JP2007534308A - 複数のフルオロフォアで標識したオリゴヌクレオチド - Google Patents

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Abstract

本発明の1つの態様は、スペクトル的に同一または類似の複数の色素、および所望により1つまたはそれより多くのクエンチャー色素でオリゴヌクレオチドを標識することにより、標識核酸のプローブおよびプライマーをデザインするための新規方法を開示する。本発明の一部の態様に従って標識したオリゴヌクレオチドは、シグナル、例えばラベリング色素から互いに引き離される時の蛍光シグナルにおける、検出可能な増加を呈する。色素を引き離すための方法は、5’−エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を使用することを含む標識オリゴヌクレオチドを開裂することを含む。1つの態様において本発明の核酸プライマーは、標的配列へのハイブリダイゼーション、および増幅産物中への組み込みで蛍光を発してよい。本発明の核酸のプローブおよびプライマーは、標的核酸配列の一般的検出から臨床診断までの範囲に及ぶ広い適用を有する。本発明の多くの態様の核酸のプローブおよびプライマーを含むオリゴヌクレオチドの主要な利点は、それらの合成の平易であること、スペクトルの用途の広さ、および優れた蛍光シグナルである。
【選択図】図1

Description

(主張の優先権)
本出願は、2003年11月19日に提出された米国仮特許出願第60/523,263号の利益を主張し、同文献をその全内容において本明細書にて援用する。
(背景)
本発明は全体として、スペクトル的に同一または類似の複数の色素、および所望により1つまたはそれより多くのクエンチャー色素で標識したオリゴヌクレオチド、ならびに標識オリゴヌクレオチドを作成する方法、およびリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、非常に感度の高い核酸の検出のためのプライマーまたはプローブとしての標識オリゴヌクレオチドの様々な使用に関する。
DNAおよびRNAのような核酸ポリマーは、1つの世代から次の世代への遺伝子情報の伝達に、そしてすべての生命体の日常の機能において必須である。したがってこれらの分子は熱心な研究の対象であり、いくつかの技術がこれらの分子の研究に開発されてきた。これらの方法は、所定のサンプル中の特定のポリヌクレオチド配列の存在を同定するための方法、および所定のサンプル中にもともと存在する特定の核酸分子の数を測定するためにデザインされた方法を含むが、これに限定されない。
これらの技術に関する実際的な使用は、オリゴヌクレオチド配列における特定の種、およびその類似性に基づいた様々な種の間の関係を同定することを含む。その他の使用は、所定の病理を表示するものとして、所定のサンプル中の特異的な配列を同定することにより疾患を診断することを含む。なおその他の使用は、記述するにはあまりにも多すぎるが、特定の病理の発症に関する疾病素因を有する固体を同定すること、ならびに所定の患者のゲノムにおける特異的なポリヌクレオチドの存在に基づいての、提案された治療方針の有効性を評価することを含む。
オリゴヌクレオチドの研究および操作に関して最も広く使用されているそして強力な技術の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。PCRは、特定の核酸をin vitroで増幅するための方法を提供する、プライマーの伸長反応である。この技術は1987年に最初に記載された。PCRは、1回の酵素反応混合物中で数時間内に1つのDNAの鋳型の100万倍のコピーを産生することができ、研究者が標的DNAのサイズおよび配列を決定することを可能にした。このDNA増幅技術は、クローニングおよびその他の分子生物学的操作に広く使用されてきた。PCRのさらなる考察は、Mullis et al.,Methods Enzymol. (1987);およびSaiki et al.,Science (1985)に提供されている。
PCRにおいて、増幅されるべきDNAの特定の範囲(stretch)を“標的配列”という。この標的配列は、まず相補的な“プライマー”を標的ポリヌクレオチドの1本鎖部分に結合することにより複製される。特に有用なPCRに基づいた1つの技術は、定量PCR(qPCR)である。手短にはqPCRのメカニズムは、PCRが標的DNAを指数関数的様式で増幅するという事実に基づく。PCR反応を進行させ、増幅反応の過程中の所定の時点でDNAのコピーの総数を測定することにより、開始時のDNAの材料の量をさかのぼって算出することができる。
PCRの進行を停止しなければならないとか、または所定のPCRの走行中にその反応からサンプル抽出しなければならないことすらせずに、作製されたPCR産物の量を決定するために、様々な方法が開発されてきた。1つのそのような方法は、DNA合成の各サイクルで産生物の量を測定することにより、リアルタイムでPCRの走行のコースを追跡する。この方法を、リアルタイムPCR(RT−PCR)という。その高い感度ゆえ、そしてまだPCRサーモサイクラー中にあるサンプルで測定を行うことができるために、PCR産物の形成をモニターする様々な蛍光発光に基づいたアッセイが開発されてきた。いくつかの装置および方法が、リアルタイムPCR(RT−PCR)用に開発された。リアルタイムPCR装置は典型的には、サーモサイクラーに取り付けた蛍光計である。市販にて入手可能なリアルタイムPCR装置は、ABIによるPrism7700、RocheによるLightCycler、MJ Research によるOpticon、BioRadによるiCycler IQ、およびStratageneによるMX4000を含む。
それにハイブリダイズさせることにより核酸の所定の配列を同定するために使用される、しかし配列の増幅に供給されることはないオリゴヌクレオチドを、“プローブ”という。プローブはまた、それらがポリヌクレオチドの増幅をシグナル表示するために使用されるPCR反応においても有用性が見出されている。
オリゴヌクレオチドの重要性、そしてこれらの分子がヒト、動物、および植物の生命に衝撃を与えることのできる無数の方法を得るには、標識オリゴヌクレオチドを効率的に生成するための新規技術を含む、オリゴヌクレオチドの研究および操作のためのより一層の効率的な方法が必要である。本発明の1つの目的は、標識オリゴヌクレオチド、および前記オリゴヌクレオチドを作製、および使用するための効率的な方法を提供することである。
(概要)
本発明は、アッセイにおいて有用性を見出せるオリゴヌクレオチドを標識するための方法、例えばサンプル中の所定のポリヌクレオチドの存在を同定するため、または所定のサンプル中の所定のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの量を増幅するためにデザインされた方法を提供する。本発明は、これらのタイプの標識オリゴヌクレオチドを使用するための方法を提供する。
1つの態様は、互いの15nm以内である励起波長を有する、少なくとも2つの光度測定可能な(photometric)分子で標識したオリゴヌクレオチドを含む。一部の態様において、少なくとも2つの光学測定可能な分子がオリゴヌクレオチドの開裂の結果として互いから永久に引き離されるまで、標識オリゴヌクレオチドは相対的にほんのわずかのスペクトルのシグナルしか出さない。
1つの態様は、蛍光性であるスペクトル的に類似または同一の2つの光度測定可能な分子で標識したオリゴヌクレオチドである。蛍光分子からの検出可能な発光は、少なくとも2つの分子が、オリゴヌクレオチドの開裂の結果として互いから永久に引き離される時に増加する。
もう1つの態様において、オリゴヌクレオチドに連結された少なくとも2つの蛍光分子により発生される蛍光シグナルは、そのオリゴヌクレオチドが標的オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズする時に増加する。
1つの態様は、オリゴヌクレオチド配列が2次構造、例えばヘアピンループおよびステム−ループ構造を実質的に持たない場合における、少なくとも2つの光度測定可能な分子で標識したオリゴヌクレオチドである。
1つの態様は、同一または類似のスペクトルプロフィールを有する、そしてオリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端に各々連結される光度測定可能な分子で標識したオリゴヌクレオチドを含む。本態様の1つのバリエーションにおいて、1つの色素は5’末端の骨格のリン酸に連結され、他方の色素は3’末端の骨格のリン酸に連結される。
1つの態様において、当該オリゴヌクレオチドはスペクトル的に同一または類似の少なくとも2つの蛍光色素、および所望により1つまたはそれより多くの蛍光クエンチャー色素を包含するプライマーとしての使用に適する。1つの態様において当該オリゴヌクレオチドは、標識プライマーとしての使用に適する。もう1つの態様において蛍光分子は、ヌクレオシドの塩基に連結されても、または5’末端の骨格リン酸および塩基の組み合わせに連結されてもよい。
1つの態様においてオリゴヌクレオチドは、スペクトル的に同一または類似の少なくとも2つの蛍光色素で標識される。このオリゴヌクレオチドは、例えば5’末端のリン酸骨格およびヌクレオシドの塩基、例えばチミジンヌクレオチドに連結された、スペクトル的に類似または同一の蛍光色素を含む、核酸増幅反応において使用するためのプライマーであってよい。
1つの態様は、少なくとも2つの光度測定可能な分子で標識されているオリゴヌクレオチドを生成するための方法を含み、その場合この光度測定可能な分子はスペクトル的に
類似または同一である。これらの方法のいくつかを用いて生成された標識オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの光度測定可能な分子が互いから永久に引き離される時に、より検出可能なシグナルを発生する。
まだもう1つの態様は、互いの15nm以内にある励起波長を有する少なくとも2つの光度測定可能な分子で標識したオリゴヌクレオチドを利用するための方法を含む。
なおその他の態様は、本発明の態様に従って標識したオリゴヌクレオチドに関する使用を含む。これらの使用は、様々な内容物中に核酸配列を包含する生物学的サンプルを分析するためのアッセイを含むが、これに限定されない。一例としての適用は、蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)を含み、その場合本発明に従って標識したオリゴヌクレオチドを、例えば生きている細胞、固定した組織、または染色体サンプルにおいて生物学的重要性を持つ標的核酸配列を局在化し、その相対的量を決定するために使用することができる。
その他の態様は、疾患の基礎研究および診断における、溶液ベースのまたはチップベースのアレイの検出システム、および疾患にリンクする遺伝子の差次的発現の定量において、複数の色素で標識したオリゴヌクレオチドを使用することを含む。
なおその他の態様は、本発明の態様に従って標識したオリゴヌクレオチドを作製するために適する方法およびキットを含む。これらのキットは、異なる温度での増幅(iso-thermo amplification)、リガーゼ連鎖反応等を含む、増幅されたオリゴヌクレオチド配列の検出において使用してよい。
抗体が検出すべき生体分子に特異的である場合に、オリゴヌクレオチド−抗体の複合体を用いることにより核酸以外の生体分子を検出するためのPCRでの使用に、様々な態様は適する。
本発明に由来するさらなる形、態様、目的、機能、および側面は、本明細書に含有される記述から明らかになるだろう。
(詳細な説明)
本発明の原理の理解を促進する目的のため、ここで本明細書に記載した態様に言及することとし、特定の専門用語を使用して、前記態様を記載することにする。 それでもなお、それにより本発明の範囲を限定することを意図しているのではないことを理解されたい。記載するデバイス、システム、および処置法におけるあらゆる変更およびさらなる修飾、ならびに本明細書に記載したような本発明の原理のあらゆるさらなる適用は、本発明の関連する当業者に通常派生するものとして考慮される。本発明の側面は、具体的または一般的な理論または原理の用語で考察してよいが、本発明はこれらの理論または原理に決して拘束されることはない。そのような考察は、純粋に説明のためであり決して限定するものではない。
核酸ポリマーは近代医学およびライフサイエンスにおいて必須の役割を担っているため、蛍光色素を含む広範な多様な試薬が、核酸ポリマーの検出、シーケンシングおよび測定のためのプロセスにおいて使用するために開発されてきた。同様に広範で多様な方法が、これらの色素を使用してより一層感度の高い核酸アッセイを作成するために開発されてきた。熱心な研究を生んだ1つの領域は、PCRにより産生される核酸ポリマーの蓄積を測定するための、非常に感度の高いアッセイの開発である。
PCRを介してのDNAの増幅は、そのプロセスが多くの因子により影響を受けるため極めて複雑であると思われる。PCRに影響を及ぼす1つの因子は、反応の進行に伴って起こる、開始時の成分、例えばdNTP、プライマー、有効濃度のMg2+の漸減である。もう1つの因子は、蓄積する最終産物の阻害効果である。PCRプロセスの間、これらの多様な成分は1つの相互に関係する動的な形で互いに相互作用する。典型的にはDNAの増幅は3つの連続的な段階:指数関数的段階、直線的段階およびプラトー段階、を包含する。各段階は異なっており、他の2つとは異なる増幅効率を呈すると思われる。実際問題として、指数関数的段階中に収集されたデータのみしか、標的オリゴヌクレオチドの開始時濃度の信頼できる算出に使用することはできない。
しばしば蛍光分子を使用する、リアルタイムでPCRをモニターするための1つの方法が、TaqManアッセイとして商業的に知られている。TaqManアッセイは、リアルタイムでDNA増幅をモニターするためのTaqポリメラーゼの5’−エキソヌクレアーゼ活性を活用する。この周知のアッセイのさらなる考察は、Hollandet al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1991); Lee et al., Nucleic Acids Res. (1993);および米国特許第5,210,015号;5,538,848号;6,258,569号および5,691,146号により提供されている。TaqManアッセイは、増幅反応中の蛍光発生性(fluorogenic)プローブ(“TaqMan”プローブ)のハイブリダイゼーションおよびその後の開裂を介して、蓄積されたPCR産物を検出する。プローブは、その配列が検出される標的DNAに相補的であるオリゴヌクレオチドである。プローブは、1つの蛍光レポーター色素および1つの蛍光クエンチャーで標識される。レポーター色素およびクエンチャー色素は、至適な蛍光消光および5’−エキソヌクレアーゼ活性のため、典型的には約15から約60ヌクレオチド離れてオリゴヌクレオチドに連結される。色素はヌクレオチド塩基またはオリゴヌクレオチドの骨格のいずれかにまたはそれらの組み合わせに連結されることができる。典型的にはレポーター/供与体標識の1つは3’末端の骨格リン酸に連結され、他方は5’末端の骨格リン酸に連結される。クエンチャーは無蛍光色素または適当な波長の蛍光色素のいずれかであることができる。双方の場合ともプローブに結合したフルオロフォアの消光は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を介して起こる。
至適性能を呈するフルオロフォア/クエンチャーのペアを選択し、TaqManプローブをデザインする方法を手短に考察するために、幾分の基本的な光物性学を総括することは有用である。最初に色素が外部のエネルギー源から十分なエネルギーの光子を受け取ると、色素は一重項励起状態に電子的に励起される。励起状態は限定された時間の間存在し、この間に電子エネルギーは、分子の振動運動および回転運動に部分的に消費される。その結果色素が光子を発光する時、光子のエネルギーはより低く、したがって分子により発光される光子の波長は、分子により吸収された光子の波長より長い。励起または吸収、および発光の間のこのエネルギーまたは波長の差は、ストークスシフトと呼ばれ、蛍光色素に共通する。第二にFRETに基づく消光は、Forsterの共鳴エネルギー移動の理論により決定され、この理論は、光子エネルギーの移動の効率は、供与体の発光スペクトルと受容体の吸収スペクトルとの重なりに正に関連すると述べている。この理論のさらなる考察は、Foster, Ann. Phys. (1948);およびStryer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1967)に提供されている。ストークスシフトおよびスペクトルの重なりの必要性との組み合わせが、蛍光の供与体と受容体が異なる色素であることを必要とする。たとえ供与体分子およびクエンチャー分子の双方が蛍光色素であっても、このことは該当する。
事実、これもまた蛍光色素であるクエンチャー分子は、供与体(レポーター)色素の発光波長より有意に長い発光の波長を有するように、理想的には選択されなければならない。 この組み合わせを用いることで、暗いバックグラウンドを確実なものとする。感度の付加的な増大は、クエンチャー分子により発光されるシグナルのすべてまたはほとんどを選択的に遮断するフィルターを使用することにより、達成することができる。したがって至適性能のため、さらにまたクエンチャーは好ましくはそれ自身が完全に無蛍光性である分子から選択される。実際にTaqManアッセイのための低いまたはゼロレベルのバックグラウンドを達成することが、かなりの研究努力の焦点となってきた。この結果に向けて、多くの無蛍光クエンチャー分子が開発されてきた。周知の市販により入手可能な無蛍光クエンチャーは、例えば無蛍光アゾ色素であるBiosearchからのBlack Hole Quencher (BHQ)およびEpochからのEclipse Dark Quencher (DQ)(Eurogentec カタログ番号 OL−0273−DQ02)、およびIntegrated DNA TechnologiesからのIOWA Black (IWB)を含む。これらの分子のさらなる考察は、Johansson, M. K. et al., J. Am. Chem., Soc., (2002)により提供されている。これらおよび類似の無蛍光クエンチャーは、バックグラウンドの蛍光を抑えることによりTaqManプローブの感度を改善し、それによりプローブの酵素による開裂後のシグナルの増加を高める。TaqManプローブのデザインにおいて使用される一般的な供与体/受容体(フルオロフォア/クエンチャー)のペア例は、FAM/TAMRA、VIC/BHQ1、HEX/BHQ2、およびTET/DHQ等を含む。
上に述べたスペクトルの重なりの必要性に加えて、FRETに基づいての蛍光消光に決定的な第2のパラメータは、供与体および受容体間の距離である。FRETは、分子間の分離距離のマイナス6乗に依存する。
標的核酸とのハイブリダイゼーション前、典型的なTaqManプローブはランダムな立体配置をとり、その場合供与体およびクエンチャーはまた、効率的なFRETが起こるための互いに十分な近さに動くことができる。それらが互いに近位にあること、およびそれらのスペクトルの特徴のため、レポーター分子は消光され、そしてそのためにプローブは無蛍光性である。増幅される標的DNAの切片とのハイブリダイゼーションで、プローブは伸張され、供与体およびクエンチャー間の増加した距離がFRETエネルギー移動を不可能にするため、結果的に蛍光性になる。あるいはそしてしばしば好ましくは、例えば、5’−エキソヌクレアーゼを有するポリメラーゼを用いることにより、プローブは増幅中に消化される。消化は、供与体色素をクエンチャーに対して近位にあることから完全にフリーにし、それにより消光をさらに低減し、供与体色素からの蛍光シグナルをさらに高める。PCR増幅中により多くのDNAのコピーが作製されるにつれて、より多くのプローブがハイブリダイズされ、その後開裂され、そのことが今度は蛍光シグナルを増加させる。このスキームのバリエーションは、2つの酵素システムの使用である。このシステムにおいて1つの酵素はオリゴヌクレオチドのポリマー化に関与し、第2の酵素はPCR産物からのレポーター色素の開裂に関与する。この戦略を活用するそのような市販にて入手可能な1つの製品は、Stratageneより入手可能なFull Velocity キットである。
FRETを活用して、良好なシグナル対ノイズ比を有するプローブを作成するプローブデザインのもう1つのバリエーションは、米国特許第6,492,346号に記載されている。このバリエーションは、オリゴヌクレオチドプローブ内の3’末端、5’末端、またはあらゆる他の位置に共有結合により連結される副溝結合分子(MGB)を使用する。MGBを含有するプローブは、MGBを使用しないプローブより短いヌクレオチド配列を有してよく、そしてなお非常に効率的な蛍光消光を示す。加えてMGBで標識したプローブは、副溝に選択的に結合しないある種の他の標識分子により標識したプローブに比して、改善された特異性、効率性、およびミスマッチに対する高められた識別力を有する傾向がある。
増幅産物を検出するなおもう1つの方法は、米国特許第5,925,517号;および5,118,801号、および5,312,728号の主題である、いわゆる“分子ビーコン(molecular beacon)プローブ”を使用する。分子ビーコンプローブは、互いにハイブリダイズしてステム構造を形成する、1対の相補的な3’末端および5’末端の配列が隣接する、中央の標的認識配列(ループ領域)を含むステムループ構造を有する。蛍光供与体色素およびクエンチャー分子は、各々3’末端および5’末端に連結される。相補的な標的配列不在下で、ビーコンプローブはその閉じた立体配置にとどまり、供与体色素の蛍光はFRETを介してクエンチャー色素により消光される。標的配列とのハイブリダイゼーションで ビーコンプローブは開いた立体配置に伸展し、それにより供与体色素とクエンチャーは引き離され、供与体色素の蛍光シグナルが増加する。標的DNAのさらなるコピーがPCR反応のコース中に産生されるにつれて、標的DNAとハイブリダイズすることにより、より多くのビーコンプローブが開いた立体配置をとるようになり、蛍光シグナルはそれにより上昇する。この技術のさらなる考察は、Tyagi et al., Nature Biotechnol. (1996)により提供されている。PCR中に酵素によるプローブの開裂を介して“消費”されるTaqManプローブとは異なり、分子ビーコンプローブは、DNA増幅プロセスを通して化学的には変化しないままである; ビーコンプローブの立体配置のみが閉じた形(ステム−ループ)から開いた形に変化する。
ビーコンプローブの2つの立体配置である開いた形と閉じた形は、互いに動的平衡にある。PCR中この平衡は、相補鎖の各ペアの間の3つの競合するハイブリダイゼーション反応に依存する。この3つの平衡は以下の間:1)標的DNAの2つの相補鎖;2)プローブの相補的3’末端および5’末端(ステム);ならびに3)プローブの標的認識配列(ループ)および標的配列、に存在する。第3のハイブリダイゼーション反応のみが、開いたビーコン立体配置を好み、したがってこの1つのみが検出可能な蛍光シグナルを発生する。第1および第2のハイブリダイゼーション反応は双方とも、閉じた ビーコン立体配置を好み、この場合は蛍光シグナルを低減させる。競合するハイブリダイゼーションの相互作用(1および2)のため、双方が同じまたは類似の供与体/クエンチャー色素のペアで標識されている場合でさえも、分子ビーコンプローブはTaqManプローブに比して、核酸の検出の感度が本質的により低い。しかし5’−エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素をその反応に使用すれば、標的配列とハイブリダイズしたビーコンプローブもまた、TaqManプローブがそうであるようにオリゴから開裂することができる。この場合にはビーコンプローブは、事実上TaqManプローブになる。
なおもう1つの方法が米国特許第6,174,670号に開示されており、この方法はエネルギーの移動が2つのハイブリダイゼーションプローブ間で起こる、エネルギー移動システムを使用する。例えば第1のプローブは3’末端が蛍光供与体色素で標識され、一方第2のプローブは5’末端が受容体色素で標識される。第2のプライマー上の受容体分子は、第1のプライマー上の供与体色素より長い波長でエネルギーを発光する。PCRに使用する場合、2つのプローブは標的DNAの2本の相補鎖のうちの1本に頭から足先の方向に並んでハイブリダイズする。2つの供与体色素および受容体色素がどのような位置をとるかによって、これら2つの分子間にFRETが起こる。したがって受容体色素の蛍光発光を測定することにより、蛍光の強度を、PCRの進行に伴って産生される標的DNAの量に関連させることができる。
増幅産物を検出するまだもう1つの方法が、米国特許第6,635,427号に開示されている。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブに連結された1つのレポーター色素に対して分子内部のグアノシン(G)ヌクレオチドをクエンチャー(受容体)として使用する。標的配列不在下で、通常戦略的にレポーター色素の位置の近くに位置するグアノシンヌクレオチドは、レポーター色素の蛍光を消光する。標的配列とのハイブリダイゼーションで、グアノシンによる消光は低減され、蛍光シグナルの増加をもたらす。
PCRはまた、増幅産物中に組み込まれることで蛍光性となる蛍光発生性プライマーを使用することによりモニターすることもできる。供与体/クエンチャーの色素のペアで標識した ビーコン様のヘアピンプライマーを使用する1つのそのような方法が、Ampliphoreとして市販にて公知であり、米国特許第5,866,336号に開示されている。プライマーは、その標的DNA配列とのハイブリダイゼーション前には閉じたヘアピンの立体配置で存在し、この形は供与体色素の蛍光をFRETを介して消光する。一度標的DNA配列にハイブリダイズし、増幅産物中に組み込まれると、プライマーは伸展した開いた立体配置をとり、FRETが減少するためプライマーは蛍光性となる。要求されるプライマーの特異性を達成し、同様に必要なヘアピン構造を維持するために、 ビーコン様プライマーは通常極めて長い。このプローブのこの長さがプライマーのデザインに制限を課し、プライマーを合成するコストを加算することになる。
PCRをモニターするもう1つの方法は、LUXプライマーとして市販にて公知のプライマーを使用する。この技術のさらなる考察は、Nazarenko et al., Nucleic Acid Research (2002)に公開;およびMarras et al., Nucleic Acie Research (2002)により提供されている。LUXプライマーは、色素の蛍光を消光するように作用する分子内部のグアノシン(G)ヌクレオチドの近くに戦略的に位置する1つの蛍光色素(供与体分子)で標識する。そのフリーの形の標識プライマーは、色素、および色素の近くにあるGヌクレオチドとの間の相互作用により、無蛍光または弱い蛍光性である。プライマーが伸長され、Gヌクレオチドが二本鎖DNA中に採り入れられると、蛍光消光は低減または解消され、供与体分子からの蛍光シグナルが増加する。LUXプライマーは、デザインが比較的シンプルであるという利点を有する。LUXシステムに伴う1つの問題は、色素の結合部位(通常チミジン)の近くにGヌクレオチドの存在を必要とすることであり、このことがプライマーのデザインの選択を制限する。さらにGのみによる蛍光消光は、選択された波長の、非常にわずかな色素でしか十分に作用しない。プライマー配列、そして特により長い波長の色素との不和合性における制限が、多重PCRにおいて使用するためのLUXプライマーのセットを開発することを困難にしている。
より最近BD Biosciences が、RT−PCRで使用するためのDNAzymeとして市販にて公知の、蛍光を基本としたプライマーキットを開発した。この方法は、蛍光発生性オリゴヌクレオチドおよびプライマーを組み合わせたものを使用し、米国特許出願公開第2001/0001063号に開示されている。伸長反応のための通常の開始配列に加えて、プライマー配列の1つが、プライマーの伸長中に蛍光発生性オリゴヌクレオチドを開裂する酵素をコードする。その結果はTaqManアッセイを用いる場合のように、蛍光シグナルの増加をもたらす。プライマーキットに使用される蛍光発生性オリゴヌクレオチドは、標的配列に相補的な配列を有していないことを除いて、典型的なTaqMan(登録商標)プローブとデザインにおいて類似するが、結果としてこの技術は、TaqManを基本とするアッセイの特異性を欠く。さらに必要な酵素をコードする必要性のため、DNAzymeプライマーは容易に50ヌクレオチド長を超え得る。より長いヌクレオチドの必要性が、プライマーを製造するコストを上昇させる。
蛍光発生性プライマーを上回る蛍光発生性プローブの1つの主要な利点は、プローブから検出される蛍光シグナルが、プローブおよび標的間のハイブリダイゼーションによってのみ誘導されることである。時にプライマーを用いて起こり、有用なシグナルを発しないような、ミスプライミングまたはプライマーダイマーの人工産物によるシグナルの非特異的な増幅は、プローブを用いては一般に起こらない。蛍光発生性プローブは、異なる識別可能なレポーター色素を用いて標識することができる。独特のレポーター色素で各々標識したいくつかのプローブを使用することにより、識別される配列を持つ多数の標的の増幅を、1度のPCR反応で検出することができる。この方法を通例多重PCRという。蛍光発生性プローブの開発はまた、PCR後のプロセシングを排除し、それにより臨床診断および法廷での適用のための決定的な因子である、交差汚染(cross-contamination)の可能性を排除することを可能にした。
蛍光発生性プローブの1つの欠点はそれらのコストである。蛍光発生性オリゴヌクレオチドは、対応する未標識オリゴヌクレオチドの少なくとも10倍以上高価である。さらにプローブのデザインは相対的に複雑であり、適切なプローブを構成する際に、多くの因子、例えばプローブの長さ、アニーリングの温度、およびクエンチャー対フルオロフォアの適当なスペクトルのマッチングを、考慮することをしばしば必要とする。
蛍光発生性オリゴヌクレオチドプローブ、特にTaqManプローブに比して、蛍光発生性プライマーは、レポーター色素のクエンチャーからの永久的な分離を可能とするためにPCR中に開裂されることがないため、より弱いシグナルを発する傾向がある。加えてミスプライミングおよびプライマーダイマーの形成に起因する非特異的なPCR産物もまた、アッセイのノイズの増加に寄与する。これらの理由のためリアルタイム定量PCRにおける使用に関しては、蛍光発生性プローブの方が蛍光発生性プライマーより一般に好ましい。
オリゴヌクレオチドを標識するために多数の方法が開発されてきた。典型的には蛍光供与体色素およびクエンチャーは、段階を追った(stepwise)様式でオリゴヌクレオチドに連結される。これらのプロセスはしばしば高価な試薬、および複雑な保護/脱保護のステップを伴い、しかも収率はしばしば極めて低い。さらに部分的には、すべての色素がオリゴヌクレオチド合成の過酷な化学的条件に耐えられないために、色素およびクエンチャーの選択、ならびにそれらをオリゴヌクレオチドに連結させる順序が限定され、弾力的ではない。
典型的には色素は、以下の2つの方法;1)自動合成中に、色素修飾されたヌクレオシドまたはデオキシヌクレオシドのホスホロアミダイトを使用することによる;または2)合成後のラベリングにおいて、アミン修飾またはチオール修飾されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドを、アミンまたはチオール反応性の色素と反応させることによる方法の1つを介して、オリゴヌクレオチド中に組み込む。例えば3’末端および5’末端をFAM/TAMRAの色素ペアで標識したオリゴヌクレオチドは、典型的にはCPG固相支持体に連結したTAMRA標識した修飾物質(modifier)を用いて開始し、続いて残りのオリゴヌクレオチドを順次組み立てていくことにより合成する。供与体色素FAMは、標準的なホスホロアミダイト化学を介して最後のカップリングステップでオリゴヌクレオチドに連結される。このアプローチは2つの欠点を有する:第1に色素標識ホスホロアミダイトは高価である;第2に、一般にローダミン系色素、そしてTARMAは、特に標準的なオリゴヌクレオチド合成条件下で不安定であるため、この方法はTAMRAの消光能力を低下させてしまう。この問題に対処するため、CPG支持体に連結したTAMRAでの開始を回避することが、一般に行われる。1つのアプローチは、CPGに連結した保護された3’−アミノ−修飾物質を用いて合成を開始することであり、供与体色素FAMは、標準的なホスホロアミダイト化学を介しての自動合成の最後のステップで通常通り5’末端に連結させる。続いてのオリゴヌクレオチドの固相支持体からの開裂および3’−アミンの脱保護ステップの後、アミン修飾オリゴヌクレオチドを、TAMRAスクシンイミジルエステルと反応させる。プローブまたはプライマーの性能を確実にするため、HPLCまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動のいずれかを用いる精製ステップが、第2の色素の連結反応の前後双方に必要である。プローブおよびプライマーのデザインにより課せられる限定および非弾力性、ならびに標識化学の本質が、これらの蛍光発生性オリゴヌクレオチドを製造することを非常に高価にする。
標識オリゴヌクレオチドを利用するPCRアッセイの重要性の増加しているタイプは、リアルタイムPCRである。リアルタイムPCRをモニターすることに関する1つの重要なパラメータは、いわゆる閾値のサイクルポイント、またはCt値である。Ct値は、ベースラインより高い予め設定した値に達するまでに、PCR産物の蛍光シグナルに必要な反応サイクル数の理論値である。サンプル中の標的DNAの濃度が高いほど、Ct値は低くなる。図1は、代表的な増幅プロットを示し、定量分析に使用する用語を定義する。増幅プロットは、蛍光シグナル 対 サイクル数のプロットである。PCRの初期のサイクルにおいて、蛍光シグナルにほとんど変化はない。この比較的“フラットな領域”を増幅プロットのベースラインと定義する。ベースラインより高い蛍光の増加は、蓄積されたPCR産物の検出を示す。開始時の標的コピー数の対数がCt値に負に(reversibly)直線的に相関し、この関係がリアルタイム定量PCRの数学的基礎を形成する。
本明細書において使用する用語のいくつかの定義
“オリゴヌクレオチド”および“オリゴ”という用語は互換性を持 って使用され、核酸、2’−デオキシ核酸、ペプチド核酸(PNA)、ロックト(locked)核酸(LNA)、およびピアゾロピリミジンを含むその他の非天然核酸の配列を言う。一般にオリゴヌクレオチドは、プライマーまたはプローブとして使用するために適する長さのものである。ほとんどのオリゴヌクレオチドは一般に、100ヌクレオチド長より短いポリヌクレオチドであり、多くは50ヌクレオチド長より短く、そしていくつかのオリゴヌクレオチドは25またはそれより少ないヌクレオチドから成る。この用語のより総論的な考察に関しては、読者は以下の参考文献、Kutyavin, I. et al., N. A. R. 30, 2002: 4952-4959;およびHe J. & Seela F., N. A. R. 30, 2002: 5485-5496 および同文献の参考文献を検討されたい。
“プライマー”は、相補鎖に沿って伸長するための開始点として作用することのできるオリゴヌクレオチドを言う。プライマーは通常PCRにおいて1組、すなわち1つのフォワードおよび1つのリバースが使用される。フォワードプライマーは標的核酸の1本鎖のある領域に相補的な配列を含有し、この鎖に沿っての合成を導く。同様にリバースプライマーは標的核酸の向かい合う鎖に相補的な配列を含有し、標的核酸の向かい合う鎖に沿って合成を導く。
“プローブ”は標的核酸のある領域に相補的な配列を含有する標識オリゴヌクレオチドを言い、その場合標識オリゴヌクレオチドは標的配列とアニールし、標的のその領域の存在を示すシグナルを発する。プローブは一般に3’末端がブロックされ、産物中に伸長されない。
“光度測定可能なラベリング分子”という用語は、その分子の物理的または化学的環境の変化により検出可能な変化のシグナルを発し、そのため別の分子を標識するために使用される分子を言う。この変化は、吸収される光の量の変化でも、または吸収される光の波長の変化でもよい。光度測定可能な分子は、例えばある波長で光を吸収し、別の波長で光を発光する蛍光色素分子含む。蛍光色素である光度測定可能なラベリング分子の場合、その分子はまた発光される光の量の変化、または発光される光の波長の変化を示してもよい。
“反応基”という用語は、フルオロフォアおよび消光分子を含む多様なラベリング基を、オリゴヌクレオチドに連結する上で有用であると思われる化学的部分を言う。色素をオリゴに連結するために使用する反応基の選択は、典型的には標識するオリゴ上の官能基に依存する。
例えば色素分子の反応基、およびオリゴの官能基との間の結合形成反応は、典型的には求核物質および求電子物質との間の反応である。したがって反応基は求核物質または求電子物質のいずれかとすることができ、これに対応して官能基は求電子物質または求核物質のいずれかとすることができる。求電子物質/求核物質のペアの非網羅的リストを、表2に見出すことができる。反応性のペアのさらなる考察に関しては、読者は米国特許第6,130,101号を検討されたい。
オリゴ上に存在する典型的な官能基は、アミン、チオール、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、二置換アミン、ハロゲン化物、またはカルボン酸を含むがこれに限定されない。オリゴ上のより典型的な官能基はアミン、チオール、アルコール、アルデヒド、またはケトンである。
色素分子に連結される一般的な反応基は以下:アクリルアミド、カルボン酸の活性化エステル、アジ化アシル、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、アミン、無水物、アニリン、ハロゲン化アリール、アジ化物、アジリジン、カルボン酸、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、ヒドラジド、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ホスホロアミダイト、ハロゲン化スルホニル、またはチオール、を含むがこれに限定されない。その他の反応基は、スクシンイミジルエステル、アミン、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド、またはホスホロアミダイトを含む。オリゴヌクレオチド上に存在する官能基がアミンである場合、色素をオリゴヌクレオチドに連結するために使用される色素上の一般に使用される反応基は、スクシンイミジルエステルである。
色素を含む多様な試薬に対して使用する省略形のいくつかは以下の通りである:5−CR110は5−カルボキシローダミン110を言う;6−CR110は6−カルボキシローダミン110を言う;5−FAMは5−カルボキシフルオレセインを言う;6−FAMは6−カルボキシフルオレセインを言う;5−R6Gは5−ローダミン6Gを言う;5−ROXは5−カルボキシ−X−ローダミンを言う;6−ROXは6−カルボキシ−X−ローダミンを言う;5−TAMRAは5−カルボキシテトラメチルローダミンを言う;6−TAMRAは6−カルボキシテトラメチル−ローダミンを言う;JOEは2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセインを言う。
“スペクトル的に類似する色素”という用語は、本発明の目的に関しては、類似の化学構造を有していてもいなくてもよいが、類似の励起および/または励起スペクトル特性を所有する蛍光色素を言う。しかしこれら色素の発光スペクトルは類似していてもしていなくてもよい。1つのそのようなペアの例は、5−FAMおよび5−CR110である。5−FAMは吸収/発光の波長を495/519nmに有し、一方5−CR110は吸収/発光の波長を502/524nmに有する。本発明の目的に関して、15nm以内の差を有する吸収または励起波長は類似すると考えられる。
“スペクトル的に同一の色素”という用語は、同じ化学構造を有していてもいなくてもよいが、スペクトル的に識別できない発光プロフィールもしくは励起プロフィールのいずれか、または発光プロフィールおよび励起プロフィールの双方を有する蛍光色素を言う。
“同じ色素”という用語は、化学的およびスペクトル的の双方とも同一である蛍光色素を言う。
“レポーター色素”または“蛍光レポーター色素”という用語は、その蛍光がアッセイ中にモニターされる蛍光色素を言う。クエンチャー色素がまた同じ生体分子を標識するために使用される場合、レポーター色素は供与体色素として言ってよく、そしてクエンチャー色素は時には受容体、受容体色素、または受容体分子として言ってよい。
本明細書で使用する場合、“消光する(quench)”または“消光する(quenches)”または“消光している”または“消光される”という用語は、ある分子により発生されるシグナルを低減することを言い、発生されるシグナルをゼロに、または検出可能な限度以下に低減することを含むが、これに限定されない。このため所定の分子は例えば別の分子により“消光される”ことができ、そして分子が消光されない場合より分子が消光される場合の方が、消光される分子により発生されるシグナルのサイズはより小さくなるが、なお検出可能なシグナルを発生することができる。
“クエンチャー”または“クエンチャー色素”または“クエンチャー分子”という用語は、蛍光レポーター色素または蛍光供与体色素の蛍光を低減することのできる色素、または均等な分子、例えばヌクレオシドグアノシン(G)または2’−デオキシグアノシン(dG)を言う。クエンチャー色素は蛍光色素であっても無蛍光色素であってもよい。クエンチャーが蛍光色素である場合、その蛍光の波長は典型的には実質的にレポーター色素の波長とは異なり、クエンチャーの蛍光は通常アッセイ中にはモニターされない。
本発明の一部の態様は、蛍光発生性オリゴヌクレオチドを構築するための方法、そして核酸の検出、特にリアルタイムqPCRにおける核酸の検出を目的とするプライマーおよびプローブとしてのそれらの使用を開示する。現在の技術と比較して、一部の態様の蛍光発生性オリゴヌクレオチドは、多くの市販にて入手可能な技術より製造が有意に容易であり、実質的により感度が高い。さらに従来の蛍光発生性オリゴヌクレオチド、例えばTaqManプローブ(このプローブのレポーター色素の選択は、合わせて使用するクエンチャー色素の利用可能性により限定される)とは異なり、本発明の様々な態様のオリゴヌクレオチドは、事実上あらゆる波長の蛍光色素を適応させることができる。色素の選択におけるこの弾力性が、異なる蛍光波長の蛍光発生性プライマーまたはプローブの合成を促進し、1度の試験管フォーマットにおける多重検出を可能にする。
一部の態様は、スペクトル的に同一または類似の複数の蛍光色素で標識した1本鎖オリゴヌクレオチドであるプローブである。当該プローブは1つまたはそれより多くのクエンチャーでさらに標識されてよい。標的配列の不在下で、当該プローブはランダムコイルの立体配置をとり、無蛍光または弱い蛍光性のみのいずれかである。一般にランダムコイルの立体配置を有するオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの2つの末端を互いに近位に持ってくるのに役立つ二次構造を実質的にとらない。反対に二次構造を有するオリゴヌクレオチドプローブの例は、いわゆる分子ビーコンプローブである。
標的配列の存在下において、様々な態様のプローブは標的配列と容易にハイブリダイズする。特異的な試薬、または5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素の存在下で、色素分子はオリゴヌクレオチドから実質的に開裂される。開裂は、蛍光の大きな増加に帰着する色素分子の永久的な分離をもたらす。
最大の蛍光の増加は、隣り合う色素の各ペアを連結するリン酸骨格の、5’エキソヌクレアーゼまたは均等なヌクレアーゼによる開裂の可能性に依存する。色素の連結部位が互いにあまりに近すぎると、標的へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび5’エキソヌクレアーゼ活性が阻害されると思われる。他方で色素の連結部位が互いからあまりにも離れていると、バックグラウンドの蛍光は高くなると思われる。したがって標的配列不在下での最小の蛍光のバックグラウンド、およびプローブ/標的のハイブリダイゼーション後の至適5’エキソヌクレアーゼ活性を達成するために、各々の隣り合う色素のペアの連結部位は、3から60ヌクレオチド、好ましくは12から35ヌクレオチド、そして最も好ましくは15から25ヌクレオチド離されていなければならない。
これらの態様にて使用するための有用な酵素は、Taqポリメラーゼもしくは独立型のエキソヌクレアーゼ、または2つのラベリング分子間を切断することのできるあらゆる他の酵素を含む。一部の態様において、ラベリング分子を永久に引き離すことで蛍光発光を実質的に増加した。
本発明に従って標識したオリゴ中に組み込まれる多数のラベリング分子とは反対に、米国特許第5,538,848号に開示されたTaqManプローブ、米国特許第5,925,517号に開示された分子ビーコン、および米国特許第6,174,670号に開示されたHybプローブのような蛍光発生性プローブは、1つのみの蛍光レポーターしか含まない。その結果、今日入手可能なプローブが発することのできる最大の蛍光シグナルは、1つのフルオロフォアにより発生されるシグナルである。他方、本発明の様々な態様のプローブは少なくとも2つの色素を含む。したがって本発明のプローブの標的配列とのハイブリダイゼーションおよび開裂は、結果的に多数の蛍光色素からのシグナルを発生させることになる。したがって本発明の様々な態様のプローブは、今日利用可能な方法に従って作製されたプローブにより発せられるシグナルより、何倍も強い蛍光シグナルを発することができる。
図3Aは、TaqManプローブ(フルオロフォアとしてJOE、およびクエンチャーとしてTAMRA)を用いて検出された典型的なMCG遺伝子増幅反応、および本発明の1つの態様に従って作製されたプローブを用いて検出された同じ反応の動的蛍光測定を比較する結果を示す。本発明の1つの態様に従って作製されたプローブは、2つの末端を2つのR6G色素で標識した(実施例4参照)。双方のアッセイとも同じ配列を使用した。
図3Aのデータが示すように、二重標識(doubly labeled)プローブからの蛍光シグナルは、TaqManプローブを用いて測定されたシグナルの値の2倍である。2つまたはそれより多くの同一のまたはスペクトル的に類似するフルオロフォアで標識したオリゴヌクレオチドが、(色素集合体を形成せずに)十分に消光されること、そしてプローブの開裂によるフルオロフォアの互いからの分離で、DNAの増幅を追跡する上で有用であるバックグラウンドより十分に高いシグナルを発することは、驚くべき観察結果である。オリゴヌクレオチドを用いてのこの観察結果が非常に予想外であったため、出願者らは、もう1つの生体高分子であるポリペプチドのレベルを測定するために蛍光色素を使用する技術に、解釈を求めた。
タンパク質は、時に蛍光色素でタグした抗体で標識される。これらのアッセイにおいて1つのポリペプチドに2つまたはそれより多くの同一のフルオロフォアを連結することは一般的である。色素の数に対する蛍光の増加は、色素の物理的な接触に関連する蛍光消光のために直線的ではないかもしれないが、各色素分子の付加が標識タンパク質の全体の蛍光を増加する。タンパク質を標識する実験において、過剰な数の色素分子がタンパク質に連結される場合にしか、有意な蛍光消光は起こらない。そのような場合、消光はしばしば色素分子間の物理的相互作用、すなわち色素集合体の結果である。この技術のさらなる考察はHaugland, RP Hnadbook of Fluorescent Probes and Research Products第9版、pp. 20-74および同文献における参考文献に提供されている。
相対的に高次構造をとるポリペプチドとは反対に、相補的な分子内部の配列を持たないオリゴヌクレオチドは、非定形構造の、パックされていない、伸展した構造とることが予想される。この立体配置は一般にランダムコイルとよばれ、容易に定義できる分子内部の二次構造を持たないことを特徴とする。オリゴヌクレオチドは、かなり負に荷電した分子のリン酸骨格のため分子間の静電的反発を最小にするために、ランダムコイルの立体配置をとると考えられている。その結果、例えば実質的にランダムコイルの形のオリゴヌクレオチドの両末端を標識するために使用される色素は、互いに相互作用しないことが予想され、蛍光シグナルの消光を示さないと予想されるはずである。したがってタンパク質のラベリングおよびオリゴヌクレオチドの構造について広く知られている知見に基づけば、本発明の様々な態様のオリゴヌクレオチドは非常にわずかな蛍光消光しか示さないため、所定のサンプル中のオリゴヌクレオチドの存在またはレベルの検出においては有用でないだろうと予想されことになるだろう。当業界で教えられている知見に基づいて、これら分子のバックグラウンドの蛍光は非常に高いため、リアルタイムPCRをモニターするために使用することはできないだろうと予想されていた。実際に研究者らは、蛍光を消光するためにフルオロフォアの集合体を促進するようにラベリングフルオロフォアの位置を決定する、入念なオリゴの構造をデザインすることに長期間を費やしてきた。例えば米国特許第6,150,097号および6,037,137号の双方とも、2つのレポーターフルオロフォアを互いに物理的に接触させるように持って来る分子ビーコン構造に基づいた、リアルタイムPCRプローブをデザインすることの可能性について述べた。
本発明の1つの態様を使用することから得られたもう1つの予想外の観察結果は、色素の集合体を促進するオリゴヌクレオチドの二次構造が不要であり、しかも望ましくないことである。我々は、同一のレポーター色素の集合体は不要なだけでなく、多くの場合にリアルタイムPCRプローブの性能に有害であることを観察した。最もシンプルな構造を有する本発明の1つの態様のプローブは、先行技術の多くに開示された方法に従って作製されたプローブより、しばしばはるかに感度が高い。加えて複雑な分子内部の二次構造を有するようにデザインされているプローブは一般に、分子内部の二次構造を実質的に持たないプローブに比して、デザインおよび製造がより困難である。
ある種の蛍光色素または無蛍光色素は基底状態の複合体を形成することが、広く報告されている。これらの複合体は高濃度の水性溶媒中で、または分子が互いに近接した近位内にある場合に形成されるようである。このことに関するさらなる考察は、West et al., J Phys Chem (1965); Rohatgi et al., J Phys Chem (1966); Rohatgi et al., Chem Pys Lett (1971);およびKhairutdinov et al., J Phys Chem. (1977)により提供されている。
2つの同一の色素間のホモダイマー、または2つの異なる色素間のヘテロダイマーのいずれかの形成は、色素の吸収スペクトルに明確な変化をもたらす。これは、色素の励起状態のエネルギーのカップリングの結果であると考えられる。2つの蛍光色素間、または蛍光色素および無蛍光色素間に形成されるH−ダイマーと言われるダイマーの特定のタイプは、色素の吸収の最大値におけるブルーシフトおよび蛍光消光を特徴とする。H−ダイマーの形成による蛍光消光は、蛍光発生性ペプチダーゼ基質を構成するために活用されてきた。この主題に関するさらなる考察は、Packard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1996); Geoghegan et al., Bioconjugate Chem (2000); Tyagi et al., Nat.Biotechno. (1998); Bernacchi et al., Nucleic Acids Res. (2001); Marras et al., Nucleic Acids Res. (2002); Johansson et al., J. Am. Chem. Soc. (2002); 米国特許第6,037,1376号および150,097号により提供されている。
前述の参考文献すべてにおいて、標識ペプチドまたは標識オリゴヌクレオチドは、分子が互いに物理的に十分に近くにあり、そのため酵素による開裂前には供与体色素からのシグナルが消光されることを確実にするようにデザインされた様式で構築される。これは、ペプチダーゼの基質を用いる場合、および分子ビーコンプローブを用いる場合(それらがそれらの標的配列とハイブリダイズする前)に明らかである。例えば米国特許第6,037,137号に開示された蛍光発生性ペプチドは、ペプチド内に湾曲部分を導入し、その結果色素ペアが効率的な“接触による蛍光消光”のための近接した近位に保持される、いわゆる“立体配置決定領域”を必要とする。同様に米国特許第6,150,097号および6,037,137号は、一方の末端に連結した蛍光レポーター色素および他方の末端に連結したクエンチャー色素を有する分子ビーコンを開示している。あるいはこれらのプローブは、一方の末端に連結した1つのレポーター色素および他方の末端に連結した同一のレポーター色素を有し、この場合色素のペアが蛍光消光に有効である物理的な接触状態にある。この方法のバリエーションにおいてある研究グループは報告によれば、フルオロフォア、および当該フルオロフォアとのヘテロダイマーの形成を好む非常に疎水性のクエンチャーを用いて、直鎖オリゴヌクレオチドを標識することにより、接触による消光を達成した。Johansson et al., J. Am. Chem. Soc. (2002)を参照のこと。
これらのアプローチとは反対に、本発明の一部の態様のオリゴヌクレオチドのプローブは、結果的にプローブが特定の固定された立体配置をとることになる、明確に定義できる二次構造またはその他の立体配置を決定する構造を実質的に持たない。さらに、2つまたはそれより多くの蛍光レポーター色素を包含する本発明の多くの態様のプローブにおいて、色素間の物理的“接触”を促進するダイマーまたはその他の構造を形成することは必要ではない。
様々な態様の色素ペア間に近位による消光が存在しないことは、酵素による消化の前後に二重標識プローブの吸収プロフィールに有意な変化がないことにより実証された。例えば図4Aの曲線29 対 曲線28、および実施例5におけるさらなる考察を参照のこと。曲線28から曲線29への小さな波長全体のシフトは、スペクトルの形またはプロフィールにおける変化とは異なり、色素の経験する微小環境の差異に起因する。これは“溶媒効果”として言われる。溶媒効果はCR110で二重に標識したプローブ(曲線29)、および5’(図4Bの曲線31)または3’(図4Cの曲線33)のいずれかを、1つのCR110で標識した同じ配列の別のオリゴヌクレオチドのスペクトルがほぼ重なることにより確認される。この場合色素は、類似する溶媒効果を経験する。もう一度繰り返すが、二重標識プローブと、2つの単標識(singly labeled)オリゴヌクレオチドとの間の吸収スペクトルの類似性は、二重標識プローブにおいて色素集合体が実質的に存在しないことを示す。
ダイマーの形成でのスペクトルの変化を説明するため、我々は直鎖プローブの配列と同一であるループ配列を持つ3つの分子ビーコンプローブを合成した。1つのビーコンプローブは3’末端および5’末端を2つの5−CR110色素で標識し(配列番号12)、もう1つのビーコンプローブは3’末端および5’末端を2つの5−TAMRA色素で標識した(配列番号13)。なおもう1つのビーコンプローブは3’末端および5’末端を2つの5−ROX色素で標識した(配列番号14)。図5A、5Bおよび5C、ならびにさらに詳細に実施例7に示す。すべてのビーコンプローブの吸収スペクトル(曲線38、40および42)は、H−ダイマー形成の特徴である新たなより短い波長のピークの形成を各々伴い、直鎖プローブのスペクトル(曲線37、39および41)から有意に変化した。このダイマーのより総括的な考察に関してはBlackman et al.,Biochemistry (2002); Packard et al., Proc.Natl. Acad. Sci. (1996)を参照されたい。S1ヌクレアーゼの消化で、スペクトルはフリーの色素の形に戻った。2つのレポーター色素で標識したビーコンプローブの蛍光は、色素ダイマーの形成の結果として十分に消光されるが、プローブは核酸の検出に関しては相対的に低い感度を有する。図6A、6Bおよび6Cは、各々本発明の様々な態様に従って各々、5−CR110、5−TAMRA、5−ROXの2つの同一の色素で標識した各分子ビーコンプローブおよび各直鎖プローブ間の、動的蛍光測定を比較する。
データが示すように、本発明の様々な態様に従って作製されたプローブは、対応するビーコンプローブよりしばしば2−10倍感度が高い。ビーコンプローブの有意により弱い感度は、PCR検出プロセス中に存在する競合する平衡状態の点から説明してよい。図7(実施例8に詳細)に示すように、3つの競合する平衡状態があり、これらは以下の:1)1本鎖標的DNAおよび2本鎖標的DNA(K);2)開いた立体配置のビーコンおよび閉じた立体配置のビーコン(K);ならびに3)プローブ−標的のハイブリダイゼーション産生物、および、2つの反応物質である1本鎖標的DNAおよびランダムな立体配置のビーコン(K)、の間に存在する。
プローブ−標的のハイブリッドの形成が2つの色素を引き離し、結果として蛍光シグナルが発せられる。明らかに1本鎖標的DNAの濃度が高いほど、そしてランダムコイルの立体配置のプローブの量が多いほど、平衡状態Kはプローブ−標的のハイブリッド産生物の形成へとよりシフトし、それにより蛍光シグナルが増加することになる。しかし所定のPCRサイクル数で、そしてそれ故に1本鎖標的DNAの所定の濃度でハイブリッドの形成される量は、閉じた立体配置のビーコンと平衡状態にあるランダムな立体配置のプローブの濃度に比例する。したがって閉じたビーコンの立体配置の存在そのものが、ハイブリッド産物を形成できるランダムな立体配置のプローブの濃度を低減させ、このことが蛍光シグナルの強度を低減させる。加えてダイマーを形成するためのプローブ末端の並列する1対の色素が、ステムループ構造の融解温度を上昇させ、閉じた立体配置をさらに安定化し、蛍光プローブ−標的のハイブリッドの形成をなお一層不利にするようである。
5’−エキソヌクレアーゼ活性を持つ酵素を反応に使用すれば;すなわちプローブ−標的のハイブリッド形成後、5’−エキソヌクレアーゼでプローブを開裂し、不可逆的に安定な蛍光シグナルを発生させれば、ビーコンプローブの蛍光シグナルは改善することができる。この場合もやはりビーコンの閉じた立体配置とランダムな立体配置との間の平衡が、蛍光産物の形成される速度を遅くする。各PCRサイクルの時間枠、典型的には10−30秒の範囲内では、開裂した産生物の熱力学的に可能な量の分画のみしか形成されず、その結果図6A、6Bおよび6C(実施例8に詳細)に示すように相対的に弱いシグナルを得ることになる。他方、本発明の様々な態様に従ってのホモ二重標識(homo-doubly labeled)プローブは、開いたランダムな立体配置を維持するため、蛍光性のプローブ−標的のハイブリッドを容易に形成することができる。5’−エキソヌクレアーゼによるハイブリダイズしたプローブの開裂は、それが不可逆的に非消光性の安定な蛍光産生物を生成するため、さらにシグナルを高める。
本発明の態様の一部のプローブとTaqManプローブのようなプローブのと間の主な相違は、本発明の多くの態様のプローブが2つまたはそれより多くのレポーター色素を有するのに対して、TaqManプローブはただ1つのレポーター色素およびただ1つのクエンチャーしか有していないことである。FAM/TAMRAの供与体/クエンチャーのペアにおけるTAMRAのように、クエンチャーそのものもまた蛍光色素であることができるが、供与体色素であるFAMの発光のみしか検出されず、その蛍光シグナルのみが産生されるDNAの量に相関するに過ぎない。TaqManアッセイにおいて、クエンチャーの蛍光は無視されるかまたは検出さえされないかのいずれかである。TaqManプローブを用いてのリアルタイムPCRの検出は、アッセイにおけるバックグラウンドのシグナルを低下させるため、供与体のフルオロフォアのFRETに基づいた蛍光消光を頼りとする。標的DNAとのハイブリダイゼーションおよび/または5’−エキソヌクレアーゼ活性によるプローブの加水分解による開裂の前、供与体の蛍光は消光され、したがってシグナルはないかまたは非常に弱いシグナルが検出される。プローブのハイブリダイゼーションおよび/または酵素によるプローブの開裂後、供与体の蛍光が放出され、従って産生されるDNAの量に対応する正のシグナルが検出される。
TaqManを用いて発せられ得る最大のシグナルは、1つの供与体分子により発生されるため、TaqManプローブの正味のシグナル増加(最終的な性能)は、プローブ開裂前の蛍光消光の効率、およびプローブ開裂後のフルオロフォアの蛍光の生成量により主に決定される。したがってTaqManアッセイにおいて理想的には、レポーターがオリゴヌクレオチドから開裂されるまで、クエンチャーは供与体の蛍光を完全に消光しなければならない。完全な消光は、リアルタイムPCRアッセイが暗いバックグラウンドで開始することを確実にすることが通常求められる。先に考察したようにFRETの周知の原理に従って、FRETに基づく消光の効率は、供与体分子の発光スペクトルと受容体(クエンチャー)分子の吸収スペクトルの重なりに正に関連する。FRETのより総括的な考察に関しては、読者は参考文献、例えばFoster, Ann. Phys. (1948); Stryer et al.、および Proc. Natl. Acad. Sci. (1967)を検討されたい。
色素の蛍光発光波長は(そのストークスシフトにより定義されるように)その吸収波長より常に長いことをさらに考えれば、所定の色素分子に対する最善のクエンチャー分子は、必然的に異なる色素になるだろう。これは、クエンチャーの吸収スペクトルが供与体の発光スペクトルに一致しなければならないからである。事実、供与体色素のストークスシフトが大きいほど、供与体色素はより適する、と言うのは供与体はその時その発光で干渉されることなくその吸収の最大値で励起されることができるからである。これがシグナルの出力を増加させるために使用される第2の方法の理論的解釈である。FRETに基づいた消光の原理、大きなストークスシフトを伴う供与体色素を有することの利点、およびFRETに基づいた最大の消光を有することの必要性を説かれれば、供与体色素の発光波長とは実質的に異なる発光波長を有するクエンチャーを、必然的に選択することになるだろう。
要するに、FRETの基本原理、ならびにプライマーおよびプローブを含むオリゴヌクレオチドを構成する上でのFRETの広範な使用に基くと、今日の技術は、本発明の様々な態様に至る動機づけを与えるものではない。
それゆえ、FAMまたはスルホン化Cy5のいずれかでホモ二重標識したプローブを用いて得られた結果により説明される本発明の態様は、引用した技術の観点においては明白ではない。FAMおよびCy5は、最も広く使用されるレポーター色素の2つである。しかしこれらの色素はいずれも、有意なシグナルの変化および低いバックグラウンドの蛍光を示すホモ二重標識プローブを生成しなかった(データは示さない)。実際にTaqManプローブの感度を増加するために、最大の市場努力はより効率的なクエンチャー、特に無蛍光色素に基づいたクエンチャーの開発に焦点を当ててきた。非常に効率的な市販にて入手可能な無蛍光クエンチャーの例は、BioSearch, Inc.からのアゾ色素を基本とするBHQクエンチャー、Amershamからのポリニトロシアニン色素、およびMolecular Probesからのローダミンを基本とするYSQ色素を含む。
様々な態様に従って2つのレポーター色素を用いて標識したプローブは、色素分子を互いに近接する物理的近位に置くようにデザインされなければならないことはない。しかし多数の色素分子および所望によるクエンチャー分子で標識したプローブ中の方が、1つのレポーター分子およびクエンチャー分子で標識した同じオリゴヌクレオチド配列中より、集合体がより生じやすいようである。したがって本発明の様々な態様に従って少なくとも2つのシグナリング色素(および所望により1つまたはそれより多くのクエンチャー分子)で標識したオリゴヌクレオチドの少なくともいくつかは、低いバックグラウンドの蛍光、およびプローブ開裂の結果としての色素の永久的な分離において、オリゴヌクレオチド当たりのシグナリング分子の数が多いことにより、高いシグナルの出力を示すと思われる。
好ましくは一部の態様において、オリゴヌクレオチドはスペクトル的に同一または類似の複数の蛍光色素で標識する。色素が類似の吸収または励起スペクトルを有していて、そのためにそれらすべてを単一の励起光で効率的に励起することができる限り、蛍光レポーター色素の混合物を特定のプローブを標識するために使用してよい。例えば本発明のプローブは、Cy3(Glen Research, Sterling, VA)およびTAMRA(Biotium, Inc. Hayward, CA)の双方を包含してよく、これら双方とも類似するスペクトル有し、540nmで効率的に励起することができる。もう1つの例として、特定のプローブはCR110およびFAMの双方を包含してよく、これら双方もまた類似するスペクトル有し、488nmアルゴンレーザー光により十分に励起することができる。混合した色素で標識したプローブは、相対的に合成がより難しいが、ある種の場合、そのような混合した色素が標的配列とのハイブリダイゼーション前に蛍光消光を促進するのであれば、それは有利となり得る。例えば本発明のプローブは、正味の負の電荷を有する1つの色素と、類似のスペクトルであるが正味の正の電荷を有する別の色素との混合物で標識することができる。反対の電荷を有する色素の混合物は蛍光消光を促進すると思われる。色素に電荷を付加する方法は、当業者に周知である。例えば負の電荷はスルホン化により色素に付加することができ、一方正の電化は、第二級、第三級、または第四級のアミンを色素に付加することにより色素上に作成することができる。これらの分子のより総括的な考察に関しては、読者はMujumdar et al., 1993, Bioconjugate Chemを参照の上、検討されたい。
より好ましくは本発明の一部の態様のプローブは、同一の複数の蛍光色素分子で標識したオリゴヌクレオチドである。そのオリゴヌクレオチドプローブは、1回のステップで色素をオリゴヌクレオチドに複合させることができるため、容易にそして経済的に製造できるという利点を有する。核酸を標識するための効率的な技術を開発するため、膨大な研究努力が80年代になされてきた。これらの技術は十分に立証されている。この主題のより総括的な考察に関しては、読者は以下の参考文献:Connolly et al., Nucleic Acids Res. (1985); Dreyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1985); Nelson et al., Nucleic Acids Res. (1989); Sproat et al., Nucleic Acids Res.(1987)およびZeckerman et al., Nucleic Acids Res.(1987)を検討されたい。
レポーター/クエンチャーの色素ペアを有する現在の技術のプローブは、別々のラベリングステップおよび高価な試薬を必要とする。例えば第1の標識の色素またはクエンチャーは、典型的にはCPG固相支持体に連結した保護された色素を用いてオリゴヌクレオチドの合成を開始することにより、または色素標識ヌクレオシド(または2’−デオキシヌクレオシド)のホスホロアミダイトを用いることによりオリゴヌクレオチドの合成中に色素を組み込むことによりのいずれかで、オリゴヌクレオチドに連結される。第2のクエンチャー分子または色素分子は、標準的なオリゴの合成中に色素またはクエンチャーで標識したヌクレオシドのホスホロアミダイトを用いることにより、オリゴヌクレオチドに連結される。あるいはそしてより典型的には、第2の色素分子またはクエンチャー分子は、オリゴの合成中にまずアミノ基をオリゴ内に最初に組み込み、次にスクシンイミジルエステル色素またはクエンチャーをアミン修飾されたオリゴと共に反応させることにより、オリゴに連結される。この多くのステップのラベリング法とは対照的に、本発明の1つの態様のプローブは多数の同一の色素を包含する。単一の色素でのラベリングは、典型的には反応型の色素を、色素と反応することのできる所望の数の反応基を含有するオリゴと共に、バッファー中で1〜2時間混合することによる、1回の色素ラベリングステップしか必要としない。典型的には反応基は、市販にて入手可能な試薬を用いる標準的なホスホロアミダイト化学を介して、最初にオリゴヌクレオチド中に組み込まれる。
最も好ましくは本発明の一部の態様のプローブは、色素の集合体を形成することなくその蛍光が消光される、2つの同一の蛍光色素で標識したオリゴヌクレオチドである。そして好ましくは当該色素は、オリゴヌクレオチドの各々3’末端および5’末端に連結される。本発明の1つの態様において、1つの色素は3’末端の骨格リン酸にフレキシブルな脂肪族リンカーを介して連結され、もう1つの同一の色素は、もう1つのフレキシブルな脂肪族リンカーを介して5’末端の骨格リン酸に連結される。フレキシブルなリンカーは、所望によりヘテロ原子、アリール、低級アルキル、低級ヒドロキシルキルおよび低級アルコキシで置換された、C2からC30の直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の炭化水素鎖である。好ましくはリンカーは、所望によりヘテロ原子、低級アルキルおよび低級ヒドロキシアルキルで置換された、C4からC12の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖である。
本発明のもう1つの態様において、複数のレポーター色素およびクエンチャーで標識したプローブは、さらに核酸結合基(nucleic acid binding groups)を包含する。核酸結合基の例は、副溝結合物質(MGB)、核酸インターカレーター(interculator)、およびポリアミンを含む。核酸結合基が本発明の様々な態様のプローブ中に組み込まれている場合、プローブのオリゴヌクレオチド配列をより短くして、なお有用なシグナルを発生させることができる。より短いプローブは製造コストの低下に転化される。核酸結合基をオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー中に組み込む方法は十分に立証されており、例えば、米国特許第5,801,155号;6,472,153号;6,486,308号;6,492,346号、および多数の公開文献 例えばAfonina, et al., N.A.R. (1997); Kumar, et al., N.A.R. (1998)、およびKutyavin, et al., N.A.R. (2000)を参照のこと。好ましくは核酸結合基は、副溝結合物質(MGB)である。そして好ましくは核酸結合基を包含するプローブは、2つまたはそれより多くの同一のレポーター色素で標識する。より好ましくは、核酸結合基を包含するプローブは、互いに物理的に接触してもしなくてもよい2つの同一の色素で標識する。
本発明のなおもう1つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは複数の蛍光レポーター色素を包含し、その場合レポーター色素の少なくともいくつかは標識オリゴヌクレオチド内に位置するGヌクレオチドに、またはGヌクレオチドの近くに連結される。この配置において、Gヌクレオチドに最も近い色素または色素分子の蛍光は、その相補的配列にオリゴがハイブリダイズする前は消光される。
本発明の1つの態様においてプライマーは、複数のスペクトル的に同一または類似の蛍光レポーター色素を包含する、1本鎖の直鎖状オリゴヌクレオチドである。標的配列不在下で、前記プライマーはランダムコイル立体配置をとり、無蛍光または弱い蛍光性である。ランダムコイルの立体配置のオリゴヌクレオチドプライマーは、分子内部に二次構造を実質的に持たない。分子内部に二次構造を実質的に持たないオリゴヌクレオチドは、二次構造 例えばステムループ、ヘアピン等をたやすく形成することはない。
蛍光発生性分子、例えば蛍光分子で標識したプライマーが一度増幅産物中に組みこまれると、フルオロフォアは増幅産物のより伸展した立体配置により互いからさらに引き離され、そのため光度測定可能な分子からの蛍光シグナルは増加する。本発明の態様に従ってプライマーを作製する場合、プライマーは1つのプライマー当たり少なくとも2つのフルオロフォアを含む。したがって本発明に従って作製されたプライマーは、1つのシグナリング分子のみで標識したプライマーを使用するアッセイよりも高い感度で、相補的オリゴヌクレオチドについてアッセイするのに用いることができる。
標的配列とのハイブリダイゼーション、そしてその後増幅産物中への組み込みで、本発明の態様に従って作製されたプライマーのいくつかの蛍光は増加する。したがって本発明の一部の態様のプライマーの1つの利点は、オリゴ上に存在する多数の色素分子が、それらの標的にハイブリダイズする時にシグナルを発生することである。オリゴヌクレオチド当たり少なくとも2つのシグナリング分子が存在するため、それらの発生するシグナルは、オリゴヌクレオチドに連結された1つの色素分子しか有していないプライマーにより発生されるシグナルより大きい。このことは、本発明の方法に従って作製されたプライマーのいくつかを、ただ1つのシグナリグ分子しか含まない現在の技術のプライマーより感度の高い核酸検出物質とする手助けとなる。
色素分子は典型的にはヌクレオチドの塩基に、またはオリゴヌクレオチドの5’末端の骨格リン酸および塩基の組み合わせに、脂肪族リンカーを介して連結される。色素の連結部位は、ハイブリダイゼーション前には最大の蛍光消光を、そしてハイブリダイゼーションおよび増幅産物中への組み込み後には最大の蛍光を達成する様式で間隔をおく。典型的には、蛍光標識ヌクレオチドのあらゆる2つの隣接するペアの間、または5’末端および隣接する蛍光標識ヌクレオチドの間の至適間隔は、10から50ヌクレオチドである;好ましくは間隔は約15から30ヌクレオチドである;最も好ましくは間隔は約15から25ヌクレオチドである。
1つの態様は、2つのスペクトル的に同一または類似の蛍光色素で標識したプライマーである。典型的には1つの色素は5’末端にまたはその近くにリンカーを介して連結され、もう1つの色素は3’末端にまたはその近くにもう1つのリンカーを介して連結される。好ましくは1つの色素は5’末端の骨格リン酸にリンカーを介して連結され、適当な間隔をおいて、もう1つの色素がヌクレオチドの塩基、例えばTにもう1つのリンカーを介して連結される。典型的にはリンカー分子は、所望によりヘテロ原子、アリール、低級アルキル、および低級ヒドロキシアルキルで置換された、C2からC12の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖である。2つの色素分子は約15から約25塩基により離されていてよい。
1つの態様においてプライマーは、5’末端の骨格リン酸にリンカーを介して連結された1つの色素、および3’末端またはその近くのヌクレオチドTの塩基にもう1つのリンカーを介して連結されたもう1つの色素による2つの同一の色素で標識した直鎖オリゴヌクレオチドである。前記リンカーは、所望によりヘテロ原子、低級アルキル、および低級ヒドロキシアルキルで置換された、C4からC12の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖である。本発明に従って2つの同一の色素で標識した蛍光発生性プライマーは、現在の技術のプライマーより有意に容易に製造できる。このことは、供与体色素およびクエンチャー分子を高価な試薬を用いて別々のステップで連結させる必要がある場合、または長鎖の低収率のヌクレオチドを合成して必要なヘアピン構造を形成する必要がある場合に、特に該当する。
同様に、本発明の様々な態様に従って作製されるプライマーは、今日使用されている方法の多くにより製造されるプライマーより廉価に製造できる。異なる化学で分子を標識することを含む、プライマーを合成するために必要な多段階ステップのラベリング方法とは対照的に、2つの同一の色素を包含するプライマーは、1回の色素ラベリングステップしか必要としない。典型的には本発明の様々な態様の標識オリゴヌクレオチドは、反応型の色素を、色素と反応することのできる2つの反応基を含有するプライマーと共に、適切なバッファー中で1〜2時間混合することにより作製することができる。反応基は最初に、市販にて入手可能な試薬を用いて標準的なホスホロアミダイト化学を介して、オリゴ中に組み込まれる。
本発明の様々な態様に従っての蛍光発生性オリゴヌクレオチドの主要な利点は、レポーター色素を特定のクエンチャーとマッチさせなければならないことなく、事実上あらゆるクラスおよびあらゆる波長の蛍光色素を使用できる自由さである。これは、一部の態様は、使用可能なシグナルを用いてアッセイを行うための、古典的なFRETに基づいた蛍光消光に頼らないようであるという理由によると思われる。本発明に有用な蛍光色素の適切なクラスの例は、クマリン、キサンテン系色素、シアニン、ピレン、スチリル系色素、BODIPY色素、スチルベン、およびそれらの誘導体;広く使用されているキサンテン系色素のクラスに属するローダミン、フルオレセイン、およびモドールを含むが、これに限定されない。好ましい色素は中性の色素分子、および非局在化した正または負の電荷を有する色素分子を含む。中性の色素は、いかなる電荷も持たない色素、または等しい数の正の電荷および負の電荷を持つ色素であり、後者のタイプの中性色素はまた双性イオン色素ともいう。中性の色素の例は、以下の代表的な構造に示すような、BODIPY色素、ローダミン、双性イオンのシアニン系色素、およびそれらの誘導体を含むが、これに限定されない:
Figure 2007534308
Figure 2007534308
式中Rは反応基である。
非局在化した正の電荷を有する色素の例は、以下の代表的な構造に示すようなロサミン(rosamine)、シアニン、およびそれらの誘導体を含むが、これに限定されない:
Figure 2007534308
式中Rは反応基である。
非局在化した負の電荷を有する色素の例は、以下の代表的な構造におけるようなフルオレセインおよびレゾルフィンの誘導体を含むが、これに限定されない:
Figure 2007534308
式中Rは反応基である。
あるいは一部の態様のオリゴヌクレオチドは、負に荷電した色素および正に荷電した色素を組み合わせで標識され、その場合負に荷電した色素および正に荷電した色素の数は、ほぼ1:1の比率である。負に荷電した色素の例は、フルオレセイン誘導体およびスルホン化した色素、たとえば米国特許第5,696,157号;6,130,101号;5,268,486号;および6,133,445号、ならびに米国特許出願UA2002006479A1およびUA20020077487A1に記載されているものを含む。正に荷電した色素の例は、上述のロサミン系色素およびシアニン系色素、ならびに標準的な化学を用いて第三級アミンまたは第四級アミンで修飾された色素を含む。
本発明のもう1つの態様において、前記オリゴヌクレオチドを合成するための適切な色素は、エネルギー移動による色素、たとえば米国特許第5,800,996号;6,479,303B1号;および6,545,164B1号、ならびに国際特許出願WO 00/13026に記載されているものを含む。異なるエネルギー移動の色素およびエネルギー移動によらない色素を用いて標識したプローブまたはプライマーの組み合わせたものを、1つの閉じた試験管内での多重検出用に使用することができる。
様々な態様における使用のため含む適切な色素は、以下の構造を有するローダミンキサンテン色素を含むが、これに限定されない:
Figure 2007534308
式中、R、R、RおよびRは独立してH、F、Cl、C1−C18アルキル基、またはC2−C18アルケニル基である;RはHである;R10、R11、R12およびR13は独立して、所望により反応基で置換されたH、C1−C18アルキル基、またはC2−C18アルケニル基である;前記構造はさらに以下;RをR11と組み合わせて、RをR13と組み合わせて、RをR10と組み合わせて、およびRを含む環から成る環の群より選択される、0および4つの間の付加的な飽和または不飽和の5または6員環を含む;前記の付加的な各環は1つまたはそれより多くの低級アルキル基で置換されてもよい;QはCO 、またはSO 、または反応基である;RおよびRは独立してH、F、Cl、または反応基である;そしてRおよびRは独立してH、F、またはClである。これらおよびその他の色素およびクエンチャーをオリゴヌクレオチドに連結するための適切な反応基は、表2に列記したような求電子物質および求核物質、ならびに定義の章に列記したその他の基を含むが、これに限定されない。光度測定可能な分子およびクエンチャーを連結するためのその他の手段は、脂肪族リンカー基を含む。
様々な態様に使用するためのなおその他の色素は、以下の構造を有するシアニン系色素を含むが、これに限定されない:
Figure 2007534308
式中、RおよびRは独立してH、F、Cl、Br、CN、カルボン酸基、カルボキサミド、スルホネート、スルホンアミド、低級アルキル基、または少なくとも1つの付加的な縮合芳香環からなる群より選択され、前記の付加的な縮合環は独立して、以下;C、N、OおよびSから成る群から選択される原子、反応基、ならびにHもしくは反応基で置換された低級アルコキシ基を含む;RおよびRは独立して、Hまたは反応基のいずれかで置換された低級アルキル基である。;XおよびYは独立して以下:O、S、NRおよびCRからなる群より選択され、ここでR、RおよびRは独立してH、C1からC18のアルキル基である;そして“架橋”はメタン基またはポリメチン基のいずれかである。当該分子をオリゴヌクレオチドに連結するために適する反応基は、表2に列記したような求核物質および求電子物質の基、ならびに定義の章に列記したその他の基を含むが、これに限定されない。様々な反応基に加えて適切な色素および消光分子はまた、例えば脂肪族リンカーによりオリゴヌクレオチドに連結されてもよい。
あるいは適切な色素はエネルギー移動による色素であり、ここでこの色素ペアの1つはローダミン系色素またはシアニン系色素である。
(実施例)
(実施例1)
(オリゴヌクレオチドの合成およびラベリング)
材料および装置
無水溶媒、およびヌクレオシドのホスホロアミダイトを含むホスホロアミダイト試薬、および保護されたリンカーはすべて、Proligo、 Boulder、 CO or Glen Research、 Sterling、 VAより購入した。未標識オリゴヌクレオチドおよびアミン修飾オリゴヌクレオチドはすべて、Applied Biosciences (Foster City, CA)によるExpedite 8909 オリゴ合成機で合成した。
未標識オリゴヌクレオチドの合成
すべての未標識オリゴヌクレオチド(プライマー)は、ガラスビーズのポアサイズ 500ÅのCPG支持体上の保護されたヌクレオシドを用いて開始することにより合成した。脱保護、カップリングおよび酸化のステップはすべて、製造業者より提供された標準的なプロトコールに従うことにより行った。CPG支持体からのオリゴヌクレオチドの開裂および脱保護は、CPGビーズを水酸化アンモニウム中で55℃で16−18時間インキュベーションすることにより行った。一度固相支持体からはずした後、オリゴヌクレオチドをSpeedVacにより濃縮し、過剰のアンモニアを除去した後、粗成生物をSephadexG−25カラムまたはC18逆相カートリッジに通すことにより精製した。必要であれば、最終的な精製をHPLCにて行った(以下の精製を参照のこと)。
アミン修飾オリゴヌクレオチドの合成
アミン修飾オリゴヌクレオチドは、標準的な自動オリゴ合成中に、CPG支持体に固定されたアミノ修飾物質、および保護されたアミンを含有する適当なホスホロアミダイト試薬を使用することにより合成した。
異なるスペーサーアームを持つ、市販にて入手可能な多様なCPG支持体に固定されたアミノ修飾物質を使用することができる。これらの製品により3’末端にアミノ基を導入することができる。CPG支持体に固定されたアミノ修飾物質である、3’−アミノ修飾物質C7 CPGを、表1に列記した例のいくつかに使用した。この物質は以下の構造を有する:
Figure 2007534308
式中、FmocおよびDMTは各々アミン基およびヒドロキシ基のための保護基であり、そして“スクシニル−lcaa”は固相支持体および修飾物質間のスペーサーである。塩基に不安定なFmoc基は、オリゴをCPG支持体からはずすアンモニウム処理中にはずれる。この試薬はアミン基と3’末端のリン酸との間に、7−炭素分枝鎖スペーサーを導入する。表示の目的で、このスペーサーをLと表記する。異なるスペーサーとともにアミンを導入するために、またはアミン以外の異なる反応基を導入するために使用することのできる固相支持体上の修飾試薬の多くの他の形があることは、当業者は認識することができるだろう。
アミンを含有するホスホロアミダイト試薬は、保護されたアミノ−デオキシヌクレオシドのホスホロアミダイトおよび保護されたアミノ修飾物質を含む。保護されたアミノ−デオキシヌクレオシドの最も広く使用されているそしてまた最も廉価なホスホロアミダイトは、トリフルオロアセチルアミノ−2’−デオキシチミジン、またはアミノ修飾物質であるC6 dTのホスホロアミダイトであり、これを、表1に示した例のいくつかにおいてT修飾オリゴヌクレオチドを作製するために使用した。アミノ修飾物質 C6 dTの構造を以下に示す:
Figure 2007534308
この試薬はdTおよびアミン基の間に、またはdTおよび色素の間に10−原子の直鎖脂肪族スペーサーを導入する。表示の目的で、我々はこの10−原子スペーサーをLと表記する。
あるいは自動合成の最後のステップで、保護されたアミンのホスホロアミダイトを使用することにより、アミンを5’末端に導入することができる。2つのアミノ修飾物質の試薬である5’−アミノ−修飾物質C6−TFAおよび5’−アミノ修飾物質C12を、本開示に示した5’末端標識オリゴヌクレオチドを合成するために使用した。この構造を以下に示す:
Figure 2007534308
表示の目的で、5’−アミノ修飾物質C6−TFAの直鎖6−炭素スペーサーをLと表記し、同様に5’−アミノ修飾物質C12の直鎖12−炭素スペーサーをLと表記する。
異なるスペーサーとともにアミンを導入するため、またはアミン以外の異なる反応基を導入するために使用することのできる、修飾試薬の多くの他の形がある。
色素標識オリゴヌクレオチドの合成
ラベリング反応は、〜40mg/mLのDMF中のスクシンイミジルエステル色素(Biotium, Inc., Hayward, CA)の溶液を、〜1mg/mLの0.1M NaHCO(pH8.5)中に溶かしたアミノオリゴに加え、この溶液を室温で〜2時間ボルテックスで攪拌することにより行った。色素のNHSエステル 対 オリゴ中の各アミノ基のモル比は、約20−40から1とした。未反応の色素を、Sephadex G−25スピンカラムにより効率的に除去した。こうして得られた粗生成物をHPLCによりさらなる精製を行った(以下参照)。
標識オリゴヌクレオチドの精製
標識オリゴヌクレオチドを、Hitachi D7000 HPLC システムの逆相HPLCにより精製した。
典型的なHPLCの条件:
カラム:C18 YMC ODS−A 5um 12nm 150×4.6mm、またはC18 Microsorb 5um 30nm 200×4.6。
カラム温度:45℃
濃度勾配:20分−30分で10%Bから50%Bに 1ml/分にて。A:100mM TEAA pH7.0; B:100% CHCN。
ラベリングの程度の決定
精製した色素標識オリゴヌクレオチドの230nmから700nmの吸収を分光光度計で測定し,色素のλmax(Amax)およびA260を決定した。色素の濃度はAmax値を測定することにより決定し、一方オリゴヌクレオチドの濃度は260nmでの色素の吸収を計算に入れた後、A260値に基づいて算出した。色素 対 オリゴの濃度の比率からラベリングの程度(DOL)を定義した。出願者らの実験において、単標識に関するDOLは1に近く(例えば図4B&4C)、そして二重標識に関する値は2に近い(例えば図4A)。この計算値に基づき、今回の発明に詳述する二重標識または単標識のプローブまたはプライマーは、全体として90から95%以上純粋であると結論する。
(実施例2)
(二重標識プローブを用いてのMCG遺伝子の増幅のモニター)
本実施例における実験の第一のセットは、MCG遺伝子のRT−PCR検出における、二重6−ROX標識プローブの使用について実証する。増幅は、10mM Tris(pH8.0)、50mM KCl、3.5mM MgCl、2mM 各dNTP、および1ユニットのAmpliTaq Gold (ABI, Foster City, CA)を含有する20μlの反応溶液中で行った。pTOPOプラスミド中のMCG遺伝子フラグメント(配列番号25)を、0.5μMのフォワードプライマーである5’−TCAAGAGGTGCCACGTCTCC−3’(配列番号4)、0.5μMのリバースプライマーである5’−CTGATCTGTCTCAGGACTCTGACACTGT−3’(配列番号5)を用いて増幅した。二重6−ROX標識MCGプローブである5’−(6−ROX−L−CAGCACAACT ACGCAGCGCCTCC(−L−6−ROX)−3’(配列番号6、表1を参照のこと)を、続いての反応に使用した。温度管理は、7分間95℃に、続いて95℃で15秒間および60℃で20秒間を50サイクルに設定した。蛍光は60℃のステップで測定した。鋳型の10倍段階希釈を行って、増幅プロットの滴定曲線を作成した。図2Aは、鋳型の10コピー(曲線1)から鋳型の10コピー(曲線7)を用いて開始する前述の反応の増幅プロットを示す。2つのNTC(鋳型なしのコントロール(no template control)、曲線8および9)もまた図中に示す。挿入図は、Ct値が開始時のコピー数の対数に負に(reversibly)相関することを示す(曲線10)。
実験の第二のセットにおいて、プローブ(配列番号36)を非スルホン化シアニン色素で二重に標識し、2つの鋳型濃度、100,000コピー(曲線151)および0コピー(曲線152)で実験を行った。すべての他の試薬および条件は、実験の第一のセットと同じとした。このセットは、MCG遺伝子のRT−PCR検出における二重シアニン標識プローブの使用を実証する。
(実施例3)
(複雑な鋳型から6−CR110で二重に標識したプローブを用いての、MCG遺伝子およびGAPDH遺伝子の増幅のモニタリング)
ヒトゲノムDNA由来のMCG遺伝子フラグメントの増幅を、(1)6−CR110プローブである5’−(6CR110−L−)CAGCACAACT ACGCAGCGCC TCC(−L−6−CR110)−3’(配列番号7、表1を参照のこと)、および(2)ヒトDNAの10倍段階希釈を使用したことを除いて、実施例2におけるように行った。図2Bは、ヒトDNAの10コピー(曲線11)からヒトDNAの10コピー(曲線15)までを用いて開始する反応の増幅プロットを示す。NTC(曲線16)もまた図中に示す。挿入図は、Ct値が開始時のコピー数の対数に負に(reversibly)相関することを示す(曲線17)。
鋳型としてcDNAを用いるもう1つの滴定(図2C)を、GAPDHプライマーである5’−GAAGGTGAAGGTCGGAGTC−3’(配列番号1)および5’−GAAGATGGTGATGGGATTTTC−3’(配列番号2)、ならびにGAPDHプローブである5’−(6CR110−L−)CAAGCTTCCCGTTCTCAGC (−L−6−CR110)−3’(配列番号21)を使用したことを除いて上のように行った。0.2μlのヒト脳のcDNA(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて開始し、2倍段階希釈で行った。すべてのPCR反応は10μlの容量で行った。温度管理は、95℃(7分間)、その後95℃(15秒間)および56℃(20秒間)を45サイクルとした。
(実施例4)
(TaqManプローブの、本発明の二重標識プローブとの比較)
GAPDH遺伝子フラグメントを、フォワードプライマーである5’−GAAGGTGAAGGTCGGAGTC−3’(配列番号1、表1)およびリバースプライマーである5’−GAAGATGGTGATGGGATTTTC−3’(配列番号2、表1)を用いて、GAPDH遺伝子フラグメント(配列番号24、表1)を含有するpTOPOプラスミドから増幅した。レポーター色素としてJOE、およびクエンチャーとしてTAMRAを伴うTaqManプローブ(5’−(6−JOE−L−)CAAGCTTCCCGTTCTCAGC (−L−6−TAMRA)−3’;配列番号8、表1を参照のこと)、または本発明に従って5−R6Gで二重標識したプローブ(5’−(5−R6G−L−)CAAGCTTCCCGTTCTCAGC (−L−5−R6G)−3’;配列番号9、表1を参照のこと)を、アニーリング/伸展の温度を56℃に下げたことを除いて、実施例2において使用したものと同一の反応条件下でこの反応をモニタリングするために使用した。
すべての増幅反応は鋳型の100万コピーを用いて行い、各プローブについて各々125nM、250nM、および500nMの濃度を使用した。図3Aに示すように、本発明に従って作製したプローブのシグナル強度は、対応するTaqManプローブの値の2倍の強度である(曲線18対21、曲線19対22、曲線20対23)。R6GおよびJOEは、同等のスペクトル、ならびに類似の蛍光量収率および吸光係数を有する。したがって2つのプローブ間で観察される性能の差異は、色素そのものによるのではなく、本発明に従ってのプローブのより優れたデザインを反映するものである。
5’末端にFAMおよび3’末端にTAMRAを伴う、FAM標識MCG TaqManプローブを作製し、PCRにおいて、同一の配列を有する二重標識CR110プローブ(5’−(6CR110−L−)CAGCACAACT ACGCAGCGCC TCC(−L−6CR110)−3’(配列番号7))と比較した。図3Bは、前記のホモ二重標識CR110プローブおよびTaqManプローブの、各々1000nM(曲線115 対 曲線119)、500nM(曲線116 対 曲線120)、250nM(曲線117 対 曲線121)、および125nM(曲線118 対 曲線122)の増幅プロットを示す。すべての増幅は、MCGフラグメントを含有するプラスミドの100万コピーを用いて開始する。飽和濃度(1000nM)において、ホモ二重標識プローブは、シグナル強度について60%、前記TaqManプローブを上回っていた。二重標識CR110プローブでは、同じシグナル強度を得るためにTaqManプローブの濃度の1/2を使用する。
FAM標識cMyc TaqManプローブは今回、ABIによりプライマーおよびプローブの20x混合物にて提供を受けた。プローブは配列を開示されておらず、その3’末端にはMGBが含まれた。前記TaqManプローブと、二重標識CR110プローブ(5’−(6CR110−L−)CAGCACAACT ACGCAGCGCC TCC(−L−6CR110)−3’(配列番号7))との間で比較を行った。図3Cは、前記TaqManプローブ(曲線110)およびホモ二重標識CR110プローブの1000nM(曲線111)、500nM(曲線112)、250nM(曲線113)、125nM(曲線114)の増幅プロットを示す。すべての増幅は、Invitrogenからのヒト脳のcDNAの同一濃度を使用した。飽和濃度(1000nM)でホモ二重標識プローブは、シグナル強度において前記TaqManプローブを上回っていた。MGBを組み込むことで、今回の発明におけるプローブの性能をさらに改善すると思われる。
(実施例5)
(二重に色素で標識したオリゴヌクレオチド、およびただ1つの色素で標識したオリゴヌクレオチド、ならびにS1ヌクレアーゼで消化したそれらのオリゴヌクレオチドの、UV/可視光吸収スペクトル)
この実験の目的は、本発明に従って2つのレポーター色素で標識したオリゴヌクレオチド中の色素間に物理的な接触がないことを実証することである。色素が互いに接触する必要がないことを実証するため、出願者らは同じ配列の3つのCR110標識オリゴヌクレオチド:1)3’および5’を二重に標識したGAPDHプローブ(配列番号3、表1);2)5’を単標識したGAPDHプローブ配列(配列番号7、表1);および3)3’を単標識したGAPDHプローブ配列(配列番号8、表1)、を合成した。2つの単標識オリゴヌクレオチドは、コントロールとするために作製した。
S1バッファー中の3つの標識オリゴヌクレオチドのスペクトルを、各々図4A(曲線29)、図4B(曲線31)および図4C(曲線33)に示す。色素を取り囲む微小環境により、色素のスペクトルもまたどのように影響を受けるかを評価するため、標識オリゴヌクレオチドをS1で消化した後、スペクトルをとった(図4A(曲線28)、図4B(曲線30)および図4C(曲線32))。S1バッファー(50mM 酢酸ナトリウム(pH4.5)、280mM NaCl、および4.5mM ZnSO)中に250から500nMのプローブを含有する100μlの反応溶液 に、20ユニットのS1ヌクレアーゼ(Promega, Madison, WI)を加えることにより、消化を行った。S1の消化は、続いてのUV/可視光吸収スペクトルの変化により確認されたように、S1添加後ほとんど瞬間的に完了した。しかし完全な消化を確実にするため、37℃で1時間のインキュベーション後にスペクトルを取った。
図が示すように、3つすべての標識オリゴヌクレオチドは可視光の波長領域でほぼ同一の吸収スペクトルを有し、二重標識プローブが、吸収スペクトルの形またはプロフィールにおける有意な変化により典型的には特徴付けられる色素集合体を有していないことを示す(実施例7を参照のこと)。二重標識プローブの形(図4A、曲線29)および消化されたプローブの形(図4A、曲線28)が類似するという事実は、色素ダイマーが形成されていないというさらなる証拠である。吸収ピークの形の変化とは対照的に、曲線29から曲線28へのわずかな全体的な波長のシフトは、溶媒効果に類似する色素を取り囲む微小環境の差異による。予想されるように、この“溶媒効果”は3つすべての標識オリゴヌクレオチドについて類似する(図4Aにおける曲線28 対 曲線29;図4Bにおける曲線30 対 曲線31;図4Cにおける曲線32 対 曲線33)。
(実施例6)
(ホモ二重標識プローブおよび2つの単標識コントロールオリゴヌクレオチドを用いてモニターしたGAPDHの増幅)
この実験の目的は、本発明に従ってのプローブのより優れた性能が、使用した色素の何らかの独自性によるのではなく、当該プローブの新規デザインによるものであることを実証することである。出願者らは、すべてが同じGAPDHプローブ配列を有する3つの標識オリゴヌクレオチド:1)3’末端および5’末端を5−CR110で二重標識したGAPDHオリゴ(配列番号3、表1);2)5’末端を5−CR110で単標識したGAPDHオリゴ(配列番号10、表1);および3)3’末端を5−CR110で単標識したGAPDHオリゴ(配列番号11、表1)、を合成した。次に標識オリゴヌクレオチドを、実施例3のものと同一の条件を使用して、GAPDH遺伝子フラグメントの増幅のための可能性あるプローブとしてのそれらの有用性について検討した。
図4Dは、可能性あるプローブとして3つの標識オリゴヌクレオチドを用いての、GAPDH遺伝子の増幅の動力学プロフィールを示す。二重標識プローブが典型的な動力学プロフィールを示した(曲線34 図4D)のに対して、同じ増幅条件下で2つの単標識オリゴヌクレオチドは増幅の動力学に応答することはできなかった(曲線35および36 図4D)。すべての3つの反応で遺伝子の増幅が成功したことは、着色剤として臭化エチジウムを用いてのアガロースゲル電気泳動により確認された。したがって単標識オリゴヌクレオチドからの応答がなかったことは、増幅産生物がないことに起因するのではない。これらの結果は、本発明の様々な態様に従って作製されたプローブのより優れた性能がプローブの新規デザインの結果であることを示唆する。この改善は、色素独自の本質、または個々の色素がオリゴヌクレオチドに連結される様式、または色素およびオリゴヌクレオチド間の相互作用に起因するのではない。
(実施例7)
(本発明に従ってのホモ二重標識プローブの、類似する分子ビーコンプローブとのスペクトルの比較)
ここで出願者らは、本発明に従ってレポーター色素で二重に標識したプローブの吸収スペクトルを、先行技術分野に従っての物理的に接触する色素のペアを有するプローブと比較する。この目的は、先行技術分野のプローブとは違って、本発明の二重標識プローブが色素集合体を形成しないことをさらに実証することである。
3’末端および5’末端に各々アミン基を有するGAPDHステムループ配列である5’−(Am−L−) CCAAGCGGCTGAGAACGGGAAGCTTGGCTTGG(L−Am)−3’を合成した。ここで下線のヌクレオチドはステムを形成する配列を示す。次にこのアミン修飾配列を使用して、6−CR110(配列番号12、表1)、6−TAMRA(配列番号13、表1)および6−ROX(配列番号14、表1)のスクシンイミジルエステルと各々反応させることにより、3つのホモ二重標識分子ビーコンプローブを合成した。同様に対応する本発明に従ってのホモ二重標識プローブは、二重アミン修飾配列である(Am−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (L−Am)を、6−CR110(配列番号21、表1)、6−TAMRA(配列番号22、表1)および6−ROX(配列番号23、表1)のスクシンイミジルエステルと各々反応させることにより作製した。前述のステムループプローブ、および本発明に従ってのそれらの対照物のプローブのスペクトルを、10mM Trisバッファー(pH8.0)中の〜0.5μMで、25℃にてShimadzu 1201 UV/可視光 分光光度計で測定した。比較し易いようにビーコンプローブおよび本発明の対応するプローブの各ペアのスペクトルを、各々図5A、5B、5Cに示した。すべてのホモ二重標識のビーコンプローブはより短い波長の肩のピークを示したが、これは色素ダイマーの形成を示す(Blackman et al., 2002, Biochemistry; Packard et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci.)。これに反して本発明のプローブは、単標識オリゴヌクレオチドまたは消化された標識オリゴヌクレオチドのものと類似するスペクトルを有していた(実施例5を参照のこと)。
(実施例8)
(本発明に従っての二重標識プローブの、対応するホモ二重標識ビーコンプローブとのシグナル強度の比較)
この実験は、本発明に従ってのホモ二重標識プローブが、対応する二重標識ビーコンプローブより数倍感度が高いことを実証する。
GAPDH遺伝子フラグメントを、GAPDH遺伝子フラグメント(配列番号24)を含有するpTOPOプラスミドから、実施例4のものと同一のプライマーおよび条件を用いて増幅した。実施例7の6つの各プローブ(3つの本発明のホモ二重標識プローブおよび3つの対応するビーコンプローブ)を使用して、4つの異なるプローブ濃度、すなわち125nM、250nM、500nM、および1mMで各々増幅反応を追跡した。増幅は、すべての反応が完了していることを確実にするため、過剰なサイクル数で行った。加えてゲル電気泳動は、等量の増幅PCR産物が3つのすべての反応について形成されたことを明らかにした。本発明のホモ二重標識プローブおよび関連するビーコンプローブの各ペアに関する動力学プロフィールを、各々図6A、6B、6Cに示す。
図6A、6B、6Cのデータは、同じ濃度で使用した場合に本発明に従ってのプローブが、対応するビーコンプローブより数倍感度が高いことを明確に示す。この図において、ビーコンプローブは1mMの濃度でさえも完全に飽和にならなかったのに対して、本発明の関連するプローブは250nMまたは250nM程度で飽和を表示したこともまた示された。この遅れた飽和は、所定の時間における標的配列とのハイブリダイゼーションにプローブ全量の一部のみを利用可能とする、開いた及び閉じたビーコンの立体配置の間の平衡による(図7)。
(実施例9)
(FAMおよびCR110の混合物で標識したプローブ)
この実験は、本発明のオリゴヌクレオチドを、レポーター色素の混合物で標識することができることを実証する。
1つの6−FAMおよび1つの6−CR110で標識したプローブを合成するため、二重アミン修飾GAPDHプローブ配列である5’−(Am−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (−L−Am)−3’を、6−FAM SEおよび6−CR110 SEの1:1混合物と反応させた。このラベリング反応は、4つの二重標識生成物:1)5’−(6−FAM−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (L−6−FAM)−3’;2)5’−(6−FAM−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (L−6−CR110)−3’;3)5’−(6−CR110−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (L−6−FAM)−3’;4)5’−(6−CR110−L−) CAAGCTTCCC GTTCTCAGC (L−6−CR110)−3’を生成した。生成物をC18 RP HPLCにより精製し、生成物1)および4)に対応するピークを、個別に調製した生成物のHPLC保持時間と比較することにより同定した。生成物1)および生成物4)の曲線の間に保持時間を有するピークは、2つのヘテロ二重標識プローブの曲線とし、UV/可視光分光学により分画を集め、分析した。図8Aは、生成物1)(曲線80)、生成物2)および3)(曲線81)、ならびに生成物4)(曲線82)のUV/可視光スペクトルを示す。ヘテロ二重標識プローブ(生成物2)および3))のスペクトルは、予想されるように2つのホモ二重標識プローブの曲線の間に落ち着いた。次に単離したプローブを、実施例4に使用したのと同一の条件下で、GAPDH遺伝子の増幅のためのプローブとして使用した。図8Bは、この単離したプローブを使用してのGAPDH遺伝子増幅の動力学プロフィールを示す。
あるいはヘテロ二重標識オリゴヌクレオチドは、別々のステップで色素を連結することにより、FRETに基づいたプローブまたはプライマーを合成するための従来の方法で作製することができる。しかしこの実施例に記載した合成法を、標識オリゴヌクレオチドの最善の性能を得られると思われる、至適色素ペアに関するスクリーニングの迅速な方法となってよい。
(実施例10)
(ホモ二重標識プライマー)
これらの実験は、RT−PCRをモニターするための蛍光発生性プライマーとしての、本発明に従ってのオリゴヌクレオチドの使用について実証する。
第1の実験において、5−CR110 SEを、ジアミン修飾プライマーである5’−(Am−L−) GAAGGTGAAGGTCGGAGT(−L−Am)C−3’と反応させることにより、GAPDH遺伝子増幅のための蛍光発生性フォワードプライマーである(5’−(5−CR110−L−) GAAGGTGAAGGTCGGAGT(−L−5−CR110)C−3’、配列番号15、表1)を合成した。このジアミン修飾プライマーにおいて、1つのアミンはC6脂肪族リンカーを介して5’リン酸に連結され、もう1つのアミンは10原子脂肪族リンカーを介してNo.18のデオキシヌクレオチドdTの塩基に連結されている(合成の詳細については実施例1を参照のこと)。GAPDH遺伝子の増幅は、以下:1)プローブを使用しなかった;2)フォワードプライマーを上のホモ二重標識蛍光発生性プライマーに置き換えた;そして3)3種類の鋳型のコピー数:100万、1000、およびゼロ(コントロール)を使用したことを除いて実施例4に使用したものと同一の条件を使用して行った。図9Aは増幅のプロフィールを示す。ここで曲線87、88、および89は各々、100万、1000の鋳型のコピー、およびNTCを表す。
第2の実験において、出願者らは5’最末端のGを除去する以外は、上のフォワード蛍光発生性プライマーと同一のもう1つの二重標識蛍光発生性プライマー(5’−(5−CR110−L−) AAGGTGAAGGTCGGAGT(−L−5−CR110)C−3’、配列番号16、表1)を合成した。同様に、第1の実験におけるのと同じ3種類の鋳型のコピー数を使用して、PCR反応を行った。図9Bは増幅のプロフィールを示す。図中曲線90,91、および92は各々、鋳型のコピー数 100万、1000およびゼロを各々表す。この結果は、本発明に従ってのホモ二重標識プライマーの成功した増幅は、Gヌクレオチドに付随する蛍光消光/非消光、すなわちLUXプライマーの作用メカニズム(Nazarenko et al., 2002,Nucleic Acid Research)によるのではないことを示す。
第3の実験において、出願者らは5−CR110 SEを、ジアミン修飾リバースプライマーである5’−(Am−L−) GAAGATGGTGATGGGATT (−LAm)TC−3’と反応させることにより、ホモ二重標識リバースプライマーである5’−(5−CR110−L−) GAAGATGGTGATGGGATT(−L−5CR110)TC−3’(配列番号17、表1)を合成した。このジアミン修飾リバースプライマーにおいて、1つのアミンはC6脂肪族リンカーを介して5’リン酸に連結され、もう1つのアミンは10原子脂肪族リンカーを介してNo.18のデオキシヌクレオチドdTの塩基に連結されている。同様にGAPDH遺伝子を、以下:1)通常のフォワードプライマーを使用した;2)上のホモ二重標識リバースプライマーを使用した、ことを除いて第1の実験に使用したものと同一の条件を使用して増幅した。図9Cは増幅のプロフィールを示す。図中曲線93、94、および95は各々、100万、1000、およびゼロの鋳型のコピー数を表す。第1および第2の実験からのデータは、フォワードプライマーまたはリバースプライマーのいずれかを、核酸の検出のために本発明に従って蛍光発生性の標識をすることができることを示す。
ホモ二重標識プライマーの蛍光消光/非消光が、標的とのハイブリダイゼーション前後の色素およびオリゴヌクレオチド間の相互作用の差異に起因するという可能性を除くため、出願者らは2つのコントロールプライマー、すなわち5’末端単標識を伴う1つのプライマー(5’−(5−CR110−L−) GAAGGTGAAGGTCGGACT−3’配列番号18、表1)、および10原子リンカーを介してNo.17dTの塩基に連結された1つの5−CR110を伴うもう1つのプライマー(5’−(AAGGTGAAGGTCGGAGT(−L−5−CR110)C)−3’、配列番号19、表1)を合成した。図9Dおよび9Eが示すように、最終産物のゲル電気泳動は、双方のPCR反応が通常どおり進行したことを明らかにしたが、5’末端標識プライマー(曲線97、図9D)およびdT標識プライマー(曲線99、 図9E)のいずれもPCR反応には応答しなかった。
なおもう1つのコントロール実験において、出願者らは10原子のフレキシブルなリンカーを介してNo.18 dTヌクレオチドに連結された色素5−CR110を伴う単標識フォワードプライマー(5’−GAAGGTGAAGGTCGGAGT (−L−5−CR110−C−3’、配列番号20、表1)を合成した。このプライマーは、実験1)および3)のホモ二重標識プライマーと同様に、PCR産物に組み込まれた時に増幅反応に対してまさに正の応答をした。この観察の可能性ある説明として、5’最末端のdGヌクレオチドが3’末端へとループを形成し、LUXプライマーの場合におけるようにフルオロフォアを消光すると思われると考えられる(図9F)。この仮説を検討するため、出願者らは5’末端のdGを除去した単標識フォワードプライマー(5’−AAGGTGAAGGTCGGAGT (−L−5−CR110)C−3’、配列番号19、表1)を合成した。図9Eに示すように、このプライマーは増幅反応に応答することはできなかった。この結果は、本実施例の第2の実験結果に沿って、ヌクレオチドGに伴う蛍光消光/非消光の不在下において、本発明の蛍光発生性オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのレポーター色素を必要とすることを示す。
(実施例11)
(1対のホモ二重標識プローブを用いてのSNPタイピング)
Tappらは、コドン10のエストロゲン受容体遺伝子のCからTへの転移に対して各々、FAMおよびTETで各々標識した1対のTaqManプローブを使用することにより、SNPタイピングを示した。この実験は、各々FAMおよびTETの代わりに、CR110またはR6Gで標識した1対のAllGloプローブが、この目的のために均等に十分に作用することを実証する。
SNPタイピング反応は、10mM Tris(pH8.0)、50mM KCl、3.5mM MgCl、2mM 各dNTP、1ユニットのAmpliTaq Gold(ABI, Foster City, CA)、0.5μM フォワードプライマーである5’−CCACGGACCATGACCATGA−3’(配列番号26)、0.5μM リバースプライマーである5’−TCTTGAGCTGCGGACGGT−3’(配列番号27)、0.2μM ERコドン10Cプローブである5’−(6−CR110−L−CCAAAGCATCGGGATGGCC(−L−6−CR110)−3’(配列番号28)、2μM ERコドン10Tプローブである5’−(5−R6G−L−CCAAAGCATCGGGATGGCC(−L−5−R6G)−3’(配列番号29)、およびタイピングするモデルのプラスミドDNAを含有する20μl反応液中で行った。この反応のプロフィールは、7分間95℃の後、95℃で15秒間および60℃で20秒間を50サイクルに設定した。蛍光は、FAMおよびTETのチャネル双方から60℃のステップで同時に測定した。ホモ接合体CCモデル遺伝子型は、プラスミドpER(C)、すなわちSNPがCであるエストロゲン受容体遺伝子のコドン10の側面に位置する106bpの挿入部分(配列番号30)を含有するpTOPOプラスミドの、10コピーから成る;ホモ接合体TTモデル遺伝子型は、プラスミドpER(T)、すなわちSNPがTであるエストロゲン受容体遺伝子のコドン10の側面に位置する106bpの挿入部分(配列番号31)を含有するpTOPOプラスミドの、10コピーより成る;ヘテロ接合体CT遺伝子型は、pER(C)の0.5×10コピーおよびpER(C)の0.5×10コピーより成る。この3つの遺伝子型は3つの識別される増幅プロフィールのパターンを示し、これらのパターンは以下のとおりである:ホモ接合体CCは高いCR110シグナル(曲線131、図10A)および非常に低いR6Gシグナル(曲線132、図10A)を有した;ホモ接合体TTは低いCR110シグナル(曲線135、図10C)および高いR6Gシグナル(曲線136、図10C)を有する;ヘテロ接合体CTは中程度のレベルのCR110シグナル(曲線133、図10B)および中程度のレベルのR6Gシグナル(曲線134、図10B)を有する。
(実施例12)
(exoDNAポリメラーゼを使用する増幅)
この実験は、プローブの開裂の代わりにハイブリダイゼーションにより蛍光シグナルをモニターするリアルタイムPCRにおける、exoDNAポリメラーゼの使用について実証する。増幅は、あらかじめ混合しておいたバッファーおよびTitanium Taq (BD Biosciences, Mountain View, CA)を含有する20μl反応溶液中で行った。pTOPOプラスミド中のHCV遺伝子フラグメント(配列番号32)を、2μM フォワードプライマーである5’−GCACGAATCCTAAACCTCAAAA−3’(配列番号33)、0.2μM リバースプライマーである5’−GGCAACAAGTAAACTCCACCAA−3’(配列番号34)で増幅した。最終濃度0.5μMの二重6−ROX標識HCVプローブである5’−(6−ROX−L−ATCTGACCACCGCCCGGGAAC− (−L−6−ROX)−3’(配列番号35)を各反応に使用した。温度管理は2分間95℃の後、95℃で15秒間、60℃で20秒間、および72℃で5秒間を50サイクルに設定した。蛍光は60℃のステップで測定した。鋳型の10倍段階希釈を行い、増幅プロットの滴定曲線を作成した。図12は鋳型の10コピー(曲線140)から鋳型の1コピー(曲線146)までを用いて開始する前述の反応の増幅プロットを示す。NTC(鋳型なしのコントロール、曲線148)もまたこの図に示す。挿入図は、Ct値が開始時のコピー数の対数に負に(reversibly)相関することを示す(曲線148)。
個々の各出願、特許、または特許出願をその全内容において本明細書にて参照として援用し、説明することを、具体的にそして個別に示したかのように、本明細書に引用したすべての公開、特許、特許出願を、本明細書にて参照として援用する。
具体的にそうではないと同定していなければ、本明細書において使用するすべての用語は、それらの規定のおよび習慣的な専門用語を含むために使用する。さらに、具体的な成分およびステップを有する診断用の検査および医学的治療デバイスの様々な態様を本明細書に記載し説明するが、いかなる選択された態様も可能な場合には、別の態様に記載した1つまたはそれより多くの具体的な成分および/またはステップを含むことができることと、理解されるものとする。
さらに本明細書に述べた操作、証拠、または発見のいかなる理論も、本発明の理解をさらに高めることを意味しており、本発明の範囲をそのような理論、証拠、または発見に依存させる意図はない。
本発明を、図面および前述の記載において詳細に説明および記載してきたが、前記の図面および記載は特徴を説明するものとして考えられるべきであり、制限するものとして考えられるべきではなく、また好ましい態様のみを示し記載しているに過ぎず、本発明の精神の範疇にあるすべての変更および修飾は保護されることを所望することと理解されるものとする。そして本発明は具体的な実施例、および理論的議論、タンパク質およびDNA配列、金銭面、および図解を用いて説明したが、これらの実施例、議論、図解、配列、金銭面、および付随する考察は、本発明を限定するものとして決して解釈されるべきではない。本開示の要約は、文書を検索する人に便宜を図るために含む;要約は本発明の概要ではなく、請求の範囲または明細書を解釈または限定するために使用すべきではない。
表1は、本文を通して言及したいくつかの配列、ならびに一部の態様を実践するために適するいくつかの連結分子の構造の簡潔なリストである。
Figure 2007534308
表2は、ラベリング分子および消光分子をオリゴヌクレオチドに連結するために一部の態様で使用することのできる、いくつかの求電子基および求核基を含む反応基の部分的なリストである。
Figure 2007534308
配列リスト。添付するページのセットは、使用する配列のいくつかをより詳細に列記する。
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図1は、リアルタイムPCRに伴ういくつかのパラメータを説明する、典型的なリアルタイムPCRの進行についての概略増幅プロットである。 図2Aは、PCRを用いてMCG遺伝子を増幅した時に得られたデータのプロットを示す。これらのデータは、6−ROX標識プローブを用いて、プラスミドDNAの様々な開始時濃度で得た。(実施例2) 図2Bは、PCRを用いてMCG遺伝子を増幅した時に得られたデータのプロットを示す。これらのデータは、ヒトゲノムDNAの様々な濃度で6CR110標識プローブを用いて得た。(実施例3) 図2Cは、PCRを用いて増幅したMCG遺伝子で得られたデータのプロットを示す。これらのデータは、ヒトcDNAの様々な開始時濃度から6CR110標識プローブを用いて得た。(実施例3) 図2Dは、プラスミドDNAの100,000コピーから、非スルホン化シアニン標識プローブを用いて増幅したMCG遺伝子の増幅プロットを示す。(実施例2) 図3Aは、TaqManプローブを、本発明の1つの態様に準拠して作製したプローブと比較することにより得たデータを示す。TaqManプローブは5’末端をJOEで、3’末端をTAMRAで標識した;本発明のプローブはTaqManプローブと同じオリゴヌクレオチド配列を有するが、5’末端および3’末端の双方をR6Gで標識した。(実施例4) 図3Bは、TaqManプローブの、本発明の1つの態様に準拠して作製したプローブとの比較の結果を示す。TaqManプローブは5’末端をFAMで、3’末端をTAMRAで標識した;本発明のプローブはTaqManプローブと同じオリゴヌクレオチド配列を有するが、5’末端および3’末端の双方を6−CR110で標識した。(実施例4) 図3Cは、TaqManプローブの、本発明の1つの態様に準拠して作製したプローブとの比較の結果を示す。ABIからの配列の開示されていないTaqManプローブは、5’末端にFAMを、3’末端にMGBおよびクエンチャーを有した;本発明のプローブは、5’末端および3’末端の双方を6CR110で標識した。(実施例4) 図4Aは、双方の末端を5−CR110の2つの分子で標識したGAPDHプローブの、S1消化の前後双方の吸収スペクトルを示す(配列番号3、実施例5)。 図4Bは、5’末端を1つの5−CR110で標識したGAPDHプローブ(配列番号10)のS1消化の前後双方の吸収スペクトルを示す(実施例5)。 図4Cは、3’末端を1つの5−CR110で標識したGAPDHプローブ(配列番号11)のS1消化の前後双方の吸収スペクトルを示す(実施例5)。 図4Dは、4A、4Bおよび4Cで使用した3つのプローブを用いて得られた増幅プロットを示す。(実施例6) 図5Aは、2つの6−CR110で標識した直鎖状およびステムループのGAPDHプローブの吸収スペクトルを示す。この図はステムループ構造が6−CR110ダイマーの形成を促進することを示す。(実施例7) 図5Bは、2分子の6−TAMRAで標識した直鎖状およびステムループのGAPDHプローブの吸収スペクトルを示す。これらのデータはステムループ構造が6−TAMRAダイマーの形成を強く促進することを示す。(実施例7) 図5Cは、2分子の6−ROXで標識したGAPDHプローブに関する、直鎖状プローブおよびステムループプローブの吸収スペクトルを示す。この図に示したデータは、ステムループ構造が6−ROXダイマーの形成を強く促進することを示す。(実施例7) 図6Aは、様々なプローブ濃度でのリアルタイムPCRにおける、二重に6−CR110標識した直鎖状プローブおよびステムループプローブの性能の比較の結果を示す。この図は直鎖状プローブが、ステムループ構造を形成するプローブより有意に強いシグナルを発することを示す。(実施例8) 図6Bは、様々なプローブ濃度で測定したリアルタイムPCRにおける、二重に6−TAMRA標識した直鎖状プローブおよびステムループプローブとの性能の比較を示す。この図は直鎖状プローブが、ステムループ構造を形成するプローブより有意に強いシグナルを発することを示す。(実施例8) 図6Cは、様々なプローブ濃度を用いたリアルタイムPCRにおける、二重に6−ROX標識した直鎖状プローブおよびステムループプローブの性能の比較を示す。この図は直鎖状プローブが、ステムループ構造を形成するプローブより有意に強いシグナルを発することを示す。(実施例8) 図7は、ビーコンプローブを用いての核酸の検出に伴う化学平衡を示す。(実施例8) 図8Aは、各々FAM/FAM、FAM/CR110、およびCR110/CR110の色素のペアの組み合わせで標識した3つのプローブのスペクトルを示す(実施例9)。 図8Bは、図8Aに示したプローブを用いて検出されたGAPDH遺伝子の増幅プロットを示す。(実施例9) 図9Aは、PCRによるGAPDH遺伝子の増幅から、そしてGAPDHの二重5−CR110標識フォワードプライマー(配列番号15)を用いて産生物を検出して得たデータを示す。(実施例10) 図9Bは、PCRによるGAPDH遺伝子の増幅から、そしてGAPDHの二重5−CR110標識フォワードプライマー(配列番号16)を用いて産生物を検出して得たデータを示す。(実施例10) 図9Cは、PCRによるGAPDH遺伝子の増幅から、そして5−CR110標識リバースプライマー(配列番号17)を用いて産生物を検出して得たデータを示す。(実施例10) 図9Dは、PCRによるGAPDH遺伝子の増幅から、そして二重5−CR110標識フォワードプライマー(配列番号15)、および5’末端を5−CR110単標識した同じフォワードプライマー(配列番号18)を用いて産生物を検出して得たデータを示す。このグラフは、二重標識オリゴヌクレオチドのみが蛍光発生性プライマーとして機能することを実証する。(実施例10) 図9Eは、PCRによりGAPDH遺伝子を増幅し、そして二重5−CR110標識フォワードプライマー(配列番号16)、および3’末端を単標識した同じフォワードプライマー(配列番号19)を用いて産生物を検出することにより得たデータの比較である。このグラフは、二重標識プライマーのみがPCR検出のための蛍光発生性プライマーとして機能することを実証する。(実施例10) 図9Fは、5’GがLUXプライマーにおいてそうであるようにクエンチャーとして作用することを可能にすると思われる、可能性のある二次構造を示す。この図はまた、本発明の一部の態様の蛍光発生性プライマーが、LUXプライマーの機能の原因となるものとは異なるメカニズムに従って作用すると思われることを示す。(実施例10) 図10は、エストロゲン受容体モデルのSNPタイピングを示す。(実施例11) 図11は、PCRによりHCV遺伝子を増幅し、そして二重ROX標識プローブ(配列番号33)を用いて産生物を検出することにより得たデータを示す。図に示したように、シグナルは、エクソ−マイナス(exo-minus)活性を呈する酵素、例えばTaq DNAポリメラーゼで産生物を処理することにより高められた。(実施例12)

Claims (54)

  1. 以下:
    [標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列;および
    前記オリゴヌクレオチドに連結された少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子;
    ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子は、互いの15nm以内にある励起波長を有する]
    を包含する標識オリゴヌクレオチド。
  2. 前記の少なくとも2つの光度測定可能な分子の少なくとも2つが互いから引き離される時に、前記の光度測定可能な分子の少なくとも2つがシグナルの検出可能な変化を発生する、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  3. 前記標識オリゴヌクレオチドが、前記の少なくとも2つの光度測定可能な分子の間の位置で開裂される時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能な分子が互いから引き離される、請求項2に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  4. 前記標識オリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリダイズする時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能な分子が互いから引き離される、請求項2に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  5. 前記標識オリゴヌクレオチドがポリヌクレオチド中に組み込まれる時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能な分子が互いから引き離される、請求項2に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  6. 前記の2つの分子が前記標識オリゴヌクレオチドから開裂される時に、前記の2つの光度測定可能な分子が互いから引き離される、請求項2に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  7. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子が蛍光分子である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  8. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約3から約60ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  9. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約12から約35ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  10. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約15から約25ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  11. さらに以下:
    [前記オリゴヌクレオチドに連結された少なくとも1つの消光分子、
    ここで
    前記消光分子は、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子が前記オリゴヌクレオチドに連結される時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子により発生されるシグナルを消光する]
    を含む、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  12. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非局在化した正の電荷を有する色素、非局在化した負の電荷を有する色素、および等しい数の正の電荷および負の電荷を有する色素から成る群より選択される蛍光色素である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  13. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、BODIPY、非局在化した正の電荷を伴うシアニン系色素、および双性イオンのシアニン系色素から成る群より選択される色素である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  14. 前記の少なくとも2つのラベリング分子の少なくとも1つが、キサンテン系色素分子である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  15. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非スルホン化シアニン系色素分子である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  16. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、CR110、CR6G、TAMRAおよびROXから成る群より選択される色素である、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  17. 前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの副溝結合物質(MGB)をさらに含む、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  18. 以下:
    [前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのグアニジンヌクレオチド、ここで
    前記オリゴヌクレオチドが前記標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされていない時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、前記の少なくとも1つのラベリング分子により発生されるシグナルが消光されるような、前記のグアニジンヌクレオチドに十分に近い位置にある]
    を含む、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  19. 前記オリゴヌクレオチドが5’末端および3’末端を有し;ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の1つが、前記オリゴヌクレオチドの前記5’末端に連結され;ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子のもう1つが、前記オリゴヌクレオチドの前記3’末端に連結される、請求項1に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  20. 前記オリゴヌクレオチド分子の前記5’末端および前記3’末端に連結された前記の光度測定可能なラベリング分子が、フレキシブルな脂肪族リンカーにより前記オリゴヌクレオチドに連結される、請求項16に記載の標識オリゴヌクレオチド。
  21. 前記オリゴヌクレオチド配列が分子内部に二次構造を実質的に持たない、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
  22. 前記オリゴヌクレオチドがプローブとしての使用に適する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
  23. 前記オリゴヌクレオチドがポリヌクレオチド増幅反応におけるプライマーとしての使用に適する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
  24. 前記ポリヌクレオチド増幅反応が、PCR、多重PCR、リアルタイムPCR、定量PCR、およびリアルタイム定量PCRから成る群より選択される、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
  25. 以下:
    [標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を提供すること;および
    前記オリゴヌクレオチドに少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子を連結すること、ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子は、互いの15nm以内にある励起波長を有する]
    を包含する、オリゴヌクレオチドを標識する方法。
  26. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子が蛍光分子である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  27. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約3から約60ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  28. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約12から約35ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  29. 前記オリゴヌクレオチド上の、前記の光度測定可能なラベリング分子のあらゆるペアが、約15から約25ヌクレオチドにより互いから離されている、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  30. さらに以下:
    [前記オリゴヌクレオチドに少なくとも1つの消光分子を連結すること、
    ここで
    前記消光分子が、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子が前記オリゴヌクレオチドに連結される時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子により発生されるシグナルを消光する]
    を含む、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  31. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非局在化した正の電荷を有する色素、非局在化した負の電荷を有する色素、および等しい数の正の電荷および負の電荷を有する色素から成る群より選択される蛍光色素である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  32. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、BODIPY、非局在化した正の電荷を伴うシアニン系色素、および双性イオンのシアニン系色素から成る群より選択される色素である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  33. 前記の少なくとも2つのラベリング分子の少なくとも1つが、キサンテン系色素分子である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  34. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非スルホン化シアニン系色素分子である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  35. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、CR110、CR6G、TAMRAおよびROXから成る群より選択される色素である、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  36. 前記方法が、少なくとも1つの副溝結合物質(MGB)を前記オリゴヌクレオチドに連結することさらに含む、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  37. 前記オリゴヌクレオチド中に少なくとも1つのグアニジンヌクレオチドを提供することを含み、ここで前記オリゴヌクレオチドが前記標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされていない時に、前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、前記の少なくとも1つのラベリング分子により発生されるシグナルが消光されるような、前記のグアニジンヌクレオチドに十分に近い位置にある、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  38. 前記オリゴヌクレオチドが5’末端および3’末端を有し、さらに以下:
    [前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の1つを、前記オリゴヌクレオチドの前記5’末端に連結すること;そして前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子のもう1つを、前記オリゴヌクレオチドの3’末端に連結すること]
    を包含する、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  39. 前記オリゴヌクレオチド分子の前記5’末端および前記3’末端に連結される前記の光度測定可能なラベリング分子が、フレキシブルな脂肪族リンカーにより前記オリゴヌクレオチドに連結される、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  40. 前記オリゴヌクレオチド配列が分子内部に二次構造を実質的に持たない、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  41. 前記オリゴヌクレオチドをプライマープローブとして使用することをさらに包含する、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  42. 前記オリゴヌクレオチドをポリヌクレオチド増幅反応におけるプライマーとして使用することをさらに包含する、請求項25に記載のオリゴヌクレオチドを標識する方法。
  43. 以下:
    [標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするために適するオリゴヌクレオチド配列;および
    前記オリゴヌクレオチドへの連結に適する少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子;ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子は、互いの15nm以内にある励起波長を有する]
    を包含するオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  44. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非局在化した正の電荷を有する色素、非局在化した負の電荷を有する色素、および等しい数の正の電荷および負の電荷を有する色素から成る群より選択される、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  45. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、BODIPY、非局在化した正の電荷を伴うシアニン系色素、および双性イオンのシアニン系色素から成る群より選択される、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  46. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、キサンテン系色素分子である、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  47. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、非スルホン化シアニン系色素分子である、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  48. 前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子の少なくとも1つが、CR110、CR6G、TAMRAおよびROXから成る群より選択される色素である、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  49. 前記キットが副溝結合物質(MGB)をさらに含む、請求項43に記載のオリゴヌクレオチドを標識するためのキット。
  50. 以下のステップ:
    [標識オリゴヌクレオチドを提供すること、ここで前記標識オリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするために適するオリゴヌクレオチド配列を含む;少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子、ここで前記の少なくとも2つの光度測定可能なラベリング分子は互いの15nm以内にある励起波長を有する、そしてここで前記の光度測定可能なラベリング分子は前記オリゴヌクレオチドに連結される;
    前記標識オリゴヌクレオチドをサンプルと接触させること]
    を包含する、標識オリゴヌクレオチドを使用する方法。
  51. 前記サンプルが、組織抽出物、細胞抽出物、体液、in vitroの核酸合成反応、およびPCR反応混合物から成る群より選択される、請求項50に記載の標識オリゴヌクレオチドを使用する方法。
  52. 前記標識オリゴヌクレオチドを核酸増幅反応において使用し、ここで前記反応が、PCR、多重PCR、リアルタイムPCR、定量PCR、およびリアルタイム定量PCRから成る群より選択される、請求項50に記載の標識オリゴヌクレオチドを使用する方法。
  53. 前記オリゴヌクレオチドが、サンプル中の核酸ポリマーの標的配列の存在を同定するためのプローブである、請求項50に記載の標識オリゴヌクレオチドを使用する方法。
  54. 前記サンプルが核酸チップに適用される、請求項50に記載の標識オリゴヌクレオチドを使用する方法。
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