JP2008024286A - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用シート1のシートバック1bに設けられたサイドエアバッグ装置2であって、エアバッグ4と、車両の側突時又は横転時にエアバッグ4にガスを供給してエアバッグ4を膨張展開させるインフレータ6と、を有し、エアバッグ4は、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部8、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部10を備え、胸腹保護部8と腰保護部10は、少なくともエアバッグ4の前縁から後方に向かう連結部12aにより区画されるように形成されており、胸腹保護部8の上部には、凹部16が形成されている。
【選択図】図1
Description
この側突用エアバッグ装置において、車両の側突時や横転時には、ガス発生器(インフレータ)が作動してガスがエアバッグの下室と上室に流入し、各室が膨張し、これにより、エアバッグが座席(シート)の窓側サイドに沿って展開するようになっている。
この側突用エアバッグ装置においては、下室へ上室よりもガスが多量に且つ高圧で供給されるようになっているので、下室が高内圧にて早期に膨張し、乗員の腰を横移動させながら受け止め、上室は下室よりも低内圧にて膨張するので、乗員の上半身をソフトに受け止めることができるようになっている。
このサイドエアバッグ装置においても、下部エアバッグ室の内圧は上部エアバッグ室の内圧より高くなっており、下部エアバッグ室の高内圧化及び早期展開がなされている。
しかしながら、これらのサイドエアバッグ装置は、大柄な乗員の場合には、上室(上部エアバッグ室)が膨張展開することにより、胸及び腹が衝撃力から良好に保護されるが、小柄及び中柄な乗員(小柄及び中柄な女性ドライバ等)の場合には、上室(上部エアバッグ室)により上腕部が直接、押圧されるため上室のガスの内圧が高すぎて、上腕部に対して不快感を感じたり、あるいは、上腕部が内側に押され、それにより、わき腹に不快感を感じたりするような状況に陥る場合がある。
本来、サイドエアバッグ装置は、乗員の体格に関係なく一律に側突時や横転時に乗員を保護する必要があるので、上述した問題を解決する必要性は大きいが、未だに、有効な解決策は見出されていない。
このように構成された本発明においては、車両の側突時又は横転時には、インフレータからエアバッグにガスが供給されエアバッグが膨張展開し、このとき、エアバッグの腰保護部が膨張展開して、乗員の腰を横方向に押し出して、乗員の腰を保護する。また、胸腹保護部には、膨張抑制部が形成されているので、この膨張抑制部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができる、即ち、少量のガス量で胸腹保護部の展開性を向上させることができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部の上部には膨張抑制部が設けられており、この膨張抑制部により、エアバッグ展開時に、体格の大小にかかわらず小柄又は中柄な乗員を含めた乗員の上腕部が、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部の膨張抑制部を、小柄及び中柄な乗員の上腕部の位置に相当させることにより、エアバッグ展開時に、胸腹保護部により小柄及び中柄な乗員の上腕部が車幅方向内側に押されることを防止することができる。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部には、凹部が形成されているので、この凹部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部には凹部が設けられているので、小柄及び中柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
このように構成された本発明においては、胸腹保護部には、非膨張部が形成されているので、この非膨張部の分だけ少量のガス量で胸腹保護部を膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、胸腹保護部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの胸腹保護部には非膨張部が設けられているので、小柄及び中柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの胸腹保護部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時には、エアバッグの腰保護部が車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開するが、このとき、腰保護部は、胸腹保護部と連結部により連結されているので、腰保護部は安定して展開し、展開安定性を高めることができる。さらに、エアバッグは、腰保護部がシートクッションの座面に接触して展開するので、胸腹保護部は、腰保護部を介してシートクッションから反力を受けるが、膨張抑制部が胸腹保護部の上半分側に形成されており、シートクッションから離間した位置にあるので、応力集中を抑制でき、胸腹保護部の展開性が低下することを防止できる。
このように構成された本発明においては、腰保護部は、胸腹保護部と一体的に展開できないのでその分展開性は低下するが、胸腹保護部は、腰保護部がシートクッションの座面に接触して展開するときに、腰保護部を介してシートクッションから反力を受けにくくなるので、胸腹保護部の展開性が向上する。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の前縁周辺の展開が遅れると、この前縁周辺が、車両内側面(例えば、ドアトリム等)と乗員との間に挟まれて畳まれた状態のままとなり、展開性が悪化してしまうおそれがある。しかしながら、胸腹保護部は、その下部前縁周辺よりも早く展開可能な腰保護部と連結されているので、腰保護部の展開によって胸腹保護部下部の前縁周辺が展開側に引き出される。これにより、胸腹保護部下部の前縁周辺の良好な展開性を保持することができる。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時には、胸腹保護部に設けられたベントホールによって、胸腹保護部内のガス圧を膨張初期から後期にわたって適宜なガス圧に維持することができる。しかも、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の湾曲形成された突出部位が、車両内側面(ドアトリム等)と乗員との間に挟まれて畳まれた状態のままとなっても、ベントホールはこの突出部位によって塞がれないような位置に設けられているので、ガス排出機能を保持することができる。
このように構成された本発明においては、エアバッグ展開時に、胸腹保護部の上部前縁近傍と下部前縁近傍に形成されたベントホールによって、胸腹保護部内のガス圧の均一化を図りつつ膨張させることができる。また、エアバッグ展開時に、胸腹保護部下部の前縁周辺が畳まれたままとなったとしても、胸腹保護部の上部前縁近傍に形成されたベントホールによってガス排出機能を保持することができる。
先ず、図1乃至図8により、本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置を説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図であり、図2は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図であり、図3は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図であり、図4は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。
車両用シート1に着座する乗員の体格は種々なものであるが、ここでは、代表例として、乗員A及び乗員Bの場合を説明する。乗員Aは、米国の連邦規制基準CRF49ch.5でAM50と呼ばれる米国成人男性のうちの平均的な体型の乗員に相当する乗員を示し、一方、乗員Bは、この米国基準でAF05と呼ばれる米国成人女性のうちの最も小柄から5%目の人の平均的な体型の乗員に相当する乗員を示している。
また、胸腹保護部8と腰保護部10とは、縫製部12の一部である連結部(区画部)12aにより、連結され、一体的に膨張展開するようになっている。また、連結部12aの最後端部には、縫製部12の一部である非膨張部12bが形成され、その部位が破断しないように強度を向上させている。
ここで、胸腹保護部8と腰保護部10は、それぞれの上方部で連通領域13において連通しており、その連通領域13の後方近傍に位置する腰保護部10の部位には、ガス流入口14が形成され、このガス流入口14がインフレータ6のガス噴出口(図示せず)に接続されている。
なお、本実施形態においては、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、両方が形成されていることが好ましいが、これに限らず、少なくとも何れか一方が形成されていればよい。
このとき、エアバッグ4の腰保護部10が膨張展開することにより、乗員Aの腰を横方向に押し出して、乗員の腰の保護を図ることができる。
このとき、エアバッグ4は、腰保護部10がシートクッション1aの座面に接触して展開するので、胸腹保護部8は、腰保護部10を介してシートクッション1aから反力を受ける。エアバッグの膨張展開時において、凹部16がシートクッション1aから近い位置にあると、この凹部16に反力による応力集中が発生し易くなり、展開性が悪化するが、本実施形態においては、凹部16が胸腹保護部8の上半分側に形成されており、シートクッション1aから離間した位置にあるので、応力集中を抑制でき、胸腹保護部8の展開性が低下することを防止できる。
さらに、胸腹保護部8においては、上述したように、ガスが上部ベントホール18又はその近傍を通過して下部ベントホール20に流れるので、上部ベントホール18からガスが抜けすぎると胸腹保護部8の下部の高圧化ができなくなるが、本実施形態では、上部ベントホール18からの排出ガス量を少なくしているので、このような問題の発生を防止することができる。
この第3変形例のエアバッグ4は、基本構成が図2に示すエアバッグ4と同様であるので、以下、主に図2のエアバッグ4と異なる構成及び作用効果を説明する。
また、腰保護部10の前縁のうち最も前方に位置する点とシートバック1bの前面との水平離間距離L3よりも、距離L2の方が長くなっている(L3<L2)。
また、この変形例では、ガス流入口14が、図2に示すエアバッグ4のものよりも大径に形成されており、膨張展開時にガスが内部にすばやく供給され、展開時間が短縮化されるように構成されている。
なお、図9に仮想線で示すように、下部ベントホール20を、前縁部下部8cの上端近傍に形成してもよく、さらに双方に形成してもよい。
また、非膨張部12bを迂回したガスは、胸腹保護部8の上部から下部に向かって供給されるが、低ガス圧又は少ガス量の場合には胸腹保護部8の下部の展開が遅れてしまうおそれがある。しかしながら、この変形例では、胸腹保護部8の前縁部上部8bに凹状段部17が形成されたことにより、胸腹保護部8の上側部分の容積が減少しているので、低いガス圧又は少量のガス量であっても、胸腹保護部8全体が、腰保護部10とほぼ同時又はわずかに遅れる程度で良好な展開性ですばやく展開され、乗員の胸部及び腹部を保護することができる。
なお、本変形例では、前縁部上部8bの下端から上端の全体を前縁部下部8cに対して窪んだ状態にしているが、これに限らず、前縁部上部8bの下端から上端の途中までを窪んだ状態にしてもよい。
この第2実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
より具体的には、図14に示されているように、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、いずれも、膨張展開状態を車両の前後方向又は上下方向から見て、胸腹保護部8の表面の前後方向又は上下方向に広がる面の傾斜が比較的大きな部位(図14の二点鎖線よりも外側の領域)に形成されている。
なお、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、何れか一方のみが形成されてもよい。
この第1変形例のエアバッグ4は、基本構成及び側面外形が図14に示すエアバッグ4と同様であるので、以下、図14のエアバッグ4と異なる構成及び作用効果についてのみ説明する。
胸腹保護部8の前側下部8fには、連結部12aの前端部及び腰保護部10よりも前方に突出する円弧状の突出部位8hが設けられている(L2>L3)。下部ベントホール20は、突出部位8hが連結部12aの前端部からシートバック1bの延びる方向とほぼ平行な線を折り畳み線としてシートバック1b側に折り返されたとき、突出部位8hによって完全には塞がれないような位置に形成されている。詳しくは、下部ベントホール20は、前側下部8fの下端近傍で連結部12aの前端周辺に形成されている。
なお、図17に仮想線で示すように、下部ベントホール20を、前側下部8fの上端近傍に形成してもよく、さらに双方に形成してもよい。
この第3実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
1a シートクッション
1b シートバック
2 サイドエアバッグ装置
4 エアバッグ
6 インフレータ
8 胸腹保護部
8a 前縁部
8b 前縁部上部
8c 前縁部下部
8d 膨張領域
8e 前側上部
8f 前側下部
8g 非膨張部
8h 突出部位
9 非連続部
10 腰保護部
12 縫製部
12a 連結部
12b 非膨張部
13 連通領域
14 ガス流入口
16 凹部(膨張抑制部)
17 凹状段部(膨張抑制部)
18,18a,18b,28,38,48 上部ベントホール
20,20a,20b,30,40,50 下部ベントホール
24 非膨張部(膨張抑制部)
32 傾斜が大きな部位
A 大柄な乗員
B 小柄な乗員
Claims (9)
- 車両用シートのシートバックに設けられたサイドエアバッグ装置であって、
エアバッグと、
車両の側突時又は横転時に上記エアバッグにガスを供給してエアバッグを膨張展開させるインフレータと、を有し、
上記エアバッグは、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部を備え、
上記胸腹保護部と上記腰保護部は、少なくとも上記エアバッグの前縁から後方に向かう区画部により区画されるように形成されており、
上記胸腹保護部の上部には、膨張抑制部が形成されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部を車幅方向から見て、その前縁部の上側部分の少なくとも一部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、上記前縁部の下側部分と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも短くなるように形成されている請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部の前縁部に、車幅方向から見て、前縁部上部と前縁部下部の間で後方に窪むように形成された凹部である請求項2記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記胸腹保護部の膨張抑制部は、上記胸腹保護部の前方部の上下方向中間部位に形成された非膨張部である請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、且つ、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、上記膨張抑制部は、上記胸腹保護部の上半分側に形成されている請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記腰保護部は、エアバッグ展開時には、車両用シートのシートクッションの座面に接触するように展開し、上記胸腹保護部と実質的に非連結状態で形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記胸腹保護部は、その前縁部の下部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離が、上記腰保護部の前縁部と車両用シートのシートバック前面との水平離間距離よりも長くなるように形成され、上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、
上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。 - 上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、
上記胸腹保護部下部は、車幅方向から見て、その上下方向の前縁部中央部位が前縁部上下端付近よりも前方に突出するように湾曲形成されており、上記胸腹保護部下部の少なくとも前縁部上端近傍又は前縁部下端近傍には、ベントホールが形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。 - 上記胸腹保護部下部の前縁周辺は、上記胸腹保護部下部の後縁側に畳まれた状態で収納され、上記腰保護部は、上記胸腹保護部と連結され、
上記胸腹保護部の上部前縁近傍と下部前縁近傍に、ベントホールが形成されている請求項2又は4に記載のサイドエアバッグ装置。
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