JP2007248582A - 電子写真トナー用ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する電子写真用トナーの製造に用いても、優れた耐加水分解性を有するポリエステル、及び該ポリエステルを含有する、保存性及び定着性に優れた電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】原料成分を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有するトナーの製造に用いられ、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる電子写真トナー用ポリエステル、並びに、前記トナー用ポリエステルを含有する電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真トナー用のポリエステルに関する。
近年、高画質化の追求から、定着性に優れた小粒径トナーの開発が望まれている。トナー用結着樹脂としては、スチレンアクリル樹脂やポリエステル等が知られているが、耐久性及び定着性に優れることからポリエステルが使用されている。このようなポリエステルとして、特に定着性の観点から、炭素数10以上のアルキルコハク酸および/又はアルケニルコハク酸をカルボン酸成分として含有するポリエステル、及びこれを結着樹脂として用いる溶融混練粉砕法によるトナーが開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、ポリエステルを主体とした結着樹脂を用いた小粒径トナーを溶融混練粉砕法で製造する場合は、粉砕制御が困難である。
一方、特許文献3には、湿式製法である乳化凝集法によるトナーの製造に関する発明が開示されている。
特開昭57−109825号公報 特開2000-35695号公報 特開2004-198598号公報
しかし、湿式製法でポリエステルを結着樹脂として含有するトナーを製造する場合、溶液中でポリエステルのエステル結合が加水分解され、得られるトナーはガラス転移点が低下し、その保存性と定着性が悪化することがある。
本発明の課題は、原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する電子写真用トナーの製造に用いても、優れた耐加水分解性を有するポリエステル、及び該ポリエステルを含有する、保存性及び定着性に優れた電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、
(1)少なくともポリエステル含む結着樹脂を含有した原料成分を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有するトナーの製造に用いられ、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる電子写真トナー用ポリエステル、並びに
〔2〕前記(1)の電子写真トナー用ポリエステルを含有する電子写真用トナー、
に関する。
本発明の電子写真トナー用ポリエステルは耐加水分解性に優れ、該ポリエステルを含有する電子写真用トナーは、保存性及び定着性のいずれにも優れるものである。
[電子写真トナー用ポリエステル]
本発明の電子写真トナー用ポリエステルは、該ポリエステルを少なくとも含む結着樹脂を含有した原料成分を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により得られるトナーに用いられるものであり、アルコール成分と、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものである。
本発明のポリエステルは耐加水分解性に優れ、該ポリエステルを、原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により得られるトナーの該原料として使用することで、得られるトナーの保存性及び定着性が改善される。このように、ポリエステルの耐加水分解性が改善され、トナーの保存性及び定着性が改善されるのは、カルボン酸成分のモノマーとして、分子構造的に多種類の構造異性体から構成されるアルキルコハク酸及び/またはアルケニルコハク酸を含有することで、エステル結合付近の加水分解に対する立体障害が大きくなり、水系媒体中又は溶液中で粒子化する際に、ポリエステルのエステル結合の加水分解を抑制することができるためポリエステル樹脂の劣化を引き起こすことなく、広い分子量分布をもったポリエステルをトナー中に含有させることができるためと考えられる。
立体障害を高め加水分解性を抑制する観点から、アルキルコハク酸は、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸の好ましくは少なくとも2種からなり、アルケニルコハク酸は、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の好ましくは少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種からなる。分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基あるいはアルケニル基としては、具体的には、イソドデセニル基、イソドデシル基等が挙げられる。このような炭素数の異なるアルキル基及び/又はアルケニル基を有するアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有するカルボン酸成分を使用することで、得られるポリエステルの耐加水分解性が更に向上し、該ポリエステルを含有するトナーは、例えば、示差走査熱量分析(DSC)におけるガラス転移点付近の吸熱ピークがブロードとなるため、非常に広範囲な定着領域を持つという効果を奏する。
立体障害性を高め加水分解性を抑制させ、トナーの保存性を向上させる観点から、アルキルコハク酸は、炭素数9〜14の分岐鎖を有するアルキル基に由来するアルキルコハク酸の構造異性体を含有し、アルケニルコハク酸は、炭素数9〜14の分岐鎖を有するアルケニル基に由来するアルケニルコハク酸の構造異性体を含有することが好ましく、上記アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸は、前記構造異性体を好ましくは20個以上、より好ましくは25個以上、さらに好ましくは30個以上含有する。
尚、本発明においては、上記アルキル基又はアルケニル基に由来するアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の各々の構造異性体同士は、異なるアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸として扱うものとする。
更に、立体障害性を高め加水分解性を抑制させ、トナーの保存性及び定着性を向上させる観点から、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸は、アルキレン化合物とマレイン酸及び/またはフマル酸とから得られるものであることが好ましく、アルキレン化合物とマレイン酸とから得られるものであることがより好ましく、該アルキレン化合物としては、炭素数9〜14のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ノルマルブチレン等から得られるもの、例えばこれらのトリマー、テトラマーなどが好ましく用いられる。また、前記アルキレン化合物は、ガスクロマトグラフィー質量分析において、後述の測定条件で、炭素数9〜14のアルキレン化合物に相当するピークを20以上有することが好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上有する。
ガスクロマトグラフィー質量分析において観測されるこれらのピークはアルキレン化合物の構造異性体に由来するものと考えられ、この構造異性体を一定数以上有するアルキレン化合物を原料として製造したアルキルコハク酸やアルケニルコハク酸もまた同様の構造異性体を有していると認められる。この構造異性体を一定数以上有するアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸から得られたポリエステルは、立体障害性が極めて高いために耐加水分解性に優れ、このポリエステルを含有したトナーは、保存性及び定着性がさらに向上する。尚、本発明の目的の観点から、上記ピークの数は多い方が好ましいが、数学的組合せの制約から、おのずから上限は限定される。
アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸は、前記公知のアルキレン化合物と、マレイン酸及び/またはフマル酸とを混合し、加熱することで、エン反応を利用することにより得られるが、製造の容易性の観点から、前記公知のアルキレン化合物と、マレイン酸とを混合し、加熱することで、エン反応を利用することにより得られる方法が好ましい。分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸、及び/又は分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸を得るためには、公知の方法がいずれも使用できる。例えば、アルキレン化合物の合成に用いられるアルキレン化合物の原料あるいは触媒の種類の選択や、反応速度、反応時間、反応圧力、溶媒などを調整する方法や、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸製造時における蒸留条件を調整する方法等がいずれも用いられる(特開昭48−23405号公報、特開昭48−23404号公報、米国特許3374285号明細書等参照)。
アルキレン化合物の合成に使用される好適な原料としては、分岐鎖を有するアルキレン化合物であるプロピレン、イソブチレンが挙げられ、構造異性体数を増やす観点から、分子量の小さいプロピレンがより好ましい。
アルキレン化合物の合成に使用される好適な触媒としては、液体リン酸、固体リン酸、タングステン、三フッ化ホウ素錯体等が挙げられる。尚、構造異性体の数の制御容易性の観点から、ランダム重合した後に、蒸留により調整する方法が好ましい。
本発明のポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分中における、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸の総含有量は、耐加水分解性とトナーの定着性、保存性の観点から、3〜50モル%が好ましく、4〜45モル%がより好ましい。5〜40モル%が更に好ましい。
本発明においては、カルボン酸成分として、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸以外の2価あるいは3価以上のカルボン酸成分を使用することができ、2価のカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、炭素数が1〜7もしくは15以上のアルキル基又は炭素数2〜7もしくは15以上のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。
上記ジカルボン酸化合物のなかでは、帯電性及び定着性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、また、3価以上の多価カルボン酸化合物のなかでは、安価で、反応制御が容易である観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
なお、カルボン酸、カルボン酸の無水物、及びカルボン酸のアルキルエステルを、本明細書では以下総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
本発明のポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等のジオール;ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらの中では、帯電性の観点から芳香族系のアルコールであるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。上記縮重合に好適に用いられるエステル化触媒としては、チタン化合物又はSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いることができる。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)1(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)1〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手可能である。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラテアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー社等の市販品としても入手可能である。
Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく挙げられ、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましく用いられる。
上記チタン化合物及び錫(II)化合物は、その各々について2種以上組み合わせて使用することができる。
上記エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができる。
本発明の電子写真トナー用ポリエステルの軟化点は、定着性及び耐久性の観点から、80〜160℃が好ましく、85〜150℃がより好ましく、90〜145℃がさらに好ましく、95〜140℃がさらに好ましい。軟化点は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
ポリエステルのガラス転移点は、定着性及び耐久性の観点から、40〜70℃が好ましく、45〜70℃がより好ましく、50〜67℃がさらに好ましい。ガラス転移点は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
ポリエステルの酸価が高い場合には樹脂自体の水との親和性が高くなるため、加水分解されやすくなる傾向にあるため、ポリエステルの酸価は、帯電性および耐加水分解性の観点より、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜35mgKOH/gがより好ましく、3〜30mgKOH/gがさらに好ましい。
[電子写真トナー]

本発明のポリエステルを結着樹脂として用い、これと必要に応じて着色剤等の添加剤とを含有する原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により本発明の電子写真トナーが得られる。結着樹脂には他の樹脂が含有されていてもよいが、本発明のポリエステルの含有量は、トナー中40〜100重量%が好ましく、50〜100重量%がより好ましく、60〜100重量%がさらに好ましく、70〜100重量%がさらに好ましい。
さらに、本発明のトナーには、更に荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤を、適宜含有することができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。トナー中における着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。また各種荷電制御剤は1種又は2種以上を併せて使用してもよい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが適宜併用されていてもよい。離型剤の融点は、定着性と耐オフセット性の観点より、60〜140℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも本発明のポリエステルを含む結着樹脂を含有した原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を含む方法により得られるものであれば、その製造方法は特に限定されない。本発明のトナーの製造方法の具体例としては、結着樹脂を含有した原料を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁造粒により微粒子を形成し、この微粒子を凝集する方法;結着樹脂を溶解したラジカル重合性単量体溶液を乳化重合して樹脂微粒子を得、この樹脂微粒子を水系媒体中で融着させる方法(特開2001−42568号公報参照);結着樹脂を含有した原料からなる樹脂加熱溶融体を、結着樹脂の溶融状態を維持しながら、有機溶剤を含まない水性媒体中に分散し、次いで乾燥する方法(特開2001−235904号公報参照)等が挙げられる。すなわち、本発明における粒子化の方法としては、1)微粒子を形成し、凝集・合一させる方法、2)微粒子を形成し、融着させる方法、3)結着樹脂を含有する原料を分散させる方法等が挙げられる。なかでも、少なくとも結着樹脂を含有した一次粒子を、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させる工程(1)、及び該一次粒子を凝集、合一させる工程(2)を有する方法が好ましい。
本発明のポリエステルを含む結着樹脂と非イオン性界面活性剤とを混合することにより、混合物の粘度が低下し、結着樹脂を微粒化させることができるが、これは、混合物の粘度の低下が、非イオン性界面活性剤が結着樹脂に相溶し、樹脂の軟化点が見掛け上、低下することによるものである。この現象を利用して、非イオン性界面活性剤が相溶した結着樹脂の見かけ上の軟化点を水の沸点以下に下げることができ、樹脂単独では100℃以上の融点又は軟化点を有する結着樹脂でも、常圧で水を滴下することにより、結着樹脂が水中に分散した分散液を得ることができる。この方法は、少なくとも水と非イオン性界面活性剤があればよいため、有機溶剤に不溶な樹脂にも適用できる他、有機溶剤の回収や作業環境維持のための設備負担が不要であり、また機械的手段を利用する場合に必要とされる特別な装置も不要であるため、経済的に樹脂分散液を製造できるという利点も有する。
従って、水系媒体は、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を好ましくは50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上含有するものであり、この方法によれば、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。尚、溶剤を使用する場合には樹脂の溶解性を考慮し、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチルなどが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルあるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、ポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤としては、樹脂との相溶性のよいものを選択することが好ましい。安定な結着樹脂の分散液を得るためには、非イオン性界面活性剤のHLBは12〜18であることが好ましく、結着樹脂の種類によっては2種以上の異なるHLBの非イオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。たとえば、親水性が高い樹脂の場合は、HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤を少なくとも1種用いればよいが、疎水性の高い樹脂の場合は、HLBの低いもの、例えばHLBが7〜10程度のものと、HLBの高いもの、例えばHLBが14〜20ものを併用して、両者のHLBの加重平均を12〜18に調整することが好ましい。この場合、主としてHLBが7〜10程度のものは樹脂を相溶化させることができ、HLBの高いものは水中での樹脂の分散を安定化させることができると推定される。
また、着色剤を使用する場合、非イオン性界面活性剤は、着色剤に吸着し結着樹脂中に分散することが好ましい。非イオン性界面活性剤のHLBを前記範囲に調整することにより、着色剤表面に非イオン性界面活性剤が吸着し易くなると同時に、着色剤は水系媒体中でコロイド分散体として存在するよりも、結着樹脂中で安定に存在するようになり好ましい。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で結着樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂の融点を下げる観点から、結着樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、トナーに残存する非イオン性界面活性剤を制御する観点からは、80重量部以下が好ましい。従って、これらを両立させる観点から、非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部がさらに好ましい。
工程(1)において、結着樹脂を含有した一次粒子を、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させる際、系内の温度は、非イオン性界面活性剤の分散能及び分散効率の低下を防止する観点から、非イオン性界面活性剤の曇点から上下にそれぞれ10℃、好ましくは8℃、より好ましくは5℃の温度範囲内に保つことが望ましい。
工程(1)では、例えば、結着樹脂及び非イオン性界面活性剤の混合物を攪拌し、系内に均一に混合した状態で、水系媒体(好ましくは、脱イオン水または、蒸留水)を滴下することが好ましい。なお、着色剤を使用する場合には、非イオン性界面活性剤と相溶した着色剤を含む結着樹脂が水と分離しないようにすることが好ましい。
水系媒体の使用量は、続く工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜3000重量部が好ましく、400〜3000重量部がより好ましく、800〜3000重量部がさらに好ましい。
本発明のポリエステルを含有する結着樹脂を含有する一次粒子の粒径は、非イオン性界面活性剤の量、攪拌の程度、水の添加速度等により制御することができる。工程(1)において、少なくとも結着樹脂及び非イオン性界面活性剤を含有した混合物に、水系媒体を添加する速度は、均一な一次粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/minが好ましく、0.5〜40g/minがより好ましく、1〜30g/minがさらに好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂の全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加してもよい。結着樹脂に酸性基を有するものを用いる場合は、非イオン性界面活性剤の因子に加え、樹脂の自己乳化性が一次粒子の粒径の制御因子となる。
結着樹脂の溶融粘度及び融点の低下、並びに生成する一次粒子の分散性の向上を目的として、分散剤を用いることができる。分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩が挙げられる。分散剤の使用量は、乳化安定性及び洗浄性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、10重量部以下が更に好ましい。
一次粒子の分散液を調製する系内の固形分濃度は、分散液の安定性と凝集工程での分散液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。なお、固形分には、樹脂、非イオン性界面活性剤等の不揮発性成分が含まれる。
一次粒子の平均粒径は、続く工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。本発明において一次粒子の平均粒径とは、体積中位粒径(D50)を指し、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
続いて、工程(1)で得られた一次粒子を、凝集、合一させる工程(工程(2))に供する。
工程(2)において、一次粒子を凝集させる凝集工程における系内の固形分濃度は、結着樹脂の分散液に水を添加して調整することができ、均一な凝集を起こさせるために、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8が更に好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−60℃以上、軟化点以下が好ましい。
なお、一次粒子を凝集させる際には、工程(1)により得られた一次粒子のみを凝集させるだけでなく(ホモ凝集)、別途工程(1)と同様にして得られた樹脂微粒子の分散液等を一次粒子の分散液と混合し、一次粒子と他の樹脂微粒子とを凝集させてもよい(ヘテロ凝集)。
また、着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、一次粒子を調製する際に結着樹脂に予め混合してもよく、別途各添加剤を水等の分散媒中に分散させた分散液を調製して、一次粒子と混合し、凝集工程に供してもよい。一次粒子を調製する際に結着樹脂に添加剤を予め混合する場合には、予め結着樹脂と添加剤とを溶融混錬することが好ましい。溶融混練には、オープンロール型二軸混練機を使用することが好ましい。オープンロール型二軸混練機は、2本のロールが並行に近接して配設された混練機であり、各ロールに熱媒体を通すことにより、加熱機能又は冷却機能を付与することができる。従って、オープンロール型二軸混練機は、溶融混練する部分がオープン型であり、また加熱ロールと冷却ロールを備えていることから、従来用いられている二軸押出機と異なり、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等、無機系では、無機金属塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。
凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分攪拌することが好ましい。
続いて、前記凝集工程で得られた少なくとも結着樹脂を含有した凝集粒子を加熱して、合一させる(合一工程)。
合一工程における系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−25℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−20℃以上、軟化点+10℃以下がさらに好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
工程(2)により得られた合一粒子を、適宜、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナーを得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
高画質化と生産性の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、80〜160℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、90〜140℃がさらに好ましい。また、ガラス転移点は、同様の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
本発明により得られたトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、0.8〜5.0重量部が好ましく、1.0〜5.0重量部がより好ましく、1.5〜3.5重量部がさらに好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、疎水性シリカを0.8〜3.5重量部、好ましくは1.0〜3.0重量部用いることで、前記所望の効果が得られる。
本発明の電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
1.樹脂の酸価
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
2.樹脂の軟化点及びガラス転移点
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
3.一次粒子の分散粒径
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
4.トナーの粒径
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター社製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm 解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
5.ワックスの融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
6.質量分析ガスクロマトグラフィーによる分析
質量分析ガスクロマトグラフ(GC/MS)にCIイオンソースと下記分析カラムを取り付け、立上げを行なう。なお、CI反応ガス(メタン)を流し、MS部の真空排気作業から24時間経過後にチューニングを行なう。
(1)GC
ガスクロマトグラフ : Agilent社 HP6890N
分析カラム : HP社製 Ultra1(カラム長50m、内径0. 2mm、膜厚0.33μm)
GCオーブン昇温条件: 初期温度 100℃(0min)
第1段階昇温速度 1℃/min(150℃まで)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(10min)
サンプル注入量 : 1μL
注入口条件 : 注入モード スプリット法
スプリット比 50:1
注入口温度 300℃
キャリアガス : ガス ヘリウム
流量 1ml/min(定流量モード)
(2)検出器
質量分析器 : Agilent社製5973N MSD
イオン化法 : 化学イオン化法
反応ガス : イソブタン
温度設定 : 四重極 150℃
イオン源 250℃
検出条件 : スキャン
スキャン範囲 : m/z 75〜300
検出器ON時間 : 5min
キャリブレーション(質量校正および感度調整)
: 反応ガス メタン
キャリブラント PFDTD(ペルフルオロ−5, 8―ジメチル-3,6,9−トリオキシドデカン)
チューニング法 オートチューニング
(3)試料調製
プロピレンテトラマーをイソプロピルアルコールに溶解し5%とした。
(データ処理法)
C9〜C14の範囲にある各炭素数のアルケン成分について、それぞれ分子イオンに該当する質量数によるマスクロマトグラムを抽出し、S/N(シグナル/ノイズ比)>3の条件下で、成分毎の積分条件に従い積分を実行する。表1〜5の各々に示す検出結果から、特定アルキル鎖長成分の割合を以下の式により計算する。
特定アルキル鎖長成分の割合=[(特定アルキル鎖長の積分値の総和)/(C9〜C14全ての積分値の総和)]×100(%)
Figure 2007248582
(4)積分条件
918
Figure 2007248582
1020
Figure 2007248582
1122、C1224及びC1326
Figure 2007248582
1428
Figure 2007248582
本発明において、炭素数9〜14に相当するアルキレン化合物とは、ガスクロマトグラフィー質量分析において、分子イオンに対応するピークのことを言う。
アルキレン化合物Aの製造
新日本石油株式会社製のプロピレンテトラマー(商品名:ライトテトラマー)を用いて、183〜208℃の加熱条件で分留してアルキレン化合物Aを得た。得られたアルキレン化合物Aは,ガスクロマトグラフィー質量分析において、40個のピークを有していた。
アルキレン化合物Bの製造
アルキレン化合物Aの製造例の分留条件を171〜175℃に変更した以外は同様にしてアルキレン化合物Bを得た。得られたアルキレン化合物Bはガスクロマトグラフィー質量分析において、25個のピークを有していた。
アルケニル無水コハク酸Aの製造
1Lの日東高圧製オートクレーブにアルキレン化合物A 542.4g、無水マレイン酸157.2g、チェレックス−O 0.4g(堺化学工業(株)社製)、ブチルハイドロキノン(以下、BHQと略)0.1gを仕込み、加圧窒素置換(0.2MPaG)を3回繰り返した。60℃で撹拌開始後、230℃まで1時間かけて昇温して6時間反応を行った。反応温度到達時の圧力は、0.3MPaGであった。反応終了後、80℃まで冷却し、常圧(101.3kPa)に戻して1Lの4つ口フラスコに移しかえた。180℃まで撹拌しながら昇温し、1.3kPaにて残存アルキレン化合物を1時間で留去した。ひきつづき、室温(25℃)まで冷却後、常圧(101.3kPa)に戻して目的物のアルケニルコハク酸A(406.1g)を得た。
アルケニル無水コハク酸Bの製造
原料として、アルキレン化合物Aに代えてアルキレン化合物Bを用いた以外は、アルケニル無水コハク酸Aの製造と同様にしてアルケニル無水コハク酸Bを得た。
無水ドデセニルコハク酸の製造
アルキレン化合物Aに代えて市販のガスクロマトグラフィー質量分析において1個のピークを有する1−ドデセンを用いた以外は、アルケニル無水コハク酸Aの製造と同様にして無水ドデセニルコハク酸を得た。
実施例1
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて7時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。210℃まで冷却して表6に示す無水トリメリット酸を添加し、反応させた。重合度は、JIS規格「環球式軟化点試験法」(環球式自動軟化点試験器25D5−ASP−MG型(株)メイテック製、測定熱媒:グリセリン、昇温速度:5℃/min、温度計:JIS B7410 SP34(高軟化点用)、SP33(低軟化点用)に従い軟化点により追跡を行い、軟化点が所定の温度に達したときに反応を終了し、ポリエステル樹脂Aを得た。
実施例2
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂Bを得た。
実施例3
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を用い、230℃、常圧(101.3kPa)での反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂Cを得た。
実施例4
表6に示すアルケニルコハク酸を除くポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて6時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。220℃まで冷却して、アルケニル無水コハク酸Aを添加し、反応させた。重合度は、実施例1と同様にして軟化点により追跡を行い、軟化点が所定の温度に達したときに反応を終了し、ポリエステル樹脂Dを得た。
実施例5
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー及び、エステル化触媒を用い、230℃、常圧(101.3kPa)での反応時間を8時間とした以外は実施例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂Eを得た。
実施例6
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を用い、230℃、常圧(101.3kPa)での反応時間を8時間とした以外は実施例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂Fを得た。
実施例7
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を用い、230℃、常圧(101.3kPa)での反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂Gを得た。
比較例1
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、210℃、常圧(101.3kPa)にて8時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。その後、表6に示す無水トリメリット酸を添加し、反応させた。重合度は、実施例1と同様にして軟化点により追跡を行い、軟化点が所定の温度に達したときに反応を終了し、ポリエステル樹脂Hを得た。
Figure 2007248582
次に、実施例1〜7及び比較例1で得られたポリエステル樹脂A〜Hについて、以下のように耐加水分解性試験を行った。結果を質量分析ガスクロマトグラフィーにおけるアルケニルコハク酸のピーク数とともに表7に示す。
(樹脂耐加水分解性試験)
100mlナスフラスコに評価樹脂1.0gを入れ、そこに0.1mol/L水酸化カリウム メタノール溶液を20ml加え、更に蒸留水20mlを加えたものを90℃湯浴にて5時間加熱する。5時間加熱終了後、0.1mol/L塩酸により中和した後、溶媒を取り除き、残った樹脂を乾燥させる。得られた樹脂の、ガラス転移点を測定し、試験前の物性と比較し、下記の評価基準にしたがって、耐加水分解性を判定した。
◎:試験前後でのガラス転移点の温度差は1℃未満
○:試験前後でのガラス転移点の温度差が1℃以上3℃未満
△:試験前後でのガラス転移点の温度差は3℃以上6℃未満
×:試験前後でのガラス転移点の温度差は6℃以上
アルケニル無水コハク酸を使用したポリエステル樹脂(実施例1〜7)の耐加水分解性はいずれも良好であった。
Figure 2007248582
実施例8
ポリエステル樹脂A200g及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=9モル付加)、曇点:98℃、HLB:15.3)100gを、5リットル容のステンレス容器中でカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、170℃で溶融させた。内容物を非イオン性界面活性剤の曇点より3℃低い95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75.5gを滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下し、計1624.5gを添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂を含む樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子(一次粒子)の体積中位粒径(D50)は0.45μm、固形濃度は12.0重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
得られた樹脂分散液400g(濃度:12.3重量%)、シアン顔料の水分散液40g(濃度:5重量%)及びパラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋(株)製、融点:78℃)の水分散液7g(濃度:35重量%、非イオン性界面活性剤:エマルゲン108(花王(株)社製)5重量%、ワックスの分散径(体積中位粒径):0.30μm)を1リットル容の容器で室温下混合した。
次に、この混合物に凝集剤として塩化カルシウム1g分の水溶液を加え、炭酸ナトリウム水溶液(濃度:10重量%)でpH=7に調整した後、ホモミキサーを用いて、5000r/minの回転数で室温下1時間攪拌した。その結果、得られた混合分散液を1リットル容のオートクレーブに移し、90℃に加熱して500r/minで6時間攪拌し、凝集粒子を形成させた。
その後、100℃に昇温し、さらに1時間攪拌して、凝集粒子を合一させた後、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は6.8μm、水分含量は0.3重量%であった。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
実施例9
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器にメチルエチルケトン600gを投入し、ポリエステル樹脂B200gを室温にて添加し、溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン10gを添加して中和し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを留去し、自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子の重量平均粒径は0.3μmであった。
銅フタロシアニン(大日精化社製)50gノニオン性界面活性剤(エマルゲン150花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを混合し、銅フタロシアニンを溶解させ、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、分散した着色剤分散液を得た。
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、パラフィンワックスが平均粒径550nmで分散したワックス分散液を得た。
荷電制御剤(ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)50g、ノニオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤が平均粒径500nmで分散した荷電制御剤分散液を調製したが、分散液中には粗大粒子の残留が観測された。
得られた樹脂粒子分散液490g、着色剤分散液20g、ワックス分散液15g、荷電制御剤分散液7g及びカチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)2gを、丸型のステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散させた後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。さらに、48℃で1時間保持した後、重量平均粒径が7.0μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(ペレックスSS−L、花王(株)製)3gを添加した後、前記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、5℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は7.1μmであった。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は7.1μmであった。
実施例10
ポリエステル樹脂C100重量部、イエロー着色剤(パリオトールD1155、BASF社製)4.0重量部、荷電制御剤(ボントロンE-84、保土谷化学工業社製)2.5重量部及びパラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋(株)製、融点:78℃)4重量部を、ヘンシェルミキサーにて予備混合した後、オープンロール型混練機で溶融混練し、冷却後、粉砕し、混練物の1mmチップ品を得た。
得られた混練物200g及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=9モル付加)、曇点:98℃、HLB:15.3)100gを、5リットル容のステンレス容器中、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、170℃で溶融させた。内容物を非イオン性界面活性剤の曇点より3℃低い95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)を75.5g滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下し、計1624.5gを添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂を含む樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.45μm、固形濃度は12.0重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
次に、この混合物に凝集剤として塩化カルシウム1g分の水溶液を加え、炭酸ナトリウム水溶液(濃度:10重量%)でpH=7に調整した後、ホモミキサーを用いて、5000r/minの回転数で室温下1時間攪拌した。生じた混合分散液を1リットル容のオートクレーブに移し、105℃に加熱し500r/minで6時間攪拌し、凝集粒子を形成させた。
その後、125℃に昇温し、さらに1時間攪拌して、凝集粒子を合一させた後、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は6.7μm、水分含量は0.3重量%であった。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、イエロートナーとした。得られたイエロートナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
実施例11
ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂D100重量部を使用した以外は、実施例8と同様にしてシアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.7μmであった。
実施例12
ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂E100重量部を使用した以外は、実施例8と同様にしてシアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
実施例13
ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂F100重量部を使用した以外は、実施例8と同様にしてシアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.7μmであった。
実施例14
ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂G100重量部を使用した以外は、実施例8と同様にしてシアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
比較例2
ポリエステル樹脂Aの代わりにポリエステル樹脂H100重量部を使用した以外は、実施例8と同様にしてシアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
次に、実施例8〜14及び比較例2で得られた各トナーについて、以下に示すように保存性及び低温定着性試験を行った。結果を表8に示す。
(保存性試験)
トナー各々4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準より保存性を評価した。
評価基準
◎:72時間後も凝集は全く認められない。
○:72時間後も凝集はほとんど認められない。
△:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
×:48時間後で既に凝集が認められる。
(低温定着性試験)
プリンター「ページプレスト N−4」(カシオ計算機社製、定着:接触定着方式、現像方式:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、トナー付着量を0.6mg/cm2に調整して未定着画像を得た。得られた未定着画像を接触定着方式の複写機「AR−505」(シャープ社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:300mm/s)を用いて、定着ロールの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
各定着温度で得られた画像を、「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ−1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(剥離後/剥離前)が最初に95%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。
評価基準
◎:最低定着温度が160℃未満
○:最低定着温度が160℃以上、170℃未満
△:最低定着温度が170℃以上、180℃未満
×:最低定着温度が180℃以上
Figure 2007248582
以上の結果より、アルケニルコハク酸を使用したポリエステル(実施例1〜7)は、溶液中でアルカリ存在下のもとで加熱した場合であっても、ガラス転移点の低下が抑制され、本発明のポリエステルが耐加水分解性が高いことが分かる。特に、分岐鎖を有し、ガスクロマトグラフィー質量分析において、20以上のピークを有するアルケニル基を有するアルケニルコハク酸を使用したポリエステル(実施例1〜5)において、その効果が顕著である。また、本発明のポリエステルを用いて得られるトナーは、保存性及び低温定着性という相反する物性の両立が達成できた。一方、アルケニルコハク酸を使用しないポリエステル(比較例1)は、ガラス転移点の低下が激しく、該ポリエステルを含有したトナーは、保存性と定着性に劣る結果となる。
本発明の電子写真トナー用ポリエステルは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて形成される潜像の現像に用いられる電子写真トナー用の結着樹脂として好適に用いられるものである。

Claims (7)

  1. 少なくともポリエステル含む結着樹脂を含有した原料成分を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有するトナーの製造に用いられ、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる電子写真トナー用ポリエステル。
  2. カルボン酸成分が、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸の少なくとも2種、及び/又は分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の少なくとも2種を含有する、請求項1記載の電子写真トナー用ポリエステル。
  3. カルボン酸成分が、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸の構造異性体及び/又は分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の構造異性体を少なくとも20種含有する、請求項1又は2に記載の電子写真トナー用ポリエステル。
  4. アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸が、アルキレン化合物とマレイン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも一種とから得られるものであって、前記アルキレン化合物が、ガスクロマトグラフィー質量分析において、炭素数9〜14の範囲内のアルキレン化合物に相当するピークを少なくとも20有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真トナー用ポリエステル。
  5. カルボン酸成分中におけるアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の総量が3〜50モル%である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真トナー用ポリエステル。
  6. 酸価が1〜40mgKOH/gである、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真トナー用ポリエステル。
  7. 請求1〜6のいずれかに記載の電子写真トナー用ポリエステルを含有する電子写真トナー。
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