JP2005187658A - 樹脂組成物及びエレクトロニクス分野の搬送用治具 - Google Patents

樹脂組成物及びエレクトロニクス分野の搬送用治具 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた帯電防止性を有するとともに、成形品表面での制電特性(表面抵抗率)のバラツキが非常に小さく、成形品表面から導電物が脱落し難い樹脂組成物及び搬送用治具(ウェハーキャリアなど)を得る。
【解決手段】(A)固有粘度が1.0以下の熱可塑性ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート)100重量部と、(B)直径1nm〜1mm及び長さ1mm〜10mmを有し、かつ体積抵抗率が1Wcm未満の炭素繊維1〜30重量部とで樹脂組成物を構成する。この樹脂組成物は、(C)ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しない。樹脂組成物は、さらに(C)芳香族ポリカーボネート及び(D)エステル交換反応阻止剤を含有してもよい。前記樹脂組成物で形成されたエレクトロニクス分野の搬送用治具は、表面抵抗率が1×1010W/□以下(縦100mm、横100mmの表面領域を、印加電圧500Vで測定)であり、制電特性に優れている。
【選択図】なし

Description

本発明は、低帯電性で、帯電した場合にも速やかに帯電圧が減衰する静電気消散性に優れ、導電成分の脱落が少ない樹脂組成物、及びこの樹脂組成物で形成されたエレクトロニクス分野の搬送用治具(特に、シリコンウェハーキャリア)に関する。
熱可塑性樹脂組成物に帯電防止性を付与する方法として、各種帯電防止剤(低分子型や高分子型の帯電防止剤)を添加する方法が知られている。低分子型帯電防止剤を使用する例として、例えば、特開昭62−230835号公報(特許文献1)には、ホスホニウムスルホネート(アルキルスルホン酸のホスホニウム塩など)で構成された合成高分子材料用帯電防止剤が開示されている。しかし、このような低分子型帯電防止剤は、当初の帯電防止効果は高いものの、拭いたり、洗浄したりすると帯電防止性がなくなるなど、環境の変化によって性能が変化し、安定した帯電防止効果を長期間得るのが困難である。
また、ポリエーテルエステルアミドなどの高分子型帯電防止剤を使用する方法も知られている。しかし、高分子型帯電防止剤は、ポリエステル樹脂などのエンジニアリングプラスチックスに添加すると、樹脂本来の耐熱性、溶融安定性などの特性を損なう虞がある。また、高分子型帯電防止剤は、それ自身の抵抗率が1×109〜1×1010Ω/□程度であるため、このような帯電防止剤をポリエステル樹脂とコンパウンドしても、帯電防止剤の濃度が希釈され、組成物の抵抗率を十分に(例えば、1×1010Ω/□以下に)改善できない。また、帯電防止効果を高めるため、帯電防止剤の割合を大きくすると、樹脂の特性を損なう虞がある。
近年、シリコンウェハーなどの分野では、生産性の向上を目的に微細加工化が進み、半導体工場において、帯電により付着が問題となる粒子(パーティクル)の大きさも小さくなっている。そのため、工場内で使用する治具(例えばシリコンウェハーキャリア)に求められる制電特性は、従来の1×1011〜1×1012Ω/□程度から、1×108〜1×1010Ω/□程度の蓄電さえしない領域に移行しており、治具における帯電特性のバラツキも小さくする必要がある。
特開平8−88266号公報(特許文献2)には、カーボン繊維が添加されたポリブチルテレフタレートで形成されたウェハーキャリアが開示されている。このキャリアは、105〜1012Ω/平方の範囲の表面抵抗率を有することも開示されている。このように、カーボン繊維を添加すると、表面抵抗率が低下するものの、帯電防止性のバラツキが大きく、コントロールするのは困難である。また、熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加しても帯電防止効果が得られることが知られているが、炭素繊維の場合と同様に、表面抵抗率のバラツキが非常に大きく、帯電防止性をコントロールするのは困難である。また、得られた成形品からの導電物(すなわち、カーボンブラック)の脱落が著しく、安定した帯電防止効果を長期間に亘り得ることはできず、半導体の製造用途での使用にも制約がある。
特開2000−248186号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)直径1nm〜1μm、長さ1μm〜3mmかつ体積抵抗率1Ω未満の炭素繊維1〜30重量部及び(C)制電ポリマー5〜200重量部を配合して得られる樹脂組成物が開示されている。前記制電ポリマーとしては、ポリエチレングリコール系ポリエステルアミド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体などのポリエチレングリコール系重合体が開示されている。この文献では、制電ポリマーを添加することにより、樹脂組成物をエレクトロニクス分野の搬送用治具として使用したとき、治具表面における帯電防止性のバラツキを小さくしている。しかし、上記のような樹脂組成物では、炭素繊維及び/又は熱可塑性樹脂と制電ポリマーとの親和性が低いため、炭素繊維の脱落を十分に改善できない。
なお、搬送用の治具が大きくなるにつれて、収縮異方性の影響も大きくなるため、高い精度で治具を得るには、樹脂組成物の収縮異方性を小さくする必要がある。
特開昭62−230835号公報(特許請求の範囲) 特開平8−88266号公報(請求項1、段落番号[0008]) 特開2000−248186号公報(請求項1、請求項6及び段落番号[0055])
従って、本発明の目的は、成形品表面における制電特性(表面抵抗率)のバラツキが非常に小さく、導電物の脱落が防止され、高い帯電防止効果及び静電気消散効果を長期間に亘り維持できる樹脂組成物及びこの樹脂組成物で形成された搬送用治具(ウェハーキャリアなどのエレクトロニクス分野における搬送用治具)を提供することにある。
本発明の他の目的は、導電物の脱落がさらに防止され、収縮異方性が小さい樹脂組成物及び搬送用治具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、成形品(治具)の表面(特に任意の表面)において、均一で安定な帯電防止性を有するエレクトロニクス分野における搬送用治具を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の固有粘度を有する熱可塑性ポリエステルと特定のサイズ及び体積抵抗率を有する炭素繊維とを組み合わせると、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しなくとも、成形品表面における制電特性のバラツキを小さくでき、導電物の脱落を防止して優れた帯電防止効果を長期間に亘り維持できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、(A)固有粘度が1.0以下の熱可塑性ポリエステルと、(B)炭素繊維とを含み、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物であって、前記炭素繊維(B)が平均繊維径1nm〜1μm及び平均繊維長1μm〜10mmを有し、かつ体積抵抗率が1Ωcm未満の炭素繊維であり、前記熱可塑性ポリエステル(A)100重量部に対して、前記炭素繊維(B)を1〜30重量部の割合で含有する。
前記樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステル(A)及び炭素繊維(B)は、それぞれ、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂及び気相法炭素繊維で構成してもよく、樹脂組成物は、さらに(C)芳香族ポリカーボネート(PC)及び(D)エステル交換反応阻止剤を含有する樹脂組成物であってもよい。前記芳香族ポリカーボネート(C)及び阻止剤(D)の割合は、熱可塑性ポリエステル(A)100重量部に対して、それぞれ10〜40重量部及び0.02〜10重量部程度であってもよい。前記阻止剤(D)は、実質的に金属塩を含有しなくてもよい。
本発明には、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有せず、PBT系樹脂(A)と、前記炭素繊維(B)と、芳香族PC(C)と、エステル交換反応阻止剤(D)とで構成された樹脂組成物であって、前記芳香族PCの割合が、PBT系樹脂100重量部に対して、10〜40重量部程度である樹脂組成物も含まれる。
本発明には、前記樹脂組成物で形成されたエレクトロニクス分野の搬送用治具も含まれる。この搬送用治具は、縦100mm及び横100mmの表面領域(例えば、任意の表面領域)を、電圧500Vで印加して測定したとき、表面抵抗率が1×1010Ω/□以下であってもよい。前記治具の表面(例えば、任意の表面)において、テーバー摩耗量は30mg以下であり、テーバー摩耗面の算術平均粗さRaは1.0μm以上であってもよい。前記治具は、ウェハーを保持するための溝を少なくとも一つ有するシリコンウェハーキャリアであってもよい。
本発明の樹脂組成物は、特定の熱可塑性ポリエステルと、特定の炭素繊維とを含み、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含まないので、成形品表面における制電特性(表面抵抗率)のバラツキが非常に小さく、導電物の脱落が防止され、高い帯電防止効果及び静電気消散効果を長期間に亘り維持できる。また、樹脂組成物の収縮異方性も小さくできる。このような樹脂組成物で搬送用治具(ウェハーキャリアなどのエレクトロニクス分野における搬送用治具)を形成すると、成形品(治具)の表面(特に任意の表面)において、均一で安定な帯電防止性を得ることができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル(A)と、炭素繊維(B)とを含み、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しない。ポリオキシエチレン単位を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール系ポリエステルアミド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレングリコール系ポリエステルエラストマー、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)共重合体、ポリ(エピクロルヒドリン/エチレンオキシド)共重合体などが挙げられる。
(A)熱可塑性ポリエステル
熱可塑性ポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトンの重縮合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホモポリエステル又はコポリエステルである。好ましい熱可塑性ポリエステルには、通常、飽和ポリエステル系樹脂、特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数4〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜14程度のジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸[炭素数8〜16程度のジカルボン酸、例えば、アレーンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、ビスフェニル−ジカルボン酸(4,4′−ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルアルカンジカルボン酸(4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸など)、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸など)]、又はこれらの誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいジカルボン酸成分には、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸など)などの芳香族ジカルボン酸が含まれる。
ジオール成分には、例えば、脂肪族アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール(1,6−ヘキサンジオールなど)、オクタンジオール、デカンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコール、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコール)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビフェノール、ビスフェノール類又はそのC2-3アルキレンオキシド付加体[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパンなど]、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用してもよい。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいジオール成分には、C2-6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコール)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、4−カルボキシ−4′−ヒドロキシビフェニル、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、D−,L−又はD/L−乳酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。
ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが含まれる。
好ましい熱可塑性ポリエステルには、アルキレンテレフタレート、アルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステル[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンナフタレート)などのホモポリエステル;アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含有するコポリエステル]が含まれる。
結晶化速度が速い点から、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートコポリエステル)、プロピレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリプロピレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートコポリエステル)、エチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリエチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリエステル)及びポリブチレン−2,6−ナフタレート系樹脂、特に、PBT系樹脂が好ましい。なお、これらの熱可塑性ポリエステルは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、コポリエステルにおいて、共重合可能な単量体としては、前記主成分の構成モノマーとは異なるモノマーが使用できる。共重合可能な単量体としては、例えば、C2-6アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール(ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコールなど)、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール[ハイドロキノン、レゾルシンなどのジヒドロキシベンゼン;2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−スルホンなどのビスフェノール類;ビスフェノール類のC2-3アルキレンオキシド付加体、例えば、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン;ビスフェノール類とグリコール(エチレングリコールなど)とから得られるエーテルジオールなど]、C4-14脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸など)、脂環族カルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アルキル置換フタル酸(メチルイソフタル酸、メチルテレフタル酸など)、5−スルホイソフタル酸モノナトリウム塩、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸など)、ジフェニルジカルボン酸(4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸など)、ジフェノキシエタンジカルボン酸(4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸など)など]、オキシカルボン酸(ε−オキシカプロン酸、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸、4−カルボキシ−4′−ヒドロキシビフェニルなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、必要に応じて、共重合性単量体として、多価カルボン酸(トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)及び/又はポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなど)などを併用して、分岐構造を形成してもよい。これらの多官能成分の割合は、ジカルボン酸又はジオール成分の1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.3モル%以下程度であってもよい。
なお、ポリエステル系樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、直鎖状のみならず分岐鎖状であってもよく、架橋されていてもよい。また、液晶ポリエステルであってもよい。さらに、ポリエステル系樹脂には、アミノ基含有単量体(例えば、3−又は4−アミノフェノール、3−又は4−アミノ安息香酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミンなど)で変性された(液晶)ポリエステルアミド系樹脂も含まれる。
熱可塑性ポリエステルは、全ジカルボン酸成分に対して例えば30モル%以下、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の共重合成分を共重合して成ることができる。
熱可塑性ポリエステルは、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより製造できる。
熱可塑性ポリエステルの固有粘度は、通常、1.0以下(例えば、0.6〜1.0程度)、好ましくは0.65〜0.98、さらに好ましくは0.65〜0.95程度であってもよい。固有粘度が小さすぎると、十分な機械的特性が得られない場合があるとともに、大きすぎると、溶融粘度が高過ぎて、炭素繊維の分散性が低下し、目的とする表面抵抗率が得られない虞がある。なお、前記固有粘度は、35℃においてオルトクロルフェノール中での測定値から算出した値である。
(B)炭素繊維
炭素繊維は、焼成により得られる炭素繊維(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維など)であってもよいが、気相法で製造された気相法炭素繊維を使用するのが好ましい。気相法炭素繊維は、例えば、基板法、浮遊法などにより製造できる。前記基板法の詳細は、例えば、特開昭60−27700号公報などを参照でき、前記浮遊法の詳細については、特開昭62−78217号公報などを参照できる。なお、これらの方法で製造された炭素繊維には、2000℃以上の高温で処理された炭素繊維も含まれる。炭素繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
炭素繊維の直径(平均繊維径)は、通常、1nm〜1μm、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは1〜300nm(例えば、2〜100nm)程度であってもよい。炭素繊維の長さ(平均繊維長)は、通常、1μm〜10mm、好ましくは2μm〜5mm、さらに好ましくは5μm〜3mm(例えば、5μm〜1mm)程度であってもよい。炭素繊維の直径又は長さが小さすぎると、炭素繊維が微分散しすぎて目的とする帯電防止性が付与できず、大きすぎると分散に偏りが生じ、目的とする帯電防止性が付与出来ない。
炭素繊維の体積抵抗率は、通常、1Ωcm未満(例えば、1×10-4〜1Ωcm程度)、好ましくは5×10-4〜1×10-1Ωcm、さらに好ましくは1×10-3〜1×10-1Ωcm程度であってもよい。体積抵抗率が高すぎると、成形品の表面抵抗率を十分に(1010Ω/□以下、例えば、105〜1010Ω/□程度に)改善できない。
本発明に用いられる(B)成分の炭素繊維の割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し1〜30重量部(例えば、2〜20重量部)、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜10重量部程度である。炭素繊維の割合が少なすぎると、表面抵抗率の改善効果が不十分であり、多すぎるとコストが高すぎて実用性に欠けるとともに、実用的な表面抵抗率の範囲を外れて、放電現象などによりウェハーを傷める虞もある。
樹脂組成物は、さらに(C)芳香族ポリカーボネート及び(D)エステル交換反応阻止剤を含有してもよい。
(C)芳香族ポリカーボネート
芳香族ポリカーボネート(C)としては、ジヒドロキシ化合物(ビスフェノール化合物などの二価フェノールなど)と、カーボネート前駆体(ホスゲン、ハロゲン化ギ酸エステル、ジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルなど)との反応により得られる重合体が含まれる。
前記ビスフェノール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)などのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4-10シクロアルカン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトンなどが挙げられる。これらのビスフェノール化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい芳香族ポリカーボネートには、ジヒドロキシ化合物として、少なくともビスフェノールAを用いたポリカーボネート(ビスフェノールA型ポリカーボネート)が含まれる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、例えば、10,000〜100,000、好ましくは18,000〜80,000、さらに好ましくは20,000〜50,000程度であってもよい。
芳香族ポリカーボネート(C)の割合は、熱可塑性ポリエステル(A)100重量部に対して、例えば、0〜40重量部(例えば、10〜40重量部)、好ましくは10〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度であってもよい。前記割合が、大きすぎると、原因の詳細は不明であるが、表面抵抗率が悪化する傾向にあるとともに、エレクトロニクス分野の搬送用治具を形成する場合、洗浄工程で要求される耐薬品性が低下する虞がある。
なお、成形品(搬送用治具など)のサイズが大きくなるほど、樹脂の収縮異方性が問題となる。そのため、大型の成形品に樹脂組成物を用いる場合などには、芳香族ポリカーボネートを用いるのが好ましい。この場合、芳香族ポリカーボネートの割合が少なすぎると、収縮異方性の改善効果が不十分である場合がある。
(D)エステル交換反応阻止剤
エステル交換反応阻止剤とは、エステル−カーボネート交換反応を阻止するための安定剤を意味する。前記阻止剤(D)としては、α−ヒドロキシ又はα−アミノ脂肪族酸誘導体、o−ヒドロキシ又はo−アミノ芳香族酸誘導体等であり、例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、サリチルアミド、グリシン、オキシコハク酸、マンデル酸等が挙げられる。これらの阻止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの阻止剤のうち、特にオキシコハク酸が好ましい。
エステル交換反応の阻止剤(安定剤)としては、リン酸二水素ナトリウムなどの無機安定剤(金属塩など)が知られているが、エレクトロニクス分野の搬送用治具用途では、このような無機安定剤の使用は好ましくない。例えば、リン酸二水素ナトリウムを使用すると搬送用治具の洗浄工程で金属ナトリウムの溶出があり、ウェハーの腐食や導通不良などの問題が生じる虞がある。従って、前記エステル交換反応阻止剤(D)は、金属塩を実質的に含まないのが好ましい。
前記エステル交換反応阻止剤(D)の割合は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、例えば、0〜10重量部(例えば、0.02〜10重量部)、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.04〜2重量部程度であってもよい。前記割合が、少なすぎると、芳香族ポリカーボネートを用いた場合に、エステル−カーボネート交換反応を十分抑制することができない虞がある。また、前記割合が大きすぎても交換反応の抑止効果はさほど変らない。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、離型剤(モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンオイルなど)、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、樹脂類[熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂)、軟質熱可塑性樹脂(例えば、エチレン/酢酸ビニル共重体、ポリエステルエラストマー、エポキシ変性ポリオレフィン)など]、充填剤(繊維状又は粒子状充填剤、例えば、タルク、カオリン、ワラステナイト、クレー、シリカ、セリサイト、酸化チタン、金属粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ガラス繊維など)などを添加してもよい。
本発明の樹脂組成物では、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しなくても、従来の樹脂組成物で実現できなかった帯電防止性のバラツキを著しく改善でき、特に成形品に加工した場合、成形品表面における帯電防止性のバラツキを大幅に改善できる。
本発明の樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、前記熱可塑性ポリエステル(A)と前記炭素繊維(B)と、必要により前記芳香族ポリカーボネート(C)と前記阻止剤(D)とを、慣用の方法により、混合することにより製造できる。混合は、特に制限されず、例えばブレンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、押出機などの混合機により行うことができる。前記構成成分は、通常、より均一に混合させ、炭素繊維を樹脂組成物中に均一に分散させるのが好ましい。各成分の添加順序は特に制限されず、全ての構成成分を同時に混合して均一に混合してもよく、構成成分を順次添加して混合してもよい。また、いくつかの成分を予め予備混合した後、残りの成分を添加して均一に混合してもよく、予めドライブレンドされた樹脂組成物を、加熱された押出機で溶融混練して、均質化した後、針金状に押出し、次いで所望の長さに切断して粒状化してもよい。
溶融混練温度は、特に制限されず、例えば、160〜300℃、好ましくは170〜280℃、さらに好ましくは180〜270℃程度であってもよい。
[成形品]
本発明には、前記樹脂組成物で形成された成形品も含まれる。前記樹脂組成物は、溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、ガスインジェクションモールディングなどの慣用の方法で成形してもよいが、通常、射出成形により成形することにより、成形品を製造できる。射出成形の条件は適当に選択でき、例えば、170〜280℃程度で樹脂組成物を溶融混錬し、射出成形機により、シリンダー温度170〜280℃程度の条件で射出成形してもよい。
前記樹脂組成物は、帯電防止効果に優れるため、制電性や帯電消散性が要求される用途における成形品、特に、エレクトロニクス分野における搬送用部品(治具)などの用途に適している。このような搬送用治具としては、例えば、シリコンウェハーキャリア、シリコンウェハーキャリアボックス、シリコンウェハー押え棒、IC(集積回路)トレー、液晶基板搬送用キャリア、HDD(ハードディスクドライブ)及びLCD(液晶ディスプレイ)関連部品搬送用治具、ガラストレー、トップロボットフランジ、サイドグリップピット、フォークリフトスロット、コンベヤレール、カセットセンシングパッド及びホール、ウェハーセンシングパス、インフォパット、ウェハー飛び出し防止突起、ボトムフォークリフトスロット傾斜などが挙げられる。前記樹脂組成物は、ウェハーを保持するための溝を少なくとも一つ有するシリコンウェハーキャリアを形成するのに有用である。
本発明の成形品(搬送用治具など)では、縦100mm、横100mmの表面領域を、電圧500Vで印加して測定したとき、表面抵抗率を1×1010Ω/□以下(例えば、1×105〜1×1010Ω/□程度)にまで低減できる。表面抵抗率は、好ましくは1×106〜1×1010Ω/□、さらに好ましくは1×107〜5×109Ω/□程度であってもよい。
本発明の成形品では、上記のような表面抵抗率が、成形品の任意の表面において得られる。また、表面抵抗率(帯電防止性)のバラツキも極めて少ない。表面抵抗率のバラツキの程度は、複数箇所(4個所以上)について測定した表面抵抗率のうち、最大値を最小値で除した値で表すことができ、例えば、1〜1000、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜50程度であってもよい。
本発明では、従来の樹脂組成物で実現できなかった導電物の脱落を大幅に抑制することができる。導電物の脱落は、例えば、JIS−K−7204に準処して算出したテーバー磨耗量及びテーバー磨耗面の算術平均粗さRaにより評価することができる。成形品の表面(縦100mm×横100mm)において、テーバー磨耗量は、通常、30mg以下(例えば、5〜30mg程度)、好ましくは10〜28mg、さらに好ましくは15〜25mg程度であってもよい。また、テーバー磨耗面の算術平均粗さRaは、通常、1.0μm以上(例えば、1〜2μm程度)、好ましくは1.2〜1.9μm、さらに好ましくは1.3〜1.8μm程度であってもよい。なお、前記算術平均粗さRaが1.0μm以上であるということは、炭素繊維が脱落せずに樹脂表面に残っていることを意味する。なお、これらの値は、成形品の任意の表面において得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、1×1010Ω/□以下の優れた帯電防止性(制電性)を有し、成形品表面での制電特性(表面抵抗率)のバラツキが非常に小さい。そのため、エレクトロニクス分野の搬送用治具用途などにおいて、静電気力による浮遊パーティクルの付着を成形品(搬送用治具など)の表面全体において著しく減少させることができ、パーティクルに起因する外観形状不良(いわゆるパターン欠陥)などを低減することができる。特に、本発明では、シリコンウェハーなどの搬送用治具の汚染の問題を生ずることなく、効率よく電荷の漏洩を行うことができる。また、成形品は、導電物の脱落が非常に少ないため、高い帯電防止効果を長期間に亘り安定に維持することができる。また、収縮異方性も小さくすることができるため、特にサイズの大きな成形品においても収縮異方性に起因する問題(例えば、成形品の反りや変形など)を回避することができる。
本発明の樹脂組成物は、帯電防止性が要求される用途、特に、エレクトロニクス分野における搬送用治具(シリコンウェハーキャリアなど)などを形成するのに有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1〜5
表1に示す原料を、表1に示す割合で予め均一にドライブレンドした後、スクリュー径44mmのベント付き2軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー温度180〜270℃、スクリュー回転数160rpm、吐出量40kg/h)し、ダイスから吐出するスレッドを、冷却後、切断して成形用ペレットを得た。
次いで得られたペレットを射出成形し(条件:射出圧力750kg/cm2、射出速度70cm3/秒、冷却時間15秒、及び全成形サイクル25秒の条件で)、特性評価用の試験片を作成した。
なお、実施例及び比較例において使用した原料及び評価方法は以下のとおりである。
1.原料:
(A)ポリブチレンテレフタレート(PBT)
(A-1)ウィンテックポリマー(株)製、PBT1:TRE−DE2(IV:1.2)
(A-2)ウィンテックポリマー(株)製、PBT2:TRE−DM2(IV:0.9)
(A-3)ウィンテックポリマー(株)製、PBT3:TRE−D7B(IV:0.7)。
(B)炭素材
(B-1)カーボンファイバー(CF)(東邦レーヨン(株)製、HTA−C6−SR、体積抵抗率:1.5×10-3Ωcm、繊維径7μm、繊維長6mm)
(B-2)極細気相法炭素繊維(VGCF)(米国ハイピリオン・カタリシス社製、マイクログラファイトフィブリルBN1100、体積抵抗率:1×10-2Ωcm、繊維径15nm、繊維長10〜20μm)
(B-3)ケッチェンブラック(EC600JD(CB)、ライオン(株)社製、平均粒子径30nm)。
(C)芳香族ポリカーボネート(PC)(帝人化成(株)製:L1225L)
(D)エステル交換反応防止剤(安定剤)(東京化成(株)製、オキシコハク酸)。
2.特性の評価
(1)帯電防止性(抵抗率)の評価
試験片(縦100mm×横100mm、厚さ約3mm)を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、超絶縁計(アドバンテスト社製 R8340 ULTRAHIGHRESISTANCE METER)を用いて、環境温度23℃及び相対湿度50%の条件下で、電圧500Vを印加したとき、電極間(内径1.8cm及び外径3.0cmの二重リング電極を使用)に流れる電流を測定することにより、表面抵抗率を求め、帯電防止性の指標とした。
なお、表面抵抗率のバラツキの程度を調べるため、上記の測定においては、試験片を縦及び横にそれぞれ2分割した4つの各領域について表面抵抗率を測定した。
(2)繊維状導電性フィラー体積抵抗率:
炭素繊維の体積抵抗率は、JIS−R−7601に準処して測定した。又この方法が採用できない場合は、100kg/cm2の圧粉体にして測定した。
(3)テーバー磨耗試験:
JIS−K−7204に準処して、テーバー磨耗量及びテーバー磨耗面の算術平均粗さを求めた。なお、測定装置としては、ABRASER MODEL 503 STANDARD ABRASION TESTER(ABRASER社製)を使用し、所定の条件(リングCS17、加重1kg、1000回転)で、リングの軸に重りを付け加圧しながら成形品表面を回転させて、表面を削り、削れ性を評価した。
(4)収縮異方性の評価
三次元測定機FJ604((株)三豊製作所製)を用い、金型寸法を基準にして成形品の樹脂の流れ方向、及びこの流れに対して垂直な方向における収縮率を測定した。そして、下記式に従って、異方性を評価した。なお、得られた値が0に近いほど、異方性が小さいことを意味している。
[(垂直方向における収縮率)/(樹脂の流れ方向における収縮率)]×100−100
実施例及び比較例の結果を表1に示す。なお、表1の混合比率の単位は重量部であり、表面抵抗率において、例えば、E+8などの「E+X」は、「×10X」(10のX乗倍)を意味する。
Figure 2005187658
実施例1〜4は、1×105〜1010Ω/□の表面抵抗率を示し、そのバラツキも小さかった。また、テーバー磨耗量及び試験後のRaから、実施例では、従来の炭素繊維(比較例2)やカーボンブラック(比較例3)使用品に比べ、導電物の脱落が防止されている。PCを用いた実施例3及び4では、収縮異方性が大幅に低減されている。
一方、比較例1は高粘度PBTを使用しているためVGCFの分散性が低く、導電性のバラツキが大で、導電物が容易に脱落した。比較例2はCFを使用しているため導電物の脱落は比較的防止されているものの、導電性のバラツキも収縮異方性も大きかった。CBを使用した比較例3は導電性のバラツキが大きく、導電物も容易に脱落した。比較例4は導電物も脱落しにくく、収縮異方性は小さいが、PCが一定量を超えたため、表面抵抗率が悪くなった。比較例5は、成形性が悪く、特性を評価するに至らなかった。

Claims (6)

  1. (A)固有粘度が1.0以下の熱可塑性ポリエステルと、(B)炭素繊維とを含み、ポリオキシエチレン単位を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物であって、前記炭素繊維(B)が平均繊維径1nm〜1μm及び平均繊維長1μm〜10mmを有し、かつ体積抵抗率が1Ωcm未満の炭素繊維であり、前記熱可塑性ポリエステル(A)100重量部に対して、前記炭素繊維(B)を1〜30重量部の割合で含有する樹脂組成物。
  2. 熱可塑性ポリエステル(A)及び炭素繊維(B)が、それぞれ、ポリブチレンテレフタレート系樹脂及び気相法炭素繊維で構成され、さらに(C)芳香族ポリカーボネート及び(D)エステル交換反応阻止剤を含有する樹脂組成物であって、前記芳香族ポリカーボネート(C)及び阻止剤(D)の割合が、熱可塑性ポリエステル(A)100重量部に対して、それぞれ10〜40重量部及び0.02〜10重量部であり、前記阻止剤(D)が、実質的に金属塩を含有しない請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の樹脂組成物で形成されたエレクトロニクス分野の搬送用治具。
  4. 縦100mm及び横100mmの表面領域を、電圧500Vで印加して測定したとき、表面抵抗率が1×1010Ω/□以下である請求項3記載の搬送用治具。
  5. 表面において、テーバー摩耗量が30mg以下であり、テーバー摩耗面の算術平均粗さRaが1.0μm以上である請求項3記載の搬送用治具。
  6. ウェハーを保持するための溝を少なくとも一つ有するシリコンウェハーキャリアである請求項4記載の搬送用治具。
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