JPH11269362A - 揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる半導体搬送冶具 - Google Patents

揮発性ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる半導体搬送冶具

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JPH11269362A
JPH11269362A JP7752998A JP7752998A JPH11269362A JP H11269362 A JPH11269362 A JP H11269362A JP 7752998 A JP7752998 A JP 7752998A JP 7752998 A JP7752998 A JP 7752998A JP H11269362 A JPH11269362 A JP H11269362A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的に浮遊パーティクルの付着や静電気放
電によるデバイス障害を起こさず、揮発性のガスや有機
物、金属イオンによってデバイス表面を汚染することの
ない材料を提供する。 【解決手段】 熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部
に対し、(A)炭素系充填剤3〜150重量部、(B)帯電
防止剤0〜60重量部、(C)非金属系安定剤0.01〜5重量
部を配合してなるポリエステル樹脂組成物であって、熱
可塑性芳香族ポリエステルが、150℃で1時間加熱した時
に発生する揮発ガスの量が10ppm以下であり、80℃の超
純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金
属の量が50ppb以下であり、炭素系充填剤が、150℃に1
時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下であ
り、かつ組成物とした時の揮発ガスが30ppm以下であ
り、帯電防止性を有していることを特徴とする、揮発性
ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揮発性ガスの極め
て少ないポリエステル樹脂組成物に関する。さらに詳し
くは、揮発ガス成分が特定の範囲にあり有機物の付着・
凝縮による汚染が極めて少ないポリエステル樹脂組成
物、その製造方法及びそれからなる半導体搬送治具に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体搬送治具の分野にはポリエ
ステル樹脂が多く用いられているが、最近シリコンウェ
ハーの大型化が進み搬送治具材料に対して剛性の向上が
求められている。また、LSIの高集積化が急速に進み、
半導体プロセスに対するクリーン度の要求レベルはます
ます厳しくなってきている。デバイス特性に影響を与え
る半導体製造プロセス中の汚染としては、パーティク
ル、金属、有機物などが挙げられる。シリコンウェハー
や液晶基板の帯電は、製造歩留まり及び製品の信頼性に
重大な悪影響を及ぼす。静電気による浮遊パーティクル
の付着や静電気放電によるデバイス障害が問題となり、
これらの静電気障害は、集積回路の高集積化に伴います
ます顕在化してきている。
【0003】これまでプラスチックスに帯電防止性を付
与する方法として、低分子の帯電防止剤やカーボンブラ
ックなどの導電性のフィラーを配合する方法が取られて
きた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の材料は、低湿度の環境では帯電防止性能が低下した
り、揮発性のガスや有機物がデバイス表面を汚染するこ
とから、半導体製造プロセスに適用することは難しく、
さらなる改良が望まれる。
【0005】本発明は上述の事情を背景としてなされた
ものであり、その目的は新規な揮発性ガスの極めて少な
いポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、実質的に浮遊パーテ
ィクルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさ
ず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイ
ス表面を汚染することのない材料を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、汚染物質
の発生が極めて少なく、帯電防止性を備えたポリエステ
ル樹脂組成物を開発すべく鋭意検討した結果、特定の炭
素系充填剤を配合した、揮発ガス成分が特定の範囲にあ
るポリエステル樹脂組成物が、優れた成形性を示すと共
に、揮発性のガスや有機物によって製品表面を汚染する
ことがなく、実質的に浮遊パーティクルが付着しない帯
電防止性を有していることを見いだし本発明に到達し
た。
【0008】本発明によれば、上記目的及び利点は、熱
可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、(A)炭
素系充填剤3〜150重量部、(B)帯電防止剤0〜60重量
部、(C)非金属系安定剤0.01〜5重量部を配合してな
るポリエステル樹脂組成物であって、熱可塑性芳香族ポ
リエステルが、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発
ガスの量が10ppm以下であり、80℃の超純水の中で2時間
浸漬処理した時に溶出するアルカリ金属の量が50ppb以
下であり、炭素系充填剤が、150℃に1時間加熱した時に
発生する揮発成分が10ppm以下であり、かつ組成物とし
た時の揮発ガスが30ppm以下であり、帯電防止性を有し
ていることを特徴とする、揮発性ガスの極めて少ないポ
リエステル樹脂組成物によって達成される。
【0009】以下に、本発明を詳述する。本発明におい
て用いられる熱可塑性芳香族ポリエステルは、その酸成
分がテレフタル酸またはナフタリンジカルボン酸であ
り、ジオール成分がエチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール等のごとき脂肪
族ジオールの少なくとも1種である芳香族ポリエステル
である。
【0010】これらの中でポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましい。
【0011】また熱可塑性芳香族ポリエステルとしては
上述のポリエステルの一部を共重合成分が置換したもの
でもよく、かかる共重合成分としては、イソフタル酸、
フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸等
のアルキル置換フタル酸;2,6-ナフタリンジカルボン
酸、2,7-ナフタリンジカルボン酸、1,5-ナフタリンジ
カルボン酸等のナフタリンジカルボン酸類;4,4’-ジ
フェニルジカルボン酸、3,4’-ジフェニルジカルボン
酸等のジフェニルジカルボン酸類;4,4’-ジフェノキ
シエタンジカルボン酸等のジフェノキシエタンジカルボ
ン酸類などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族又は脂環族ジ
カルボン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの
脂環族ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン等のジヒ
ドロキシベンゼン類;2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)スルホン等のビスフェノール類;ビスフェノール類
とエチレングリコールのごときグリコールとから得られ
るエーテルジオールなどの芳香族ジオール、ε-オキシ
カプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ
安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられる。
【0012】さらに上述の芳香族ポリエステルに分岐成
分として、トリメシン酸、トリメリット酸のごとき多官
能性のエステル形成能を有する酸又はグリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能
のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以
下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル
%以下の割合で共重合せしめてもよい。
【0013】本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエ
ステルは極限粘度数が0.4〜1.2である。0.4より小さい
と十分な特性が得られず、1.2より大きくなると熔融粘
度が高く流動性が低下して成形性が損なわれるため好ま
しくない。ここで極限粘度数(固有粘度と同じ)は35℃
でo-クロルフェノールを溶媒として測定したものであ
る。
【0014】本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエ
ステルの製造法をポリブチレンテレフタレートを例にと
って示すと、テレフタル酸を主とするジカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体とテトラメチレングリコー
ルを主とするジヒドロキシ化合物またはそのエステル形
成性誘導体とを重縮合触媒の存在下に液相重縮合させた
後、ペレット化して更に180℃〜225℃、常圧の条件で窒
素雰囲気下で2〜24時間固相重縮合反応を行うことによ
り得ることができる。
【0015】本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエ
ステルは、150℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガス
の量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下であり、80℃の
超純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ
金属の量が50ppb以下、好ましくは10ppb以下である。
【0016】熱可塑性芳香族ポリエステルの揮発ガス発
生量は、ペレット状試料10gについて測定した値であ
り、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフにより検出
した値である。
【0017】熱可塑性芳香族ポリエステルのアルカリ金
属溶出量は、ペレット状試料10gを80℃の超純水80mlに2
時間浸漬した後、超純水中に溶出したアルカリ金属の量
を原子吸光光度計により測定した値である。
【0018】本発明において用いられる(A)炭素系充
填剤は、150℃に1時間加熱した時に発生する揮発成分が
10ppm以下、好ましくは5ppm以下である炭素系充填剤で
ある。
【0019】炭素系充填剤としては、ファーナスブラッ
ク、アセチレンブラック等のごとき粒状又は無定形の充
填剤;グラファイト等のごとき燐片状の充填剤;炭素繊
維、気相成長グラファイトフィブリル等のごとき繊維状
の充填剤が挙げられる。これらのうち、グラファイト構
造を有している炭素系充填剤が特に好ましい。
【0020】炭素系充填剤の揮発成分発生量は、試料5g
について測定した値であり、ヘッドスペース・ガス・ク
ロマトグラフにより検出したTHF換算値である。
【0021】一般に、炭素系の充填剤は活性な表面を有
しているために様々な揮発成分が吸着されている。本発
明者らは、これらの成分が熱可塑性芳香族ポリエステル
と熔融混練される際に触媒的に作用して熱可塑性芳香族
ポリエステルの分解を促進するために、揮発ガスの発生
量の増大につながることを見出した。
【0022】更に、組成物とした時の揮発ガスを低減す
る方策を鋭意検討した結果、150℃に1時間加熱した時に
発生する炭素系充填剤からの揮発成分を10ppm以下とす
ることによって組成物中の揮発ガスを30ppm以下に抑え
ることが可能となり、実質的に揮発ガスによる製品表面
の汚染がなくなることを見出した。
【0023】該炭素系充填剤の配合量は熱可塑性芳香族
ポリエステル100重量部に対し、3〜150重量部である。
好ましくは、3〜120重量部、更に好ましくは5〜100重量
部である。
【0024】本発明のポリエステル樹脂組成物は、150
℃で1時間加熱した時に発生する揮発ガスの量が30ppm以
下、好ましくは20ppm以下である。揮発ガスの発生量が3
0ppmを超えると、揮発ガスによる半導体搬送治具の表面
汚染がシリコンウェハー等の品質を害し、後にシリコン
ウェハーを加工してえられるLSI等の電子デバイスの製
品欠陥の原因となる。
【0025】ポリエステル樹脂組成物の熱処理により発
生する揮発ガスは主に有機ガスであり、例えば、テトラ
ヒドロフラン、3-ブテン-1-オール、アセトアルデヒ
ド、アセトン等である。これらの揮発ガスはシリコンウ
ェハー等の製品の表面上に凝縮し、あるいは半導体搬送
治具自身の表面に凝縮したものが製品表面に転写される
などして製品を汚染する。
【0026】本発明における帯電防止性とは、シリコン
ウェハーや液晶基板の製造工程において歩留まり及び製
品の信頼性に重大な悪影響を及ぼす帯電がなく、実質的
に静電気による浮遊パーティクルの付着や静電気放電を
引き起こさない帯電防止性である。その評価基準とし
て、板状に賦形し、23℃、50%RHの下で電極-試料間距離
20mm、印可電圧10kVで帯電させたときの飽和帯電圧が0.
1kV以下であり、かつ、その半減衰時間が10秒以下であ
る帯電防止性を備えていれば、製造工程での歩留まりや
製品の信頼性に悪影響を及ぼすことはなく、半導体搬送
治具としての商品価値を高めることが判明した。
【0027】本発明の組成物には、炭素系充填剤との相
乗作用によって帯電防止性能を高める目的で(B)帯電
防止剤が配合される。本発明において用いられる(B)
帯電防止剤としては、高分子型帯電防止剤類が挙げられ
る。好適な高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレン
グリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルアミ
ド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド
イミド、ポリアルキレンオキシド重合体、ポリエチレン
オキシドーエピクロルヒドリン共重合体、ポリウレタン
およびポリエーテルエステルを挙げることができる。ポ
リオキシエチレン誘導体として、例えばポリエチレング
リコールは、数平均分子量が500〜100000のものが好ま
しく用いられる。
【0028】これらのうち特に好適に用いられる(B)
帯電防止剤としては、耐変色性が良好なポリエーテルエ
ステルが特に好ましい。
【0029】該帯電防止剤には、帯電防止性を向上させ
る目的で、溶出金属イオンが半導体搬送治具としての特
性を損なわない範囲で金属塩等の塩類を添加してもよ
い。
【0030】該帯電防止剤の配合量は、板状に賦形し、
23℃、50%RHの下で電極-試料間距離20mm、印可電圧10kV
で帯電させたときの飽和帯電圧が0.1kV以下であり、か
つ、その半減衰時間が10秒以下である帯電防止性を、炭
素系充填剤との相乗効果によって発現するに十分な量で
あり、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂100重量部当た
り、0〜60重量部が好ましく、特に0〜50重量部が好まし
い。この量は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウムとポリエチレングリコールの混合物からなる帯電
防止剤では、熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に
対し、0.5〜7.5重量部であり、好ましくは0.75〜5重量
部である。0.5重量部未満では十分な帯電防止性が得ら
れず、7.5重量部を超えると成形時の熔融安定性が低下
し好ましくない。また、ポリエーテルエステルアミド、
ポリエーテルエステル等のポリエーテル誘導体では、熱
可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し、1〜60重量
部であり、好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満
では十分な炭素系充填剤との相乗効果が得られず、60重
量部を超えると熱可塑性芳香族ポリエステルの特性が損
なわれ好ましくない。
【0031】本発明において用いられる(C)非金属系
安定剤としては、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ブチル、サ
リチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニ
ル、サリチルアミド、グリシン等のα-ヒドロキシ又は
α-アミノカルボン酸誘導体、1,3,5-シクロヘキサント
リオール、1,2,3-シクロヘキサントリオール、イノシト
ール(シクロヘキサンヘキサオール)、ケブラキトール
(2-o-メチル-L-イノシトール)等のシクロヘキサン環
に水酸基が少なくとも3個結合した化合物、及びトリス
(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタ
エリスリトールジホスファイト、ジフェニルジデシル
(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール)ジホスフ
ァイト等のホスファイト化合物が挙げられる。これらの
うち特に好適に用いられる(C)非金属系安定剤として
は、リンゴ酸、イノシトール及び ジステアリルペンタ
エリスリトールジホスファイトのごときホスファイト化
合物を挙げることができる。該非金属系安定剤は、単独
で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0032】該非金属系安定剤の配合量は熱可塑性芳香
族ポリエステル100重量部に対し、0.01〜5重量部であ
る。好ましくは、0.03〜3重量部、更に好ましくは0.05
〜1重量部である。
【0033】本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を
損なわない範囲で、核剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、顔料等の添加
剤、更に又難燃剤、衝撃改良剤、流動性改良剤等の改質
剤を含有せしめることができる。また、成形時の反りを
低減する等の目的でその他のポリマーをブレンドするこ
とも可能である。
【0034】本発明の樹脂組成物の製造は、脱気処理を
施した炭素系充填剤を他の組成物成分と共に熱可塑性芳
香族ポリエステルと熔融混練することによって達成され
る。
【0035】すなわち、150℃に1時間加熱した時に発生
する揮発成分が10ppm以下となるように脱気処理を施し
た炭素系充填剤を他の熱組成物成分と共に熱可塑性芳香
族ポリエステルと熔融混練することによって製造するこ
とができる。
【0036】炭素系充填剤の揮発成分を低減する方法に
関しては特に制限はなく、熱風乾燥、真空乾燥等の公知
の脱気処理を採用することができる。
【0037】熔融混練方法に関しては特に制限はなく、
公知の方法を採用することができる。すなわち、熱可塑
性芳香族ポリエステル、(A)炭素系充填剤、(B)帯
電防止剤、及び(C)非金属系安定剤をブレンダーなど
を用いて均一混合した後、バンバリーミキサー、加熱ロ
ールや単軸又は多軸押し出し機等を用いて230〜360℃、
好ましくは230〜290℃の温度で熔融混練する方法など種
々の方法により製造することができる。また、樹脂組成
物の成分の一部を予め予備混練しておき、後に所定の配
合比に調節して混練する方法も可能である。
【0038】本発明の組成物は、記録媒体や液晶表示パ
ネル等の搬送治具としても有用である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明を詳述する。尚、
実施例中の部は重量部を意味する。更に、成形物の特性
は下記方法により測定した。
【0040】帯電防止性:試料を温度23℃、相対湿度50
%の雰囲気下で24時間調湿した後、環境温度23℃、相対
湿度50%の下で、オネストメーター(シシド静電気
(株)製スタチックH-0110)を用いて、電極-試料間距
離20mm、印可電圧10kVで帯電させ、飽和電圧とその帯電
圧が半分まで減衰するまでの時間(半減衰時間)を測定
した。
【0041】 シリコンウェハ搬送治具としての評価: 成形条件 シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃ 射出圧:600〜1000kg/cm2、射出率:60〜90cm3/sec 揮発ガス 試験片あるいはシリコンウェハキャリヤを5mm角のフレークス状粒 子に粉砕して得た試料10gを150℃、1時間熱処理した時に発生する揮発ガスの量 をヘッドスペース・ガス・クロマトグラフによって測定した。 ガスクロマトグラフ:HP6890 オーブン温度:initial:50℃、昇温速度10℃/min.、final:250℃ キャリヤーガス:0.67mi/min.;カラム:TC-1701 溶出金属 試験片あるいはシリコンウェハキャリヤを5mm角のフレークス状粒 子に粉砕して得た試料10gを80℃の超純水80mlに2時間浸漬した後、超純水中に溶 出したアルカリ金属の量を原子吸光光度計によって測定した。
【0042】[実施例1]MGFを120℃で15時間真空脱気
処理した後、表1に記載の配合成分と共に予め均一にド
ライブレンドし、スクリュー径44mmのベント付き2
軸押出し機を用いてシリンダー温度250℃〜260
℃、スクリュー回転数160rpm、吐出量40kg/
hにて熔融混練し、スレッド状に押出し、冷却後切断し
て成形用ペレットを得た。次いでこのペレットを用いて
射出容量:147cm3の射出成形機にてシリンダー温
度:250〜265℃、金型温度:50℃、冷却時間:
10秒、及び全成形サイクル:20秒の条件で試験片を
成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。実施例1
は、良好な帯電防止性能を示し揮発性のガスや溶出金属
が極めて少なく、半導体搬送治具や記録媒体や液晶表示
パネル等の搬送治具に必要とされる実質的に浮遊パーテ
ィクルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさ
ず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイ
ス表面を汚染することのない材料であった。
【0043】[比較例1〜3]炭素系充填剤に脱気処理
を施さない以外は実施例1と同様な方法によって、表1
に記載の配合成分を配合してなる樹脂組成物の特性を評
価した。比較例1では、十分な帯電防止性を示さず、比
較例2では揮発ガスが多く、比較例3では揮発性ガス及
び金属イオンの溶出量が大きく、半導体搬送治具に必要
とされる帯電防止性能及び非汚染性のレベルに達せず、
実用に供することはできなかった。
【0044】[実施例2〜6]炭素系充填剤を120℃
で15時間真空脱気処理した後、表2に記載の配合成分
を実施例1と同様な方法によって配合し特性を評価し
た。結果を表2に示す。いずれも良好な帯電防止性能を
示し揮発性のガスや溶出金属が極めて少ないことがわか
る。
【0045】[実施例7]炭素繊維を120℃で15時
間真空脱気処理した後、表3に記載の配合成分を実施例
1と同様な方法によって配合し成形用ペレットを得た。
次いで射出成形機を用いてシリンダー温度:260℃、
金型温度:80℃、及び全成形サイクル:120秒の条
件で8インチ-シリコンウェハキャリヤを成形し、特性
を評価した。帯電防止性能は、シリコンウェハキャリヤ
から5cm×5cmの大きさに切り出し評価した。表3
に示すように、半導体搬送治具に必要とされる帯電防止
性能を備え、優れた非汚染性を示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、実質的に浮遊パーティ
クルの付着や静電気放電によるデバイス障害を起こさ
ず、揮発性のガスや有機物、金属イオンによってデバイ
ス表面を汚染することのない材料を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77:12)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部
    に対し、(A)炭素系充填剤3〜150重量部、(B)帯電
    防止剤0〜60重量部、(C)非金属系安定剤0.01〜5重量
    部を配合してなるポリエステル樹脂組成物であって、熱
    可塑性芳香族ポリエステルが、150℃で1時間加熱した時
    に発生する揮発ガスの量が10ppm以下であり、80℃の超
    純水の中で2時間浸漬処理した時に溶出するアルカリ金
    属の量が50ppb以下であり、炭素系充填剤が、150℃に1
    時間加熱した時に発生する揮発成分が10ppm以下であ
    り、かつ組成物とした時の揮発ガスが30ppm以下であ
    り、帯電防止性を有していることを特徴とする、揮発性
    ガスの極めて少ないポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性芳香族ポリエステルが、ポリエ
    チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
    ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート
    およびこれらの混合物の何れかである請求項1に記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)炭素系充填剤が、グラファイト構
    造を有している炭素系充填剤である請求項1又は2に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)炭素系充填剤が、炭素繊維及び/
    又は気相法成長グラファイトフィブリルである請求項1
    又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (B)帯電防止剤が、ポリエーテルエス
    テルアミド、ポリアルキレンオキシド共重合体およびポ
    リエーテルエステルよりなる群より選ばれる一種以上の
    高分子型帯電防止剤である請求項1、2、3又は4に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 揮発性ガスの極めて少ないポリエステル
    樹脂組成物の製造方法において、150℃に1時間加熱した
    時に発生する揮発成分が10ppm以下となるように脱気処
    理を施した炭素系充填剤を熱可塑性芳香族ポリエステル
    と熔融混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成
    物からなる半導体搬送治具。
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