JP4572875B2 - 転がり摺動部品の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、エンジンの動弁機構を構成するカムフォロア用のローラ、ころ軸受(ニードル軸受を含む)を構成するころ(ニードルを含む)等、相手面と転がり接触又は滑り接触する転がり摺動部品の製造方法の改良に関する。具体的には、耐摩耗性向上の為に、相手面と転がり接触又は滑り接触する転がり摺動面に施す軟窒化処理に基づき、この転がり摺動面の端部が盛り上がる事を防止して、相手面に著しい摩耗が発生するのを防止できる転がり摺動部品を得られる製造方法の実現を図るものである。
エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換するロッカーアームに設けるカムフォロアにローラを回転自在に支持し、このローラの外周面とカムの外周面とを転がり接触させる事が、例えば特許文献1〜4等に記載されている様に、従来から知られている。上記カムフォロアに上記ローラを回転自在に支持する為には、このカムフォロアに枢軸を、上記カムシャフトと平行に設置し、この枢軸の周囲に上記ローラを回転自在に支持する。又、この様に枢軸の周囲にローラを回転自在に支持する為の構造としては、次の(A) 〜(C) に示した3通りの構造が知られている。
(A) 枢軸の周囲に直接ローラを回転自在に支持する(枢軸の外周面とローラの内周面とを滑り接触させる)構造。
(B) 枢軸の外周面とローラの内周面との間にラジアルニードル軸受を設ける構造。
(C) 枢軸の外周面とローラの内周面との間に内径側ローラを設け、この内径側ローラをこの枢軸に対し回転させると共に、この内径側ローラに対して上記ローラ(外径側ローラ)を回転させる、ダブルローラ型構造。
これら3通りの構造には一長一短があるが、(C) のダブルローラ型構造は、静粛性確保と、低トルク性確保と、エンジンの高出力化への対応と、耐久性確保と、低コスト化とを、比較的高次元で並立させられる面から、近年使用例が増えている。図3は、前記特許文献3、4等に記載されて従来から知られている、ダブルローラ型の、エンジンの動弁機構用カムフォロア装置を示している。
この従来構造の場合、エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト1に固定されてこのカムシャフト1と共に回転するカム2に対向して、このカム2の動きを受けて揺動し、吸気弁又は排気弁を往復移動させるロッカーアーム3を設けている。又、このロッカーアーム3の一部(端部又は中間部)に互いに間隔を開けて設けた1対の支持壁部4、4同士の間に、鉄系合金製の支持軸5を掛け渡している。そして、この支持軸5の周囲に、それぞれが鉄系合金製で円筒状の内径側ローラ6と外径側ローラ7とを、回転自在に支承し、このうちの外径側ローラ7の外周面を、上記カム2の外周面に転がり接触させている。
エンジンの運転時に上記カムシャフト1と共に上記カム2が回転すると、上記外径側ローラ7が回転しつつこのカム2の外径変化に対応して変位し、上記ロッカーアーム3を揺動変位させ、上記吸気弁又は排気弁を往復移動させる。この際、上記外径側ローラ7の外周面と上記カム2の外周面とは、ほぼ純転がりに近い状態で接触する。そして、この外径側ローラ7は、その外周面の周速が上記カム2の外周面の周速とほぼ一致する回転速度で回転する。これに対して、上記内径側ローラ6は、上記外径側ローラ7の凡そ半分程度の回転速度で回転する。これら内径側ローラ6の外周面と外径側ローラ7の内周面との接触部、この内径側ローラ6の内周面と上記支持軸5の外周面との接触部は、何れも滑り接触するが、滑り速度は、前記(A) の構造に比べて低く抑えられる。これらの作用により、図3に示した構造によれば、ロッカーアーム3とカム2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。
上述の様に構成され作用するエンジンの動弁機構用カムフォロア装置の低トルク化及び耐久性確保をより一層向上させる為に、上記内径側ローラ6と上記外径側ローラ7とのうち、少なくとも内径側ローラ6の内外両周面に潤滑性被膜を形成する事も、特許文献4に記載されて、従来から知られている。図4は、上記内径側ローラ6の内外両周面に潤滑性被膜10を形成した構造を、図5は、内径側、外径側両ローラ6、7の内外両周面に潤滑性被膜10、10aを形成した構造を、それぞれ示している。上記特許文献4には、この様な潤滑性被膜10、10aとして各種のものが記載されているが、このうちの軟窒化処理層が、比較的低コストで形成できて、しかも優れた耐久性を有し、相手面への攻撃性が低い(相手面の摩耗を抑えられる)事から好ましい。即ち、(ガス)軟窒化処理は、SPC、炭素鋼、鋳鉄、STKM等の低級鋼の表面に、比較的短時間(90〜150min )で、薄く(8〜15μm程度)、しかも比較的硬度が低い(Hv400〜700程度)、Fe3 N・Fe4 N等の、FeとNとの化合物層軟窒化層 )を形成する。この為、(軟窒化処理ではない)ガス窒化処理とは異なり、上記した3通りの効果を得られる。尚、図4〜5には、各部材同士の間に存在するラジアル方向の隙間の大きさを誇張して描いてある。
但し、単に、図3〜5に示した様な内径側、外径側両ローラ6、7の内外両周面に軟窒化処理を施しても、相手面の耐久性を必ずしも十分に確保できない事が、本発明者等の研究により分かった。具体的には、図6に鎖線で示した様な形状を有する鉄系合金(上述した様な低級鋼)製で円筒状の素材(母材)8の表面に軟窒化層を形成して、図6に実線で示した様な、例えば上記内径側ローラ6に加工すると、この内径側ローラ6の周面(内周面及び外周面)の軸方向端部に、窒化化合物製の突条9が、径方向に突出した状態で生成される。図7は、実際に円筒状の素材に軟窒化処理を施し、この素材の表面(内外両周面及び軸方向両端面)に軟窒化層を形成して内径側ローラ6とした直後の状態での、この内径側ローラ6の内外両周面の形状を示している。図7のうちの(A)が外周面の母線形状を、(B)が内周面の母線形状を、それぞれ示している。又、図7は、横方向(内径側ローラの軸方向)に関しては実際の寸法の10倍で、縦方向(内径側ローラの径方向)に関しては実際の寸法の1000倍で、それぞれ表している。この様な図7からも、軟窒化処理に伴って、内外両周面の軸方向両端部に、径方向に突出する突条が形成される事が分かる。
軟窒化処理層の表面硬度は、窒化処理層(表面硬度:Hv700〜1200)に比べて低いとは言え、一般的な鉄系合金の表面硬度に比べれば高い。又、上記突条9は幅が極く狭い為、この突条9の先端縁と相手面との接触部の面圧は非常に高くなる。この結果、この突条9を有する内径側ローラを、前述の図3〜5に示す様なエンジンの動弁機構用カムフォロア装置に組み込むと、相手面である外径側ローラ7の内周面や支持軸5の外周面の一部を、著しく摩耗させてしまう。図8は、この様な原因でこれら外径側ローラ7の内周面及び支持軸5の外周面の一部に生じる、著しい摩耗の状態を示している。図8のうちの(A)は所定時間運転後の状態での外径側ローラ7の内周面の、(B)は同じく内径側ローラ6の外周面の、(C)は同じく内周面の、(D)は同じく支持軸5の外周面の、それぞれ母線形状を示している。縦横の倍率は、上記図7の場合と同じである。この様な図8からも、上記突条9の生成が、相手面の耐久性に悪影響を及ぼす事が分かる。
この様な耐久性悪化の原因となる突条9が生成される原因は、完全には解明されていないが、本発明者は、周面の軸方向両端縁部に関して、軟窒化処理層の生成が、軸方向両側から進行する為であると考えた。即ち、軟窒化処理層は、処理容器中のガス(浸炭ガス+NH3 )から供給されるCとNとが上記内径側ローラ6の素材(母材)中に入り込んで化合物を生成する事により(特にNの浸入による窒化により)形成される。このNの供給が、この素材の表面全体で均一に行なわれれば、上記突条9が形成される事はないが、上記内径側ローラ6の場合、内外両周面の軸方向両端部に、図9に示す様な面取り部21が存在する。軟窒化処理を行なう場合に上記Nは、この図9に矢印で示す様に、上記内径側ローラ6の外周面からだけでなく、上記面取り部21及び軸方向両端面からも、上記素材中に浸入する。従来の場合、上記内径側ローラ6の中心軸に対するこの面取り部21の傾斜角度θは、30度程度と、比較的大きかった。この為、上記外周面のうちで円筒面部11の軸方向端部と上記面取り部21との境界部分に、この円筒面部11から浸入したNと、この面取り部21部分から浸入したNとが集まり、上記境界部分の化合物量が多くなって(境界部分の窒化が他の部分よりも進行して)、上記突条9を形成するものと考えた。
この様な考え(仮説)に基づいて本発明者は、面取り部の傾斜角度を緩やかにすれば、この面取り部と円筒面部との境界部分へのNの集中を抑え、上記突条9の生成を解消乃至は緩和できるものと考え、面取り部の傾斜角度を3〜15度に抑える発明を行なった(特願2005−192166)。図10は、この先発明に係る、エンジンの動弁機構用カムフォロア装置用のローラ12を示している。この先発明に係るローラ12の場合、内外両周面の軸方向両端部に、それぞれがこのローラ12の中心軸に対する傾斜角度θi 、θo が、それぞれ3〜15度と、比較的緩やかである、内径側、外径側両面取り部13、14を形成している。この様に、内外両周面の軸方向両端部に形成する、内径側、外径側両面取り部13、14の傾斜角度θi 、θo を、緩やかにすると、これら両面取り部13、14と、内外両周面の軸方向中間部に存在する、内径側、外径側両円筒面部15、16との境界部分の角度(上記各傾斜角度θi 、θo の補角)が180度に近くなる。この結果、軟窒化処理に伴う、これら各境界部分へのNの集中が緩和され、前述の図6及び図7に示す様な突条9の生成が、解消乃至緩和される。
但し、上述した先発明の場合、上記内径側、外径側両面取り部13、14の傾斜角度θi 、θo を、これら両面取り部13、14の全長に亙って一定としていた。一方、上記ローラ12の軸方向端面側でのこれら両面取り部13、14の直径と、上記内径側、外径側両円筒面部15、16の直径との差(面取り部の径差)は、或る程度確保する必要がある。この理由は、上記ローラ12と相手部材との嵌合作業を容易に行なえる様にする為と、このローラの周面と相手部材の周面との間に潤滑油が送り込まれ易くする為とである。この為上記先発明の様に、上記両面取り部13、14の傾斜角度θi 、θo を全長に亙り一定とした場合には、上記面取り部の径差を確保する必要上、上記両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo を或る程度大きくしなければならない。先発明の場合には、これら両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo を、それぞれ0.8〜1.5mm程度にするとしている。
この様な理由で、上記内径側、外径側両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo を大きくすると、運転時に相手面と転がり接触又は滑り接触する、上記内径側、外径側両円筒面部15、16の幅Wi 、Wo が狭くなる。例えば、上記ローラ12が、エンジンの動弁機構用カムフォロア装置用の内径側ローラ6或いは外径側ローラ7(図3〜5参照)であった場合、上記ローラ12の全幅WT は10mmからせいぜい15mm程度である。例えば、この全幅WT を12mmとし、上記両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo を1.2mmとすると、これら両面取り部13、14はそれぞれ軸方向両側に存在するので、上記両円筒面部15、16の幅Wi 、Wo は、それぞれ、12mm−2×1.2mm=9.6mmとなる。
上記ローラは、使用時に相手面に対し大きな力で押し付けられる場合が多く、この相手面と接触する部分である、上記両円筒面部15、16の幅Wi 、Wo が狭くなる事は、この部分の接触面圧の上昇に結び付く。そして、この接触面圧の上昇は、上記ローラ及び相手部材の耐久性確保の面から不利になる。一方、上記両円筒面部15、16の幅Wi 、Wo を同じと仮定した場合には、上記両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo が大きくなる事は、上記ローラ12の全幅WT の増大、延てはこのローラ12の大型化、重量増大に結び付く。例えばエンジンの動弁機構用カムフォロア装置用の内径側ローラ6或いは外径側ローラ7は、限られた空間に設置する必要上、上記ローラ12の全幅WT は僅かでも小さい事が好ましい。又、上記内径側、外径側両ローラ6、7は、エンジンの運転時に高速で往復移動する為、このエンジンの高性能化を図る為には、慣性質量を少しでも小さくする必要がある。
これらの事を考慮すれば、上記両面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo が嵩む事は好ましくない。
特開昭59−183007号公報 特開平8−74526号公報 特開平11−247845号公報 特開2004−257287号公報 特開2002−97563号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、軟窒化処理に伴って突条が生成されるのを防止若しくは抑制しつつ、面取り部の寸法を短くできる、転がり摺動部品の製造方法を実現するものである。
本発明の製造方法の対象となる転がり摺動部品は、鉄系合金製で、図1に示す様に、相手部材と転がり接触若しくは滑り接触する、円筒状の周面である転がり摺動面19を有する。そして、この転がり摺動面19の端縁部に、端縁に向かう程この転がり摺動面19の中央寄り部分よりも凹む方向に傾斜した面取り部21aを備える。更に、この面取り部21a及び上記転がり摺動面19の表面部分に、軟窒化処理層20(図1に実線で表した、完成後の状態での表面層部分)を形成している。
この様な転がり摺動部品を造る為の、本発明の製造方法では、上記軟窒化処理層20を形成する為の軟窒化処理を行なう以前の状態で、図1に鎖線で示す様に、上記面取り部21aを、外側傾斜面部17と内側傾斜面部18とから構成する。
このうちの外側傾斜面部17は、上記端縁側(図1の左側)に位置し、上記転がり摺動面19の中央寄り部分に対する傾斜角度αが比較的急であるが、上記周面である転がり摺動面19の中心軸に対する傾斜角度が45度以下である
これに対して上記内側傾斜面部18は、上記転がり摺動面19の中央寄り側(図1の右側)に位置し、この転がり摺動面19の中央寄り部分に対する傾斜角度βが緩やかで、上記周面である転がり摺動面19の中心軸に対する傾斜角度が3〜15度である。
そして、上述の様な外側傾斜面部17と内側傾斜面部18とから成る上記面取り部21a及び上記転がり摺動面19に(実際には転がり摺動部品の表面全体に)、上記軟窒化処理層を形成する為の軟窒化処理を施す。
この軟窒化処理により、上記転がり摺動部品を造る為の素材(母材)中にNを浸入させ、上記外側、内側両傾斜面部17、18から成る面取り部21a及び上記転がり摺動面19を含む、上記素材の表面に、上記軟窒化処理層20を形成する。
この軟窒化処理層20を形成した後の状態では、上記外側、内側両傾斜面部17、18が残留していても(面取り部の途中で傾斜角度が変化していても)良いが、残留していなくても(面取り部の傾斜角度が全幅に亙り一定であっても)差し支えない。
上述の様な本発明の転がり摺動部品の製造方法を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、上記転がり摺動面19を外周面とし、上記面取り部を、端縁に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜させる。そして、この外周面の中心軸に対する上記内側傾斜面17の傾斜角度βを、3〜15度(好ましくは4〜7度)の範囲に設定する。
或いは、請求項3に記載した様に、上記転がり摺動面19を内周面とし、上記面取り部を、端縁に向かう程外径が大きくなる方向に傾斜させる。そして、この内周面の中心軸に対する上記内側傾斜面部17の傾斜角度βを3〜15度(好ましくは4〜7度)の範囲に設定する。
上述の様な本発明の転がり摺動部品の製造方法によれば、軟窒化処理に伴って面取り部21aと転がり摺動面19との境界部分に突条が生成されるのを防止若しくは抑制しつつ、この面取り部21aの軸方向寸法L21を短くできる。
このうち、突条が形成される事の防止は、転がり摺動面19に隣接する内側傾斜面部18の傾斜角度βを、中心軸に対する傾斜角度が3〜15度と、緩やかにした事により図られる。即ち、この内側傾斜面部18の傾斜角度βが緩やかであり、この内側傾斜面部18と上記転がり摺動面19との境界部分の角度(上記傾斜角度βの補角)が180度に近く(177〜165度に)なる。この結果、軟窒化処理に伴う、上記境界部分へのNの集中が緩和され、前述の図6及び図7に示す様な突条9の生成が、解消乃至緩和される。
尚、上記傾斜角度βが15度を超えて大きくなると、上記境界部分の角度が小さく(165度未満に)なって、この境界部分に上記突条が形成され易くなる。反対に、上記傾斜角度βが3度よりも小さくなると、上記内側傾斜面部18よりも急な傾斜角度αを有する外側傾斜面部17を設けるとは言え、次述する面取り部21aの落ち量δの確保が難しくなる。そこで、上記内側傾斜面部18の傾斜角度βを、3〜15度の範囲に設定する。より好ましくは、この傾斜角度を4〜7度の範囲に設定すれば、上記突条の生成防止と、上記落ち量δの確保とを、より効果的に図れる。
同様に、外側傾斜面部17と内側傾斜面部18との境界部分に関しても、境界部分の角度(これら両傾斜面部17、18の傾斜角度の差「α−β」の補角)が180度に近くなるので、突条9の生成が、解消乃至緩和される。
尚、上記両傾斜面部17、18の境界部分に関しては、上記転がり摺動面19よりも少し凹んだ位置に存在するので、この境界部分が相手面と直接接触する事は少ない。従って、この境界部分に多少の突条が形成される事は、上記内側傾斜面部18と上記転がり摺動面19との境界部分に比べれば、実用上問題とはなりにくい。但し、上記外側傾斜面部17の傾斜角度αを45度を超えて大きくする事は、非現実的であり、30度以下に収めるべきである。
但し、上記両傾斜面部17、18の境界部分に関しても、上記突条が生成されない事が好ましい。そこで、請求項4に記載した様に、上記両傾斜面部17、18の傾斜角度の差「α−β」を3〜15度の範囲に収めるべく、上記外側傾斜面部17の傾斜角度αを設定{α=β+(3〜15度)に規制}する。尚、上記両傾斜面部17、18の境界部分に関しては、上記突条の生成を抑えれば良く(完全に防止する必要はなく)、反対に、上記落ち量δの確保の為には上記外側傾斜面部17の傾斜角度αを大きくする必要がある。この為、上記両傾斜面部17、18の傾斜角度の差「α−β」は、上記範囲内で大きめに(例えば10〜15度の範囲内で)設定すれば良い。
又、上記面取り部21aの軸方向寸法L21を短くできるのは、上記面取り部21aの傾斜角度を2段階に変化させ、端縁側に存在する上記外側傾斜面部17の傾斜角度αを比較的急にする事により図れる。
即ち、前述した通り、上記面取り部21aの端縁の上記転がり摺動面19からの落ち量δは、転がり摺動部品の組立作業の能率向上の為、或いはこの転がり摺動面19と相手面との間への潤滑油の取り込み性確保の為、或る程度確保する必要がある。
前述した先発明の場合には、図10に示した如く、内径側、外径側各面取り部13、14の傾斜角度θi 、θo がこれら各面取り部13、14の全幅に亙り緩やかで、且つ、一定であった。この為、落ち量δを確保する為には、これら各面取り部13、14の軸方向長さLi 、Lo を大きくする必要があった。
これに対して本発明の場合には、上記転がり摺動面19から離れた、上記外側傾斜面部17の傾斜角度αを比較的急にしているので、上記面取り部21aの軸方向寸法L21を短くしても、上記落ち量δを確保できる。
尚、上記面取り部21aの軸方向寸法L21に対する、前記内側傾斜面部の割合は、必要とする上記落ち量δとの関係で設計的に定めるが、30〜60%程度が現実的と考えられる。
本発明を実施する好ましい形態としては、前述の図3〜5に示した様な、ダブルローラ型のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置のうち、内径側ローラ6の内外両周面に関して実施する事が考えられる。この場合に、この内径側ローラ6の外周面に関しては、特許請求の範囲の請求項2に記載した様に、転がり摺動面が円筒状の外周面であり、面取り部が、端縁に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい状凸面となる。そして、この外周面の中心軸に対する、内側傾斜面の傾斜角度を3〜15度、好ましくは4〜7度とする。
又、上記内径側ローラ6の内周面に関しては、特許請求の範囲の請求項3に記載した様に、転がり摺動面が円筒状の内周面であり、面取り部が、端縁に向かう程外径が大きくなる方向に傾斜した、部分円すい状凹面となる。そして、この内周面の中心軸に対する内側傾斜面の傾斜角度を3〜15度、好ましくは4〜7度とする。
図2は、実際に内径側ローラ6を造る為に加工した、鉄系合金製素材の内周面の形状を表している。図2の(A)(B)は、何れも同一の内径側ローラ6の同一部分を測定したものであるが、倍率が互いに異なっている。即ち、横軸(この内径側ローラ6の軸方向)の倍率は、(A)(B)何れの場合も10倍であるが、縦軸(この内径側ローラ6の直径方向)に関しては、(A)が1000倍、(B)が50倍である。
上記図2の(A)(B)に示した様な素材を造り、この素材の表面に軟窒化処理を施したところ、転がり摺動面と内側傾斜面部との境界部分にも、この内側傾斜面部と外側傾斜面部との境界部分にも、前述の図6〜8に示した様な突条9は形成されず、本発明の効果を確認できた。
上述の説明は、本発明をエンジンの動弁機構用カムフォロア装置用のローラに関して実施する場合を中心に行なった。但し、本発明は、この様なローラに限らず、例えば、ころ軸受用のころの転動面の軸方向端部に形成する面取り部に関して実施する事もできる。勿論、ローラを1個のみ設けた、シングルローラ型の構造でも実施できる。更には、相手面と滑り接触する面を凸曲面或いは平面とし、この面の端部に面取り部を形成した部品に就いて本発明を実施する事もできる。
本発明を説明する為の模式図。 同じく具体的な母線形状の1例を示す図。 エンジンの動弁機構用カムフォロア装置の1例を示す部分拡大断面図。 内径側ローラの表面に軟窒化処理層を形成した構造を示す、図3と同方向、及び、直角方向から見た部分断面図。 内径側、外径側両ローラの表面に軟窒化処理層を形成した構造を示す、図4と同様の図。 ローラの周面に突条が生成される状態を示す模式図。 同じく具体的な母線形状の1例を示す図。 この具体的形状を有するローラを組み込んで運転した後の、各部の母線形状の変化を示す線図。 ローラの周面に突条が生成される理由を説明する為の模式図。 この突条が生成されるのを防止する為に考えた、先発明の構造を示す断面図。
符号の説明
1 カムシャフト
2 カム
3 ロッカーアーム
4 支持壁部
5 支持軸
6 内径側ローラ
7 外径側ローラ
8 素材
9 突条
10、10a 潤滑性皮膜
11 円筒面部
12 ローラ
13 内径側面取り部
14 外径側面取り部
15 内径側円筒面部
16 外径側円筒面部
17 外側傾斜面部
18 内側傾斜面部
19 転がり摺動面
20 軟窒化処理層
21、21a 面取り部

Claims (4)

  1. 鉄系合金製で、相手部材と転がり接触若しくは滑り接触する、円筒状の周面である転がり摺動面を有し、この転がり摺動面の端縁部に、端縁に向かう程この転がり摺動面の中央寄り部分よりも凹む方向に傾斜した面取り部を備え、この面取り部及びこの転がり摺動面の表面部分に軟窒化処理層を形成した転がり摺動部品の製造方法であって、この軟窒化処理層を形成する為の軟窒化処理を行なう以前の状態で、上記面取り部を、上記端縁側に位置し、上記転がり摺動面の中央寄り部分に対する傾斜角度が急であるが上記周面の中心軸に対する傾斜角度が45度以下である外側傾斜面部と、この転がり摺動面の中央寄り側に位置し、この転がり摺動面の中央寄り部分に対する傾斜角度が緩やかで、上記周面の中心軸に対する傾斜角度が3〜15度である内側傾斜面部とにより構成し、これら外側、内側両傾斜面部から成る上記面取り部及び上記転がり摺動面に、上記軟窒化処理層を形成する為の軟窒化処理を施す工程を有する転がり摺動部品の製造方法。
  2. 転がり摺動面が外周面であり、面取り部が端縁に向かう程外径が小さくなる方向に傾斜している、請求項1に記載した転がり摺動部品の製造方法。
  3. 転がり摺動面が内周面であり、面取り部が端縁に向かう程外径が大きくなる方向に傾斜している、請求項1に記載した転がり摺動部品の製造方法。
  4. 外側、内側両傾斜面部の傾斜角度の差が3〜15度である、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した転がり摺動部品の製造方法。
JP2006163320A 2006-06-13 2006-06-13 転がり摺動部品の製造方法 Active JP4572875B2 (ja)

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