JP2007318024A - 有機半導体素子、および、有機半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層と接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有する有機半導体トランジスタ、を有する有機半導体素子であって、上記ゲート絶縁層が絶縁性を備えるフッ素系樹脂からなることを特徴とする有機半導体素子を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
その一方で、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。このような有機半導体材料は、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー代表されるフレキシブルディスプレイ等の、次世代ディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
しかしながら、このようなゲート絶縁層は、上述した有機半導体材料の特性に照らすと、上記絶縁機能および保護機能のいずれにおいても不十分であり、経時安定性等に優れた有機半導体トランジスタを得ることが困難であるという問題点があった。
このため、上記有機半導体材料を用いた半導体トランジスタを製造する際に、上記無機半導体材料を用いた半導体素子の製造方法に用いられているようなフォトリソグラフィーを用いると、フォトレジストを上記有機半導体材料からなる層の上に塗工した際に有機半導体材料が溶解してしまい、製造されるトランジスタの性能が損なわれてしまうという問題点があった。
しかしながら、このような方法は上記保護層の存在により、上記有機半導体材料を上記フォトレジストを塗工する際に用いられる有機溶媒の浸食から保護できる点において有用であるが、従来の無機半導体材料を用いた半導体トランジスタを製造する場合と比較して、保護層を形成する工程が増えるため、工業的な実用性に欠けるという問題点がある。
また本発明によれば、上記フッ素系樹脂は表面張力が低いフッ素系樹脂に溶解することが可能であることから、例えば、印刷法により上記ゲート絶縁層を製造することが可能となるため、上記有機半導体トランジスタを高効率で製造することができる。
このようなことから、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、高効率で製造することが可能であり、経時安定性が良好で、かつ、優れた特性を有する有機半導体素子を得ることができる。
また、上記ゲート絶縁層形成用塗工液としてフッ素系溶媒が用いられたものを用いることにより、上記樹脂材料としてフッ素系樹脂を用いることが可能になる。このため、本発明によれば上記樹脂材料として、フッ素系樹脂を用いることにより有機半導体層の保護機能および絶縁機能に優れたゲート絶縁層を形成することが可能になる。
このようなことから、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、経時安定性が良好で、かつ、優れた特性を有する有機半導体素子を高効率で製造することができる。
以下、本発明の有機半導体素子、および、有機半導体素子の製造方法について順に説明する。
まず、本発明の有機半導体素子について説明する。本発明の有機半導体素子は、基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層と接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有する有機半導体トランジスタを有するものであり、上記ゲート絶縁層が絶縁性を備えるフッ素系樹脂からなることを特徴とするものである。
ここで、上記有機半導体トランジスタ2は、上記基板1上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2c上で対向するように配置されたソース電極2dおよびドレイン電極2eと、上記有機半導体層2c、上記ソース電極2dおよび上記ドレイン電極2e上に形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に形成されたゲート電極2aとからなるものである。
このような例において本発明の有機半導体素子10は、ゲート絶縁層2bが絶縁性を備えるフッ素系樹脂からなることを特徴とするものである。
また本発明によれば、上記フッ素系樹脂は表面張力が低いフッ素系樹脂に溶解することが可能であることから、上記有機半導体トランジスタを製造する際に上記ゲート絶縁層を高効率で製造することができる。このため、本発明によれば上記有機半導体トランジスタを高効率で製造することが可能になる。
このようなことから、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、高効率で製造することが可能であり、かつ、経時安定性が良好で優れた特性を有する有機半導体素子を得ることができる。
以下、本発明の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
まず、本発明に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機半導体トランジスタは後述する基板上に形成されるものであり、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有するものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて説明する。
まず、本発明に用いられるゲート絶縁層について説明する。本発明に用いられるゲート絶縁層は絶縁性を備えるフッ素系樹脂からなるものであり、ゲート電極の絶縁機能と、後述する有機半導体層が空気中の水分や酸素に曝露されることを防止する保護機能(以下、単に「保護機能」と称する場合がある。)を備えるものである。
ここで、本発明においては、上記ゲート絶縁層がフッ素系樹脂からなることにより、上記絶縁機能と上記保護機能とに優れたゲート絶縁層を形成することができるため、経時安定性が良好で優れた特性を有する有機半導体素子を得ることができるのである。
以下、このようなゲート絶縁層について詳細に説明する。
1)大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板20の表面に、パターニングされたITO電極21(1mm×1mm、厚み1200Å:以下、当該ITO電極21を下部電極と称する場合がある)を形成する(図3(a))。
2)耐電圧の評価対象となるフッ素系樹脂を溶媒に溶解した塗工液(固形分13質量%)用い、スクリーン印刷法により上記基板20上に当該塗工液をパターン塗工し、絶縁層22を形成する。このとき、上記絶縁層22が下部電極21を覆うように、スクリーン版のパターンを1.2mm×1.2mmに設計し、アライメントを合わせて印刷する(図3(b))。また、スクリーン版は500メッシュ、乳剤3μmのものを使用し、スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いる。さらに、印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.1mm、スキージスピード100mm/secとする。
3)上記絶縁層22を100℃のホットプレートで30分乾燥させる。
4)1mm×1mmの開口部を有するメタルマスクを上記絶縁層22上に配置し、膜厚50nmのAu膜を蒸着することにより、上部電極23を形成する(図3(c))。このとき、蒸着の際の真空度は1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとする。
5)上記上部電極21および下部電極23の間に0〜300Vの電圧を印加し、上部電極21−下部電極23間を流れる電流値Iを計測する。そして、得られたデータを元に横軸を電界強度E(印加電圧Vを絶縁層22の膜厚dで除した値)、縦軸を絶縁層22の抵抗値R(印加電圧を電流値で除した値)としてプロットする。このようにして作製したグラフを元に、抵抗値Rが急激に低下する電界強度の値E0を絶縁破壊強さ(耐電圧)とする。
ここで、上記誘電率は、JIS K 6911に準じて測定した値を示すものとする。
ここで、上記誘電率は、JIS K 6911に準じて測定した値を示すものとする。
また、フルオロエチレン系樹脂は耐溶剤性に優れるため、例えば、本発明の有機半導体素子を電気泳動ディスプレイに用いる場合であっても、後述する有機半導体層の保護機能を維持できるという利点を有するからである。
さらに、フルオロエチレン系樹脂は、耐オゾン性にも優れるため、例えば、本発明の有機半導体素子を製造する際に、上記ゲート絶縁層をマスクとして用い、真空紫外光によって後述する有機半導体層をパターニングする方法を用いることが可能になるという利点も有するからである。
また、上記フルオロエチレンとしては、フッ素の数が1〜4のいずれのものであっても良い。
さらに本発明に用いられるフルオロエチレンはフッ素以外に、メチル基等のアルキル基や、アルコキシ基等の置換基を有するものであっても良い。
なかでも本発明に用いられるフルオロエチレン系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンを用いることにより、上記保護機能により優れたゲート絶縁層を形成することができるからである。
ここで、上記「平面視面積」とは、本発明に用いられる有機半導体トランジスタを、基板の直上方向から正視した場合の平面視面積を意味するものである。
次に、本発明に用いられる有機半導体層について説明する。本発明に用いられる有機半導体層は、有機半導体材料からなるものである。
次に、本発明に用いられるソース電極およびドレイン電極について説明する。本発明に用いられるソース電極およびドレイン電極は、上記有機半導体層と接するように形成されるものである。
このような態様としては、例えば上記図1に例示したような、上記ソース電極および上記ドレイン電極が上記有機半導体層と上記ゲート絶縁層との間に形成される態様と、例えば上記図2に例示したような、上記ソース電極およびドレイン電極が後述する基板と上記有機半導体層との間に形成される態様とを挙げることができる。本発明において上記ソース電極およびドレイン電極が形成される態様としては、上記のいずれの態様であっても好適に用いることができる。
ここで、上記ソース電極およびドレイン電極が上記有機半導体層と上記ゲート絶縁層との間に形成されている場合、本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、トップゲート・トップコンタクト型構造のものになる。
一方、上記ソース電極およびドレイン電極が後述する基板と上記有機半導体層との間に形成されている場合、本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、トップゲート・ボトムコンタクト型構造のものになる。
次に、本発明に用いられるゲート電極について説明する。本発明に用いられるゲート電極は、上記ゲート絶縁層上に形成されるものである。
ここで、本発明に用いられるゲート電極については一般的に有機半導体トランジスタに用いられるものと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、上記ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極が上述した態様で配置されたものであるため、いわゆるトップゲート型構造を有するものとなる。
本発明に用いられる有機半導体トランジスタの構造としては、上記トップゲート型構造であれば特に限定されるものではなく、トップゲート・トップコンタクト型構造であっても良く、または、トップゲート・ボトムコンタクト型構造であっても良い。
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
本発明においては、このようなリジット基板およびフレキシブル基板のいずれであっても好適に用いられるが、なかでもフレキシブル基板を用いることが好ましい。このようなフレキシブル基板を用いることにより、本発明の有機半導体素子をRoll to Rollプロセスにより製造することが可能になるため、本発明の有機半導体素子を生産性の高いものにすることができるからである。
本発明の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および、有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
本発明の有機半導体素子を製造する方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において説明する製造方法を用いることができる。
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。本発明の有機半導体素子の製造方法は、基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にフッ素系溶媒および絶縁性を備える樹脂材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を用いてパターン状にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と、を含む有機半導体トランジスタ形成工程を有することを特徴とするものである。
また、上記ゲート絶縁層形成用塗工液としてフッ素系溶媒が用いられたものを用いることにより、上記樹脂材料としてフッ素系樹脂を用いることが可能になる。このため、本発明によれば上記樹脂材料として、フッ素系樹脂を用いることにより有機半導体層の保護機能および絶縁機能に優れたゲート絶縁層を形成することが可能になる。
このようなことから、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、経時安定性が良好で優れた特性を有する有機半導体素子を高効率で製造することができる。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法を構成する各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ形成工程について説明する。本工程は基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にフッ素系溶媒および絶縁性を備える樹脂材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を用いて、パターン状にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする有機半導体層パターニング工程と、を有するものである。
以下、このような有機半導体トランジスタ形成工程に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本工程に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、フッ素系溶媒および絶縁性を備える樹脂材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を用い、後述する有機半導体層形成工程により形成された有機半導体層上に、パターン状のゲート絶縁層を形成する工程である。
まず、本工程に用いられるゲート絶縁層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられるゲート絶縁層形成用塗工液は、少なくともフッ素系溶媒と、絶縁性を備える樹脂材料とを含有するものであり、必要に応じて他の材料を含有しても良いものである。
また、フッ素系樹脂は耐溶剤性や耐オゾン性等の耐久性に優れるため、このようなフッ素系樹脂を用いることにより、本工程で形成されるゲート絶縁層を上記有機半導体層の保護機能に優れたものにできるからである。
さらに、フッ素系樹脂は、本工程に用いられる上記フッ素系溶媒に易溶であるからである。
ここで、本工程に用いられる上記他の材料としては、上記「A.有機半導体素子」の甲において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本工程において上記ゲート絶縁層形成用塗工液を用いてゲート絶縁層を形成する方法について説明する。本工程において、ゲート絶縁層を形成する方法としては、上記ゲート絶縁層形成用塗工液を用い、所望のパターン状にゲート絶縁層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、印刷法を用い、上記有機半導体層上に上記ゲート絶縁層形成用塗工液をパターン状に印刷する方法(第1の方法)と、上記ゲート絶縁層形成用塗工液を上記有機半導体層上の全面に塗工することにより、パターニングされていないゲート絶縁層を形成した後、当該ゲート絶縁層をリソグラフィー法等によってパターニングする方法(第2の方法)とを挙げることができる。
本工程においては、上記第1の方法および上記第2の方法のいずれの方法であっても好適に用いることができるが、なかでも上記第1の方法を用いることが好ましい。上記第2の方法は、パターニングされたゲート絶縁層を形成するのに、パターニングされていないゲート絶縁層を形成する工程と、当該ゲート絶縁層をパターニングする工程との2工程を必要とするのに対し、上記第1の方法は1工程で直接的にパターニングされたゲート絶縁層を形成することが可能になるため、本工程を簡略化することができるからである。
次に、本工程に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は、基板を用い、上記基板上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
以下、このような有機半導体層形成工程について説明する。
一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスにより、上記基板上に有機半導体層を形成する方法を挙げることができる。
次に、本工程に用いられる有機半導体層パターニング工程について説明する。本工程は、上記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングすることにより、上記有機半導体層をパターン加工する工程である。
また、上記ゲート絶縁層を構成する樹脂材料としてフッ素系樹脂が用いられている場合には、上記エッチング処理として真空紫外光を照射することにより上記有機半導体層をエッチングする方法を用いることも可能である。
本工程には、上記ゲート絶縁層形成工程、上記有機半導体層形成工程、および、上記有機半導体層パターニング工程以外の他の工程が含まれていても良い。このような他の工程としては特に限定されるものではなく、本工程により形成される有機半導体トランジスタの構造等に応じて任意の工程を用いることができる。なかでも本工程においては、通常、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、ソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とが用いられる。
なお、上記ソース・ドレイン電極形成工程を上記有機半導体層形成工程後に実施する場合、本工程により形成される有機半導体トランジスタは、トップゲート・トップコンタクト型構造となる。
一方、上記ソース・ドレイン電極形成工程を上記有機半導体層形成工程前に実施する場合、本工程により形成される有機半導体トランジスタはトップゲート・ボトムコンタクト型構造となる。
本発明の有機半導体素子の製造方法は、上記有機半導体トランジスタ形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、特に限定されるものではなく、本発明により製造される有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択して用いれば良い。このような他の工程としては、例えば、本発明の有機半導体素子を液晶ディスプレイ装置用のTFTアレイ基板として用いる場合には、上記有機半導体トランジスタに接続されるように画素電極を形成する画素電極形成工程等を挙げることができる。
(ソース・ドレイン電極形成工程)
まず、大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板表面に、ソース・ドレイン電極形状の開口部を有するメタルマスクを配置した後、膜厚50nmのAu膜を蒸着し、ソース・ドレイン電極を形成した。このとき、蒸着の際の真空度は1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとした。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
次に、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された側の基板の全面に膜厚50nmのチオフェン系有機半導体からなる有機半導体層を蒸着した。
次に、ポリテトラフルオロエチレンをパーフルオロ系溶媒に固形分13質量%で溶解したゲート絶縁層形成用塗工液を用い、スクリーン印刷法によりパターン状のゲート絶縁層を形成した。このときスクリーン版は、500メッシュ、乳剤3μmのものを使用した。スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いた。また印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.1mm、スキージスピード100mm/secで行った。その後、100℃のホットプレートで30分乾燥させた。
次に、上記ゲート絶縁層が形成された部位以外の有機半導体層を除去するために、トルエン溶液を上記ゲート絶縁層が形成された側の基板の全面にスピンコートした。このとき、スピンコートは1000rpmで20sec保持させた。
次に、上記ゲート絶縁層が形成された面上に、ゲート電極形状の開口部を有するメタルマスクを配置した後、膜厚50nmのクロム膜を形成した。次いで、200nmのアルミニウム膜を蒸着し、ゲート電極を形成した。蒸着の際の真空度は、1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとした。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は1×10−3A、OFF電流は1×10−10Aであった。また、耐電圧を測定した結果、200Vを保持していることが確認された。
(ソース・ドレイン電極形成工程)
まず、大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板表面に、ソース・ドレイン電極形状の開口部を有するメタルマスクを配置した後、膜厚50nmのAu膜を蒸着し、ソース・ドレイン電極を形成した。このとき、蒸着の際の真空度は1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとした。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
次に、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された側の基板の全面に膜厚50nmのチオフェン系有機半導体からなる有機半導体層を蒸着した。
次に、ゲート絶縁層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を80℃で3分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。
次に、ゲート電極以外の部分を除去するために現像工程を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。
次に、上記ゲート絶縁層が形成された面上に、ゲート電極形状の開口部を有するメタルマスクを配置した後、膜厚50nmのクロム膜を形成した。次いで、200nmのアルミニウム膜を蒸着し、ゲート電極を形成した。蒸着の際の真空度は、1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとした。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は6×10−4A、OFF電流は8.4×10−9Aであった。また、耐電圧を測定した結果、200Vを保持していることが確認された。
2、2’ … 有機半導体トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c、2c’ … 有機半導体層
2d … ソース電極
2e … ドレイン電極
2f … ゲート絶縁層
10、10’ … 有機半導体素子
Claims (6)
- 基板、および、前記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、前記有機半導体層と接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを有する有機半導体トランジスタ、を有する有機半導体素子であって、
前記ゲート絶縁層が絶縁性を備えるフッ素系樹脂からなることを特徴とする、有機半導体素子。 - 前記フッ素系樹脂の耐電圧が300V/μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子。
- 基板を用い、前記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する、有機半導体層形成工程と、
前記有機半導体層上に、フッ素系溶媒および絶縁性を備える樹脂材料を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を用いてパターン状にゲート絶縁層を形成する、ゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングする、有機半導体層パターニング工程と、を含む有機半導体トランジスタ形成工程を有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。 - 前記樹脂材料がフッ素系樹脂であることを特徴とする、請求項3に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記ゲート絶縁層形成工程が、印刷法により前記ゲート絶縁層を形成するものであることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記印刷法がスクリーン印刷法であることを特徴とする、請求項5に記載の有機半導体素子の製造方法。
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