ばれる米国成人女性のうちの最も小柄から50%目の人の平均的な体型の乗員)の上腕部が、エアバッグ展開時にエアバッグ4の胸腹保護部8により車幅方向内側に押されることを防止することができる。したがって、本変形例のエアバッグ4では、エアバッグ展開時に、乗員の体格の大小にかかわらず、乗員の上腕部が胸腹保護部8により車幅方向内方へ衝撃を受けることを回避することができる。
なお、本変形例では、前縁部上部8bの下端から上端の全体を前縁部下部8cに対して窪んだ状態にしているが、これに限らず、前縁部上部8bの下端から上端の途中までを窪んだ状態にしてもよい。
図11は、図9のXI−XI線断面に相当する説明図である。図11に示すように、エアバッグ4は、収納時には、シートバック1b内部の車両外側部分に形成された空間部1cに、畳まれた状態で配置されている。本変形例では、エアバッグ4は、前縁側から順に外巻きロール状に後縁側に向かって巻き取られたように畳まれて収納されている。なお、本変形例では、エアバッグ4はロール巻形式で収納されているが、これに限らず、蛇腹折形式で畳まれて収納されていてもよい。
図11に仮想線で示すように、側突時又は横転時にエアバッグ4が空間部1cから乗員Aの側部に向けて展開するとき、腰保護部10に引っ張られるようにして、これに連結された胸腹保護部8も展開するが、胸腹保護部8の前縁部下部8c周辺の突出部位8hは、ガス流入口14から最も遠いため展開が最後になる。したがって、突出部位8hがまだ展開を完了していないときに、車両用シート1側にトリムTが移動してくると、突出部位8hがトリムTと乗員Aとの間に挟まれ、展開しないおそれがある。
しかしながら、本変形例では、突出部位8hが折り畳まれた状態で展開しない場合であっても、下部ベントホール20が突出部位8hによって塞がれないようになっているので、胸腹保護部8内の圧力の均一化を図ることができる。
また、図12に示す第4変形例のように構成してもよい。本変形例では、胸腹保護部8の前縁部8aを縫製部12によって完全に閉じないことによって、エアバッグ4内部と外部とを連通させる上部ベントホール18a,下部ベントホール20aを形成している。上部ベントホール18aは、前縁部上部8bの上端に形成されており、下部ベントホール20aは、前縁部下部8cの下端に形成されている。なお、下部ベントホール20aを、前縁部下部8cの上端に形成してもよい。このように構成しても、第3変形例と同様に、突出部位8hが展開しない場合に、ガス排出機能を確保して、胸腹保護部8内の圧力の均一化を図ることができる。
次に、図13乃至図16により、本発明の第2実施形態によるサイドエアバッグ装置を説明する。図13は本発明の第2実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図であり、図14は図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図であり、図15は図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図であり、図16は図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。
この第2実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上述した第1実施形態においては、胸腹保護部8に凹部16を形成したが、第2実施形態では、胸腹保護部8の膨張抑制部として、凹部16の代わりに、胸腹保護部8の小柄な乗員(例えば、上述したAF05に対応する乗員B)の上腕部B1に対応する部位又はその近傍に布を縫製することにより、非膨張部24が形成されている。この非膨張部24は、胸腹保護部8の上半分側で、且つ、前方部に形成されている。さらに、非膨張部24は、その周囲(全周)が膨張領域8dにより囲まれている。
また、胸腹保護部8の上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、それぞれ、非膨張部24の上方に位置する前側上部8e及び前側下部8fに形成される。
より具体的には、図14に示されているように、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、いずれも、膨張展開状態を車両の前後方向又は上下方向から見て、胸腹保護部8の表面の前後方向又は上下方向に広がる面の傾斜が比較的大きな部位(図14の二点鎖線よりも外側の領域)に形成されている。
なお、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、何れか一方のみが形成されてもよい。
このように構成された本発明の第2実施形態によるサイドエアバッグ装置においても、上述した第1実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
次に、図17により、第2実施形態におけるエアバッグ4の第1変形例を説明する。図17はエアバッグを示す側面図である。
この第1変形例のエアバッグ4は、基本構成及び側面外形が図14に示すエアバッグ4と同様であるので、以下、図14のエアバッグ4と異なる構成及び作用効果についてのみ説明する。
この変形例では、エアバッグ4は、胸腹保護部8と腰保護部10とを縫製によって区画する連結部12aが図14に示すエアバッグ4よりも上方まで延びており、非膨張部12bがガス流入口14よりも上方に位置している。また、この変形例では、ガス流入口14が、図14に示すエアバッグ4のものよりも大径に形成されており、膨張展開時にガスが内部にすばやく供給され、展開時間が短縮化されるように構成されている。
上部ベントホール18は、図14の例と同様に前側上部8eに形成されている。
胸腹保護部8の前側下部8fには、連結部12aの前端部及び腰保護部10よりも前方に突出する円弧状の突出部位8hが設けられている(L2>L3)。下部ベントホール20は、突出部位8hが連結部12aの前端部からシートバック1bの延びる方向とほぼ平行な線を折り畳み線としてシートバック1b側に折り返されたとき、突出部位8hによって完全には塞がれないような位置に形成されている。詳しくは、下部ベントホール20は、前側下部8fの下端近傍で連結部12aの前端周辺に形成されている。
なお、図17に仮想線で示すように、下部ベントホール20を、前側下部8fの上端近傍に形成してもよく、さらに双方に形成してもよい。
この変形例では、ガス流入口14が図14の例よりも大径に形成され、且つ、非膨張部12bがガス流入口14よりも上方に形成されたことにより、エアバッグ展開時に、腰保護部10がすばやく展開され、乗員の腰部を保護することができる。
また、図9に示した例と同様に、エアバッグ4がロール巻形式又は蛇腹状形式に畳まれた収納状態から展開するときに、突出部位8hが乗員とトリムとの間に挟まれて展開しない場合でも、下部ベントホール20が突出部位8hによって塞がれないようになっているので、胸腹保護部8内の圧力の均一化を図ることができる。
また、図18に示す第2変形例のように構成してもよい。本変形例では、胸腹保護部8の前縁部を縫製部12によって完全に閉じないことによって、エアバッグ4内部と外部とを連通させる上部ベントホール18b,下部ベントホール20bを形成している。上部ベントホール18bは、前側上部8eに形成されており、下部ベントホール20bは、前側下部8fの下端に形成されている。なお、下部ベントホール20bを、前側下部8fの上端に形成してもよい。このように構成しても、第1変形例と同様に、突出部位8hが展開しない場合に、ガス排出機能を確保して、胸腹保護部8内の圧力の均一化を図ることができる。
次に、図19乃至図24により、本発明の第3実施形態によるサイドエアバッグ装置を説明する。図19は本発明の第3実施形態によるベントホールの形状の第1例を示す側面図であり、図20は本発明の第3実施形態によるベントホールの形状の第2例を示す側面図であり、図21は本発明の第3実施形態によるエアバッグが展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図であり、図22は図21のエアバッグを示す平面図であり、図23は図20のエアバッグを示す正面図であり、図24は本発明の第3実施形態の変形例によるエアバッグが展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図である。
この第3実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
先ず、図19に示すように、本発明の第3実施形態においては、胸腹保護部8に、第1実施形態及び第2実施形態において丸穴形状のベントホールに代えて、スリット形状の上部ベントホール28及び下部ベントホール30が形成されている(図19は下部ベントホール30のみ図示)。図19には、第1実施形態及び第2実施形態における丸穴形状の下部ベントホール20が破線で示されている。図19に示すように、下部ベントホール30は、スリット部30aとその両端形成された小径部30bから構成されている。上部ベントホール28も、同様に、スリット部とその両端形成された小径部から構成されている。
次に、図20に示すように、本発明の第3実施形態においては、胸腹保護部8に、第1実施形態及び第2実施形態において丸穴形状のベントホールに代えて、長穴形状の上部ベントホール38及び下部ベントホール40を形成するようにしてもよい(図20は下部ベントホール40のみ図示)。ここで、図21においても、同様に、第1実施形態及び第2実施形態における丸穴形状の下部ベントホール20が破線で示されている。
より具体的に説明すると、図21乃至図23に示すように、本実施形態においては、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、膨張展開状態を車幅方向から見て、胸腹保護部8の前縁部上部8bと前縁部下部8cのそれぞれの近傍に位置し、その前縁部8aの形状にほぼ沿うように、スリット形状又は長穴形状に形成されている。ここで、上部ベントホール28及び下部ベントホール30のスリット形状及び長穴形状の長さは、0.5cm〜10cmである。
また、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、ガスが前方に向けて排出されるように形成されている。
本実施形態においても、同様に、エアバッグ4の胸腹保護部8には、所定の小柄な乗員Bの上腕部B1に対応する部位又はその近傍で、且つ、前縁部上部8bと前縁部下部8cの間で後方に窪むように凹部16が形成されている。上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、それぞれ、前縁部上部8bの近傍及び前縁部下部8cの近傍に形成されている。
なお、本実施形態において、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、少なくとも一方が形成されていればよい。
ここで、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、いずれも、その長手方向に沿った線(延長線)が、車両用シート1のシートクッション1aの座面に対してほぼ直角か又は傾斜状態となるように形成されている。
さらに、本実施形態において、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、いずれも、膨張展開状態を車両の前後方向又は上下方向から見て、胸腹保護部8の表面の前後方向又は上下方向に広がる面の、つまり、縫製部12が形成する面に対する、傾斜が比較的大きな部位32(図21の二点鎖線よりも外側の領域)に、胸腹保護部8の前縁部8aの形状にほぼ沿うように、スリット形状又は長穴形状に形成されている。
次に、図24により、第3実施形態の変形例を説明する。図24に示すように、エアバッグ4の胸腹保護部8には、その前方部の所定の小柄な乗員の上腕部に対応する部位又はその近傍に、その周囲が膨張領域8dに囲まれた非膨張部24が形成されている。このような構造を前提として、本実施形態においては、さらに、膨張展開状態を車幅方向から見て、胸腹保護部8の非膨張部側に位置し、その非膨張部24との境界の形状にほぼ沿うように、スリット形状又は長穴形状の上部ベントホール48が形成されている。なお、下部ベントホール50は、図21に示されたエアバッグ4と同様である。
この図24に示された第3実施形態の変形例においても、図21に示す第3実施形態と同様に、上部ベントホール48及び下部ベントホール50は、膨張展開状態を車両前後方向から見て、胸腹保護部8の表面の傾斜が比較的大きな部位32(図24の二点鎖線よりも外側の領域)に、胸腹保護部8との境界の形状にほぼ沿うように、スリット形状又は長穴形状に形成されている。
このように構成された本発明の第3実施形態及びその変形例によるサイドエアバッグ装置においても、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様な作用効果を奏することができる。第3実施形態及びその変形例によれば、上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40を上述したスリット形状又は長穴形状により形成したこと等により、以下のような作用効果を奏することができる。
先ず、第3実施形態及びその変形例によるサイドエアバッグ装置においては、胸腹保護部8の上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40をスリット形状又は長穴形状により形成したので、インフレータ6からガスが供給されて胸腹保護部8が膨張展開する際、胸腹保護部8が高圧下のときには、上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40の開口断面積が大きくなるので、多量のガスを短時間で排出することにより、衝撃吸収性が向上し、次に、胸腹保護部8が萎んで圧力が低下すると、上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40の開口断面積が小さくなるので、ガスの排出量が低減して比較的長時間の緩やかな保護が可能となる。
また、第3実施形態においては、上部ベントホール28及び下部ベントホール30は、スリット形状又は長穴形状により形成したことに加えて、膨張展開状態を車両前後方向から見て、胸腹保護部8の表面の傾斜が比較的大きな部位32に、胸腹保護部8の前縁部8aの形状にほぼ沿うように形成されているので、上述した場合よりも、より効果的に、衝撃吸収性が向上し、次に、ガスの排出量が低減して比較的長時間の緩やかな保護が可能となる。
第3実施形態の変形例においても、同様に、上部ベントホール48及び下部ベントホール50は、スリット形状又は長穴形状により形成したことに加えて、膨張展開状態を車幅方向から見て、胸腹保護部8の非膨張部側に位置し、その非膨張部24との境界の形状にほぼ沿うように形成されているので、上述した場合よりも、より効果的に、衝撃吸収性が向上し、次に、ガスの排出量が低減して比較的長時間の緩やかな保護が可能となる。
また、第3実施形態及びその変形例においては、胸腹保護部8の上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40は、ガスが前方に向けて排出されるように形成されているので、排出された高温のガスが乗員に吹き付けられことがなく、高温ガスと乗員との接触を抑制することができる。
さらに、エアバッグ4が、車両用シート1のシートクッション1aの座面に接触するように展開した場合には、エアバッグ4がシートクッション1aの座面から反力を受け、この反力により、ベントホールがシートクッション1aの座面と同じ方向に形成された場合には、ベントホールが潰れ気味となりガスの十分な排気が阻害される。しかしながら、第3実施形態及びその変形例においては、上部ベントホール28,38及び下部ベントホール30,40は、いずれも、その長手方向に沿った線(延長線)が、車両用シート1のシートクッション1aの座面に対してほぼ直角か又は傾斜状態となるように形成されているので、上述した不具合を防止することができる。
なお、上記実施形態では、胸腹保護部8と腰保護部10とが連結部12aによって連結された例を示したが、これに限らず、図6の例に示すように、非連続部9によって胸腹保護部8と腰保護部10とを分離してもよい。これにより、腰保護部10と胸腹保護部8とが一体的に展開できないのでその分展開性は低下するが、胸腹保護部8は、腰保護部10がシートクッションの座面に接触して展開するときに、腰保護部10を介してシートクッション1aから反力を受けにくくなるので、腰保護部10がシートクッション1aから大きく反力を受ける場合には、胸腹保護部8の展開性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図である。 図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図である。 図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図である。 図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。 本発明の第1実施形態の変形例によるエアバッグを示す側面図である。 本発明の第1実施形態の第2変形例によるエアバッグを示す側面図である。 本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が大柄な乗員が着座したときに展開膨張した状態を示す車両前方から見た図である。 本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が小柄な乗員が着座したときに展開膨張した状態を示す車両前方から見た図である。 本発明の第1実施形態の第3変形例による展開状態にあるエアバッグを示す側面図である。 図9のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図である。 図9のXI−XI線断面に相当するエアバッグの説明図である。 本発明の第1実施形態の第4変形例によるエアバッグを示す部分側面図である。 本発明の第2実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図である。 図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図である。 図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図である。 図13のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。 本発明の第2実施形態の第1変形例によるエアバッグを示す側面図である。 本発明の第2実施形態の第2変形例によるエアバッグを示す部分側面図である。 本発明の第3実施形態によるベントホールの形状の第1例を示す側面図である。 本発明の第3実施形態によるベントホールの形状の第2例を示す側面図である。 本発明の第3実施形態によるエアバッグが展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図である。 図21のエアバッグを示す平面図である。 図21のエアバッグを示す正面図である。 本発明の第3実施形態の変形例によるエアバッグが展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図である。
符号の説明
1 車両用シート
1a シートクッション
1b シートバック
2 サイドエアバッグ装置
4 エアバッグ
6 インフレータ
8 胸腹保護部
8a 前縁部
8b 前縁部上部
8c 前縁部下部
8d 膨張領域
8e 前側上部
8f 前側下部
8g 非膨張部
8h 突出部位
9 非連続部
10 腰保護部
12 縫製部
12a 連結部
12b 非膨張部
13 連通領域
14 ガス流入口
16 凹部(膨張抑制部)
17 凹状段部(膨張抑制部)
18,18a,18b,28,38,48 上部ベントホール
20,20a,20b,30,40,50 下部ベントホール
24 非膨張部(膨張抑制部)
32 傾斜が大きな部位
A 大柄な乗員
B 小柄な乗員

Claims (9)

  1. 車両用シートのシートバックに設けられたサイドエアバッグ装置であって、
    エアバッグと、
    車両の側突時又は横転時に上記エアバッグにガスを供給してエアバッグを膨張展開させるインフレータと、を有し、
    上記エアバッグは、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部を備え、
    上記胸腹保護部と上記腰保護部は、少なくとも上記エアバッグの前縁から後方に向かう区画部により区画されるように形成されており、
    上記胸腹保護部の上部には、膨張抑制部が形成されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
  2. 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部を車幅方向から見て、その前縁部の上側部分の少なくとも一部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、上記前縁部の下側部分と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも短くなるように形成されている請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
  3. 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部の前縁部に、車幅方向から見て、前縁部上部と前縁部下部の間で後方に窪むように形成された凹部である請求項2記載のサイドエアバッグ装置。
  4. 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部の前方部の上下方向中間部位に形成された非膨張部である請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
  5. 上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、且つ、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、上記膨張抑制部は、上記胸腹保護部の上半分側に形成されている請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
  6. 上記腰保護部は、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、上記胸腹保護部と実質的に非連結状態で形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
  7. 上記胸腹保護部は、その前縁部の下部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、上記腰保護部の前縁部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも長くなるように形成され、上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、
    上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
  8. 上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、
    上記胸腹保護部下部は、車幅方向から見て、その上下方向の前縁部中央部位が前縁部上下端付近よりも前方に突出するように湾曲形成されており、上記胸腹保護部下部の少なくとも前縁部上端近傍又は前縁部下端近傍には、ベントホールが形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
  9. 上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、
    上記胸腹保護部の上部前縁近傍と下部前縁近傍に、ベントホールが形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
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