JP2008001848A - 液晶性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導電性の領域から高い導電性の領域まで導電性のバラツキが少なく、かつ高い流動性を有し、更に成形品外観に優れる液晶性樹脂組成物、液晶性樹脂マスターバッチ、及びそれを用いた液晶性樹脂成形品を提供する。
【解決手段】本発明の液晶性組成物は、(a1)融点が250℃〜350℃、及び(a2)前記融点より20℃高い温度、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が1〜80Pa・s、を満たす液晶性樹脂(A)100重量部に対して、繊維外径が10〜500nm、アスペクト比が5〜1000の気相法炭素繊維(B)0.5〜40重量部を含有する。この液晶性樹脂組成物を例えばマスターバッチ化して、必要に応じて他の熱可塑性樹脂(C)を加えて成形品を得ることができる。この場合、両者の溶融粘度が近くすることで分散性、導電性に優れる成形品が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性樹脂組成物、液晶性樹脂マスターバッチ、及びこれらを用いた導電性の液晶性樹脂成形品に関する。更に詳しくは、本発明は、高導電化に有用なマトリックス樹脂と導電性物質とを含む導電性樹脂成形品に関する。
近年のエレクトロニクス、電気化学、エネルギー、輸送機器等の分野における導電性材料の用途の多様化に伴い、導電性材料の一種たる導電性樹脂成形品が開発されている。一般に、合成樹脂は帯電しやすい為、塵やほこりが付着しやすい。この対策として、樹脂に導電性物質を分散させ、導電性や帯電防止性を付与することが行われている。
導電性の樹脂組成物に用いられる代表的な導電性物質としては、炭素繊維や金属繊維、導電性カーボンブラックが挙げられ、これらを配合した樹脂は、電気電子部品をはじめとする導電性や帯電防止性が要求される産業分野で広く使われている。しかしながら、本来絶縁性である樹脂に導電性を付与するには、多量の導電性物質を配合する必要があり、そのため、樹脂本来の機械的強度、耐熱性、寸法安定性及び成形性(流動性)が低下し、成形品外観が損なわれるといった基本的な問題がある。
更に、導電性物質を均一に分散させないと、得られた成形体の導電性に著しいバラツキが生じる。また、近年では部品の薄肉化、軽量化が進み、より少ない量で導電性を発現し、流動性や機械的強度の低下を抑えた樹脂が求められている。このように、導電性樹脂成形品においては、より少量の添加で均一な導電性を得ることが重要な課題となっている。
これらの問題を解決する方法として、導電性物質側からのアプローチとして、下記の特許文献1では、従来のカーボンブラックなどに代わり、炭素フィブリル材料を添加することによって、成形品の表面外観を改良している。また、下記の特許文献2では、気相法炭素繊維と制電ポリマーにより、機械特性を改善している。更に、下記の特許文献3では、炭素繊維と気相法炭素繊維と併用することにより機械特性を改善している。しかしながら、これらの炭素系材料は嵩比重が非常に小さいため、フィードネックを生じ、樹脂中に所望の添加量を配合することが困難であるといった製造上の問題点がある。
一方、マトリックス樹脂側から見ると、液晶性ポリエステル樹脂に代表される液晶性樹脂は、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性(流動性)等をバランス良く有するため高機能エンジニアリングプラスチックとして電気・電子分野を中心に広く利用されている。しかしながら、液晶性樹脂はカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性物質との濡れ性が悪いため、これらの微細フィラーを高濃度添加することは困難である上、分散不良が著しく、液晶性樹脂本来の機械的強度、耐熱性、寸法安定性、成形性(流動性)を大きく損なうという問題があった。更にプロセス温度が高いため、制電ポリマーの添加は困難であった。
特開平07−102112号公報 特開2000−248186号公報 特開2003−12939号公報
このように、従来、液晶性樹脂のエンジニアリングプラスチックとしての物性を生かしつつ、そこに均一な導電性を付与することが試みられてきたものの、その両立を達成することはできなかった。
具体的には、従来の導電性物質を含有する液晶性樹脂組成物、及びその成形品においては、成形後の高い導電性を発現させるため、導電性物質の充填量を大幅に増やす必要がある。しかし、これにより樹脂組成物の流動性が著しく劣り、成形性を著しく悪化させるという問題があった。更に、導電性が著しくばらつくという問題があった。また、導電性物質を高充填した結果、成形品外観が悪化するという問題もあった。
よって、本発明の目的は、半導電性の領域から高い導電性の領域まで導電性のバラツキが少なく、かつ高い流動性を有し、更に成形品外観にも優れる樹脂組成物、及びその形成品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の粘度を有する液晶性樹脂に、特定の気相法炭素繊維を複合化することによって、成形品外観に優れ、導電性のバラツキが少なく、かつ高い導電性と流動性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 下記(a1)かつ(a2)を満たす液晶性樹脂(A)100重量部に対して、繊維外径が10〜500nm、アスペクト比が5〜1000の気相法炭素繊維(B)0.5〜40重量部を含有する液晶性樹脂組成物。
(a1)融点が250℃〜350℃
(a2)前記融点より20℃高い温度、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が1〜80Pa・s
(1)の発明によれば、所定の繊維外径及びアスペクト比を有する、いわゆる気相法炭素繊維(VGCF)を導電性物質として用いる。このVGCFは、通常のカーボンファイバー(CF)に比べて繊維外径、繊維長ともに小さい。また、繊維同士の構造は、CFが直線状なのに比べて、VGCFは弓、屈曲状などの非直線状構造を有する点に特徴がある。このため、VGCFを折らずに樹脂中に分散できれば、VGCFの非直線性により、VGCF間の接触確率が向上することで、従来より少量の添加で均一な導電性が期待できる。しかしながら、VGCFは、このような非直線状構造を有するが故に、逆に樹脂中への溶融混練によって、その非直線状構造が破壊されてしまう。このため、従来、樹脂中に均一分散させ、かつ均一な導電性を発揮させることができなかった。
ここで、本発明者等は、液晶性樹脂のもつ低い溶融粘度に着目し、所定の低粘度範囲の液晶性樹脂に、所定の繊維外径及びアスペクト比を有するVGCFを添加することによって、VGCFの非直線状構造を大きく破壊せずに樹脂中に分散でき、結果として少量で均一な分散を可能とすることに成功した。
(2) 前記液晶性樹脂(A)は、構成モノマー単位として、4−ヒドロキシ安息香酸と、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を少なくとも含む(1)記載の液晶性樹脂組成物。
(2)の発明によれば、構成モノマー単位として、4−ヒドロキシ安息香酸と、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を少なくとも含む液晶性樹脂(A)は、上記の所定の低粘度範囲の液晶性樹脂として好ましく用いられる。ここで、「少なくとも含む」とは、他の構成モノマー単位を含んでもよいことを意味し、これにより溶融粘度の範囲を調節することが可能となる。このような液晶性樹脂としては、例えば「ベクトラ」(商品名:ポリプラスチックス株式会社製)が例示できるが、本発明に用いられる液晶性樹脂は上記の融点及び溶融粘度範囲を有していれば特に限定されない。なお、本発明における液晶性樹脂の定義及び具体例については後に詳述する。
(3) 前記液晶性樹脂(A)は、融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含む請求項(1)又は(2)記載の液晶性樹脂組成物。
(3)の発明によれば、液晶性樹脂(A)のなかでも、液晶性樹脂(A1)は、更に、低溶融粘度である。このため、更にVGCFの非直線状構造を破壊することなく、樹脂中に分散できる。
(4) 前記気相法炭素繊維(B)の繊維外径が30〜200nm、アスペクト比が20〜500である(1)から(3)いずれか記載の液晶性樹脂組成物。更に好ましくは、前記気相法炭素繊維(B)の繊維外径が70〜180nmである(1)から(3)いずれか記載の液晶性樹脂組成物。
(4)の発明によれば、VGCFの繊維外径及びアスペクト比を上記範囲内とすることで、更にVGCFの分散性を向上できる。
(5) 前記気相法炭素繊維(B)が中空構造を有し、BET比表面積が2〜250m/g、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm−1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm−1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜2.0である(1)から(4)いずれか記載の液晶性樹脂組成物。
(5)の発明によれば、更にVGCFの樹脂中への分散性を向上できる。また、通常のカーボンナノチューブとの区別がより明確になる。
(6)請求項1から5記載の液晶性樹脂組成物からなる成形品であって、表面抵抗率が1012Ω/□未満であり、かつ、その最大値と最小値の対数差が3未満である液晶性樹脂成形品。
(6)の発明によれば、本発明の液晶性樹脂成形品は、極めて低く、かつ、均一な表面抵抗率が得られるので、導電性樹脂成形品として優れた性能を有する。
(7) (1)から(5)いずれか記載の液晶性樹脂組成物を溶融混練してなる液晶性樹脂マスターバッチ。
(7)の発明によれば、液晶性樹脂中にVGCFを適量コンパウンドしてマスターバッチ(MB)とすることにより、VGCFの非直線状構造を維持した状態でハンドリングでき、最終成形品におけるVGCF濃度の希釈調整や、後述する他の熱可塑性樹脂(C)とのコンパウンドによる複合化にも便利である。特に、なお、MB中のVGCF濃度は適宜設定可能であるが、好ましくは5〜40質量%である。
(8) 融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含む(7)記載の液晶性樹脂マスターバッチ。
(8)の発明によれば、液晶性樹脂(A)のなかでも、液晶性樹脂(A1)は、更に、低溶融粘度である。このため、更にVGCFの非直線状構造を破壊することなく、MB化することができる。
(9) 溶融混練した際の気相法炭素繊維(B)の破断割合が50%以下である請求項(8)記載の液晶性樹脂マスターバッチ。
(9)の発明によれば、気相法炭素繊維(B)の破断割合が50%以下であることにより、気相炭素繊維間の接触が容易になり、少量の気相炭素繊維の添加による導電性の向上が可能となる。
(10) (7)又は(8)記載の液晶性樹脂マスターバッチと、熱可塑性樹脂(C)と、を溶融混練して成形してなる液晶性樹脂成形品。
(10)の発明によれば、上記の液晶性樹脂マスターバッチによってVGCFの非直線状構造は破壊することなくMB化されている。このため、このMBと他の熱可塑性樹脂(C)とを溶融混練する際にも、VGCFの分枝構造の破壊が少ない。これにより、導電性のばらつきを小さく抑えることができる。
(11) 前記液晶性樹脂マスターバッチは、融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含み、前記熱可塑性樹脂(C)は、融点が250℃〜350℃であり、前記溶融粘度が30〜80Pa・sである液晶性樹脂(C1)を含む(10)記載の液晶性樹脂成形品。
(11)の発明によれば、液晶性樹脂(A1)の溶融粘度が、液晶性樹脂(C1)より低い状態となっている。しかしながら、液晶性樹脂(A1)をMB化する段階で溶融粘度が上昇し、液晶性樹脂(C1)の溶融粘度に近づく(この場合、MBの溶融粘度は、熱可塑性樹脂(C)よりやや高くなる)。これによって、上記のように、MBと熱可塑性樹脂(C)とを溶融混練する際にもVGCFの分散性が向上する。
そして、液晶性樹脂(A1)と液晶性樹脂(C1)は共に液晶性樹脂であるが、その組成は若干異なっている。このように、溶融粘度の低い液晶性樹脂(A1)と、それより若干高い溶融粘度の液晶性樹脂(C1)を組み合わせることで、両方の液晶性樹脂同士は、ある程度非相溶な2相系となる。更に、両者の溶融粘度の微妙な差(MBの溶融粘度が熱可塑性樹脂(C)よりやや高くなる状態)によって、液晶性樹脂(C1)の表面に液晶性樹脂(A1)が存在しているような状態となる。その結果ばらつきの少ない導電性が得られるものと推定される。
(12) 前記液晶性樹脂成形品の表面抵抗率が1012Ω未満であり、かつ、その最大値と最小値の対数差が3未満である(10)又は(11)いずれか記載の液晶性樹脂成形品。
(12)の発明によれば、本発明の液晶性樹脂成形品は、極めて低く、かつ、均一な表面抵抗率が得られるので、導電性樹脂成形品として優れた性能を有する。
本発明によれば、導電性のバラツキが少なく、かつ高い導電性と流動性を有し、更に成形品外観に優れる樹脂組成物を提供することができる。したがって、本発明の液晶性樹脂成形品は、種々の電気部品、電子部品、光学部品などに好適に用いられる。
<液晶性樹脂組成物>
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本発明の液晶性樹脂組成物は、下記(a1)かつ(a2)を満たす液晶性樹脂(A)100重量部に対して、繊維外径が10〜500nm、アスペクト比が5〜1000の気相法炭素繊維(B)0.5〜40重量部を含有する液晶性樹脂組成物である。
(a1)融点が250℃〜350℃
(a2)前記融点より20℃高い温度、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が1〜80Pa・s
以下、それぞれの構成について説明する。
<<液晶性樹脂(A)>>
本発明における液晶性樹脂(A)は、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指し、溶融状態で剪断応力を受けることによりポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を有している。このようなポリマー分子は、一般に細長く、偏平で、分子の長軸に沿ってかなり剛性が高く、普通は同軸又は平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有しているようなポリマーである。
異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することが出来る。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明が適用できる液晶性樹脂は直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
このような液晶性樹脂としては、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。
本発明に適用できる液晶性樹脂としての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとして特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドである。
具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド、などが挙げられる。更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
本発明に適用できる前記液晶性樹脂を構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式[1]及び下記一般式[2]で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び下記一般式[3]で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール,p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
Figure 2008001848
上記の液晶性樹脂(A)は、その溶融粘度がVGCFの非直線状構造を壊さない程度の低い溶融粘度である必要がある。その条件は下記の融点及び溶融粘度である。(a1)融点が250℃〜350℃、(a2)前記融点より20℃高い温度、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が1〜80Pa・s。より好ましくは、融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)である。
溶融粘度が80Pa・sを超えると、せん断によってVGCFの非直線状構造が破壊されて、少量の添加で均一な導電性が得られない。また、1Pa・s未満であると、流動性が高すぎて溶融混練できなくなる。
<<気相法炭素繊維(B)>>
気相法炭素繊維(B)は、繊維径10〜500nm、アスペクト比5〜1000の気相法炭素繊維であり、特に好ましくは繊維径30〜200nm、アスペクト比20〜500である。このような炭素繊維としては、例えば、高温雰囲気下で、触媒となる鉄等と共にガス化された有機化合物を吹き込むことにより製造できる気相成長炭素繊維(例えば特許第2778434号公報参照)が好ましく用いられる。
繊維径が10nm未満であると、著しく嵩比重が小さくなり、液晶性樹脂との複合化の際にハンドリングが困難となるため好ましくなく、500nmを超えると得られた液晶性樹脂組成物の成形品の導電性向上効果が小さく好ましくない。また、アスペクト比が5未満であっても得られた液晶性樹脂組成物の成形品の導電性向上効果が小さく好ましくなく、1000を超えると、気相法炭素繊維間の絡み合いが強くなり、後述する製造方法によっても均一に分散させることが困難となる。
気相法炭素繊維(B)は、例えば、製造した状態のままのもの、製造した状態のままのものを800〜1500℃で熱処理したもの、2000〜3000℃で黒鉛化処理したもののいずれも使用可能である。なかでも、1500℃程度で熱処理したもの、あるいは2000〜3000℃で黒鉛化処理したものがより好適である。
更に、気相法炭素繊維(B)は中空構造を有し、比表面積(BET法による)が好ましくは2〜250m/g、より好ましくは10〜200m/gである。また、X線回折法による(002)面の平均面間隔d002が好ましくは0.345nm以下、より好ましくは、0.336〜0.340nmである。また、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm−1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm−1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が好ましくは0.1〜2.0である。BET比表面積が250m/gを超えると母材となる液晶性樹脂(A)が十分に繊維を被覆することができず、該液晶性樹脂組成物を作製した場合、電気伝導性、熱伝導性、機械的強度の劣化を招くので好ましくない。
なお、気相法炭素繊維(B)は、あらかじめ嵩比重0.03g/cc以上としておくことが好ましい。これによれば、実質的に溶融混練時に樹脂中に送り込む混練量を増やすことができるので生産性が向上する。
<<熱可塑性樹脂(C)>>
本発明の液晶性樹脂組成物には、必要に応じて、特に後述する液晶性樹脂(A)のMB化を行う場合には、熱可塑性樹脂(C)を加えてもよい、これにより、更なる複合化を行うことができる。熱可塑性樹脂(C)は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレートなどが例示できる。また、液晶性樹脂(A)と同じ又は異なる種類の液晶性樹脂を加えてもよい。
<<その他の成分>>
また、本発明の液晶性樹脂組成物には、他に任意成分として、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイトの如き非繊維状炭素系充填材を混合することができる。気相法炭素繊維は高価であるため、所望の導電性を得るにあたって、機械特性、流動性などの特性を悪化させない範囲で添加することによって経済的効果を得ることができる。
更に、ウィスカー、ガラス繊維、ミルドファイバー、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質、及びタルク、マイカの如き無機質板状物質などの非炭素系強化材を添加してもよい。これにより、機械特性をより向上できる。
更に、本発明の液晶性樹脂組成物には、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、及び結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
<<配合割合>>
本発明においては、液晶性樹脂(A)100重量部に対して、気相法炭素繊維(B)0.5〜40重量部、好ましくは1〜30重量部を含有する。なお、この割合は最終的な成形品における含有量である。気相法炭素繊維(B)が0.5重量部未満であると、導電性が不充分となるので好ましくない。また、40重量部を超えても大幅な導電性の向上は認められず、逆に、流動性低下、機械強度低下という問題が生じるので好ましくない。なお、上記のその他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
<<押出方法>>
本発明の液晶性樹脂組成物は、従来公知の押出方法によって得られる。例えば、スクリューを備えた連続混合装置によって、好ましくは液晶性樹脂(A)の溶融後に気相法炭素繊維(B)を混合することにより溶融混練できる。溶融混練の方法も特に限定されないが、好ましくは噛み合い型の2軸の押し出し機で、1条形状のスクリュー構成とすることで、溶融混練時の移送量を増大させ、より生産性を向上できる。ここで、1条形状のスクリュー構成部とはスクリューフライトが1回転に一山進むスクリューであり、スクリュー溝深さが深く、流路体積が大きいため、空隙の多い気相法炭素繊維の搬送に適し、押し出し機への食込み性を大幅に改善することができるので好ましい。また、スクリューの回転方向は、噛み合い部の相対せん断速度向上による分散混合能力が優れ、気相法炭素繊維の分散を促す観点から、同方向回転型が好ましい。
<成形方法>
成形方法は特に限定されず、押し出し成形や射出成形が可能である。また、成形品も特に限定されず、立体成形品のみならず、シート状やフィルム状の成形も可能であり、これらも当然に本発明の液晶樹脂成形品に含まれる。なお、本発明においては、このように、必ずしもマスターバッチ(MB)を経由する必要はないが、以下、本発明の液晶性樹脂マスターバッチについて説明する。
<液晶性樹脂マスターバッチ>
次に、本発明の液晶性樹脂マスターバッチについて説明する。本発明の液晶性樹脂組成物はマスターバッチとして使用することもできる。一旦MB化することで、よりハンドリングが容易になる。これにより、例えば、液晶性樹脂組成物を混練押出してペレットMBを調製した後、成形する方法、一旦、組成の異なるペレットMBを調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法などが採用できる。また、成形品に用いられる組成物の調製において、ペレットMBと熱可塑性樹脂の粉粒体の一部又は全部、他の成分(ガラス繊維など)とを混合して溶融混練すると、他の成分の分散を向上させるのに有利である。なお、このMBを得る際の好ましいスクリューを用いた連続混合装置の構成は、前記の<<押出方法>>における説明と同様であるので省略する。
なお、できるだけ最終成形品中の気相法炭素繊維(B)の非直線性構造を保持させるために、再度混練工程を経る必要がある液晶性樹脂マスターバッチ中の気相法炭素繊維(B)の破断割合は50%以下にすることが好ましい。更に好ましくは、40%以下、特に好ましくは30%以下である。
破断割合は、混合・混練の前後での炭素繊維のアクペクト比を比較することで評価する。ここで、破断割合は、下記式
{1−(成形品組成物の炭素繊維のアスペクト比/混合・混練する前の炭素繊維のアスペクト比)}×100
で定義され、アスペクト比は、電子顕微鏡(SEM)観察により測定し、算出することが好ましい。また、マスターバッチ中の気相法炭素繊維のアスペクト比の測定には、マトリックス樹脂を適した方法で、除去することが必要である。具体的には、本発明では、塩化ナトリウム溶液などを用いたアルカリ分解法、適切な温度での熱分解法などが挙げられる。
また、気相法炭素繊維(B)の破断割合を50%以下にするには、液晶性樹脂の融点よりも20℃高い温度、せん断速度1000sec.−1における溶融粘度が1〜80Pa・sであることに加え、押出時でのVGCF添加位置での樹脂圧力を下げることにより、達成される。具体的には、押出時の吐出量を下げる、又は、VGCF添加位置での樹脂温度を上げることなどにより可能となる。
<液晶性樹脂成形品>
<<導電性>>
このようにして得られた本発明の液晶性樹脂成形品は、極めて導電性にすぐれ、また、そのばらつきが小さい。具体的には、成形品の表面抵抗率が1012Ω未満であり、かつ、同一成形品において数箇所測定した際の最大値と最小値の常用対数差が3未満である。この測定は成形品の形状、大きさに応じて測定点数を増やすことが好ましいが、5箇所以上測定することがデータの精度向上の観点でより好ましい。本発明における表面抵抗率の測定には、JIS K 7194に準拠した四端子四探針方式のロレスター試験機、又はハイレスター試験機を用いることができる。ロレスター試験機、及びハイレスター試験機は測定サンプルの形状/大きさに応じて測定プローブを代えることが可能であるため、利便性が高い。
<<用途>>
以上説明したように、本発明によれば、従来の導電性樹脂組成物に比べて、低添加量で高い導電性ならびに導電性のバラツキが小さい液晶性樹脂成形品を得ることができる。また、本発明の液晶性樹脂組成物は溶融粘度が低く、成形加工性、成形体外観も優れる。このため、導電性や帯電防止性の必要なデジタルスチールカメラなどの鏡筒やレンズホルダー、半導体などの輸送冶具、燃料電池用セパレーター等の電気・電子部品に好適に使用できる。
以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の物性測定の方法は以下の通りである。
[融点]
示差走査熱量分析装置(パーキンエルマー社製DSC7)にて、20℃/分の昇降温条件で測定した。
[溶融粘度:MV]
表1に示す樹脂の融点+20℃におけるせん断速度1000sec−1の条件で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて東洋精機製キャピログラフ1Bで測定した。
[実質添加量測定]
各熱可塑性樹脂組成物成形品の比重を比重計SD−120L(研精工業(株))を用いて測定し、以下の材料比重から気相法炭素繊維の添加量を算出した。但し、複数の原料を使用した場合には算出が困難であるため、マスターバッチの添加量から算出した。
液晶性ポリエステル<1>、<2> 1.4g/cm3
PC 1.2g/cm3
VGCF 2.2g/cm3
KB 1.7g/cm3
CF 1.7g/cm3
[表面抵抗率測定:SR]
JIS K7194に準拠した装置である、ロレスタGP MCP−T400(三菱油化(株)製) ASPプローブ、及びHiresta-UP MCP-HT450(三菱化学製)URSプローブを使用して、φ100cm×3mmt円板のゲート側、反ゲート側、中央、及びその左右、計5箇所を測定し、その最大値、最小値を記載した。
[成形品外観評価]
φ100cm×3mmt円板の表面外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:表面に光沢があり、フローマーク、シルバーストークスなどが存在しない。
×:表面に光沢がない、フローマーク、あるいはシルバーストークスなどが存在する。
[押し出し状況評価]
押し出し状況を以下の基準にて目視観察した。
○:炭素フィラー添加部のスクリュー/コンパクター上に炭素フィラーが蓄積することなく、スムーズに添加される。
×:炭素フィラー添加部のスクリュー/コンパクター上に炭素フィラーが蓄積し、所望の炭素フィラー量が得られない。
<製造例1>(液晶性ポリエステル<1>の製造)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に330℃まで3.3時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(すなわち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部から液晶性ポリエステル<1>を排出した。
(A):4−ヒドロキシ安息香酸226.4g(73モル%)
(B):6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸114.1g(27モル%)
酢酸カリウム22.5mg
無水酢酸233.8g
<製造例2>(液晶性ポリエステル<2>の製造)
原料モノマー、触媒、アシル化剤として以下のものを使用し、335℃までの昇温に230分かけた以外は製造例1と同様にしてポリエステル<2>を得た。
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸250.74g(78.5モル%)
(B) 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸80.51g(18.5モル%)
(C) テレフタル酸 11.53g(3.0モル%)
酢酸カリウム15mg
無水酢酸235.87g
<液晶性の確認>
得られたポリエステル<1>については300℃の溶融状態で、ポリエステル<2>については340℃の溶融状態で偏光顕微鏡によりクロスニコル下で観察したところ、明確な光学的異方性を示し、サーモトロピック液晶樹脂であることを確認した。各液晶樹脂の特性を表1に示す。
Figure 2008001848
<実施例1〜3、比較例1〜5>
表2、3に示すように(配合単位は重量部、以下全ての表について同じ)、液晶性ポリエステル<1>、液晶性ポリエステル<2>、ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製L1225L(溶融粘度:267Pa・s(ポリカーボネート樹脂は本発明中における示差走査熱量分析装置による測定では融点は観測できないため、300℃における測定結果を記載した。))(表2中PCと記載)]、気相法炭素繊維[昭和電工(株)製VGCF−S(繊維外径100nm、アスペクト比100)]、ケッチェンブラック[ラインケミー(株)製EC600JD(表2中KBと記載)]、炭素繊維[東邦テナックス(株)製HTA−C6−X132(表2中CFと記載)]、ガラス繊維[日本電気硝子(株)製ECS03T−786H(表2中GFと記載)]を、2軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX−α30)を使用し、表2、3に示す割合で溶融混練しペレット化した。
この際、気相法炭素繊維、炭素フィラー類、及びガラス繊維はサイドフィーダーを用い、分割式のバレルC6位置(樹脂添加位置をC0として、7番目のバレル)より添加した。また液晶性ポリエステル<1>、液晶性ポリエステル<2>とVGCF−Sとを、下記押し出し機にてあらかじめ溶融混練して得た。また、C6位置のスクリューエレメントは1条エレメントを使用した。このペレットから射出成形機により、下記条件にて上記試験片を作製し評価した。その結果を表2、3にまとめて示す。
Figure 2008001848
Figure 2008001848
<実施例4、5、比較例6>
実施例1及び実施例2で作成したペレットをマスターバッチとして、各種フィラーを表6に示す割合でドライブレンドし、2軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX−α30)を使用し、溶融混練しペレット化した。実施例4はプロセス温度340℃とし、このときの液晶性ポリエステル<1>の溶融粘度は24Pa・sであった。実施例5はプロセス温度300℃とし、このときの液晶性ポリエステル<1>の溶融粘度は47Pa・sであった。C6位置のスクリューエレメントは1条エレメントのものを使用した。このペレットから射出成形機により、下記条件にて上記試験片を作製し評価した。その結果を表5にまとめて示す。
(射出成形条件)
成形機;JSW J75SSII−A
シリンダー温度;実施例1、及び実施例5、比較例1〜6 300℃、実施例2〜4 340℃
金型温度;90℃
の条件によりφ100×3mmtの円板を成形した。
Figure 2008001848
<評価結果>
表2、3の結果より、本発明の液晶性樹脂成形品においては、成形品外観、押し出し状況、表面抵抗率及びそのばらつき、のいずれも比較例より優れることが分かる。
更に、表4の結果より、液晶性ポリエステル〈1〉でマスターバッチを作成した場合においても、成形品外観、押し出し状況、表面抵抗率及びそのばらつき、のいずれも優れる評価となっていることが分かる。
本発明によれば、導電性のバラツキが少なく、かつ高い導電性と流動性を有し、更に成形品外観に優れる樹脂組成物を提供することができる。したがって、本発明の液晶性樹脂成形品は、種々の電気部品、電子部品、光学部品などに好適に用いられる。

Claims (12)

  1. 下記(a1)かつ(a2)を満たす液晶性樹脂(A)100重量部に対して、繊維外径が10〜500nm、アスペクト比が5〜1000の気相法炭素繊維(B)0.5〜40重量部を含有する液晶性樹脂組成物。
    (a1)融点が250℃〜350℃
    (a2)前記融点より20℃高い温度、せん断速度1000sec−1における溶融粘度が1〜80Pa・s
  2. 前記液晶性樹脂(A)は、構成モノマー単位として、4−ヒドロキシ安息香酸と、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を少なくとも含む請求項1記載の液晶性樹脂組成物。
  3. 前記液晶性樹脂(A)は、融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含む請求項1又は2記載の液晶性樹脂組成物。
  4. 前記気相法炭素繊維(B)の繊維外径が30〜200nm、アスペクト比が20〜500である請求項1から3いずれか記載の液晶性樹脂組成物。
  5. 前記気相法炭素繊維(B)が中空構造を有し、BET比表面積が2〜250m/g、ラマン散乱スペクトルの1341〜1349cm−1のバンドのピーク高さ(Id)と1570〜1578cm−1のバンドのピーク高さ(Ig)の比(Id/Ig)が0.1〜2.0である請求項1から4いずれか記載の液晶性樹脂組成物。
  6. 請求項1から5記載の液晶性樹脂組成物からなる成形品であって、表面抵抗率が1012Ω/□未満であり、かつ、その最大値と最小値の対数差が3未満である液晶性樹脂成形品。
  7. 液晶性樹脂(A)100重量部に対して、気相法炭素繊維(B)が5〜40重量部を含有する請求項1から5いずれか記載の液晶性樹脂組成物を溶融混練してなる液晶性樹脂マスターバッチ。
  8. 融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含む請求項7記載の液晶性樹脂マスターバッチ。
  9. 溶融混練した際の気相法炭素繊維(B)の破断割合が50%以下である請求項8記載の液晶性樹脂マスターバッチ。
  10. 請求項7又は8記載の液晶性樹脂マスターバッチと、熱可塑性樹脂(C)を溶融混練して成形してなる液晶性樹脂成形品。
  11. 前記液晶性樹脂マスターバッチは、融点が300℃〜350℃であり、前記溶融粘度が1〜30Pa・sである液晶性樹脂(A1)を含み、前記熱可塑性樹脂(C)は、融点が250℃〜350℃であり、前記溶融粘度が30〜80Pa・sである液晶性樹脂(C1)を含む請求項10記載の液晶性樹脂成形品。
  12. 前記液晶性樹脂成形品の表面抵抗率が1012Ω/□未満であり、かつ、その最大値と最小値の対数差が3未満である請求項10又は11記載の液晶性樹脂成形品。
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