JPH07242286A - 耐熱,導電性樹脂組成物、並びにこれを用いた耐熱icトレイ - Google Patents

耐熱,導電性樹脂組成物、並びにこれを用いた耐熱icトレイ

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JPH07242286A
JPH07242286A JP6031337A JP3133794A JPH07242286A JP H07242286 A JPH07242286 A JP H07242286A JP 6031337 A JP6031337 A JP 6031337A JP 3133794 A JP3133794 A JP 3133794A JP H07242286 A JPH07242286 A JP H07242286A
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JP
Japan
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resin
weight
heat
resin composition
resistant
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Application number
JP6031337A
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English (en)
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Masami Akiyama
雅美 秋山
Kaoru Ozawa
薫 小沢
Masami Yakura
正美 矢倉
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PLUS TEKU KK
Original Assignee
PLUS TEKU KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 150℃での使用に耐える耐熱性と、繰り返
し使用に対する耐久性に優れ、寸法精度、及び反り・歪
みなどの変形が少なく、形状安定性が高く、更に流動
性,成形加工性に優れた150℃耐熱用ICトレイを提
供する。 【構成】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜100重量
%、芳香族ポリカーボネート樹脂60〜0重量%からな
る樹脂組成物を基材とし、導電性カーボンブラックを3
〜20重量%、マイカ粉未を2〜20重量%含有する樹
脂組成物を射出成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非結晶性樹脂である芳
香族ポリスルホン樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂を
基材として、耐熱性、寸法安定性等に優れ、反りや歪な
どの変形も少ない樹脂成形品を製造でき、またこれに加
えて成形加工性も優れている樹脂組成物に関するもので
あり、特には、半導体電子部品であるICパッケージの
搬送やべ―キングなどの製造工程で使用される耐熱IC
トレイの成形素材として有用な樹脂組成物、並びにこれ
によって成形された耐熱ICトレイに関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】半導体電子部品であるICパッケージは、
製造工程において、薄い平板格子状のトレイ(パレット
と称される場合もある)に入れて取り扱う事が多い。こ
のICトレイには大きく分けて二つの種類があって、搬
送や保管用としては汎用プラスチックを基材とする素材
を用いた非耐熱用ICトレイが使用される。ベーキング
処理等の工程に用いるものとしては、エンジニアリング
プラスチックスを基材とする素材を用いた耐熱用ICト
レイが使用されている。本発明はこのうちで耐熱用IC
トレイ、及びその材料を対象としたものである。
【0003】ICパッケージの製造においては次のよう
な理由によってベーキング工程が必要とされている。す
なわち、ICパッケージの製造においては、パッケージ
内部を外気から封止するために通常リード線引出し部位
などを封止部材で封止することが行われているが、この
封止部材は比較的吸湿し易く、その結果ICパッケージ
をプリント配線基盤に実装する際のハンダ付け工程で熱
が加えられると吸湿している水分が急膨張し、封止部材
にクラツクを発生させてパッケージ内の回路などに支障
を来たすというトラブルが発生する事がある。そこでこ
の表面実装を行う前に、125℃で20〜40時間、あ
るいは150℃で5〜10時間の乾燥処理を行う事によ
って、封止部材の吸湿水分を除去することが一般に必要
とされているのである。
【0004】そして上記耐熱用ICトレイは、この乾燥
処理の工程でICパッケージを搬送するキャリアとして
使用される。
【0005】現在このような用途で使用されている耐熱
用ICトレイとして、125℃耐熱用としてはその成形
材料の基材として結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが用い
られており、一方、150℃耐熱用としては、非晶質の
変性ポリフェニレンエーテル(オキサイド)系樹脂(以
下「変性PPE」という)が主に用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年において
は種々の面から生産性向上の工夫が求められており、例
えば上記のべーキング工程では、その作業時間の短縮、
処理温度の高温化が求められている。またICトレイに
載せるICパッケージの高機能化、薄肉化に伴って、こ
れを取り扱うキャリア等としての耐熱ICトレイも、一
層の高寸法精度が求められるようになり、更に反りや歪
みなどの変形が高温時においでも一層少ないものが求め
られる様になってきている。
【0007】このような現状から、上記のICトレイ素
材のうちで、結晶性樹脂は寸法精度や形状安定性の面で
上記の要求に対して十分対応できない問題があり、寸法
精度や、反り・歪などの変形も少なく形状安定性に優れ
ている非晶質の変性PPE系樹脂を素材とした耐熱用I
Cトレイの需要が飛躍的に高まってきている。
【0008】しかしこの変性PPE系樹脂を素材とした
ICトレイは、150℃以上の高温下で使用すると樹脂
の構造や組成上から生ずる熱劣化によって物性の低下が
著しいために、割れ等の破損を生じ易く、繰り返しの使
用性について大きな制限があり、製造工程で使用する消
耗品のコスト負担が大きくなって最終製品の高コスト化
を招く問題や、資源の有効利用の観点からも無駄が多く
なるという実用面での課題が指摘され、これらを改善し
た新規な素材の提供が求められている。
【0009】また上記問題とは別に、一般的な熱成形品
と同様に、成形時の条件などに由来して、この150℃
耐熱用ICトレイにも潜在的な内部応力(元応力)が存
在することは避け難く、しかもこのICトレイが上述の
如く150℃という高温下で使用されるために、上記の
潜在的な内部応力がそのときに解放され、その結果、I
Cトレイの反りや歪みが経時的に現れるという問題もあ
る。
【0010】このような問題は既に従来から指摘されて
おり、内部応力を最小限に抑えてトレイの不良率をでき
るだけ少なくすること、特にICトレイの成形加工性を
改善すること、及び素材樹脂の射出成形時における流動
性を向上することが求められている。
【0011】このような観点から、例えば成形品である
ICトレイの内部応力を最小限に抑えるために、成形時
にアニール処理を行うことが知られている。
【0012】しかし、従来の方法によって成形された1
50℃耐熱用ICトレイでは、反りや歪の比較的起こり
難い素材では、その繰り返し使用の耐久性は10回以下
程度が限度であった。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、短時間
の乾燥処理のための150℃での使用に耐える耐熱性
と、繰り返し使用に対する耐久性(150℃耐熱使用で
の繰り返し使用で10回以上)に優れ、しかも寸法精
度、及び反り・歪みなどの変形が少なく、形状安定性が
高く、更に加えて流動性,成形加工性に優れた150℃
耐熱用ICトレイの成形材料に適した樹脂組成物を提供
し、またかかる素材を用いて、耐熱性等に優れた150
℃耐熱用ICトレイを提供するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らは芳香族ポリサルホン樹脂と芳香族ポリ
カーボネート樹脂、導電性カーボンブラック、マイカ粉
末、フッ素系樹脂あるいはシリコン系樹脂の少なくとも
いずれか一方、スチレン系樹脂あるいは芳香族ポリエス
テル樹脂の少なくとも一種を溶融混練して得られる樹脂
組成物より成形されるICトレイが上記の問題を解決す
ることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0015】すなわち本発明は 1)芳香族ポリスルホン樹脂40〜100重量%、芳香
族ポリカーボネート樹脂0〜60重量%からなる樹脂組
成物を基材とし、N2 吸着によるBET比表面積が24
0m2 /g以上である導電性カーボンブラックを3〜2
0重量%、シランカップリング剤で表面処理したマイカ
粉末を2〜20重量%を含有することを特徴とする耐
熱,導電性樹脂組成物。
【0016】2)上記の構成に加えて、フッ素系樹脂、
シリコン系樹脂の少なくともいずれか一方を0.1〜5
重量%含有することを特徴とする耐熱,導電性樹脂組成
物。
【0017】3)さらに加えて、芳香族ポリエステル樹
脂、スチレン系樹脂の少なくとも1種を3〜20重量%
含有する事を特徴とする耐熱,導電性樹脂組成物を提供
し、また、かかる樹脂組成物から成形された耐熱ICト
レイを提供するものである。
【0018】以下に、本発明を開発するに至った経緯を
含めてその詳細を説明する。
【0019】本発明において、基材である合成樹脂成分
は、150℃での耐熱性と成形品の寸法精度,形状安定
性(反り・歪みなどの変形が少ない)の観点から、エン
ジニアリングプラスチックスが適している。しかし結晶
性のエシジニアリングプラスチックスは、ガラス転移点
(Tg)がアニール処理やベーキング処理時の加熱温度
よりも大幅に低く、その結果、成形品の寸法安定性の低
下や、反り・歪みなどの変形を生じ、150℃耐熱用I
Cトレイとしては性能が不十分である。
【0020】一方非晶性樹脂は、結晶性樹脂に比べて成
形加工性、流動性が劣るものの、耐熱性の一つの目安で
あるガラス転移点(Tg)がアニール処理やベーキング
処理などの加熱温度150〜155℃より高いものが多
い。その中でも芳香族ポリスルホン系樹脂は、加熱によ
る寸法変化や、反り・歪みなどの変形度合も上記結晶性
樹脂よりも大幅に小さく、高温の耐熱用ICトレイの材
料組成物として適切であり、とりわけ総合的な性能、成
形加工性などから基材として好ましいことを本発明者は
見い出した。
【0021】かかる観点を起点として本発明はなされた
ものであり、その重要な点は基材として芳香族ポリスル
ホン系樹脂を主たる成分として用いるところにある。本
発明において主たる成分として用いる芳香族ポリスルホ
ン系樹脂は、アルカリフェノレート基と、電子吸引性ス
ルホン基で活性化された芳香族ハロゲン基を非プロトン
性極性溶媒中で縮合反応させることにより得られる重合
体であり、アリーレン単位がエーテル結合およびスルホ
ン結合によって結合された線状重合体である。本発明で
は、アリーレン単位が上記エーテル結合、スルホン結合
のほか更にイソプロピリデン結合で結合されたポリサル
ホン樹脂が好ましく使用されるが、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリルスルホン、ポリフェニルスルホン等の他
の芳香族ポリスルホン樹脂との混合物であっても良い。
【0022】上記基材は、芳香族ポリスルホン系樹脂と
共に芳香族ポリカーボネート樹脂を含有することができ
る。この芳香族ポリカーボネート樹脂は、2価のフェノ
ール類をホスゲン、ハロホルメート、カーボネートエス
テルなどと反応させて製造される。2価のフェノール類
は芳香核を1個以上含み、芳香核に直接結合したヒドロ
キシル基を少なくとも2個含有する。2価のフェノール
類としては、例えば、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ
フェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ
フェニル)トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)スピロビスインダン、2,
4−(ジヒドロキシジフェニル)メタン、ビス−(4−
ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3,5
−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、5−クロロ−
2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
ヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロジフェニル
エーテル、ビス(4−ジヒドロキシ−5−プロピルフェ
ニル)メタン、ビス(4−ジヒドロキシ−2,6−ジメ
チル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシ−2−エチルフェニル)エタン、2,
2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシ
ルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
l−フェニルプロパン、などがあげられる。
【0023】本発明では2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンから誘導されたホモポリマーや、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンか
ら誘導されたポリマーと2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)トリメチルシクロヘキサンから誘導された
ポリマーの共重合体が好ましく使用される。
【0024】本発明において基材樹脂が含有する芳香族
ポリカーボネート樹脂は60重量%以下、好ましくは5
5重量%以下、より好ましくは20〜55重量%とされ
る。芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量が60重量%
を越えると、樹脂の耐熱性が低下して150℃耐熱IC
トレイとしての目的を果たせなくなる。
【0025】本発明において添加される導電性カーボン
ブラックは、帯電性の防止、特に本発明の樹脂組成物に
よって150℃耐熱ICトレイを構成する場合にはIC
の静電破壊を防止するのに有効な成分として添加され
る。このような帯電性防止の目的のためには、理論的に
はその他の導電性物質、例えばカーボン繊維、メタル繊
維、金属酸化物、金属で表面コーティングした導電性無
機充填剤等を用いることも考えられるところであるが、
カーボンブラック以外の材料では、成形品の反りた歪み
や成形加工性が上記カーボンブラックに比べて劣るため
適当でない。導電性カーボンブラックの添加量は、樹脂
組成物の全重量のうち3〜20重量%、好ましくは6〜
15重量%の範囲として、成形品であるICトレイの表
面抵抗率が100 から1012Ωとなるようにすることが
好ましい。
【0026】導電性カーボンブラックの添加量が3重量
%より少ないと、導電性の低下のために上記帯電防止性
が不十分となつてICの静電破壊の虞れが大きくなる。
また反対に添加量が15重量%よりも多くなると、徐々
に物性,加工性が低下し、20重量%を越えると成形が
困難となる。なおカーボンブラックとしては、N2 吸着
によるBET比表面積が240m2 /g以上で、粒径が
小さく微細なもの、特にストラクチャーが発達している
もの、グラファイト化が進んでいるものが好ましい。
【0027】本発明においては、成形品の機械的強度を
向上させるために、マイカ粉末が補強材として添加され
る。
【0028】上記樹脂組成物成形品の機械強度向上(剛
性強度,耐熱性,寸法精度などの向上)のためには、一
般的にはガラス繊維やカーボン繊維等が用いられるが、
ガラス繊維やカーボン繊維のようにアスぺクト比が極端
に高いものは成形加工時に配向を起こし、成形品に反り
・歪みを発生させるばかりか、寸法精度低下の原因とな
るので好ましくない。
【0029】本発明で用いるマイカ粉末は、剛性や耐熱
性を上記の繊維状の補強材と同等に向上させることがで
き、しかも成形品の反り・歪みなどの変形を発生させる
ことがなく反対にこれらを是正できるという優れた特性
を有する。
【0030】本発明のマイカ粉末は、シランカップリン
グ剤で表面処理されたものが好ましい。この表面処理に
より、基材樹脂とマイカ粉末の界面の接着濡れ性が良好
となり、加工性、成形品のウェルド部における強度や成
形品の外観の向上が得られるからである。表面処理に使
用されるシランカップリング剤としては、γ‐アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ア
ミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等
で例示されるアミノシラン系カップリング剤を例示する
ことができ、これらのカップリング剤を、マイカ粉末1
00重量部に対して0.05〜5重量部、好ましくは
0.2〜2重量部の範囲で用いることができる。
【0031】マイカ粉末をシランカップリング剤により
表面処理する方法としては、シランカップリング剤を水
または水/アルコール混合液中に均一に分散混合した液
体を、粉末状またはスラリー状のマイカに撹拌しながら
添加し、均一に混合した後乾燥するマイカ粉末の直接処
理法と、上記基材にマイカ粉末とシランカップリング剤
を他の添加材と一緒に混合し、溶融混練するインテグラ
ルブレンド法による方法などを例示することができる
が、前者の直接処理法が好ましい。
【0032】マイカ粉末の添加量は、樹脂組成物の全重
量に対して2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%
の範囲である。2重量%未満では反り・歪みの変形を生
じ易く、その上、寸法精度も低くなって本発明の目的を
達成できない。反対に20重量%よりも多量になると加
工性や物性の低下を招く。
【0033】本発明においては、以上のような樹脂組成
物よりなる成形品の加工性・離型性の向上を図るため
に、更にフッ素系樹脂及びシリコン系樹脂の少なくとも
いずれか一方を添加することもできる。
【0034】これらの樹脂は、単独で用いても混合して
用いてもよいが、いずれの揚合にも樹脂組成物の全重量
のうちで0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量
%の範囲で添加され、これによって他の物性に悪影響を
及ぼすことなく加工性を向上させることができる。これ
らの樹脂の添加量が0.1重量%未満であると、期待す
る加工性向上の効果が殆ど得られない。反対に、添加量
が5重量%を越えると物性の低下や、外観の不良を来た
すという問題がある。用いるフッ素系樹脂としては例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン(通称;PTFE)、
4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(通
称;FEP)、4フッ化エチレン−エチレン共重合体
(通称;ETFE)などが例示され、特にはETFEが
好ましい。シリコン系樹脂としては例えば、シリコンゴ
ム微粉化品、及びそれらにメチルシリコン、エポキシ
基、アミノ基などの官能基を付加したもの、反応性ポリ
オルガノシロキサンと低密度ポリエチレン(通称;LD
PE)のグラフト共重合体が好ましく使用される。特に
は反応性ポリオルガノシロキサンとLDPEのグラフト
共重合体が好ましい。これらの樹脂を混合して添加する
場合には、好ましくは(フッ素系樹脂:シリコン系樹
脂)=1:2〜10:1、より好ましくは1:1から
4:1の範囲とすることがよい。
【0035】これらの範囲でフッ素系樹脂及びシリコン
系樹脂の混合物を添加した場合には流動性、成形加工性
が良くなり、例えばICトレイにおいて設けられること
がある0.3mm程度の幅細のリブの細部にまで樹脂の
回りが良好となり、また離型性も大幅に向上するという
効果が得られる。
【0036】本発明においては、樹脂のより一層の流動
性の向上をはかり、成形品の成形時の残留歪を減少させ
るために、更に芳香族ポリエステル樹脂、スチレン系樹
脂の少なくともいずれか一方を添加しても良い。これら
の樹脂は、単独で用いても混合して用いても良いが、い
ずれの場合にも樹脂組成物の全重量のうちで3〜20重
量%、好ましくは5〜10重量%の範囲で添加される。
これによって樹脂の流動性が大幅に向上し、成形品中の
残留歪が減少する事によって反りなどの変形が少なくな
る。これらの樹脂の添加量が3重量%未満であると期待
する効果が得られず、反対に添加量が20重量%を越え
ると物性の低下や、耐熱性の低下により成形品の反り・
歪が増加するという問題があるので上記範囲が好まし
い。熱可塑性の飽和ポリエステルである芳香族ポリエス
テル樹脂は、多価アルコールと芳香族多塩基酸との重縮
合により製造される。多価アルコールとしては、例えば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、テトラエチレングリコール、シクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、およびプロピレングリ
コールなどの脂肪族、脂環族グリコールがあげられる。
芳香族多塩基酸としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸などがあげられる。またスチレン系樹脂は、例えば
GPポリスチレン,HIポリスチレン、α−メチルスチ
レン変性ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル含有ポ
リスチレン、イミド化ポリスチレン、スチレン・ブタジ
エン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ス
チレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリ
ロニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・メチルメ
タクリレート共重合体などが挙げられる。
【0037】本発明のICトレイ製造用の樹脂組成物と
しては、以上の成分に加えて、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、滑剤など、ICトレイの成形用樹脂組成物において
通常使用される配合剤を必要に応じて添加することもで
きる。
【0038】以上の配合材を用いて耐熱、導電性樹脂組
成物を製造する方法としては、一般的な押出し機やニー
ダーなどで各成分を250〜320℃、好ましくは27
0〜300℃の温度で溶融混練して行なう方法を用いる
ことができる。押出し機やニーダーのような混練機を使
用する場合は、まず樹脂成分のみを溶融混練し、途中で
マイカ粉末及びカーボンブラックを投入し、混練するサ
イドフイード法を用いることができる。耐熱ICトレイ
はこれらの樹脂組成物を常法の射出成形法を用いて成形
することができる。
【0039】
【実施例】本発明を実施例ならびに比較例にしたがって
以下更に説明する。なお樹脂組成物の試験評価は以下の
方法に従った。
【0040】スパイラルフロー長 射出成形機IS−80EPN(東芝機械(株)製)を用
い、直径50mmφの半円スパイラル型の金型で成形温
度340℃、射出圧力120kgf/cm2 、金型温度
120℃の条件下で成形したときの流動長(cm)を測
定した。
【0041】成形品外観 射出成形機IS−170FIII(東芝機械(株)製)
を用い、成形品形状315mm×135mm×12mm
のICトレイ(ICパッケージ18個搭載可能)を射出
成形し、その外観を目視で観察し、ショートショット、
フローマーク、ガス焼けなどの発生の有無で良、不良を
判定した。
【0042】成形品の表面抵抗率 ロレスタAP(三菱油化社製)を用い、上記評価方法の
で成形したICトレイの任意の3カ所で測定した平均
値(Ω)で判定した。
【0043】成形品のウェルド強度 上記評価方法で成形したICトレイのウェルド部を両
手で折曲げ、破損の有無、及び状態を観察した。
【0044】成形品の反り・歪み 上記評価方法ので成形したICトレイを定盤上に置
き、隙間ゲージおよびハイトゲージを用い、中央部の反
り(mm)と、歪みの有無で判定した。
【0045】強度試験 上記評価方法ので成形したICトレイを10枚重ね、
幅9mmのポリプロピレン(PP)バンドで加締機を用
いて10kgfの張力で加締めた時のトレイの割れの有
無で判定した。
【0046】成形加工性 上記評価方法のでICトレイを成形したときの成形不
良品の割合で判定した。
【0047】なお上記評価方法〜については、いず
れも160℃、7時間のアニール処理、及び150℃、
10時間のベーキング処理を行ない、23℃の室温で2
4時間放冷後に測定を行なった。またについては上記
のアニール処理後、150℃×10時間、23℃×24
時間を1サイクルとして20サイクルまで熱処理を行な
い評価した。
【0048】参考例 平均粒径90μ、アスペクト比50のマイカ粉末を用意
し、マイカに対して1・0重量%となる量のγーアミノ
プロピルトリメトキシシランを、5倍量の水:アルコー
ル=1:9であるアルコール水溶液に加えて、完全に分
散するまで混合し、次にマイカ粉末をへンセルミキサー
で均一に撹拌しながら、上記混合液を数分間に亘って少
しづつ添加し、全量添加後、更に10分間撹拌した。次
に浅いトレイにこれを取り出して120℃で2時間乾燥
して、シランカップリング剤で表面処理したマイカ粉末
を作った。
【0049】実施例1〜13
【0050】
【化1】
【0051】をもつポリサルホン樹脂(30℃、Nーメ
チルー2ーピロリジノン中の固有粘度が0.43)、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンか
ら誘導された芳香族ポリカーボネート樹脂ホモポリマー
(25℃ジオキサン中の固有粘度が0.54)、
【0052】
【化2】
【0053】の基本構造をポリエーテルスルホン樹脂
(溶液100cc中に重合体1gを含むジメチルフォル
ムアミド溶液について、25℃で測定された還元粘度が
0.4)、フッ素系樹脂として4フッ化エチレン−エチ
レン共重合体(融点265℃ 330℃での溶融粘度1
4 ポイズ)、シリコン系樹脂としてオルガノシロキサ
ンとLDPEのグラフト共重合体(シリコーン含量40
重量%、200℃、荷重5kgでのメルトフローレート
が5)、BET比表面積が910m2 /gの導電性カー
ボンブラックと参考例で得られた表面処理マイカ粉末、
20℃でフェノール6/テトラクロルエタン4の混合溶
液中の固有粘度が0.72のポリエチレンテレフタレー
ト、アクリロニトリル/ポリブタジエン/スチレンの重
量比が25/24/52のアクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン・グラフト共重合体(ABS樹脂)を表1
の割合で配合し、噛合同方向回転二軸混練機(TEM−
35:東芝機械(株)製)を用いて280〜290℃で
溶融混練し、ぺレット状の樹脂組成物を作った。
【0054】
【表1】
【0055】この樹脂組成物を用いてICトレイを製造
して、上記〜の評価試験を行い、その結果を下記の
表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】比較例1〜5 実施例で使用した樹脂及び添加剤の配合を表3に示すよ
うに変更した以外は実施例と同様にしてぺレット状の樹
脂組成物を作った。
【0058】比較例6 繊維径15ミクロン、繊維長3mmのガラス繊維を用意
し、表3に示すように配合した以外は実施例と同様にし
てぺレット状の樹脂組成物を作った。
【0059】比較例7〜8 . 30℃でフェノール1/テトラクロルエタン1の混合溶
液中の固有粘度が1.2のポリブチレンテレフタレート
と、135℃デカリン中の固有粘度が0.75のポリプ
ロピレンホモポリマーを用意し、表3に示すように配合
した以外は実施例と同様にしてペレット状の樹脂組成物
を作った。
【0060】
【表3】
【0061】比較例9 市販のぺレット状変性PPE系耐熱ICトレイ用樹脂組
成物(商品名「マスタロイPOS110−EM10」;
三井東圧化学(株)製:280℃、荷重10kgでのメ
ルトフローレートが12で、18.6kg荷重での熱変
形温度が162℃)を用意した。
【0062】これらの樹脂組成物を用いてICトレイを
製造して、上記〜の評価試験を行い、その結果を下
記の表4に示した。
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族ポリスルホン樹
脂(あるいはこれに芳香族ポリカーボネート樹脂を混合
した樹脂)を基材とした樹脂組成物に、導電性カーボン
ブラックを添加することで成形品の帯電防止が得られ、
マイカ粉末を添加することで成形品の機械的強度を向上
して成形品の反り・歪などの変形を抑制するという効果
が得られる。また、この樹脂組成物を用いて成形した1
50℃耐熱ICトレイにおいては、寸法安定性、変形の
抑制などの点で従来にない優れた効果が得られる。
【0065】更にまた、上記樹脂組成物にフッ素系樹脂
及び/又はシリコン系樹脂を添加した場合には、成形加
工性の向上、外観の向上が得られるという効果がある。
【0066】また、上記樹脂組成物に更に芳香族ポリエ
ステル樹脂及び/又はスチレン系樹脂を添加した場合に
は、樹脂の流動性が一層向上し、成形品の反り・歪が減
少するという効果がある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 81/06 LRF // C08L 69/00 LPQ (C08L 81/06 69:00 83:04 25:00) B29K 81:00 B29L 22:00 C08L 27:12 67:03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜100重
    量%、芳香族ポリカーボネート樹脂0〜60重量%から
    なる樹脂組成物を基材とし、導電性カーボンブラックを
    3〜20重量%、マイカ粉末を2〜20重量%を含有
    し、かつ残部を上記基材とすることを特徴とする耐熱,
    導電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜100重
    量%、芳香族ポリカーボネート樹脂0〜60重量%から
    なる樹脂組成物を基材とし、導電性カーボンブラックを
    3〜20重量%、マイカ粉末を2〜20重量%、フッ素
    系樹脂,シリコン系樹脂の少なくともいずれか一方を
    0.1〜5重量%含有し、かつ残部を上記基材とするこ
    とを特徴とする耐熱,導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜100重
    量%、芳香族ポリカーボネート樹脂0〜60重量%から
    なる樹脂組成物を基材とし、導電性カーボンブラックを
    3〜20重量%、マイカ粉末を2〜20重量%、フッ素
    系樹脂,シリコン系樹脂の少なくともいずれか一方を
    0.1〜5重量%、芳香族ポリエステル樹脂、スチレン
    系樹脂の少なくとも1種を3〜20重量%含有し、かつ
    残部を上記基材とすることを特徴とする耐熱,導電性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 導電性カーボンブラックのN2 吸着によ
    るBET比表面積が240m2 /g以上であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱,導電性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 マイカ粉末がシランカップリング剤で表
    面処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の耐熱,導電性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のフッ素系樹脂が4フッ化
    エチレン−エチレン共重合体であり、かつシリコン系樹
    脂がオルガノシロキサンと低密度ポリエチレンのグラフ
    ト共重合体であることを特徴とする請求項2又は3に記
    載の耐熱,導電性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6に記載された樹脂組成物を
    射出成形した成形品であって、表面抵抗率が100 〜1
    12Ωであることを特徴とする150℃耐熱用のICト
    レイ。
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