JP2007255277A - カムフォロア - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラにおけるピーリングの発生を防止し、さらに相手カムのピッチングの発生を防止するようにしたカムフォロアを得ることを目的とする。
【解決手段】エンジンのカム２と転がり接触するカムフォロア７のローラ９の外表面の面粗さを、軸方向と円周方向のそれぞれを求めて、粗さ曲線のスキューネスＲｓｋをマイナスに形成し、コア部のレベル高さＲｋを０．３以下とし、突出谷部深さＲｖｋを０．３以下とし、前記Ｒｋと粗さ曲線の最大断面高さＲｔとの比、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９以上となるように形成したものである。
【選択図】図１

Description

本発明は、エンジンのカムと転がり接触するローラを有するカムフォロア、更に詳しくは、ローラのピーリングの発生防止と相手カムのピッチングの発生防止に関するものである。
従来のカムフォロアは、ローラの外表面に微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成して外径転動面の油膜形成率が向上し、十分な油膜厚さを確保して転がり接触部の金属接触を押さえ、相手カム面の面粗さの如何に拘わらずローラの外径転動面にピーリング損傷や摩耗の発生がなく、ローラの長寿命を得ることができるようにしている（例えば、特許文献１参照）。
特許第２５９４３３９号公報（第１頁、第１図）
従来のカムフォロアでは、ローラの外表面に微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成し、ローラの外径転動面にピーリングが発生することを防止することはできるが、カムの硬度が低い場合は接触面積が少ないことにより、ローラの粗さ突起間の接触面圧が高いために、相手カムにピッチングが生じてしまうという問題があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、ローラにおけるピーリングの発生を防止し、さらに相手カムのピッチングの発生を防止するようにしたカムフォロアを得ることを目的とする。
本発明のカムフォロアは、エンジンのカムと転がり接触するカムフォロアのローラの外表面の面粗さを、軸方向と円周方向のそれぞれを求めて、粗さ曲線のスキューネスＲｓｋをマイナスに形成し、コア部のレベル高さＲｋを０．３以下とし、突出谷部深さＲｖｋを０．３以下とし、前記Ｒｋと粗さ曲線の最大断面高さＲｔとの比、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９以上となるようにしたものである。
また、前記カムフォロアのローラの硬度をＨＲＣ５８以上とし、前記ローラの外表面の面粗さの粗さ曲線のクルトシスＲｋｕを８以下となるようにしている。
さらに、前記カムフォロアのローラの外表面の面粗さの突出山部高さＲｐｋを０．０８以下となるようにしている。
本発明のカムフォロアにおいては、エンジンのカムと転がり接触するカムフォロアのローラの外表面の面粗さを、軸方向と円周方向のそれぞれを求めて、粗さ曲線のスキューネスＲｓｋをマイナスに形成したので、ローラのピーリングの発生を防止することができ、コア部のレベル高さＲｋを０．３以下とし、突出谷部深さＲｖｋを０．３以下とし、前記Ｒｋと粗さ曲線の最大断面高さＲｔとの比、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９以上となるようにしたので、相手カムのピッチングを防止して相手カムを損傷させずに使用することが可能となり、カム及びローラの耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
また、前記カムフォロアのローラの硬度をＨＲＣ５８以上とし、前記ローラの外表面の面粗さの粗さ曲線のクルトシスＲｋｕを８以下となるようにしたので、ローラが硬くてもとがりが少ないことによって相手のカム面を傷付けることがない。
さらに、前記カムフォロアのローラの外表面の面粗さの突出山部高さＲｐｋを０．０８以下となるようにしているので、実質的にコア部のレベル高さを大きくして安定して荷重を負荷することができる。
図１は本発明の実施の形態１に係るカムフォロアの使用状態を示す縦断面図、図２は表面粗さの各種パラメータを設定した場合における発明と従来例の評価結果を示す表である。
図１はOHC形式エンジンの場合のカムフォロアを示し、カム軸１のカム２で直接ロッカーアーム４を誘導させ、ロッカーアーム４の揺動でバルブ５を開閉動させるようになっている。ロッカーアーム４のカム２に臨む端部に、カム２の周面と転がり接触するローラ９を有するカムフォロア７がロッカーアーム４に軸支された支持軸８に回転自在に付けられている。
次に、カム２とカムフォロア７のローラ９におけるピーリングとピッチングの防止のためのカム２とローラ９の表面性状について説明する。
まずその前に、ローラ９のロックウエル硬度ＨＲＣは５８以上で、ローラ９が転がり接触する相手方のカム２のロックウエル硬度ＨＲＣは５８〜４０に形成されている。このロックウエル硬度は数値が大きいほど硬いことを示しており、カム２よりローラ９の方が通常、硬度が高く設定されている。
次に、ローラ９の外表面の面粗さは、軸方向と円周方向のそれぞれを求めた各種のパラメータで表示される。
この実施の形態１では、ローラ９の表面粗さは、粗さ曲線のスキューネスＲｓｋがマイナスになるように形成されている。
このＲｓｋは、マイナスになるように形成されることにより、ローラ９の表面に油溜まりとなるように凸部の除去が行われ、ピーリングの発生が防止される。
次に述べる各種のパラメータは、ローラ９とカム２との粗さ突起の接触面積を大きくすることにより、カム２のピッチングを防止するために設定される。
ローラ９の表面粗さは、コア部のレベル高さＲｋを０．３以下となるように形成されている。
このＲｋは、プラトー構造表面の潤滑性評価パラメータのうちの線形負荷曲線による高さ特性の一種である。ここで、コア部のレベル高さＲｋとはコア部の上側レベルと下側レベルの差をいい、Ｒｋを０．３以下となるように形成することにより、突出山部と突出谷部が少なく、コア部が示す部分が大きいことを意味し、安定して荷重を負荷できることとなる。
従って、線形負荷曲線による高さ特性の一種である突出山部高さＲｐｋは例えば０．０８以下と小さく、突出谷部深さＲｐｋも荷重を負荷できない深い溝は少ないものとするよう、例えば０．３以下と小さく設定されている。
ここで、突出山部高さＲｐｋとはコア部の上にある突出山部の平均高さをいい、突出谷部深さｐｋとはコア部の上にある突出谷部の平均深さをいう。
さらに、以下に述べる全体の粗さを示す粗さ曲線の最大断面高さＲｔに対してはコア部のレベル高さＲｋの割合を小さくしておく。
即ち、前記Ｒｋと粗さ曲線の最大断面高さＲｔとの比、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９以上となるように形成されている。
ここで、粗さ曲線の最大断面高さＲｔとは評価長さにおける輪郭曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値との和をいう。
また、ローラ９の表面粗さは、粗さ曲線のクルトシスＲｋｕを８以下となるように形成されている。
このＲｋｕは、高さ方向の特徴平均パラメータの一種で、いわゆるとがりを示すもので、Ｒｋｕが小さくなるほど粗さ曲線のとがりが小さくなることを示しており、Ｒｋｕ＜８になるように形成されることにより、相手カムのカム面を傷付けないようにとがりをなくするようにしている。
上記のようなローラ９の外表面の粗面条件を得るための表面加工処理は、特殊なバレル研磨によって、所望する仕上げ面を得ることができる。
加工方法としては、例えば、遠心流動バレル研磨法により、チップを用いてローラの表面にランダムな凹凸を形成した後、洗浄し、更にバレル研磨法によって、表面仕上げ処理を施することにより形成するものである。
前述したローラ９の外表面の粗面条件に設定することにより、ローラ９のピーリングの発生を防止することができると共に、相手カムのロックウエル硬度ＨＲＣを４０としても、相手カムのピッチングを防止して相手カムを損傷させずに使用することが可能となり、カム２及びローラ９の耐久性の向上を図ることができる。
図２の表は、表面粗さの各種パラメータを設定した場合における本発明と従来例の評価結果を示すもので、これについて説明する。
なお、図２の表に示す本発明では各種パラメータの値を変えて例１と例２とした。
また、上記評価結果を得るための試験の条件は、下記の如くである。
(I) 試験エンジンは本発明と従来例とはいずれも同じで、
OHC形式のエンジンのロッカーアーム
(II) 試験品ローラの形状及び寸法も本発明と従来例とはいずれも同じで、
外径１７mmφ×幅７．５×ローラ内接径８．３mmφ
(III)運転試験条件
エンジン回転数 ８０００rpm
エンジンオイル温度 １２５℃
(IV)運転試験時間 １５００時間連続運転
図２の評価結果の表を見ると、従来例では、Ｒｋが０．３４で０．３以上、Ｒｖｋが０．３７で０．３以上、Ｒｋ／Ｒｔが０．１７で０．１９以上では、評価結果は×、即ちピーリングとピッチングが発生していることを示している。
これに対し、本発明の例１ではＲｋが０．３０で０．３以下、Ｒｖｋが０．２６で０．３以下、Ｒｋ／Ｒｔが０．２０で０．１９以上では、評価結果は○、即ちピーリングとピッチングが発生していないことを示している。また、本発明の例２でもＲｋが０．２３で０．３以下、Ｒｖｋが０．３０で０．３以下、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９で０．１９以上では、評価結果は○、即ちピーリングとピッチングが発生していないことを示している。
本発明に係るローラ付きカムフォロアの使用状態を示す縦断面図である。 表面粗さの各種パラメータを設定した場合における発明と従来例の評価結果を示す表である。
符号の説明
１ カム軸、２ カム、４ ロッカーアーム、５ バルブ、７ カムフォロア、９ ローラ。

Claims (3)

  1. エンジンのカムと転がり接触するカムフォロアのローラの外表面の面粗さを、軸方向と円周方向のそれぞれを求めて、粗さ曲線のスキューネスＲｓｋをマイナスに形成し、コア部のレベル高さＲｋを０．３以下とし、突出谷部深さＲｖｋを０．３以下とし、前記Ｒｋと粗さ曲線の最大断面高さＲｔとの比、Ｒｋ／Ｒｔが０．１９以上となるようにしたことを特徴とするカムフォロア。
  2. 前記カムフォロアのローラの硬度をＨＲＣ５８以上とし、前記ローラの外表面の面粗さの粗さ曲線のクルトシスＲｋｕを８以下としたことを特徴とする請求項１記載のカムフォロア。
  3. 前記カムフォロアのローラの外表面の面粗さの突出山部高さＲｐｋを０．０８以下としたことを特徴とする請求項１又は２記載のカムフォロア。
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