JP2010127142A - 内燃機関のピストン - Google Patents
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Abstract
【課題】条痕の加工を廃止することができると共にスカッフの発生を防止することができ、製造コストの低減及び燃費の向上が図れる内燃機関のピストンを提供する。
【解決手段】ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込んで成る。
【選択図】図1
【解決手段】ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込んで成る。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関のピストンに関するものである。
内燃機関のピストンにおいては、図6ないし図7に示すように、ピストン1とシリンダブロックのボアすなわちシリンダ内壁(図示省略)との間の潤滑性を向上させるために、ピストン1のスカート3の外周面に条痕15を加工し、その表面にフッ素樹脂等のコーティング層16を形成して成るものが知られている(特許文献1参照)。上記条痕15は、コーティング層16を剥がれにくくするために設けられている。条痕15の幅wは約100μm、条痕の深さdは約10μmである。
しかしながら、上記ピストン1においては、スカート3の外周面に螺旋状等の条痕15を機械加工により形成しなければならず、手間がかかり、製造コストの高騰を余儀なくされている。また、エンジンの慣らし運転が終了するあたりで、スカート3とシリンダ内壁との摺動によりスカートのコーティング層が磨耗する現象(初期磨耗)が生じる。これにより図8に示すように条痕15のエッジ15aが剥き出しになると、条痕15のエッジ15aがシリンダ内壁と擦れてピストンの摺動抵抗が増し、燃費の増大、スカッフ(scuff:シリンダ内壁の油膜が切れ、直接接触した条痕のエッジやピストンリングによって焼付きの原因となる引っかき傷ができる現象)の発生を招くおそれがあった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、条痕の加工を廃止することができると共にスカッフの発生を防止することができ、製造コストの低減及び燃費の向上が図れる内燃機関のピストンを提供することを目的とする。
本発明のうち、請求項1に係る発明は、ピストンのスカートの表面に、微粒子状の固体潤滑材をショットピーニングにより埋め込んで成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、ピストンのスカートの表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプルを形成して成ることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、ピストンのスカートの表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプルを形成すると共に、微粒子状の固体潤滑材をショットピーニングにより埋め込んで成ることを特徴とする。
本発明によれば、条痕の加工を廃止することができると共にスカッフの発生を防止することができ、製造コストの低減及び燃費の向上が図れる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて詳述する。
図1は本発明の実施の形態である内燃機関のピストンを概略的に示す一部断面側面図、図2は図1のA部の断面を示す模式図である。
図1に示すように、内燃機関のピストン1は、例えばアルミ合金により形成されたクラウン2と、このクラウン2から下方に延び、シリンダブロックのボアであるシリンダ内壁(図示省略)を摺動するスカート3とを備えている。
上記クラウン2の外周部には、上から順に、トップリング溝4、セカンドリング溝5及びオイルリング溝6がそれぞれ周方向に連続した環状に形成されている。上記トップリング溝4及びセカンドリング溝5には、コンプレッションリング(図示省略)がそれぞれ取付けられ、これらのコンプレッションリングはシリンダ内壁とトップリング溝4及びセカンドリング溝5に密着することにより燃焼室(図支省略)を密封することができる。
上記オイルリング溝6には、オイルリング(図示省略)が取付けられ、このオイルリングはコンプレッションリングに潤滑油(図示省略)を供給すると共にシリンダ内壁に付着している余分な潤滑油を回収することができる。上記オイルリング溝6の底面には、オイルリングにより回収した潤滑油を捕集してピストン1の内側へ排出するための複数の排油孔7が形成されている。
上記クラウン2から下方に延びるスカート3には前後方向(図1の紙面垂直方向)に貫通するピストンピン孔8が形成されており、このピストンピン孔8にはピストンピン(図示省略)を介してコンロッド(図示省略)が連結されている。
上記スカート3の左右の部分及び上端部の外周面は、シリンダ内壁を摺動する摺動面になっており、この摺動面はピストンを上方から見た場合、クラウン2の外周面よりも僅かに張り出して形成されている。上記スカートの表面(摺動面)は、図2に示すように微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込んで形成されている。このようにスカート3の表面にショットピーニングにより潤滑処理を施した面を潤滑処理面ということとする。
上記固体潤滑材10としては、例えば二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化タングステン、錫等が好適である。固体潤滑材10の微粒子の大きさは、例えば10〜20μmであることが好ましい。
図示例では、微粒子状の固定潤滑材10をスカートの表面に分散させて埋め込んだ状態を模式図で示しているが、微粒子状の固定潤滑材10が層状に密集されて埋め込まれていてもよい。その場合の固定潤滑材10からなる潤滑処理面の厚さは例えば10μm以上あれば良い。
このように構成された内燃機関のピストン1によれば、ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込んで成るため、条痕の加工を廃止することができると共にピストン1の摺動面の潤滑性を向上させてスカッフの発生を防止することができる。これにより、ピストン1とシリンダ内壁との摺動抵抗を減らすことができ、延いては内燃機関のフリクションを減らすことができ、燃費の向上が図れる。また、面倒な条痕の加工が不要になるため、製造コストの低減が図れる。
図3は図1のA部の断面であって、他の実施の形態を示す模式図である。図3の実施形態では、ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプル(微小窪み)11を形成して成るものである。マイクロディンプル11の深さは、例えば2〜3μmであることが好ましい。マイクロディンプル11の周縁部は丸みを帯びていてエッジがないため、シリンダ内壁と擦れることがない。マイクロディンプル11が形成された潤滑処理面は、そのマイクロディンプル11内が潤滑油で満たされることにより潤滑効果を発揮する。
本実施の形態によれば、マイクロディンプル11に潤滑油が毛細管現象及び表面張力により溜まった状態に保持されるため、ピストン1とシリンダ内壁の摺動面に潤滑油を供給することができ、条痕の加工を廃止することができると共にスカッフの発生を防止することができ、製造コストの低減及び燃費の向上が図れる。
図4は図1のA部の断面であって、他の実施の形態を示す模式図である。図4の実施形態では、ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプル11を形成すると共に、微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込んで成るものである。
本実施形態における潤滑処理面の形成方法は、先ず、ピストン1のスカート3の表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることによりマイクロディンプル11を形成する第1の工程と、この第1の工程後に上記スカート3の表面に微粒子状の固体潤滑材10をショットピーニングにより埋め込む第2の工程とから構成されている。
本実施の形態によれば、マイクロディンプル11に溜まる潤滑油をピストン1とシリンダ内壁の摺動面に供給することができると共に、スカート3の表面が微粒子状の固体潤滑材10で覆われるため、条痕の加工を廃止することができると共にピストン1とシリンダ内壁の摺動面の潤滑性を向上させてスカッフの発生を防止することができる。従って、内燃機関のフリクションを減らすことができ、耐久性の向上と燃費の向上が図れると共に、面倒な条痕の加工の廃止により製造コストの低減が図れる。
図5は摩擦力変動試験の比較例を示す図である。図5において、無処理(FC)は条痕加工ありでフッ素コーティング層を有する従来のピストンの場合であり、Snショットは条痕加工なしで錫をショットピーニングで埋め込んだ場合であり、マイクロディンプルは条痕加工なしでセラミックをショットピーニングしてマイクロディンプルを形成した場合であり、Moショットは条痕加工なしで二硫化モリブデンをショットピーニングで埋め込んだ場合であり、MD+Snは条痕加工なしでマイクロディンプルを形成すると共に錫をショットピーニングにより埋め込んだ場合であり、MD+Moは条痕加工なしでマイクロディンプルを形成すると共に二硫化モリブデンをショットピーニングにより埋め込んだ場合である。
この試験はオイルを一滴だけ垂らし、その後は給油しないでピストンとシリンダ内壁を摺動させたものであり、試験中の摩擦力の変化を表している。いずれの場合も、摩擦力の変化は、従来のピストンと同等又はそれ以下であり、スカッフの様相は全くなかった。特にMoショットのピストンの場合、摩擦力の変化がより小さいという結果が得られた。
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更が可能である。
1 ピストン
2 クラウン
3 スカート
4 トップリング溝
5 セカンドリング溝
6 オイルリング溝
7 排油孔
8 ピストンピン孔
10 固体潤滑材
11 マイクロディンプル
2 クラウン
3 スカート
4 トップリング溝
5 セカンドリング溝
6 オイルリング溝
7 排油孔
8 ピストンピン孔
10 固体潤滑材
11 マイクロディンプル
Claims (3)
- ピストンのスカートの表面に、微粒子状の固体潤滑材をショットピーニングにより埋め込んで成ることを特徴とする内燃機関のピストン。
- ピストンのスカートの表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプルを形成して成ることを特徴とする内燃機関のピストン。
- ピストンのスカートの表面に、微粒子状のセラミックをショットピーニングすることにより潤滑油を溜めるためのマイクロディンプルを形成すると共に、微粒子状の固体潤滑材をショットピーニングにより埋め込んで成ることを特徴とする内燃機関のピストン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008301191A JP2010127142A (ja) | 2008-11-26 | 2008-11-26 | 内燃機関のピストン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008301191A JP2010127142A (ja) | 2008-11-26 | 2008-11-26 | 内燃機関のピストン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010127142A true JP2010127142A (ja) | 2010-06-10 |
Family
ID=42327712
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008301191A Pending JP2010127142A (ja) | 2008-11-26 | 2008-11-26 | 内燃機関のピストン |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010127142A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013099341A1 (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-04 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関用ピストン |
WO2018190061A1 (ja) * | 2017-04-11 | 2018-10-18 | 株式会社ダイセル | 摺動部材及びその製造方法 |
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2008
- 2008-11-26 JP JP2008301191A patent/JP2010127142A/ja active Pending
Cited By (7)
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