JP4858762B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
この側突用エアバッグ装置において、車両の側突時や横転時には、ガス発生器(インフレータ)が作動してガスがエアバッグの下室と上室に流入し、各室が膨張し、これにより、エアバッグが座席(シート)の窓側サイドに沿って展開するようになっている。
この側突用エアバッグ装置においては、下室へ上室よりもガスが多量に且つ高圧で供給されるようになっているので、下室が高内圧にて早期に膨張し、乗員の腰を横移動させながら受け止め、上室は下室よりも低内圧にて膨張するので、乗員の上半身をソフトに受け止めることができるようになっている。
さらに、特許文献1の側突用エアバッグ装置においては、上室に一つのベントホールが設けられている。
このサイドエアバッグ装置においても、下部エアバッグ室の内圧は上部エアバッグ室の内圧より高くなっており、下部エアバッグ室の高内圧化及び早期展開がなされている。
さらに、特許文献2のサイドエアバッグ装置においては、上部エアバッグ室及び下部エアバッグ室のそれぞれにベントホールが設けられている。
また、特許文献2に開示された従来のサイドエアバッグ装置においては、上部エアバッグ室及び下部エアバッグ室のそれぞれにベントホールが設けられているが、各エアバッグ室に一つのベントホールを設けただけであるので、各室の圧力調整を確実に行うことはできない。
さらに、特許文献3に開示された従来の側面衝突用エアバッグ装置においては、エアバッグの上方部分には、2つのベントホールが設けられているが、単に上方部分に2つのベントホールを設けただけでは、エアバッグの圧力を均一化するのが困難である。
このように構成された本発明においては、車両の側突時又は横転時には、インフレータからエアバッグにガスが供給されエアバッグが膨張展開して乗員が保護される。また、エアバッグの膨張部には、2つのベントホールである上部ベントホールと下部ベントホールが離間して形成されているので、膨張部の圧力調整ができると共に、膨張部全体の圧力をほぼ均一化することができる。さらに、本発明においては、インフレータからのガスが、上部ベントホール又はその近傍を通過して下部ベントホールに流れるので、保護の要求が大きな乗員の胸部の位置にある膨張部の上部を先ず高圧化できるので、乗員の保護性能が向上する。さらに、上部ベントホールからガスが抜けすぎると膨張部の下部の高圧化ができなくなるが、上部ベントホールからの排出ガス量を少なくしているので、このような問題の発生を防止することができる。
このように構成された本発明においては、乗員の肌の露出度の多い胸(肩や腋を含む)の部分は、露出度の少ない腹の部分に比べて、高温の排出ガスの流出量が少なくなり、その分、乗員への不快感を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、エアバッグの膨張部に凹部が形成されているので、この凹部の分だけ少量のガス量で膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの膨張部には凹部が設けられているので、例えば、小柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの膨張部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。本発明においては、さらに、上部ベントホール及び下部ベントホールの少なくとも一方が、前縁部上部の近傍又は前縁部下部の近傍に形成されているので、エアバッグの膨張部の前部からガスを排気することができ、しかも、前縁部上部の近傍及び前縁部下部の近傍は、膨張時に車幅方向厚みが大きな部位であり、これらの厚みが大きな部位に上部ベントホール及び下部ベントホールの何れか一方が形成されているので、側突時や横転時に、上部ベントホール又は下部ベントホールが潰れてガスが阻害されることを防止できる。
このように構成された本発明においては、エアバッグの膨張部に、非膨張部が形成されているので、この非膨張部の分だけ少量のガス量で膨張部を膨張展開することができるので、大柄な乗員の場合でも、膨張部の必要な上下方向長さを確保でき、乗員の保護性能を向上させることができる。さらに、エアバッグの膨張部に非膨張部が設けられているので、例えば、小柄な乗員の場合には、その上腕部が、エアバッグ展開時に、エアバッグの膨張部により車幅方向内側に押されることを防止することができる。本発明においては、さらに、上部ベントホール及び下部ベントホールの少なくとも一方が、非膨張部の上方に位置する前側上部又は下方に位置する前側下部に形成されているので、エアバッグの膨張部の前部からガスを排気することができ、しかも、前側上部及び前側下部は、膨張時に車幅方向厚みが大きな部位であり、これらの厚みが大きな部位に上部ベントホール及び下部ベントホールの何れか一方が形成されているので、側突時や横転時に、上部ベントホール又は下部ベントホールが潰れてガスが阻害されることを防止できる。
このように構成された本発明においては、エアバッグの胸腹保護部が膨張展開して乗員の胸と腹を保護すると共に、腰保護部が膨張展開して、乗員の腰を横方向に押し出して、乗員の腰を保護する。また、腰保護部は、腰を車幅方向に移動させるために高圧状態に保持する必要があるが、腰保護部にはベントホールは形成されず、且つ、胸腹保護部と腰保護部はインフレータのガス流入口の周辺で主に連通しているので、腰保護部を高圧状態に保持することが可能である。さらに、胸腹保護部に形成された上部ベントホールのガス排出量が少ないので、腰保護部の上部ベントホールによる腰保護部の高圧化への影響は少ない。
先ず、図1乃至図8により、本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置を説明する。
図1は本発明の第1実施形態によるサイドエアバッグ装置が展開膨張した状態を示す車幅方向から見た図であり、図2は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す側面図であり、図3は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す平面図であり、図4は図1のサイドエアバッグ装置のエアバッグを示す正面図である。
ここでは、車両用シート1に着座する乗員の体格は種々なものであるが、ここでは、代表例として、乗員A及び乗員Bの場合を説明する。乗員Aは、米国の連邦規制基準CRF49ch.5でAM50と呼ばれる米国成人男性のうちの平均的な体型の乗員に相当する乗員を示し、一方、乗員Bは、この米国基準でAF05と呼ばれる米国成人女性のうちの最も小柄から5%目の人の平均的な体型の乗員に相当する乗員を示している。
また、胸腹保護部8と腰保護部10とは、縫製部12の一部である連結部12aにより、連結され、一体的に膨張展開するようになっている。また、連結部12aの最後端部には、縫製部12の一部である非膨張部12bが形成され、その部位が破断しないように強度を向上させている。
ここで、胸腹保護部8と腰保護部10は、それぞれの上方部で連通領域13において連通しており、その連通領域13の後方近傍に位置する腰保護部10の部位には、ガス流入口14が形成され、このガス流入口14がインフレータ6のガス噴出口(図示せず)に接続されている。
なお、本実施形態においては、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、両方が形成されていることが好ましいが、これに限らず、少なくとも何れか一方が形成されていればよい。
このとき、エアバッグ4の腰保護部10が膨張展開することにより、乗員Aの腰を横方向に押し出して、乗員の腰の保護を図ることができる。
このとき、エアバッグ4は、腰保護部10がシートクッション1aの座面に接触して展開するので、胸腹保護部8は、腰保護部10を介してシートクッション1aから反力を受ける。エアバッグの膨張展開時において、凹部16がシートクッション1aから近い位置にあると、この凹部16に反力による応力集中が発生し易くなり、展開性が悪化するが、本実施形態においては、凹部16が胸腹保護部10の上半分側に形成されており、シートクッション1aから離間した位置にあるので、応力集中を抑制でき、胸腹保護部8の展開性が低下することを防止できる。
さらに、胸腹保護部8においては、上述したように、ガスが上部ベントホール18又はその近傍を通過して下部ベントホール20に流れるので、上部ベントホール18からガスが抜けすぎると胸腹保護部8の下部の高圧化ができなくなるが、本実施形態では、上部ベントホール18からの排出ガス量を少なくしているので、このような問題の発生を防止することができる。
この第2実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
より具体的には、図10に示されているように、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、いずれも、膨張展開状態を車両の前後方向又は上下方向から見て、胸腹保護部8の表面の前後方向又は上下方向に広がる面の傾斜が比較的大きな部位(図10の二点鎖線よりも外側の領域)に形成されている。
なお、上部ベントホール18及び下部ベントホール20は、何れか一方のみが形成されてもよい。
この第3実施形態は、基本構成は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、以下、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
1a シートクッション
1b シートバック
2 サイドエアバッグ装置
4 エアバッグ
6 インフレータ
8 胸腹保護部
8a 前縁部
8b 前縁部上部
8c 前縁部下部
8d 膨張領域
8e 前側上部
8f 前側下部
8g 非膨張部
9 非連続部
12 縫製部
12a 連結部
12b 非膨張部
13 連通領域
14 ガス流入口
16 凹部(膨張抑制部)
18,28,38,48 上部ベントホール
20,30,40,50 下部ベントホール
24 非膨張部(膨張抑制部)
32 傾斜が大きな部位
A 大柄な乗員
B 小柄な乗員
Claims (5)
- 車両用シートのシートバックに設けられたサイドエアバッグ装置であって、
膨張部を備えたエアバッグと、
車両の側突時又は横転時に上記エアバッグにガスを供給してエアバッグを膨張展開させるインフレータと、を有し、
上記エアバッグの膨張部は、膨張展開状態を車幅方向から見て、その上部に形成された上部ベントホールと、この上部ベントホールから離間して、その下部に形成された下部ベントホールと、上記インフレータから供給されるガス流を導入するガス流入口を備え、更に、上記膨張部は、ガス流入口から流入したガスが、上記上部ベントホール又はその近傍を通過して、上記下部ベントホールに流れるように形成されているサイドエアバッグ装置。 - 上記上部ベントホールは、その排出ガス量が、上記下部ベントホールよりも少なくなるように形成されている請求項1記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記膨張部は、その前縁部に、車幅方向から見て、前縁部上部と前縁部下部との間で所定の乗員の上腕部に対応する部位又はその近傍に後方に窪んだ凹部が形成され、
上記上部ベントホール及び下部ベントホールの少なくとも一方が、上記前縁部上部の近傍又は前縁部下部の近傍に形成されている請求項1又は請求項2記載のサイドエアバッグ装置。 - 上記膨張部は、その前方部の所定の乗員の上腕部に対応する部位又はその近傍に、その周囲が膨張領域に囲まれた非膨張部が形成され、上記上部ベントホール及び下部ベントホールの少なくとも一方が、上記非膨張部の上方に位置する前側上部又は下方に位置する前側下部に形成されている請求項1又は請求項2記載のサイドエアバッグ装置。
- 上記エアバッグの膨張部は、膨張展開状態を車幅方向から見て、シートに着座した乗員の胸及び腹を保護するように膨張する胸腹保護部、及び、乗員の腰を保護するように膨張する腰保護部を含み、上記上部ベントホール及び下部ベントホールは、上記胸腹保護部に形成され、上記腰保護部にはベントホールは形成されず、上記胸腹保護部及び腰保護部は、上記インフレータのガス流入口の周辺で主に連通している請求項1又は請求項2記載のサイドエアバッグ装置。
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2006
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