以下、本発明に好適な実施形態について、図を参照しながら説明する。
〈システムの全体構成〉
図1は、本発明に係るサーバ(遊技サーバ)1及び複数の遊技機2を有する遊技媒体還元システムの構成を示すブロック図である。
この図1に示す遊技媒体還元システムにおいて、遊技機2はネットワークを介してサーバ1に接続されている。このネットワークを介してサーバ1と種々の情報を送受信できるようになされている。
サーバ1は、複数の遊技機2を管理するものであり、各遊技機2にはそれぞれ固有の識別番号が付され、サーバ1は当該識別番号により各遊技機2から送られてくるデータの出所を判別している。サーバ1から遊技機2にデータを送信する場合にも、上述した識別番号を用いて送信先を指定している。
〈遊技機の構成〉
図2及び図3は、遊技機2の全体構成を示す外観斜視図及び縦断面図である。この図2及び図3に示されるように、遊技機2においては、中空箱状の枠体3に対して蝶番3A,3Bによって前面パネル4が開閉可能に取り付けられている。
前面パネル4の裏面には、3個の円筒形状のドラム体5(5A〜5C)が並置されており、当該ドラム体5を背面側から覆うケース6が取り付けられている。各ドラム体5A〜5Cは、それぞれ回転軸7を中心にして回転自在に枢支されており、当該各ドラム体5A〜5Cの外周面には図柄(「7」,ベル,プラム,チェリー等)が周方向に列をなすように描かれている。これら3個のドラム体5A〜5Cの外周面に描かれた図柄(マーク)は、前面パネル4に設けられている表示窓8A〜8Cを介して遊技機の正面側から、各ドラム体5A〜5Cにつき1個ずつ視認可能となるようになされている。
上述した各ドラム体5A〜5Cは、遊技機2のフレームに所定のブラケット(図示せず)を介して、回転自在に取り付けられており、ステッピングモータ11A〜11C(図4参照)によってそれぞれ回転駆動され、制御装置12(図4参照)によって所定の回転角度位置で停止されるように制御がなされる。ドラム体5A〜5Cの各々の周端部には基準位置を表す突起部(図示せず)が設けられており、これらの突起部が各ドラム体5A〜5Cに対応して設けられている各光センサ(図示せず)の光軸を横切ることにより、制御装置12では当該各ドラム体5A〜5Cの回転基準位置を検出することができる。尚、ステッピングモータ11A〜11Cは、図柄を変動表示される速度が一定である。
表示窓8A〜8Cの隣には、当該表示窓8A〜8Cに表示される図柄の停止ラインのいずれを賭けの対象とするかを表示するための賭けライン表示ランプ13が設けられている。前面パネル4に設けられた操作部14には、投入口15から投入されたメダルを何枚賭けるのかを設定するベットボタン16が設けられており、遊技者は賭けようとする賭け枚数分だけベットボタン16を押圧操作することにより、対応する賭けライン表示ランプ13が点灯する。また、賭けメダル枚数は、3枚が上限である。
尚、ベットボタン16が押圧操作される回数により賭けラインが異なる。1回の押圧操作では、表示窓8A〜8Cの中段において水平に延びる1ラインが賭けラインの対象となる。また、2回の押圧操作では、前記1ラインに、表示窓8A〜8Cの上下段において水平に延びる2ラインを加えた3ラインが賭けラインの対象となる。更にまた、3回の押圧操作では、前記3ラインに、表示窓8A〜8Cの対角線上の2ラインを加えた5ラインが賭けの対象となる。尚、4回以上の押圧操作は、無効となる。
このようにして、賭けるメダルの枚数が設定されると、制御装置12は遊技者によって設定された賭け枚数分のメダルを取り込むことにより、遊技を開始する条件が整うこととなり、この状態において遊技者がスタートレバー17を操作すると、制御装置12によって各ドラム体5A〜5Cの回転が開始される。このように、賭けるメダルの枚数はゲームを行うためのクレジットの消費となるのである。
3個のストップボタン18A〜18Cは、各ドラム体5A〜5Cに対応しており、これらストップボタン18A〜18cの押圧操作により、その対応するドラム体を停止させる。
液晶表示装置等で構成される表示器19には、予め投入されているメダル枚数,排出されるメダル枚数、還元保証内容(例えば2万5千円消費すると5千円還元される旨)等が表示される。遊技者が賭けた停止ライン上に、ドラム体5A〜5Cの予め定めた特定の組合せ(賞態様)の1つが並んだときは、その組合せの重みに従って予め定められている枚数のメダルが、メダル排出装置によりメダル排出口20から排出される。因みに、後述する還元が行われる際に、当該還元を行うタイミングの抽選がサーバ1において行われると、その結果がサーバ1から遊技機2に送信され、表示器19に表示されるようになされている。この表示例としては、「○○ゲーム回数後に還元されます」、「今回は抽選にはずれましたが、既に抽選モードに入っています」等のようなものであり、この表示を見た遊技者は、その遊技機での遊技をさらに続けることとなる。
また、遊技機2の正面部には、遊技者を検知するためのプレーヤセンサ21が設けられており、遊技者が当該遊技機2の前に座ってプレイを行う状態を検出するようになされている。このプレーヤセンサ21は、例えば赤外線を用いたものなどが考えられる。CPU33は、プレーヤセンサ21の出力レベルの変化所定の時間以上続いた場合に、遊技者が座ったものと判断するようになされている。また、このCPU33は、プレーヤセンサ21の出力が遊技者の不在を示すものとなった場合には、内部タイマを起動させ所定時間以上遊技者の不在状態が続いた場合に、遊技者がその遊技機2の遊技を終えたものと判断するようになされている。これにより、遊技者が一時的に席を離れても、遊技の終了とは判断しないようにすることができる。因みに、遊技者の在席又は不在を判断する方法としては、赤外線を利用したプレーヤセンサ21に限らず、クレジットカード等の遊技者ごとに固有のIDカードから遊技者情報を読み取るカードリーダを各遊技機に設け、当該カードリーダによって読み取られた遊技者情報に基づいて、遊技中の遊技者の特定、遊技者が遊技を終えたことの検知、又は遊技者が遊技を終えたことの検知等を行うもの、又は遊技機2の椅子に体重センサを設け、この体重センサの体重検出出力に応じて遊技者がいることを判断するもの等を用いることができる。
〈遊技機の制御部の構成〉
図4は、本発明の実施例である遊技機2の制御装置12及びこれに電気的に接続された周辺装置の回路構成を示すブロック図である。
ベットボタン16は、遊技機の前部に設けられており、インターフェイス回路群31に接続されている。また、当該インターフェイス回路群31は、入出力バス32に接続されている。遊技者によりベットボタン16が押圧操作されたときには、操作信号がベットボタンからインターフェイス回路群31に発せられる。インターフェイス回路群31は、操作信号を所定の電圧信号に変換し入出力バス32に供給する。後述する如く、遊技が開始される前において、操作信号が示す値に応じた所定枚数のメダルが、賭けの対象として遊技機に投入される。
上述した入出力バス32は、中央演算処理回路(以下、CPUと称する)33にデータ信号又はアドレス信号が入出力されるようになされている。また、上述したスタートレバー17及びストップボタン18A〜18Cもインターフェイス回路群31に接続されており、スタートレバー17から発せられる始動開始信号や、ストップボタン18A〜18Cから発せられる停止信号も、インターフェイス回路群31により所定の電圧信号に変換されて入出力バス32に供給される。
また、入出力バス32には、通信インターフェイス回路41が接続されており、この通信インターフェイス回路41は、遊技機2とサーバ1との間でデータの送受信を行うときに用いられるものとなっている。
遊技を開始すべくスタートレバー17が操作されたときには、上述した始動開始信号がCPU33に供給される。CPU33は、後述する如く、始動開始信号が供給されたときには、ドラム体5A〜5Cを回転動作させるべく、ステッピングモータ11A〜11Cに制御信号を発する。
更に、ドラム体5A〜5Cを停止させるべく、ストップボタン18A〜18Cが押圧操作されたときには、当該ストップボタン18A〜18Cの各々から停止信号がCPU33に供給される。尚、ドラム体5Aを停止させる際には、遊技者はストップボタン18Aを押圧操作し、ドラム体5Bを停止させる際には、遊技者はストップボタン18Bを押圧操作し、ドラム体5Cを停止させる際には、遊技者はストップボタン18Cを押圧操作する。後述する如く、停止信号が供給されたときには、CPU33は、押圧操作されたストップボタンに対応するドラム体を停止させるべく、ステッピングモータ11A〜11Cに停止信号を発する。
また、回転位置センサ34A〜34Cは、上述したステッピングモータ11A〜11Cの各々の近傍に設けられており、回転位置センサ34A〜34Cもインターフェイス回路31に接続されている。これらの回転位置センサ34A〜34Cは、例えば、ロータリーエンコーダからなり、ステッピングモータ11A〜11Cの各々の回転角度位置を示す角度位置信号をインターフェイス回路群31に発する。
更に、基準位置センサ35A〜35Cは、ドラム体5A〜5Cの各々の近傍に設けられ、インターフェイス回路31に接続されている。これらの基準位置センサ35A〜35Cは、上述した如く光センサからなり、ドラム体5A〜5Cの各々の基準位置を検出したときに、基準位置信号をインターフェイス回路群31に発する。
CPU33は、後述する如く、回転位置センサ34A〜34Cから発せられる角度位置信号や、基準位置センサ35A〜35Cから発せられる基準位置信号を検出することにより、表示窓8A〜8Cに表示される図柄データを取得することができる。
入出力バス32には、ROM(リード・オンリー・メモリ)36及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)37も接続されている。ROM36は、後述する如き遊技機を制御し、遊技球を払い戻すためのプログラムや、これらのプログラムで用いる変数の初期値が記憶されている。一方、RAM37には、後述する如きフラグや変数の値が記憶される。
ROM36には、図柄の組合せと乱数との対応関係を示すデータ群も記憶されている。この乱数を発生させるための乱数発生器38も入出力バス32に接続されている。乱数を発生させるための命令がCPU33から乱数発生器38へ発せられたときには、乱数発生器38は所定の範囲の乱数を発生させ、その乱数の値を示す信号を入出力バスに発する。後述する如く、乱数が乱数発生器38から発せられたときには、その乱数に対応する図柄の組合せを定めるべく、上述したデータ群を検索し、その図柄の組合せに対応する数値を変数に代入する。
遊技機2は、通常遊技又は特別遊技のいずれかの遊技を行うことができる。この通常遊技において、有効なライン上に停止表示された図柄の組合せが、当選パターンと一致し得る当選可能状態と、図柄の組合せが、当選パターンと一致し得ない当選不可状態と、がある。
上述した当選不可状態では、有効なライン上に変動する図柄の組合せは、はずれパターンと小当たりパターンとである。小当たりパターンとは、「チェリー」や「ベル」といった図柄が有効なライン上に所定個揃ったときに発生し、数枚のメダルがメダル排出口20から排出される。一方、はずれパターンとは、小当たりパターンとは異なり、図柄が有効なライン上に揃わないパターンであり、メダルは排出されない。また、当選不可状態は、後述する内部抽選処理により、当選可能状態に移行し得る状態である。尚、当選不可状態は、ストップボタンが押圧操作されるタイミングに関わらず、当選パターンを揃えることができない状態であり、もちろん、特別遊技状態には移行できない。
一方、当選可能状態は、上述した当選不可状態とは異なり、ストップボタンが押圧操作されるタイミングによって停止表示される図柄の組合せが当選パターンと一致し得る唯一の状態であり、いわゆる「目押し」が利く状態である。有効ライン上に停止表示される図柄の組合せが当選パターンと一致したときには当選となり、遊技者が大量のメダルを獲得し得る特別遊技に移行する。尚、ストップボタンが押圧操作されるタイミングを損ない、当選パターンを揃えられなかった場合には、上述したはずれパターン、若しくは、小当たりパターンが揃う。また、当選可能状態は、一旦設定されると、停止表示される図柄の組合せが当選パターンと一致となるまで継続され、当選不可状態に移行することはない。
また、上述した特別遊技では、有効なライン上に停止表示される図柄の組合せが小当たりパターンと一致し得る確率が極めて高く設定されており、大量のメダルを獲得することが出来る可能性が高くなる。また、特別遊技は、その遊技を終えると通常遊技に移行する。尚、特別遊技の後に、通常遊技に移行した際においては、当選可能状態に移行するか、当選不可状態に移行するかは、後述する内部抽選処理により定まる。
また、上述した入出力バス32には、インターフェイス回路群39が接続されている。インターフェイス回路群39には、ステッピングモータ11A〜11C、賭けライン表示ランプ13、表示器19並びにスピーカ40も接続されており、インターフェイス回路群39は、上述した装置の各々に駆動信号や駆動電力を供給する。
例えば、上述したベットボタン16が遊技者により押圧操作されたときには、投入された遊技メダルの枚数に応じて有効となった賭けラインを示すべく、賭けライン表示ランプ13に駆動電流が供給される。更に、遊技が終了したときには、遊技の入賞態様に応じた得点を表示すべく、駆動信号が表示器19に供給される。更にまた、スピーカ40は、遊技が開始又は終了されたときに、これらの遊技の状況に対応する効果音を発する。
以下においては、遊技機は予め起動されており、後述する如きフラグや変数は所定の値に初期化されているものとする。
〈遊技機の基本動作〉
図5は、本発明の実施例である遊技機2を制御するサブルーチンを示す。
最初に、ベットボタン16が遊技者により押圧操作されたか否かを判断するベットボタン操作処理を行う(ステップS11)。ベットボタン操作処理は、ベットボタン16の押圧操作に応じた処理であり、ベットボタン16が押圧操作されて、ベットボタン16から操作信号が発せられたか否かを検出することにより、押圧操作により投入された遊技メダル枚数(メダルのクレジット数)を記録し、その投入された遊技メダルの枚数に応じて有効となった賭けラインを示すべく、賭けライン表示ランプ13に駆動信号を発する処理である。
次いで、ベットボタン16の押圧操作が行われて、かつ、スタートレバー17の操作が行われたかを判断する(ステップS12)。ベットボタン16の押圧操作が行われて、かつ、スタートレバー17の操作が行われたと判別したときには、次のステップS13に処理を移す。一方、ベットボタン16の押圧操作が行われていないと判別したときや、スタートレバー17の操作が行われていないと判別したときには、ステップS11に処理を戻し、再びベットボタン操作処理を行う。尚、後述する如く、全ドラム体5A〜5Cが回転開始し始めてから停止するまでを1つの行程と称する。
上述したステップS12の処理を実行した後、内部抽選処理を行う(ステップS13)。この内部抽選処理は、上述した乱数発生器38を制御して乱数を発生させ、図柄の組合せと乱数との対応関係を示すデータ群を検索して発生させた乱数に応じて図柄の組合せを定めるものである。尚、後述する如く、前回の行程において停止表示された図柄の組合せはRAM37に記録され、その図柄の組合せを読み出し、内部抽選処理を行う。
この内部抽選処理は、停止表示され得る図柄の組合せを上述したように抽選し、その抽選した結果を示す数値は現在遊技抽選データに代入される。例えば、当選不可状態であり、かつ、はずれである場合には、現在遊技抽選データは、「00」に設定され、当選不可状態であり、かつ、小当たりパターンと一致した場合には、現在遊技抽選データは、「01」に設定され、当選可能状態である場合には、現在遊技抽選データは、「12」に設定される。尚、特別遊技状態であり、はずれである場合には、現在遊技抽選データは、「20」に設定され、特別遊技状態であり、小当たりパターンと一致した場合には、現在遊技抽選データは、「21」に設定される。
次いで、ステッピングモータ制御処理に関するサブルーチン(図示せず)を呼び出し、上述したステッピングモータ11A〜11Cの各々を所定の回転速度で回転駆動すべく、制御信号をステッピングモータ11A〜11Cに発する(ステップS14)。尚、「回転速度」とは、上述した行程内において、ドラム体5A〜5Cの回転により図柄が変動表示される速度のことをいい、回転開始直後や、回転停止直前等の過渡状態を含まない概念である。
上述した過去遊技抽選データは、現在の行程より以前の行程における抽選結果を示すデータであり、RAM37に記録されている。尚、後述する如く、特別遊技終了後に移行する通常遊技における最初の行程で、過去遊技抽選データがリセットされる。また、過去遊技抽選データは、後述する如く、各行程の最後の処理として、現在の行程より以前に行われた行程の結果に、現在の行程の結果を順次蓄積していくことにより更新されていく。
次いで、遊技者がドラム体5A〜5Cを停止させるべく、ストップボタン18A〜18Cのいずれかが押圧操作されて、ストップボタン18A〜18Cの停止信号が発せられたか否かを判断する(ステップS15)。ストップボタン18A〜18Cのいずれからも停止信号が発せられていないと判別したときには、再び本ステップS15を実行する。
一方、ストップボタン18A〜18Cのいずれかから停止信号が発せられたと判別したときには、後述するステッピングモータ停止処理を行う(ステップS16)。このステッピングモータ停止処理は、上述した乱数発生器38を制御して乱数を発生させ、図柄の組合せと乱数との対応関係を示すデータ群を検索して発生させた乱数に対応する図柄の組合せを定めるものである。
CPU33は、上述した回転位置センサ34A〜34C,基準位置センサ35A〜35Cの各々から発せられる回転位置信号,基準位置信号により、表示窓8A〜8Cに現在表示されている図柄を取得する。CPU33は、上述した図柄データと、ステップS13の内部抽選処理からの現在遊技抽選データと、に応じて、ステッピングモータ11A〜11Cを制御し、停止位置を決定する。
尚、CPU33は、現在遊技抽選データに応じてステッピングモータ11A〜11Cを停止させるが、ストップボタン18A〜18Cのいずれかが押圧操作されたと判別した際には、現在遊技抽選データに応じた図柄が停止表示し得ない場合、最大図柄4つ分の範囲で余分に移動させることができる。また、その範囲内に、現在遊技抽選データに応じた図柄がない場合、現在遊技抽選データに応じた図柄を既に停止表示させることはできない。例えば、当選可能状態で、2つのドラム体が停止しており、かつ、当選パターンと一致し得る図柄が揃っていても、最後に停止されることとなるドラム体に対応するストップボタンが押圧操作されるタイミングにより、当選パターンと一致しない場合が生ずる。一方、当選不可状態において、2つのドラム体が既に停止しており、当選パターンと一致し得る図柄が揃っていても、最後に停止されることとなるドラム体に対応するストップボタンをタイミングよく押圧操作しても、当選パターンと一致し得ないようにステッピングモータ11A〜11Cを制御する。
次いで、ストップボタン18A〜18Cの全てが押圧操作されたか否かを判断する(ステップS17)。このステップS17の処理はストップボタン18A〜18Cの押圧操作に応じて発せられる停止信号が全て検出されたか否かを判断する処理である。ストップボタン18A〜18Cの全てが押圧操作されていないと判別したときには、上述したステップS15に処理を戻す。ストップボタン18A〜18Cの全てが操作されたと判別したときには、後述するステップS18に処理を移す。
次いで、有効となったラインに沿った図柄の組合せが、入賞態様と一致するか否かを判断し、その入賞態様に応じた遊技メダルを払い戻すメダル払戻処理を行う(ステップS18)。有効となったラインに沿った図柄の組合せと、入賞態様とが一致すると判別したときには、入賞態様に応じて払い戻す遊技メダルの枚数を算出し、算出した数の遊技メダルの枚球を払い戻し、ステップS19に処理を移す。一方、有効となったラインに沿った図柄の組合せと、入賞態様とが一致しないと判別したときには、遊技メダルを払い戻さず、ステップS19に処理を移す。
次に、上述した現在遊技抽選データを主に記録する現在遊技結果記録処理が行われる(ステップS19)。ここで、本発明の一実施形態に係る遊技機においては、CPU33は、RAM37から過去遊技抽選データを読み出し、当該過去遊技抽選データに現在遊技抽選データを追加した状態でRAM37に記録し、本サブルーチンを終了させる。尚、記録されるデータは、現在遊技抽選データだけではなく、現在の行程において実際に停止表示された図柄を示すデータ等も記録されるものとする。
〈遊技機における還元動作〉
次に、本実施形態における遊技機2を用いて遊技を行う際の当該遊技機2の還元処理の動作について説明する。
図6は、本実施形態における遊技機2の遊技状態における動作の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理手順は、図5について上述した遊技機2のサブルーチンと併行して実行される処理ルーチンであり、図2及び図4について上述したプレーヤセンサ21によって遊技者が遊技を行う状態が検出されたことに応じて実行開始されるものである。
この図6に示されるように、遊技機2では、遊技者がプレイを開始する状態となると、まず、還元を行う際に基準となる上限値の設定を行う(ステップS21)。
上限値とは、例えばスロット遊技機で遊技を行うときに用いられる、遊技媒体であるメダル等の枚数(クレジットの累積消費量)を意味するものであり、遊技者が使用したメダルの枚数がその値に達したときには、スロット遊技機から還元が行われ得るものである。
上限値の設定には、様々な態様が考えられる。例えば、予め設定された上限値を用いる場合もあれば、遊技機の所有者等が設定する場合、又は、遊技状態に応じて適宜自動的に変更される場合等が挙げられる。
ここでは、上述の様々な態様のうちの一つである、予め設定された上限値を用いる場合について説明する。予め設定された上限値は、RAM37に記憶されているものであり、CPU33は、RAM37からその上限値データを読み出し、上限値の設定を終了することとなる。
上限値を設定する処理が終了すると、CPU33は、図5に示されたステップS11の処理結果に基づいて、遊技者が投入した遊技媒体であるメダルの枚数を加算する処理に移行する(ステップS22)。
前述した投入口15から投入されたメダルは、遊技機2の内部に設置されたメダル検知センサ(図示せず)により、その枚数が計数されることとなる。計数された枚数のデータのうち、実際にゲームに使用された枚数は消費メダルデータとして過去に消費されたメダルのデータであるクレジットの累積消費量データに加算して記憶される。但し、この累積消費量データは、遊技者が遊技を終えた際に初期状態にリセットされるものである。遊技者が遊技を終えたこと(またはプレーヤが代わったこと)は、プレーヤセンサ21によって検出することができる。このように、遊技者が遊技するごとに累積消費量データがリセットされることにより、全ての遊技者に対して、遊技媒体(クレジット)の消費量に応じた還元(後述)を公平に行うことができるのである。
累積消費量データはRAM37に記録されているデータである。CPU33は、RAM37からそれまでの消費量データを読み出し、当該累積消費量データにこのときの消費量データを加算し、これを更新された累積消費量データとしてRAM37に記録する。
投入したメダル数を加算する処理が終了すると、累積消費量が上限に到達したか否かを判断する処理が行われる(ステップS23)。
上限に到達したか否かの判断は、先のステップS22でRAM37に記録された累積消費量データと、先のステップS21で設定された上限値を比較することによって行われる。CPU33は、RAM37に記憶された上記2つのデータの値を比較し、遊技者が遊技機に投入したメダルの枚数が設定された上限に到達したか否かを判断することとなる。
累積消費量データが上限に到達していないものと判断された場合には、ステップS22に戻って、引き続き遊技者が遊技機に投入するメダルの枚数を加算する処理を行うこととなる。
累積消費量データが上限に到達しているものと判断された場合には、上限到達結果をサーバに送信する処理に移行する(ステップS24)。
遊技機2のCPU33は、累積消費量データが上限に到達したことを示す信号、先のステップS21で設定された上限値のデータ、及び後述する還元率のデータを、遊技機2の通信インターフェイス回路41を介してサーバ1に送信する。
上限に到達したことを示す信号は、例えば「1」という数値で表現されるものである。また、累積消費量データが上限に到達したことを示す信号には、遊技機2を指定する信号、すなわちサーバ1が管理する複数の遊技機のうち、どの遊技機に相当するのかを示すデータが付されることとなる。例えば、遊技機2がサーバ1が管理する複数の遊技機の中で「123番」という識別番号を付されている場合には、上限に到達したことを示す信号である「1」に続けて、「1−123」のような信号をサーバに1に送信することとなる。
上限値のデータは、上述したように、RAM37に記録されているものである。上限値は、当該遊技者に還元を行うこととなった場合に、還元するメダル数を決定するために用いるデータである。還元するメダル数とは、上限値に対して後述する還元率を乗じて算出されるものである。
また、遊技機2のRAM37には、上限に達したときに当該遊技機の上限値に対してどの程度の割合で還元を行っていくかを決定する還元率のデータが記録されている。この還元率のデータは、表示器19に対して例えば「2万5千円消費すると5千円還元されます」のように表示されるとともに、サーバ1に対しても送信されることとなる。
サーバに対して、累積消費量データが上限に到達したことを示す信号を送信する処理が終了すると、遊技機2は、還元指令の待ち受けをする状態に移行する(ステップS25)。
還元指令とは、サーバ1から累積消費量データが上限に到達した遊技機2に対して送信される信号のことで、還元のタイミング等を制御するためのものである。遊技機2は還元指令を待ち受けている間にも、遊技者が遊技可能な状態となっている。
還元指令を待ち受ける状態になると、次に報知を行うか否かの判断をする処理に移行する(ステップS26)。
ここで、報知とは、遊技機2に投入されたメダルの枚数が上限に到達したことを、遊技者に対して知らせることである。報知の判断をする処理には、単に報知を行うか否かを判断する態様だけでなく、報知を行う場合にいつ報知を行うかというタイミングに関する判断を行う態様も考えられる。ここでは、前者のように、単に報知を行うか否かを判断する態様について説明する。
報知を行うか否かは、CPU33がRAM37のデータを参照することにより判断する(ステップ27)。RAM37には、報知を行うか否かのデータが記録されており、報知を行う場合には「1」というデータが与えられており、報知を行わない場合には「0」というデータが与えられている。これらのデータは、予め設定されているようにしてもよいし、遊技機の所有者等が適宜設定することにしてもよい。
RAM37に記録されているデータが「1」であった場合、CPU33は遊技者に対して、当該遊技者が遊戯している遊技機の投入累積メダル数が上限に到達したことの報知をする(ステップS28)。報知は、遊技機2に内蔵された照明等を用いて行ってもよいし、遊技機2に設けられた表示器19によって遊技者に対して報知してもよい。また、遊技機2に一体に設けられた報知手段でなくても、遊技者が上限に到達していることを知ることができるようなものであればよいものとする。
報知を行う処理が終了したとき、又は報知を行わないものとの判断が終了したときには、次に、還元指令を受信したか否かを判断する処理に移行する(ステップS29)。
還元指令は、上述したステップS25において、遊技機2がサーバ1から送信されるのを待ち受けていたものである。この還元指令は、遊技機2が上限に到達した場合には必ず還元が行われるような態様をとる遊技機はもちろん、上限に到達しても還元が必ず行われるとは限らないような態様をとる遊技機に対しても、サーバ1から必ず送信されるものである。
サーバ1は後述する通信インターフェイス53を介して、所定のタイミングで還元指令である信号を遊技機2に送信する。遊技機2では、通信インターフェイス回路41を介して還元に関する信号を受信し、入出力バス32を通じてCPU33が当該還元指令を受信する。還元指令を受信できなかった場合には、ステップS25に戻り、再び還元指令を待ち受けることとなる。
還元指令を受信する処理が終了すると、次に、還元処理を行うこととなる(ステップS30)。
還元処理は、先のステップS29でサーバ1から送信された還元指令に基づいて行われるものであり、当該還元指令のうち遊技機2に対してどの程度の還元を行うかを示すデータを受けて、CPU33が還元を行う。
上述したように、投入メダル数が上限に到達すれば必ず還元が行われる態様のときには、主にRAM37に記録された上限のデータと還元率のデータに基づいてサーバ1において算出された枚数のメダルを還元することとなる。この場合、CPU33は、サーバ1から還元指令を受け取ったことに基づいて、還元モードフラグを「1」に変更して還元モードに入るとともに、還元指令に含まれている還元数を一旦RAM37に保存する。この還元モードは、図5に示した処理手順のうち、内部抽選処理(ステップS13)及びメダル払出処理(ステップS18)の内容が異なることとなる。具体的には、CPU33はこの還元モードに入ると、そのとき実行中である図5に示された処理手順のうち、内部抽選処理(ステップS13)において強制的に「大当たり」を出すのである。そして、CPU33は、当該還元モード状態において「大当たり」を出した後、図5について上述したメダル払戻処理(ステップS18)において、このときサーバ1から受信済である還元指令に含まれる還元数をRAM37から読み出して、この数のメダルを払い出すのである。因みに、サーバ1における還元数の算出処理については、後述する。還元モードにおいてメダル払出処理(ステップS18)が終了すると、CPU33は還元モードフラグを「0」に戻して通常遊技モードに戻ることとなる。
一旦還元がなされた遊技機2においては、そのCPU33はRAM37に保存されている消費量データをリセットするような処理を行う。このようにリセットが行われるごとに、消費量データが改めてカウントされることとなる。この消費量データのリセットはCPU33の指示を受けたROM36に格納されたプログラムにより行われる。還元を行う処理が終了すると、CPU33は図6に示される上限値の設定をする処理(ステップS21)に再び戻って、上述したような処理を繰り返し行うこととなる。
なお、還元の方法としては、強制的に「大当たり」を出すことに代えて、RAM37に格納されている、大当たりを出すための確率テーブルを変更するようにしてもよい。この確率テーブルとは、乱数発生器38(図4)で発生した乱数が大当たりとなる範囲を定めたものであり、この確率テーブルによって設定された範囲が狭いほど「大当たり」の発生確率が低く、またその範囲が広いほど「大当たり」の発生確率が高くなるのである。従って、サーバ1から遊技機2に対して還元指令が送信されると、当該遊技機2のCPU33は、当該受信した還元指令に基づいて、確率テーブルを変更することにより、「大当たり」の出る確率を高くすることで還元が行われるようにするのである。
また、本発明においては、遊技機2における投入メダル数が上限に到達しても必ず還元が行われるとは限らない態様とするようにしてもよく、この場合には、還元を行わないこととなったときに、必要に応じてRAM37に記録された消費量データをリセットするような処理を行う。このようにリセットが行われるごとに、消費量データが改めてカウントされることとなる。
〈サーバの構成〉
次に、上述したサーバ1の構成について、図7を参照しながら説明する。
図7はサーバ1の構成を示すブロック図である。この図7に示されるように、サーバ1は、データバスBUSに接続されたCPU51、メモリ52、通信インターフェイス53及びデータベース54を有し、CPU51はメモリ52に格納されているプログラムに従って種々の処理を実行するようになされている。
すなわち、CPU51は通信インターフェイス53によって接続された回線を介して、遊技機2から送信されるデータを受け取り、これをメモリ52に格納する。これらのデータは、例えばサーバ1が管理する複数の遊技機の上限のデータ、還元率のデータ等であり、サーバ1に管理される各遊技機から送信される情報である。
CPU51は、データベース54に格納されているプログラムをメモリ52に読み出しこのプログラムに従って、当該メモリ52に格納された各遊技機から送信される情報に基づいてプログラムを進行させる。このプログラムの進行結果は、データベース54に格納される。
〈サーバの動作〉
次に、上述のような構成を採るサーバ1について、その各部の動作を説明することとする。
図8は、上述したような還元を各遊技機に対して行う為の準備としてサーバ1の各部がどのような動作を行うか、その流れの一例を示すフローチャートである。因みに、この動作はサーバ1において常時繰り返されているものとする。
図8に示されるように、サーバ1は、管理している遊技機2が上限に到達したときに還元を行う為の準備として、常時、各遊技機2に投入された(ステップS11)遊技媒体であるメダルの一部を保留している。
サーバ1では、各遊技機2から遊技媒体の投入結果を待ち受ける状態にある(ステップS41)。
遊技者が各遊技機において用いる遊技媒体としては、一般的に用いられるメダルや小球のようなものが考えられるが、実際に形のある有体物を用いなくても、データとして数値等で表現され、遊技中にやりとりされる無体物も考えられる。ここでいう「投入」とは、遊技媒体の形態によらず、遊技者が遊技のために用いようとして遊技媒体を遊技機に認識させる行為をいうものとする。従って、メダル等のように、投入口15から投入され、遊技機2の内部に設置されたメダル検知センサ(図示せず)に検知されたものばかりでなく、遊技者により遊技に用いることを決定づけられた数値データのようなものも待ち受けの対象となっている。
サーバ1が遊技媒体の投入を待ち受けている状態においては、所定のタイミングで遊技媒体の投入データを受信したか否かの判断が行われている(ステップS42)。
本実施形態においては遊技媒体としてメダルを用いており、各遊技機では、遊技者が投入口15からメダルを投入しながら遊技を継続している。遊技者が投入口15から投入したメダルは、遊技機の内部に設置されたメダル検知センサ(図示せず)によりその枚数が検知され、データとして数値化され、遊技機2のRAM37に累積消費量のデータとして記録されている。この累積消費量のデータは、所定のタイミングで通信インターフェイス回路41を介してサーバ1に送信されてくるものである。
サーバ1では、この累積消費量データをサーバ1の通信インターフェイス53を介して受信し、CPU51の指示に基づいて当該データの所定率をメモリ52に適宜記録(保留)していくこととなる(後述)。
なお、ステップS42の判断において、サーバ1が投入データを受信していなかったときには、再度ステップS41に戻って処理を行うこととなる。
投入データの受信を判断する処理が終了すると、次に、サーバ1は、消費量の所定率を保留する処理に移行する(ステップS43)。
サーバ1では、上述したように、管理する遊技機に還元する遊技媒体を予め保留していることとなる。保留する量は、サーバにより異なるものであり、先のステップS42でサーバ1が受信した各遊技機の累積消費量データに対し、予め定められた所定の率を乗じることによりその量を決定するものである。
保留を行う処理においては、サーバは、CPU51で算出された保留量の数値データを通信インターフェイス53を介して遊技機2に送信することとなる。遊技機2側では、受信した数値データに基づいて、CPU33が、累積消費量データの一部に相当する数値データを保留データとしてRAM37に記録しておくこととなる。
保留を行う処理が終了すると、サーバ1は、再び各遊技機からの投入データを待ち受ける状態(ステップS41)に戻り、上述したような処理を繰り返していくこととなる。
次に、管理する遊技機2に対して還元を行うときのサーバの動作について説明する。
図9は、サーバ1が還元を行うときの動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、常時繰り返されているものとする。サーバ1では、まず、還元対象を抽選する処理を行う(ステップS51)。
還元対象の抽選は、上限に到達した遊技機に対して必ず還元が行われるとは限らないような態様を採る場合に行われるものであり、抽選の内容としては、例えば、「今からN番目に上限に到達した遊技機に還元を行う」とか、「遊技機に付された番号の末尾が○○番に該当するものに還元を行う」とかいうようなものが挙げられる。上限に到達した遊技機に対して必ず還元が行われる態様を採る場合には、この抽選からは、例えば、「今から1番目に上限に到達した遊技機に還元を行う」とか、「遊技機に付された番号の末尾が0番、1番、…、9番(全ての遊技機の番号が指定されることとなる)に該当するものに還元を行う」といったような結果が得られることとなる。因みに、必ず還元が行われる態様をとる場合には、この処理ステップS51において、上限に達した全ての遊技機を還元対象とするのである。このように必ず還元を行う場合、CPU51は還元対象の遊技機2に対して、そのクレジットの消費量が上限に至った後、どのようなタイミングで還元を行うかを抽選することとなる。この抽選の具体例としては、次にクレジットの消費量が上限に至った遊技機2に対する還元は、「その遊技機2でのゲーム数が○○回目で行う」、又は「上限に至った後、直ちに行う」などのような結果を得るのである。
これらの抽選結果は、CPU51の指示に基づいて、メモリ52に記録されることとなる。
還元対象の抽選を行う処理が終了すると、次に、サーバ1は、各遊技機2から上限到達結果が送信されるのを待ち受ける状態になる(ステップS52)。
上限到達結果とは、図6について上述したように、遊技機2に投入された遊技媒体が予め設定された量に到達したことを示すもので、遊技機2において到達したか否かの判断が行われ、到達した場合にはサーバにその結果が送信されてくるものである。サーバ1では、通信インターフェイスを介してその結果を受信するのを待ち受けることとなる。
サーバ1が上限到達結果を待ち受けている状態にあるときには、所定のタイミングで上限到達結果を受信したか否かを判断する処理を行うこととなる(ステップS53)。
この判断は、CPU51が行うものであり、上限到達結果を受信したものと判断されたときには次の処理に移行することとなる。逆に、上限到達結果を受信していないものと判断されたときには、サーバ1は再び上限到達結果を待ち受ける状態に移行し(ステップS52)、所定のタイミングで受信したか否かを判断する処理を繰り返すこととなる。
上限到達結果を受信したものと判断された場合には、当該上限到達結果を送信した遊技機2が還元対象であるか否かを判断する処理が行われる(ステップS54)。
還元対象であるか否かは、上述したステップS51で行われた抽選により定められたデータに基づいて行われるものであり、CPU51がメモリ52に記録されたデータを参照して、上限到達結果に付されているデータと比較してなされるものである。
例えば、上述した例で「遊技機に付された番号の末尾が○○番に該当するものに還元を行う」という抽選結果が出ている場合には、CPU51は、当該抽選結果に付されている遊技機の識別番号のデータを読み出し、その番号の末尾が○○番に該当するか否かを判断するのである。
上限に到達した場合には必ず還元が行われるような態様のときには、還元対象であるか否かの判断においては、必ず肯定の結果が出されることとなる。
なお、還元対象でないものと判断された場合には、後述する還元制御信号を送信する処理において、還元を行わないことを示す信号が送信されることとなる。この信号は、CPU51の指示を受けて、通信インターフェイス53を介して遊技機2に送信されることとなる。
還元対象であるか否かを判断する処理において、肯定の結果が得られた場合には、サーバ1は、還元のタイミングを判断する処理に移行する(ステップS55)。
還元のタイミングとしては、上述したように様々な態様が考えられ、例えば、上限に到達し還元対象に該当する遊技機2に対しては、サーバにおける全ての処理が終了した直後に強制的に還元を行うようにするようなことも考えられるし、また、サーバにおける全ての処理が終了した後に所定時間が経過した後、若しくは所定の遊技を行った後に還元を行うようにするようなことも考えられる。
還元のタイミングを判断する処理は、これらのどのタイミングで還元を行うかを判断するものであるが、還元のタイミングを単一に予め決めている場合には、そのタイミングを用いるものとする。これに対して、還元のタイミングを抽選によって決定する場合には、CPU51はステップS55において、予めメモリ52に用意されている複数の候補(例えば、「直ちに還元」、「X回ゲーム後に還元」、「X分後に還元」、「次回大当たり時に還元」等)からランダムに選択して、還元タイミングを決定するのである。因みに、還元のタイミングは、上述したように、種々のタイミングが抽選(タイミング抽選)によって決定されるが、ステップS55においては、既にある遊技機2においてそのクレジットの消費量が上限に至っていることとなるので、このステップS55において、CPU51は当該上限に至った遊技機2に対して、「還元タイミングの抽選が行われたこと」を表示させ、遊技者に対して、いずれかのタイミングで還元が行なわれることを示唆するのである。これにより、遊技者は、その遊技機2から離れることなく遊技を続けることとなるのである。
還元のタイミングを判断する処理が終了すると、還元のタイミングになっているか否かを判断する処理に移行する(ステップS56)。
還元のタイミングとは、先のステップS55で定めたものであるが、当該ステップで定めたタイミングについては、サーバ1のメモリ52に記録されている。この記録は、例えば、「上限に到達してから何分後」というように時間的なタイミングを与えた場合には、サーバ1に設けられたタイマ(図示せず)で時間を計ってそのタイミングを待つこととなる。また、例えば、「上限に到達してから遊技者が20回遊技を行った後」というように遊技者の遊技状況に応じたタイミングを与えた場合には、遊技機2に設けられた各種センサを用いて、所定の条件を満たしたときにサーバ1に遊技機2のCPU33から信号を送信して知らせるようにすることとなる。いずれの場合であっても、CPU51は遊技機2に対して、どのタイミングで還元を行うかを表示器19等で表示させ、遊技者に対して、還元が行なわれることを示唆するのである。
サーバ1では、還元のタイミングになった後に還元に関する処理を開始するため、このタイミングになっていないものと判断された場合には、再びステップS55に戻り、以後の処理を繰り返すこととなる。
サーバ1が還元のタイミングになったものと判断したときには、先のステップS43で保留した遊技媒体の量(数)等を参照した還元数を決定する処理を行う(ステップS57)。
遊技機2に還元される量は先のステップS43(図8)で保留した遊技媒体により賄われるものである。通常、上限に到達したら予め定められた還元率を上限に乗じたものを還元することになっている。この場合、サーバ1は遊技機2から送信された上限到達結果に含まれている上限を表すデータ及び還元率を表すデータを基に還元数を算出する。因みに、サーバ1では、遊技機2から送信された還元率を表すデータに基づいて還元を行う場合に加えて、所定の確率で、より多くの還元を行うようにもなされている。これは、サーバ1のメモリ52に保留された数が一定以上となった場合にこれをCPU51が検知して行うモードであり、CPU51は遊技機2から送信された還元率を表すデータに関わらず、所定の還元数を決定するものである。この場合の還元数は、他の還元に比べて格段に大きい数となることにより、ゲーム性を一段と高めることとなるのである。
還元数を決定する処理が終了すると、サーバ1は、遊技機に対して還元制御信号を送信する処理に移行する(ステップS58)。
ここでサーバ1から各遊技機2に送信される還元制御信号は2種類に分かれている。先の還元対象で有るか否かを判断するステップ(ステップS54)で、還元対象であるものと判断された遊技機に対しては、還元制御信号の一部に還元対象であることを示すデータである「1」の値を与え、還元対象でないものと判断された遊技機に対しては、還元制御信号の一部に還元対象でないことを示すデータである「0」の値を与えることとする。なお、上限に到達した遊技機には必ず還元が行われるような態様を採る場合には、上述した還元制御信号の値は全て「1」に設定するようにすればよい。
還元制御信号には、どの程度の還元を行うかというデータも含まれており、これらの全てのデータが、サーバ1のCPU31の指示を受けて、通信インターフェイス33を介して送信される。
還元制御信号を送信する処理が終了すると、サーバ1は、保留数を減算する処理に移行する(ステップS59)。
保留数とは、先に説明した図8に記載したステップS43でサーバ1のメモリ52に保留された遊技媒体の数のことをさすものである。各遊技機への還元は、この保留された遊技媒体を用いて行われるものであるため、還元が終了した後には、還元した量に相当する遊技媒体の数のデータを減算しておく必要があるのである。
保留数を減算する処理は、CPU31が行うものであり、減算により更新されたデータは、メモリ52に新たに記録されることとなる。
なお、遊技機に還元する量が遊技状態に応じて変動する場合には、遊技機2での還元が終了した後に、遊技機2のCPU33が遊技者に還元した量を示すデータをサーバ1に送信し、それを受信した後に減算処理に移行してもよい。
保留数を減算する処理が終了すると、サーバ1はステップ51に戻り、還元対象の抽選以降の処理を再び行うこととなる。還元制御信号を受け取った遊技機2は、当該還元制御信号に基づく還元を行う。
以上説明したように、各遊技機2において投入された遊技媒体(クレジット数)は、一旦遊技機2に保存された後、所定のタイミングでそれまで蓄積された遊技媒体数がクレジットの累積消費量としてサーバ1に送信される。この実施形態においては、各遊技機2から送られてきた各累積消費量の所定率をサーバ1において算出し、この算出結果を保留数としてサーバ1に保存するようにしているが、本発明はこれに限らず、各遊技機2から予め算出した結果をサーバ1に送信するようにしてもよい。
かくして、サーバ1においては、各遊技機2におけるクレジット(遊技媒体)の累積消費量の所定率の遊技媒体(の数)が保留されることとなる。サーバ1は、この保留数から、同一遊技者による遊技媒体の累積消費量が一定数以上となった遊技機に対して、所定還元率での還元を行うことにより、遊技者にとって、ある程度遊技を行なうことによって必ず還元を受けることができることとなる。従って、なかなか当たらないことによる、客離れを回避することが可能となる。
また、遊技者のなかには、還元を受けることなく遊技を終えることもある。このような場合には、サーバ1において保留される保留数がより多くなり、還元に回される額をより多くすることも可能となるのである。
そして、遊技機に対する還元を行うに際して、サーバ1では、還元のタイミングを抽選することにより、必ず行われる還元のタイミングに変化を持たせることができる。そして、当該抽選結果を遊技機に表示させることにより、還元がいつおこなわれるかといった期待感を遊技者に持たせることが可能となる。
また、遊技者を検知する検知手段(プレーヤセンサ21又は)の検知結果に基づいて還元を行うことにより、還元されるべき条件を満たした遊技者に対して還元を行うことができる。このように、遊技機を介した還元であっても、当該遊技機において条件(クレジットの累積消費量)を満足した遊技者に対して還元が行われることにより、遊技者はある遊技機において続けて遊技を行っていれば必ず還元を受けられるという安心感を持って遊技を行うことができ、当該遊技者に対して、還元のタイミング抽選結果を表示することにより、その遊技機に留まって遊技を続けさせることができる。
また、遊技者がある遊技機における遊技を終了した場合、それまで蓄積された当該遊技者によるクレジットの累積消費量がリセットされることにより、他の遊技者が入れ替わって遊技を開始した場合に、リセットされた状態からクレジットの累積消費量の蓄積が開始されることとなり、全ての遊技者に対して所定条件の基での還元を不公平感なく行うことができ、当該還元を行うに際して、当該遊技者に対して、還元のタイミング抽選結果を表示することにより、その遊技機に留まって遊技を続けさせることができる。