JPH0667320B2 - D−パントラクトンの製造法 - Google Patents
D−パントラクトンの製造法Info
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- JPH0667320B2 JPH0667320B2 JP13795186A JP13795186A JPH0667320B2 JP H0667320 B2 JPH0667320 B2 JP H0667320B2 JP 13795186 A JP13795186 A JP 13795186A JP 13795186 A JP13795186 A JP 13795186A JP H0667320 B2 JPH0667320 B2 JP H0667320B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はパントテン酸、コエンザイムA(CoA)等の重
要な合成中間体であるD−パントラクトンの製造法に関
する。
要な合成中間体であるD−パントラクトンの製造法に関
する。
(従来の技術) 従来、D−パントラクトンは化学的に合成されたDL−パ
ントラクトンを光学分割することにより製造されてい
る。しかしながらこの分割にはキニーネ、ブルシン等の
高価な有機塩基が必要であり、その回収も容易でない等
の欠点を有していた。
ントラクトンを光学分割することにより製造されてい
る。しかしながらこの分割にはキニーネ、ブルシン等の
高価な有機塩基が必要であり、その回収も容易でない等
の欠点を有していた。
一方、ラセミパントラクトンの生化学的分割法としては
特公昭47−19745号公報、特開昭57−152895号公報記載
の方法がある。前者は微生物の作用によりL−パントラ
クトンを完全に消化させることによりD−パントラクト
ンを収得するものであり、基質の半量が損失するという
欠点を有する。
特公昭47−19745号公報、特開昭57−152895号公報記載
の方法がある。前者は微生物の作用によりL−パントラ
クトンを完全に消化させることによりD−パントラクト
ンを収得するものであり、基質の半量が損失するという
欠点を有する。
後者はラセミ体にロドトルラ(Rhodotorula)属に属す
る微生物を作用させ特異的にL−体のみを加水分解させ
D−体を分離収得する方法である。後者の方法は、加水
分解物であるL−パント酸をラセミル化処理し、基質と
して再利用することにより収率よくD−パントラクトン
を得ることができる。
る微生物を作用させ特異的にL−体のみを加水分解させ
D−体を分離収得する方法である。後者の方法は、加水
分解物であるL−パント酸をラセミル化処理し、基質と
して再利用することにより収率よくD−パントラクトン
を得ることができる。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、後者で利用している微生物は工業的に利用でき
るほど加水分解能力は高くなく、反応速度も遅いという
欠点がある。
るほど加水分解能力は高くなく、反応速度も遅いという
欠点がある。
(問題点を解決するための手段) そこで本発明者は、ラセミパントラクトンから特異的に
L−体のみを加水分解させる微生物のスクリーニングに
ついて鋭意検討を加えた結果、スポリデイオボルス(Sp
oridiobolus)属及びステリグマトマイセス(Sterigmat
omyces)属に属する微生物が優れた加水分解を有するこ
とを見だし本発明を完成するに至った。
L−体のみを加水分解させる微生物のスクリーニングに
ついて鋭意検討を加えた結果、スポリデイオボルス(Sp
oridiobolus)属及びステリグマトマイセス(Sterigmat
omyces)属に属する微生物が優れた加水分解を有するこ
とを見だし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨はDL−パントラクトンに、スポ
リデイオボルス(Sporidiobolus)属又はステリグマト
マイセス(Sterigmatomyces)属に属する微生物の加水
分解酵素を作用させることを特徴とする、D−パントラ
クトンの製造法に存する。
リデイオボルス(Sporidiobolus)属又はステリグマト
マイセス(Sterigmatomyces)属に属する微生物の加水
分解酵素を作用させることを特徴とする、D−パントラ
クトンの製造法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における微生物はスポリデイオボルス属又はステ
リグマトマイセス属に属するものであればいずれでも有
用である。
リグマトマイセス属に属するものであればいずれでも有
用である。
その代表例としては、スポリデイオボルス・ジヨンソニ
ー(Sporidiobolus Johnsonii)IFO 6903及びステリグ
マトマイセス・エルビエ(Sterigmatomyces elviae)IF
O 1843が挙げられる。
ー(Sporidiobolus Johnsonii)IFO 6903及びステリグ
マトマイセス・エルビエ(Sterigmatomyces elviae)IF
O 1843が挙げられる。
本発明において、DL−パントラクトンに前記微生物の加
水分解酵素を作用させる方法としては、液体培地に菌株
を培養した培養物、培養液から分離した菌体、あるいは
菌体又は培養物を処理して得られる乾燥菌体もしくは固
体化菌体ならびに酵素液又は、固定化酵素等のいずれの
形態でも用いることができる。
水分解酵素を作用させる方法としては、液体培地に菌株
を培養した培養物、培養液から分離した菌体、あるいは
菌体又は培養物を処理して得られる乾燥菌体もしくは固
体化菌体ならびに酵素液又は、固定化酵素等のいずれの
形態でも用いることができる。
培養に際して使用される培地は、特に制限されない。炭
素源としては、種々の炭水化物、有機酸等が挙げられ、
窒素源としては、有機アンモニウム塩、無機アンモニウ
ム塩、尿素等を用いることができる。また、必要に応
じ、無機物として、各種リン酸塩、マグネシウム塩等を
使用することができ、必要に応じ各種有機栄養物を添加
することもできる。
素源としては、種々の炭水化物、有機酸等が挙げられ、
窒素源としては、有機アンモニウム塩、無機アンモニウ
ム塩、尿素等を用いることができる。また、必要に応
じ、無機物として、各種リン酸塩、マグネシウム塩等を
使用することができ、必要に応じ各種有機栄養物を添加
することもできる。
培養は通常12時間〜7日間程度、好気的条件下に行なわ
れる。培地のpHは3〜10、温度は20〜40℃程度から選ば
れる。
れる。培地のpHは3〜10、温度は20〜40℃程度から選ば
れる。
反応は回分、半回分、又は連続のいずれでも行うことが
できる。反応に際しては、通常ラセミパントラクトン濃
度が10〜300g/程度が採用される。反応温度は通常、
10〜50℃、pHは3〜7.5程度から選ばれる。pHの保持に
はリン酸緩衝液等通常使用される緩衝液及びKOH,NaOH等
のアルカリ及びCaCO3等の添加により保持される。反応
時間は反応条件等により異なるが、通常、回分式の場合
は、数時間〜3日間程度から選ばれる。反応終了後、D
−パントラクトンは分別晶析、溶媒抽出などの操作で分
離取得することができる。反応液に残つたL−パント酸
は、酸性条件下に加熱してL−パントラクトンとした
後、溶媒抽出等により回収される。このL−パントラク
トンは常法によりラセミ化した後回収することもでき
る。
できる。反応に際しては、通常ラセミパントラクトン濃
度が10〜300g/程度が採用される。反応温度は通常、
10〜50℃、pHは3〜7.5程度から選ばれる。pHの保持に
はリン酸緩衝液等通常使用される緩衝液及びKOH,NaOH等
のアルカリ及びCaCO3等の添加により保持される。反応
時間は反応条件等により異なるが、通常、回分式の場合
は、数時間〜3日間程度から選ばれる。反応終了後、D
−パントラクトンは分別晶析、溶媒抽出などの操作で分
離取得することができる。反応液に残つたL−パント酸
は、酸性条件下に加熱してL−パントラクトンとした
後、溶媒抽出等により回収される。このL−パントラク
トンは常法によりラセミ化した後回収することもでき
る。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定
されるものではない。
本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定
されるものではない。
実施例1 下記組成の培地500mlの入つた200ml三角フラスコを用い
てスポリデイオボルス・ジヨンソニー(Sporidiobolus
Johnsonii)IFO 6903を28℃で36時間培養した。
てスポリデイオボルス・ジヨンソニー(Sporidiobolus
Johnsonii)IFO 6903を28℃で36時間培養した。
培地:グルコース 10g ペプトン 5g 酵母エキス 5g コーンステイープリカー 5g 水 1000ml (pH 65) 培養後、遠心分離により集菌した。蒸留水で1回洗浄
後、DL−パントラクトン2.0gを加え蒸留水で50mlとし、
0.3N NaOHを滴下することによりpHコントロール(pH6.5
〜7.0)しながら30℃で24hr反応を行つた。
後、DL−パントラクトン2.0gを加え蒸留水で50mlとし、
0.3N NaOHを滴下することによりpHコントロール(pH6.5
〜7.0)しながら30℃で24hr反応を行つた。
反応液から遠心分離によつて菌体を除去した後、ベンゼ
ン20mlを用いて抽出し、抽出後からベンゼンを減圧留去
し、D−パントラクトン825mgを得た。一方抽残液を塩
酸でpH2.0に調整し、100℃で10分間加熱処理した後、ベ
ンゼン200mlを用いて抽出し、L−パントラクトン960mg
を得た。
ン20mlを用いて抽出し、抽出後からベンゼンを減圧留去
し、D−パントラクトン825mgを得た。一方抽残液を塩
酸でpH2.0に調整し、100℃で10分間加熱処理した後、ベ
ンゼン200mlを用いて抽出し、L−パントラクトン960mg
を得た。
なお、D及びL−パントラクトンの分析はガスクロマト
グラフイーを用いて行なつた。(Anal.Biochem.,112 9
〜16(1981)記載) 実施例2 実施例1と同様にスポリデイオボルス・ジヨンソニー
(Sporidiobolus Johnsonii)IFO 6903を培養した。
グラフイーを用いて行なつた。(Anal.Biochem.,112 9
〜16(1981)記載) 実施例2 実施例1と同様にスポリデイオボルス・ジヨンソニー
(Sporidiobolus Johnsonii)IFO 6903を培養した。
次に、反応液をNaOHでpHコントロールする代りに0.5Mの
リン酸緩衝液を用いて反応させる以外は実施例1と同様
に反応及び後処理を行なつた。その結果、D−パントラ
クトン700mgを得た。
リン酸緩衝液を用いて反応させる以外は実施例1と同様
に反応及び後処理を行なつた。その結果、D−パントラ
クトン700mgを得た。
次に一度反応に使用した菌体を一度蒸留水で水洗後新た
に同様の反応液を加え24時間同様に反応させ、後処理を
行つた。その結果、D−パントラクトンを680mg得た。
に同様の反応液を加え24時間同様に反応させ、後処理を
行つた。その結果、D−パントラクトンを680mg得た。
実施例3 菌株をステリグマトマイセス・エルビエ(Sterigmatomy
ces elviae)IFO 1843に代える以外は実施例1と同様に
培養、反応、後処理を行なつた。その結果、D−パント
ラクトン780mg、L−パントラクトン900mgを得た。
ces elviae)IFO 1843に代える以外は実施例1と同様に
培養、反応、後処理を行なつた。その結果、D−パント
ラクトン780mg、L−パントラクトン900mgを得た。
(発明の効果) 本発明方法によれば、DL−パントラクトンよりD−パン
トラクトンを効率よく得ることができる。
トラクトンを効率よく得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】DL−パントラクトンに、スポリデイオボル
ス(Sporidiobolus)属又はステリグマトマイセス(Ste
rigmatomyces)属に属する微生物の加水分解酵素を作用
させることを特徴とする、D−パントラクトンの製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13795186A JPH0667320B2 (ja) | 1986-06-13 | 1986-06-13 | D−パントラクトンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13795186A JPH0667320B2 (ja) | 1986-06-13 | 1986-06-13 | D−パントラクトンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62294092A JPS62294092A (ja) | 1987-12-21 |
JPH0667320B2 true JPH0667320B2 (ja) | 1994-08-31 |
Family
ID=15210525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13795186A Expired - Fee Related JPH0667320B2 (ja) | 1986-06-13 | 1986-06-13 | D−パントラクトンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0667320B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2844354B2 (ja) * | 1989-08-03 | 1999-01-06 | 富士薬品工業株式会社 | D―パントラクトンの製造法 |
JP3011449B2 (ja) * | 1990-10-05 | 2000-02-21 | 富士薬品工業株式会社 | D―パントラクトン加水分解酵素およびその製造法 |
RU2218405C2 (ru) * | 1995-09-13 | 2003-12-10 | Дайити Файн Кемикал Ко., Лтд. | Белок, обладающий активностью d-пантолактонгидролазы, нуклеиновая кислота, его кодирующая, вектор, штамм, способ получения белка, способ получения d-пантолактона |
AU751921B2 (en) * | 1995-09-13 | 2002-08-29 | Daiichi Fine Chemical Co., Ltd. | D-pantolactone hydrolase and gene encoding the same |
MXPA02003417A (es) * | 1999-10-29 | 2002-08-20 | Basf Ag | L-pantolactona-hidrolasa y un procedimiento para la obtencion de d-pantolactona. |
-
1986
- 1986-06-13 JP JP13795186A patent/JPH0667320B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62294092A (ja) | 1987-12-21 |
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