JPH07238216A - 耐熱、導電性樹脂組成物並びにこれを用いた耐熱icトレイ - Google Patents

耐熱、導電性樹脂組成物並びにこれを用いた耐熱icトレイ

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JPH07238216A
JPH07238216A JP6031340A JP3134094A JPH07238216A JP H07238216 A JPH07238216 A JP H07238216A JP 6031340 A JP6031340 A JP 6031340A JP 3134094 A JP3134094 A JP 3134094A JP H07238216 A JPH07238216 A JP H07238216A
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tray
resin
heat
resistant
weight
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JP6031340A
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Masami Akiyama
雅美 秋山
Kaoru Ozawa
薫 小沢
Kazuo Fukuda
和夫 福田
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PLUS TEKU KK
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PLUS TEKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 150℃での使用に耐える耐熱性と、繰り返
し使用に対する耐久性に優れ、寸法精度、及び反り・歪
みなどの変形が少なく、形状安定性が高く、更に流動
性,成形加工性に優れた150℃耐熱用ICトレイを提
供する。 【構成】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜90重量%、
芳香族ポリカーボネート樹脂10〜60重量%、芳香族
ポリエステル樹脂0〜20重量%からなる樹脂組成物を
基材とし、導電性カーボンブラックを3〜20重量%、
マイカ粉未を2〜20重量%、亜鉛カルボン酸塩,酸化
亜鉛から選ばれた少なくとも一種を0.001〜1重量
%含有する耐熱、導電性樹脂組成物を射出成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非結晶性樹脂である芳
香族ポリスルホン樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂及
び芳香族ポリエステル樹脂を基材として、耐熱性、寸法
安定性等に優れ、反りや歪などの変形も少ない樹脂成形
品を製造でき、またこれに加えて成形加工性も優れてい
る樹脂組成物に関するものであり、特には、半導体電子
部品であるICパッケージの搬送やべ―キングなどの製
造工程で使用される耐熱ICトレイの成形素材として有
用な樹脂組成物、並びにこれによって成形された耐熱I
Cトレイに関するものである。
【0002】
【従来技術】半導体電子部品であるICパッケージは、
製造工程において、薄い平板格子状のトレイ(パレット
と称される場合もある)に入れて取り扱う事が多い。こ
のICトレイには大きく分けて二つの種類があって、搬
送や保管用としては汎用プラスチックを基材とする素材
を用いた非耐熱用ICトレイが使用される。ベーキング
処理等の工程に用いるものとしては、エンジニアリング
プラスチックスを基材とする素材を用いた耐熱用ICト
レイが使用されている。本発明はこのうちで耐熱用IC
トレイ、及びその材料を対象としたものである。
【0003】ICパッケージの製造においては次のよう
な理由によってベーキング工程が必要とされている。す
なわち、ICパッケージの製造においては、パッケージ
内部を外気から封止するために通常リード線引出し部位
などを封止部材で封止することがおこなわれているが、
この封止部材は比較的吸湿し易く、その結果ICパッケ
ージをプリント配線基板に実装する際のハンダ付け工程
で熱が加えられると吸湿している水分が急膨張し、封止
部材にクラックを発生させてパッケージ内の回路などに
支障を来たすというトラブルが発生する事がある。そこ
でこの表面実装を行う前に、125℃で20〜40時
間、あるいは150℃で5〜10時間の乾燥処理を行う
事によって、封止部材の吸湿水分を除去することが一般
に必要とされているのである。
【0004】そして上記耐熱用ICトレイは、この乾燥
処理の工程でICパッケージを搬送するキャリアとして
使用される。
【0005】現在このような用途で使用されている耐熱
用ICトレイとして、125℃耐熱用としてはその成形
材料の基材として結晶性樹脂であるポリプロピレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが用い
られており、一方、150℃耐熱用としては、非晶質の
変性ポリフェニレンエーテル(オキサイド)系樹脂(以
下「変性PPE」という)が主に用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年において
は種々の面から生産性向上の工夫が求められており、例
えば上記のべーキング工程では、その作業時間の短縮、
処理温度の高温化が求められている。またICトレイに
載せるICパッケージの高機能化、薄肉化に伴って、こ
れを取り扱うキャリア等としての耐熱ICトレイも、一
層の高寸法精度が求められるようになり、更に反りや歪
みなどの変形が高温時においても一層少ないものが求め
られる様になってきている。
【0007】このような現状から、上記のICトレイ素
材のうちで、結晶性樹脂は寸法精度や形状安定性の面で
上記の要求に対して十分対応できない問題があり、寸法
精度や、反り・歪などの変形も少なく形状安定性に優れ
ている非晶質の変性PPE系樹脂を素材とした耐熱用I
Cトレイの需要が飛躍的に高まってきている。
【0008】しかしこの変性PPE系樹脂を素材とした
ICトレイは、150℃以上の高温下で使用すると樹脂
の構造や組成上から生ずる熱劣化によって物性の低下が
著しいために、割れ等の破損を生じ易く、繰り返しの使
用性について大きな制限があり、製造工程で使用する消
耗品のコスト負担が大きくなって最終製品の高コスト化
を招く問題や、資源の有効利用の観点からも無駄が多く
なるという実用面での課題が指摘され、これらを改善し
た新規な素材の提供が求められている。
【0009】また上記問題とは別に、一般的な熱成形品
と同様に、成形時の条件などに由来して、この150℃
耐熱用ICトレイにも潜在的な内部応力(元応力)が存
在することは避け難く、しかもこのICトレイが上述の
如く150℃という高温下で使用されるために、上記の
潜在的な内部応力がそのときに解放され、その結果、I
Cトレイの反りや歪みが経時的に現れるという問題もあ
る。
【0010】このような問題は既に従来から指摘されて
おり、内部応力を最小限に抑えてトレイの不良率をでき
るだけ少なくすること、特にICトレイの成形加工性を
改善すること、及び素材樹脂の射出成形時における流動
性を向上することが求められている。
【0011】このような観点から、例えば成形品である
ICトレイの内部応力を最小限に抑えるために、成形時
にアニール処理を行うことが知られている。
【0012】しかし、従来の方法によって成形された1
50℃耐熱用ICトレイでは、反りや歪の比較的起こり
難い素材では、その繰り返し使用の耐久性は10回以下
程度が限度であった。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、短時間
の乾燥処理のための150℃での使用に耐える耐熱性
と、繰り返し使用に対する耐久性(150℃耐熱使用で
の繰り返し使用で10回以上)に優れ、しかも寸法精
度、及び反り・歪みなどの変形が少なく、形状安定性が
高く、更に加えて流動性,成形加工性に優れた150℃
耐熱用ICトレイの成形材料に適した樹脂組成物を提供
し、またかかる素材を用いて、耐熱性等に優れた150
℃耐熱用ICトレイを提供するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らは芳香族ポリサルホン樹脂、芳香族ポリ
カーボネート樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂を基材と
し、導電性カーボンブラック、マイカ粉末、及び、亜鉛
カルボン酸塩,酸化亜鉛から選ばれた少なくとも一種を
溶融混練して得られる樹脂組成物と、その樹脂組成物よ
り成形されるICトレイが上記の問題を解決することを
見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0015】すなわち本発明は芳香族ポリスルホン樹脂
40〜90重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂10〜
60重量%、芳香族ポリエステル樹脂0〜20重量%か
らなる樹脂組成物を基材とし、導電性カーボンブラック
を3〜20重量%、マイカ粉末を2〜20重量%、亜鉛
カルボン酸塩,酸化亜鉛から選ばれた少なくとも一種を
0.001〜1重量%含有し、かつ残部を上記基材とす
ることを特徴とする耐熱、導電性樹脂組成物を提供し、
また、かかる樹脂組成物から成形された耐熱ICトレイ
を提供するものである。
【0016】以下に、本発明を開発するに至った経緯を
含めてその詳細を説明する。
【0017】本発明において、基材である合成樹脂成分
は、150℃での耐熱性と成形品の寸法精度,形状安定
性(反り・歪みなどの変形が少ない)の観点から、エン
ジニアリングプラスチックスが適している。結晶性のエ
シジニアリングプラスチックスは、ガラス転移点(T
g)がアニール処理やベーキング処理時の加熱温度より
も大幅に低く、その結果、成形品の寸法安定性の低下
や、反り・歪みなどの変形を生じ、150℃耐熱用IC
トレイとしては性能が不十分である。
【0018】一方非晶性樹脂は、結晶性樹脂に比べて、
成形加工性、流動性が劣るが、耐熱性の一つの目安であ
るガラス転移点(Tg)がアニール処理やベーキング処
理などの加熱温度150〜155℃より高いものが多
い。その中でも、芳香族ポリスルホン系樹脂は加熱によ
る寸法変化や、反り・歪みなどの変形度合も上記結晶性
樹脂よりも大幅に小さく、高温の耐熱用ICトレイの材
料組成物として適切であり、とりわけ総合的な性能、成
形加工性などから基材として好ましい。
【0019】本発明の基材を構成する芳香族ポリスルホ
ン系樹脂は、アルカリフェノレート基と、電子吸引性ス
ルホン基で活性化された芳香族ハロゲン基を非プロトン
性極性溶媒中で縮合反応させることにより得られる重合
体であり、アリーレン単位がエーテル結合およびスルホ
ン結合によって結合された線状重合体である。本発明で
は、アリーレン単位が前記エーテル結合、スルホン結合
のほか更にイソプロピリデン結合で結合されたポリサル
ホン樹脂が好ましく使用されるが、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリルスルホン、ポリフェニルスルホン等の他
の芳香族ポリスルホン樹脂との混合物であっても良い。
【0020】上記基材は、上記芳香族ポリスルホン樹脂
と共に芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する。この芳
香族ポリカーボネート樹脂は、2価のフェノール類をホ
スゲン、ハロホルメート、カーボネートエステルなどと
反応させて製造される。2価のフェノール類は芳香核を
1個以上含み、芳香核に直接結合したヒドロキシル基を
少なくとも2個含有する。2価のフェノール類として
は、例えば、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)スピロビスインダン、2,4−
(ジヒドロキシジフェニル)メタン、ビス−(4−ヒド
ロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3,5−ジ
エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4’
−ジヒドロキシジフェニルスルホン、5−クロロ−2,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロ
キシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’
−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロジフェニルエーテ
ル、ビス(4−ジヒドロキシ−5−プロピルフェニル)
メタン、ビス(4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチル−
3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−2−エチルフェニル)エタン、2,2−ビス
(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−l−フ
ェニルプロパン、などがあげられる。本発明では2,2
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導
されたホモポリマーや、2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンから誘導されたポリマーと2,2
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)トリメチルシクロ
ヘキサンから誘導されたポリマーの共重合体が好ましく
使用される。
【0021】上記基材は更に、芳香族ポリエステル樹脂
を含有することができる。この芳香族ポリエステル樹脂
は、熱可塑性の飽和ポリエステルであり、多価アルコー
ルと芳香族多塩基酸との重縮合により製造される。多価
アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ
ール、およびプロピレングリコールなどの脂肪族、脂環
族グリコールがあげられる。芳香族多塩基酸としては、
例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸などがあげられる。
【0022】本発明において芳香族ポリスルホン樹脂と
共に基材に含有される芳香族ポリカーボネート樹脂及び
芳香族ポリエステル樹脂の含有量は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は10〜60重量%、好ましくは20〜55
重量%、芳香族ポリエステルは0〜20重量%、好まし
くは5〜15重量%である。芳香族ポリカーボネート樹
脂の含有量が60重量%を越えるか、芳香族ポリエステ
ル樹脂の含有量が20重量%を越えると、樹脂の耐熱性
が低下して150℃耐熱ICトレイとしての目的を果た
せなくなり、芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量が1
0重量%未満では加工性に劣る。
【0023】本発明において上記基材に添加される導電
性カーボンブラックは、帯電性の防止、特には本発明の
樹脂組成物により150°耐熱ICトレイの用途におい
て、ICの静電破壊を防止するのに有効な成分として添
加される。このような帯電性防止の目的のためには、理
論的にはその他の導電性物質、例えばカーボン繊維、メ
タル繊維、金属酸化物、金属で表面コーティングした導
電性無機充填剤等を用いることも考えられるところであ
るが、カーボンブラック以外の材料では、成形品の反り
や歪みや成形加工性が上記カーボンブラックに比べて劣
るため適当でない。導電性カーボンブラックの添加量
は、樹脂組成物の全重量のうち3〜20重量%、好まし
くは6〜15重量%の範囲として、成形品であるICト
レイの表面抵抗率が100 から1012Ωとなるようにす
ることが好ましい。
【0024】導電性カーボンブラックの添加量が3重量
%より少ないと、導電性の低下のために上記帯電防止性
が不十分となつてICの静電破壊の虞れが大きくなる。
また反対に添加量が15重量%よりも多くなると、徐々
に物性,加工性が低下し、20重量%を越えると成形が
困難となる。なおカーボンブラックとしては、N2 吸着
によるBET比表面積が240m2 /g以上で、粒径が
小さく微細なもの、特にストラクチャーが発達している
もの、グラファイト化が進んでいるものが好ましい。
【0025】本発明においては、樹脂組成物成形品の機
械的強度を向上させる目的で、マイカ粉末が補強材とし
て添加される。
【0026】このようなプラスチックスの機械強度向上
(剛性強度,耐熱性,寸法精度などの向上)のために
は、一般的にはガラス繊維やカーボン繊維等が用いられ
るが、ICトレイという用途用では、ガラス繊維やカー
ボン繊維のようにアスぺクト比が極端に高いものは成形
加工時に配向を起こし、成形品に反り・歪みを発生させ
るばかりか、寸法精度低下の原因となるので好ましくな
い。
【0027】本発明において採用されるマイカ粉末は、
剛性や耐熱性を上記の繊維状の補強材と同等に向上させ
ることができ、しかも成形品の反り・歪みなどの変形を
発生させることがなく反対にこれらを是正できるという
優れた特性を有する。
【0028】本発明で用いるマイカ粉末としては、シラ
ンカップリング剤で表面処理されたものが好ましい。こ
の表面処理により、基材樹脂とマイカ粉末の界面の接着
濡れ性が良好となり、加工性、成形品のウェルド部にお
ける強度や成形品の外観の向上が得られるからである。
表面処理に使用されるシランカップリング剤としては、
γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメト
キシシラン等で例示されるアミノシラン系カップリング
剤を例示することができ、これらのカップリング剤を、
マイカ粉末100重量部に対して0.05〜5重量部、
好ましくは0.2〜2重量部の範囲で用いることができ
る。
【0029】マイカ粉末をシランカップリング剤により
表面処理する方法としては、シランカップリング剤を水
または水/アルコール混合液中に均一に分散混合した液
体を、粉末状またはスラリー状のマイカに撹拌しながら
添加し、均一に混合した後乾燥するマイカ粉末の直接処
理法と、上記基材にマイカ粉末とシランカップリング剤
を他の添加材と一緒に混合し、溶融混練するインテグラ
ルブレンド法による方法などを例示することができる
が、前者の直接処理法が好ましい。
【0030】マイカ粉末の添加量は、樹脂組成物の全重
量に対して2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%
の範囲である。2重量%未満では反り・歪みの変形を生
じ易く、その上、寸法精度も低くなって本発明の目的を
達成できない。反対に20重量%よりも多量になると、
加工性や物性の低下を招く。
【0031】本発明の樹脂組成物には、樹脂の流動性向
上を図る目的で、亜鉛カルボン酸または酸化亜鉛から選
ばれた少なくとも一種が添加される。
【0032】本発明において使用される亜鉛カルボン酸
塩としては、例えばギ酸、シュウ酸、酢酸、カプロン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ベヘン酸、モンタン酸、2−メチルエイコ酸、
2−トリデシルペンタデカン酸などの飽和カルボン酸の
亜鉛塩、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノ
ール酸、エルカ酸、ステアロール酸、ベヘノール酸など
の不飽和カルボン酸の亜鉛塩、安息香酸などの芳香族カ
ルボン酸の亜鉛塩などが挙げられる。
【0033】本発明において使用される酸化亜鉛には、
亜鉛華として市販されているものを使用できるが、好ま
しくは粒径の細かいものが適している。
【0034】亜鉛カルボン酸塩及び/又は酸化亜鉛の添
加量は、樹脂組成物の全重量に対して0.001〜1重
量%、好ましくは0.05〜0.5重量%であることが
よい。0.001重量%未満では期待する効果が得られ
ないという問題がある。反対に添加量が1重量%を越え
ると、樹脂の衝撃強度が低下し、成形品が破壊し易くな
るという問題があるので上記範囲とされることが必要で
ある。
【0035】この範囲で亜鉛カルボン酸塩及び/又は酸
化亜鉛を添加した場合には、流動性、成形加工性が良く
なり、例えばICトレイにおいて設けられることがある
0.3mm程度の幅細のリブの細部にまで射出成形時に
おける樹脂の回りが良好になるという効果が得られる。
【0036】本発明のICトレイ製造用の樹脂組成物と
しては、以上の成分に加えて、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、滑剤など、ICトレイの成形用樹脂組成物において
通常使用される配合剤を必要に応じて添加することもで
きる。
【0037】以上の配合材を用いて樹脂組成物を製造す
る方法としては、一般的な押出し機やニーダーなどで各
成分を250〜320℃、好ましくは270〜300℃
の温度で溶融混練して行なう方法を用いることができ
る。押出し機やニーダーのような混練機を使用する場合
は、まず樹脂成分のみを溶融混練し、途中でマイカ粉末
及びカーボンブラックを投入し、混練するサイドフイー
ド法を用いることができる。耐熱ICトレイはこれらの
樹脂を常法の射出成形法を用いて成形することができ
る。
【0038】
【実施例】本発明を実施例ならびに比較例にしたがって
以下更に説明する。なお樹脂組成物の試験評価は以下の
方法に従った。
【0039】スパイラルフロー長 射出成形機IS−80EPN(東芝機械(株)製)を用
い、直径50mmφの半円スパイラル型の金型で成形温
度340℃、射出圧力120kgf/cm2 、金型温度
120℃の条件下で成形したときの流動長(cm)を測
定した。
【0040】成形品外観 射出成形機IS−170FIII(東芝機械(株)製)
を用い、成形品形状315mm×135mm×12mm
のICトレイ(ICパッケージ18個搭載可能)を射出
成形し、その外観を目視で観察し、ショートショット、
フローマーク、ガス焼けなどの発生の有無で良、不良を
判定した。
【0041】成形品の表面抵抗率 ロレスタAP(三菱油化社製)を用い、上記評価方法の
で成形したICトレイの任意の3カ所で測定した平均
値(Ω)で判定した。
【0042】成形品のウェルド強度 上記評価方法で成形したICトレイのウェルド部を両
手で折曲げ、破損の有無、及び状態を観察した。
【0043】成形品の反り・歪み 上記評価方法ので成形したICトレイを定盤上に置
き、隙間ゲージおよびハイトゲージを用い、中央部の反
り(mm)と、歪みの有無で判定した。
【0044】強度試験 上記評価方法ので成形したICトレイを10枚重ね、
幅9mmのポリプロピレン(PP)バンドで加締機を用
いて10kgfの張力で加締めた時のトレイの割れの有
無で判定した。
【0045】成形加工性 上記評価方法のでICトレイを成形したときの成形不
良品の割合で判定した。
【0046】なお上記評価方法〜については、いず
れも160℃、7時間のアニール処理、及び150℃、
10時間のベーキング処理を行ない、23℃の室温で2
4時間放冷後に測定を行なった。またについては前記
のアニール処理後、150℃×10時間、23℃×24
時間を1サイクルとして20サイクルまで熱処理を行な
い評価した。
【0047】参考例 平均粒径90μ、アスペクト比50のマイカ粉末を用意
し、マイカに対して1・0重量%となる量のγーアミノ
プロピルトリメトキシシランを、5倍量の水:アルコー
ル=1:9であるアルコール水溶液に加えて、完全に分
散するまで混合し、次にマイカ粉末をへンセルミキサー
で均一に撹拌しながら、上記混合液を数分間に亘って少
しづつ添加し、全量添加後、更に10分間撹拌した。次
に浅いトレイにこれを取り出して120℃で2時間乾燥
して、シランカップリング剤で表面処理したマイカ粉末
を作った。
【0048】実施例1〜6
【0049】
【化1】
【0050】をもつポリサルホン樹脂(30℃、Nーメ
チルー2ーピロリジノン中の固有粘度が0.43)、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンか
ら誘導された芳香族ポリカーボネート樹脂ホモポリマー
(25℃ジオキサン中の固有粘度が0.54)、20℃
でフェノール6/テトラクロルエタン4の混合溶液中の
固有粘度が0.72のポリエチレンテレフタレート、B
ET比表面積が910m2/gの導電性カーボンブラッ
クと参考例で得られた表面処理マイカ粉末、およびステ
アリン酸亜鉛、平均粒径0.04μの酸化亜鉛を表1の
割合で配合し、噛合同方向回転二軸混練機(TEM−3
5:東芝機械(株)製)を用いて280〜290℃で溶
融混練し、ぺレット状の樹脂組成物を作った。
【0051】
【表1】
【0052】この樹脂組成物を用いてICトレイを製造
して、上記〜の評価試験を行い、その結果を下記の
表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】比較例1〜9 実施例で使用した樹脂及び添加剤の配合を表3に示すよ
うに変更した以外は実施例と同様にしてぺレット状の樹
脂組成物を作った。
【0055】
【表3】
【0056】これらの樹脂組成物を用いてICトレイを
製造して、上記〜の評価試験を行い、その結果を下
記の表4に示した。
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族ポリスルホン樹
脂と芳香族ポリカーボネート樹脂、あるいは更に芳香族
ポリエステル樹脂を基材とした樹脂組成物に、導電性カ
ーボンブラックを添加することで成形品の帯電防止が図
られ、マイカ粉末を添加することで成形品の機械的強度
が向上して成形品の反り・歪などの変形が抑制されると
いう効果が得られる。
【0059】また、亜鉛カルボン酸塩及び/又は酸化亜
鉛を添加することで樹脂の溶融流動性が向上するという
効果がある。
【0060】又更に、この樹脂組成物を用いて成形した
150°耐熱ICトレイにおいては、寸法安定性、変形
の抑制などの点で従来にない優れた効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B65D 85/86

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリスルホン樹脂40〜90重量
    %、芳香族ポリカーボネート樹脂10〜60重量%、芳
    香族ポリエステル樹脂0〜20重量%からなる樹脂組成
    物を基材とし、導電性カーボンブラックを3〜20重量
    %、マイカ粉末を2〜20重量%、亜鉛カルボン酸塩,
    酸化亜鉛から選ばれた少なくとも一種を0.001〜1
    重量%含有し、かつ残部を上記基材とすることを特徴と
    する耐熱、導電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1の耐熱、導電性樹脂組成物を射
    出成形した成形品であって、表面抵抗率が100 〜10
    12Ωであることを特徴とする150℃耐熱ICトレイ。
JP6031340A 1994-03-01 1994-03-01 耐熱、導電性樹脂組成物並びにこれを用いた耐熱icトレイ Pending JPH07238216A (ja)

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