JP2008005732A - 光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種の微生物、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第2工程により、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製造する。該光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを閉環し、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造する。
【選択図】なし
Description
(1)特定微生物が、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールに対して、立体選択的な分解能を有しており、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する。
(2)得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールからアルカリ存在下による閉環反応により、容易に光学純度を落とすことなく光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを製造できる。
本発明の光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法は、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物(CAS No.42151−64−4)に作用して立体選択的な分解反応により2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体の残存させうる能力を有する微生物(以下、「本発明の微生物」ということもある)、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第二工程及び、得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの閉環反応によって光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを得る工程を含む方法である。
2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物は特に限定されないが、例えば、メタリルクロライド(3−クロロ−2−メチル−1−プロペン)と塩素ガス水溶液を反応させた後、蒸留や各種クロマトグラフィーを行うことにより得ることができる。
本発明に使用する微生物は、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用し、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを残存させる能力を有する限り、特に限定されない。
第1の工程においては、微生物又はその処理物を使用する。「微生物の処理物」には、菌体破砕物、菌体から抽出された酵素などが含まれる。微生物およびその処理物は固定化したものであってもよい。
この様にして得られた反応液中に残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールは一般的な方法で回収および精製できる。例えば、反応液から菌体を遠心分離等で除いた後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸エチル等の溶媒で抽出する。次いで抽出液を無水硫酸マグネシウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去し光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのシロップを得ることができる。さらに精製するために、抽出、蒸留、各種クロマトグラフィーなどを行ってもよい。
ペプトン10g/L、酵母エキス10g/L、グリセリン10g/Lからなる組成の培地3L(pH7.0)を、5L容のジャーファメンターに入れ、121℃で15分間、加圧蒸気滅菌した。次いで、あらかじめ同培地で生育させたシュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株を100ml加え、30℃、500rpmで24時間培養を行った。得られた培養液から遠心操作により、菌体を回収した。菌体を3Lの20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁した。懸濁液にラセミ体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを0.5%(v/v)とCaCO3を1.0%とを加え、30℃、500rpmで24時間反応させた。反応液中に残存する2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールをガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製のカラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で分析した結果、残存率は29.8%であった。反応終了後、反応液を取り出し、遠心操作により菌体を除去し、上清液を得た。この上清液をエバポレーターで濃縮し、エーテルにより抽出した。続いて無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下でエーテルを除去し、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのシロップを得た。
得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの光学異性体を水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルエピクロルヒドリンの光学異性体に変換した。ラセミ体2−メチルエピクロルヒドリン及び本反応により得た2−メチルエピクロルヒドリンを2%(v/v)となるようにヘキサンに溶解し、アステック社製のキャピラリーカラムG−TA(0.25mm(ID)x30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。その結果、98%e.e.以上であった。
分析条件
カラム温度:45℃
検出器温度:200℃
キャリアーガス:窒素
検出器:FID
スプリット比:100/1
R体及びS体の同定は、本反応で得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを、水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルエピクロルヒドリンに変換した後、加水分解し3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを含む水溶液を得た。得られた3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオール水溶液をエバポレーターで濃縮し、エーテルにより抽出した。続いて無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下でエーテルを除去し、3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールのシロップを得た。得られた3−クロロ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを水酸化ナトリウム水溶液を用いたアルカリ処理により相当する2−メチルグリシドールに変換した。これを、アステック社製のキャピラリーカラムA−PH[(0.25mm(ID)x30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。
分析条件
カラム温度:45℃
検出器温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:FID
スプリット比,130/1
2-メチルグリシドール R体
以上の結果から、本反応で得られた2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールは光学純度が98%e.e.以上のS体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールであった。
Claims (6)
- 2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体またはS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種の微生物、又はその処理物を2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用させる第1の工程と、残存する光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを分取する第2工程とを含む、光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールの製造方法。
- 微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのS体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのS体である請求項1に記載の方法。
- シュードモナス属に属する微生物がシュードモナス(Pseudomonas)sp.OS−K−29株(国際寄託番号:FERM BP−994)である請求項2に記載の方法
- 微生物が2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのエナンチオマー混合物に作用して、2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールのR体を残存させうる能力を有する少なくとも1種のアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物であり、光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールがそのR体である請求項1に記載の方法。
- アルカリゲネス属に属する微生物がアルカリゲネス(Alcaligenes)sp.DS−K−S38株(国際寄託番号:FERM BP−3101)である請求項4に記載の方法
- 請求項1記載の方法により得られた光学活性体2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールを閉環し、光学活性体2−メチルエピクロルヒドリンを合成、回収する方法。
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JPH03180196A (ja) * | 1989-12-08 | 1991-08-06 | Daiso Co Ltd | 光学活性エピクロルヒドリンの製法 |
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2006
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