JP3955675B2 - 揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる半導体搬送冶具 - Google Patents

揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる半導体搬送冶具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、揮発ガス成分が特定の範囲にあり有機物の付着・凝縮による汚染が極めて少ないポリエステル樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる半導体搬送治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体搬送治具の分野にはポリエステル樹脂が多く用いられているが、最近シリコンウェハーの大型化が進み搬送治具材料に対して剛性の向上が求められている。また、LSIの高集積化が急速に進み、半導体プロセスに対するクリーン度の要求レベルはますます厳しくなってきている。デバイス特性に影響を与える半導体製造プロセス中の汚染としては、パーティクル、金属、有機物などが挙げられる。シリコンウェハーや液晶基板の帯電は、製造歩留まり及び製品の信頼性に重大な悪影響を及ぼす。静電気による浮遊パーティクルの付着や静電気放電によるデバイス障害が問題となり、これらの静電気障害は、集積回路の高集積化に伴いますます顕在化してきている。
【0003】
これまでプラスチックスに帯電防止性を付与する方法として、低分子の帯電防止剤やカーボンブラックなどの導電性のフィラーを配合する方法が取られてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの材料は、低湿度の環境では帯電防止性能が低下したり、揮発性のガスや有機物がデバイス表面を汚染することから、半導体製造プロセスに適用することは難しく、さらなる改良が望まれる。
【0005】
本発明は上述の事情を背景としてなされたものであり、その目的は新規な揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、実質的に浮遊パーティクルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイス表面を汚染することのない材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、汚染物質の発生が極めて少なく、帯電防止性を備えたポリエステル樹脂組成物を開発すべく鋭意検討した結果、特定の炭素系充填剤を配合した、揮発ガス成分が特定の範囲にあるポリエステル樹脂組成物が、優れた成形性を示すと共に、揮発性のガスや有機物によって製品表面を汚染することがなく、実質的に浮遊パーティクルが付着しない帯電防止性を有していることを見いだし本発明に到達した。
【0008】
本発明によれば、上記目的及び利点は、熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、
(A)炭素系充填剤3〜150重量部、
(B)帯電防止剤0〜60重量部、
(C)非金属系安定剤0.01〜5重量部
を配合してなるポリエステル樹脂組成物であって、
熱可塑性芳香族ポリエステルが、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が10ppm以下であり、80℃の超純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金属の量が50ppb以下であり、
炭素系充填剤が、炭素繊維及び/又は気相法成長グラファイトフィブリルであって、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下であり、
かつ組成物とした時の150 ℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスが30ppm以下であり、帯電防止性を有していることを特徴とする、揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物によって達成される。
【0009】
以下に、本発明を詳述する。
本発明において用いられる熱可塑性芳香族ポリエステルは、その酸成分がテレフタル酸またはナフタリンジカルボン酸であり、ジオール成分がエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のごとき脂肪族ジオールの少なくとも1種である芳香族ポリエステルである。
【0010】
これらの中でポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましい。
【0011】
また熱可塑性芳香族ポリエステルとしては上述のポリエステルの一部を共重合成分が置換したものでもよく、かかる共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸等のアルキル置換フタル酸;2,6-ナフタリンジカルボン酸、2,7-ナフタリンジカルボン酸、1,5-ナフタリンジカルボン酸等のナフタリンジカルボン酸類;4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,4’-ジフェニルジカルボン酸等のジフェニルジカルボン酸類;4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸等のジフェノキシエタンジカルボン酸類などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族又は脂環族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン等のジヒドロキシベンゼン類;2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類;ビスフェノール類とエチレングリコールのごときグリコールとから得られるエーテルジオールなどの芳香族ジオール、ε-オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられる。
【0012】
さらに上述の芳香族ポリエステルに分岐成分として、トリメシン酸、トリメリット酸のごとき多官能性のエステル形成能を有する酸又はグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下の割合で共重合せしめてもよい。
【0013】
本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエステルは極限粘度数が0.4〜1.2である。0.4より小さいと十分な特性が得られず、1.2より大きくなると熔融粘度が高く流動性が低下して成形性が損なわれるため好ましくない。ここで極限粘度数(固有粘度と同じ)は35℃でo-クロルフェノールを溶媒として測定したものである。
【0014】
本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエステルの製造法をポリブチレンテレフタレートを例にとって示すと、テレフタル酸を主とするジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とテトラメチレングリコールを主とするジヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体とを重縮合触媒の存在下に液相重縮合させた後、ペレット化して更に180℃〜225℃、常圧の条件で窒素雰囲気下で2〜24時間固相重縮合反応を行うことにより得ることができる。
【0015】
本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエステルは、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下であり、80℃の超純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金属の量が50ppb以下、好ましくは10ppb以下である。
【0016】
熱可塑性芳香族ポリエステルの揮発ガス発生量は、ペレット状試料10gについて測定した値であり、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフにより検出した値である。
【0017】
熱可塑性芳香族ポリエステルのアルカリ金属溶出量は、ペレット状試料10gを80℃の超純水80mlに2時間浸漬した後、超純水中に溶出したアルカリ金属の量を原子吸光光度計により測定した値である。
【0018】
本発明において用いられる(A)炭素系充填剤は、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下、好ましくは5ppm以下である炭素系充填剤である。
【0019】
炭素系充填剤としては、ファーナスブラック、アセチレンブラック等のごとき粒状又は無定形の充填剤;グラファイト等のごとき燐片状の充填剤;炭素繊維、気相成長グラファイトフィブリル等のごとき繊維状の充填剤が挙げられる。これらのうち、グラファイト構造を有している炭素系充填剤が特に好ましい。
【0020】
炭素系充填剤の揮発成分発生量は、試料5gについて測定した値であり、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフにより検出したTHF換算値である。
【0021】
一般に、炭素系の充填剤は活性な表面を有しているために様々な揮発成分が吸着されている。本発明者らは、これらの成分が熱可塑性芳香族ポリエステルと熔融混練される際に触媒的に作用して熱可塑性芳香族ポリエステルの分解を促進するために、揮発ガスの発生量の増大につながることを見出した。
【0022】
更に、組成物とした時の揮発ガスを低減する方策を鋭意検討した結果、150℃に1時間加熱した時に発生する炭素系充填剤からの揮発成分を10ppm以下とすることによって組成物中の揮発ガスを30ppm以下に抑えることが可能となり、実質的に揮発ガスによる製品表面の汚染がなくなることを見出した。
【0023】
該炭素系充填剤の配合量は熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、3〜150重量部である。好ましくは、3〜120重量部、更に好ましくは5〜100重量部である。
【0024】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が30ppm以下、好ましくは20ppm以下である。揮発ガスの発生量が30ppmを超えると、揮発ガスによる半導体搬送治具の表面汚染がシリコンウェハー等の品質を害し、後にシリコンウェハーを加工してえられるLSI等の電子デバイスの製品欠陥の原因となる。
【0025】
ポリエステル樹脂組成物の熱処理により発生する揮発ガスは主に有機ガスであり、例えば、テトラヒドロフラン、3-ブテン-1-オール、アセトアルデヒド、アセトン等である。これらの揮発ガスはシリコンウェハー等の製品の表面上に凝縮し、あるいは半導体搬送治具自身の表面に凝縮したものが製品表面に転写されるなどして製品を汚染する。
【0026】
本発明における帯電防止性とは、シリコンウェハーや液晶基板の製造工程において歩留まり及び製品の信頼性に重大な悪影響を及ぼす帯電がなく、実質的に静電気による浮遊パーティクルの付着や静電気放電を引き起こさない帯電防止性である。その評価基準として、板状に賦形し、23℃、50%RHの下で電極-試料間距離20mm、印可電圧10kVで帯電させたときの飽和帯電圧が0.1kV以下であり、かつ、その半減衰時間が10秒以下である帯電防止性を備えていれば、製造工程での歩留まりや製品の信頼性に悪影響を及ぼすことはなく、半導体搬送治具としての商品価値を高めることが判明した。
【0027】
本発明の組成物には、炭素系充填剤との相乗作用によって帯電防止性能を高める目的で(B)帯電防止剤が配合される。本発明において用いられる(B)帯電防止剤としては、高分子型帯電防止剤類が挙げられる。好適な高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリアルキレンオキシド重合体、ポリエチレンオキシドーエピクロルヒドリン共重合体、ポリウレタンおよびポリエーテルエステルを挙げることができる。ポリオキシエチレン誘導体として、例えばポリエチレングリコールは、数平均分子量が500〜100000のものが好ましく用いられる。
【0028】
これらのうち特に好適に用いられる(B)帯電防止剤としては、耐変色性が良好なポリエーテルエステルが特に好ましい。
【0029】
該帯電防止剤には、帯電防止性を向上させる目的で、溶出金属イオンが半導体搬送治具としての特性を損なわない範囲で金属塩等の塩類を添加してもよい。
【0030】
該帯電防止剤の配合量は、板状に賦形し、23℃、50%RHの下で電極-試料間距離20mm、印可電圧10kVで帯電させたときの飽和帯電圧が0.1kV以下であり、かつ、その半減衰時間が10秒以下である帯電防止性を、炭素系充填剤との相乗効果によって発現するに十分な量であり、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂100重量部当たり、0〜60重量部が好ましく、特に0〜50重量部が好ましい。この量は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとポリエチレングリコールの混合物からなる帯電防止剤では、熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、0.5〜7.5重量部であり、好ましくは0.75〜5重量部である。0.5重量部未満では十分な帯電防止性が得られず、7.5重量部を超えると成形時の熔融安定性が低下し好ましくない。また、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル等のポリエーテル誘導体では、熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、1〜60重量部であり、好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満では十分な炭素系充填剤との相乗効果が得られず、60重量部を超えると熱可塑性芳香族ポリエステルの特性が損なわれ好ましくない。
【0031】
本発明において用いられる(C)非金属系安定剤としては、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ブチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、サリチルアミド、グリシン等のα-ヒドロキシ又はα-アミノカルボン酸誘導体、1,3,5-シクロヘキサントリオール、1,2,3-シクロヘキサントリオール、イノシトール(シクロヘキサンヘキサオール)、ケブラキトール(2-o-メチル-L-イノシトール)等のシクロヘキサン環に水酸基が少なくとも3個結合した化合物、及びトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルジデシル(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール)ジホスファイト等のホスファイト化合物が挙げられる。これらのうち特に好適に用いられる(C)非金属系安定剤としては、リンゴ酸、イノシトール及び ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトのごときホスファイト化合物を挙げることができる。該非金属系安定剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0032】
該非金属系安定剤の配合量は熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、0.01〜5重量部である。好ましくは、0.03〜3重量部、更に好ましくは0.05〜1重量部である。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、核剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤、更に又難燃剤、衝撃改良剤、流動性改良剤等の改質剤を含有せしめることができる。また、成形時の反りを低減する等の目的でその他のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0034】
本発明の樹脂組成物の製造は、脱気処理を施した炭素系充填剤を他の組成物成分と共に熱可塑性芳香族ポリエステルと熔融混練することによって達成される。
【0035】
すなわち、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下となるように脱気処理を施した炭素系充填剤を他の熱組成物成分と共に熱可塑性芳香族ポリエステルと熔融混練することによって製造することができる。
【0036】
炭素系充填剤の揮発成分を低減する方法に関しては特に制限はなく、熱風乾燥、真空乾燥等の公知の脱気処理を採用することができる。
【0037】
熔融混練方法に関しては特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。すなわち、熱可塑性芳香族ポリエステル、(A)炭素系充填剤、(B)帯電防止剤、及び(C)非金属系安定剤をブレンダーなどを用いて均一混合した後、バンバリーミキサー、加熱ロールや単軸又は多軸押し出し機等を用いて230〜360℃、好ましくは230〜290℃の温度で熔融混練する方法など種々の方法により製造することができる。また、樹脂組成物の成分の一部を予め予備混練しておき、後に所定の配合比に調節して混練する方法も可能である。
【0038】
本発明の組成物は、記録媒体や液晶表示パネル等の搬送治具としても有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明を詳述する。尚、実施例中の部は重量部を意味する。更に、成形物の特性は下記方法により測定した。
【0040】
帯電防止性:
試料を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、環境温度23℃、相対湿度50%の下で、オネストメーター(シシド静電気(株)製スタチックH-0110)を用いて、電極-試料間距離20mm、印可電圧10kVで帯電させ、飽和電圧とその帯電圧が半分まで減衰するまでの時間(半減衰時間)を測定した。
【0041】
シリコンウェハ搬送治具としての評価:
成形条件 シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃
射出圧:600〜1000kg/cm2、射出率:60〜90cm3/sec
揮発ガス 試験片あるいはシリコンウェハキャリヤを5mm角のフレークス状粒子に粉砕して得た試料10gを150℃、1時間熱処理した時に発生する揮発ガスの量をヘッドスペース・ガス・クロマトグラフによって測定した。
ガスクロマトグラフ:HP6890
オーブン温度:initial:50℃、昇温速度10℃/min.、final:250℃
キャリヤーガス:0.67mi/min.;カラム:TC-1701
溶出金属 試験片あるいはシリコンウェハキャリヤを5mm角のフレークス状粒子に粉砕して得た試料10gを80℃の超純水80mlに2時間浸漬した後、超純水中に溶出したアルカリ金属の量を原子吸光光度計によって測定した。
【0042】
[実施例1]
MGFを120℃で15時間真空脱気処理した後、表1に記載の配合成分と共に予め均一にドライブレンドし、スクリュー径44mmのベント付き2軸押出し機を用いてシリンダー温度250℃〜260℃、スクリュー回転数160rpm、吐出量40kg/hにて熔融混練し、スレッド状に押出し、冷却後切断して成形用ペレットを得た。次いでこのペレットを用いて射出容量:147cm3の射出成形機にてシリンダー温度:250〜265℃、金型温度:50℃、冷却時間:10秒、及び全成形サイクル:20秒の条件で試験片を成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。実施例1は、良好な帯電防止性能を示し揮発性のガスや溶出金属が極めて少なく、半導体搬送治具や記録媒体や液晶表示パネル等の搬送治具に必要とされる実質的に浮遊パーティクルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイス表面を汚染することのない材料であった。
【0043】
[比較例1〜3]
炭素系充填剤に脱気処理を施さない以外は実施例1と同様な方法によって、表1に記載の配合成分を配合してなる樹脂組成物の特性を評価した。
比較例1では、十分な帯電防止性を示さず、比較例2では揮発ガスが多く、比較例3では揮発性ガス及び金属イオンの溶出量が大きく、半導体搬送治具に必要とされる帯電防止性能及び非汚染性のレベルに達せず、実用に供することはできなかった。
【0044】
[実施例2〜6]
炭素系充填剤を120℃で15時間真空脱気処理した後、表2に記載の配合成分を実施例1と同様な方法によって配合し特性を評価した。結果を表2に示す。いずれも良好な帯電防止性能を示し揮発性のガスや溶出金属が極めて少ないことがわかる。
【0045】
[実施例7]
炭素繊維を120℃で15時間真空脱気処理した後、表3に記載の配合成分を実施例1と同様な方法によって配合し成形用ペレットを得た。次いで射出成形機を用いてシリンダー温度:260℃、金型温度:80℃、及び全成形サイクル:120秒の条件で8インチ-シリコンウェハキャリヤを成形し、特性を評価した。帯電防止性能は、シリコンウェハキャリヤから5cm×5cmの大きさに切り出し評価した。表3に示すように、半導体搬送治具に必要とされる帯電防止性能を備え、優れた非汚染性を示した。
【0046】
【表1】
Figure 0003955675
【0047】
【表2】
Figure 0003955675
【0048】
【表3】
Figure 0003955675
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、実質的に浮遊パーティクルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイス表面を汚染することのない材料を提供することができる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、
    (A)炭素系充填剤3〜150重量部、
    (B)帯電防止剤0〜60重量部、
    (C)非金属系安定剤0.01〜5重量部
    を配合してなるポリエステル樹脂組成物であって、
    熱可塑性芳香族ポリエステルが、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が10ppm以下であり、80℃の超純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金属の量が50ppb以下であり、
    炭素系充填剤が炭素繊維及び/又は気相法成長グラファイトフィブリルであって、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下であり、
    かつ組成物とした時の150 ℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスが30ppm以下であり、帯電防止性を有していることを特徴とする、揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物。
  2. 熱可塑性芳香族ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびこれらの混合物の何れかである請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. (A)炭素系充填剤が、グラファイト構造を有している炭素系充填剤である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (B)帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミド、ポリアルキレンオキシド共重合体およびポリエーテルエステルよりなる群より選ばれる一種以上の高分子型帯電防止剤である請求項1、2又は3に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物の製造方法において、
    該ポリエステル樹脂組成物が熱可塑性芳香族ポリエステル 100 重量部に対し、
    (A)炭素系充填剤 3 150 重量部、
    (B)帯電防止剤 0 60 重量部、
    (C)非金属系安定剤 0.01 5 重量部
    を配合してなり、
    熱可塑性芳香族ポリエステルが 150 ℃で 1 時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が 10ppm 以下であり、 80 ℃の超純水の中で 2 時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金属の量が 50ppb 以下であり、
    炭素系充填剤が炭素繊維及び/又は気相法成長グラファイトフィブリルであって、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下となるように脱気処理を施した炭素系充填剤を熱可塑性芳香族ポリエステルと熔融混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物からなる半導体搬送治具。
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